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シャングリラ学園つれづれ語り

☆十一月の行事


教頭先生が悲惨な目に遭ったハロウィンのカボチャボートレース。
あれから1週間が経とうとしておりまして、今日は金曜日でございます。

ブルー 「ハーレイが丈夫で良かったねぇ、ぶるぅ」
ぶるぅ 「うん! お腹が冷えてピーピーだったの、1日だったもんね」

転覆したカボチャボートで冷たい池に放置され、お腹を壊した教頭先生。
ハロウィン兼用の運動会の翌日はトイレに籠っていたそうです。

キース 「月曜日は流石にゲッソリしておられたぞ」
シロエ 「柔道部の指導もお休みになったくらいですしねえ…」
ブルー 「細かいことは気にしない! それよりも明日の約束が大切」
ジョミー「七五三に誘ったって、ホント?」
ブルー 「カボチャボートの罪滅ぼしに、って言ったら釣れたよ」
キース 「釣れただと?」
ブルー 「そうさ、ぶるぅの七五三に一緒に行こうと誘ったんだけど」
ぶるぅ 「今年はハーレイが来てくれるんだよ、嬉しいな♪」

パパみたいだぁ! と「そるじゃぁ・ぶるぅ」は大はしゃぎ。
明日、11月3日は七五三に行く予定になっております。

キース 「まさかと思うが、あんた、俺たちも行くってことは…」
ブルー 「伏せておいたよ、当然じゃないか」
シロエ 「ま、待って下さい。それじゃ教頭先生は…」
ブルー 「ぼくと二人で連れて行くんだと思ってるだろうね、ぶるぅを」
キース 「あんた、分かっててやってるな?」
ブルー 「決まってるだろう、ぼくとの結婚への第一歩だと勘違い中さ」

教頭先生、頭の中がすっかり春になっているそうで。

ブルー 「ぶるぅのパパになるのが夢だけあって、気分は天国」
ジョミー「でも、ぼくたちが来てるのを見たら地獄だよね?」
ブルー 「勘違いする方が悪いんだ。いいかい、明日は遅刻厳禁」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ みんなでお出掛けしようね!」

生徒会長のマンション前に集合してから、七五三をやる神社へ出発。
現地集合だという教頭先生、気合を入れた服装で来るんでしょうねえ…。

2012/11/01 (Thu)

 

☆七五三にお出掛け


本日、11月3日は「そるじゃぁ・ぶるぅ」の七五三。
去年もみんなで出掛けましたけど、今年は教頭先生が加わるのだとか…。

ブルー 「おはよう、今日はよろしく頼むよ」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 七五三、とっても楽しみ!」

千歳飴を貰って買い食いだもん、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」は上機嫌。
新品の羽織袴が可愛いです。

ジョミー「ぶるぅは毎年行ってるんだよね、七五三にさ」
ぶるぅ 「だって、子供のお祭りだもん!」
キース 「羨ましいならお前もどうだ? 御祈祷をして千歳飴だぞ」
シロエ 「もう手遅れじゃないですか? ジョミー先輩、僧籍ですよ」
キース 「別に坊主が神社に行ってもかまわないんだが…」
サム  「ジョミーはアレだろ、買い食いしたいだけだと思うぜ」

去年もあれこれ食べていた、と証言するサム君。
シャン学メンバー、去年も七五三にお供したのでございます。

ブルー 「今年は買い食いに向いてるよ? スポンサーがいるからね」
スウェナ「そうね、教頭先生を呼んだのよね」
ブルー 「ぼくと二人だと信じてるからビックリ仰天する筈さ」
キース 「期待させておいて裏切るのがな…」
シロエ 「会長お得意のパターンですってば、今更ですって」
ジョミー「だよねえ…。だけど御馳走してくれるかな?」

お邪魔虫だよ、とジョミー君は首を捻っておりますが。

ブルー 「そこでケチつくような男に未来は無いよ」
キース 「うまいことを言って奢らせる気だな?」
ブルー 「当然じゃないか。君たちも遠慮なくやりたまえ」

神社には露店が一杯だ、と煽りたてている生徒会長。
みんなでゾロゾロとバス停に行き、路線バスへと乗り込みまして。

ジョミー「うわぁ、なんだか賑やかだねえ」
ブルー 「七五三の時期にはこんなものさ。親子連れが多いだろ?」

アルテメシア大神宮前でバスを降りると、参拝客の姿が沢山。
駐車場も順番待ちの車が並んでいるようです。
現地集合だという教頭先生、無事に到着しているでしょうか?

2012/11/02 (Fri)

 

☆いざ、七五三へ


拍手ありがとうございました!

羽織袴の「そるじゃぁ・ぶるぅ」と七五三に来たシャン学メンバー。
アルテメシア大神宮には、教頭先生が一足先においでになっている筈で。

ジョミー「えっと、何処かな、教頭先生」
ブルー 「目立つ所にいると思うよ。あっ、あそこだ」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ おはよう、ハーレイ!」

駆け出した「そるじゃぁ・ぶるぅ」が目指すのは鳥居の前。
スーツでキメた教頭先生が立っておられますが、愕然とした表情です。

ハーレイ「な、なんで大勢揃っているのだ?」
ブルー 「七五三は賑やかにやるものだろう? 記念撮影も基本なんだ」
ハーレイ「し、しかし普通は両親と祖父母くらいじゃないか?」
ブルー 「誰が両親で祖父母だって?」
ハーレイ「い、いや…。てっきりお前が母親役かと…」
ブルー 「でもって君が父親だって!? 冗談じゃないよ」

君は単なる賑やかし、と生徒会長は鼻で笑って。

ブルー 「スポンサーがいないと盛り上がらないし、呼んでみただけさ」
ハーレイ「…スポンサー?」
ブルー 「七五三を派手にやる地域もあってね、披露宴並みらしいよ」
キース 「おい、そんなのがあったのか?」
ブルー 「親族郎党を宴会に招いて、女の子だったらお色直しつき」
全員  「「「お色直し!?」」」
ブルー 「実話だってば、ホテルに貸し衣装部もあったりするんだ」
サム  「おいおい、マジかよ…」
ブルー 「そこまでやろうとは言わないけれど、財布は確保したいよね」
ハーレイ「…私はそういう役回りなのか?」
ブルー 「御祈祷料もよろしく頼むよ、最上級で」
ハーレイ「最上級だと?」
ブルー 「うん、貸し切りのコースがあるんだ。値段もそれなり」

さあ行こう、と先に立つ生徒会長。

ぶるぅ 「えとえと…。ハーレイに肩車して欲しいんだけど…」
ブルー 「御指名だよ、ハーレイ。パパの気分の欠片をどうぞ」
ハーレイ「う、うむ…」

悪い気はせんな、と教頭先生、「そるじゃぁ・ぶるぅ」を肩車。
ちょっと微笑ましい光景かも?

2012/11/03 (Sat)

 

☆微笑ましい肩車


教頭先生の肩車で参道を進む「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
高くなった視点にもう御機嫌で、ニコニコ笑顔で見回しておりますが…。

ぶるぅ 「あっ、串カツ! 味噌味だって!」
ブルー 「いいねえ、買ってあげようか?」
ハーレイ「ま、待ってくれ! この状態で串カツを食うのか?」
ブルー 「君の頭にカツの衣が落ちるって? 知ったこっちゃないね」

財布を出して、と手を出す生徒会長。
教頭先生、早くも毟られフラグが立ったようです。

ハーレイ「うう…。金は出すから、肩車はやめて欲しいのだが…」
ぶるぅ 「えーーー!!! 高い所で食べたいよう!」
ブルー 「子供のお願いを断るのかい? ぶるぅのパパ役は終わりかな」
ハーレイ「そ、それは…」
ブルー 「ぶるぅ、ハーレイはパパになりたくないそうだ。早く降りて」
ハーレイ「いや、かまわん! ぜひ食べてくれ、肩車で!」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ハーレイ、大好き!」

大喜びの「そるじゃぁ・ぶるぅ」は教頭先生のお金で味噌串カツを。
生徒会長が買ってきたそれは味噌ダレたっぷり、衣どころかタレの危機。

ブルー 「はい、ぶるぅ。タレは多めにかけてもらったよ」
ぶるぅ 「わーい、ありがとう!」
キース 「おい待て、それは流石にマズイんじゃないか? タレが…」
シロエ 「そうです、衣は叩けば落ちますけれど、タレはちょっと…」
ブルー 「うーん…。ハーレイはいいと言ったけど?」
スウェナ「でも、記念写真を撮るんでしょ? スーツにタレは最悪だわ」
ジョミー「頭はハンカチでガード出来ても、肩は無理だよね」
マツカ 「風呂敷でもあればいいんですけど…」
ブルー 「ああ、なるほど。それじゃ、こうして」
ハーレイ「な、何をする気だ!?」
ブルー 「味噌ダレと衣の欠片よけだよ」

これでバッチリ、と生徒会長は笑顔ですけど。
教頭先生の頭に被せられたものは、ビニール製のシャワーキャップ。
更に肩にはレースひらひらの白い化粧ケープって、あんまりなのでは…。

2012/11/04 (Sun)

 

☆ケープがお似合い


肩車した「そるじゃぁ・ぶるぅ」に味噌串カツをねだられた教頭先生。
カツの衣やタレで汚れないよう、シャワーキャップと化粧ケープ着用で。

ブルー 「もう食べこぼしは大丈夫! 自信を持って歩きたまえ」
ハーレイ「し、しかし…。なんだか視線が痛いのだが…」

教頭先生はガタイの良さでただでも目立つタイプです。
そこへ珍妙な格好とくれば、思い切り人目を引くのも当然。

ブルー 「別にいいじゃないか、スーツが汚れたら台無しだよ?」
ハーレイ「だが、これは…。せめてもう少しマシなものは…」
ブルー 「文句を言おうというのかい? ぼくの大事な化粧ケープに」
ハーレイ「…なんだって?」
ブルー 「ぼくの大事な化粧ケープと言ったんだ。とっておきのね」
ハーレイ「そ、そうか、お前の大事なものか…。では有難く借りておく」

シャワーキャップは頂けないが、と言いつつ教頭先生は上機嫌。
味噌串カツを頬張る「そるじゃぁ・ぶるぅ」を肩車しながら鼻歌です。

ブルー 「分かり易いねえ、ぼくのだと言った途端にアレだよ」
キース 「………。あんた、ああいう趣味だったのか?」
シロエ 「会長が少女趣味だとは知りませんでした。驚きましたよ」
ジョミー「あんなのをつけてスタイリングとかしてるわけ? スゴイ…」
ブルー 「勘違いをしないで欲しいね、ぼくのヤツだと言っただけだよ」
キース 「いや、だから…。あんたの化粧ケープだろうが」
ブルー 「違うってば。あれはフィシスのお泊まり用!」
全員  「「「は?」」」
ブルー 「ガウンとかだって揃えてるだろ、それと同じさ」
ジョミー「じゃ、じゃあ、教頭先生は騙されてるわけ?」
ブルー 「人聞きの悪い…。勘違いと思い込みだよ、いつものパターン」
ハーレイ「何か言ったか?」
ブルー 「似合ってるね、と話してただけ」
ハーレイ「お前の方が似合うと思うが…」

褒められると照れるな、と教頭先生、頬を赤らめておられます。
何処から見てもお笑いですけど、知らぬが仏?

2012/11/05 (Mon)

 

☆肩車でパパ気分


シャワーキャップとレースひらひらの化粧ケープ。
珍妙な格好の教頭先生ですが、味噌串カツの食べこぼしは防げたようで。

ぶるぅ 「御馳走様ぁ! 美味しかったぁ~♪」
ブルー 「良かったね、ぶるぅ。じゃあ、これは用済み…と」

シャワーキャップと化粧ケープを外す生徒会長。
真っ白な化粧ケープには味噌ダレが点々と零れておりますが…。

ハーレイ「す、すまん…。お前の大事なケープが汚れてしまったな」
ブルー 「いいって、サイオンでコーティングしてあるからさ」

水洗いだけで綺麗に落ちる、と生徒会長はケープを瞬間移動。
家へ送ったみたいです。

キース 「おい。その技があるならスーツも大丈夫じゃなかったのか?」
ブルー 「そりゃね、簡単なことだけど…。そんな義理は無いし」
ハーレイ「…そうなのか…?」
ブルー 「ぶるぅを肩車させてあげているんだ、それで満足するんだね」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 高くていい気分!」
ブルー 「ほら、ぶるぅだって喜んでいる。パパになった夢を見たまえ」

充分サービスしてあげてるよね、と生徒会長は得意そう。
教頭先生も「生徒会長の化粧ケープを借りられた」との勘違いもあって。

ハーレイ「そうだな、ケープは少し恥ずかしかったが、お前のだし…」
ブルー 「悪い気持ちはしないだろう? その意気で行こう!」
ハーレイ「うむ。まず御祈祷をするんだったな」
ブルー 「拝殿貸し切りコースだよ。記念撮影プランもつけて」
ハーレイ「正直、財布には厳しいのだが…。お前のために奮発しよう」
ブルー 「それを言うなら、ぶるぅのため! ぼくは付き添い」

君の配偶者じゃないんだからね、と生徒会長は素っ気ない態度。
しかし教頭先生は燃えておられまして。

ハーレイ「七五三の御祈祷を頼みたいのだが…。拝殿を貸し切りで」
巫女さん「かしこまりました」

準備が整うまでお待ち下さい、と通されたのは立派な和室。
お茶とお菓子も揃っていますし、お値段、思い切り高そうですね…。

2012/11/06 (Tue)

 

☆貸し切りで御祈祷


今年の「そるじゃぁ・ぶるぅ」の七五三の御祈祷は拝殿を貸し切り。
教頭先生の財布には大打撃ですけど、ゴージャスなプランでございます。

ジョミー「なんか立派な待合室だね」
ブルー 「そりゃそうさ。貴賓室みたいなものだから」
シロエ 「そうなんですか?」
ブルー 「外国のお客様も来るからね。和室だけれど椅子席なわけ」
キース 「ああ、璃慕恩院にもそんな部屋があるな」

偉い人しか入れないが、とキース君。

キース 「待てよ、あんたは経験済みか? あの部屋も?」
ブルー 「どうだろうね? でも正座よりかは椅子が楽かな」

ズボンも皺にならないし、などと話している内に…。

巫女さん「御祈祷の準備が整いました。こちらへどうぞ」
ぶるぅ 「かみお~ん♪」

ピョンピョン跳ねてゆく羽織袴の「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
拝殿の手前で皆でお神酒を頂きまして…。

サム  「うへえ、ホントに俺たちだけかよ?」
ブルー 「正確に言えば、ぶるぅだけ! 御祈祷貸し切り!」

広い拝殿に他の人はおらず、「そるじゃぁ・ぶるぅ」が真正面の席へ。
生徒会長が並んで座ると…。

巫女さん「お父様もこちらへどうぞ」
ハーレイ「いや、私は…」
ブルー 「御指名だから座ったら?」
ハーレイ「ほ、本当に構わないのか…?」
ブルー 「お父さんだろ、もっと堂々と!」

教頭先生、まさしく天にも昇る心地というヤツで。
大感激で「そるじゃぁ・ぶるぅ」を間に挟み、生徒会長と夫婦な気分。
間もなく御祈祷が始まりましたが、シャン学メンバーは思念でコソコソ。

ジョミー『ブルーはあれで納得なわけ? 教頭先生がお父さん役だよ?』
キース 『あいつが母親役だと決まったわけではないからな…』
シロエ 『ぶるぅのお兄さん的ポジションってことでいいんでしょう』
ブルー 『何をコソコソ言ってるんだか…。聞こえてるってば』

思念波ダダ漏れ、とクスクス笑う生徒会長。
教頭先生にお父さん役を許した裏には、良からぬ理由が存在するとか?

2012/11/07 (Wed)

 

☆みんなで記念撮影


拝殿での御祈祷で「そるじゃぁ・ぶるぅ」のパパ役になった教頭先生。
御祈祷が終わった後は、お守りや千歳飴が授与されるのでございますが。

巫女さん「はい、千歳飴をどうぞ」
ぶるぅ 「わーい、ありがとう!」
巫女さん「お守りはお父様がお持ちになられますか?」
ハーレイ「い、いや…。失くすとマズイし…」
ブルー 「記念撮影までは持っておいたら? ぶるぅは飴に夢中だから」
ハーレイ「そ、そうか? では私が」

お守りが入った袋を受け取った教頭先生、既に気分は完全にパパ。
記念撮影は本殿を背景に全員集合なのですけれど…。

写真屋 「お父さん、もう少し寄って頂けますか?」
ハーレイ「こうか?」
写真屋 「はい、けっこうです。お守りが見えるように持って下さい」

いきますよ、とカメラのシャッターが。
生徒会長は「そるじゃぁ・ぶるぅ」を挟んで教頭先生と並んでおります。
写真屋さんの頭の中では「そるじゃぁ・ぶるぅ」の従兄か何か。

写真屋 「お疲れ様でした! 写真の方は郵送させて頂きますので」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ また来年ね!」
写真屋 「はいはい、お待ちしてますよ」

来年も七五三に来ると言う妙な台詞をサラッと流した写真屋さん。
まさか毎年来てるだなんて夢にも思っていない筈。

ぶるぅ 「ねえねえ、ハーレイ、肩車がいい!」
ブルー 「パパ、肩車がいいんだってさ」
ハーレイ「そうなのか? では、お守りは…」
ブルー 「ぼくが持つよ。でもって、化粧ケープをもう一度だね」
ハーレイ「なんだって?」
ブルー 「シャワーキャップも装備すべきだ、ぶるぅは色々食べるから」
ぶるぅ 「えとえと、タコ焼きと、クレープと…。それに唐揚げ!」
ハーレイ「そのくらいならスーツは別に…」
ブルー 「万一ってことがあるだろう。この後はホテルに行くんだよ?」

汚れたスーツじゃ恥ずかしいんだ、と化粧ケープを取り出す生徒会長。
シャワーキャップも出て来たものの、ホテルに行くって、何をしに…?

