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シャングリラ学園つれづれ語り

☆下駄スケートの達人


下駄スケートが使われていた頃、綺麗どころと滑ったらしい生徒会長。
思い出話に耳を傾けてしまった男子一同、紐の結び方を見逃しまして…。

シロエ 「ど、どうしましょう…。もう思いっ切り手遅れですよね」
ジョミー「まだ脱ぐ時があるじゃない! そっちに期待するしかないよ」
マツカ 「ですね、今度こそ頑張りましょう」
サム  「それよりブルーの滑りだぜ! 綺麗だろうなぁ…」
ジョミー「なんか変なこと言ってるし…。下駄スケートだよ?」

所詮は下駄でスケートなのだ、とジョミー君は鼻で笑っておりますが。

ブルー 「ぶるぅ、曲を流してくれるかな?」
ぶるぅ 「オッケー!」

アドス和尚ご自慢のCDプレーヤーから大音響で流れる『かみほー♪』。
生徒会長、スイーッとリンクに滑り出すと。

ジョミー「わわっ!」
シロエ 「いきなりトリプルルッツですか!?」
サム  「だから言ったろ、ブルーならきっと凄いって!」
スウェナ「ぶるぅに出来る技が出来ないわけないと思うわよ?」
マツカ 「もっと凄いかもしれません。…分かりませんけど」
サム  「すげえ、すげえや、プロに負けてねえぜ!」

即興とも思えぬ滑りを披露してゆく生徒会長。
スピンにステップ、どれを取っても、もう完璧な仕上がりで。

ジョミー「サビでトリプルアクセルは基本みたいだね…」
シロエ 「ああいう大技は最初に持ってくると聞きましたけど」
マツカ 「全然気にしていないみたいですね、流石です」
サム  「どんなフィニッシュか楽しみだよな!」
スウェナ「そうね、ひょっとしたら幻のアレが出るかも」
男子一同「「「は?」」」
ぶるぅ 「わぁーい、成功ーっ!!!」

氷を蹴った生徒会長、華麗にジャンプ。
見事な回転を決めて滑り終え、優雅に一礼。

ブルー 「見てくれた? ぼくの四回転半」
スウェナ「きゃあっ、やっぱりクアドラプルね!」
男子一同「「「!!!」」」

クアドラプルといえば四回転。
四回転半とは、まさかのアクセル?

2013/01/16 (Wed)

 

☆ピンチな男子たち


お手本を終えた生徒会長、四回転半を見てくれたか、と申しております。
半回転がついてくるのはアクセルのみで、難易度は最高でございますが。

ジョミー「よ、四回転半って……アレってアクセル?」
ブルー 「前向きに踏み切るのはアクセルジャンプだけだけど?」
シロエ 「そ、それってまさか…」
サム  「すげえや、ブルー! あれが跳べるヤツ、いねえよな!」
マツカ 「その筈です。…今のところは」
スウェナ「オリンピックの選手以上よ、いいもの見せてもらったわ!」
ブルー 「どういたしまして。…じゃあ、君たちも頑張って」

はい、と下駄スケートを差し出す生徒会長。
いつの間にやらスニーカーに履き替えてしまったようで。

男子一同「「「あーーーっ!!!」」」
ブルー 「まだ何か?」
シロエ 「い、いえ…。なんでもないです…」

分からずじまいの紐の結び方。
もう適当に結ぶより他に道は無く。

サム  「とにかく最初はシロエがやれよ」
シロエ 「そ、そんな…。ジョミー先輩でいいじゃないですか!」
ジョミー「ぼくはスニーカーでも滑れるもんね、朝も石畳で滑ったし!」

練習、練習…とリンクに飛び出したジョミー君ですけど。

ジョミー「あれ?」
サム  「何やってんだよ、景気良く滑れよ!」
ジョミー「滑ってるってば!」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ジョミー、おっそーい!」

ツイーッと滑ってゆく「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
生徒会長がクスクスと…。

ブルー 「スニーカーでは無理、無茶、無駄ってね」
ジョミー「スウェナと滑っていたじゃない! それに、ぶるぅも!」

子供靴だよ、と指差しているジョミー君。
スイスイ滑る小さな足には普通の靴が。

ブルー 「サイオンで調整してるのさ。君にはまだ無理」
ジョミー「それじゃ練習できないよ!」
シロエ 「そうです、靴が足りません!」

滑りに適したブレードつきの下駄スケートは一足だけ。
元老寺カップで競い合おうにも、練習不足で不戦敗ですか?

2013/01/17 (Thu)

 

☆跳ぶならアクセル


下駄スケートは紐の結び方が分からず、スニーカーでは滑りがイマイチ。
男子一同、いきなりピンチでございます。

ジョミー「滑れないんじゃ、元老寺カップなんて絶対無理だし!」
ブルー 「下駄スケートがあるじゃないか。一足あれば充分だろう?」
シロエ 「足りませんよ!」
ブルー 「練習時間が短いところが面白い。そう言った筈だけど?」
ジョミー「そうだけど…。でも…」
ブルー 「そもそもキースは練習時間が足りないんだよね」

初詣の真っ最中だから、と言われてみればそのとおり。
スニーカーでの滑りも何も、リンクに姿を見せないわけで。

サム  「仕方ねえか…。地道にやろうぜ」
マツカ 「コツコツやるのも大切ですよね」
ジョミー「えーっ! そこで納得しちゃうわけ?」

スニーカーでいくら練習したって、とリンクを蹴ったジョミー君ですが。

ジョミー「どわぁぁぁっ!?」
ぶるぅ 「すっごーい!」

ツルッと滑ったジョミー君。
素早く体勢を立て直したものの、氷はツルツルのようでして。

ジョミー「わっ、わっ、うわわわ…」
シロエ 「なんだか普通に滑ってますねえ…」
スウェナ「スピンとかにも見えないことはないわよね?」
サム  「滑れねえとか言ってなかったか?」
マツカ 「その筈ですけど…」
 
ツルンツルンと滑りまくっていたジョミー君、やっと戻って参りまして。
 
ジョミー「し、死ぬかと思った…」
ブルー 「どういたしまして。サイオンで調整した靴はどうだい?」
ジョミー「えっ?」
ブルー 「ブツブツ言うからやってあげたよ、全員分」
シロエ 「本当ですか!?」
ブルー 「リンク限定のスケート仕様! これなら文句は無いだろう?」
サム  「マジかよ、だったら頑張らなくちゃな!」
ブルー 「その代わり、メインは下駄スケートだよ?」

練習する以上はアクセルを跳べ、と生徒会長は申しております。
しかも基本はトリプルだそうで…。
ずぶの素人が挑戦するには、あまりにハードル高すぎませんか?

2013/01/18 (Fri)

 

☆トリプルが基本


スニーカーでも滑れるように調整した、と微笑んでいる生徒会長。
サイオンでの細工は有難いですが、アクセルを跳ぶよう言われてしまい。

ジョミー「あ、アクセルって…下駄スケートで!?」
ブルー 「当然じゃないか。元老寺カップは下駄スケートの競技会だ」
シロエ 「で、でも…。トリプルが基本っていうのは冗談ですよね?」
ブルー 「練習用の靴を貰った以上は頑張りを見せて欲しいけど?」
サム  「あー、頑張ればいいわけな? 跳べなくっても」
ブルー 「まあね。点数が低くなるのは御愛嬌かな」
ジョミー「あのさぁ、点数って誰が採点するわけ?」

気になってたんだ、とジョミー君。
他の男子もコクコク頷いておりますが。

ブルー 「任せて安心、審査員票!」
男子一同「「「は?」」」
ブルー 「分からないかな、アドス和尚とイライザさんだよ」
ジョミー「二人揃って素人じゃないか!」
ブルー 「だからこそ素直に評価が出来る。凄いと思えば高得点!」

派手にやりたまえ、と生徒会長は笑っております。

ブルー 「素人さんでもジャンプの高さや回転なんかは分かるからね」
シロエ 「でも見逃したら終わりですよ?」
ブルー 「その辺が勝負の醍醐味ってね。運も実力の内なんだ」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 回転数はぼくが数えてあげてもいいよ!」

どんなに速くても分かるもん、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」は自信満々。
そりゃそうでしょう、子供とはいえタイプ・ブルーなわけでして。

ブルー 「ぶるぅが数えてくれるってさ。これで文句は無いだろう?」
ジョミー「無理だよ、トリプルアクセルなんか!」
ブルー 「やりもしないでガタガタ言わない! さっさと練習!」
スウェナ「で、下駄スケートは誰が最初に練習するの?」
サム  「俺は一番最後でいいかな…」
ジョミー「ぼくも一番最後でいいよ」

俺だ、お前だ、と始まっている下駄スケートの押し付け合い。
そんなことより、トリプルアクセルを跳ぶ練習を始めた方がいいのでは?

2013/01/19 (Sat)

 

☆差し入れで休憩


下駄スケートを履く順番を押し付け合っている男子一同。
練習時間がどんどん減ってゆくのですけど、誰も気付かないようでして。

イライザ「はい、皆さんに差し入れですよ。…あら?」
キース 「誰も練習してないようだな」

おふくろの愛が無駄になったか、と大鍋を抱えた法衣姿のキース君。
イライザさんはお椀を載せたお盆を手にしておりますが…。

ブルー 「嬉しいな。何を持ってきてくれたんだい?」
イライザ「おぜんざいですわ。甘いものは疲れが取れますでしょ?」
キース 「それに身体も暖まる。…だが、どうやら必要なさそうだな」
ブルー 「まあねえ、別の意味で熱くなっちゃってるから」
キース 「あいつらは何をやっているんだ?」
ブルー 「下駄スケートの押し付け合いさ。履き方が分からないらしい」
イライザ「あらあら…。それは大変ですわね」

少し休憩なさっては、とイライザさんはテントの中のテーブルへ。
キース君はカセットコンロも持参で、セットされた大鍋がグツグツと。

ブルー 「そこで揉めてる男子たち! 差し入れが来たよ!」
ジョミー「えっ、ホント!?」
イライザ「おぜんざいで暖まって下さいね」

順番ですよ、と言われるまでもなく並んで受け取る男子たち。
「そるじゃぁ・ぶるぅ」も生徒会長も、キース君も熱々のおぜんざいを。

イライザ「練習は進んでないようですわね」
男子一同「「「…は、はい…」」」
キース 「初詣の檀家さんが一段落したから抜けてきたんだが…」
ブルー 「練習に参加するのかい?」
キース 「そのつもりだ。この様子では俺にも勝機があるのか?」
ブルー 「どうだろう? 特製スニーカーは君には無理だし…」
キース 「は?」
ブルー 「みんなの靴には滑れる細工をしたんだよ。サイオンでさ」
キース 「なるほどな…。草履では細工が出来ない、と」

仕方ないか、と呟くキース君の足元は法衣に合わせて普通の草履。
せっかく練習にやって来たのに、履物のせいで不利な状況ですかねえ…?

2013/01/20 (Sun)

 

☆下駄と草履と


おぜんざいを差し入れに来たイライザさんと一緒に現れたキース君。
初詣を抜けて練習をという心づもりでしたが、履物は草履でございます。

キース 「草履で練習は出来んと言うなら、待つしかないな」
ジョミー「下駄スケートなら一番に貸してあげるけど?」
シロエ 「いいですね、それ! まずキース先輩に滑って貰いましょう」
キース 「…俺に押し付けようというのか?」
サム  「いいじゃねえかよ、下駄も草履も似たようなモンだぜ」
キース 「そこの所は認めよう。しかしだな…」

俺も下駄スケートは初めてなんだ、とキース君は溜息をついております。

キース 「どうやって履くのか分からないのは俺にしたって同じだぞ」
ブルー 「だろうね、分かるわけがない。だけど草履は応用が利くよ?」
全員  「「「は?」」」
ブルー 「下駄も草履も、どっちも鼻緒だ。草履でいけたら下駄もOK」
キース 「細工が出来ないとか言わなかったか?」
ブルー 「特製スニーカーは無理だよね、と言っただけだよ」

草履でもサイオンで細工は可能、とニッコリ微笑む生徒会長。

ブルー 「ただし、草履は脱げやすい。それなりの技術が必要なわけ」
キース 「技術だと?」
ブルー 「元老寺カップの基本はトリプルアクセル! 草履も吹っ飛ぶ」
キース 「そ、それは確かに…。いや、ちょっと待て!」

素人にそんなジャンプが出来るか、とキース君は食ってかかりましたが。

ブルー 「サイオンを使えば楽勝さ。ぼくは四回転半を跳んだし」
キース 「四回転半!?」
スウェナ「凄いクアドラプルだったわよ? トリプルに挑戦しなさいよ」
キース 「し、しかし…。ジャンプを跳んだら確実に草履が…」
イライザ「下駄スケートと同じ要領で足に結べばいいでしょう?」
男子一同「「「えっ?」」」
イライザ「私も若い頃にやりましたの。クリームちゃんのお誘いで」

クリームちゃんとはアドス和尚の若き日の渾名。
下駄スケートの正しい履き方、救いの神の登場ですか?

2013/01/21 (Mon)

 

☆思わぬ助っ人


下駄スケートの経験アリだったイライザさん。
アドス和尚と滑っていたとあって、紐の結び方も覚えているとの話です。

シロエ 「それ、ぼくたちに教えて下さい! お願いします!」
ブルー 「君たちには何度もチャンスをあげただろう? 何を今更」
イライザ「そうでしたの? それじゃ教えちゃいけませんわね」
ジョミー「えーーーっ!!! 酷いよ、それ!」
キース 「おふくろ、俺は習っていないんだが…」
イライザ「あらあら…。じゃあ、どうしたらいいのかしら?」
ブルー 「仕方ないねえ、最後のチャンスはキースの草履で」
男子一同「「「は?」」」
ブルー 「キースも練習しないとダメだし、こっちの紐で草履を…ね」

予備のヤツなんだ、と生徒会長は紐を取り出しまして。

ブルー 「キースの草履の固定を頼むよ。ブレードは無いけど」
イライザ「紐が裏側まで回りますわよ? 滑れますの?」
ブルー 「そこはサイオンで調整出来るさ。ひとつよろしく」
イライザ「いいですわ。…キース、右足をお出しなさいな」
キース 「あ、ああ…」

椅子に座っていたキース君が右足を出すと、イライザさんは手際よく。

イライザ「こう、こう、こう…。で、最後の結びがこうなりますの」
シロエ 「えっ? イマイチ分からなかったんですが…」
ブルー 「まだ左足があるだろう? 紐の端の処理も見ておきたまえ」
イライザ「途中で解けると大変ですから、ここにこうして」
サム  「あー…。そこは何となく分かる気がするぜ」
イライザ「それでは左足を始めますわね。簡単ですのよ」

チョチョイのチョイ、と紐を絡めて結んで、端の処理。
どの辺がどう簡単なのだ、と男子一同、泣きの涙でございますが。

ブルー 「これで教えは完璧ってね。いいかい、基本はトリプルだよ」
イライザ「皆さん、頑張って練習して下さいね」

元老寺カップが楽しみですわ、とイライザさんは去ってゆきました。
試合開始は初詣が終わる午後三時。それまでにトリプルアクセルですか?

2013/01/22 (Tue)

 

☆追い越す後発


キース君、イライザさんの技で下駄スケートならぬ草履スケートを入手。
まだ揉めている他の男子を残して雪のリンクに颯爽と。

キース 「おい、本当に基本はトリプルなんだな?」
ブルー 「もちろんさ。跳べなくっても御愛嬌だけど」
キース 「俺はそういう逃げは嫌いだ。で、どうやれば跳べるんだ?」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ぼくが見本を見せてあげるね!」

下駄でも草履でもないけれど、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
子供靴でスイーッと滑ってクルクルクル。

キース 「なるほど、踏み切りと高さが命か…」

やってみよう、と草履で挑んだキース君。
法衣の裾を乱しながらも、辛うじて一回転半を決めまして。

ブルー 「うん、なかなか筋がいいと思うよ。その調子!」
ぶるぅ 「今度はぼくと一緒に跳ぼうよ♪」

CDプレーヤーから『かみほー♪』が流れ、キース君の練習は順調に。
ダブルアクセルをモノにするのも時間の問題みたいです。

ジョミー「ずるいよ、なんでキースだけ!」
ブルー 「君たちもやればいいだろう? スニーカーでさ」
シロエ 「それはそうなんですけれど…」
サム  「本番で下駄スケートが飛んで行ったら失格だよな?」
ブルー 「まあね」
マツカ 「ですから練習しておかないと…。下駄スケートを」
ブルー 「その前に練習ありきだと思うけどねえ…」

好きにすれば、と溜息をつく生徒会長。
そこへアドス和尚とイライザさんが現れて…。

イライザ「皆さん、お昼御飯ですよ。あら、キースは一人で練習を?」
アドス 「出遅れた分、技術が劣っておりますかな?」
ブルー 「劣ってるのは他の連中! 一度も練習していないんだよ」
アドス 「なんと、元日からサボリとは…」

それは感心しませんな、とギロリと睨まれた男子一同、震え上がって。

ジョミー「ち、違うってば、ぼくたち、履き方が分からなくって!」
イライザ「そこで止まったままですの?」

呆れましたわ、とイライザさん。
男子一同、ピンチですか?

2013/01/23 (Wed)

 

☆見えてきた光


昼食の用意が出来た、とリンクにやって来たアドス和尚とイライザさん。
誰も練習していないと聞き、睨み付けるやら呆れるやらで。

アドス 「一年の計は元旦にありと申しましてな」
イライザ「皆さん、今年はサボリが目標ですの?」
シロエ 「違います! ぼくたち、決してそんなつもりじゃ…!」
アドス 「はて、そのようにしか見えませんがのう…」
ジョミー「違うんだってば、ホントに困っているんだよ!」

下駄スケート、と口々に叫ぶ男子一同。
しかしアドス和尚とイライザさんは庫裏に戻って行きまして…。

キース 「おい、昼飯だと言っていたぞ? 行かないのか?」
ジョミー「なんか睨まれちゃったしさ…。行きにくいよね」
サム  「だよなぁ、俺たち、練習出来る見込みもねえし…」
マツカ 「キースは草履で滑れますからいいですけどね」
スウェナ「それなんだけど…。キースの草履を写真に撮ったら?」
男子一同「「「は?」」」
スウェナ「時間をかけて脱いで貰って、過程を写真で記録するのよ」

それを逆回しに再現すれば履ける筈、というのがスウェナのアイデア。
まさに天啓でございます。

シロエ 「言われてみれば…。機械の分解とかでも使う手ですね」
サム  「なんで今まで気付かねえんだよ!」
シロエ 「すみません、下駄と機械じゃ違いすぎて…」
ジョミー「とにかく撮ろうよ、キースも協力してくれるよね?」
キース 「ああ。正月早々、見捨てるわけにはいかないからな」
男子一同「「「やったー!!!」」」

草履を縛った紐を解くキース君の手元をスマホや携帯で撮影会。
男子一同、もうホクホクで。

ジョミー「これで午後の部はバッチリだよね!」
サム  「おう、トリプルアクセル頑張ろうぜ!」
ブルー 「やれやれ…。とりあえず靴と草履のサイオンは解除、と」
ぶるぅ 「そのまま行ったら滑るもんね!」

石畳が凍ってツルツルだもん、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
庫裏までの道も練習しながら往復するのが吉なのでは?

2013/01/24 (Thu)

 

☆法衣でアクセル


正月早々、大雪が積もった元老寺。
お昼になっても融ける気配は全くなくて、石畳もツルツルでございます。

ぶるぅ 「わぁーい、ツルツル―!」
サム  「元気だよなぁ、子供ってヤツは」

クルンクルンとジャンプにスピン、「そるじゃぁ・ぶるぅ」は御機嫌で。

ぶるぅ 「子供は風の子、元気な子だもん! お昼も食べたし!」
ブルー 「美味しかったよねえ、イライザさんの特製オムライス」
ジョミー「うんうん、卵もフワフワでさ!」
キース 「昼飯を食ったからにはキッチリ練習するんだろうな?」
ジョミー「もちろんさ! 紐の結び方も掴んだし!」

みんなで写真を撮ったんだから、とジョミー君。
リンクに戻った男子一同、ワクワクしながら下駄スケートを持ち出して。

シロエ 「最初はキース先輩ですよね、敬意を表して」
キース 「なんでそうなる?」
ジョミー「草履のお蔭で紐の結び方が分かったんだよ?」
サム  「それに草履で練習してたし、最初に行けよ」
キース 「お前たちの練習時間が減りそうだが?」
マツカ 「ちゃんと時間は計ってますから大丈夫ですよ」
キース 「そうなのか? では遠慮なくやらせて貰うぞ」

椅子に腰掛け、草履を脱いで下駄スケートを。
手際良く紐で足に固定し、キュッと結ぶとリンクに向かってスタスタと。

ジョミー「分かってしまうと簡単だったね」
シロエ 「ええ。キース先輩の滑りはどうでしょう?」
ブルー 「君たちと違って練習してたし、上手いだろうね」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ぼくも一緒に滑ってこようっと!」

音楽スタート! とCDプレーヤーから流れる『かみほー♪』。
「そるじゃぁ・ぶるぅ」と法衣のキース君、実に見事な滑りっぷり。

ブルー 「へえ、ダブルアクセルをモノにしたのか…」
ジョミー「でもさあ、法衣でキメると笑えるよねえ」

衣の裾から足が覗くし、と笑い転げる男子たち。
防寒用の股引なんかも見えてますけど…。
笑うより前に、自分の技術を磨いた方がいいのでは?