2012/11/08 (Thu)

 

☆みんなで買い食い


再びシャワーキャップと化粧ケープを装備させられた教頭先生。
今度の化粧ケープもレースたっぷり、花模様の刺繍がゴージャスでして。

ハーレイ「…これもお前の趣味なのか?」
ブルー 「もちろん。とっても気に入ってるんだ、有難く借りてよね」
ハーレイ「私もまだまだ甘かったな。化粧ケープまで気が回らなかった」

今度買いに行く、と言う教頭先生が夢見るものは生徒会長との結婚生活。
生徒会長用のガウンなどを買い揃えるのが生甲斐なのでございます。

ハーレイ「化粧ケープは使い勝手よりもデザイン重視なのか?」
ブルー 「うーん…。基本はやっぱりお姫様かな」
ハーレイ「分かった、そういう路線で揃えておこう。ところでだな…」
ブルー 「なんだい?」
ハーレイ「さっきホテルと言わなかったか?」
ブルー 「言ったけど? 予約してあるんだ、メインダイニング」
ハーレイ「は?」
ブルー 「七五三のお祝いだよ。みんなで個室で賑やかに…ってね」

支払いはよろしく、と告げられて教頭先生は顔面蒼白。
けれど生徒会長は全く気にせず…。

ブルー 「お昼はホテル・アルテメシアだよ。買い食いはほどほどにね」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 美味しい食事は別腹だもん!」
ジョミー「ぼくも食べようっと! ぶるぅ、向こうのタコ焼きは?」
ぶるぅ 「買ってきてくれるの? えっと、隣の唐揚げも!」
ジョミー「オッケー!」
ブルー 「ほら、ハーレイ。ジョミーに財布を渡してよ」
ハーレイ「…財布?」
ブルー 「ぶるぅの分だけで済むとは思わないように! 全員に奢り!」
ハーレイ「そ、そんな…」
ブルー 「君はぶるぅのパパだろう? お祝いにパーッと散財したまえ」

ぼくも食べよう、と生徒会長も率先して買い食いを始めまして…。

ブルー 「御馳走様、ハーレイ。次はタクシー代をよろしく」

スーツが無事で良かったよね、と化粧ケープなどを外して門前へ。
既に財政の危機な教頭先生、毟られまくりながらホテルで昼食ですよ~。

2012/11/09 (Fri)

 

☆太っ腹なパパ


「そるじゃぁ・ぶるぅ」を肩車したりとパパ気分だった教頭先生。
その代償はパパに相応しい散財だそうで、貸し切りの御祈祷に昼食に…。

ブルー 「ぶるぅ、七五三おめでとう。まずはみんなで乾杯だよね」
ぶるぅ 「わーい、ありがとう!」

ホテル・アルテメシアのメインダイニングの個室は予約済み。
ついでに料理も既に予約済みで、教頭先生に選択の余地はございません。

ハーレイ「そ、そのぅ……。なんだ、どういう料理を予約したんだ?」
ブルー 「三日前までに要予約のヤツ。お祝いは豪華にしないとね」
マツカ 「…三日前までってことは、食材が…」
ブルー 「そうだよ、仕入れのリスクが高いから要予約! つまり最高」
ハーレイ「さ、最高…」

打ちのめされている教頭先生に構わず、生徒会長はソムリエを呼んで。

ブルー 「シャンパンの一番いいのを頼むよ。他も料理に合わせてね」
ソムリエ「かしこまりました。…未成年の方もおいでのようですが…」
ブルー 「気にせずバンバンついじゃって。大切なのは雰囲気だから」

水のグラスじゃ気分が乗らない、とニヤリと笑う生徒会長。
つまりシャン学メンバーのグラスにも最高のワインなどが入るわけで。

キース 「お、おい…。ワインくらいは教頭先生に楽しんで頂いたら…」
ブルー 「ダメダメ、パパは気前が良くってなんぼだから!」

そうだよね、と念を押された教頭先生は頷くしかなく。

ハーレイ「う、うむ…。今日は楽しくやってくれ」
ブルー 「そういうことで、乾杯といこう。おめでとう、ぶるぅ」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ かんぱーい!」
全員  「「「かんぱーい!」」」

カチン、カチンと触れ合うグラスには最高級のシャンパンが。
飲める「そるじゃぁ・ぶるぅ」や生徒会長はともかく、他の面子は。

シロエ 「なんだか勿体無いですね…」
ブルー 「パパの奢りだ、気にしないように」

豪華な料理が運ばれてきて、ソムリエが料理に合わせたワインを。
教頭先生、受難の日としか…。

2012/11/10 (Sat)

 

☆お次は二次会


七五三の締めはホテル・アルテメシアでの昼食会。
ゴージャスな料理に最高級のワインなどなど、支払額は上がりまくって。

ブルー 「ハーレイ、今日はありがとう。最高の七五三だったよ」
ぶるぅ 「うん! 肩車もとっても楽しかったぁ♪」
ハーレイ「そ、そうか…。ぶるぅが喜んでくれたのだったら私も嬉しい」

お会計を終えた教頭先生、笑顔でいらっしゃいますが。
財布の方には寒風どころか木枯らしビュウビュウ、一足早い冬の嵐が。

キース 「すみません、俺たちまで御馳走になって」
ハーレイ「いや、まあ……ぶるぅも大勢の方が楽しいだろうし」
ブルー 「だよね、パパとしては素敵に演出しないと」

お色直しが無いだけマシだ、と生徒会長は笑っております。
羽織袴の代金の方も毟ったわけではないそうで。

ブルー 「というわけで、来年もよろしくお願いしたいな」
ハーレイ「来年もか!?」
ブルー 「ぶるぅは毎年、七五三! パパを目指すなら覚えておいて」
ハーレイ「…め、目指してもかまわない…のか?」
ブルー 「目指すのは君の勝手だよ。ぼくが応えるかどうかは別モノ」

頑張って、とヒラヒラと手を振り、生徒会長はホテルの玄関へ。
タクシーのドアを開けて貰って「そるじゃぁ・ぶるぅ」と乗り込むと。

ブルー 「今度はぼくの家で気楽に二次会! みんなおいでよ」
ジョミー「えっ、いいの?」
ブルー 「もちろんさ。…ただしハーレイは此処でサヨナラだね」
ハーレイ「何故だ!」
ブルー 「分かってないねえ、二次会に親は不要なんだよ」

結婚式でもそうだろう、と指摘されて言葉を失う教頭先生。
これだけ貢いで貢ぎまくって、二次会は仲間外れとは…。

ブルー 「他のみんなは乗って、乗って。ハーレイ、タクシー代は?」
ハーレイ「…よ、喜んで出させて貰う…」
ブルー 「そうこなくっちゃね」

財布の中身を全て毟った生徒会長、もう御機嫌でございます。
教頭先生を置き去りにして、七五三は二次会に移るみたいですよ~!

2012/11/11 (Sun)

 

☆二次会でもスポンサー


財布代わりに毟られまくった教頭先生、憐れ二次会からは外されまして。
他の面子は生徒会長の家で宴でございます。

ブルー 「遠慮しないで食べてよね。ケーキもお菓子も」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 色々お取り寄せしたんだよ!」
キース 「お、おい…。まさかと思うが、これの支払いは…」
ブルー 「決まってるじゃないか、ハーレイの所に請求書が行くんだ」
シロエ 「まだ毟ろうって言うんですか!?」
ブルー 「ぶるぅのパパ気分を味わえたんだし、安いものだと思うけど」

御祈祷も記念撮影もハーレイはパパのポジションだった、と生徒会長。
それに相応しく散財してなんぼだとケラケラ笑っておりますが…。

ジョミー「もしかしなくても破産じゃない?」
サム  「だけど貯金があるんだろ? キャプテンの給料も出るんだし」
ブルー 「そうそう、心配要らないってね。未来への投資さ」
キース 「結婚する気もないくせに…。餌だけちらつかせて悪辣だぞ」
ブルー 「勘違いするのは向こうの勝手! 下心が無きゃ釣れないよ」

釣られたからには貢ぎまくるのが男の甲斐性、と生徒会長は涼しい顔。

ブルー 「ぶるぅのパパになりたいんだったら貢がなくっちゃ」
キース 「それで結果が出ると言うならまだしもな…」
??? 「だよねえ、ぼくも酷いと思うよ」
全員  「「「!!?」」」

バッと振り返った先に立っていたのは生徒会長のそっくりさん。
いわゆるソルジャー(会話表記はAブルー)でございます。
私服姿で、隣にはスーツのキャプテン(会話表記はA船長)までが。

ブルー 「な、な、なんで君たちが…!」
Aブルー「御挨拶だねえ、さっき食事が済んだんだ。ねえ、ハーレイ?」
A船長 「はい。私たちもあそこに居たものですから」
ブルー 「あそこって何処さ!?」
Aブルー「ホテル・アルテメシアだけど?」

記念日だから二人で食事に来たのだ、と言うソルジャー。
鉄板焼きの店に居たらしいですが、結婚記念日は今日でしたっけ…?

2012/11/12 (Mon)

 

☆記念日を祝え


二次会の最中に突如現れたソルジャーとキャプテン。
ホテル・アルテメシアに居たそうですけど、何の記念日なのでしょうか?

ブルー 「二人で食事って…結婚記念日は今日じゃないだろ!」
Aブルー「うん。君たちも知ってるとおり、8月だけど」
ブルー 「だったら何の記念日なわけ?」
スウェナ「プロポーズとか、婚約かしら?」
ブルー 「そういうキャラとは思えないけど、そう…なのかな?」
Aブルー「プロポーズねえ…。結婚記念日と同じ日だと思うよ」
キース 「婚約という段階は無かったし、何だと言うんだ?」
Aブルー「いいおっさんの日!」
全員  「「「は?」」」
Aブルー「11月03日だよ、いいおっさんの日なんだろう?」

ノルディに教えて貰ったんだけど、と得意げなソルジャー。

Aブルー「ほら、ハーレイはオッサンだしさ。いい記念日ですよ、って」
ブルー 「オッサンって…。君のハーレイはそれで納得?」
A船長 「ブルーが喜んでくれるのでしたら、オッサンくらいは」
サム  「すげえな、教頭先生より潔かったりするんじゃねえか?」
ブルー 「かもねえ…。ハーレイはオッサンと呼ばれたらドン底だよ」
Aブルー「オッサンでなくてもドン底じゃないか。破産の危機だろ?」
A船長 「ブルーが教えてくれたのですが、かなり貢いでおられたとか」
ブルー 「いいんだってば、それがハーレイの生甲斐だから!」
Aブルー「良くないよ! たまにはお返ししてあげたまえ」

ちょうどいい日があるんだから、とソルジャーはカレンダーを指差して。

Aブルー「ぶるぅのパパまで務めたんだ。11月22日が吉日だよ」
ブルー 「何さ、その日は?」
Aブルー「ノルディが教えてくれた記念日! そうだよね、ハーレイ?」
A船長 「はい。いい夫婦の日だと聞いておりますが」
全員  「「「いい夫婦の日!?」」」

なんだそれは、とパニックに陥りそうな生徒会長とシャン学メンバー。
ソルジャーとキャプテンには記念日でしょうが、それをどうしろと?

2012/11/13 (Tue)

 

☆こだわりの記念日


ソルジャー曰く、11月03日は『いいおっさんの日』だそうでございます。
それにかこつけてキャプテンと食事に来たと言うソルジャー、御機嫌で。

Aブルー「いい夫婦の日を祝うべきだと思うんだけどね、君たちも」
ブルー 「誰が夫婦だって!?」
Aブルー「君とハーレイ。だってハーレイはぶるぅのパパだろ?」
ブルー 「あれは方便! ああ言えば毟り取れるから!」
Aブルー「だけどさ、なんとも可哀想だよねえ…。同じハーレイなのに」
A船長 「まったくです。いくら納得しておいでにせよ、お気の毒で…」
ブルー 「ハーレイはあれでいいんだってば!」
Aブルー「そうかなぁ? じゃあ、気分だけでもいい夫婦で」

ぶるぅのパパ役を再びとか、とソルジャーは提案しておりますが。

ブルー 「ぼくが嫌なのは勿論だけどね、いろんな意味でその日はダメ」
Aブルー「カレンダーには何も書いてないよ?」
ブルー 「書いてないからアウトなんだよ、その日は平日!」
キース 「なるほど、学校がある日だな。俺たちはサボリOKだが…」
ジョミー「教頭先生は休みじゃないよね」
Aブルー「そうだったんだ? こっちの休みには詳しくなくて」
A船長 「私とブルーは特別休暇を取る予定ですが…」
ブルー 「特別休暇?」
Aブルー「いい夫婦の日だしね、楽しまなくっちゃ!」

ノルディに頼んでホテルを予約して貰うんだよ、と微笑むソルジャー。
いい夫婦の日を満喫する気みたいです。

Aブルー「でもねえ…。こっちのハーレイにも楽しんで欲しいな」
A船長 「は? そ、それは…。流石にちょっと…」
Aブルー「誰がベッドに呼ぶって言った? お邪魔虫は要らないよ」

他に何か…、とカレンダーを見たソルジャーですが。

Aブルー「あ、次の日は休みじゃないのかな? 23日」
ブルー 「勤労感謝の日っていう祝日だけど?」
Aブルー「勤労感謝の日?」

どんな日なんだい、とソルジャーの瞳がキラキラと。
もしや、いい夫婦の日を振り替える気とか…?

2012/11/14 (Wed)

 

☆働きに感謝


11月22日は『いい夫婦の日』。
教頭先生と生徒会長とで祝うべきだ、と言い出したソルジャーですけど。

Aブルー「勤労感謝の日は何を祝うわけ? 誰の記念日?」
ブルー 「別に誰のと言う日じゃなくて…。働いてる人に感謝の日かな」
Aブルー「ふうん? だったら丁度いいじゃないか」
ブルー 「何が?」
Aブルー「いい夫婦の日は嫌なんだろう? だったらそっちで」
A船長 「それはいいかもしれませんね。働いておいでなわけですし」
ブルー 「どういう意味?」
Aブルー「いつも頑張って貢ぎまくっているハーレイに感謝するんだよ」
ブルー 「なんでそういうことになるのさ!」
Aブルー「ハーレイが君に貢いでるのは働いて稼いだお金じゃないか」

だから感謝してあげたまえ、とソルジャーはカレンダーを指差して。

Aブルー「いい夫婦の日をやれとは言わない。だから勤労感謝の日!」
ブルー 「お礼状を書くくらいだったら…」
Aブルー「それじゃダメだね、もっと気持ちをこめなくちゃ」
ブルー 「分かったよ、何か届けに行くよ! それでいいだろ!」
Aブルー「うーん…。プレゼントもいいけど、なんだかねえ…」
A船長 「一席設けては如何でしょう? 宴会とまでは申しませんが」
Aブルー「ああ、パーティーというヤツか。それは喜ばれそうだよね」
A船長 「手料理でしたら、もっといいかもしれません」
Aブルー「…お前の願望が入っていないか?」
A船長 「い、いえ、これは…。こちらで弟子入りしていた時に…」
Aブルー「そういえば理想の結婚生活を習ってたっけねえ…」

忘れていたよ、と苦笑するソルジャー。
実はキャプテン、教頭先生に弟子入りした過去をお持ちです。

A船長 「手料理と気配り、それが最高のおもてなしかと」
Aブルー「いいねえ、その線で行きたまえ。まさしく勤労感謝の日だよ」

教頭先生の働きに感謝すべきだ、とソルジャーは力説しております。
勤労感謝で教頭先生をおもてなし。生徒会長が素直に従うでしょうか…?

2012/11/15 (Thu)


 

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☆参加か見学か


ジョミー君のダンスが完成しない内に、近付いてきた運動会。
所属チームすら無い個人競技で、見学だけでもOKだそうでございます。

キース 「トライアスロンとかじゃないだろうな?」
シロエ 「フルマラソンかもしれません。個人競技と言うんですから」
サム  「うへえ…。どっちも俺には無理だぜ」
マツカ 「ぼくもです。そこまでの体力はありませんよ」
スウェナ「見学多数じゃないかしら?」
ブルー 「さあ、どうだか…。ちなみに会場は空港の敷地」
全員  「「「は?」」」
ブルー 「シャングリラ号に行く空港だよ。あそこは広いし」
ジョミー「それじゃやっぱりフルマラソン?」
キース 「トライアスロンも出来るんじゃないか?」
ブルー 「残念ながら、どっちも違うね。主役はカボチャだ」
全員  「「「カボチャ?」」」
ブルー 「まずはカボチャを彫るんだよ。それがスタート」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ すごく大きなカボチャだって!」
キース 「ジャック・オー・ランタンを担いで走れというのか?」
ブルー 「そんなとこかな。で、どうする?」

参加するのか見学か、と尋ねられたシャン学メンバー。
皆で顔を見合わせておりましたが…。

キース 「担ぐだけならまだマシだがな…。被るんだったら悲劇だぞ」
シロエ 「被るんですか? カボチャを頭に?」
キース 「絶対に無いと言い切れるか?」
シロエ 「い、いえ…。どうなんですか、会長?」
ブルー 「主役はカボチャと言っただろう? 情報はこれで充分だよね」
キース 「ダメだ、リスクが高すぎる。俺は今回は見学にする」
ブルー 「そうなのかい? それは残念」
シロエ 「ざ、残念と来ましたか…。やっぱり真面目に危なそうです」

ぼくも見学でお願いします、とシロエ君が言い、他のメンバーも…。

ブルー 「つまらないねえ、全員見学だなんて…」

その分、ジョミーのダンスに期待、と生徒会長は申しております。
ジョミー君、ますます責任重大。今日も頑張って踊らねば!

2012/10/16 (Tue)

 

☆二兎を追った者


運動会の競技の主役はカボチャ。
どう使うのかが分からないだけに、シャン学メンバーは見学をチョイス。

ブルー 「見学するなら衣装に凝るのもいいかもね」
キース 「ハロウィンだからか?」
ブルー 「仮装を推奨してるんだ。目立ってなんぼだと思わないかい?」
シロエ 「そうですねえ…。ジョミー先輩はお坊さんですし」
サム  「ブルーも何か着るのかよ?」
ブルー 「どうせなら派手にやりたいんだけど、正統派も捨て難い」
スウェナ「ソルジャーの服なの?」
ブルー 「アレもけっこう気に入ってるしね」
キース 「下手にドレスを着込まれるよりは平和かもな…」

そこからワイワイと仮装ネタで盛り上がり、やがて時間となりまして。

キース 「帰るぞ、ジョミー。早くダンスを仕上げていこうぜ」
ブルー 「寝食を忘れて励みたまえ。あまり日がない」
ジョミー「そ、そんなぁ…」
キース 「親父のシゴキも待っているぞ。お勤めの方も手抜きするなよ」
ブルー 「頼もしいねえ、アドス和尚に任せて良かった」

お経もモノになるかもしれない、と生徒会長はニコニコ顔。
とはいえ、相手はジョミー君だけに、運動会を控えた週末になっても…。

ブルー 「お経を覚えられなかったって!?」
キース 「すまん…。親父も俺も頑張ったんだが、どうにもこうにも」
ジョミー「南無阿弥陀仏は覚えたよ? お勤めの最後はアレと鐘でしょ」
キース 「お前の場合は鐘を無茶苦茶に叩きまくっているだけだ!」

決められた回数も鐘を叩く間合いもアウトだそうでございます。

ブルー 「まさかそこまで酷いとは…。それでダンスは?」
キース 「そっちの方は多分、なんとか…」
ブルー 「ダンスの出来もヤバイのかい?」
キース 「いざとなったらアドリブだとか言っていやがる」
ブルー 「つまり適当って言いたいわけだね…」

溜息をつく生徒会長。
二兎を追う者、一兎をも得ずとは申しますが。
明日に迫った運動会で、ジョミー君はちゃんと踊れるでしょうか…?

2012/10/17 (Wed)

 

☆ピンチなアドリブ


お経もダンスもモノにならなかったジョミー君。
元老寺に泊まり込んでの修行の日々は、無駄になったようでございます。

ブルー 「いざとなったらアドリブねえ…。何をする気だい?」
ジョミー「えっ、適当にステップを踏んで踊るだけだよ」
ブルー 「それじゃダメだね、順番に脱いでいきたまえ」
ジョミー「は?」
ブルー 「オープニングは余興なんだよ、ストリップでいこう」
キース 「待て! ジョミーは法衣を着ているんだぞ!?」
ブルー 「それが何さ? ウケると思うよ、お坊さん姿のストリップ」

パンツ一丁になったら袈裟を振り回して『お袈裟マン』だとか。

キース 「…お袈裟マンだと?」
ブルー 「あれっ、知らないかな? 伝説のスーパーヒーローだけど」
キース 「何なんだ、それは!」
ブルー 「璃慕恩院であった大法要の打ち上げで出た余興だよ」

酔っ払った若手のお坊さんたちが変身したのが『お袈裟マン』。
今でも内輪の隠し芸だか一発芸だかで、あるとか、ないとか…。

ブルー 「アドリブをやるならお袈裟マンだね、一般人にも人気だろう」
ジョミー「やだよ、そんなの!」
ブルー 「だったら今夜は徹夜覚悟でキッチリ仕上げる!」
キース 「…お袈裟マンだけは俺も御免だ。徹夜になっても付き合うぜ」
ブルー 「明日は迎えを出すからさ。それまで死ぬ気で頑張るんだね」
シロエ 「えーっと…。空港へ行くんですよね?」
ブルー 「うん。最初から仮装しててもいいよ」

シド先生が迎えのバスを運転するので、家を出る時から仮装OK。
去年使った王子様のような宮廷衣装がシャン学メンバーの仮装です。

ブルー 「ジョミーはお坊さんだし法衣だけれど、ダンスを忘れたら…」
キース 「お袈裟マンの仮装だと言うんじゃないだろうな?」
ブルー 「お袈裟マンだよ、スーパーヒーローだしさ」
ジョミー「そ、そんなぁ…」

残された時間は今夜一晩限り。
ジョミー君を待っているのは墨染めの法衣か、伝説のお袈裟マンなのか?

2012/10/18 (Thu)

 

☆いよいよ開幕


いよいよ10月27日、ハロウィンとセットの運動会の日は絶好の秋晴れで。
シド先生が運転するマイクロバスがシャン学メンバーをピックアップ!

サム  「似合ってるぜジョミー、その法衣」
キース 「お袈裟マンにならないことを祈っててくれ。切実なんだ」
ジョミー「ぼくの方がよっぽど切実だよ!」
ブルー 「きちんと踊れば無問題! 頑張るんだね」
シロエ 「会長は結局、ソルジャーの正装なんですか…」
ブルー 「これはこれで人気が高いんだよ。特に女性に」
キース 「要は人目を引きたいんだな?」
ブルー 「そういう君たちだって去年の宮廷衣装だろ?」

王子様スタイルを目指してるよね、と指摘されれば反論不可能。
スウェナだけはハロウィンっぽく黒い衣装の魔女ですが…。
そうこうする内にバスは空港の敷地内へと入りまして。

キース 「おい、こんな公園があったのか?」
ブルー 「ちょっといいだろ、ゴルフなんかも出来るんだよ」

広がっているのは広大な芝生。
林や大きな池などもあって、そこに大勢の人たちが。

ブルー 「特設ステージも準備OK! ほら、あそこに」
シロエ 「カボチャだらけのステージですね…」

ジョミー君が踊る舞台はハロウィンカラーで飾られております。
特大のカボチャがズラリと並び、仮装した仲間が詰め掛けていて。

ブラウ 「おや、来たね。待ってたんだよ、踊るんだって?」
ゼル  「みんなワクワクしとるんじゃ。派手に一発!」
ブルー 「それじゃ開会宣言しようか。ジョミー、ステージの上へ」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ぼくもジョミーと一緒に踊る!」

ジョミー君と「そるじゃぁ・ぶるぅ」、生徒会長が壇上に。

ブルー 「運動会はジョミーのダンスで開幕だ!」
一同  「「「待ってましたぁー!」」」
ブルー 「踊りたい人はその場でダンス! 曲は『かみほー♪』!」

音楽スタート! という声を合図に『かみほー♪』の曲が高らかに。
さて、ジョミー君はお袈裟マンを回避出来るでしょうか?

2012/10/19 (Fri)

 

☆坊主宣言を超えろ


特設ステージに流れる『かみほー♪』。
墨染めの法衣と袈裟のジョミー君、裾を蹴散らしながら踊っております。
その後ろでは「そるじゃぁ・ぶるぅ」が勝手気ままなステップを。

スウェナ「他の人たちも踊ってるのね、適当だけど」
ブルー 「シャングリラ号の歌だからねえ、血が騒ぐ人も多いのさ」

ステージの前の広場では仲間たちが楽しく踊っています。
ゼル先生もホップステップ、ジャンプで飛び跳ねているのですけど。

ブルー 「うーん…。ジョミーはいよいよお袈裟マンかな」
キース 「やめてくれ! もう半分は過ぎているんだ、勘弁してくれ」
ブルー 「でもさ、明らかに踊りを忘れているよ?」
シロエ 「誤魔化しまくれば大丈夫ですよ、誰も気付きはしませんって」
ブルー 「ぼくは気付いているんだってば」
サム  「ジョミーは変身しねえだろ? お袈裟マンなんか」
ブルー 「そこでソルジャーの出番なんだよ、ぼくが最高権力者!」

お袈裟マンを実現してみせる、とマイクを握った生徒会長。

ブルー 「今からジョミーが曲に合わせてストリップ!」
一同  「「「えぇっ!?」」」
ブルー 「法衣を脱ぎ捨て、お袈裟マンに変身するから盛大な拍手を!」

キラリと走った青いサイオン。
でたらめな踊りを繰り広げていたジョミー君を包み込みまして…。

ゼル  「おおっ、自分で脱いだわい!」
ブラウ 「こりゃいいねえ。『かみほー♪』のリズムでストリップかい」
ブルー 「最後はパンツ一丁になるよ? 袈裟を翻してお袈裟マン!」
キース 「…な、なんでこういうことになるんだ…」

俺の努力が水の泡に、と嘆きまくっているキース君。
ジョミー君は操られて法衣を脱ぎ捨てた果てに、ジャンプでフィナーレ。
やんやと喝采が湧き起こる中、ガックリと肩を落としてションボリと…。

ジョミー「……やっちゃった……」

坊主宣言よりカッコ悪いよ、と泣きの涙のジョミー君。
お袈裟マンはウケたようですけれども、心の傷は一生モノになるのかも?

2012/10/20 (Sat)

 

☆カボチャの登場


生徒会長のサイオンに操られてしまい、お袈裟マンと化したジョミー君。
『かみほー♪』なステージが終わった後は、もうドン底でございます。

ジョミー「うう…。どうせぼくなんか、ぼくなんか…」
キース 「泣くな! 俺だって気分はドン底なんだぞ!」

みっともない真似をしやがって、と法衣を着せ直しているキース君。

キース 「俺は記憶から消去するから、お前もキッパリ忘れとけ!」
ジョミー「で、でも…。見てた人は忘れないじゃない!」
サム  「そうだろうなぁ、思いっ切りインパクト強かったしな」
ジョミー「これから一生言われるんだよ、お袈裟マンって…」
キース 「とにかく忘れろ! 人の噂も七十五日だ!」
ブルー 「だよね、所詮は前座なんだし」
キース 「全部あんたのせいだろうが!」
ブルー 「余興だよ、余興。運動会はこれからが本番なのさ」

行ってこよう、と生徒会長はステージに上りまして。

ブルー 「オープニングセレモニーも済んだし、今日の競技の発表だ!」
ブラウ 「待ってましたぁ! 景気良く頼むよ」
ブルー 「ハロウィンと言えばカボチャがつきもの! まず、一人一個」

早い者勝ちだから合図と共に選ぶように、と指差す先にはカボチャの山。

キース 「お、おい…。なんだか異様にデカくないか?」
シロエ 「彫るとか言ってましたよね。それだけでも一苦労ですよ」
スウェナ「被れるサイズを超えているわよ、どうするわけ?」
マツカ 「割れないように転がしながら走るんでしょうか?」

あまりの大きさに衝撃を受けているシャン学メンバー。
お袈裟マンどころではありません。

ブルー 「競技の方はレース形式! カボチャを彫ったら池まで運ぶ!」
一同  「「「池!?」」」
ブルー 「カボチャボートのレースなんだよ、速さと体力で勝負ってね」
一同  「「「カボチャボート?」」」

なんじゃそりゃ、と唖然としている見物客と競技の参加者。
お袈裟マンも霞んでしまったカボチャボートとは何でしょう?

2012/10/21 (Sun)

 

☆カボチャのボート


ステージに上がった生徒会長が発表した種目はレース形式。
一人一個ずつカボチャを彫ったら池まで運んで、カボチャボートだとか。

ゼル  「ブルー、カボチャボートというのは何じゃ?」
ブルー 「そのまんまだけど? カボチャがボートになるんだよ」
ブラウ 「ちょいとお待ちよ、さっき彫るとか言ってたっけねえ?」
ゼル  「どう彫ったらカボチャがボートになるんじゃ!」
ブルー 「そこは好みで! とにかく漕ぎ手が乗れればいいんだ」

タライ舟とか丸木舟とかの要領で、と生徒会長は申しております。

ブルー 「他の部分は好きにしていいよ。縁をギザギザにするのもアリ」
ゼル  「し、しかし…。制限時間はどうなるんじゃ?」
ブルー 「彫るための時間は別枠さ。レース開始は彫り上がってから!」

ただし時間内に間に合わなければアウトだそうで。

ブルー 「乗れるカボチャが彫れなかったら、棄権か泳ぐか、二択だね」
一同  「「「は?」」」
ブルー 「カボチャを押して泳いで行くのは別に止めない」
ゼル  「ふむふむ…。濡れるのが嫌ならボートを完成させるんじゃな」
ブルー 「そうなるね。いい天気だけど、池は流石に冷たいかと…」
ゼル  「分かったわい! わしも男じゃ、棄権はせんぞ」

根性でボートを彫り上げてみせる、とゼル先生。
どうやら参加者らしいです。

ブルー 「ボートの説明はこれでいいかな? 道具はここに」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 順番に取りに来てね!」

ステージの後ろから出て来た箱にはカボチャを彫るためのノミなどが。
レース参加者が押し寄せていますが…。

サム  「みんな仮装はしてねえんだなあ…」
キース 「運動会と銘打った以上、動きやすい服が基本だろう」
シロエ 「仮装の人は見物客ですね。この競技なら出たかったですが…」
サム  「キースに勝てたかもしれねえもんな。ただのレースだし…」

惜しいことをした、と残念そうなシロエ君とサム君。
エントリーすべきでしたかねえ?

2012/10/22 (Mon)

 

☆カボチャを選べ


運動会の正体はカボチャのボートを使ったレース。
カボチャを彫るための道具が配られ、競技参加者が詰め掛けております。

ジョミー「カボチャが大きいわけだよねえ…。乗るんだもんね」
キース 「やっと復活してきたか。もう誰もお前を覚えちゃいないぞ」
サム  「うんうん、カボチャのインパクトが大ってな」

カボチャボートに使われるカボチャは超特大。
見物客の目はそっちに釘付け、お袈裟マンなぞ消し飛んだようで。

ブルー 「みんな道具をゲットしたようだし、用意はいいかな?」
ゼル  「何の用意じゃ?」
ブルー 「カボチャは早い者勝ちなんだよ、選んだらすぐに彫らないと」

用意されたカボチャは1個の重さが200キロかららしいです。
選ぶのはともかく、運ぶのも彫るのも大変そうなビッグサイズ。

ブルー 「時間内に彫れなかったら…分かってるよね? 始めっ!」

生徒会長の合図でカボチャの山へと参加者が走り、大騒ぎに。

シロエ 「…これは出なくて良かったかも…」
サム  「カボチャの下敷きは嫌だもんなあ…」

カボチャの山が崩れて大混乱の中、要領のいい人は素早く抜け出し…。

キース 「ゼル先生がトップなのか。意外だな」
サム  「そうでもねえだろ、すばしっこいし剣道と居合の達人だぜ」
シロエ 「カボチャを彫るのも上手いかもです。料理のプロですよ」
ブルー 「ふふ、なかなかに楽しい見世物だよね」

ステージから降りて来た生徒会長と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
シャン学メンバーに混ざって見物し始めましたが。

ブルー 「ごらんよ、ゼルの真逆を行くのが一人」
全員  「「「は?」」」
ブルー 「ハーレイのことさ。あそこで悩んでいるだろう?」
キース 「順番を譲っておられるように思えるが?」
ブルー 「違うね、あれは出遅れたんだよ。でもって今は諦めの境地」
全員  「「「諦めの境地?」」」

どんどん減ってゆくカボチャを前に立ちつくしている教頭先生。
諦めの境地とは、どういう意味?

2012/10/23 (Tue)

 

☆カボチャのサイズ


生徒会長の号令で始まったカボチャボート彫り。
既に彫り始めている人もいる中、カボチャを前に立つ教頭先生の心境は。

キース 「何なんだ、諦めの境地というのは?」
ブルー 「そのまんまの意味さ。残ったカボチャをよく見てみたら?」
シロエ 「別に普通のカボチャですけど? 大きいだけで」
ブルー 「それはどうかな? 向こうでゼルが彫ってるヤツは?」
サム  「ありゃ相当にデカイよなあ…。超特大って感じだぜ」
スウェナ「ゼル先生が乗るには大き過ぎるわよね」
ブルー 「ゼルは目立つのが好きだからねえ、ああなるんだけど」

アレを取られて困る人もいる、と生徒会長。

ブルー 「ゼルの身体なら小さめのヤツでもいいんだよ。でもね…」
ジョミー「あっ、そうか! 教頭先生、普通サイズじゃダメなんだ!」
キース 「そ、そういえば…。アレを普通と言うかはともかく…」
マツカ 「カボチャボート用の標準サイズだと小さすぎますね」
ブルー 「そういうこと。大きいヤツも沢山用意していたのにさ」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ シドが彫ってるのも大きいよね!」
サム  「教頭先生、ホントに出遅れちまったのかよ…」
ブルー 「先陣争いに向いてるタイプじゃないからねえ…」

ぼくとの結婚と同じでダメダメ、と生徒会長は笑っております。

ブルー 「大きなカボチャは残っていないし、諦めの境地に至るわけ」
キース 「つまり棄権ということか?」
ブルー 「その選択もアリだけれども、面白くない」
全員  「「「は?」」」
ブルー 「ちょっと気合を入れてこようかな」

生徒会長、スタスタと教頭先生に近付いていきまして。

ブルー 「やあ、ハーレイ。レースは勝てそう?」
ハーレイ「…棄権しようかと思っている。なにしろカボチャが…」
ブルー 「棄権だって? ぼくが主催のレースなのに?」

有り得ないよ、と柳眉を吊り上げる生徒会長とウッと息を飲む教頭先生。
乗れそうなカボチャは無いんですけど、教頭先生の運命や如何に?

2012/10/24 (Wed)

 

☆無理すぎるカボチャ


自分に見合ったカボチャが無いため、棄権を考えているという教頭先生。
しかし生徒会長のお気には召さなかったようで…。

ブルー 「優勝したって、ぼくが賞品ではないけどさ。でもね…」
ハーレイ「な、なんだ?」
ブルー 「ソルジャーのメンツ丸潰れなんだよ、キャプテンが棄権じゃ」
ハーレイ「そうなる……のか?」
ブルー 「決まってるだろう、仲間も揃って見に来てるんだ」

中継カメラも入っているし、と指差す先には撮影スタッフ。
カボチャを彫り始めた人たちに取材をしている模様です。

ブルー 「君が棄権だと、シャングリラ号のクルーの士気にも関わる」
ハーレイ「あっちにも中継してたのか…」
ブルー 「宇宙は娯楽が少ないからねえ、サービスしなくちゃ」
ハーレイ「つまり私が棄権した場合、お前の指導力が問われるのだな?」
ブルー 「ご名答。キャプテンも従わないようなソルジャーではねえ…」

生徒会長以下だろう、と溜息をつく生徒会長。

ブルー 「ぼくが赤っ恥をかいてもいいなら、棄権でいいけど」
ハーレイ「い、いや、それは…! そんなことは…!」
ブルー 「だったら、出場」
ハーレイ「し、しかし、カボチャが…。乗れそうなヤツが…」
ブルー 「無さそうだねえ、どう見ても」

話していた間に他の出場者がカボチャを持ち去り、残るは1個。
何処から見ても小さめのヤツが鎮座しているだけでして…。

キース 「おい。教頭先生がそれに乗るのは無理じゃないか?」
ブルー 「そうかなぁ? 頑張ればなんとかなりそうだよ」
ハーレイ「な、ならないと思うのだが…」
ブルー 「いいから、ちょっとその横に立って」
ハーレイ「…こ、こうか?」
ブルー 「よし、いける! そのサイズなら充分オッケー」
ハーレイ「……どの辺がだ……」
ブルー 「問題ない、ない。さあ、頑張って彫っていこう!」

あっちへ運んで、と生徒会長は笑顔でございますが。
教頭先生には小さすぎるカボチャ、どう彫れば問題ないのでしょうか…?