2013/01/25 (Fri)

 

☆意外な落とし穴


『かみほー♪』が三回流れる間、練習していたキース君。
見る間に腕を上げ、トリプルアクセルに手が届きそうなフィニッシュで。

ブルー 「頑張った甲斐があったね、キース。続きは草履で」
キース 「よろしく頼む。俺はサイオンが使えないしな」
ブルー 「やっぱりアレもサイオン抜きかい、アクセルも?」
キース 「ああ。畑違いでもやればなんとかなるものだな」

意地でも跳ぶ、とキース君は燃えております。
下駄スケートは次の挑戦者に譲られまして。

ジョミー「じゃあ、行ってくるね!」
サム  「おう、キースに負けずにキメてくれよー!」

颯爽とリンクに飛び出して行ったジョミー君ですが…。

ジョミー「あれっ? えっ、えっ、えぇっ!?」
キース 「へっぴり腰で何をやってる? アクセルは思い切ってだな…」

こうだ、と氷を蹴って宙に舞い上がるキース君。
クルクルクルとついにキメました、三回転半!

男子一同「「「おぉっ!?」」」
キース 「やっと跳べたか…。今の調子を維持しないとな」
ジョミー「ま、待ってよ、今のにコツとかは!?」
キース 「ん? 踏み切って回るだけだが」

頑張ってくれ、とキース君は草履で練習続行。
ジョミー君の方は下駄スケートで滑るのだけが精一杯で。

ジョミー「ダメだよ、アクセルどころじゃないよ!」
シロエ 「履き方をマスターしたってダメなんですか?」
ブルー 「何を今更…。履くだけで跳べたらプロは要らない」
男子一同「「「そ、そんなぁ…」」」
ブルー 「時間一杯、努力あるのみ! スニーカーでも!」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 見本ならいくらでも跳ぶよ!」

トリプルアクセル、トリプルルッツ…と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
キース君も法衣をはためかせつつスイスイと。

サム  「とにかくやるしかねえってことだな…」
シロエ 「手遅れって気もしますけれどね…」

下駄スケートは魔法の靴ではございません。
元老寺カップの開催までにトリプルアクセルを跳べますかねえ?

2013/01/26 (Sat)

 

☆跳べない男子たち


下駄スケートの履き方で悩む間に勘違いをしていた男子一同。
履くだけでトリプルアクセルが跳べる魔法の靴だ、と思い込んだようで。

シロエ 「履けたら跳べるって気がしてましたよね…」
マツカ 「冷静に考えてみたら、それじゃ話が旨すぎますよね」
サム  「どーすんだよ、俺たち、全く跳べねえんだぜ!?」
ジョミー「だから目一杯、頑張るしか…! うわわわ…」

やっぱり無理、とドシャアッと転んだジョミー君。
下駄スケートでの二度目の練習、転びまくりでバトンタッチ。

サム  「あーあ、シロエも転んでやがるぜ…。俺も無理だよな」
ジョミー「もうさ、キースが優勝でいいじゃない!」
マツカ 「トリプルをモノにしていますしね…」
スウェナ「あら、優勝は会長でしょ? 四回転半が跳べるのよ」
ジョミー「そ、そうだっけ…。それじゃキースは頑張り損?」

ひたすら努力の人だけど、と指差す先ではキース君がスピンの練習中。
法衣を乱さず美しく、と片足を軸に上体を反らして回るレイバック。

シロエ 「サム先輩、次どうぞ!」
サム  「お、おう! とにかく練習してくるぜ」

無駄っぽいけどな、と氷を蹴るなり派手に転倒。
その向こうではキース君がトリプルルッツを決めております。

ジョミー「キース、あんなに上手いけどさぁ…。負けるんだよね…」
シロエ 「仕方ないですよ、会長には誰も勝てませんってば」
ブルー 「ぼくは出場しないけど?」
一同  「「「えぇっ!?」」」
ブルー 「技術が違いすぎるだろ? 模範演技しかやらないよ」
男子一同「「「そ、そんな…」」」

愕然とする男子一同。
生徒会長が出場しないとなれば、後は練習量の差で。

ジョミー「や、やばい…」
シロエ 「やる気なし認定が出ちゃいますよ!」
アドス 「皆さん、仕上がりは如何ですかな?」

間もなくですぞ、とアドス和尚とイライザさんの登場でございます。
下駄スケート元老寺カップ、いよいよ開幕。
跳べない男子たちの運命や如何に…?

2013/01/27 (Sun)

 

☆下駄スケートで跳べ


課題とされたトリプル・アクセル、キース君以外は跳べないのですが…。
容赦なく元老寺カップの開幕時間でございます。

ブルー 「それじゃ、元老寺カップ開幕! ぼくが最初に模範演技を」
アドス 「銀青様はエントリーなさらないので?」
ブルー 「ダントツで優勝に決まってるしね。サイオンも使うし」
キース 「四回転半が跳べるそうだぞ」
イライザ「あらあら、それは楽しみですわ」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 音楽、スタート!」

リンクに響き渡る『かみほー♪』。
下駄スケートを履いた生徒会長、それは優雅に滑っております。

アドス 「流石は銀青様ですな。実に完璧でいらっしゃる」
イライザ「今のがトリプルアクセルですわね? …多分」
ぶるぅ 「うん! 回転数はぼくが数えてあげるよ」

録画とかが無いもんね、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
生徒会長はジャンプにスピンと披露しまくり、やはりフィニッシュは。

全員  「「「おぉぉっ!!!」」」
ぶるぅ 「四回転半~!」
ブルー 「はい、おしまい。みんなもトリプル、頑張ってよ?」
男子たち「「「…は、はい…」」」
アドス 「おや、皆さん、元気が無いですな。キースはともかく」
ジョミー「あ、あのぅ…。跳べなかったらどうなっちゃうわけ?」
アドス 「失敗は仕方ないでしょう。誰にでもミスはあるものですぞ」
シロエ 「よ、良かったぁ…。頑張ります!」
イライザ「落ち着いて演技して下さいね」
ブルー 「採点はアドス和尚とイライザさんに任せるよ」

素人さんだし適当でいい、と生徒会長は申しております。

ブルー 「凄いと思えば高得点! 百点満点のテスト気分で」
アドス 「承知しました。…跳べなかったら0点ですかな?」
ブルー 「宿題が出来てないのと同じだからね。…そんな感じで」
男子たち「「「えぇっ!?」」」
ブルー 「大丈夫。一回転でも出来ているなら点数はつくよ」

問題ない、と笑顔で言われましても。
一回転すらも跳べない状態なのですが…?

2013/01/28 (Mon)

 

☆下駄でも頑張れ


退路を断たれた男子一同、逃げ場は何処にもございません。
出場の順番をクジ引きで決められてしまい、もはや滑るしかないわけで。

マツカ 「い、行ってきます…」
サム  「頑張れよなー!」

おずおずと出掛けたマツカ君ですが、そこは流石の御曹司。
下駄スケートでも優雅な滑りにワルツなどの心得が生きております。

アドス 「ふうむ、なかなか…」
イライザ「ああっ、残念! ジャンプに失敗しましたわ!」
アドス 「それでも乱れなく滑っているのが素晴らしいわい」

落ち着いた良い演技だった、と出てきた数字は60点。
お次はシロエ君でございます。

キース 「おい、そんな結び方で大丈夫か?」
シロエ 「大丈夫です、問題ありません」

少し緩めがいいんです、と滑り始めたシロエ君。
『かみほー♪』のサビに差し掛かるなり、氷を蹴って跳びましたが。

アドス 「惜しい! 高さが足りませんでしたかな」
イライザ「それよりも紐が!」
アドス 「いかん、解けてきておるわい!」

ストップ、ストップ! と声が掛かってシロエ君は棄権ということに。
紐さえ無ければ次のジャンプは成功したかも、と40点。

サム  「も、もう俺かよ…。緊張するぜ」
アドス 「なあに、深呼吸すれば落ち着きますぞ」

御武運を、と言われたサム君ですけど、踏み切りに失敗いたしまして。
バランスを崩し、顔でリンクをズザザザザーッ! と。

アドス 「な、なんと…。あれは痛そうですなあ」
イライザ「でも頑張って滑っていますわ、棄権もせずに」

これは御褒美をあげないと、と50点がつきました。
続いてリンクに出たジョミー君、もう真っ青で。

ジョミー(や、やばい…。なんとか点を貰うには…。そうだ!)
アドス 「むむぅっ、いきなり転ぶとは…」
イライザ「右足が攣ったようですわね」
アドス 「あれで跳ぶのは無理じゃろう。滑るだけでも精一杯じゃて」

よく最後まで頑張った、とシロエ君と並んで40点ゲット。
残るはキース君ですよ~!

2013/01/29 (Tue)

 

☆高得点のツケ


元老寺カップ、いよいよ最後の出場者。
キース君の登場ですけど、法衣だけに下駄スケートが似合っております。

ブルー 「うん、やっぱり下駄には着物だよねえ」
キース 「その辺りから今の事態が引き起こされたと思うがな」

行ってくる、と滑り始めたキース君。
『かみほー♪』のサビに合わせて決めてきました、トリプルアクセル!

男子一同「「「わぁっ!」」」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 今のが三回転半!」
ブルー 「見事に課題をクリアってね」

この後は、と皆が注目する中、スピンも交えた見事な滑り。
法衣の裾が乱れるのは御愛嬌として、最後までミス無しでございます。

アドス 「うーむ…」
ブルー 「どうしたんだい? 点数が出ないようだけど?」
イライザ「身内を贔屓するのはマズイでしょう?」
ブルー 「事実なんだし問題ないだろ?」

マズイと思うならぼくの演技を百点として採点すれば、と生徒会長。
アドス和尚とイライザさんは暫し悩んだ末、70点を。

サム  「すげえな、キース! 優勝だぜ!」
キース 「俺は地道にやっただけだが…」
アドス 「ほれ、トロフィーじゃ」

身内に授与しても有難味が無いが、とアドス和尚が愚痴った所で。

ブルー 「優勝はともかく、不正な得点が気になるね」
アドス 「は?」
イライザ「70点は高すぎましたかしら?」
ブルー 「そうじゃなくって…。本来なら0点が二人いるんだよ」
アドス 「なんですと!?」

誰のことですかな、と、皆を見回すアドス和尚。
縮み上がる男子たちを他所に、生徒会長は容赦なく…。

ブルー 「紐が解けるように緩めにしたね? シロエ」
シロエ 「い、いえ、ぼくは…!」
ブルー 「ジョミー、足なんか攣っていないだろう?」
ジョミー「嘘じゃないってば、ホントに凄く痛かったんだよ!」
アドス 「な、なんと…」

最低ですな、と眉を吊り上げるアドス和尚と、顔面蒼白の男子二人と。
嘘をついたのは態度でバレバレ、姑息な手段を使ったばかりに大ピンチ?

2013/01/30 (Wed)

 

☆後始末は二人で


紐が解けるよう細工したシロエ君と、足が攣ったふりをしたジョミー君。
生徒会長の指摘にアドス和尚はカンカンで。

アドス 「練習不足もさることながら、誤魔化しは実に許し難いですな」
イライザ「お二人は0点でよろしいわね?」
ジョミー「…は、はい…」
シロエ 「反省してます…」
ブルー 「口ではなんとでも言えるものだよ、ここは態度で」
全員  「「「は?」」」
ブルー 「二人でテントとかを片付けるんだね、それにリンクも」

サイオンで雪を固めたリンク、放置しておくと三日間ほど融けないとか。
宿坊の営業開始に間に合うように氷を割って処分と言われても…。

ジョミー「シロエと二人で割って運ぶわけ、これ全部?」
ブルー 「うん、裏山の空地まで。途中の溝に捨てないように!」
シロエ 「あ、あのう、メチャクチャ硬そうですけど…」
ブルー 「アスファルトまで割らないように丁寧にね? 後はよろしく」

ぼくたちは優勝祝賀会だ、と生徒会長。
中華に洋風と各種おせちに寄せ鍋なんかもあるそうです。

アドス 「お正月ですしな、ひとつ豪華に」
イライザ「伊勢エビがたっぷり入りますわよ、味噌仕立てですの」
ぶるぅ 「わーい、美味しそう!」
サム  「温まりそうな鍋だよな! んじゃ、お先に!」

下駄スケートを提げたアドス和尚を先頭に庫裏へと引き揚げる面々。
ジョミー君とシロエ君はリンクに取り残されまして。

シロエ 「端の方から割りましょうか…」
ジョミー「バールと金槌じゃ、徹夜でも終わらない気がするよ…」

おまけに雪まで降ってきたし、と二人で嘆きつつコンコン、コツコツ。
裏山の空地に第一弾を運び出すのもいつになるやら分かりません。

アドス 「それでは皆さん、元老寺カップの開催を祝して!」
一同  「「「かんぱーい!!!」」」

いっただっきまーす、と響く歓声。
トロフィーを飾って豪華寄せ鍋、正直者は報われるようでございます。
一年の計は元旦にあり。今年もいい年になりますように~!

2013/01/31 (Thu)



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☆新年おめでとう


新年あけましておめでとうございます。
元老寺で除夜の鐘を撞いたシャン学メンバー、元旦に備えて昨夜は早寝。

ぶるぅ 「かみお~ん♪ あけましておめでとう! 起床、起床ーっ!」
ジョミー「うへぇ…。お寺の朝ってホント、早いよ」
サム  「毎年の事だろ、早くしないと初日の出に間に合わねえぜ」

各部屋から起き出した面々ですが、なんと窓の外は。

シロエ 「大雪ですよ…」
マツカ 「どおりで寒いと思いました」
スウェナ「30センチはありそうね」
ブルー 「やあ、おはよう。キースが根性で掃除してたよ、山門までね」

初日の出を拝むのは山門から。
キース君、真っ暗な内に起き出して雪かきをしていたそうでございます。
綺麗になった石畳を踏み、皆で山門へ出掛けまして。

アドス 「さあ、初日の出ですぞ」
イライザ「二礼二拍手一礼ですよ、間違えないで下さいね」
キース 「今年は特にペナルティーは無い。良心に任せることになった」
ジョミー「…そっちの方がプレッシャーだよ…」

とは言うものの、昨年で懲りたジョミー君はキッチリ練習したらしく。
揃って二礼二拍手一礼、良いお参りが出来ました。

アドス 「今年は幸先がいいですな。では、庫裏の方へ」
ぶるぅ 「わぁーい、おせちとお雑煮だぁ!」

来た道を戻る面々ですけど、大雪に加えて正月寒波。
踏んで来た石畳、ガッツリ凍って鈍い光が。

アドス 「ふうむ、少々滑りますぞ。お気を付けて」
キース 「どこぞの馬鹿が初滑りかもな」
ブルー 「うんうん、滑りそうな予感がするね」
ぶるぅ 「うわぁ、ツルツル!」

ツイーッと滑る「そるじゃぁ・ぶるぅ」の真後ろで。

ジョミー「どわぁぁぁっ!」

思い切り足を滑らせたジョミー君。
このまま転べば馬鹿は確定、必死に体勢を立て直し…。

サム  「つまんねえなあ、転んでおけよ」
ジョミー「やだよ、運気が落ちそうだし!」

正月早々、滑る、転ぶを披露しなくて一安心。
今年もいい年になりますように~!

2013/01/01 (Tue)

 

☆おせちで歓談


お正月から大雪になった元老寺。
庭に降り積もる雪を眺めつつ、まずは御屠蘇で御挨拶からでございます。

アドス 「では、改めまして…。あけましておめでとうございます」
全員  「「「おめでとうございまーす!」」」
イライザ「さあさあ、皆さん、御屠蘇をどうぞ」
ジョミー「え、えっと…。これってやっぱりお酒だよね?」
アドス 「わははは、去年を思い出されましたか。なに、大丈夫ですぞ」
イライザ「去年も御屠蘇では酔っておられませんでしたでしょ?」
ブルー 「縁起物だよ、頂きたまえ」
ジョミー「じゃ、じゃあ…少しだけ…」
アドス 「酔っ払いたいと仰るのでしたら、後ほど酒宴を」
ジョミー「遠慮します!」
キース 「つまらんな…。今年も期待しているんだが」
サム  「そうだぜ、パァーッと派手に一発、叫んでしまえよ」
ジョミー「嫌だってば!」

坊主宣言は二度と御免だ、とジョミー君。
御屠蘇の後はお雑煮とおせち。お煮しめなどの伝統おせちがたっぷりと。

キース 「ジョミー、今年は何も文句を言わんのか?」
ブルー 「去年でしっかり懲りたんだろう」
ジョミー「ぼくだって学習能力はあるし!」
シロエ 「伝統おせちに文句をつけたのが不幸の始まりでしたしね…」
スウェナ「今年は上手に回避しそうね、さっきも滑って転ばなかったし」
マツカ 「反射神経が凄いですよね、驚きました」
ブルー 「ダテにサッカーはやってない…かな?」
アドス 「いやあ、なかなかお見事でした。若い頃を思い出しますな」
ブルー 「サッカーをやっていたのかい?」
アドス 「いえいえ、スケートの方でして」
全員  「「「スケート!?」」」

似合わねえ、との声も上がる中、キース君も首を傾げております。

キース 「親父がスケートとは初耳だが…」
アドス 「わしの親父が好きだったんじゃ。昔はもっと寒くてのう…」

池が凍ると滑ったもんじゃ、とアドス和尚。
婿養子に来る前のことらしいですが、スケートとはまたアクティブな…。

2013/01/02 (Wed)

 

☆坊主とスケート


おせちを食べつつ歓談中のシャン学メンバー。
アドス和尚が若かりし日にスケートと聞き、誰もが仰天しておりますが。

キース 「…俺はスケートに連れて行って貰った覚えはないぞ」
イライザ「行ってませんよ。あなたは冬も柔道でしょう?」
アドス 「連れてやっても良かったんじゃが、寺の子じゃしのう…」
キース 「家が寺だと何かマズイのか?」
シロエ 「スケートリンクに入場規制は無さそうですけど」
ジョミー「あー、プールだと刺青お断りとかいうのがあるよね」
サム  「でも坊主だぜ? スキンヘッドはお断りかよ?」
スウェナ「確かに衣を着てなかったら、ヤクザっぽいかもしれないわね」
マツカ 「スケートリンクでスキンヘッドお断り…ですか?」
ブルー 「そんな規則は聞いたことがないよ」
キース 「俺も知らんぞ。どうしてスケートがダメなんだ?」
アドス 「親父は厳しい人でしてなあ、服装にも非常に厳格でして」
全員  「「「は?」」」
アドス 「坊主たるもの、人前に出る時は常に檀家さんを意識しろと」

スケートに行く時も着物なんじゃ、と言われてしまって一同、絶句。

キース 「そ、それは…。確かに悪目立ちしそうではある…」
ブルー 「そうだね、池で滑った時代はともかく、スケートリンクは…」
アドス 「いやいや、それだけではございませんぞ」
シロエ 「他にも理由があるんですか?」
アドス 「着物を着たら履物もそれなりに調えませんと」
ジョミー「履物って…。草履とかだと滑れないよ?」
アドス 「専用のヤツがございましてな。…どれ、久しぶりに」

お見せしましょう、と座敷を出て行ったアドス和尚。
暫くしてから箱を抱えて参りまして…。

アドス 「如何ですかな? 大学時代の愛用品でして、桐製ですぞ」
ジョミー「な、なにコレ…」
イライザ「あら、分かりません? 下駄スケートですわ」
全員  「「「下駄スケート!?」」」

鼻緒のついた下駄の裏に輝く金属製のブレード。
これは何かの冗談ですか?

2013/01/03 (Thu)

 

☆希少な下駄スケート


坊主たるもの、常に檀家さんを意識すべしと教えられていたアドス和尚。
大学時代の愛用品は下駄スケートとかいうモノで。

キース 「これが下駄だというのは分かる。しかし…」
シロエ 「裏側はスケート靴のブレードですよ?」
ジョミー「下駄スケートとか言ってたよね…」
イライザ「最近は見かけませんでしょう? 着物でスケートしませんし」
マツカ 「昔は流行ってたんですか?」
アドス 「そうですなぁ…。わしの時代には希少品でしたな」
ブルー 「五十年前くらいまでは普通にあったよ、下駄スケート」
サム  「ブルーもコレを履いて滑っていたのかよ!?」
ブルー 「まさか。ぼくは最初から靴だってば」

修行時代しか着物は着てない、と生徒会長は申しております。

キース 「だったら下駄スケートは誰が履いていたんだ?」
ブルー 「着物を着るのが仕事の人だよ、お坊さんでなくても色々と」
イライザ「舞妓さんや芸妓さんが履いているのを見かけましたわ」
アドス 「男性ですと、お茶人さんに坊主ですかな」

既に珍しい光景でしたが、とアドス和尚は懐かしそうに。

アドス 「下駄スケートを使う人が激減しまして、職人さんも廃業で」
イライザ「キースの分を作って貰っておけば良かったですわねえ…」
キース 「い、いや、俺はそこまでしてスケートは…!」
アドス 「そうじゃろうと思って、スケートには行かなかったんじゃ」
ブルー 「うーん…。ちょっと見たかった気がするね、それ」

子供のキースが下駄スケート、とクスクス笑う生徒会長。

ブルー 「そうだ、今からでも遅くはないかも」
キース 「何がだ?」
ブルー 「下駄スケートだよ、これで初滑りと洒落込まないかい?」
キース 「お断りだ! 今日は檀家さんが初詣にいらっしゃるんだぞ」
ブルー 「その後で滑ればいいじゃないか」

せっかく下駄スケートが出てきたんだし、と生徒会長はやる気満々。
気の毒なキース君、新年早々、スケートリンクで笑い物になる運命とか?

2013/01/04 (Fri)

 

☆下駄スケートで滑れ


キース君に向かって「下駄スケートで初滑り」などと言い出す生徒会長。
確かにレアなアイテムですけど、どう転んでも見た目は立派な下駄で…。

キース 「こんなのを履いて出掛けられるか、スケート場に!」
スウェナ「あら、ウケるかもしれないわよ?」
サム  「注目の的になるのは間違いねえよな」
シロエ 「どうせなら法衣か作務衣ですよね、下駄に合わせて」
ジョミー「リンクが白いし、法衣がいいんじゃないのかな?」
マツカ 「墨染の衣が映えそうですね」
キース 「お前ら、他人事だと思いやがって!」
イライザ「あらあら、キース。お友達に乱暴な言葉はいけませんわよ」
アドス 「まったくじゃ。せっかく誘って下さっとるのに」
キース 「俺に今更、下駄スケートで滑って来いと!?」

そういうことは子供の頃に言ってくれ、とキース君は叫んでおりますが。

アドス 「これも何かの御縁じゃろう。下駄スケートもいいもんじゃぞ」
ブルー 「そうだよ、この際、体験するべき!」
キース 「し、しかし…。下駄スケートは入場お断りだと思うぞ」
ジョミー「あ、そっかぁ…。変なヤツだし、ダメかもね」
サム  「氷が傷むとか言われちまうかもしれねえなぁ…」
ブルー 「ああ、その点は大丈夫! スケート場ってわけではないし」
全員  「「「は?」」」
ブルー 「外をご覧よ、大雪だろう? これを使えば素敵なリンクが」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ サイオンで雪を固めるんだよ!」

軽く溶かして固め直して、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
たまにマンションの駐車場にリンクを作っているそうでして。

アドス 「ほほう、それなら宿坊の駐車場が空いておりますぞ」
イライザ「お正月の間は休業ですもの、お好きに使って下さいな」
ブルー 「いいのかい? だったら広いのが作れそうだ」
ぶるぅ 「わぁーい! ぼくも一緒にスケートしようっと!」

宿坊の駐車場、かなりの広さがございます。
キース君、下駄スケートと法衣で華麗に初滑りですか…?

2013/01/05 (Sat)

 

☆下駄スケートの復活


雪を固めたスケートリンクで下駄スケート。
アドス和尚とイライザさん、宿坊の駐車場を提供すると申し出まして…。

キース 「ま、待ってくれ、本気でスケートリンクを作るのか?」
ブルー 「そうだけど? 君が初詣の応対をしてる間に完成するさ」
スウェナ「もちろん法衣で滑るのよね?」
アドス 「それが一番よろしいでしょうな、下駄スケートですから」
キース 「お、親父、こいつらに乗せられてどうする!」
アドス 「懐かしの下駄スケートじゃぞ? 正月早々縁起がいいわい」
イライザ「そうですわよねえ、伝統を受け継ぐのはいいことですわ」
ブルー 「お正月こそ、昔ながらの遊びをしなくちゃ」

羽根つきと凧揚げも消えたよね、と生徒会長は回想しております。

ブルー 「お正月といえばアレだったのにさ、今は見ないねえ」
アドス 「ゲーム機も無かった時代ですしなぁ…」
イライザ「下駄スケートの復活は嬉しいですわね、皆さんもいかが?」
全員  「「「は?」」」
イライザ「キースだけでは少し寂しい気がいたしますの」
アドス 「ふむ…。皆さんにも下駄スケートを知って頂きたいですな」

ひとつ賞品を出しますか、とアドス和尚。
奥へ引っ込み、暫くしてからトロフィーを抱えて戻りまして。

アドス 「これを提供いたしましょう。前にゴルフで貰いましてな」
ブルー 「そりゃいいね。下駄スケート元老寺カップってね」
ジョミー「ちょ、ちょっと待ってよ、ぼくたちまで!?」
サム  「本気かよ? 下駄スケートは一つしかねえんだぞ?」
ブルー 「分かってないねえ、そこがいいんだ」
シロエ 「どういう意味です?」
ブルー 「下駄スケートでの練習時間が短くなるから楽しいんだよ」

ぶっつけ本番に近いところが面白い、と生徒会長。

ブルー 「どうせなら本格的にいこうか、課題曲つきで」
全員  「「「課題曲?」」」

課題曲だなどと言われましても。
下駄スケートを履いて課題も何も、元老寺カップはどうなりますやら…。

2013/01/06 (Sun)

 

☆課題曲も決定


下駄スケートを知って頂きたい、とアドス和尚がトロフィーを提供。
生徒会長もやる気満々、課題曲つきで元老寺カップとか言い出しました。

ブルー 「普通に滑るだけだと面白くないしね、芸もしなくちゃ」
ジョミー「芸って何さ?」
ブルー 「そりゃあもちろん、ダブルアクセルとかトリプルルッツ」
キース 「法衣でフィギュアの真似が出来るかぁ!」
アドス 「年に一度の正月じゃぞ? ご本尊様もお許し下さるじゃろう」
イライザ「着崩れが嫌なら減点対象になればいいでしょう?」
キース 「なんでこいつを焚きつけるんだ!」
アドス 「せっかくの元老寺カップじゃからのう、盛り上げるべきじゃ」
ブルー 「分かってくれて嬉しいよ。じゃ、そういうことで」
シロエ 「本気で元老寺カップですか!?」
ブルー 「決まってるだろう? 課題曲は当然、『かみほー♪』で!」
ぶるぅ 「わぁーい、楽しみ!」
アドス 「CDプレーヤーもお貸ししましょう、高音質ですぞ」
ブルー 「ありがとう、下駄スケートも恩に着るよ」
アドス 「いえいえ、わしの方こそ皆さんの滑りが楽しみで」
イライザ「外は冷えますから、暖かいものを差し入れいたしますわね」
キース 「勝手に話を進めるなぁーっ!」

悪乗りするな、と絶叫するだけ無駄というもので。
おせちタイムが終わると、キース君とアドス和尚は初詣のために本堂へ。

アドス 「銀青様、失礼いたします。スケートリンクはどうぞご自由に」
ブルー 「任せといてよ、キースも初詣が済んだら来るんだよ?」
キース 「く、くっそぉ…。なんでこうなる…」

文句を言いつつキース君が立ち去った後は…。

ブルー 「それじゃ早速、スケートリンクを作ろうか」
ジョミー「本当に『かみほー♪』で滑るわけ? 下駄スケートで?」
ブルー 「一年の計は元旦にあり! みんな揃って元老寺カップ!」

さあやるぞ、と生徒会長は燃えております。
雪を固めたスケートリンクで初滑りはともかく、『かみほー♪』ですか?

2013/01/07 (Mon)

 

☆リンクは完成


元老寺に限らず、お寺のお正月といえば檀家さんが初詣に訪れるもの。
アドス和尚とキース君は本堂に炬燵を据え、檀家さんを迎えております。

ジョミー「大雪でも初詣の人って来るんだねえ…」
ブルー 「そりゃそうさ。熱心な檀家さんとはそういうものだよ」
サム  「ジョミー、去年は下足番だっけな。今年は楽でいいだろう?」
ジョミー「まあね、法衣も着なくていいし…。でもさ…」

今年とどっちがマシなんだろう、とジョミー君。
キース君を除いたシャン学メンバー、宿坊の駐車場に行く途中でして。

シロエ 「元老寺カップですからねえ…。ぼくは今年が不幸です」
マツカ 「ぼくたち、去年はお座敷でのんびりしてましたから」
スウェナ「あら、面白いと思うわよ? 下駄スケートも」
ジョミー「スウェナはエントリーしてないじゃないか!」
サム  「仕方ねえだろ、フィギュアは男子と女子が別だし」
ブルー 「そうだよ、スウェナが不利になるのは見えているから」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ぼくとスウェナは見学だもん!」
スウェナ「ちょっと体験するだけなのよね」
男子一同「「「…それってズルイ…」」」
ブルー 「ぶるぅも下駄のサイズが合わないんだよ」

四の五の言うな、と生徒会長はバッサリと。

ブルー 「さてと…。この駐車場を全面リンクにすればいいかな」
ぶるぅ 「わぁーい、楽しく滑れそう!」
シロエ 「やっぱり本気でやるんですか…」
ブルー 「もちろんさ。観覧席は道路の雪かきをしてからテントをね」

そっちは任せた、と道具一式を男子に丸投げ。
サム君たちが雪かきを始めた途端に青いサイオンが迸りまして。

ブルー 「はい、完成。ぶるぅとスウェナは今の間に滑るといいよ」
スウェナ「えーっと…。これは普通に履くだけでいいの?」
ブルー 「まさか。それだと脱げてしまうじゃないか」

ダブルアクセルどころではない、と生徒会長は申しております。
鼻緒がついた下駄スケートですが、それの脱げない履き方とは…?

2013/01/08 (Tue)

 

☆脱げない履き方


来るべき元老寺カップに備えて男子はテントを設営中。
不参加組は男子が来るまでの間、下駄スケートを体験するそうですが…。

ブルー 「まずは鼻緒を調べないと…。なにしろ古いヤツだから」
スウェナ「アドス和尚の大学時代って言ってたものね」
ブルー 「…よし、挿げ替えなくても大丈夫そうだ」

念のためにサイオンで強化しておこう、と生徒会長。

ブルー 「これでOK! スウェナが先に滑るかい?」
スウェナ「もちろんよ。元ジャーナリスト志望なのよ?」
ブルー 「未知の世界は体験してなんぼって?」
スウェナ「そうだけど…。履くだけじゃないって言ってたわよね?」
ブルー 「固定しないとダメなんだよ。えーっと、椅子は、と」
ぶるぅ 「んとんと、向こうに置いてあるけど…」
ブルー 「そこの男子! パイプ椅子を一つくれるかな?」
サム  「おっしゃあ!」

何に使うんだ、と椅子を持ってきたサム君、興味津々。
他の男子も手がお留守です。

ブルー 「なんだ、全員、気にしてるんだ?」
ジョミー「気になるよ! 下駄スケートなのに椅子なわけ?」
ブルー 「これが一番安定するんだ。スウェナ、座って」
スウェナ「はぁーい!」
ブルー 「次は靴を脱いで、下駄スケートを履く」

靴下の爪先を緩めるんだよ、と生徒会長は指導しております。
足袋風にしないと鼻緒にマッチしないのだそうで。

ブルー 「うん、大体こんな感じかな。ここから先が大切でさ」
シロエ 「ええっ、その紐で縛り付けるんですか!?」
ブルー 「固定しないと下駄だけ滑って行っちゃうじゃないか」
サム  「あー、そうか…。ジャンプとかしたら飛んで行くよな」
ブルー 「だからね、紐で縛るわけ。これにもコツがあるんだよ」
マツカ 「後で教えてくれるんですよね?」
ブルー 「まさか。技は目で見て盗みたまえ」
男子一同「「「えぇっ!?」」」

今の過程をもう一度、と真っ青になる男子たち。
下駄スケートが脱げない縛り方、今更盗めと言われても…。

2013/01/09 (Wed)

 

☆下駄スケート体験


履いただけだと脱げてしまうという下駄スケート。
そうならないように紐で縛るのですけど、生徒会長には教える気が無く。

ジョミー「無理だよ、技なんて盗めないよ!」
シロエ 「もう一度だけ最初からやって下さい、お願いします!」
ブルー 「ダメダメ、体験タイムは一人一回」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ぼくがスウェナの後で滑るよ!」
サム  「そうだ、ぶるぅも履くんだよな?」
マツカ 「その時にしっかり見ておきましょう」

よっしゃあ! と拳を突き上げる男子たち。
その間に生徒会長はスウェナの手を取りまして。

ブルー 「じゃあ、立って。うんうん、そんな調子でリンクまでね」
スウェナ「バランスを取るのが難しいのね…」
ブルー 「そりゃあ、靴とは違うから…。転ばないようサポートするよ」

ぼくが一緒に滑ってあげる、とシャングリラ・ジゴロ・ブルー登場。
スケート靴を履くわけでもなく、普通にスニーカーですが…。

スウェナ「きゃあっ!」
ブルー 「おっと、危ない。下駄といえどもスケートなんだよ」
スウェナ「そ、そうみたいね…。手すりもないのに歩けるかしら」
ブルー 「大丈夫。ぼくが手すりの代わりってね」

最初はゆっくり歩いてみよう、と生徒会長はリードしております。
一周するとスウェナも慣れてきたようで。

ブルー 「少しスピードを出してみようか。右、左、右…」
スウェナ「右、左、右…」

掛け声をかけつつ、下駄スケートとスニーカーのペアがスイスイと。
その隣では「そるじゃぁ・ぶるぅ」がクルクル回って滑っていたり…。

サム  「なんか見た目は簡単そうだぜ?」
シロエ 「そうですね…。バランスさえ取れればいけそうです」
ジョミー「だよね、脱げなきゃ平気だよね!」
ブルー 「そこの男子たち! さっさとテントを設営する!」
男子一同「「「はぁーい…」」」

テントを設置している間にスウェナの体験タイム終了。
お次は「そるじゃぁ・ぶるぅ」ですけど、紐の結び方はマスター可能?

2013/01/10 (Thu)

 

☆下駄スケートのサイズ


元老寺カップの観覧用にテントを設置した男子たち。
手が空いたとあって、下駄スケートの履き方を学びにやって来ましたが。

ジョミー「…解くのを見たって分からなかったね」
サム  「なんかこう、紐をシュルッてえのか? 掴めねえよな」
シロエ 「結び方が大事だと思うんです。ぶるぅの方に期待しましょう」
マツカ 「そうですね…。頑張って技を盗まないと」
ブルー 「ぶるぅの体験タイムが済んだら順番に練習していいよ」
ぶるぅ 「でもでも、ぼくも滑ってみるんだもんね!」

早く履かせて、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」は椅子に座って足をブラブラ。
生徒会長が履かせた下駄スケートはサイズ違いどころの騒ぎではなく。

ぶるぅ 「おっきな下駄だね、飛んで行きそう!」
ブルー 「うん、キッチリ縛っておかないとね」

よいしょ、と紐を取り出した生徒会長ですが。

シロエ 「ま、待って下さい、さっきと全然違うんですけど?」
ブルー 「何がだい?」
シロエ 「結び方です! 紐の掛け方からして違うみたいな…」
ブルー 「決まってるだろ、足のサイズが違うんだからさ」

外れないよう調整中、と生徒会長は涼しい顔で。

ブルー 「正統派はスウェナが履いていたヤツ。これはアレンジ」
男子一同「「「アレンジ…」」」
ブルー 「まあ、基本の部分は同じだよ。最後の結び方とかね」
ジョミー「あーっ!」
サム  「い、今の、見てたか?」
シロエ 「すみません、アレンジに気を取られていて…」
マツカ 「ぼくもです。ど、どうしましょう…」
ブルー 「さあねえ? 見て盗めって言った以上は自己責任で」

これで完成、と生徒会長、「そるじゃぁ・ぶるぅ」の両足をポンポンと。

ブルー 「はい、時間いっぱい滑っておいで。五分間だよ」
ぶるぅ 「わぁーい! ダブルアクセル、トリプルルッツ―!」

『かみほー♪』で滑りまくるんだもん、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
御機嫌で歌いつつスイスイスイ。下駄スケートって簡単なんですか?

2013/01/11 (Fri)

 

☆華麗なる下駄スケート


「そるじゃぁ・ぶるぅ」の下駄スケートの体験タイムは五分間。
雪のリンクに飛び出して行き、下駄とも思えぬ華麗な滑りでスイスイと。

シロエ 「う、歌って踊ってるんですけど?」
ブルー 「そりゃそうさ。ぶるぅの十八番が課題曲だしね」
ジョミー「本気でやるわけ、『かみほー♪』の歌で?」
ブルー 「せっかくの元老寺カップじゃないか。派手にやらなきゃ」
シロエ 「で、でも…。フィギュアの曲に歌はつきませんよ?」
スウェナ「そういえば…。OKなのはアイスダンスの方だったかしら?」
ブルー 「細かいことは気にしない! 楽しくやれればいいんだよ」
ぶるぅ 「かみお~ん♪」
男子一同「「「わわっ!?」」」

『かみほー♪』のサビに差し掛かった「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
下駄スケートで氷を蹴ると宙に舞い上がってクルクルクル。

ぶるぅ 「わーい、トリプルアクセル成功ーっ!!!」
ブルー 「その調子! トリプルルッツも綺麗にキメてよ」
ぶるぅ 「もっちろーん!」

氷を蹴ってクルクルクル。
あまりにも見事な滑りっぷりに、男子は唖然としております。

ジョミー「ほ……ホントにアレって下駄なわけ?」
ブルー 「それ以外の何に見えるんだい?」
サム  「だよな、どう見ても下駄だよなぁ…。で、サイオンは?」
ブルー 「多少は使っていると思うよ。君たちも使えばいいじゃないか」
男子一同「「「は?」」」
ブルー 「サイオンは禁止していない。自由に使って問題なし!」
シロエ 「無茶を言わないで下さいよ! 思念波が精一杯なんですよ?」
ブルー 「そうだったっけ? じゃあ、実力で」
男子一同「「「じ、実力…」」」

とても無理だ、と泣きが入っている男子。

ジョミー「転ばないのが限界っぽいような気がするんだけど…」
マツカ 「ですよね、ぼくも不安になってきました」
サム  「どうすんだよ、おい!?」

いきなり試練なシャン学メンバー。
下駄スケートで実力勝負な元老寺カップの明日はどっちだ!?

2013/01/12 (Sat)

 

☆下駄でも大技


元老寺カップの見本とばかりに見事に滑った「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
下駄スケートでトリプルアクセル、トリプルルッツと決めまくりまして。

ぶるぅ 「わぁーい、フィニッシュー!」
ジョミー「な、なんで最後にジャンプなわけ!?」
ブルー 「スピンから華麗にトリプルルッツ。何か問題があるのかい?」
サム  「あんなの出来るわけねえだろう! 普通に!」
シロエ 「そうです、しかもアレです、座った姿勢でクルクルと!」
ブルー 「シットスピンと言いたまえ。難易度は低いと思うけど」
サム  「どの辺がだよ!?」
ブルー 「身体が柔らかくなくても出来るし」

足を頭の上に持ち上げるヤツよりマシだろう、などと言われましても。

シロエ 「まさか、ああいうのも入れろと言うんじゃないでしょうね?」
ブルー 「別に? 採点が思い切り低くていいなら滑るだけでもOKさ」
男子一同「「「す、滑るだけ…」」」
ブルー 「うん。『かみほー♪』に合わせて適当に…ね」

でたらめなステップだろうが気にしない、と生徒会長は申しております。
ただし腐っても元老寺カップ。観客の目があるわけで…。

ブルー 「アドス和尚とイライザさんに評価されるよ、君たちの滑り」
ジョミー「も、もしかして…やる気なしだと後でお勤め?」
ブルー 「さあねえ…。根性を鍛え直すとかで五体投地はアリかもね」
男子一同「「「五体投地!?」」」
ブルー 「南無阿弥陀仏に合わせてスクワット! いい修行だろう?」
シロエ 「お、お断りします!」
ブルー 「おや。新年早々、修行も素敵だと思ったけどな」
シロエ 「坊主フラグはジョミー先輩だけでいいです!」

ぼくは真面目に練習します、と拳を握ったシロエ君ですが。

シロエ 「あーーーっ!!!」
サム  「どうしたんだよ?」
シロエ 「ぶるぅ、下駄スケートを脱いでしまってますよ…」
ジョミー「み、見てなかった…」

愕然とする男子一同。
見そびれてしまった紐の解き方、こんな調子で大丈夫ですか?