2012/10/25 (Thu)

 

☆カボチャと秘密兵器


生徒会長に恥をかかせてはならぬ、と出場を決意した教頭先生。
けれど会場に残ったカボチャは、教頭先生が乗るには小さすぎるサイズ。

ハーレイ「どう考えても乗れんぞ、これは…」
ブルー 「大丈夫だってば、きちんと彫ったら乗れる筈だよ」

この辺でいいかな、と芝生に立ち止まる生徒会長。
カボチャを転がしながらついて来ていた教頭先生も止まりまして。

ブルー 「さあ、時間いっぱい彫りまくろう!」
ハーレイ「しかしだな…。このサイズではボートにならんと思うが」
ブルー 「下半身さえ収納出来れば無問題! 根性で足を縮めればいい」
キース 「それはバランスが悪くならないか?」
ブルー 「あ、やっぱり君もそう思う?」
ハーレイ「私もキースに賛成だ。窮屈なのは構わんが、バランスは…」
シロエ 「下手するとボートが転覆しちゃいませんか?」
ブルー 「そこなんだよねえ、このガタイだし」

逆三角形な上半身に力を入れてボートを漕ぐなら、安定は必須。
下半身を縮めて乗り込むカボチャは思い切りバランスが悪そうで…。

ブルー 「…こうなったのも何かの縁かも…。秘密兵器はどうだろう?」
全員  「「「秘密兵器?」」」
ブルー 「カボチャボートに決まりは無いんだ。乗れればオッケー」
キース 「完成しなかったら泳ぐのもアリとか言ってたな?」
ブルー 「うん。だからね、ハーレイ用に改造しちゃえばいいんだよ」
ハーレイ「改造だと?」
ブルー 「そう! バランスが取れて舵も装備の秘密兵器に」
シロエ 「舵…ですか?」
ブルー 「舵が取れたら有利だろう? それにハーレイはキャプテンだ」

舵を取るのが仕事なのだ、と言われてみればその通り。

ブルー 「いいかい、カボチャのこの辺に…、とね」
ハーレイ「なんだ、その丸印は?」
ブルー 「これが舵だよ。もう少しずらした方がいいかもだけど…」

どうなのかな、と見詰める先にはシロエ君。
カボチャに描かれた丸印は二つ、それが舵とは一体どんな仕組みやら…。

2012/10/26 (Fri)

 

☆カボチャと両足


教頭先生のカボチャは乗るには少々、無理があるサイズ。
それを秘密兵器に改造すればいい、と生徒会長はカボチャに丸印を二つ。

ブルー 「この部分に穴を開けるんだ。これで相当変わってくるかと」
ハーレイ「穴だと?」
ブルー 「此処から足を突き出してやれば窮屈なのは解消するよね」
ハーレイ「なんだって?」
ブルー 「ボートに足が生えるわけ。そうすれば舵も取れちゃうし」

この場所で問題ないだろうか、と話を振られたのはシロエ君で。

シロエ 「そうですねえ…。教頭先生の体格とかを考えると…」
キース 「もう少しずらすべきだろうな」
シロエ 「間隔も大事な問題です。…教頭先生、失礼します」

手の指を広げて教頭先生の腰回りなどを採寸してみたシロエ君。
カボチャに向き合い、採寸してから丸を二ヶ所に付け直して。

シロエ 「此処がベストだと思います。後は穴のサイズに注意ですね」
ブルー 「そうだね、大きすぎると水が入るし、小さくてもダメだし」

そこは彫りながら調整しよう、と生徒会長はニッコリと。

ブルー 「いいね、ハーレイ? まずは乗り込む部分からだよ」
ハーレイ「…し、しかし…。ボートに足とは…」
ブルー 「ガタガタ文句を言っていないでサッサと彫る!」
ハーレイ「わ、分かった。努力しよう…」

生徒会長とシャン学メンバーが見守る中で教頭先生はカボチャ彫り。
せっせと頑張って中身をくりぬき、ボートらしくなってくると。

ブルー 「お次は足を入れる穴だね、ここだよ、ここ」
ハーレイ「う、うむ…」

二つの穴が開いた所で次は試着でございます。
どっこいしょ、とシャン学メンバーが担ぎ上げたカボチャに両足を。

ブルー 「んーと…。少しキツすぎるかな?」
シロエ 「気持ち、広げておくべきですね」
ハーレイ「そ、そうか…」

微調整だな、とカボチャから出た教頭先生、穴を広げておられますが。
試着風景を目にした人たちが囁く声がヒソヒソと。
カボチャパンツがどうしたんですって…?

2012/10/27 (Sat)

 

☆カボチャの行進


カボチャから両足を突き出して乗る、それが教頭先生のカボチャボート。
教頭先生、足を出すための穴を調整中でらっしゃいますが…。

ブルー 「ふふ、やっぱりカボチャパンツときたか」
ハーレイ「何か言ったか?」
ブルー 「向こうで評判になってるようだよ、君のカボチャボート」

先ほどの試着風景を見た人たちが口々に囁く単語はカボチャパンツ。
そりゃそうでしょう、でっかいカボチャから足が出たのでは無理もなく。

キース 「おい、いいのか? 秘密兵器どころの騒ぎじゃないぞ」
ブルー 「去年のハロウィンもハーレイはカボチャパンツだったよ」
シロエ 「そういえばカボチャの王子様でしたっけ…」
ブルー 「あれに比べればまだマシだって! メイクも無いしね」
サム  「あー、あれなぁ…」

思い出した、と頭を抱えるシャン学メンバー。
去年の教頭先生はブラウ先生たちの悪戯で目力メイクだったのです。

ハーレイ「何をゴチャゴチャ言っているんだ?」
ブルー 「カボチャボートの話だってば。…出来たかい?」
ハーレイ「うむ。こんなものではないかと思うが」
ブルー 「それは良かった。そろそろ終了時間だしね」

間もなくパァーン! と空砲が鳴って、カボチャ彫りの時間は終了。
出場者は池までカボチャボートを運ぶわけで。

ブルー 「みんな担いだりしてるけれども、こっちは秘密兵器だし…」
ハーレイ「隠して持って行こうと言うのか?」
ブルー 「ううん、君のボートは池まで自分で歩いて行くんだ」
ハーレイ「は?」
ブルー 「なんのために穴が開いているのさ、さっさと履く!」

カボチャはみんなで支えるから、と生徒会長は強引に。

ハーレイ「な、なんだか視線を感じるのだが…」
ブルー 「そりゃもう、最強の秘密兵器だからね」

自力走行するカボチャボート、と生徒会長は大満足でございます。
シャン学メンバーがカボチャを支え、教頭先生は大股で池の方向へ。
去年以上にインパクトのあるカボチャパンツの行進ですよ~!

2012/10/28 (Sun)

 

☆カボチャで勝負


教頭先生が根性で彫り上げたカボチャボートだか、カボチャパンツだか。
突き出た両足でノッシノッシと会場の池へ向かっております。

ブラウ 「おやまあ、今年もカボチャの王子様かい?」
ハーレイ「王子様?」
ブラウ 「だってそうだろ、カボチャパンツは王子様じゃないか」
ハーレイ「カボチャパンツだと?」
ブラウ 「それはパンツだと思うけどねえ、ボートと言うより」
エラ  「ええ、去年よりも立派な仮装よ、ハーレイ」
ハーレイ「か、仮装……」

愕然とする教頭先生の後ろでプッと吹き出す生徒会長。
シャン学メンバーは恭しくカボチャパンツならぬボートを捧げ持ち…。

ゼル  「ふん、とんでもないヤツが来おったわい」
ブルー 「そうでもないよ? これでも秘密兵器なんだ」
ゼル  「秘密兵器じゃと? 笑いが取れるというだけじゃろうが」
ブルー 「違うよ、舵が取れるんだってば、この両足で」
ブラウ 「ありゃりゃ、パンツじゃなかったのかい?」
ブルー 「その辺の解釈はお好きにどうぞ。勝てるかどうかは謎だから」
ハーレイ「お、おい、ブルー…。これで勝てるのではなかったのか?」
ブルー 「君の頑張り次第なんだよ、他のみんなは普通にボートだ」

池のほとりに勢揃いした出場者。
ボートを彫り上げられなかった人は皆無です。そこへパドルが配られて。

ブルー 「いいかい、池に立ってるポールを回って漕いで行くこと!」
ゼル  「ほうほう、なかなか本格的じゃな」
ブルー 「特に反則行為は無いから、ライバルを転覆させるのもアリだ」

ただしパドルで殴るのは禁止、やるなら手か足だそうですが。

ゼル  「勝負じゃ、ハーレイ! 勝たせてもらうぞ」
ハーレイ「ま、待ってくれ! 私は別に…」
ブラウ 「ブルーにアピールしたいんだったら勝たなきゃねえ?」
ブルー 「うん。挑まれた勝負を投げる男は願い下げだね」

頑張って、と教頭先生を煽る生徒会長。
他のカボチャボートと並んで池に入った教頭先生の行く末は…?

2012/10/29 (Mon)

 

☆カボチャで戦え


ハロウィン兼用の運動会の種目はカボチャボートでのレース。
池に並んだカボチャボートの中、教頭先生だけがボートの上で寒そうに。

ハーレイ「さ、流石に水が冷たいな…」
ゼル  「足を突き出しておるんじゃろうが。そりゃ冷えるわい」

池の水はかなり冷たい様子。
空砲が鳴ってボートは一斉にスタートいたしましたが。

ブルー 「ハーレイだから大丈夫だとは思うけどさ。あれは寒いね」
キース 「あんたが無理矢理やらせたんだろうが!」
ブルー 「ハロウィンなんだからウケが大切。いっそトイレで棄権とか」
全員  「「「トイレ?」」」
ブルー 「ゴールまでに冷えてトイレに行きたくなるってこともある」
サム  「うへえ…。どうすんだ、それ」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 瞬間移動でトイレに運ぶよ!」
キース 「それはそれで晒し者だよな…」

カボチャボートの一団、なかなか前に進みません。
舳先も何も無いカボチャですから、その場でクルクル回るだけの人も。

ブルー 「うん、秘密兵器は効いてるね」
シロエ 「着実に前進してますもんね。ゼル先生も頑張ってますけど」

先頭を行くのは教頭先生のカボチャパンツならぬカボチャのボート。
舵つきボートを僅差で追うのがゼル先生で。

ゼル  「待たんかいっ! 足を引っ込めて尋常に勝負じゃ!」
ハーレイ「これはそういう仕様なのだ。ブルーが考えた秘密兵器だ」
ゼル  「うるさいわ! カボチャパンツが偉そうに!」

こうしてくれる、とカボチャボートで体当たりをかますゼル先生。

ハーレイ「や、やめないか!」
ゼル  「パドル以外は何でもアリじゃ!」

ゴツン、ゴツンとぶつかるカボチャ。
ゼル先生のカボチャは特大だけに、ポールを回ってゆくはずみに…。

ハーレイ「う、うわぁっ!?」
一同  「「「わわっ!」」」

引っくり返った教頭先生のカボチャボート。
逞しい二本の足がカボチャを貫き、池からニュッと覗いております。
教頭先生、秘密兵器どころか生命の危機…?

2012/10/30 (Tue)

 

☆ハロウィンは悪戯


カボチャパンツもどきなボートを引っくり返された教頭先生。
ゼル先生のボートが去っていった後も、足だけが突き出しておりますが。

キース 「お、おい、大丈夫なのか、放っておいて!?」
ブルー 「足がバタバタしている間は生きてる証拠だと思うけど」

自力で立ち直ってゴールしろ、と生徒会長は冷たい微笑み。
ゼル先生のボートはスイスイ進んで、見事ゴールインでございます。

ブルー 「うん、他のボートもゴールしてきたね」
シロエ 「えっと…。教頭先生、まだなんですけど…」
ブルー 「憐れっぽく池に浮いてるねえ…。元に戻すのが限界だったか」

ビショ濡れになった教頭先生は池の上。
沈みかけたカボチャボートでヘロヘロと浮かんでおられます。

ブルー 「若干一名戻らないけど、表彰式を始めよう。優勝はゼル!」

ステージへどうぞ、と特設ステージに上がった生徒会長、トロフィーを
ゼル先生に渡しまして。

ブルー 「おめでとう。副賞は悪戯し放題だよ、この会場で」
ゼル  「なんと、悪戯し放題とな?」
ブルー 「お菓子をくれなきゃ誰にでも悪戯! ハロウィンだから」
ゼル  「ほうほう…。セクハラは悪戯に含まれるのかの?」

こんな感じで、と生徒会長のマントの下に右手を突っ込むゼル先生。
ソルジャー服の上着の裾をめくり、お尻の辺りをサワサワと…。

女性陣 「「「キャーッ!!!」」」
ゼル  「何を騒ぐか、悪戯はハロウィンの華なんじゃぞ!」
ブルー 「女性陣に殺されない程度にした方がいいよ?」
ゼル  「ふっふっふ。カボチャパンツの王子に見せつけてくれるわ!」

ゼル先生、ステージでお触りし放題。
やんやと囃す男性陣に、悲鳴を上げる女性陣。

キース 「良かったな、ジョミー。お袈裟マンは完全に忘れられたぞ」
ジョミー「そうだけど…。教頭先生、帰って来ないね」

生徒会長にセクハラどころか、カボチャパンツも脱げない教頭先生。
冷え切ってお腹を壊すかもですけど、これにて中継終了です~。


ハッピー・ハロウィン!

2012/10/31 (Wed)



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☆引き摺る九月


十月がやって参りました。
長かった残暑もやっと落ち着き、爽やかな季節の到来でございますが…。

ブルー 「あーあ、本当にジョミーときたら…」
シロエ 「とうとう一日もやりませんでしたねえ、記憶力アップの秘法」
キース 「そもそも最初から無理だろう。こいつに虚空蔵求聞持法は」
サム  「だよなあ、いくら二度とお経を忘れねえって言われてもなぁ」
マツカ 「百日缶詰ですもんねえ…」
スウェナ「だけど一日くらいはチャレンジしたって良かったのに」
ジョミー「嫌だよ、ぼくには絶対無理!」
ブルー 「虚空蔵菩薩様の御真言を覚えられない段階で失格だけど…」

お経本を見ながら棒読みでいいから一日くらい、と嘆く生徒会長。
虚空蔵求聞持法と書いて、「こくぞうぐもんじほう」 と申します。
御真言を百日かけて百万回唱えればどんなお経も忘れないとか。

ブルー 「せめて一日やり抜いてみれば、記憶力がアップしたかも…」
ジョミー「読むだけだって無理だってば! 舌を噛みそうだし!」
キース 「そうか? ごくごく簡単な部類だと思うが」
ブルー 「もっと長いのも必須なんだよ、お坊さんになるためにはさ」
キース 「棚経で俺が唱えていただろう? あれは欠かせん」
ジョミー「えっと…。どういうお経だったっけ?」
サム  「お経じゃねえよ、呪文みたいな陀羅尼だよな?」
ブルー 「そう、そう。流石サムだね、嬉しいよ」
ジョミー「…なんにも思い出せないんだけど…」
キース 「こういう馬鹿には虚空蔵求聞持法しか無いわけだが…」
ブルー 「月も変わったからやれとは言わない。でもさ…」

一回くらい唱えてみろ、と生徒会長が突き付けたのはお経本。

ブルー 「とにかく一度やってみたまえ。ダメで元々」
ジョミー「ちょ、こんなの! 意味不明だし!」
ブルー 「いいから、早く」

ノウボウ アキャシャ キャラバヤ オン アリ キャマリボリ ソワカ。
これが御真言らしいのですけど、ジョミー君は唱えられるでしょうか?

2012/10/01 (Mon)

 

☆お坊さんと荒行


重陽の節句に出掛けたお寺で、記憶力アップの秘法を聞いたジョミー君。
虚空蔵菩薩様の御真言を百万回も唱えろと言われ、当然の如く敵前逃亡。
しかし…。

ブルー 「師僧の命令は絶対なんだよ。さっさと唱える!」
ジョミー「うえ~…」
ブルー 「うえ~、じゃないっ! 御真言はこれ!」

お経本に書かれた意味不明な御真言を一度は読め、と迫られまして。

ジョミー「の、のうぼう……あきゃ、きゃ?」
キース 「アキャキャと来たか…。そこは、アキャシャだ」
ブルー 「やり直し!」
ジョミー「うー…。のうぼう、あきゃきゃ」
サム  「アキャキャで定着したみたいだぜ?」
ブルー 「分かった、もういい。それ以上やると虚空蔵菩薩様に失礼だ」
キース 「どうも根っから無理なようだな。本当に坊主になれるのか?」
ブルー 「さあねえ…。ぼくたちの宗派に記憶力アップの秘法は無いし」
ジョミー「えぇっ、アレって他所のだったの?」
ブルー 「そうだけど…。君がいつまでも覚えなければ強制する」
ジョミー「そ、そんなぁ…」
キース 「俺も詳しいことは知らんが、キツイらしいぞ」
ブルー 「本式にやるとなったら塩断ちもあるし、頑張るんだね」
サム  「塩断ちかよ? それって身体にヤバくねえか?」
ブルー 「さあ…。人によっては鼻血が出たりもすると聞くけど」
ジョミー「む、無茶だってば!」

百日間の缶詰だけでも大概なのに、加えて塩断ち。
虚空蔵求聞持法、かなりの荒行のようでございます。

ブルー 「これでもマシな方なんだよ。世の中、もっとキツイのもある」
シロエ 「そうなんですか?」
ブルー 「恵須出井寺の最難関のヤツだと不眠不休で御真言を十万回」
キース 「アレだな、生き葬式とかいうヤツだな」
ジョミー「生き葬式…?」
ブルー 「なにしろ生きて出られるかどうか分からないしね」
サム  「なんだよ、それ…」

荒行どころか生き葬式。
上には上があるようですけど、ジョミー君にはまず無理でしょうねえ…。

2012/10/02 (Tue)

 

☆お坊さんと体力


拍手ありがとうございました!

百日間の缶詰どころの騒ぎではなく生き葬式。
生徒会長も修行した恵須出井寺には、とんでもないモノがあるようで…。

ジョミー「い、生きて出られるかどうかって……それも缶詰?」
ブルー 「お堂の中に九日だけど、深夜の2時には外へ出る決まり」
シロエ 「それが休憩タイムですか?」
ブルー 「違うね、お堂の不動明王様に供える水を汲みに行くんだ」
サム  「不眠不休の間にかよ?」
ブルー 「そうだよ、おまけに断食、断水。当然、最後の方はフラフラ」
ジョミー「だ、断食…」
キース 「断水の方がキツイだろうな。九日間だぞ」
ブルー 「終わりの方ではウガイが出来るとは聞いたけどねえ…」
スウェナ「ホントに死んじゃう人もいそうね」
ブルー 「だから生き葬式って言うんだよ。身体から死臭が漂うらしい」
サム  「半端ねえなあ…」
シロエ 「お坊さんの世界って、けっこう体力要りそうですね」
キース 「俺たちの宗派は甘い方だが、修行中のノリは体育会系だしな」

古参のお坊さんが指導と称して殴る、蹴るもアリだそうでございます。

ブルー 「同じ体育会系でも柔道部の方がまだマシだろうね」
キース 「柔道部も礼儀作法は厳しく言われるが、修行よりはな…」
サム  「俺も鍛えといた方がいいのかな? 修行するなら」
ブルー 「荒行は無いから必要ないよ。普通に運動してれば充分」
シロエ 「体育の授業もありますもんね」
ジョミー「そ、そっか…。体育の授業に出てればいいんだ?」
キース 「お前の場合は心配は其処じゃないだろうが!」
ブルー 「体力バカではダメなんだよ。お経が大切なんだからさ」
ジョミー「だけど体力も必要だよね? ぼくが鍛えるならそっちから!」

思い切り逃げを打ったジョミー君。
お坊さんの世界を逆手に取って、まずは体力らしいです。

ジョミー「あ、そういえば…。今年は運動会は無いわけ?」

去年は休日にやったよね、と言われてみればそのとおり。
あれも十月でしたけれども、今年はどうなる?