2013/01/13 (Sun)

 

☆お手本を所望


「そるじゃぁ・ぶるぅ」が下駄スケートを脱ぐのを見そびれた男子たち。
紐の結び方の技を盗むどころか、見当もつかない状態に陥ってしまい…。

サム  「どうすんだよ、おい!? アレって適当でいいのかよ?」
シロエ 「さ、さあ…。多分、独特の結び方だと思うんですけど…」
マツカ 「結び終えた紐の処理みたいなのもありましたよ?」
ジョミー「そっか、端っこを何処かに押し込んでたよね…」

どう結ぶんだ、と悩み苦しむ男子一同。
結び方以前の問題として、紐の掛け方も全く分かっておりません。

ぶるぅ 「かみお~ん♪ はい、誰が一番最初に滑るの?」
ブルー 「ほら、下駄スケートが空いてるよ? 練習しないと」
ジョミー「え、えっと…。シロエが一番でいいんじゃないかな?」
シロエ 「なんでですか!」
ジョミー「だってさ、柔道やってるし…。運動神経良さそうじゃない」
サム  「それを言うならジョミーだぜ? そもそも、お前が最初に」
マツカ 「ですよね、石畳で滑りを披露していましたし」
ジョミー「無理だってば! スニーカーとは違うんだから!」

履き方が全然分からないし、と話は再び振り出しへ。
額を集めた男子一同、ひとしきり作戦会議を繰り広げまして。

シロエ 「会長、ちょっといいですか?」
ブルー 「なんだい?」
シロエ 「ぼくたちの真剣なお願いです。是非お手本を見せて下さい」
ブルー 「お手本?」
シロエ 「そうです、どんな風に滑ればいいのか、見本だけでも」
ジョミー「下駄スケートってよく分からないし、基本の技とか!」
ブルー 「基本も何も、普通のフィギュアと同じだけどねえ?」
シロエ 「フィギュアは馴染みが無いんです。お願いします!」
ブルー 「うーん…。紐の結び方を知りたいだけってバレバレだけど?」
ジョミー「分かってるんならケチらないでよ!」

ここは一発、見本をよろしく、と必死に食い下がるジョミー君たち。
一生のお願いとか言ってますけど、生徒会長は滑ってくれますかねえ…?

2013/01/14 (Mon)

 

☆下駄スケートの先達


下駄スケートの紐の結び方も掛け方も全く分からない男子一同。
なんとかして技を盗み出すべく、生徒会長に手本を頼み込んでおります。

シロエ 「ぼくたち、本当に真剣なんです! 一生のお願いです!」
ブルー 「そう言われてもねえ…。今年中にソレを何回聞くやら」
ジョミー「うっ…。でもさ、今年初の一生のお願いだし!」
ブルー 「今年初と来たか…。まあ、いいけどさ」

生徒会長、やおら下駄スケートを手にしましたが。

サム  「あれっ? ブルーは下駄スケートの経験、皆無なんじゃあ?」
マツカ 「そういえば…。着物でスケートはしていないとか…」
ジョミー「なのに結び方とか分かるんだ? なんで?」
ブルー 「そりゃね、経験豊富だからさ」

長生きしてると色々あるよ、と生徒会長、椅子に座って靴を脱ぎ…。

ブルー 「お正月って晴れ着が似合うと思わないかい?」
全員  「「「は?」」」
ブルー 「晴れ着だよ、晴れ着! 着物姿の女性っていいものだよね」
ジョミー「なんの話さ?」
ブルー 「着物の女性と初詣! これぞお正月の醍醐味だってば」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ブルー、昔からモテてたもんね!」
シロエ 「えぇっ? じゃ、じゃあ、綺麗どころを引き連れて…とか?」
ブルー 「もちろんさ。初詣の後は初滑りと洒落込むことだってあるし」
サム  「そこで下駄スケートをしてたのかよ!?」
ブルー 「着物の女性をエスコートするには羽織袴が必須だからね」

昔取った杵柄、とリンクに向かう生徒会長。
足にはしっかり下駄スケートが。

シロエ 「あーーーっ!!!」
サム  「今度は何だよ?」
シロエ 「み、見てませんでしたよ、紐の掛け方…」
ジョミー「ぼくも…。ブルーがモテたって話だけしか…」
サム  「俺も話を聞くのに夢中で、ブルーの顔しか見てねえや…」

おしまいだぁぁぁ、と頭を抱える男子たちですが、時すでに遅し。
下駄スケートも経験アリの生徒会長、どんな滑りを見せるのでしょうか?

2013/01/15 (Tue)


 

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☆近付く本番


キャロリング当日にトチる可能性があまりにも高いジョミー君。
練習中のドジが合計百回を超えた場合は、坊主コースと決まりまして…。

キース 「おい、今日はなんとかなるんだろうな? かなりヤバイぞ」
ジョミー「うう…。分かってるってば、昨日は急過ぎてパニックでさ…」
ブルー 「百回でアウトと言った途端にアレではねえ…」
スウェナ「ホントに危機感、あるのかしらね?」

皆が揃って見詰める先にはホワイトボード。
「本番まであと3日」の文字と並んで「坊主まで残り65回」と燦然と。

シロエ 「昨日、あれから35回もミスったというのが信じられませんよ」
ジョミー「仕方ないじゃないか、パニックだったし!」
サム  「落ち着かねえとマジでヤバイぜ、罰礼どころじゃねえんだぞ」
ジョミー「う、うん…。筋肉痛より坊主コースが怖いよね…」
キース 「いきなり罰礼350回というのも凄かったが」
シロエ 「スクワットみたいですもんねえ…。五体投地って」
ブルー 「本物の道場で失敗したら1回につき十回どころか百回だよ?」

かなり大目に見てやっている、と生徒会長。

ブルー 「まあ、あと65回で坊主コースだ。本物の道場が待っているさ」
キース 「昨日のペースでトチッていたら確実に坊主コースだな」
ジョミー「それは嫌だから頑張るよ!」
ブルー 「大いに頑張ってくれたまえ。でもって、今日から…」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 聖歌隊の服でリハーサルだよ!」
全員  「「「リハーサル!?」」」
ブルー 「慣れない衣装でいきなり本番は緊張するしね」

まずは衣装を着けてみて、と生徒会長はニコニコ顔でございます。
奥の部屋から「そるじゃぁ・ぶるぅ」が縫い上げた服を運んで来て。

サム  「なんかコスプレって感じじゃねえか?」
スウェナ「そうね、去年の天使みたいね」
男子全員「「「て、天使…」」」

馬小屋セットで生徒会長が扮していたのは純白の衣装の大天使。
それに似ていると言われましても、男子一同、複雑かも…。

2012/12/16 (Sun)

 

☆天使な男子たち


「そるじゃぁ・ぶるぅ」御手製の衣装を纏ったシャン学メンバー。
純白の衣装は足首近くまでが隠れる長さで、飾り帯も純白でございます。

キース 「確かに去年の天使だな。ぶるぅ、これはブルーの注文か?」
ぶるぅ 「えっと、えっとね、写真を見せて貰ったんだけど…」
シロエ 「聖歌隊の写真ですか?」
ぶるぅ 「うん! 天使じゃなくって聖歌隊だよ、おじさんもいたし」
サム  「お、おじさんって…。オッサンがコレかよ?」

びらびらだぜ、とサム君は衣装をつまんでおりますが。

ぶるぅ 「オルガン弾いてた人もコレだったよ? ハゲのおじいさん」
男子一同「「「お、おじいさん?」」」
スウェナ「ほら、コスプレとは違うじゃないの。これが正しいのよ」
ブルー 「そういうこと! ぶるぅの力作に文句を言わない!」
キース 「し、しかしだな…。俺には似合っていないと思うが」
サム  「俺も、俺も! 無理があるぜ、これは」
ブルー 「だけどブルーの注文なんだよ、聖歌隊の服は」
シロエ 「もっと色々あるでしょう! 短いヤツとか!」
ブルー 「そりゃ、あるけどね…。一応、それも作ってはみた」
キース 「だったらそっちを出してくれ!」
ブルー 「おや、いいのかい? モデルは誰が?」
男子一同「「「………」」」

嫌な予感を覚えたらしい男子一同。
暫く顔を見合わせた末に…。

ジョミー「えぇっ、ぼく!?」
キース 「一番弱い立場だろうが! トチッてばかりで坊主寸前だ」
ジョミー「うう…。ぼくって、とっても不幸かも…」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ じゃあ、これを着てね!」

青いサイオンがキラッと光って着替え完了。
ジョミー君、制服の上に腰まで届く純白のケープを着ておりまして。

キース 「こ、これは……」
マツカ 「可愛いですよね、襟元に黒いリボンもついていますし」
ジョミー「やだよ、こんなの!」

鏡を見せられたジョミー君の顔は半泣きで。
キャロリングの衣装、天使みたいな純白のローブに決定ですね…。

2012/12/17 (Mon)

 

☆中庭でリハーサル


衣装を着けての練習も進み、キャロリング前日の21日は終業式。
先生方からのお歳暮ゲットを目指して、全校生徒が走り回っている中で。

キース 「この格好で歌うのか…。それも中庭で」
サム  「なんか去年より悲惨じゃねえか?」
ブルー 「ジョミーのカウントがアレでなければいいんだけどね」

人前で歌う度胸をつけておかないと、と純白の衣装の生徒会長。
指差す先のホワイトボードには「坊主まで残り6回」の文字が。

キース 「くっそぉ…。いっそ坊主になればいいんだ」
シロエ 「ジョミー先輩はそれで済みますけど、ぼくたちは?」
マツカ 「雪玉攻撃は連帯責任なんですよ」
ブルー 「食らってからでは遅いんだ。さあ、行こうか」
サム  「ジョミー、有難く思っとけよ? これは貸しだぜ」
キース 「まったくだ。なんでジョミーの度胸試しに俺たちまで…」
ジョミー「ご、ごめん…。今度おごるよ」
ブルー 「君の財布はアテにしてない。ハーレイの方が遙かにマシだ」

今月のお小遣いは使い果たした後だろう、と鋭い指摘。
反論できないジョミー君を引っ張り、シャン学メンバーは中庭へ。

生徒A 「うわわ…。なんか聞こえると思ったら…」
生徒B 「へええ、今年は讃美歌かよ? 無料かな?」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 聴いてくれるだけでいいからね!」

「無料だってよ」「無料だ、無料だ」と見物客がワイワイと。
先生方まで見物に現れ、思いっ切り晒し者でございましたが。

ブルー 「う~ん、ジョミーはトチらなかったね」
キース 「本番に強いタイプだったか…」
スウェナ「あれで度胸がついたみたいね、残念だわ」
ジョミー「残念って何さ、残念って!」
キース 「いや、残り6回だったのに…と思ってな」
ブルー 「とにかく悲惨な記録は止まった。後は本番だよ」
シロエ 「明日の夜ですね、頑張らないと…」

明日はいよいよソルジャー夫妻のためにキャロリング。
雪玉の機銃掃射を食らわないよう、見事に合唱できますように~!

2012/12/18 (Tue)

 

☆いざ、別荘地へ


やって来ました、12月22日。
生徒会長の家に集まったシャン学メンバー、総仕上げをしておりますが。

ブルー 「ジョミーもドジを踏まなくなったし、雪玉の方は大丈夫かな」
キース 「そう願いたいぜ。後は寒さが問題か…」
ぶるぅ 「えっとね、ぼくとブルーでシールドを張るの!」
シロエ 「ホントですか? だったらカイロは要りませんね」
キース 「待て、裏があるかもしれないぞ。俺たちに恩を売ってだな…」
ブルー 「無い、無い。どちらかと言えばブルー対策」
全員  「「「は?」」」
ブルー 「ご祝儀で別荘に入れてくれないとも限らないしね」

中は暖房でポカポカだ、と生徒会長。

ブルー 「厳重装備で行ってごらんよ、暑くて耐えられないってば」
キース 「ああ、そうか…。下手をすると風邪を引きかねないな」
ブルー 「風邪で済めばいいけど、遠慮なく脱げと言われたら?」
シロエ 「えーっと…。パンツ一丁にされそうな感じですよね」
ブルー 「でもって、渋った時には代わりに脱ぐとか言い出すんだ」
キース 「そいつは遠慮しておきたいぞ」
ブルー 「しかも相手はバカップルだから、ブルーが脱いだら…」
キース 「言わなくていい! シールドは有難く頂戴しておく」

ラブシーンなぞお断りだ、というのが一致した意見。
そうでなくても特別休暇に華を添えるためのキャロリングですし…。

ブルー 「というわけで、夕食が済んだら出発だ。丼だけどさ」
ジョミー「えぇっ? なんだかショボイ…」
サム  「そうでもねえぜ、ガツンと腹に溜まりそうだし」
ブルー 「うんうん、サムは良く分かってるね。長丁場には丼が一番!」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ フォアグラ丼の特盛りだよ!」
シロエ 「凄い、豪華じゃないですか!」
ブルー 「だけどジョミーは牛丼でいいかな」
ジョミー「ちょ、それ、酷いし!」

ギャイギャイと騒ぎながらの夕食は牛ステーキも載ったフォアグラ丼。
豪華丼で腹ごしらえして、瞬間移動で雪の別荘地へ出発です~。

2012/12/19 (Wed)

 

☆バカップルのお宿


足首まで届く純白の衣装を纏った天使のようなシャン学メンバー。
蝋燭が揺らめくキャンドルホルダーを持ち、別荘地に到着でございます。

ぶるぅ 「わーい、真っ白!」
キース 「雪は止んでるみたいだな」
シロエ 「ええ、満天の星空ですね。クリスマスっぽいですけれど…」
ブルー 「生憎と、まだクリスマスではないってね」

とんだフライングもあったものだ、と生徒会長はブツブツと。
シールドで寒さは感じませんが、別荘地は深く積もった雪の中で。

ジョミー「えーっと…。もしかしてアレかな、エロドクターの別荘」
サム  「すげえな、でっかいツリーだぜ」
ブルー 「本物の樅の木だよ、別荘まで無駄に豪華ってね」

マツカ君の山の別荘には及ばないものの、立派な別荘が建っております。
玄関まで続く道の両脇にはイルミネーション、前庭にはツリーが。

キース 「あの下あたりで歌えばいいのか? クリスマスツリーだし」
ブルー 「そのつもりだけど…。ちゃんと気付いているのかな?」
ジョミー「何が?」
ブルー 「ぼくたちが来てるという事実! バカップルだしね…」
シロエ 「サイオンで覗いてみればいいじゃないですか」
ブルー 「お断りだよ、真っ最中だと目も当てられない」
サム  「ここまで来といて無駄足かよ!?」
ぶるぅ 「ねえねえ、真っ最中って、お食事?」

ぼくが代わりに覗こうか、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」がニコニコと。

ブルー 「違う、そうじゃなくて! 子供には…ちょっと…」
キース 「やめておけ、目が腐るらしいぞ」
ぶるぅ 「えぇっ!? やだよ、そんなの怖いよ、困るよぅ~」
ブルー 「覗かなければ大丈夫さ。ダメで元々、歌ってみようか」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ みんなでキャロリングだね!」
ジョミー「よ~し、特訓の成果を披露しようっと!」
キース 「トチるなよ? ここでトチッたら終わりだからな」

雪玉攻撃を食らうか、喜ばれるか。
バカップルが滞在中の別荘の前庭でキャロリングですよ~!

2012/12/20 (Thu)

 

☆主はきませり


エロドクターの別荘の前庭にはイルミネーションが輝く樅の木。
シャン学メンバー、樅の木の下に並んでキャロリングの準備が完了です。

ブルー 「最初は定番で始めよう。きよしこの夜」
全員  「「「き~よ~し~~♪」」」

生徒会長が小声で取った音を合図に雪の別荘地に響く歌声。
天使の歌声とまでは申しませんけど、なかなか見事でございます。

全員  「「「め~ぐみ~のみ~よ~の~♪」」」
キース 『おい、出てこないぞ? もう3番だぞ?』
ブルー 『出てこないねえ…』
全員  「「「か~がや~けり~~、ほ~がら~かに~♪」」」

終わってしまいました、『きよしこの夜』。
ソルジャーもキャプテンも出てこない内にサックリと…。

ブルー 「うーん、本気でお取り込み中かな?」
キース 「だったらサッサと帰りたいんだが…」
シロエ 「盛り上げ役とか言ってましたし、BGMの代わりなのかも…」
サム  「うへえ、その手の時間のかよ?」
キース 「讃美歌をBGMにするとは罰当たりな…」
ブルー 「無駄無駄、ブルーに言うだけ無駄だよ、そういうのはさ」

こうなったら賑やかにやってやる、と生徒会長。

ブルー 「あっちのハーレイもヘタレらしいから、ハイペースでいこう」
全員  「「「は?」」」
ブルー 「BGMがせわしなかったら息切れするかもしれないし!」
ジョミー「そういうものなの?」
ブルー 「ペースが乱れると立て直すのは大変かもねえ…」

お子様には分からないだろうけれど、と生徒会長は笑っております。

ブルー 「景気よくアレだ、もろびとこぞりて」
全員  「「「も~ろびと~、こぞ~り~て~♪」」」

これが噂の「主はきませり」。
声を張り上げて歌っていれば、別荘の扉が開きまして。

Aブルー「やあ、こんばんは」
A船長 「こんばんは、遠い所をどうも」
全員  「「「主は、主は~、きま~せ~り~♪」」」

主ならぬソルジャー夫妻が来たようで。
シャン学メンバーの運命や如何に?

2012/12/21 (Fri)

 

☆バカップルのお招き


大人の時間の真っ最中かと思われていたソルジャー夫妻。
そういうわけでもなかったらしく、キャロリングに見とれておりまして。

全員  「「「主はきませり~、主はきませり~♪」」」
Aブルー「うん、いいねえ。クリスマスって感じだよ」
A船長 「シャングリラの子供たちの歌とはまた違いますね」
全員  「「「主は~、主は~、きま~せ~り~♪」」」

けっこう長い『もろびとこぞりて』。
5番までキッチリ歌い終えると、ソルジャー夫妻からパチパチ拍手が。

Aブルー「ありがとう。まあ、入ってゆっくりしてってよ」
ブルー 「さっきは思い切り無視されたけど?」
Aブルー「無視しちゃいないよ、聴いてたってば」
A船長 「きよしこの夜でしたよね? どうもありがとうございました」
ブルー 「聞こえてたんなら出てきてくれても…って、いや、忘れて!」
Aブルー「何かブツブツ言ってたっけね、そういえば」

ぼくには筒抜け、と笑うソルジャー。

Aブルー「BGMにして励んでいたってわけではないよね、ハーレイ」
A船長 「は?」
Aブルー「いや、だから。ブルーたちが勘違いをしていたわけで」
A船長 「わ、私のペースが乱れるですって!?」

思念で詳細を伝えられたらしいキャプテン、耳まで真っ赤でございます。

A船長 「や、やっていません、そういうことは!」
Aブルー「だよねえ、おもてなしの支度に手間取っただけで」
全員  「「「おもてなし?」」」
Aブルー「寒い所まで来てくれた上に、雪の前庭でキャロリングだしね」
A船長 「中で暖まって頂こうと…」

暖かい飲み物を御用意しました、と言うキャプテン。

A船長 「どうぞ遠慮なくお入り下さい」
Aブルー「そうだよ、二人で準備したんだからさ」
ブルー 「…君たちが?」
Aブルー「使用人さんに教えてもらって頑張った!」

中へどうぞ、とソルジャー夫妻は扉を開いて満面の笑み。
飲み物を振舞ってくれるそうですが、御招待を受けても大丈夫ですか…?

2012/12/22 (Sat)

 

☆バカップルの手作り


ソルジャー夫妻、シャン学メンバーのために飲み物を作っていたそうで。
中へどうぞと言われましても、悩む所でございます。

サム  「どうするんだよ?」
キース 「断るわけには……いかんだろうな」
ブルー 「断ったら雪玉機銃掃射じゃないかと」
Aブルー「そっちも楽しそうだけど…。ぜひ招待を受けて欲しいな」
サム  「やっぱり断れねえじゃねえかよ…」
シロエ 「仕方ないですよ、ぼくたちの立場が弱すぎです」
A船長 「すみません、いつもブルーが御迷惑を…」
Aブルー「まあまあ、ここで立ち話もアレだしね。入って、入って」
全員  「「「………」」」

なんとか無事に済みますように、と別荘に入ったシャン学メンバー。
広い居間には暖炉が赤々、クリスマスツリーなども飾ってあって。

Aブルー「凄いだろ? この別荘を貸し切りなんだよ」
A船長 「どうぞ、そちらのテーブルへ。今、飲み物をお持ちします」

運ばれて来たのは湯気の立つマグ。
ホットココアかミルクっぽいですが、何やら不思議なスパイスの香り。

ぶるぅ 「わぁーい、グリューワインだぁ!」
シロエ 「なんですか、それ?」
ブルー 「知らないかな? ホットワインの一種だよ」
Aブルー「うん、クリスマスの名物だってね?」

ノルディに教えてもらったんだ、と得意げなソルジャー。
使用人さんに習ってキャプテンと二人で作ったそうで。

A船長 「オレンジにレモン、スパイスなどを赤ワインに入れるんです」
Aブルー「沸騰しないようにコトコト煮てたら時間がかかって」
ブルー 「それで出迎えが遅れた、と…」
Aブルー「そういうこと。遠慮なくどうぞ」
ジョミー「え、えっと…。ぼくはちょっと…」
Aブルー「ああ、坊主宣言なら大丈夫! アルコール度数は低いから」
A船長 「妙な酒癖をお持ちだそうですが、安全ですよ」

この程度では酔いません、と太鼓判を押すキャプテン。
坊主宣言が目当てじゃないなら、この御招待に裏は無いのでしょうか…?

2012/12/23 (Sun)

 

☆手作りホットワイン


クリスマス名物だというホットワインのグリュ―ワイン。
赤ワインにオレンジやスパイスなどを入れ、沸騰しないよう煮るもので。

ジョミー「酔わないの? 本当に?」
A船長 「ええ、やはり温めるとアルコール分が逃げますからね」
Aブルー「そうなんだよねえ、ぼくは普通にホットドリンク感覚だし」

ソルジャー夫妻、本場ものを味わってきたらしいです。
クリスマス用品が売られるマーケットには必ずあるそうでして。

Aブルー「白ワインで作ったヤツもあったよ。寒い国だから美味しくて」
A船長 「ブルーとあちこち飲み歩きましたが、酔いませんでした」
ジョミー「そっか。じゃあ、一杯くらいなら大丈夫かな?」
Aブルー「大丈夫! クリスマス気分に坊主で水を差されちゃ困るよ」
ブルー 「確かに坊主宣言は似合わないかもねえ…」
キース 「しかしだ、本当に裏は無いのか?」
Aブルー「んーと…。強いて言うならリクエストかな?」
全員  「「「リクエスト?」」」
Aブルー「うん、是非とも歌って欲しい曲があって」
ブルー 「なんだ、そんなことか。だったら有難く頂いておくよ」

ジョミーもトチらなくなったから、とマグに口をつける生徒会長。
「そるじゃぁ・ぶるぅ」も飲んでみて。

ぶるぅ 「うわぁ、美味しい! ポカポカするね」
Aブルー「ぶるぅに褒めて貰えると嬉しいな。ねえ、ハーレイ?」
A船長 「ええ、頑張った甲斐がありました」
ブルー 「みんなも飲んだら? アルコール度数はホントに低いよ」
キース 「なるほど、美味いな。暖まるぞ、ジョミー」
ジョミー「えーっと…。あ、これくらいなら問題なさそう」
サム  「すげえスパイス効いてんのな」
マツカ 「色々と入っているみたいですね」
Aブルー「シナモンにクローブ、カルダモンだっけ?」
A船長 「生姜もですよ」
Aブルー「とにかくスパイスたっぷりなのさ」

その分、手間もかかるけど、とソルジャーは笑顔でございます。
ここは一発、歌声で御礼しなくては!

2012/12/24 (Mon)

 

☆この曲を所望


手作りグリュ―ワインを御馳走になったシャン学メンバー。
温かい飲み物で身体の芯から暖まった後は、きちんと御礼をするべきで。

ブルー 「ご馳走様。御礼の歌は何がいいんだい?」
キース 「キャロルの修行は積んできた。大抵の曲はいけると思うが」
Aブルー「頼もしいね。…だけどキャロルじゃないんだな」
全員  「「「は?」」」
Aブルー「子供たちのキャロリングをキャンセルするって言ったろう?」
ブルー 「それが何か?」
Aブルー「ノルディの所に言いに行ったら、コレをくれてさ」

ソルジャーが取り出したものは1枚の紙。
楽譜と歌詞が印刷してあるそうです。

Aブルー「君たちがキャロリングに来た時にリクエストしろって」
A船長 「皆さんの分も作りました」

アンチョコです、と表紙つきの楽譜を配るキャプテン。
手作りだというアンチョコの表紙の模様はベルやリボンで。

ブルー 「乙女チックな表紙だねえ…。ノルディの趣味かな?」
A船長 「いえ、こちらの教頭先生の御趣味ですが」
全員  「「「えぇっ!?」」」
Aブルー「あ、ハーレイには相談してないよ? 心を読んだだけ」
A船長 「こういう事のエキスパートでらっしゃいますから」
ブルー 「なんだか嫌な予感がするんだけれど…」

表紙をめくった生徒会長、瞬時にピキンと固まりまして。

ブルー 「…讃美歌312番…?」
キース 「おい、どうしたんだ? 確かに知らない曲ではあるが」
ジョミー「やばいよ、楽譜は読めないんだよ!」
Aブルー「そこの所は心配無用! ちゃんとサイオンで教えてあげるさ」
シロエ 「そうなんですか? ぼくも助かります」

初見で歌うのは流石にちょっと、とシロエ君。
他の面々もホッと安堵しておりますが。

ブルー 「上手下手は関係ないんだよ。この曲、結婚式の定番」
全員  「「「結婚式!?」」」
Aブルー「らしいね、ノルディのイチオシなんだ」

是非よろしく、と笑顔のソルジャー。
えらい事態になりましたよ~!

2012/12/25 (Tue)

 

☆バカップルに讃美歌


ソルジャーのリクエストは讃美歌312番。
いわゆるキャロルというヤツではなく、結婚式の定番と言われましても。

キース 「俺たちはキャロリングに来たんだぞ! なんでこうなる!」
Aブルー「せっかくの天使の歌声だしねえ? 大いに活用すべきだよ」
A船長 「私たちの結婚式は讃美歌も何も無かったですから」

ひとつよろしくお願いします、とキャプテンは頬を染めまして。

A船長 「皆さんの歌声に送られて寝室に行きたい、と実はブルーが」
Aブルー「お姫様抱っこでベッドまで…ってね」
全員  「「「………」」」

あまりの展開にシャン学メンバー、目が点ですが。
ここで断ったら雪玉どころか、生きて帰れなくなりそうです。

ブルー 「御招待には裏があったか…」
キース 「まさに飛んで火に入る夏の虫だな…。いや、冬の虫か」
Aブルー「もちろん歌ってくれるよね? ぼくたちはSD体制の下で…」
ブルー 「知ってるよ、君の苦労はさ! 要は歌えばいいんだろう!」
Aブルー「そうこなくっちゃ。それじゃ、早速」

キラリと走る青いサイオン。
シャン学メンバーの頭の中には讃美歌312番なるモノが。

Aブルー「最後まで行ったらリピートだよ? 十回でいいかな」
ブルー 「そ、そんなに…?」
Aブルー「十回もあれば充分ベッドイン出来るからね」

祝福されながら二人でベッドへ、とソルジャーはいけしゃあしゃあと。
早い話が脱いでいる間も歌っていろというわけで…。

キース 「結局、BGMにされる運命だったか…」
ブルー 「仕方ないよ、潔く諦めよう。ぶるぅ、十回数えてて」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 子守唄の代わりなんだね!」
Aブルー「ありがとう、ぶるぅ。いい子だね」
A船長 「これで数えるといいですよ。よろしくお願いいたします」
ぶるぅ 「わぁーい、ジンジャークッキーだぁ!」

クリスマスマーケットのお土産のクッキーが全部で十枚。
ソルジャー夫妻のベッドインまで歌い続けるしかなさそうですねえ…。

2012/12/26 (Wed)

 

☆締めは讃美歌


ソルジャー夫妻の御招待を受けたばかりに、えらい事態に。
お姫様抱っこでベッドに向かうソルジャーを見送り、結婚式の讃美歌を。

Aブルー「これでBGMはOK! 後はベッドに行くだけってね」
A船長 「では、そろそろ…。皆さん、今日はありがとうございました」

キャプテンがソルジャーを抱き上げまして、扉の方へと。
もう歌うしかございません。

ブルー 「いくよ、十回」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ いっちまーい!」

ジンジャークッキーを1枚、横に取り分ける「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
生徒会長が小声で取った音に合わせて、いざ合唱。

全員  「「「い~つくしみふか~き~♪」」」
Aブルー「じゃあね、おやすみ」
A船長 「お気をつけてお帰り下さい」

普段はヘタレの筈のキャプテン、悠然と出てゆきました。
別荘でキャロリングという非日常が背中を押しているようで。

全員  「「「こ~ころの嘆き~を~つ~つまず述べて~♪」」」
キース 『くっそぉ、真面目に嘆きたいぜ…』
全員  「「「な~どかは下ろさぬ~負える重荷を~♪」」」
ブルー 『ぼくだって思い切り投げ捨てたいよ、こんな重荷は!』

結婚式の定番、讃美歌312番。
今の心境にピッタリという素晴らしい歌詞でございまして。

ぶるぅ 「じゅうーまーい!」
全員  「「「世~の友、我ら~を~捨~て去る時も~♪」」」
シロエ 『捨てられましたよね、バカップルに…』
全員  「「「い~のりに応え~て~労りたまわ~ん♪」」」
ぶるぅ 「はい、おしまい~!」
ジョミー「で、どうなったわけ?」
キース 「知るか!」
ブルー 「こんな所に長居は無用だ。さっさと帰ろう」

その前に、と別荘から出た生徒会長、皆を指揮して超特大の雪玉を。

ブルー 「瞬間移動すると同時にコレを投げ込む。上手くいったら…」
シロエ 「復讐できるというわけですね!」

最終兵器を目指した雪玉、ソルジャーに弾き返されて。
生徒会長宅で大惨事になったらしいですけど、中継終了~。

2012/12/27 (Thu)

 

☆大惨事の後は


超特大の雪玉を食らって大惨事に終わったキャロリング。
そんな事など忘れたように、やってくるのがソルジャーという人でして。

ジョミー「うーん、酷い目に遭ったよね、アレ」
シロエ 「リビング中に飛び散りましたもんねえ、雪の塊が」
サム  「俺たちもビショ濡れだったんだぜ? スウェナ以外はよ」
スウェナ「あら、ぶるぅと会長は無事だったわよ?」
マツカ 「あの二人はシールドのプロですからねえ…」
サム  「だよな、そうでなきゃブルーじゃねえよな」

ブツブツと文句を零すシャン学メンバー、面子が一人足りないようで。
それもその筈、今日は大晦日でございます。

ジョミー「でもさぁ、あっちのブルーって謝ってもくれなかったよね」
シロエ 「自分の方が被害者だとか主張しまくっていましたしね…」
サム  「うんうん、でもって飯もケーキも多めに食うのな」
マツカ 「ぶるぅまで連れて来ましたからねえ…。敵いませんよ」
スウェナ「仕方ないわよ、ぶるぅはクリスマスが誕生日なのよ?」
ジョミー「それは分かっているんだけどさぁ…」

なんか色々報われないよ、と嘆く対象はクリスマス・パーティー。
ソルジャーと「ぶるぅ」が面子に加わり、派手に飲み食いしたのです。

ジョミー「キャロリングまでしてあげたのに、来なくってもさぁ…」
シロエ 「特別休暇とクリスマスは別物だとか言ってましたよ?」
サム  「勝てるわけねえんだよな、俺たちがさ」
マツカ 「会長だって勝てないんです。挑むだけ無駄だと思いますが」
スウェナ「そうよ、もう大晦日なんだから忘れたら?」
ジョミー「そりゃそうだけど、行き先がちょっと」

向かっている先は生徒会長の家でして。
マンションの玄関から入り、エレベーターで最上階へと。

ジョミー「リビングを見たら思い出しそうでさ、雪玉攻撃」
シロエ 「なんで会長の家に集合なんでしょうねえ?」

例年だったら大晦日は元老寺に集合でございます。
今年の大晦日、何か特別なイベントでも…?

2012/12/28 (Fri)

 

☆お出掛けの前に


大晦日なのに生徒会長の家に集合なシャン学メンバー。
キース君からは例年どおり、除夜の鐘撞きの招待が来ているわけですが。

シロエ 「キース先輩の家に行くのは間違いないと思うんですけど…」
サム  「その前にブルーの家っていうのが謎だよなあ…」
ジョミー「いつも自分だけタクシーのお迎えってヤツを自慢してない?」
マツカ 「シーッ、聞こえたら大変ですよ?」

最上階に着き、玄関のチャイムをピンポーン♪と。
すぐに扉がガチャリと開きまして…。

ぶるぅ 「かみお~ん♪ ブルーが待ってるよ!」
ジョミー「何処で?」
ぶるぅ 「いつものリビング!」
サム  「なんだ、普段と同じじゃねえかよ」
シロエ 「取り越し苦労だったみたいですね」
ぶるぅ 「早く、早く! でないと遅刻しちゃうかも!」
全員  「「「遅刻?」」」
ぶるぅ 「そうだよ、みんなでキースのお家に行くんでしょ?」
ジョミー「えーっと…。その前に御馳走してくれるんだよね?」
ぶるぅ 「お昼御飯? みんなの頑張り次第かなぁ…」
全員  「「「は?」」」
ぶるぅ 「残り時間が短かったら素ウドンだよね」
サム  「なんだよ、それ?」
ぶるぅ 「見れば分かると思うんだけど…」

はいどうぞ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」がリビングの扉を開けまして。

全員  「「「えぇっ!?」」」
ブルー 「やあ、来たね。今日はこれから大掃除ってね」
ぶるぅ 「雪玉攻撃を再現しようってブルーが言ってたんだけど…」
ブルー 「水浸しの絨毯やソファは素人には荷が重いんだってさ」
ぶるぅ 「お部屋がメチャクチャになったら困るし、やめて貰ったの!」
シロエ 「それで一面の畳ですか…。レンタルですか?」
ブルー 「決まってるだろ? これを綺麗に掃除するだけ」
ぶるぅ 「はい、箒!」
ジョミー「特にゴミって落ちていないし…」
サム  「楽勝だよな?」

さあやるぞ、と箒を握るシャン学メンバー。
昼食が素ウドンにならないようにサッサと掃除しなくては…。

2012/12/29 (Sat)

 

☆懺悔の大掃除


生徒会長の家に集合させられたシャン学メンバー。
待っていたのはリビングの掃除、それも一面に畳が敷かれておりまして。

ジョミー「よーし、急いで片付けよう!」
ブルー 「ちょっと待った! 畳の掃除はそうじゃない」
シロエ 「えっ? 畳の目に沿って掃いていったらいいんでしょう?」
ブルー 「それじゃ埃が綺麗に取れないんだよ。ぶるぅ!」
ぶるぅ 「かみお~ん♪」

飛び出してきた「そるじゃぁ・ぶるぅ」の手にはバケツと古新聞。
古新聞をドボンとバケツの水に浸け、絞ったかと思えばビリビリと。

ジョミー「何するのさ!」
シロエ 「な、なんでそんなの散らかすんですか、酷いですよ!」
ぶるぅ 「畳はコレが定番だもん!」
ブルー 「お茶殻か湿った古新聞だよ、それに埃がくっつくわけ」
全員  「「「ひ、ヒドイ…」」」
ブルー 「さっさとしないと素ウドンになるよ、昼御飯」
全員  「「「はーい…」」」

雪玉攻撃の再現を掃除するよりはマシというものの、リビングは広く。
誰もがソルジャーへの愚痴を零しつつ、頑張って。

サム  「や、やっと終わったぜ…」
ブルー 「お疲れ様。年の暮れに懺悔っていいものだろ?」
全員  「「「懺悔?」」」
ブルー 「雪玉の後片付けは本当に大変だったんだ。本当に…ね」
ジョミー「あれを仕掛けたの、ブルーじゃない!」
ブルー 「そうだったかなぁ? ともあれ、ぶるぅが掃除したんだし」

懺悔の気持ちで大掃除、と言われましても…。

ぶるぅ 「お昼、出来たよ! ハヤシオムライス!」
ブルー 「素ウドンじゃなくて良かったねえ?」
ジョミー「待ってよ、懺悔ならキースも呼ばなきゃ!」
ブルー 「キースは元老寺で頑張ってるから除外なんだよ」
ジョミー「それってズルイし!」
ブルー 「じゃあ、君も一足先に行って手伝うかい?」
ジョミー「い、いいです…」

敬語になっているジョミー君。
昼食が済んだら瞬間移動で元老寺だそうでございます。
今年も揃って除夜の鐘ですよ~!

2012/12/30 (Sun)

 

☆今年も除夜の鐘


瞬間移動でやって来ました、元老寺。
宿坊に泊まって除夜の鐘を撞き、年越しをする魂胆なのでございますが。

キース 「やっと来たか。今年も残しておいてやったぞ」
全員  「「「は?」」」
キース 「大広間と廊下の大掃除だ! キリキリやれよ」
ジョミー「えーっ! 大掃除はさっき、ブルーの家で…」
シロエ 「そうです、懺悔の大掃除とかで」
キース 「大晦日に懺悔、大いに結構。掃除も修行の内だからな」
ブルー 「だよねえ? じゃあ、君たちは頑張って」
アドス 「銀青様、ようこそおいで下さいました。どうぞこちらへ」
イライザ「ぶるぅちゃんにもお菓子がありますよ」
ぶるぅ 「わぁーい!」

生徒会長、サクッと逃亡。
キース君も法要の準備に出掛けてしまい、またしても大掃除する羽目に。

ジョミー「なんでこういうことになるのさ…」
スウェナ「普通に箒で掃けばいい分、まだマシよ」
サム  「だよな、古新聞も茶殻もねえもんな」
マツカ 「広さは半端じゃないですけどね…」

宿坊の大広間と廊下、生徒会長宅のリビングの比ではございません。
無駄に広いのがお寺の空間というもので…。

ジョミー「あーあ、酷い目に遭っちゃった」
キース 「働いた後の飯は格別だろう?」
ブルー 「感謝の気持ちで年越し蕎麦だよ、坊主の基本だ」
シロエ 「あのぅ…。ぼくは坊主じゃないんですけど」
ブルー 「細かい事は気にしない!」

煩悩と共に除夜の鐘で消してしまえ、と生徒会長。
ワイワイと揉めている間に除夜の鐘の時間となりまして。
緋色の衣の生徒会長、お供を従えて鐘楼へ。

スウェナ「結局、捕まっちゃったわねえ…」
マツカ 「坊主宣言が敗因ですよね、お正月の」
シロエ 「サム先輩は自分から志願しましたけどね」

ジョミー君とサム君、法衣でお供をしております。
先導はキース君、小僧さんスタイルの「そるじゃぁ・ぶるぅ」も。
生徒会長が最初の鐘をゴーンと厳かに撞き、いよいよ年越し。
来年も良い年になりますように~!

2012/12/31 (Mon)



 

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☆早くも年の瀬


ソルジャーとキャプテンまでが加わっていた鍋パーティー。
勤労感謝の日から1週間ほど日が経ちまして、今日からいよいよ12月で。

キース 「早いもんだな、今年も残り1ヶ月なのか」
ブルー 「大晦日はやっぱり君の家だよね、除夜の鐘だけは撞かないと」
キース 「今年も撞いてくれるのか? それは親父が喜びそうだ」
ブルー 「ほら、弟子が二人もいるからさ…。よろしく頼むよ」
ジョミー「ちょ、ちょっと! ぼくも行くわけ!?」
サム  「今更だろうが、毎年みんなで行ってるんだぜ?」
ジョミー「で、でも……」
ブルー 「お正月の坊主宣言かい? 誰も真面目に覚えちゃいないよ」
キース 「そうだな、親父も忘れているしな」
ジョミー「…それ、ホント?」
キース 「言わなかったら大丈夫だろう、肉まん騒動の一つや二つ」
ジョミー「よ、よかったぁ…。それならいいや」

ホッと息をつくジョミー君。
御本尊様の前で肉まんを食べた、と叱られたのは今年のお正月です。

シロエ 「あれは大騒ぎでしたもんねえ、精進料理なオチでしたけど」
ぶるぅ 「だって、精進料理だもん! お肉もどきは基本だもん!」
スウェナ「でも、あのお料理は凄かったわ。美味しかったし」
ブルー 「じゃあ、今年のクリスマス・パーティーはアレにする?」
ジョミー「それってパーティー料理じゃないし!」
サム  「うんうん、ドカンと派手じゃねえとな」
シロエ 「今日みたいなのも却下ですよね」
マツカ 「お好み焼きパーティーですからね…」

土曜日とあって生徒会長の家でお好み焼きパーティーの真っ最中。
同じパーティーでもクリスマスはやはり別格で。

ブルー 「ドカンと派手ねえ…。鍋パーティーもダメなのかな?」
キース 「鍋はケチがついたばかりだろうが!」
ブルー 「おや。美味しいって喜んで食べてたじゃないか」
キース 「…教頭先生を放置してな…」

勤労感謝の日の究極の味噌ちゃんこ鍋。
教頭先生、鼻血を出して倒れてしまわれたんですよね…。

2012/12/01 (Sat)

 

☆クリスマスと鍋


クリスマス・パーティーの料理は何にするか、と始まった気の早い話。
鍋はケチがついたばかりだからダメだ、とキース君が主張しております。

ブルー 「ハーレイを放置したって言われてもねえ…。自己責任だし」
ジョミー「そうなるわけ? 鼻血の元はニンニクだよ?」
シロエ 「会長がドカンと入れなかったら大丈夫だったと思うんですが」
ブルー 「まさか。なんでニンニクで鼻血が出るのさ」
キース 「しかしだな…。暑いと言っておられたじゃないか」
ぶるぅ 「ニンニクのお鍋は温まるもん!」