2012/10/03 (Wed)

 

☆今年も運動会


お坊さんの世界は体力も必須。
まず鍛えるなら体力から、と逃げを打つジョミー君が思い出したものは。

キース 「運動会か。去年、確かにやっていたな」
サム  「先生チームに負けちまったけどな。ぶっつけ本番だったし」
スウェナ「全校ダンスでジョミーが燃えていたのよね?」
ジョミー「違うよ、ぼくが全校ダンスをマスターするのが条件で!」

あっ、と声を上げるジョミー君。

ジョミー「も、もしかして、ぼくがダンスを練習しないから無しとか?」
シロエ 「そうかもしれません。自発的にやれということで」
キース 「有り得るな。お前のせいで無いんじゃないか?」
ジョミー「や、やっぱり…?」

マズイ、と周囲を見回すジョミー君ですが。

ブルー 「残念ながらハズレだね。今年は内輪でやる予定なんだ」
全員  「「「内輪?」」」
ブルー 「ハーレイの日のスカイダイビングが馬鹿ウケしてさ…」
ぶるぅ 「お祭りはみんなでやりたいんだって!」
マツカ 「それで運動会ですか?」
ブルー 「ついでにハロウィンもセットなんだよ」
キース 「な、何なんだ、それは?」
シロエ 「仮装つきの運動会になるんでしょうか?」
サム  「悪戯つきってことじゃねえのか?」
ジョミー「両方かも…。でもって、ダンスをやらされるのかも…」
ブルー 「そんなにダンスをやりたいんなら止めないよ?」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ダンス、大好き!」

また『かみほー♪』で踊らせてよ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
瞳がキラキラしております。

ぶるぅ 「去年のダンスも楽しかったし、また踊りたいな♪」
サム  「御指名だぜ、ジョミー。今度は中継つきじゃねえのか?」
キース 「仲間内でやるんだったらそうだろうな。まあ、頑張れ」
ブルー 「それじゃ提案しておこう。ダンスで開幕ということで」
ジョミー「ま、待ってよ、踊るとは言っていないし!」

降りかかってきたダンスの危機。
運動会はあるようですけど、内輪だけなら地味なんですかねえ?

2012/10/04 (Thu)

 

☆今年もダンス?


今年も開催されるらしい運動会。
ただしサイオンを持つ仲間だけでやる運動会で、ハロウィンもセットで。

ジョミー「ダンスで開幕って言われてもさ! 意味が分からないよ!」
ブルー 「そのまんまだろう、ダンスで開幕するだけさ」
ジョミー「そうじゃなくって、ハロウィンつきとかそういうのが!」
ブルー 「ああ、その辺は……追い追い分かって来るんじゃないかな?」
ぶるぅ 「えっとね、今は準備中なの!」
全員  「「「準備中?」」」
ブルー 「そう、色々と下準備が要る。カボチャとかさ」
キース 「………。またカボチャの馬車をやらかすつもりか?」
シロエ 「あの馬車は強烈でしたよねえ…」

カボチャの馬車と言えば去年のハロウィン。
教頭先生とゼル先生がシンデレラの王子様の座を争って…。

サム  「お、思い出しちまった、教頭先生のメイク…」
ブルー 「好評だったね、そういえば。王子様っていうのもいいかも」
キース 「やめてくれ、あんたが何かを考えつくとロクなことが無い」
ブルー 「そうかなぁ?」
シロエ 「否定する理由は無いですね」
マツカ 「ぼくもです」
スウェナ「そうね、そういう傾向なのよね」
ブルー 「みんなメチャクチャ言うんだから…。酷いよね、ぶるぅ?」
ぶるぅ 「んーと、んーと…。あまりブルーを苛めないでね?」
キース 「それは逆だ、ぶるぅ。俺たちが苛められてる方だ」
ジョミー「そうだよ、さっきもダンスをしろって言われたし!」
ぶるぅ 「えぇっ、ダンスはしてくれるんでしょ?」

踊りたいもん、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
生徒会長がニヤニヤしております。

ブルー 「ダンスは決定みたいだねえ? 今年も頑張ってくれたまえ」
ジョミー「で、でも…。学校じゃないから全校ダンスは…」
ブルー 「かみほー♪ でダンスするんだろう? そこが大切」

あれは大事な歌なんだから、と生徒会長はパチンとウインク。
ジョミー君は今年も『かみほー♪』で踊りまくることに決定でしょうか?

2012/10/05 (Fri)

 

☆ダンスと荒行


運動会はダンスで開幕、と決めてかかっている生徒会長。
去年みたいに全校ダンスなら分かりますけど、仲間内でもダンスとは…。

ブルー 「いいかい、『かみほー♪』はシャングリラ号の歌なんだ」
キース 「らしいな、俺たちは知らなかったが」
ブルー 「ぼくが作った曲なんだよ? 実際はパクリみたいだけれど」
シロエ 「ソルジャーの世界の歌でしたよね」
サム  「すげえ話だよな、シャングリラ号の設計図もそうだし…」
マツカ 「昔から繋がりがあったんですねえ、あっちの世界と」
ジョミー「今じゃ迷惑ばっかりだけどね…」
キース 「シッ! うかつなことを口にすると来るぞ」
全員  「「「………」」」

来るというのはソルジャーのことでございます。
召喚したらもれなく迷惑、エライことになるのは間違いなしで。

ブルー 「直接会うまでは良好な関係だったのにねえ…」
ぶるぅ 「今はブルーのお友達だよ?」
ブルー 「それはそうかもしれないけどさ…。今回は困る」
キース 「あいつの存在は秘密だからな。で、ダンスはどうした」
ジョミー「ちょ、ちょっと! 藪蛇だってば!」
キース 「往生際の悪いヤツだな、ブルーが忘れると思うのか?」
ジョミー「ど、どうだろう…」
サム  「ブルーは忘れねえと思うぜ、いいアイデアは」
ブルー 「流石はサムだね、良く分かってるよ」
ジョミー「や、ヤバイ…」
ブルー 「話を元に戻そうか。『かみほー♪』は仲間内では有名」

知らない人はまずいない、と生徒会長はニッコリと。

ブルー 「だから全校ダンス以上に盛り上がるってば、踊るとなれば」
ジョミー「お、踊るわけ…?」
ブルー 「ぶるぅも思い切り期待してるし、景気良く頼むよ」
ジョミー「振り付けなんか、もう忘れたよ!」
ブルー 「また考えればいいだろう? 荒行よりかは楽勝なんだ」
ジョミー「あ、荒行……」

虚空蔵求聞持法だの、生き葬式だのと恐ろしい例が挙がった荒行。
それとダンスを比較するなら、ダンスに軍配?

2012/10/06 (Sat)

 

☆ダンスか、お経か


自分からネタを振ったばかりに、ダンスが降りかかって来たジョミー君。
荒行よりは楽勝だろう、と生徒会長は申しております。

ブルー 「どうしてもダンスは嫌だと言うなら、お経だね」
ジョミー「お経?」
ブルー 「今度こそ二度と忘れないレベルまで覚えて貰おう、基本のを」
キース 「こいつの頭じゃ無理なんじゃないか?」
サム  「頭は俺よりマシな筈だけど…。とことん向いていねえよな」
シロエ 「そこで荒行の出番になるんじゃないですか?」
スウェナ「今から百日缶詰だったら年を越してしまうわよ?」
ブルー 「ああ、その辺は大丈夫。五十日で済むコースもあるから」
マツカ 「それなら年内に終わりますね」
ブルー 「うん。一日に御真言を唱える回数が倍になるけど」
キース 「そういう仕組みか。百万回は必須なんだな」
ブルー 「それはもう…。そこは絶対譲れないよ」
ジョミー「ちょっと待ってよ、五十日って何さ!?」
ブルー 「百日よりはマシだろう? それでお経が覚えられるんだ」
ジョミー「ご、五十日なんて絶対無理だし! 死ぬし!」
ブルー 「だったら死ぬ気で基本のお経を覚えるかい?」
キース 「俺がビシバシ仕込んでやろうか?」
ブルー 「いいねえ、元老寺に住み込みでスパルタ式だね」

朝に勤行、昼間は学校、夕に勤行で他にも随時。
ジョミー君、思いっ切り坊主フラグが立とうとしているようで…。

ブルー 「アドス和尚にはぼくからもお願いしておこう」
キース 「それは親父が喜びそうだ。あんたの熱烈なファンだからな」
ジョミー「な、なんでそういう話になるわけ?」
ブルー 「荒行に頼らずにお経となれば、地道な努力が必要だよ」
キース 「心配しなくても飯は美味いぞ、塩断ちも要らん」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ イライザさんのお料理、美味しいよね!」
キース 「ぶるぅが正月に作ってくれた精進料理も美味かったがな」

あの時のレシピを再現してもてなそうか、とキース君。
ジョミー君を待つのは元老寺…?

2012/10/07 (Sun)

 

☆坊主の教師


仲間内での運動会とやらをダンスで開幕したくなった生徒会長。
踊らされるのはジョミー君ですが、嫌と言ったばかりに坊主フラグが…。

キース 「この際、キッチリ仕込むとするか。俺も一応、教師なんだ」
ジョミー「えぇっ!?」
シロエ 「キース先輩、教職を取ってましたっけ?」
スウェナ「教育実習に行ったって話は聞かなかったけど…」
キース 「学校の教師と言う訳ではない。これはあくまで坊主の話だ」
ブルー 「ほら、住職の資格を持ってるだろう? あれが教師さ」
マツカ 「そうなんですか? お坊さんの位じゃなくて?」
ブルー 「位とは別に教師の肩書きもつくんだよ」
サム  「あー、弟子を取れるって聞いてるもんな」
ブルー 「だからキースはジョミーを指導する資格があるわけ」

ジョミーの師僧はぼくだけど、と生徒会長はニコニコと。

ブルー 「元老寺なら任せて安心! 不肖の弟子をよろしく頼むよ」
キース 「任せてくれ。ジョミー、早速明日からだ」
ジョミー「あ、明日からって…」
キース 「荷物は最低限でいい。制服と下着の替えがあればな」
ブルー 「うんうん、なかなか本格的だね」
キース 「余計な私物は気が散る元だ。私服なんぞも必要無い」
ジョミー「なんでそういうことになるのさ!」
ブルー 「携帯も禁止でいいんじゃないかな、もちろんテレビも」
キース 「道場並みか? だが、そのくらいはしないと駄目か」
ブルー 「うん。ジョミーにお経を仕込むんだよ?」
ジョミー「ま、待ってよ、ぼくはやるとは言ってないってば!」
ブルー 「じゃあ、ダンスだ」
ジョミー「だ、ダンス…」
ブルー 「全力でダンスか、全力でお経を覚えるか。二つに一つってね」
キース 「俺はどっちでもかまわないぞ?」

ダンスの練習に本堂を貸すのもやぶさかではない、とキース君。

ブルー 「そういえば去年も借りてたね。どうする、ジョミー?」

『かみほー♪』で踊るか、お経の暗記か。
ジョミー君はどちらを選ぶのでしょうか…?

2012/10/08 (Mon)

 

☆選べない二択


『かみほー♪』に合わせてダンスを踊るか、基本のお経を覚えるか。
ジョミー君に突き付けられた二択、どちらかを選ばねばならないようで。

ブルー 「ぼくはどっちでもいいんだよ。ダンスは元々予定に無いし」
キース 「そのダンスとやらはジョミーが踊るというだけだろうな?」
ブルー 「えっ? ぶるぅも踊りたがってるじゃないか」
キース 「踊るのは希望者だけだろうな、と訊いているんだ」
シロエ 「ああ、そこは確認しておかないとマズイですよね」
サム  「俺たちまでが巻き添えになるのは御免だぜ」
ジョミー「ちょ、一緒に踊ってくれないわけ?」
キース 「俺たちにそんな義理は無い。で、どうなんだ、ブルー?」
ブルー 「ジョミーだけ踊ればいいと思うよ、ステージでさ」
ジョミー「…す、ステージ?」
ブルー 「特設ステージなんかはどうだい? ハロウィン仕様の」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ぼくもステージで踊りたいな♪」
ブルー 「なるほど、ぶるぅがバックダンサーというのもいいかもねえ」
ジョミー「そ、そんなぁ…。悪目立ちだよ!」
ブルー 「じゃあ、お経をマスターするんだね」
キース 「まあ、頑張れ。俺は指導に手抜きはせんぞ」
ジョミー「お、お経……」

特設ステージでダンスの披露か、地道にお経をマスターするか。
ジョミー君は悩みまくっておりますが…。

キース 「選べないなら両方でもいいぞ?」
ジョミー「両方って?」
キース 「決まってるだろう、お経とダンスだ。本堂は充分広いしな」
ブルー 「それは素敵なアイデアだね。どっちかはモノになりそうだ」
ジョミー「な、なんで両方!?」
ブルー 「選べなくて困っているんだろう? 渡りに舟ということで」
サム  「この際だから頑張ってこいよ。応援してるぜ」
キース 「よし、明日からウチに泊まり込みだな」
ジョミー「え? ええぇっ?」

迷ったばかりに、二択どころかダンスも、お経も。
二兎を追う者は一兎をも得ずと申しますけど、どうなりますやら…。

2012/10/09 (Tue)

 

☆お経とダンスと


お経を覚えるか、ダンスを踊るか。
選べずにグズグズしている間に、両方をやることに決まったジョミー君。
泣きの涙で嫌だと言っても今更どうにもなりません。

ブルー 「家に帰ったら早速荷物を纏めるんだね」
キース 「余計な物は一切要らんぞ、持ち物は後でメールをしてやろう」
ジョミー「…それで決まり? 本当に?」
ブルー 「往生際が悪いったら…。アドス和尚もOKしたのに」
キース 「親父があんなに喜ぶとはな。あんたの声だけで大感激だ」

生徒会長から電話を貰ったアドス和尚は大喜び。
二つ返事でジョミー君の修行とダンスを引き受けたようでございます。

キース 「親父の指導は俺よりキツイが、その分、覚えも早いだろう」
ブルー 「アドス和尚がお経を教えて、君がダンスを担当かい?」
キース 「おいおい、ダンスはジョミーが一人でやるんだろうが」
ブルー 「だけど監視は必要だよ? でないと確実に逃亡するから」
キース 「そうか…。じゃあ、あんたがメニューを決めてくれ」
ジョミー「め、メニューって?」
キース 「いつまでに振り付けを決定するとか、そういうのだな」
ブルー 「なるほどね。それじゃ明日までに考えておくよ」
ジョミー「ほ、本当に元老寺に行かされるわけ?」
ブルー 「決まったことをグダグダ言わない! とにかく明日から!」

これがいわゆる鶴の一声。
ジョミー君には拒否権は無しで、そして翌日。

ぶるぅ 「かみお~ん♪ 今日からジョミーは元老寺だね!」
ブルー 「朝から黄昏れていたようだけど、ぼくは一切斟酌しないよ」
キース 「俺も容赦する気は全く無い。もちろん親父もだ」
ジョミー「…なんか人生終わった気がする…」
ブルー 「大袈裟だねえ…。いや、ホントに袈裟が必須だけれど」
サム  「本物の寺で修行だもんなあ。袈裟は要るよな」
ジョミー「ダンスの時間の方がマシかも…」

そっちは袈裟は要らないもんね、とジョミー君。
法衣を纏って読経よりかはダンスが好みのようですねえ…。

2012/10/10 (Wed)

 

☆修行と手荷物


お経とダンスの二足の草鞋を履く羽目になったジョミー君。
今日から毎日キース君と一緒に下校で、元老寺での生活になりますが…。

キース 「袈裟はともかく、読経の方も頑張らないと親父が怖いぞ」
ジョミー「や、やっぱり…?」
サム  「お前、正月にも怒られていたじゃねえかよ、肉まん食ってさ」
シロエ 「御本尊様の前で肉を食べるとは、って凄かったですよね」
キース 「いいか、親父を怒らせるなよ? 俺でも止められないからな」
スウェナ「下手に止めたら坊主頭にされそうだものね」
キース 「不吉なことを言わないでくれ。坊主頭はジョミーに任せる」
ジョミー「い、嫌だよ、なんでそこまでされるのさ!」
ブルー 「形から入るというのもお勧めだけどね? 気が引き締まるし」
キース 「同感だ。坊主頭の方はともかく、私服は一切禁止だぞ」
ジョミー「分かってるよ…。制服と体操服しか持って来てないよ」

だから荷物が少ないんだ、とジョミー君が眺める先にはボストンバッグ。
それだけを提げてキース君の家に泊まり込みです。

ブルー 「もう少し荷物を減らすべきだね。まだ多すぎる」
キース 「そうだな、俺が修行に出掛ける時にはもっと少なかった」
ジョミー「でも、これ以上減らせないよ! 必要最低限なんだよ!」
サム  「そうかぁ? お前ならスナック菓子とか入れてそうだぜ」
ジョミー「入れないよ! 手荷物検査があるって聞いたし!」
マツカ 「手荷物検査…ですか?」
キース 「ああ、脅しをかけておいたんだ。親父がやるぞ、と」
ジョミー「携帯とかは毎日没収されるって…。ゲーム機だって」

余計なものは入っていない、とジョミー君は主張しております。

ブルー 「体操服が余計なんだよ。学校に置いておきたまえ」
ジョミー「えぇっ、それじゃダンスの練習は?」
ブルー 「キースに借りればいいだろう。行き先はお寺なんだから」

体操服など必要無い、と生徒会長。
確かにお寺へ修行に行くのに体操服は要らないかも…?

2012/10/11 (Thu)

 

☆余計な体操服


修行の日々に余計なものは不必要。
荷物をとことん減らすように、と生徒会長は体操服を禁止いたしました。

ジョミー「体操服もダメなわけ? 余計なわけ?」
キース 「確かに寺では必要ないな。動く時には作務衣が基本だ」
ジョミー「さ、作務衣って…。あんなのでダンス出来ないよ!」
キース 「作務衣は動きやすいんだぞ。宗派によっては山仕事もする」
シロエ 「山仕事ですか?」
キース 「薪割りとかは基本だな。木に登って枝打ちすることもあるし」
ブルー 「作業用に作られた服だからねえ、ダンスくらいは朝飯前さ」
ジョミー「うー…。分かったよ、体操服は置いてくよ!」

ボストンバッグから体操服を引っ張り出したジョミー君。
洗い替え用もあったため、取り出した後は荷物もスッキリ。

キース 「よし、そんな所でいいだろう。合格点だ」
ブルー 「不肖の弟子をよろしく頼むよ、これがメニューだ」
キース 「ダンスの指導方針だな? どれどれ…」

生徒会長が渡した紙をチェックしているキース君ですが。
なにやら眉間に皺が刻まれ始めたような…?

キース 「……おい」
ブルー 「なんだい? 分かり易く書いたつもりだけれど」
キース 「最終発表が10月27日というのは運動会の日のことか?」
ブルー 「うん。ハロウィン当日は平日だからさ、土曜がいいかと」
サム  「決まったのかよ? 楽しみだなあ」
シロエ 「27日の土曜日ですね、シャングリラ学園でやるんですか?」
ブルー 「どうだろうね? ハロウィンだしねえ…」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ カボチャが活躍するんだって!」
マツカ 「そうなるとマザー農場でしょうか?」
スウェナ「学校よりもずっと広いし、ありそうね」
キース 「…日程は分かった。それまでに仕上げろというのも分かる」
ブルー 「何か問題でもあったかい?」
キース 「何なんだ、この舞台衣装というヤツは!」
全員  「「「舞台衣装?」」」

ダンスの披露に舞台衣装。
ジョミー君、とことん見世物ですか?

2012/10/12 (Fri)

 

☆ダンスも法衣で


ジョミー君がダンスを披露するのは10月27日だそうでございます。
それに備えて今日から修行の日々となりますが、舞台衣装があるとかで。

ジョミー「舞台衣装なんか聞いていないよ!」
キース 「俺もだ。いや、舞台衣装ならまだ分かる。しかし、これは…」
ブルー 「なかなかお洒落だと思うんだけどね?」
キース 「何処がだ!」
ブルー 「おや、法衣はお洒落じゃないとでも?」
全員  「「「法衣!?」」」
キース 「そうだ、法衣を着用と書いてあるんだ、このメニューに!」

よく見てくれ、とキース君がテーブルに置いた練習メニュー。
シャン学メンバーが覗き込んでみれば、確かに法衣という文字が。

シロエ 「えーっと…。振り付けを完璧にマスターしたら法衣を着用…」
サム  「舞台衣装に慣れておけって書いてあるよな」
マツカ 「つまり法衣が舞台衣装なわけですね…」
ジョミー「冗談じゃないよ、なんで法衣なんか!」
キース 「それに関しては俺も言いたい。罰当たりにも程があるぞ」
ブルー 「分かってないねえ、歌って踊れるお坊さんは貴重じゃないか」
キース 「俺たちの宗派は踊り念仏はやらんだろうが!」
ブルー 「南無阿弥陀仏で踊るんじゃないよ、『かみほー♪』だよ?」
キース 「なんでそうなる!」
ブルー 「ハロウィンだから」

ケロッと答える生徒会長。

ブルー 「ハロウィンに仮装は基本だろう? 舞台衣装も凝らなくちゃ」
キース 「あんた、ハロウィンと坊主を混ぜる気か?」
ブルー 「混ぜるな危険とは書いていないし、問題ないと思うけど?」
キース 「もういい、あんたには一生勝てん。要は法衣で踊るんだな?」
ブルー 「ジョミーがね。…でも、君も踊りたいなら止めないよ」
キース 「お断りだ!」
ブルー 「おや、残念。とにかく、そういうわけで法衣でよろしく」
ジョミー「えっ? えぇぇっ?」

ダンスの方も法衣着用と決まってしまったジョミー君。
抹香臭い修行の日々とダンスの練習、どうなりますやら…。

2012/10/13 (Sat)

 

☆不向きな法衣


ダンスの衣装は、なんと法衣で。
生徒会長に言わせればハロウィンだけに仮装は基本。しかし法衣とは…。

ジョミー「無理だよ、あんなので踊れないよ!」
ブルー 「そうでもないのはキースが既に証明済みだろ?」
サム  「ああ、アレな。お田植え祭で舞っていたよな、巫女さん役で」
キース 「嫌なことを思い出させるな!」
シロエ 「でも、あの舞は凄かったですよ、キース先輩」
スウェナ「舞の基本はお坊さんの動作でマスターしてると聞いたわよね」
ブルー 「だろう? だから法衣でダンスは可能だ」
マツカ 「あのぅ…。舞とダンスは違いますよ?」
ブルー 「どっちも同じだよ、音楽に合わせて踊るんだから」
シロエ 「言われてみればテンポが別モノですね…。無理っぽいですよ」
キース 「一万歩譲って舞なら可能なのかもしれん。だが、ダンスは…」
ジョミー「去年のヤツは飛び跳ねてたんだよ、絶対無理だよ!」
ブルー 「そこが面白くなるんじゃないか。仮装っぽくて」

法衣の裾を蹴散らし、脛も丸出しでホップステップジャンプなのだ、と
生徒会長は申しております。

ブルー 「こう、はじけるお坊さんって所がハロウィンなんだよ」
キース 「あんた、本気で混ぜるつもりか! ハロウィンと坊主を!」
ブルー 「ウケればいいんだ、オープニングのセレモニーだし」
キース 「親父が聞いたら憤死しそうだが…」
ブルー 「問題ない、ない。去年も本堂で踊って見せただろ?」
シロエ 「そういえば喜んでいましたっけね、こういうのもアリだって」
キース 「し、しかし…」
ブルー 「平気だってば、アドス和尚はぼくのファンだから」
キース 「…分かった。俺は監視役に徹するまでだ」
ブルー 「心強いねえ、よろしく頼むよ」
ジョミー「ぼ、ぼくの立場は…?」
キース 「そんなものがあると思うのか? さあ、俺と一緒に帰ろうぜ」

早速シゴキだ、と燃え上がっているキース君。
元老寺に住み込みでダンスにお経。ジョミー君は無事に乗り切れるのか?

2012/10/14 (Sun)

 

☆只今、修行中


お経の暗記と、『かみほー♪』に合わせて踊るダンスと。
元老寺に泊まり込みで両方をやる羽目になったジョミー君、涙の日々で。

ジョミー「も、もうダメだぁ…。帰りたくない~!」
キース 「やかましい! まだ振り付けも仕上がっていないだろうが!」
ブルー 「そうなのかい? 期限は昨日だったと思ったけどな」
キース 「予定より遅れていやがるんだ。親父のシゴキがキツイせいで」
ジョミー「帰ったらすぐにお経なんだよ、ガッツリ正座で1時間も!」
サム  「それって基本のお勤めじゃねえか?」
キース 「もちろんだ。なのに、足が痺れたの疲れただのと…」
ブルー 「グダグダ言い訳している間に夜の特訓の時間なんだね?」
キース 「そういうことだ。親父が手取り足とり、読経と所作を」
ブルー 「うーん…。食事と睡眠時間を削って頑張らせるか…」
キース 「俺まで巻き添えになれと言うのか?」
ブルー 「違うよ、自主練。ジョミーが一人でやるんだよ」
キース 「それならいい。分かったな、ジョミー」
ジョミー「ちょ、ちょっと! 食事と睡眠時間って…」
ブルー 「荒行だと思ってやりたまえ。遅れはきちんと取り戻す!」

以上、と冷たく言い放った生徒会長、ニッコリ笑って。

ブルー 「ダンスはジョミーに任せるとして…。みんなはどうする?」
全員  「「「は?」」」
ブルー 「運動会だよ。参加するのか、見物かってこと」
シロエ 「全員参加じゃないんですか?」
ブルー 「各自の好みで選べるんだよ。見物だけでも勿論、OK」
キース 「所属チームとかはどうなるんだ?」
ブルー 「無いね。個人競技って形だから」
サム  「へえ…。じゃあ、キースに勝てるかもしれねえんだ?」
シロエ 「キース先輩に勝つチャンスですか! それは貴重です」
キース 「待て。俺は出るとは言っていないぞ、勝手に決めるな!」

そもそもどういう競技なんだ、とキース君。
参加自由な個人競技。何をやらされるのか聞いておかないと危険かも…?

2012/10/15 (Mon)


 

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☆商売上手なお寺


電電宮から美坊主図鑑へと話が派手に飛躍している間に、本堂が間近に。
既に先客が詰め掛けているようでございます。

ブルー 「ほらね、法要まではまだ時間があるのに人が来てるだろ?」
ジョミー「みんな菊の花目当てで来てるわけ?」
ブルー 「観光客もいるけど、基本はそうだね。後は茱萸袋」
全員  「「「は?」」」
ブルー 「グミぶくろ、って言ったんだよ。重陽限定のお守りでさ」
キース 「それは今日しか売らないのか?」
ブルー 「うん。装飾品としてなら香木店でも扱うけれど」

お守りとして売られているのはレアケースだそうでございます。

スウェナ「グミ袋って、どんなものなの?」
ブルー 「お香を詰めた袋に菊とグミの造花がついてて、長寿のお守り」
シロエ 「そっちは菊と違ってお金を払えば買えるんですね?」
ブルー 「でも沢山は売らないよ? お守りにしては高い部類だし」
キース 「そうなのか?」
ブルー 「観光寺院の拝観料だと四人前だね、茱萸袋1個で」
サム  「それってメチャクチャ高いじゃねえかよ!」
ジョミー「えーっと、えーっと…。お札が二枚も要るんだよね…」
スウェナ「ちょっとしたランチが食べられちゃうわよ、洒落たお店で」

なんという価格設定なのだ、と呆然とするシャン学メンバー。
いくら一日限りの限定品でも、もう少しお安くならないのでしょうか?

ジョミー「暴利だよ、それ!」
キース 「そこまでは言わんが、高すぎるという気はするな…」
ブルー 「ところがコレが安いんだな。香木店の茱萸袋だとその十倍だ」
全員  「「「十倍!?」」」
ブルー 「腕利きの職人さんが作ったヤツだと三十倍近い」
シロエ 「その値段を出しても御利益はゼロなんですよね、お店のは」
ブルー 「縁起物だからゼロじゃないけど…」

御祈祷とかはしてないし、と生徒会長は笑っております。
お守りにしては高い値段でも御祈祷済みというのは有難いもの。
何処までも商売上手なお寺に来ちゃったみたいですねえ…。

2012/09/16 (Sun)

 

☆商売の限界


重陽限定のお守りだという茱萸袋。
お値段は非常にゴージャスですけど、市販品より安い価格で御祈祷済み。
これを目当てにやって来る人がいるというのも納得ですが。

キース 「しかしだな…。その値段の差は何なんだ。普通は逆だぞ」
ブルー 「御祈祷済みの方が高いって?」
スウェナ「だって、そうでしょ? 節分の恵方巻でもそうよ」
シロエ 「ですね、開運祈願の御祈祷済みを謳う恵方巻は高かったかと」
サム  「御祈祷済みってのはアレだろ、プラスアルファだろ?」

御祈祷料が上乗せになって当然だ、とサム君も言っておりますが…。

ブルー 「茱萸袋はメジャーじゃないからね。市販品は殆ど売れない」
全員  「「「は?」」」
ブルー 「縁起物だとは言ったけど…。門松とかとは違うんだ」

何処の家でも飾るものではない、と生徒会長。

ブルー 「重陽の節句から端午の節句までの間だけ飾る邪気払いさ」
キース 「今日から5月5日までだと? その後の期間はどうなるんだ」
シロエ 「そうですよ、夏の思いっ切り暑い間はどうするんですか!」
サム  「邪気払いがより切実に要るんじゃねえのか、夏の間は」
ジョミー「夏バテするしね…」
マツカ 「それ以前に昔だと夏は衛生状態が…。病気も流行りそうです」
ブルー 「夏の間は代わりに薬玉を飾るってことに決まっているよ」
ジョミー「えっ? 薬玉って…割れたら中からテープとかが出るヤツ?」
ブルー 「別物だってば! 菖蒲とか蓬を入れて綺麗に飾った玉のこと」
キース 「ここはそっちも売っているのか、5月5日に?」
ブルー 「そこまでは…。ここは茱萸袋専門だよ」
ジョミー「なんで? セットで薬玉も売ればいいのに」
ブルー 「そうだろうけど、ちょっと苦しい。御本尊様に繋がらないし」
キース 「どういう意味だ?」
ブルー 「菊だよ、菊。虚空蔵菩薩様は菊がお好きなんだ」

だから重陽の節句に法要が…、と生徒会長。
商売上手なお寺とはいえ、越えられない一線はあるようです…。

2012/09/17 (Mon)

 

☆お寺いろいろ


商売上手なお寺といえども、越えてはならない最後の一線。
茱萸袋と対を成すのが端午の節句の薬玉ですけど、薬玉は販売不可能で。

ブルー 「重陽は菊の節句とも言うからね。虚空蔵菩薩様にはピッタリ」
シロエ 「薬玉の素材とは無関係なんですね、虚空蔵菩薩は」
ブルー 「残念ながら、そうなんだ。菖蒲か蓬が被っていればね…」

そっちも販売出来ただろうに、と生徒会長。
お寺たるもの、縁もゆかりも無い代物を授与するのはNGらしいです。

サム  「セットで売ったら稼げそうなのになぁ…」
キース 「歴史も由緒も無い寺だったら、それもアリかもしれんがな」
ジョミー「なにそれ?」
キース 「マイナーな寺が一気にメジャーになるのも珍しくはない」

具体的な名は挙げられないが…、とキース君は声を潜めております。

キース 「そんな仏像が何処にあったんだ、というケースもあるぞ」
サム  「おいおい、新しく作ったとかじゃねえだろうな?」
キース 「それもアリだ。でもって信者がついてしまえば大成功なんだ」
シロエ 「思い切り酷いじゃないですか! それって霊感商法ですよ」
ブルー 「無理な売り込みをやらなかったら全く問題ないからねえ…」
キース 「ついた信者がお布施をするのは個人の自由だしな」
ブルー 「そう、そう。リュックにお布施を詰めて通うのも信心からさ」
マツカ 「リュック…ですか?」
ブルー 「お参りする度にリュックに一杯。そんな人もいる」
ジョミー「それってスゴイ…」
スウェナ「お寺も凄いけど、リュック一杯のお金も凄いわ…」
サム  「新しく作った仏像でソレかよ…。なんか泣けて来たぜ」
ブルー 「頼もしいねえ、サムはそうならないように頑張って」
キース 「節度ってヤツは大切なんだぞ。守るべき所はしっかり守れ」

この寺みたいに…、と言ったキース君ですが。

キース 「ところで、例の茱萸袋だが。市販品の値段は高すぎないか?」

良心的な値段にするべきだ、と言われてみればそうなのかも?

2012/09/18 (Tue)

 

☆茱萸袋のお値段


市販品の茱萸袋の値段は高すぎないか、というのがキース君の指摘。
香木店で買えばお守りの十倍、腕利きの職人さんが作った品なら三十倍。

キース 「いくら門松ほどには売れないと言っても、その値段ではな…」
シロエ 「そうですね。興味を持っても気軽に買って飾るわけには…」
サム  「マツカみたいな大金持ちなら別だけどなぁ」
ジョミー「安ければ普及するんじゃない? 門松みたいに」
ブルー 「門松とは原価が違うんだよ。入っているのはお香だよ?」

あれは高い、と生徒会長は申しております。

ブルー 「キースなら分かると思うんだけど、お線香だってピンキリだ」
シロエ 「お線香にランクがあるんですか!?」
キース 「仏壇が無いと馴染みがないかもな…。実はあるんだ」
ブルー 「高価なヤツだと一本分の値段で普及品が一箱買えてお釣りが」
サム  「マジかよ?」
ブルー 「原料のお香が高いわけ。安価なお線香だとお香は使わない」
スウェナ「お線香なのに、どういうことなの?」
キース 「それっぽく見えればいいからな。杉の粉で作って香料を…」
ジョミー「なんか酷くない?」
ブルー 「でも本物にこだわると値段がグングンと…ね」

茱萸袋の値段もその理屈、とニッコリ笑う生徒会長。

ブルー 「ここの茱萸袋に入っているお香はそこそこ。香木店のは…」
キース 「こだわりのお香というわけか。それなら高くても仕方ないな」
ブルー 「それと造花と袋のお値段。袋の布は絹織物だよ」
シロエ 「あー…。とことん装飾品なんですね」
ブルー 「そういうこと。インテリアは高級感が命ってことで」
スウェナ「御利益の方は二の次なのね…」
マツカ 「ぼくなら御利益を選びますけど」
ブルー 「じゃあ、授かって帰るかい? 茱萸袋」
マツカ 「いえ、ぼくは…。まだ御仏縁というのはちょっと…」

慎重に予防線を張るマツカ君の隣でシロエ君もコクコク頷いています。
御仏縁をうっかり結ぶと坊主フラグってヤツが立ちますからねえ…。

2012/09/19 (Wed)

 

☆本堂を目指せ


重陽限定の茱萸袋なるお守りですが。
頂いてしまうと坊主フラグが立ちそうとあって、男の子たちは警戒態勢。

ジョミー「値段もアレだけど、御仏縁つきなら要らないよ、ぼくも」
サム  「なに言ってんだよ、お前、とっくに仏弟子だろ?」
キース 「出家したからには積極的に御仏縁を結ぶべきだと思うが」
ブルー 「そうだよ、宗派が違っても仏様を敬う心が大切で…」
シロエ 「あーあ、早速やっていますよ」
マツカ 「ぼくたちも巻き込まれないように気を付けましょう」
スウェナ「大丈夫よ。お弟子さんはジョミーとサムで手一杯なんだし」
シロエ 「他所に紹介ってコマンドも持っているんですよ、会長は」
マツカ 「用心するのが一番なんです。触らぬ神に祟り無しです」
ブルー 「あれっ、呼んだかい?」
シロエ 「いえ、電電宮の話をしてただけです」
ブルー 「しっかり覚えてくれてたんだね? 嬉しいなぁ」

話した甲斐があった、と生徒会長はにこやかに。

ブルー 「それじゃ本堂に入ろうか。一応、軽くシールドをかけて」
全員  「「「シールド!?」」」
ブルー 「シッ、声が高い! これだからシールドが要るんだよ」
ジョミー「なんで?」
ブルー 「善男善女の前で失言のオンパレードだと追い出されちゃう」
キース 「そうかもしれんな。追い出さなくても厳重注意だ」
ジョミー「まだ追い出された方がマシかも…」
ブルー 「ほら、もう失言が始まってるし! 御仏縁は要らないってね」
キース 「御本尊様にも失礼だぞ。それで、どういうシールドなんだ」
ブルー 「音声だけを攪乱するのさ。印象に残らないように」
キース 「なるほどな…。それなら普通にうるさいだけか」
ブルー 「そういうこと。こんな感じで」

キラッと一瞬、青い光が走りましたが。

全員  「「「えっ?」」」
ブルー 「シールド完了。さあ、行くよ」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ しゅっぱぁ~つ!」

いざ、商売上手なお寺の本堂へ。
御仏縁には要注意ですよ~!