だけど鼻血は出ないよね、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
生徒会長も頷きまして。

ブルー 「ぶるぅが正しい。ハーレイの鼻血は別件だ」
シロエ 「そりゃあ…。煽った人はいましたけれど…」
マツカ 「でも元凶はニンニクですよ?」
ブルー 「ちょっとムラムラしてくる程度で元凶扱いされてもさ…」
キース 「だが、あいつらは盛り上がっていたぞ」
ブルー 「いい夫婦だから当然だろう? 何かと言えば特別休暇だ」
サム  「あー…。なんか、しょっちゅう取ってるよな」
スウェナ「そうねえ、あの日も休暇中だったわね」
ブルー 「そんな連中に煽られたのが鼻血の原因! ニンニクは無縁!」
ジョミー「…だったらパーティーは鍋になるとか?」
シロエ 「クリスマス・パーティーに鍋ですか…」
キース 「ケチがついたって話はともかく、地味すぎないか?」
サム  「鍋だもんなあ…」

それじゃ大人の忘年会だ、という声が上がっておりますが。

ブルー 「誰が普通の鍋って言った? 鍋にも色々あるんだよ」
ぶるぅ 「えとえと…。チーズ・フォンデュも鍋だよね?」
ブルー 「鍋の内だろうね。エスニック風っていうのも楽しいし」
キース 「そう来たか…。まあ、鍋でもいいかもしれないな」
ブルー 「そもそも坊主はクリスマスとは無縁じゃないか」
キース 「それを言うなぁ!」

お坊さんの世界にクリスマスは無し。
キース君も無縁でしたよねえ…。

2012/12/02 (Sun)

 

☆クリスマスは地味に


パーティー料理の話が逸れて向かった先はキース君。
お坊さんの世界にクリスマスは無く、キース君の場合は特に厳しくて…。

ブルー 「サンタクロースお断りな路線だったんだよねえ、元老寺は」
シロエ 「クリスマスには門の結界を二重にしてたと聞きましたしね」
ジョミー「でもさ、お陰でキース、去年は得をしたじゃない」
サム  「うんうん、サンタクロースの橇で空中散歩だもんな」
キース 「あれは悪目立ちしたと言うんだ!」
スウェナ「そうかしら? なかなか出来ない経験だわ」
マツカ 「子供なら誰でもやりたいですよね」
キース 「俺は普通に高校生だ! 大学だって卒業したんだ!」
ブルー 「ふうん? だったら坊主に徹してクリスマス無しで」
シロエ 「そういう年もありましたっけね、クリスマスでも修行中な」
ジョミー「住職の資格を取るヤツだよね? 璃慕恩院の」
ブルー 「そうだよ、だからいずれは君も行くんだ」
ジョミー「やだよ、クリスマスがパアになるなんて!」
キース 「ブルーの弟子のくせにガタガタ言うな!」
ブルー 「じゃあ、副住職なキースはクリスマス無しだ」
キース 「待て、それとこれとは別件で!」

クリスマス・パーティーは別物なんだ、とキース君は叫びましたが。

ブルー 「だけどサンタクロースの橇に乗るのは嫌なんだろう?」
キース 「俺が言うのはパーティーの方で、サンタじゃない!」
ブルー 「うーん…。まあいいけどね、法衣でやろうってわけじゃなし」
サム  「それは流石に湿っぽいぜ」
シロエ 「とにかくパーティーには参加するんですよね、キース先輩」
キース 「当然だろうが! 内輪なら喜んで参加する!」
ジョミー「そっか、内輪ってことは今年は何もしなくていいんだ?」
ブルー 「学校を巻き込むヤツは大変だしねえ、内輪にしようよ」

今年は普通にパーティーだけ、と生徒会長。
去年みたいな馬小屋セットでチャリティーとかは無いようです。
ビジュアル的には地味なクリスマスかも…?

2012/12/03 (Mon)

 

☆内輪でクリスマス


シャングリラ学園を巻き込んでの大騒ぎだった去年のクリスマス。
今年は普通に内輪のパーティーにしよう、と生徒会長は申しております。

ブルー 「どうせクリスマスはパーティーだしねえ、ぶるぅの誕生日の」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ クリスマス・イブもパーティーだもん!」
キース 「それでやっぱり鍋になるのか?」
ブルー 「発言権があると思うのかい? 外されそうだったくせに」
ジョミー「キースはどうでもいいんだけどさ、鍋よりかはさ…」
サム  「丸ごとのチキンとか、ターキーだよな」
スウェナ「クリスマスっぽいのがいいわよね」
ブルー 「チーズ・フォンデュなら問題ないよ?」
シロエ 「会長…。思いっ切り鍋にこだわってますね」
ブルー 「揚げ足を取るのは好きなんだ。まあ、料理は色々考えようよ」
マツカ 「イブまでには時間がありますしね」
キース 「去年みたいに妙な練習も要らないからな」
ジョミー「練習もアレだけど、寒かったもんねえ、馬小屋セット…」

雪まで降ったし、と肩を竦めるジョミー君。
馬小屋セットではマリア役をやっていたわけですが。

??? 「そうか、今年は暇なんだ?」
全員  「「「!!?」」」

バッと振り返った先にはソルジャー(会話表記はAブルー)が。

ブルー 「何さ、いきなり!」
Aブルー「御挨拶だねえ、帰り道に寄っただけだけど」
ブルー 「帰り道?」
Aブルー「うん。ノルディの所に行って来たんだ」
ブルー 「ランチに付き合ってきたのかい? それとも、お茶かな」
Aブルー「両方だよ。ちょっとお願いしたかったから」
ブルー 「…あまり聞きたくないんだけど…」
Aブルー「特別休暇の過ごし方を相談しに行ったんだ」
ブルー 「ちょ、ちょっと! それってノルディと過ごすわけ!?」
Aブルー「どうしてそういう発想になるかな、既婚者相手に」
ブルー 「君ならやりかねないんだよ!」

エロドクターに特別休暇の件で相談。
ソルジャーは何を考えているのでしょうか…?

2012/12/04 (Tue)

 

☆休暇とクリスマス


特別休暇の過ごし方について、ノルディに相談に来たというソルジャー。
ノルディと言えばエロドクターなだけに、ロクな話ではなさそうです。

ブルー 「なんでノルディに相談なのさ! どういうつもりで!」
Aブルー「こっちの世界のクリスマスってヤツも魅力的だから」
ブルー 「…それでノルディと食事するとか、ディナーショーとか?」
Aブルー「ぼくは既婚者だって言った筈だけど?」
ブルー 「だったら何も相談することないだろう!」
Aブルー「ところがあるんだな、ぼくの大事なスポンサーだしね」

教頭先生が貢ぐ相手は生徒会長、ソルジャーに貢ぐのはエロドクター。
遊び人だけに報われなくても気にしない上に、お金持ちで。

Aブルー「クリスマスはぼくのシャングリラでもパーティーなんだ」
ブルー 「知ってるさ。毎年、それが終わったら来るもんね」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 今年も一緒にパーティーしようね!」
Aブルー「それはもちろん。でも、その前に特別休暇!」
ブルー 「…サッパリ話が見えないんだけど…」
Aブルー「クリスマス・イブの前に休暇を取るわけ。22日と23日」
ブルー 「えっ?」
Aブルー「分からないかな、22日の夜はこっちでお泊まり!」

ぼくのハーレイと一緒にね、とソルジャーは嬉しそうでございます。

Aブルー「こっちの世界じゃ連休だろ? クリスマス気分も盛り上がる」
ブルー 「そうか、ノルディにホテルを予約させたんだ?」
キース 「ついでにディナーもついてそうだな」
Aブルー「ぼくもそのつもりだったんだけどさ…」
ジョミー「何か予定が狂ったわけ?」
Aブルー「ホテルよりも凄いことになっちゃった」
全員  「「「は?」」」
Aブルー「別荘を貸してくれるらしいよ、使用人つきで」
全員  「「「別荘!?」」」
Aブルー「うん、雪がたっぷり積もるんだってさ」

ホワイト・クリスマスっぽいだろう、とソルジャーは御機嫌。
ソルジャー夫妻に別荘を貸すとは、エロドクターも太っ腹ですねえ…。

2012/12/05 (Wed)

 

☆特別休暇は別荘で


クリスマス直前にソルジャーは特別休暇を取るそうで。
キャプテンと二人で過ごすという場所、エロドクターの別荘らしいです。

ブルー 「別荘でホワイト・クリスマスねえ…。まあ、いいけどさ」
Aブルー「凄いだろ? クリスマスツリーもイルミネーションもつく」
ブルー 「それは良かったね。じゃ、そういうことで」

早く帰れ、と生徒会長は手をヒラヒラと振っておりますが。

Aブルー「ちょっと待ってよ、せっかく寄り道してるのに…」
ブルー 「おやつならもう食べただろう! 足りなかったとか?」
Aブルー「いや、そうじゃなくて」
ブルー 「ぶるぅ、持ち帰り用を用意して。お土産が欲しいそうだ」
ぶるぅ 「オッケー!」
Aブルー「違うってば! ぶるぅ、ぼくはお土産が欲しいわけじゃない」
ぶるぅ 「あれっ、そうなの?」
Aブルー「ハーレイは甘いものは苦手だからね」

ついでに「ぶるぅ」にお土産というのも勿体ないそうでございます。
手間暇かけたお菓子も一口でペロリがソルジャーの世界の「ぶるぅ」で。

Aブルー「だからお土産は要らないんだよ。それよりもさ…」
ブルー 「ノルディの話なら断るからね!」
Aブルー「うーん…。まるで無関係ってことはないかな」
ブルー 「じゃあ、却下」
Aブルー「最後まで聞いてからでもいいだろう! たかが別荘の話だし」
ブルー 「生憎とぼくはノルディの別荘に興味は無いんだ」
Aブルー「そう言わずに。…今年のクリスマス前は暇みたいだから」
ブルー 「君とハーレイの別荘ライフに付き合うつもりは無いけれど?」
Aブルー「付き合えとまでは言っていないよ。ただ、ちょっと…」
ブルー 「…ちょっと?」
Aブルー「ぼくたちの休暇に華ってヤツを添えて欲しくて」
全員  「「「華?」」」
Aブルー「そう、ホワイト・クリスマスを更に華やかに!」

思い切り盛り上げて欲しいんだけど、とソルジャーの瞳がキラキラと。
ソルジャーとキャプテンの別荘ライフに華を添えろとは、これ如何に?

2012/12/06 (Thu)

 

☆盛り上げ役を所望


22日はエロドクターの別荘にお泊まりなソルジャー夫妻。
ホワイト・クリスマス気分に華を添えてほしい、と言い出しましたが…。

ブルー 「華って何さ?」
Aブルー「文字通りだよ、ぼくとハーレイの別荘ライフの盛り上げ役!」
キース 「まさか俺たちまで別荘に呼ぶ気じゃないだろうな?」
シロエ 「それは無いでしょう、そもそも別荘の場所を知りませんよ」
Aブルー「えーっと…。マツカの山の別荘から近いようだよ?」
マツカ 「らしいですね。父から聞いたことがあります」
サム  「だったら思い切り遠いじゃねえかよ、関係ねえな」
Aブルー「距離はどうとでもなるだろう? ブルーとぶるぅなら一瞬だ」
ブルー 「本気で来いと言ってるわけ? ぼくたちに?」
Aブルー「現地に来ないでどうやって華を添える気なのさ?」
ブルー 「みんなでカンパして花束だとか、プレゼントとか…」
Aブルー「ぼくに花束で盛り上がれと? ハーレイだっているんだよ?」

花束を貰うならハーレイからだ、とソルジャーは決めつけておりまして。

Aブルー「記念日に花を贈るというのはパートナーの役目だと思うんだ」
ブルー 「だったら、ぼくたちに何を求めてるわけ?」
キース 「この寒いのに雪の別荘地でどうしろと言うんだ、俺たちに?」
ジョミー「雪かきとか?」
マツカ 「雪かきなら専門の人がいますよ、管理人さんの仕事です」
シロエ 「使用人つきだって言ってますから、料理も必要無いですね」
サム  「やっぱり関係ねえじゃねえかよ、俺たちは」
Aブルー「分かってないねえ、盛り上げ役だよ?」
ブルー 「まるで見当がつかないってば、それだけじゃ!」
Aブルー「うーん…。アルテメシアじゃメジャーじゃないとか?」
ブルー 「何が?」
Aブルー「クリスマス・イブのキャロリング!」
全員  「「「きゃろりんぐ?」」」

なんだそれは、と軽くパニックに陥っている人もいるようで。
ソルジャーが求めるキャロリングとやら、あまり聞かないモノですねえ?

2012/12/07 (Fri)

 

☆クリスマスの行事

ソルジャーとキャプテンの別荘ライフに必要だという盛り上げ役。
キャロリングだとか言われましても、初耳な面子が多めでございまして。

サム  「きゃろりんぐ…って、美味いのかよ?」
ジョミー「キャラメルみたいな感じかな?」
スウェナ「雪の上に飴を流して固める遊びがあるらしいわよ」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ あれ、楽しいよね!」
キース 「そういう面子を希望なのか、あんたは?」
Aブルー「…ひょっとして、キースも知らないわけ?」
キース 「きゃろりんぐ…とかいうヤツか? 初めて聞いたが」
Aブルー「おかしいなぁ…。ノルディは普通に話してたのに」
シロエ 「何をです?」
Aブルー「キャロリングだよ。別荘地のクリスマスのオプションだって」
キース 「オプションだと? マツカ、お前は知ってたか?」
マツカ 「そういえば前に一度だけ…」
サム  「どんなのだよ?」
マツカ 「イブの夜に子供たちが回って来ました。歌を歌いながら」
一同  「「「歌?」」」
マツカ 「ええ、クリスマス・キャロルですよ」
Aブルー「そうそう、それ、それ。それがキャロリング!」

それをやりに来て欲しいんだけど、とソルジャーはニコニコ顔でして。

Aブルー「ノルディは手配しておくって言ってたけどさ」
ブルー 「だったらそれで充分だろう!」
Aブルー「うーん…。割増料金を出すらしいけど、子供たちだよ?」

イブの夜にも仕事があるのに別の日に一軒だけというのは可哀相だ、と
言われてみればそんな気も…。

Aブルー「雪の降る夜に一ヶ所だけでキャロリングはねえ…」
ジョミー「割増料金の額にもよると思うんだけど」
Aブルー「ダメダメ、バイト料が目当てじゃ興ざめだ」
ブルー 「元々そういう行事だろう? 別荘地でやってるんだから」
Aブルー「そりゃそうだけど…。同じ見るなら心が痛まない方がいい」

ここは一発、根っから暇人な面子にしたい、というソルジャー。
シャン学メンバー、雪の別荘地でキャロリングですか?

2012/12/08 (Sat)

 

☆暇ならキャロリング


ソルジャーとキャプテンが泊まるエロドクターの別荘。
そこへ来てキャロリングをやれ、と言われてしまったシャン学メンバー。

ブルー 「子供たちが可哀相はともかく、暇人って何さ!」
Aブルー「だって今年のクリスマス前は暇なんだろう?」

去年みたいな馬小屋セットはやらないんだし、とソルジャーは強気。

Aブルー「あれに比べればマシだと思うよ、キャロリングは」
ブルー 「なんで君たちの休暇に華を添えなきゃいけないんだか…」
キース 「いっそ托鉢に行ってやろうか? 念仏はいいぞ」
サム  「歌うよりかはお念仏だよな、キャロルってロクに知らねえし」
ブルー 「いいねえ、嫌がらせに托鉢コースで行こうか」
ジョミー「待ってよ、なんでクリスマス前に托鉢なわけ?」
シロエ 「ぼくも嫌ですよ、キース先輩たちだけで行って下さい」
Aブルー「誰が托鉢を頼むんだって? 頼みたいのはキャロリング!」
ブルー 「お断りだよ、そんな義理は無い」
Aブルー「ふうん? SD体制の下で苦労しているぼくなのに?」
全員  「「「……うっ……」」」
Aブルー「やっともぎ取った特別休暇で、とても楽しみにしてるのに…」
ブルー 「分かったよ、やればいいんだろう!」
Aブルー「本当かい? 嬉しいな、ワクワクしてきたよ」

SD体制云々というのはソルジャーの必殺技でして。
無理を通したい時に持ち出してくる魔法の呪文でございます。

Aブルー「ノルディにはキャロリングはキャンセルでいいと言っとこう」
ブルー 「…好きにしたら?」
Aブルー「でね、遠路はるばる来てくれるからにはクオリティ高めで」
全員  「「「クオリティ高め?」」」
Aブルー「当然だろう? 歌のレベルも服装もね」
全員  「「「は?」」」
Aブルー「歌が下手だとブチ壊しだ。ついでに衣装の方もよろしく」

キャロリングっぽく聖歌隊風の衣装で頼む、と言い出したソルジャー。
似合わなさそうな面子もいますが、それでも聖歌隊風の格好をしろと…?

2012/12/09 (Sun)

 

☆坊主とキャロリング


ソルジャーとキャプテンの特別休暇を盛り上げるために、キャロリング。
雪の別荘地まで出掛けるだけでも大変なのに…。

キース 「誰が聖歌隊風の衣装だ、誰が!」
Aブルー「君も含めて、そこの全員。ぶるぅは可愛くなりそうだね」
キース 「俺は坊主だ! クリスマスとは関係ないんだ!」
Aブルー「だけどクリスマスくらい、宗教の壁を越えなくちゃ」

君のお父さんもそうだったろう、と古い話を持ち出すソルジャー。

Aブルー「確か宗派の青年会の慰問でサンタクロースに扮したとか」
キース 「あれは恵まれない子供たちのためで、娯楽じゃない!」
Aブルー「その子供たちよりも酷い目に遭ったけどねえ、ぼくたちは」
キース 「く、くっそぉ…」
ジョミー「無理だよ、勝てるわけないってば。諦めたら?」
キース 「お前は去年がマリアだしな。聖歌隊の方がマシなんだろう?」
ジョミー「あっ、分かる? 女装に比べたら楽勝、楽勝」
Aブルー「だよねえ、女装しろとは言ってないんだ。たかが聖歌隊!」

白いガウンでキメてきてくれ、とソルジャーは至極ご機嫌で。

Aブルー「歌の方も頑張って練習してよ? 綺麗にハモると嬉しいな」
キース 「声明だったらいくらでも綺麗にハモッてやるが」
Aブルー「…しょうみょう…って、何さ?」
キース 「知らんのか? お経に節をつけたヤツでな、歌に近いぞ」
ブルー 「コンサートもあったりするんだけどね?」
シロエ 「コンサートですか?」
ブルー 「雅楽とか三味線とか、ジャズピアノなんかと組んだりするよ」
サム  「なんかすげえな、聖歌隊より派手そうだぜ」
キース 「そうだろう? 声明で行くのもいいと思うが」
Aブルー「いくら派手でも、お経はちょっと…」
ブルー 「衣装も思い切り派手になるけど? キンキラキンの袈裟で」
Aブルー「クリスマス気分が台無しだってば!」

聖歌隊の衣装でクリスマス・キャロルを歌ってくれ、と言われましても。
この面々では相当に無理があるのでは…。

2012/12/10 (Mon)

 

☆キャロリング、決定


キャロリングよりも声明がいい、というキース君の提案はあえなく却下。
ソルジャーの希望は何処までもクリスマスなキャロリングです。

Aブルー「聖歌隊の衣装ってヤツはね、着ればそれなりに様になるのさ」
サム  「そ、そうかぁ? なんか俺には似合わねえ気が…」
Aブルー「大丈夫だってば、ぼくが保証する」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ぼく、頑張って服を作るね!」
Aブルー「ありがとう、ぶるぅ。これで衣装はバッチリだ」

歌も衣装に負けないように、とソルジャーは思い切り仕切っております。

Aブルー「綺麗な歌声を期待してるよ。今日から毎日練習だね」
キース 「ちょっと待て! なんでそこまで!」
Aブルー「だって、今年は暇なんだろう? 外で練習するわけじゃなし」
ジョミー「そ、そりゃあ去年は寒かったけどさ、でもさ…」
シロエ 「歌くらい下手でも御愛嬌でしょう?」
ブルー 「坊主にキャロルを期待されても困るんだけどな」
Aブルー「あ、そう。SD体制で苦労しているぼくを癒す気は無いと?」
全員  「「「……うっ……」」」
Aブルー「音楽は癒しになるんだけどねえ、ド下手じゃ真逆だ」
ブルー 「…一応、努力はしてみよう」
Aブルー「ありがとう。じゃあ、楽しみにしているからね」

22日の夜はよろしく、とソルジャーが帰ってしまった後は。

キース 「どうしろと言うんだ、どうしろと!」
ブルー 「諦めるしかないだろう? 22日の夜はキャロリングだよ」
ぶるぅ 「わーい、楽しそう!」

雪がたっぷりの別荘で歌うんだよね、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
小さな子供だけに気分はお祭りらしいです。

ぶるぅ 「お洋服、急いで作らなくっちゃ! 真っ白なヤツでしょ?」
ブルー 「キャンドルホルダーも買わないと…。キャロリングには必須」
キース 「手燭で行きたくなってきたぜ…」
ブルー 「気持ちは分かるけど、仏具はマズイよ」

手燭は法要で使うキンキラキンの柄つき燭台。
ソルジャーが激怒しますってば…。

2012/12/11 (Tue)

 

☆キャロルの練習中


仏具な燭台も声明もソルジャーの怒りを買うことは必至。
シャン学メンバー、泣く泣くキャロリングの練習な日々でございますが。

ジョミー「休憩しようよ、もうヘトヘトだよ~」
ブルー 「頑張れと言いたい所だけれど…。ぶるぅ、お茶にしよう」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ みんな、飲み物、何にする?」
キース 「生姜湯で頼む。とろみもつけてな」
サム  「キース、最近、そればっかりだぜ。コーヒー、飽きたか?」
キース 「喉にいいんだ。声を潰したら親父が怖い」
シロエ 「そうですよねえ、普通の生活なら喉は潰れませんものね…」
マツカ 「毎日練習ですからね。…クリスマス・キャロルの」
キース 「去年みたいにチャリティーだったらマシだったんだが…」
サム  「社会の役には立たねえよなぁ、今年のヤツは」
スウェナ「思いっ切り無理があるわよねえ…」

アドス和尚には言い訳できない、と意見の一致を見ております。
なにしろソルジャーの存在自体が秘密なだけに、どうしようもなく。

キース 「親父は22日も内輪パーティーだと思っているんだ」
ジョミー「パーティーどころか去年以上にボランティアだよ!」
ブルー 「仕方ないだろう、逆らえるような相手じゃないし」
キース 「…それは分かっているんだが…」
ブルー 「文句を言わずに練習あるのみ! 失敗してもブルーは怖いよ」
シロエ 「トチッたら命は無さそうですよね…」
ブルー 「雪玉攻撃の一発や二発は覚悟した方がいいだろうね」
キース 「その一発が機銃掃射並みかもしれんぞ、あいつだけに」
全員  「「「………」」」
ブルー 「スウェナは避けてくれそうだけど、他はもれなく…」
サム  「連帯責任ってヤツなのかよ!?」
キース 「多分、八つ当たりをされるだろうな」
シロエ 「そうなってくると…」
マツカ 「頑張ってもらうしかないですね…」
ジョミー「えっ、ぼく?」

なんで、と目を丸くするジョミー君。
お経がダメなのは有名ですけど、まさかキャロルも…?

2012/12/12 (Wed)

 

☆キャロルも苦手


来る日も来る日もキャロリングの練習なシャン学メンバー。
本番でトチればソルジャー激怒は必至ですけど、危険な面子が若干一名。

ジョミー「どうしてぼくが頑張るわけ?」
キース 「お前が一番危ないんだ!」
ジョミー「言っとくけど、ぼくは音痴じゃないし!」
サム  「ああ、カラオケも得意だよな。でもな…」
ブルー 「キャロリングは一人でやるんじゃないんだ。そこが問題」
シロエ 「合わせて貰わないと困るんです。一人だけ先に歌われても…」
マツカ 「輪唱だったらいいんですけど、合唱ですから」
スウェナ「おまけに歌詞を間違えるのよね…」
キース 「覚えないのはお経だけかと思っていたが…」

普通の歌もダメだったのか、と言われたジョミー君、憤然と。

ジョミー「違うし! クリスマス・キャロルって普通じゃないし!」
サム  「どの辺がだよ?」
ジョミー「なんか言葉が古すぎるんだよ、古典みたいで」
キース 「だったら呪文だと思って覚えろ!」
ジョミー「シュワキマセリは覚えたんだけど、他のがさ…」
ブルー 「主は来ませり、が呪文じゃねえ…。全体的にアウトだろうね」
シロエ 「ぶるぅも全部覚えたんですよ、どうしてジョミー先輩が?」
キース 「多分、根っからダメなんだろう。趣味じゃないことは」
ジョミー「あっ、分かる? そうそう、そういう感じなんだよ」
サム  「だからってなぁ…。連帯責任は御免だぜ」
スウェナ「そうよ、周りが迷惑なのよ」
ブルー 「とにかく覚える! そしてペースを守ってきちんと歌う!」
キース 「休憩終わりだ。続けるぞ」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 最初は『きよしこの夜』だよね!」

歌の合図は生徒会長。
ついでに小声で一番最初の音を取るのでございますが。

ジョミー「♪きーよーし~」
キース 「それがダメだと言っただろうがぁ! 2秒待つんだ!」

タイミングを読まずにフライングしたジョミー君。
こんな調子で一事が万事、雪の別荘地に綺麗な歌声は響くのでしょうか?

2012/12/13 (Thu)

 

☆危険なキャロリング


歌詞は間違えるわ、音程ならぬタイミングがズレるわというジョミー君。
フライングな歌いだしだけならともかく、途中もズレる傾向にあって。

ブルー 「ダメダメ、一人だけテンポが早過ぎるってば!」
キース 「またジョミーか…」
サム  「どうするんだよ、マジで当日が危ないぜ」
シロエ 「雪玉の機銃掃射は遠慮したいです、連帯責任は嫌ですよ」
ジョミー「友情ってことでいいじゃない! そうなった時は!」
キース 「お前には責任感ってヤツが無いのか?」
ブルー 「その辺が問題なんだよねえ…。他人を巻き込むのは最低だよ」
スウェナ「ジョミーのせいで失敗したら厳罰っていうのはどうかしら?」
マツカ 「厳罰…ですか?」
スウェナ「連帯責任だとか友情だとかで誤魔化せるのがマズイのよ」
キース 「なるほど…。確かにそうかもしれないな」
ブルー 「因果応報で酷い目に遭うなら、回避するために頑張るかもね」
ジョミー「ちょ、ちょっと…」
サム  「いいんじゃねえか? 失敗したら坊主頭とか」
ジョミー「えぇっ!?」

それは困る、とジョミー君は髪の毛を押さえております。
この年の暮れに坊主頭にされたら、坊主フラグは立ちまくりで。

ジョミー「やだよ、そんなの! 元老寺で除夜の鐘とかがあるのに!」
キース 「ああ、間違いなく坊主コースへ一直線だな」
ブルー 「アドス和尚が燃えるだろうねえ、君が頭を丸めたとなれば」
シロエ 「頭を丸めるのは謝罪の王道ですけども…」
マツカ 「キースのお父さんが勘違いするのは確実ですよ」
サム  「うんうん、仏弟子になる覚悟を決めたと思うよなあ」
スウェナ「そのまま修行に入ればいいのよ、専門コースの」
キース 「来年度の入試は済んでるんだが、特別推薦はアリだしな」
ブルー 「ぼくが頼めば一発OK! ダテに高僧はやっていないよ」
ジョミー「そ、そんなぁ…」

伝説の高僧、銀青様の推薦とあればキース君の大学も大歓迎。
ジョミー君がトチった場合は、お坊さんコース?

2012/12/14 (Fri)

 

☆坊主へカウントダウン


誰か一人でもトチろうものなら、えらいことになりそうなキャロリング。
危険因子と見なされたジョミー君、坊主フラグが立ちそうです。

キース 「本気で危機感を与えた方がいいと思うぞ、こいつの場合は」
サム  「だよなぁ、雪玉一斉掃射を受けてからでは手遅れだぜ」
ブルー 「ぼくのシールドでも防げないしね、ブルーの攻撃は」
スウェナ「やられちゃってから坊主頭じゃ遅いのよねえ…」
シロエ 「ええ、なんだかんだと逃げられそうです」
キース 「先に退路を断っておくべきだな」
ブルー 「うん、その方がいいだろう。失敗すれば坊主コースの方向で」

何かアイデアは…、と首を捻った生徒会長、ポンと両手を打ち合わせて。

ブルー 「そうだ、今は加行の最中だっけ。璃慕恩院の」
一同  「「「けぎょう?」」」
キース 「俺が行ったヤツだ、住職の資格を取る道場だ。今年も寒いな」
サム  「あー、アレかぁ…。キースの時も寒かったよなぁ」
ブルー 「あれを参考にビシバシやろう。一度トチれば罰礼10回」
シロエ 「ばつらい…って、何でしたっけ?」
キース 「南無阿弥陀仏に合わせて五体投地だ。キツイんだぞ」
ブルー 「トチッた分だけ罰礼も増える。合計千回で坊主コース決定」
ジョミー「そ、それってトチるの千回だよね?」
ブルー 「違うよ、合計千回だから。百回トチればアウトってことさ」
キース 「そいつはいいな。残りの稽古に身が入る」
サム  「あと三日しかねえもんな。今日を入れて四日」
マツカ 「いつものペースでミスっていたら、確実に百回いきますよね」
ジョミー「やだよ、そんなの!」
ブルー 「死ぬ気で頑張れば回避出来るさ。さあ、カウントを始めよう」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ホワイトボードに書くんだね!」
ジョミー「う、嘘…。たった百回で坊主にされちゃうわけ!?」

壁に掛かったホワイトボードには残り日数が書かれております。
ヒイラギなどを飾り付けたボードで、お坊さんへのカウントダウン開始?

2012/12/15 (Sat)



 

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☆感謝すべき日


『いい夫婦の日』の翌日は祝日で勤労感謝の日。
生徒会長に貢ぎまくっている教頭先生に感謝する日だ、とソルジャーが。

Aブルー「一日くらいは感謝したって罰は当たらないと思うんだよ」
ブルー 「ハーレイが勝手にやっているんだ、感謝は不要!」
Aブルー「やらせている、の間違いだろう? 毟ってるくせに」
ブルー 「本当に嫌なら逃げる筈だよ、毟られるのも嬉しい体質なんだ」
Aブルー「マゾっ気があるというわけか…。うん、それは分かる」

チラリとキャプテンを見るソルジャー。

Aブルー「ぼくのハーレイもそういう部分がゼロではないしね」
A船長 「私がですか!?」
Aブルー「違うのかい? ヘタレ生活は長かったよねえ、結婚までの」
キース 「そういや、あんた、散々やらかしていたな。家出とかを」
Aブルー「家出もしたし、薬も使った。でもハーレイは逃げなかったさ」
A船長 「わ、私はあなたを追っていただけで、けしてマゾでは…!」
Aブルー「傍目には立派なマゾっ気だよ、それ」
シロエ 「ですねえ…。絶対に違うとは言い切れない気が」
Aブルー「ね、君たちもそう思うだろ? こっちのハーレイも同類だよ」

だから気の毒になるわけで、とソルジャーは溜息をつきまして。

Aブルー「同じマゾでも報われるのと、そうじゃないのとは雲泥の差だ」
ブルー 「ハーレイはあれが生甲斐だってば!」
Aブルー「君との結婚が夢じゃないか。そのために努力してるのに…」
A船長 「結果が出ないのはお気の毒ですね…」
ブルー 「出す必要は無いんだよ!」
Aブルー「だけど勤労感謝の日があるんだろう? 働きに感謝!」
ブルー 「…感謝しなかったらどうなるわけ?」
Aブルー「えーっと…。ぼくが代わりに労いに行ってあげようかな?」
A船長 「あなたがですか!?」
Aブルー「ボランティアだよ、昔取った杵柄」

花嫁修業をしに行ったしね、とソルジャーはやる気満々です。
教頭先生の家で花嫁修業って、確かにやってましたよね…。

2012/11/16 (Fri)

 

☆感謝を形に


生徒会長にその気が無いなら、自分が代役をすると言うソルジャー。
勤労感謝の日に教頭先生の家に押し掛け、労うつもりでございまして…。

Aブルー「基本は押さえているんだよ。お風呂か食事か訊くんだよね」
ジョミー「それ、お休みの日には意味無いんじゃない?」
スウェナ「そうね、仕事に行かないものね」
キース 「いや、使えないことはない。ジョギングをなさる日もあるし」
マツカ 「ひと汗かいてお帰りになったらシャワーですよね」
Aブルー「了解。それじゃホテルをチェックアウトしたらお邪魔しよう」
A船長 「ま、待って下さい、私は一人で帰るのですか?」
Aブルー「仕方ないだろう、ブルーの代役はぼくしか出来ない」
ブルー 「やらなくていいっ!」
Aブルー「だったら君が感謝するかい?」

ハーレイの家で色々と…、と言われましても…。

ブルー 「…それくらいならパーティーにするよ。ぼくの家でさ」
Aブルー「うーん…。さっきまでなら充分にオッケー出来たんだけどね」
全員  「「「は?」」」
Aブルー「花嫁修業を思い出したら、それじゃダメだという気がしてさ」

感謝の気持ちは大いに形にするべきだ、というのがソルジャーの主張。

Aブルー「ここでパーティーするってだけなら日常だろう?」
キース 「まあ…。教頭先生がゲストということは少ないが…」
サム  「なんだかんだでパーティーするよな、言われてみれば」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 今もパーティーだしね!」
Aブルー「そこなんだよねえ、特別な日には非日常を演出すべきだよ」

いい夫婦の日もそれなんだから、とソルジャーは胸を張っております。

Aブルー「地球のホテルで過ごすというのが目玉なんだよ、今回の」
A船長 「夜景が素晴らしいホテルだそうです。私も今から楽しみで」
ブルー 「ぼくにホテルへ行けとでも!?」

なんでハーレイとホテルになんか、と生徒会長は顔面蒼白。
いくら感謝でも、一緒にホテルはサービスし過ぎじゃないですかねえ?

2012/11/17 (Sat)

 

☆感謝の表わし方


いい夫婦の日はキャプテンとホテルに泊まるらしいソルジャー。
生徒会長も勤労感謝の日に教頭先生にサービスすべき、との主張でして。

ブルー 「ハーレイとホテルだなんて最悪だよ! 食事ならともかく!」
Aブルー「そしてハーレイに奢らせるんだろ? それじゃ本末転倒だ」
ブルー 「だから最初から行かないってば!」
Aブルー「誰も行けとは言っていないよ、ホテルにはさ」

こっちのハーレイには猫に小判だ、とソルジャーはバッサリ。

Aブルー「君とホテルに行ったところで何も出来ずに轟沈だろ?」
A船長 「随分と奥手でらっしゃいますしね、私の師匠ではありますが」
Aブルー「妄想だけは凄いのになぁ…。いざとなったら鼻血なんだよね」

ホテルに行くだけ無駄というもの、とソルジャー夫妻の意見も一致。

Aブルー「鼻血じゃ全く感謝にならない。食事を奢らせるのも言語道断」
ブルー 「じゃあパーティーでいいじゃないか! ぼくの家で」
Aブルー「それは却下だと言った筈だよ、大切なのは非日常!」
ブルー 「いったい何が言いたいのさ!?」
Aブルー「さっきからの流れで分からないかな、日頃の働きを労うわけ」
ブルー 「だったらパーティーで充分じゃないか!」
Aブルー「ダメダメ、気分は一日花嫁!」
全員  「「「一日花嫁!?」」」
Aブルー「そう、花嫁。食事にしますか、お風呂ですか…ってね」
ブルー 「そ、それ、もしかして、ハーレイの家で……」
Aブルー「決まってるだろう、洗濯なんかも喜ばれそうだ」

紅白縞は手洗いだよね、とソルジャーはニヤニヤ。
花嫁修業をしていた時にキッチリ覚えたみたいです。

ブルー 「せ、洗濯…。ぼくがハーレイの紅白縞を…」
Aブルー「心をこめて手料理もね。あ、一人で行っちゃダメなんだっけ」
ブルー 「知ってるんなら無茶な企画はお断り!」

「生徒会長は教頭先生の家に一人で行ってはいけない」のが決まり。
お約束を盾にした生徒会長、ソルジャー相手に形勢逆転出来ますかねえ?

2012/11/18 (Sun)

 

☆やっぱり手料理


勤労感謝の日に教頭先生の家で生徒会長が一日花嫁、と言うソルジャー。
しかし生徒会長、一人で行ってはいけない決まりがありまして。

ブルー 「ハーレイの家に行けない以上は絶対無理だね、そのプラン」
Aブルー「うーん…。だったらホームパーティーってことで」
ブルー 「ほらね、そっちで決まりじゃないか。それで決定!」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ぼく、頑張ってお料理する!」
Aブルー「違うよ、ぶるぅ。料理はブルーが作るんだ」
ブルー 「ぶるぅの方が凝った料理でおもてなし出来ると思うけど?」
Aブルー「君でなくっちゃ意味が無い。ねえ、ハーレイ?」
A船長 「ええ、その方が絶対お喜びになりますよ」
ブルー 「分かったよ…。どうせ監視もする気だろ?」
Aブルー「もちろんさ。ついでにゲストで参加しようかな、ハーレイと」
ブルー 「君たちの分まで作るのかい!?」
Aブルー「パーティーは大勢の方が楽しいってば。よろしく頼むよ」
ブルー 「…この際、手抜き料理でいいかな。鍋パーティーとか」
Aブルー「なるほど、コンロと鍋とを持ち込むんだね」
ブルー 「なんだって?」
Aブルー「数が足りないだろ、一人暮らしをしてるんだから」
ブルー 「えっ?」
Aブルー「こっちのハーレイだよ、寂しい独身生活ってね」

確か卓上コンロは一つだけ、とソルジャーは記憶を遡っております。

Aブルー「納戸の中まで見ていないけど、あっても2台じゃないのかな」
ブルー 「ちょっと待った! まさかパーティー会場は…」
Aブルー「ハーレイの家に決まってるだろ? 君が一人でなければOK」
ブルー 「ぼ、ぼくがハーレイの家で料理を…?」
Aブルー「そういうこと。君の手料理、楽しみだなぁ」
A船長 「あなたがキッチンに立たれるだけで感激なさると思いますよ」
ブルー 「……そ、そんな……」
キース 「諦めろ。手が足りないなら俺が手伝ってやってもいいぞ」

逆らったらもっと大変なことに、とキース君。
それは確かに確実かも…?

2012/11/19 (Mon)

 

☆感謝の手料理


ソルジャーの案は教頭先生の家でのホームパーティー。
生徒会長が手料理を振る舞い、教頭先生やゲストをもてなす趣向らしく。

Aブルー「この際、鍋でも手抜きでもいいんだよ。要は手料理!」
ブルー 「分かったよ、作ればいいんだろう!」
Aブルー「よし、決まり! それじゃ早速」
全員  「「「えっ?」」」

青いサイオンが迸りまして、次の瞬間、揃って移動した先は。

ハーレイ「な、なんだ!?」
Aブルー「こんにちは。すまないね、急に大勢でお邪魔して」
ハーレイ「い、いえ…。コーヒーでよろしいですか?」
Aブルー「お気遣いなく。今日は散々だったようだし、その件でね」
ハーレイ「御存知でしたか…。お恥ずかしいです」
Aブルー「何処がだい? 大切な人に全力で貢げるのは素晴らしいよ」

でね、とソルジャーは生徒会長を前に押し出しまして。

Aブルー「たまには君に感謝するように、とブルーを説得したんだけど」
ハーレイ「は?」
Aブルー「勤労感謝の日があるんだって? その日にさ…」

プランを聞いた教頭先生、大感激でございます。
七五三で毟られた事件は頭から綺麗に吹っ飛んだようで。

ハーレイ「そうか、お前が来てくれるのか。楽しみだな」
ブルー 「…不本意ながらね」
ハーレイ「あれこれ言える立場ではないが、そのぅ…肉じゃがとか…」
ブルー 「肉じゃが?」
ハーレイ「い、いや、食べてみたいと思っただけで! 鍋で充分だ!」
ブルー 「…肉じゃがねえ…。作ってほしい手料理の定番だっけ」
ハーレイ「す、すまん…。つい…」

妄想が先走ったらしい教頭先生、耳まで真っ赤。
ソルジャーがクスクス可笑しそうに。

Aブルー「いいパーティーになりそうだね。ぼくも楽しみだよ」
ハーレイ「お越しをお待ちしております。…それにブルーも」
ブルー 「まったく、なんでこんなことになったんだか…」

勤労感謝の日は教頭先生の家で鍋パーティー。
七五三の二次会の締め、次なる企画の前振りになったようですねえ…。

2012/11/20 (Tue)

 

☆まずは買い出し


教頭先生の家で手料理を作らされる羽目になった生徒会長。
ブツブツ文句を言っている間に日は流れまして、いよいよ勤労感謝の日。

ぶるぅ 「かみお~ん♪ みんな、朝早くからありがとう!」
キース 「最初に手伝うと口にしたのは俺だしな。当然のことだ」
ジョミー「それに食べるの、ぼくたちだしね。買い出しくらいは」
ブルー 「悪いね、君たちまで巻き込んじゃって」
サム  「そんなことねえよ、買い物だって楽しそうだぜ」
シロエ 「ですよね、プロが行く卸売市場でしょう?」
スウェナ「普通に行っても売ってくれないイメージだわ」
マツカ 「店によってはそうなんでしょうね」
ブルー 「もちろんさ。だけど、ぶるぅは常連さんだし」

それじゃ行こうか、と反則技の瞬間移動で生徒会長の家から市場へと。

ぶるぅ 「えーっと…。お野菜、お野菜!」
ブルー 「そこの白菜をお願いします。鍋にするんで」
おじさん「え、鍋かい? こいつは鍋にはもったいないよ?」
ぶるぅ 「究極の味噌ちゃんこを作るんだって! 材料も最高なの!」
おじさん「ちゃんこ鍋ねえ…。まあ、たまにそういうのもいいかもな」
ブルー 「すみません、変な注文で…。他にお勧めはありますか?」
おじさん「ネギのいいのが入ってるよ。それから…」

あれもこれも、と選んでもらって野菜を詰めた段ボール多数。
台車に乗っけてキース君たちが押しております。

キース 「しかしアレだな、流石ちゃんこだ」
ジョミー「どの辺が?」
キース 「普通、味噌鍋にジャガイモが入るか?」
シロエ 「言われてみれば……珍しいですね」
キース 「そのジャガイモまで最高級というのがな…」
ブルー 「同じ作るなら美味しくないとね? 次はあっちへ」

建物を移動しまして、今度はお肉。
たかが味噌ちゃんこに霜降り肉とかを買い込んで。

ブルー 「さて、行こうか。ハーレイがお待ちかねだ」

瞬間移動で教頭先生の家の玄関まで。
教頭先生、大感激で扉を開けてお出迎えですよ~!