2012/09/20 (Thu)

 

☆謎の仏像と菊


入口で靴を脱ぎ、善男善女で溢れる本堂の中へ。
生徒会長が言っていたとおり、菊の香りが思い切り漂っておりますが…。

ジョミー「な、なんなの、アレ…」
ブルー 「指さしちゃダメだよ、失礼にあたる」
ジョミー「で、でも…! か、髪の毛が生えた仏像って初めて見るし!」
シロエ 「そうですねえ…。でも本当に仏像ですか?」

人形みたいに見えますよ、とシロエ君。
金屏風を背負って座っているのはボサボサ黒髪の男の子っぽい像でして。

お坊さん「お参りありがとうございます。こちらをどうぞ」
ジョミー「えっ?」
お坊さん「菊慈童様に献花をお願いしております」
ジョミー「きくじどう?」
ブルー 「ほらほら、説明は後でするから花を貰って」
ジョミー「う、うん…」

お坊さんから手渡されたのは菊の花。
どうするのだ、と戸惑うシャン学メンバーを押し退けた生徒会長が像の
前へと。菊を供えて合掌、一礼。

ブルー 「…南無阿弥陀仏」
ジョミー「な、南無阿弥陀仏? やっぱり仏像?」
キース 「落ち着け、俺たちの宗派は基本は南無阿弥陀仏なんだぞ」
ジョミー「どういうことさ?」
キース 「特段の指示がある時以外は何を拝んでも南無阿弥陀仏だ」
ブルー 「代わりに解説ありがとう。さあ、君たちも行って、行って」

後がつかえているからね、と言われてみれば行列が。
ジョミー君たち、慌てて献花でございます。

シロエ 「分からないんで南無阿弥陀仏で行ってきましたけど…」
サム  「あれって何だよ、何の像だよ?」
ブルー 「菊慈童だと言っただろ? 重陽の節句の由来みたいなもの」
全員  「「「は?」」」
ブルー 「七百歳とも八百歳とも言われる長寿を保った子供なのさ」

菊慈童は中華の国の皇帝に仕えていた男の子だそうでございます。
皇帝の枕をまたいでしまって、追放されたそうなのですが。

ブルー 「その先で菊の露を飲んで暮らす間に不老長寿ってね」

以来、重陽には菊の花。
不老長寿の神様でしたか、菊慈童…。

2012/09/21 (Fri)

 

☆カラフルな菊


菊慈童の像に献花した後は、本堂の空きスペースに座るお約束のようで。
シャン学メンバー、善男善女に混じって着席です。

ジョミー「ここって座布団、置いてないの?」
ブルー 「本堂一杯になるんだよ? 何枚あっても足りないじゃないか」
キース 「人数が決まった法要だったら用意も出来るが…」
ブルー 「不特定多数に下手に配ると奪い合いになっちゃうからねえ…」

御本尊様の前で座布団の奪い合いなど見苦しい、と生徒会長。

ジョミー「そりゃそうだけど…。でも、争奪戦って言わなかった?」
サム  「うんうん、座布団じゃなくて菊だけどな」
シロエ 「えーっと…。争奪戦をするっていうのはアレですか?」

なんだか変わった菊ですけれど、とシロエ君が指差す先には菊の花。
菊慈童の像の両脇や、御本尊様の前を菊が埋め尽くしておりますが…。

スウェナ「何を被せてあるのかしら?」
ジョミー「…座布団かなぁ?」
ブルー 「座布団なわけがないだろう。確かに形は似ているけれど」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ お座布団を積んだみたいだね!」

菊の花の上にはフカフカの四角い綿が載っております。
それも一枚どころか三枚、四枚。色も白、赤、黄、青と鮮やかで。

キース 「教義としては分からんでもないが…。凄い色彩感覚だな」
シロエ 「黄色の上に青や赤まで重ねて置くのが教義ですか?」
キース 「密教系だと一応、基本の色なんだ。だが、しかし…」
ブルー 「菊の色までまるっと無視して載せるのもねえ…」

教義じゃ仕方ないけれど、と生徒会長は小声でコソコソと。

ブルー 「赤い菊には白、白菊には黄色、黄菊には赤さ、本当は」
シロエ 「そうなんですか?」
ブルー 「全部に白って流儀もあるけど、基本はコレ」

更に綿を載せるのは菊一輪につき、一枚だそうでございます。

キース 「そこを何枚も重ねてきたか…。色もゴタ混ぜで」
ブルー 「本当にセンス最悪だよね」

生徒会長までが失言。
シールドを張って正解でしたねえ…。


※アニテラ最終話・『地球の緑の丘』 放映から今日で5周年。
 あれからもう5年も経ってしまったんだなぁ…、と、少ししんみり。
 7月28日合わせで捏造した 『奇跡の青から』 がございますので、
 拙作の世界では誰一人として死んではいないわけですが…。
 ん? こんな日に菊はマズかったかな? 仏花の王道でした…(汗)
 
 以下、全員生存EDを踏まえたシャングリラ学園特別編です!


    ++++++シャングリラ学園特別編++++++


教頭先生「では、生き残られた皆様方の御健康と前途を祝して乾杯!」
ブルー 「そこは献杯だと思うんだ。今日が祥月命日だろう?」
教頭先生「いや、しかし…。ちゃんと生き残っておいでなわけだし」
ブルー 「けじめだよ、けじめ。世間的には祥月命日」
教頭先生「だが、皆様ここにおいでになるのに、献杯というのはだな…」
ブルー 「要は飲めればいいんだってば。じゃあ、献杯!」
一同  「「「けんぱーい!!!」」」

『奇跡の青から』 で生き残られた皆様方と、シャン学の面々と。
賑やかな酒宴となっておりますが、ジョミー君の坊主宣言は大丈夫かな?


2012/09/22 (Sat)

 

☆菊の被せ綿


カラフルと言うか、悪趣味と言うか。
凄まじい配色の綿を何枚も被せられた菊、所狭しと並べられております。

キース 「で、あのセンスの悪い菊は何なんだ?」
ブルー 「菊の被せ綿」
全員  「「「は?」」」
ブルー 「きせわた、ってね。その名の通り綿を被せるのさ」

知らないかな、とキース君とシロエ君を見詰める生徒会長。

ブルー 「君たちなら知っていそうな気もしたけどねえ…」
キース 「生憎と俺は寺と直接関係の無い行事には疎くてな」
シロエ 「…ぼくも花とかについてはちょっと…」
ブルー 「ハーレイの古典でも教えてないかな、そういえば」
サム  「あの綿に意味があるのかよ?」
ブルー 「茱萸袋と同じで重陽限定、不老長寿のお守りなんだよ」

重陽の前の夜から菊の花に綿を被せておくのが被せ綿。
綿が含んだ露で身体を拭うと不老長寿とか、若返るとかだそうですが。

ジョミー「じゃあ、あの菊を奪い合うわけ?」
ブルー 「違うよ、あれは本堂の飾り。奪い合うのは献花した菊」
キース 「なるほど…。法要で祈祷して御利益という仕組みだな」
ブルー 「そういうこと。おっと、そろそろ始まるかな?」
キース 「法要の時間か?」
ブルー 「お守りの販売と菊酒だよ。法要はその後」

本堂には人が詰まってきておりますが、中央部分が空けてあります。
お坊さんが数人、そこに机を据えまして…。

お坊さん「お待たせいたしました。只今より茱萸袋を授与いたします」

途端にドドッと善男善女が中央に向けて大移動。
机の上に積み上げられた白い箱が飛ぶように売れていくわけで。

キース 「凄い勢いだな。限定品というだけのことはある」
ブルー 「おまけに御祈祷済みだしね。君たちも一個、頂いてきたら?」
シロエ 「いえ、不老長寿は今の所は間に合ってます」
マツカ 「ぼくもです」

御仏縁など結んでたまるか、と座った場所から動かざること山の如し。
シャン学メンバーの慎重な姿勢、生徒会長の日頃の行いのせいとしか…。

2012/09/23 (Sun)

 

☆完売御礼


被せ綿とやらを被った菊が飾られた本堂を舞台に、限定お守り販売開始。
茱萸袋、ゴージャスなお値段の割にサクッと完売でございます。

ジョミー「凄いや、アッと言う間に売れちゃったよ…」
キース 「買えなかった人も多いようだな」
ブルー 「この段階で既に争奪戦ってね。頂きそびれた人は怖いよ」
全員  「「「は?」」」
ブルー 「茱萸袋が手に入らなかったら後は菊しか無いだろう?」
シロエ 「それで争奪戦ですか…。でも一人一本、献花したんじゃあ?」
サム  「最後の方に入って来た人はしていないかもしれねえぜ」
キース 「あっちの方も数に限りがあっただろうしな」
ブルー 「全員の分は当然、無いさ。おまけに一人一本限りじゃないし」
マツカ 「どういう意味ですか?」
ブルー 「何本貰っても構わないんだ。家族の分とか、親戚の分とか」
スウェナ「だったら全然足りないわよ?」
ブルー 「足りないねえ…。だけど欲しいんだから仕方がない」
サム  「仁義なき戦いって言ってたのはそれかよ…」

献花は一人一本限り。献花しそびれた人も本堂の中に。
そして御祈祷済みの菊を一人で何本もゲットしたい人もいるわけで…。

ブルー 「不老長寿は間に合っている、と言うんだったら働きたまえ」
キース 「争奪戦で菊を奪って、貰いそびれた人に配るわけだな」
ブルー 「そういう目的で来たんだからね。ボランティアだよ」
サム  「よーし、頑張るぞ! なあ、ジョミー?」
ジョミー「う、うん…。人にあげるんなら御仏縁とは関係無いよね」
ブルー 「功徳を積んだことにはなるけど…。まあ、頑張って」
ジョミー「功徳って…。な、なんか不吉な感じだけど…」
キース 「細かいことは気にするな。お前も仏弟子の端くれだろうが」
ブルー 「ほら、菊酒が振舞われるよ? 行ってグイッと」
ジョミー「き、菊酒…?」

ヤバイ、と青ざめるジョミー君。
お酒を飲んで坊主宣言はお正月以来の恒例行事となっております。
今回は無事に済むのでしょうか…?

2012/09/24 (Mon)

 

☆菊酒を頂こう


茱萸袋の販売……いえいえ、授与が終わると菊酒だそうでございます。
中央のスペースに据えられたのは振舞いのための酒器一式で、準備完了。

お坊さん「菊酒の用意が整いました。皆様、順にこちらへお願いします」

押し合わないように、と注意がされて、今度はきちんと行列が。
菊酒の方は充分な量があるようです。

ブルー 「さあ、君たちも並んで、並んで」
シロエ 「いいんですか? ぼくたち、未成年ですよ?」
ブルー 「小学生とか幼稚園児はともかく、その年だったら無問題だよ」

お屠蘇だって飲むだろう、と言われてみればその通りで。

ブルー 「不老長寿の縁起物だし、頂きたまえ」
スウェナ「菊で作ったお酒なの?」
ブルー 「菊の花びらを浸してあるのさ。菊の香りが素敵なんだ」
ぶるぅ 「あのね、フワッと匂いがするの! でも…」

甘くないからちょっと残念、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」はジュース感覚。
「そるじゃぁ・ぶるぅ」でも飲めるなら、と皆で行列に並びまして…。

お坊さん「ようこそお参り下さいました。さあ、どうぞ」
ブルー 「ありがとうございます。頂きます」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ありがとう!」

クイッと飲み干した二人に続いて今度はジョミー君ですが。

お坊さん「ささ、どうぞどうぞ」
ジョミー「あ、あのう…」
お坊さん「なんでしょう?」
ジョミー「こ、これって一杯だけですか? お代わりは無し?」
お坊さん「はあ…。お持ち帰りを御希望ですか? 御家族の方に?」
ジョミー「う、ううん、そういうわけじゃなくって…」
お坊さん「どうしてもというお話でしたら、後ほど奥で伺いますが」
ジョミー「奥?」
お坊さん「関係者用のがございます。お入り用でしたら特別に」
ジョミー「え? ええっ?」
お坊さん「そちらも御祈祷済みの菊酒です。お代の方は結構ですよ」

どうぞ御遠慮なくお持ち帰りを、と商売っ気抜きのお坊さんたち。
ジョミー君、御利益の持ち帰り希望な信者さんフラグが立ちましたか?

2012/09/25 (Tue)

 

☆菊酒で御仏縁


電電宮だの茱萸袋のと、とっても商売上手なお寺。
しかし来られなかった誰かにも御利益を、となれば話は別のようでして。

お坊さん「まだお若いのに代参なさるとは御立派ですねえ」
ジョミー「え、えっと…」
お坊さん「法要が終わりましたら庫裏の方へいらして下さい」
ジョミー「そ、そうじゃなくて! 一人一杯なら別にいいんだけど…」
お坊さん「お尋ねになられたのも御仏縁でございましょう。御遠慮なく」
ジョミー「……ご、御仏縁……」

坊主宣言どころか庫裏に招かれて御仏縁。
ジョミー君、ピンチでございますが。

ブルー 「不肖の弟子がお世話を掛けるね。申し訳ない」
お坊さん「は?」
ブルー 「一応、ぼくの弟子なんだ。菊酒は一杯あれば充分」
お坊さん「ですが、お代わりと仰いましたが?」
ブルー 「酔うと坊主宣言をする癖があるんだ。それで警戒してるだけ」
お坊さん「ああ、なるほど…。では、お持ち帰り希望ではないのですね」
ブルー 「残念ながら…ね。そこまで熱心に仏様に帰依してくれれば…」
お坊さん「お若いのですし、これからですよ。どうぞ、これを御縁に」

仏の道に精進して下さい、とジョミー君に注がれた菊酒は多め。
お坊さんたちが「さあ、飲め」とばかりに見詰めております。

ジョミー「う、うう…。こ、このくらいならきっと大丈夫…」
ブルー 「大袈裟だねえ…。酔いやしなよ、少しくらいじゃ」
ジョミー「い、頂きますっ!」

ヤケクソで菊酒を呷ったジョミー君に、お坊さんたちの視線は温かく。

お坊さん「来年もお待ちしております。どうぞ修行に励んで下さい」
ブルー 「虚空蔵菩薩様は学問の道をお守り下さる。頑張りたまえ」
サム  「お前、お経も覚えねえもんな…。効くといいな、菊酒」
キース 「ドーピングか…。学問に王道なしとは言うが、必要かもな」

ジョミー君、菊酒の御利益で暗記力アップといくのでしょうか?
坊主宣言は回避したものの、御仏縁の方はガッツリと。
やはりお寺は鬼門でしたねえ…。

2012/09/26 (Wed)

 

☆お能と法要


菊酒で酔いはしなかったものの、御仏縁を結ばれてしまったジョミー君。
虚空蔵菩薩様は学問の道をお守り下さるとあって…。

ブルー 「これで少しはお経を覚えてくれるといいねえ」
ジョミー「却下だよ! そういう目的で来たんじゃないし!」
シロエ 「えーっと…。争奪戦はまだですか?」
ブルー 「それは法要が済んでから。その前にお能の奉納もあるよ」
全員  「「「能?」」」
ブルー 「菊慈童というお能があるのさ。その舞を少し」

中央のスペースが片付けられて、舞台になったようでございます。
そこへ菊慈童の人形そっくりの鬘にお面をつけた舞い手が登場。

キース 「こんなイベントまであったのか…。人気の筈だな」
ブルー 「お能を気軽に見られるチャンスは少ないからね」
スウェナ「観光の人はこれ目当てなのね」

あちこちで切られるカメラのシャッター。
観光客はシャン学メンバーと同じで茱萸袋も買わないタダ見です。

サム  「観光客も多いじゃねえかよ、みんなお守りは買っていねえぞ」
ブルー 「買えと強制しないのも商売の秘訣。無理強いはダメだ」
キース 「信心というのはそういうものではないからな…」
ブルー 「菊酒だってタダでくれると言っただろう? 広い心も大切さ」
シロエ 「タダで貰って悪い気持ちはしませんしね」
ブルー 「良かったなぁ、嬉しいなぁって気持ちが次に繋がるんだよ」

リピーターになってくれればいつかはお客、と生徒会長。

ブルー 「また来年、と通う間に信仰心も生まれるものでさ」
ジョミー「ぼくは御仏縁は要らないってば!」
ブルー 「さあ、どうだか…。おっと、お次は法要だよ」

お能が終わると御本尊様と菊慈童の像の前にお坊さんがズラリ。
香煙の中、読経の声が朗々と…。

ブルー 「ジョミー、君もいつかは法要を取り仕切る方にならないとね」
ジョミー「絶対無理だし!」

お経を覚えるなんて一生無理、とジョミー君は叫んでおります。
菊酒でドーピングしてもダメですかねえ?

2012/09/27 (Thu)

 

☆不発な坊主宣言


菊酒の後はお能に法要と盛りだくさんな重陽の節句。
流石は商売上手なお寺だけあって、タダ見の観光客も大歓迎らしいです。

ブルー 「写真を撮ってるだけの人でもクチコミで広めてくれるしね」
シロエ 「ブログに載せたりして貰えれば大成功ってわけですか」
キース 「そうだろうな。ツイッターだとコレは今一つか…」
ブルー 「菊酒なう、では何のことやらサッパリだよ」
マツカ 「お寺の名前を呟いて貰っても……間に合いませんよね」
ブルー 「何日もやるわけじゃないから拡散しても効果はゼロだよ」

来年までには忘れ去られる、と生徒会長。
その点、旅のブログを書く人の方が後々まで役に立ちそうかも…。

ブルー 「観光客といえども疎かにしてはいけないのさ。次に繋がるし」
キース 「そこまで考えているわけか…。寺院経営も大変だな」
ブルー 「元老寺も大きくしたいんだったら手を貸すよ?」
キース 「俺は商売に走る気は無いっ!」
スウェナ「キースはイケメン美坊主図鑑で行くのよね?」
シロエ 「応援してますよ、キース先輩!」
サム  「載る時には俺も呼んでくれよな、友達だろ?」
ジョミー「あーっ、ズルイよ、なんでサムだけ!」
ブルー 「おやおや、ジョミーも載りたいのかい?」

載ったら漏れなく坊主だけれど、と言われたジョミー君、顔面蒼白。

ジョミー「お、お友達ではダメなんだ…?」
ブルー 「当たり前だよ、お坊さんを紹介する本だからね」
キース 「俺の朋輩としてなら喜んで一緒に記事にして貰うが」
ジョミー「い、要らないよ、ぼくは一般人だってば!」
ぶるぅ 「えとえと…。坊主宣言は?」
ジョミー「酔ってないから!」
ブルー 「菊酒一杯では無理だったか…。ぶるぅも楽しみにしてたのに」
ぶるぅ 「面白いもん、坊主宣言! お坊さん目指して頑張るぞーって」
サム  「だよな、あれも一種の隠し芸だよな」

今日は見られなくて残念だった、と頷き合っているシャン学メンバー。
坊主宣言、凄いですもんね…。

2012/09/28 (Fri)

 

☆いざ、争奪戦!