2012/11/21 (Wed)

 

☆手料理の位置づけ


卸売市場での買い出しを済ませ、教頭先生の家に瞬間移動した御一行様。
待ちかねておられた教頭先生、満面の笑顔でございまして。

ハーレイ「おはよう。まさか本当に来てくれるとはな」
ブルー 「もしかして疑っていたってこと?」
ハーレイ「い、いや、それは…」
ブルー 「気持ちは分からないでもないけどね。でもさ…」

昨日あれこれ持ってきただろ、と生徒会長は申しております。

ブルー 「君の家には卓上コンロが沢山ってわけじゃないからさ」
ぶるぅ 「土鍋も1個しか持ってないよね、一人暮らしだもん!」
ハーレイ「お前たちと一緒に暮らせる日が来たら買い揃えるが…」
ブルー 「ふうん? ぼくやぶるぅと同じ鍋を囲むのは嫌なんだ?」
ハーレイ「違う、そういう話ではなくて!」
ブルー 「分かってるってば、ホームパーティー用に揃えるんだろ?」

そんな日は来ないと思うけど、とクスクス笑う生徒会長。

ブルー 「勤労感謝の手料理で我慢しておくんだね。それが限界」
ハーレイ「す、すまん…」
ブルー 「それじゃ台所を借りるから。たかか鍋でも一仕事なんだ」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ぼくもお手伝いする!」
キース 「俺も行こう。…お前たちはどうするんだ?」
ジョミー「んーと…。とりあえず見学しに行こうかな?」
サム  「俺も、俺も! 料理するブルーって見ておきたいし!」

生徒会長に惚れているサム君の発言、教頭先生は勘違いしたようで。

ハーレイ「うむ、ブルーは料理も完璧らしい。大いに見学すべきだろう」
ブルー 「ぶるぅほどではないけどね? でも出来る男は料理も必須さ」
ハーレイ「そうなのか?」
ブルー 「でなきゃ女性にモテないよ。手料理を待ってちゃダメなんだ」
ハーレイ「な、なんだって?」
ブルー 「今の時代の流れかな? 男もキッチンに立たなくちゃね」

愛する彼女に振る舞う手料理、と言われて教頭先生は顔面蒼白。
生徒会長の手料理と聞いて喜んでいたのに、時代遅れな男認定ですか…?

2012/11/22 (Thu)

 

☆手料理でピンチ


出来る男は料理も必須、と言われてしまった教頭先生。
手料理を作って貰うよりかは、振る舞う方がポイントが高いそうでして。

ハーレイ「そ、そういう時代になっていたのか…」
ブルー 「まあ、基本は彼女に作って貰うって方なんだけどさ」
キース 「確かに俺の大学時代も料理が出来るヤツはモテてたな」
ブルー 「だよね? 家事を女性に丸投げするのはもう古いんだ」
ハーレイ「私はお前に丸投げなどは…!」
ブルー 「そうかなぁ? お風呂にしますか、食事ですかが夢だろう?」
ハーレイ「…うっ…。それはそうだが…」
ブルー 「君の帰宅時間に合わせて両方の支度をするんだよ?」
シロエ 「思いっ切り家事に縛られますよね…」
ジョミー「残業とかでも待っていなくちゃダメなんだよね?」
スウェナ「そうなんじゃない? 私のママだと先に寝ちゃうけど」
キース 「俺のおふくろは待つタイプだが、坊主の嫁はそんなもんだな」
ブルー 「お寺の世界は古いから…。だけどぼくには合わないや」

ハーレイの夢には付き合いきれない、とバッサリ切り捨てる生徒会長。

ブルー 「というわけでね、感謝の手料理とぼくの気持ちは別件なんだ」
ハーレイ「だったら私も手伝おう。それなら構わないだろう?」
ブルー 「共同作業はお断り! 君と一緒に料理したくないし」
ハーレイ「べ、別にケーキに入刀するわけでは…」
ブルー 「ほら、もう妄想が入ったじゃないか! それが嫌なんだよ」
ハーレイ「し、しかし初めての共同作業と言えばケーキで…」
ブルー 「ウェディングケーキに入刀だって? 今日のは野菜!」

鍋なんだから、と生徒会長は激怒しておりますが。

Aブルー「おやおや…。ハーレイを苛めちゃダメじゃないか」
ブルー 「もう来たわけ!?」
A船長 「おはようございます。チェックアウトは正午なのですが」
Aブルー「こっちの方が面白そうだし、早めに来たのさ」

瞬間移動でゲストが二人。
教頭先生、助け舟を出して貰えるでしょうか?

2012/11/23 (Fri)

 

☆いい夫婦の助け舟


手料理に憧れる教頭先生を時代遅れだと詰った生徒会長。
教頭先生が手伝うと言い出せばブチ切れ、怒っていたのでございますが。

Aブルー「今日は感謝の日なんだろう? 苛めちゃダメだと思うけどね」
ブルー 「ハーレイの態度が悪いんだよ! 妄想全開で突っ走るから!」
ハーレイ「す、すまん…。お前が来てくれたから、つい嬉しくて…」
Aブルー「感激のあまり暴走するのも素敵じゃないか」
A船長 「勢いは大切だと思いますよ。でないと進展しませんし」
ブルー 「そういう話はしてないってば!」
Aブルー「でも、ここは許してあげないと…。感謝が台無し」
ブルー 「そりゃそうだけど…」
Aブルー「分かったんなら手料理開始! えっと、ハーレイは…」
ブルー 「手伝いは無しで! 手伝わせたんじゃ感謝にならない」
Aブルー「そう来たか…。じゃあ、共同作業は諦めるんだね」
ハーレイ「は、はい…。手伝いをしたかったのですが…」

なんとも惜しそうな教頭先生。
とはいえ、助け舟から放り出されても悲しいですし…。

ハーレイ「ブルー、色々すまなかった。料理の方はよろしく頼む」
ブルー 「オッケー、水に流しておくよ。ぼくもブルーが怖いんだ」
Aブルー「何か言ったかい?」
ブルー 「ううん、君は料理に向いてないな、って」
Aブルー「それはもちろん! ぼくは面倒なことは嫌いで」
A船長 「実は私も、ブルーの手料理というのは未だに一度も…」
ハーレイ「そうでしたか。それなら私は充分に幸せ者ですね」
Aブルー「結婚も婚約もしていないのに手料理だしね」
ブルー 「つまり破格のサービスなわけ! 感謝してよ?」
Aブルー「ハーレイが感謝してどうするのさ? 感謝は君だろ」
A船長 「今日は勤労感謝の日だそうですし…」
ブルー 「分かったよ、感謝をこめて料理を作ればいいんだろう!」

いい夫婦なんぞに横から四の五の言われなくても、と生徒会長は溜息。
そう言えば昨日は『いい夫婦の日』で、それが発端でしたっけ…。

2012/11/24 (Sat)

 

☆ちゃんこ鍋の準備


なんだかんだ言いつつ、手料理を作ることになった生徒会長。
手伝いと野次馬なシャン学メンバーやソルジャーを連れて、キッチンへ。

Aブルー「凄い量だね、この野菜…。全部切るわけ?」
ブルー 「丸ごと入れても食べられないだろ? でもその前に出汁だ」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 大きなお鍋で仕込まないとね!」

コンロの上に据えられたのは「そるじゃぁ・ぶるぅ」愛用の銅鍋。
シチュー用ではなく、昆布出汁やカツオ出汁を使う料理の鍋でして。

ブルー 「ちゃんこ鍋の素なんかは論外なんだよ、こだわらなくちゃ」
キース 「あんた、意外に真面目なんだな」
ブルー 「味にはうるさい方なんだ。昆布もコレって決めてるし」

水を張った鍋に生徒会長が入れた昆布は最高級だそうでございます。
たっぷりと出汁を取り、それから味噌を溶くらしいですが。

ブルー 「ぶるぅ、取り分ける分を忘れないでよ」
ぶるぅ 「うん! こっちのお鍋に移しておくから」
キース 「取り分ける? 出汁が減ってきた時に足す分か?」
ブルー 「それは基本の作業だろう? ぼくが欲しいのは別口だけど」
全員  「「「別口?」」」
ブルー 「そう。えっと、手伝ってくれるのは誰だっけ?」
キース 「俺とシロエと…マツカあたりか」
スウェナ「私もやるわよ、切るだけでしょ?」
ブルー 「じゃあ、そのメンバーでお願いするよ」

買った野菜を鍋用に切って、と生徒会長は指示を出しまして。

ブルー 「見栄えのいいように盛り付けてよね、そこの器に」
キース 「適当に盛るんじゃダメなのか?」
ブルー 「見た目ってヤツも大切なんだよ」
ぶるぅ 「大丈夫、ぼくも手伝うから!」
ブルー 「それじゃ、よろしく。えっと、ジャガイモは…と」
キース 「あんたはジャガイモ係を希望か?」
ブルー 「ジャガイモは鍋に入れるんじゃないよ」
全員  「「「は?」」」

生徒会長こだわりの味の味噌ちゃんこ。
ジャガイモは鍋に入らないとは、いったいどんな使い方を?

2012/11/25 (Sun)

 

☆ジャガイモの出番


教頭先生の家のキッチンで料理を始めた生徒会長。
自分はジャガイモ担当と言いつつ、ジャガイモは鍋には入れないそうで。

キース 「味噌鍋にジャガイモというのは珍しいとは思ったが…」
シロエ 「どうするんですか、おつまみ用にじゃがバタですか?」
ブルー 「じゃがバタに出汁を使うかい? これは肉じゃが!」
ジョミー「に、肉じゃがって…」
Aブルー「まさかハーレイが言ってたヤツ? 手料理の定番とかいう…」
ブルー 「そうだけど?」

リクエストにはお応えしなくっちゃね、と生徒会長はニコニコと。

ブルー 「というわけで、ぼくは肉じゃが担当なわけ」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ それと味噌ちゃんこの仕上げだよね!」
キース 「ちょっと待て! すると霜降り肉を買っていたのは…」
ブルー 「もちろん肉じゃが用だってば。ちゃんこは豚肉!」
ぶるぅ 「えとえと、味噌ちゃんこには豚肉が合うの!」
ブルー 「買い出しの段階で気付かなかったというのがねえ…」
シロエ 「普段から料理をしている面子はいませんからね」
サム  「シロエたちだって合宿の時くらいだもんなあ」
スウェナ「私もたまに手伝うだけだわ」
ブルー 「そんなとこだろうね。まあ、頑張ってよ」

野菜を切るのは簡単だから、と生徒会長はジャガイモを剥きまして。

ブルー 「さて、ニンジンと玉ねぎと…」
Aブルー「簡単そうな料理だねえ? なのに手料理の定番なんだ?」
ブルー 「意外と奥が深いんだよ、これは」
Aブルー「炒めて煮るだけに見えるけど?」
ブルー 「料理が下手だと焦がしてしまうし、味付けも…ね」
ぶるぅ 「うん、お家の数だけレシピがあるかも!」
Aブルー「なるほど、ブルーならではの味に仕上がるのか」

ハーレイが夢を見るわけだ、とソルジャーは納得した様子。

ブルー 「えーっと、後はちゃんこの味を、と」

肉じゃがを仕上げた生徒会長、ちゃんこの味を調えております。
最高級の味噌を溶き入れ、いい味になったようですよ~!

2012/11/26 (Mon)

 

☆鍋を囲む面子


生徒会長の手料理は肉じゃがと究極の味噌ちゃんこ。
大きな銅鍋で仕込んだ味噌ちゃんこ、出来上がったようでございまして。

ブルー 「後は土鍋に分けるだけ…ってね。沢山作ると美味しいんだ」
ぶるぅ 「えとえと、お鍋は此処にあるけど…。どう分けるの?」
ブルー 「みんなで11人だから…。4人用が2つと3人用が1つ」
キース 「流石に教頭先生に一人鍋とは言わんようだな」
ブルー 「それを言ったらブチ殺されるよ、そこのブルーに」
Aブルー「別に殺しはしないけど? ただネチネチと嫌味を言うだけ」
ブルー 「ほらね、ロクでもないだろう? で、ハーレイの鍋には…」
キース 「俺が行こうか? シロエとマツカと」
ブルー 「そうするかい? 柔道部員と顧問で和気あいあいと」
シロエ 「いいですね! じゃあ、土鍋を向こうに運びましょうか」
Aブルー「あれっ、そこのニンニクは使わないわけ?」

皮だけ剥いて置いてあるけど、と言うソルジャー。
生徒会長が買った最高級のニンニクが置きっぱなしになっております。

ブルー 「今回、出番が無いようだから」
Aブルー「なんで?」
ブルー 「ハーレイはキースたちと一緒に鍋だし」
Aブルー「えっ? じゃあ、面子が変わればニンニクとか?」
ブルー 「うん。だけど出番が」
Aブルー「なるほどね…。ニンニクは精力剤なんだ?」
ブルー 「な、なんでそれを!」
Aブルー「気になったから君の思考を読んじゃった。つまり…」

ぼくとハーレイが鍋の面子ならニンニクが、とソルジャーはワクワク。

Aブルー「ハーレイの鍋に行きたがる人は無いと思っていたんだね?」
ブルー 「まあね。そうなったら君たちに押し付けようと」
Aブルー「でもってサービスにニンニクなんだ? それ、乗った!」
全員  「「「は?」」」
Aブルー「ハーレイの鍋にはぼくたちが行くよ」

だからニンニク、という注文にニンニクをすりおろし始めた生徒会長。
皆も手伝ってすぐに終わりましたが、ニンニク鍋って…。

2012/11/27 (Tue)

 

☆鍋と肉じゃが


仕上げに大量のニンニクをすりおろし、味噌ちゃんこ完成でございます。
リビングのテーブルにセットされた卓上コンロに土鍋が置かれて。

ブルー 「どうぞ、ハーレイ。お待ちかねの手料理だよ」
ハーレイ「…私の鍋には来てくれないのか?」
ブルー 「そこは感謝の範疇外! その代わりと言ってはなんだけど」
ハーレイ「は?」
ブルー 「もう一品つけることにしたのさ、御希望のヤツを。ぶるぅ!」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ブルーが作った肉じゃがだよ!」

肉じゃがを盛り付けたお皿を配って回る「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
教頭先生の前には特盛りのをドンッ! と。

ハーレイ「ほ、本当に作ってくれたのか…。ありがとう、ブルー」
ブルー 「どういたしまして。だから鍋メンバーから外れていいよね?」
ハーレイ「う、うむ…。正直、残念なのだが…」
Aブルー「まあまあ、ぼくたちとパァーッとやろうよ」
A船長 「あまり急ぎ過ぎてもいけないかと…。地道な歩みが大切です」
ハーレイ「そうですね…。手料理までは漕ぎ付けましたし」
ブルー 「誰が本気で手料理って言った? 勤労感謝の日だからだよ!」

生徒会長、ブツブツ言いながら教頭先生の鍋にニンニクのすりおろしを。

ハーレイ「…ニンニクか?」
ブルー 「明日も休みだし、かまわないだろ? 温まるよ、これ」
ぶるぅ 「ぼくのお鍋にもニンニクお願い! 美味しくなるし!」
ブルー 「了解。他のみんなは?」
キース 「ぶるぅのお勧めの範囲内で頼む。坊主はニンニク禁止だしな」
ブルー 「オッケー、それじゃ君たちにも」

ニンニクが入った味噌ちゃんこ鍋。
野菜やお肉もブチ込みまして、煮ている間に肉じゃがを賞味。

ハーレイ「美味いな、これは。…まさか作ってくれるとは…」
ブルー 「ちょっとお高くついちゃったけどね」
ハーレイ「材料費か? それくらいなら私が払うぞ、喜んで」

お前の手料理が食べられたのだし、と満面の笑みの教頭先生。
安請け合いしちゃって大丈夫ですか?

2012/11/28 (Wed)

 

☆手料理の代償


生徒会長の手作り肉じゃがに感激なさった教頭先生。
お高くついてしまったという材料費の方、支払うと言っておられますが。

ブルー 「本当に払ってくれるわけ? 喜んで?」
ハーレイ「もちろんだ。美味い手料理を作ってくれたし、そのくらいは」
ブルー 「ありがとう。…実は鍋の費用も嵩んじゃってさ…」
ハーレイ「この鍋か? お前が味付けしてくれたんだな?」
ブルー 「うん。煮えてきたようだけど、口に合うかどうか…」
ハーレイ「どれどれ…」

味噌ちゃんこの具と汁を器に掬った教頭先生、一口食べてみて。

ハーレイ「これも美味いな。店で食べるのとは一味違う」
ブルー 「そりゃあ、ぶるぅの直伝だしね。色々こだわりがあるんだよ」
ハーレイ「隠し味か?」
ブルー 「やっぱり決め手は材料かな。昆布も味噌も大切なんだ」
ハーレイ「それで費用が嵩んだのか。では、美味さに敬意を表さんとな」

いくらだったんだ、と微笑む教頭先生に生徒会長は。

ブルー 「ざっと、これだけ」
ハーレイ「な、なんだこれは!?」
ブルー 「仕入れにかかった費用だよ。ぼくの手間賃は入ってないから」

そこは勤労感謝の日でサービス、と生徒会長はにこやかに。

ブルー 「払えないんなら君の分だけでもOKさ。11で割って」
ハーレイ「い、いや、それは…」
Aブルー「あーあ、結局、甲斐性の問題になっちゃうのか…」
ブルー 「当たり前だろ、ハーレイが自分で言い出したんだし!」
A船長 「しかし、感謝の日だったのでは?」
ブルー 「そこは手料理でチャラになるわけ、ぼくは充分頑張った!」
Aブルー「確かにねえ…。うん、味噌ちゃんこも美味しいよ」
A船長 「身体の芯から温まりますね」
ハーレイ「美味い手料理を食い逃げというのは最低だろうな…」
ブルー 「おや、11で割るんじゃないんだ? 見直したよ」

教頭先生、先日の七五三の痛手も癒えない財布から思い切ってポンと。
勤労感謝の日が泣きますけど、貢ぐのが生甲斐ですもんね!

2012/11/29 (Thu)

 

☆愛が生まれる鍋


肉じゃがと究極の味噌ちゃんこ。食材は全て最高級。
半端ではなかった材料費の方、教頭先生が全額負担ということになり…。

ブルー 「それじゃ改めてハーレイの働きに感謝!」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ハーレイ、御馳走様!」
ハーレイ「そ、それはブルーに言うべきだろう。作ったのだし…」
ブルー 「ふふ、好きだよ、ハーレイ。全てはぼくへの愛ってね」
ハーレイ「う、うむ…」
ブルー 「どうかした? なんだか顔が赤いけど」
ハーレイ「な、なんでもない。…少し暖房が効きすぎのようだ」
キース 「そうですか? 設定温度は変えてませんが」
シロエ 「鍋ですからねえ、ちょっと高めに感じるかも…」
Aブルー「暖房のせいじゃないと思うな、多分」
一同  「「「えっ?」」」
Aブルー「どうかな、ハーレイ? 暑くないかい?」

ソルジャーが尋ねた相手はキャプテンで。

A船長 「暑いと言うより、何かこう…。ポカポカというか…」
Aブルー「ムンムンでムラムラって感じじゃないかな?」
A船長 「しょ、食事の最中なのですが…」
Aブルー「隠さなくてもいいってば。ニンニクたっぷりの鍋なんだから」
ブルー 「サービスでうんと多めに入れたし、効いてくる頃かと」
A船長 「は? で、では、この鍋にはそういう効果が?」
Aブルー「食べ終わったら帰ってたっぷり楽しもう! いい夫婦の日!」
A船長 「それは昨日で終わりましたが?」
Aブルー「じゃあ、お互い勤労感謝ってことで」

和気あいあいと盛り上がっているソルジャー夫妻。
一方、教頭先生は…。

ハーレイ「ブ、ブルー、私はどうなるのだ?」
ブルー 「さあねえ? 孤独に噴火は慣れているだろ」
ハーレイ「そ、そんな…!」
Aブルー「良かったら、ぼくたちのベッドに混ざるかい?」
ハーレイ「ま、混ざる…」

教頭先生、想像しただけでツツーッと鼻血。
ドターン! と倒れてしまわれたのに、遠慮なく続く鍋パーティー。
とんだ勤労感謝の日ですが、これにて中継終了です~。

2012/11/30 (Fri)



 

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