菊酒一杯では発動しなかったジョミー君の坊主宣言。
隠し芸とまで呼ばれてオモチャにされる内に、法要は終了したようで…。

ブルー 「シールドを張っておいて良かったよ。でなきゃ御近所迷惑だ」
キース 「俺としたことが、法要の最中に気を散らすとは…」
ブルー 「仕方ないさ、お経も作法も違うんだから」
シロエ 「お供えした菊を運んでいますね、これから争奪戦ですか?」
ブルー 「うん。中央のスペースから四方八方に投げるわけ」
ジョミー「丁重に扱えって言ってなかった?」
ブルー 「そりゃ手渡しが理想だけれど…。将棋倒しになるじゃないか」
マツカ 「一ヶ所に人が集中するのは危ないですよね」
ブルー 「だから投げるんだよ。まだ何ヶ所かに分けた方がマシ」

さて、とニヤリと笑う生徒会長。

ブルー 「争奪戦で菊を何本ゲット出来るか、頑張りたまえ」
キース 「おい。貰えなかった人に譲るにしても、何本も持つのは…」
サム  「恨まれそうだぜ、取りそびれたヤツに」
ブルー 「その辺は臨機応変に! すぐに譲るのも良し、キープも良し」
シロエ 「会長も参加するんですか?」
ブルー 「もちろんさ。そして女性に優先的に…ね」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ぼくも沢山配るんだもん!」
ジョミー「よーし、なんだか燃えてきたかも!」

フットワークには自信があるし、とジョミー君はやる気満々。
他の面子もスタンバイする中、お坊さんたちが菊を投げ始めました。

ジョミー「その菊、もらったぁー!」
キース 「うわぁっ、なんだ、どうなってるんだ!」
ブルー 「ボヤボヤしてると押し潰されるよ? 仁義なき戦いだから」
シロエ 「そ、そうみたいですね、注意します!」

殺到してくる老若男女にタックルされるわ、引っ張られるわ。
争奪戦が終わる頃にはシャン学メンバー、ほぼズタボロでございます。

ジョミー「し、死ぬかと思った…」

でも配って配って配りまくった、とジョミー君は満足そう。
功徳の方も積めましたかねえ?

2012/09/29 (Sat)

 

☆締めは修行で


重陽の節句の締めは菊慈童にお供えされた菊の争奪戦。
茱萸袋の箱を抱えた人までが殺到する中、シャン学メンバーは頑張って。

ブルー 「最高記録はジョミーかな? 素晴らしかったよ」
ジョミー「え、ブルーたちより多かったの?」
ぶるぅ 「ジョミーの勢い、凄かったもん! みんな喜んでいたもんね」
ブルー 「そうだね、御礼を言われると嬉しいだろう?」
ジョミー「ま、まあ…。悪い気持ちはしないかな…」

ぼくには遊びだったんだけど、と頭を掻いているジョミー君。
イベントが全て終わった本堂からは人がどんどん帰ってゆきます。

キース 「さっきまでの騒ぎが嘘のようだな、もうガラガラだぞ」
ブルー 「御利益を早く持ち帰りたいのさ、菊が萎れちゃ台無しだ」
スウェナ「そうね、花瓶に生けてあげなきゃ」
シロエ 「ぼくたちも何か食べに行きませんか? お腹ペコペコです」
サム  「朝飯を食ったきりだもんなあ。…あれ?」

帰り支度をしていた所へ近付いてきたのはお坊さんで。

お坊さん「頑張って菊を配っておられましたね。御本尊様も喜ばれます」
ジョミー「…ぼく?」
お坊さん「はい、修行の道にも励んで下さい」
ジョミー「そ、そんなつもりじゃなかったし!」
ブルー 「そうなんだよねえ、お経も覚えられない不肖の弟子でさ…」

いい方法は無いだろうか、と生徒会長は深い溜息。

お坊さん「お経ですか…。どんなお経も二度と忘れない方法でしたら」
ジョミー「えっ、ホント!?」
お坊さん「虚空蔵求聞持法と申しましてね、ございますよ」
ジョミー「こくぞう……ぐもんじほう?」
ブルー 「あったね、記憶力アップの秘法! やるかい、ジョミー?」
ジョミー「ちょっといいかも…」
ブルー 「じゃあ、早速…。明日から百日、缶詰だ」
ジョミー「え?」
ブルー 「虚空蔵菩薩様の御真言を百日かけて百万回唱えるだけってね」

さあ頑張れ、と言われて泣きそうなジョミー君と、囃し立てる面々と。
缶詰の危機な中継、これにて終了~。

2012/09/30 (Sun)

 

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☆9月の始まり


ハーレイの日のスカイダイビングで大いに盛り上がった夏休み。
恒例のマツカ君の海の別荘ライフなども堪能しまして、今日からは9月。
とはいえ、土曜でございますので。

ジョミー「うん、今年は得した気分だよねえ」
ブルー 「夏休みが少し多めって? 特別生のくせに」

シャン学メンバー、生徒会長の家に遊びに来ております。

ブルー 「出席義務が無いんだからさ、夏休みも何も無いって言うのに」
ジョミー「でも…。時間割とかを配られちゃったら休みにくいよ」
シロエ 「それにグレイブ先生ですしね、担任が」
サム  「うんうん、学生の本分は勉強だ! が、口癖だもんな」
スウェナ「出席簿にも名前が載ってるものね…」
キース 「俺は大学と掛け持ちしたしな…。出席日数は今も気になる」
マツカ 「キース、頑張っていましたもんね。凄かったですよ」
ブルー 「よく頑張ったとは思うけど…」

ぼくのオススメはサボリなんだ、と生徒会長。

ブルー 「暑い間は夏休みにして、寒くなったら冬休みとか」
キース 「それで秋休みもあったりするのか?」
ブルー 「決まってるだろう、秋休みは実在するんだよ?」
シロエ 「二学期制の学校ですよね」
ブルー 「君たちの年代で言うとそうなるねえ…」
ジョミー「えっ、そうじゃないヤツもあったわけ? 秋休みに?」
ブルー 「地域によるけど、三学期制でも存在したよ」
サム  「なんだ、それ? 秋に休んでも意味ねえだろ?」
ブルー 「あるんだな、それが。いや、あった……と言うべきか…」
ジョミー「どんな意味が?」
ブルー 「お手伝いだよ、農作業の! 農繁期だから」
全員  「「「お手伝い!?」」」

そんな休みは嬉しくない、と頭を抱えるシャン学メンバー。

ブルー 「今で言うならキースなんかは取ってもいいかも、秋休み」
サム  「秋のお彼岸があるもんなあ…」
キース 「断固断る!」

絶対に嫌だ、とキース君。
休みを取ってお手伝いなんて、全然楽しくないですもんねえ…。

2012/09/01 (Sat)

 

☆秋休みは如何?


サボリ大好きな生徒会長のオススメは秋休み。
本来は農繁期に家の手伝いをするためのものだったそうで、対象者は…。

ブルー 「うん、取るならキースがお似合いだね。連休でもあるし」
シロエ 「秋分の日ですもんねえ、秋のお彼岸」
キース 「なんでそういう展開になる! 俺はただでも忙しいんだ!」
サム  「ああ、お彼岸でも墓回向がついてくるもんな」
ブルー 「棚経が無い分、お盆よりかは随分楽だよ」
マツカ 「棚経は大変ですからね。檀家さんを全部回るんでしょう?」
キース 「言わないでくれ、こないだ終わったばかりなんだからな」

聞いただけでも憂鬱になる、とキース君は呻いております。

ブルー 「だったら、やっぱり秋休みを取れば? 少しは楽だよ」
スウェナ「学校に来なくて済むものね。休んでしまえば?」
キース 「休んだら親父にこき使われるだけで終わるだろうが!」
サム  「大変なんだなぁ、本職になると…」
ブルー 「そりゃね、お寺を預かるわけだし責任もあるさ」

お寺は総本山からの預かりもの、と生徒会長。
個人の所有物ではないらしいです。

ブルー 「だから色々頑張らないと…。あ、そうだ」
キース 「なんだ?」
ブルー 「いや、君じゃなくて。サムとジョミーも秋休みはどう?」
サム  「えっ、俺が?」
ジョミー「なんでぼくが?」
ブルー 「ほら、二人とも僧籍だろう? 元老寺に行ってお手伝い!」
キース 「それは助かるな。ジョミーはともかく、サムは使える」
サム  「そ、そうかな…」
ジョミー「却下だし! 夏休みだけで充分だよ!」
ブルー 「いい案だと思ったんだけど…。秋休みを取って楽しくお彼岸」
シロエ 「もしかして、ぼくたちまで巻き込む気ですか?」
ブルー 「お寺に親しむいい機会だよね。お墓参りにお彼岸の法要」
キース 「俺の家に来て遊ぶつもりか、罰当たりな!」

許さんぞ、と拳を握り締めているキース君。
秋のお彼岸にみんな揃って秋休みとは、あまりに抹香臭いのでは…。

2012/09/02 (Sun)

 

☆遊ぶなら、お寺


秋のお彼岸に合わせて秋休みを、と言われてしまったシャン学メンバー。
ただでもサボリは後ろめたいのに、抹香臭い秋休みなどは…。

ジョミー「却下だし! キースに言われなくても却下!」
キース 「当然だ! 野次馬根性で来られても迷惑なだけだ」
ブルー 「うーん…。ぼくが法要に出るって言っても?」
キース 「親父は歓迎するだろうがな、あんたの世話係は俺だろうが!」

あれやこれやと手を焼かされるに決まっている、とキース君。
緋色の衣の生徒会長、なまじ偉いだけに完全にお客様ですし…。

ブルー 「バレちゃったか。いい案だと思ったんだけど…」
キース 「俺の家はあんたの別荘じゃないっ!」
ブルー 「なるほどねえ…。仕方ない、他のお寺で遊ぼう」
キース 「お彼岸にか? あんたは何を考えてるんだ!」

高僧のくせに、とキース君は詰っておりますが。

ブルー 「何もお彼岸とは言っていないよ。今度の日曜はどうだろう」
全員  「「「は?」」」
ブルー 「9月9日が何の日だったか覚えていない?」
シロエ 「えーっと…。重陽の節句でしたか?」
キース 「そう言えばそんな日だったか…」
ジョミー「チョウヨウの節句…。去年にちょこっと聞いたような…」
ブルー 「長寿を祝う菊の節句さ。盛大にやるお寺があるんだ」
サム  「お寺かよ?」
ブルー 「うん。知る人ぞ知るイベントなのさ」
スウェナ「何があるわけ?」
ブルー 「重陽に因んだ能の奉納とかもあるけど、菊の争奪戦」
全員  「「「争奪戦?」」」
ブルー 「法要に使った菊を善男善女が奪い合うんだよ」

それはもう仁義なき戦いで…、と生徒会長は申しております。
押し合いなんかは序の口だそうで、圧死しそうな勢いなのだとか。

ブルー 「でも御利益があるからねえ…。欲しい人は必死なわけ」
キース 「餅撒きみたいな行事なのか…」

餅を撒いたり散華を撒いたり、お寺の行事は様々です。
菊の争奪戦があるお寺に出掛けて、何をしようというのやら…。

2012/09/03 (Mon)

 

☆お寺な行き先


お彼岸合わせの秋休みの提案を却下されてしまった生徒会長。
その代わりにと持ち出してきたものはお寺で、菊の争奪戦がどうとか…。

ブルー 「9月9日なら日曜だしさ、学校を休む必要もないよね」
ジョミー「待ってよ、行き先はお寺だなんて却下だし!」
スウェナ「ジョミーには鬼門だったわねえ…。お寺」
シロエ 「節分の時も色々ありましたしね。今度もアウトかも」
ブルー 「ああ、その点は大丈夫。今回の振舞い酒は制限つきだ」
キース 「そうなのか?」
ブルー 「菊酒は甘酒とは違うからねえ、飲み放題とはいかないさ」

基本はお一人様一杯限り、と生徒会長は笑っております。

ブルー 「スーパーの特売品ってわけじゃないけど、数に限りが」
キース 「なるほどな…。酔っ払うほどには飲めないわけだ」
シロエ 「それならジョミー先輩も安心ですね」
マツカ 「酔っ払うと漏れなく坊主宣言ですからね…」
ジョミー「言わないでよ、ぼくは覚えていないんだから!」
スウェナ「だけど目撃証言多数よ、きっと密かに願望なのよ」
サム  「分かる、分かる。普段は照れ隠しで言わないだけだよな?」

俺と一緒に修行しようぜ、とサム君の顔がニヤニヤと。

ジョミー「なんでそういうことになるのさ! お断りだよ!」
ブルー 「本当に往生際が悪いね、ジョミーは。ま、気長に待つけど」
ジョミー「待たなくていいっ!」
キース 「おい、ブルーから逃げ切れるなんて思うなよ?」
サム  「そうそう、いつかはきっと坊主なんだぜ」
シロエ 「応援してますよ、ジョミー先輩!」
スウェナ「そうねえ、逃げられるわけがないものねえ…」
ジョミー「お断りだってば!!!」

絶対に嫌だ、と喚くジョミー君ですが。

ブルー 「ふうん…。だったら9月9日は仲間外れで」
ジョミー「えっ?」
ブルー 「お寺は却下なんだろう? 君は自宅でゆっくりしたまえ」

他のみんなはお出掛けだ、と生徒会長はニッコリ笑顔。
お寺は却下なジョミー君だけ仲間外れ…ですか?

2012/09/04 (Tue)

 

☆仲間外れの危機


お寺に行くのは絶対に嫌だ、と主張しまくるジョミー君ですが。
他のみんなは9月9日にお出掛けするのに、仲間外れにされそうな空気。

ブルー 「ジョミーは放ってみんなで行こう。それでいいよね?」
キース 「そうだな、嫌がるヤツを連れて行ってもうるさいだけだ」
サム  「たまにはジョミー抜きっていうのも楽しそうだぜ」
シロエ 「キース先輩が欠けていたことは何度もありましたけど…」
スウェナ「ジョミーは皆勤賞だったものね。家で留守番していなさいよ」
マツカ 「きっとその方がいいですよ。万一ってこともありますから」
ブルー 「君子危うきに近寄らず…ってね。じゃ、そういうことで」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 他のみんなでお出掛けだね!」
ジョミー「ちょ、ちょっと待ってよ、なんで留守番?」
ブルー 「嫌な所に行く必要は無いだろう? なにしろお寺だ」
サム  「後で話が合わないかもなぁ、留守番になると」
キース 「自業自得だ、放っておけ。で、何処へ行くんだ?」
ブルー 「十三参りで有名なお寺さ。ぼくたちとは宗派が違うけどね」
シロエ 「ああ、あそこですか」
キース 「重陽の行事をやっていたとは知らなかったな…」

それは見に行く価値がある、とキース君は言っております。
他のメンバーも期待に満ちた顔つきですが…。

ジョミー「行くよ、ぼくも一緒に行くってば!」
ブルー 「おや。お寺は却下と言わなかったかい?」
ジョミー「南無阿弥陀仏のお寺じゃないなら無問題だよ!」
サム  「へえ…。節分で行ったお寺は南無阿弥陀仏じゃなかったぜ?」
ジョミー「飲まなきゃ問題ないわけだし!」
キース 「確かに菊酒一杯くらいで酔いはしないか…」
ジョミー「それよりも菊の争奪戦だよ、そういうのは自信あるってば!」
ブルー 「やれやれ、菊はサッカーボールじゃないんだけどねえ?」

丁重に扱わないと滅茶苦茶に、と生徒会長は申しておりますが。
俄然、行く気になったジョミー君、果たして心得ているのやら…。

2012/09/05 (Wed)

 

☆お寺に出掛けよう


行き先は南無阿弥陀仏のお寺ではない、と聞かされたジョミー君。
それなら安全圏とばかりに行く気になった上、菊の争奪戦がお目当てで。

ジョミー「それってさあ、沢山ゲットすればいいわけ?」
ブルー 「罰当たりな…。御利益グッズだと言っただろう?」
サム  「一人一本限りかよ?」
ブルー 「そうなるね。ただ、手に入れられない人も多いから…」

分けてあげれば喜ばれるよ、と生徒会長は申しております。

ブルー 「重陽の菊は不老長寿のお守りなんだ。君たちの場合は…」
シロエ 「あまり関係無さそうですね」
キース 「どうやら歳は取らないようだし、寿命も長いか…」
ブルー 「だから争奪戦に負けた人に分けてあげるのさ」

これも一種のボランティア、と言われてみればそのとおりかも。

ブルー 「せっかくのお守りなんだからねえ、扱いの方は大切に!」
スウェナ「サッカーボールじゃないっていうのはそのことね」
ジョミー「分かったよ、ちゃんと大事に扱うってば!」
キース 「そして寺の行事に参加する…、と。気を付けろよ」
シロエ 「お坊さん多数でしょうからねえ…」
サム  「菊酒もあるって言うもんな。要注意だぜ」
ジョミー「一杯だけなら酔っ払わないよ!」

というわけで、9月9日はお寺にお出掛けに決定です。

キース 「持ち物は特に要らないのか? たとえば数珠とか」
ブルー 「法衣で出たけりゃ数珠も要るけど…。お勧めしないな」

素人さんには宗派の区別がつかないから、と生徒会長。

ブルー 「関係者まで菊を奪い合ってたなんてスキャンダルだよ」
サム  「そりゃそうだよなぁ、見た目は普通に坊主だもんな」
キース 「分かった、俺が坊主だとバレそうなモノは自粛する」
ブルー 「数珠レットくらいはいいと思うな、素人さんも愛用してるし」

それ以外のグッズは封印すること、と生徒会長は厳しく指導。
集合場所と時間も決まって、後は9月9日を待つのみ。
重陽の節句、どんなイベントなんでしょうねえ?

2012/09/06 (Thu)

 

☆お寺へ出発!


やって来ました、9月9日の日曜日。
土曜日も遊びまくったシャン学メンバー、今日も朝から燃えております。

ジョミー「よーし、争奪戦には負けないぞー!」
ブルー 「宗教行事だというのを忘れちゃダメだよ? 暴れないように」
サム  「ジョミーが暴れるのは酔った時だろ」
スウェナ「そうそう、緋色の衣を目指して頑張るぞー! ってね」
シロエ 「服は緋色が最高ですよね、と叫んだこともありましたよねえ」
ジョミー「ぼくは覚えてないってば!」
キース 「しかし親父は覚えているぞ? 正月から坊主宣言だったし」
ジョミー「もう時効だよ、半年以上も経ってるんだし!」
ブルー 「次から誓約書を書かせようかな、そういう時は」
シロエ 「いいですね、それ。ハンコは拇印で」
ジョミー「やだよ、絶対書かないから!」
キース 「いいや、あの勢いなら調子に乗って書くと思うぞ」
サム  「本当に坊主を目指していないのかよ? 怪しいよな」
マツカ 「心の底では帰依しているかもしれませんね。阿弥陀様に」
ジョミー「冗談じゃないよ!」

阿弥陀様も坊主も絶対嫌だ、と叫んではいても僧籍なのがジョミー君。
生徒会長に強引に出家させられ、『徐未』という立派な法名までが。

ブルー 「まあ、こればっかりは御仏縁だし…。気長に待つさ」
キース 「いいのか、それで? 何年かかるか分からないぞ」
ブルー 「きっといつかは緋の衣! それを楽しみに待つのも一興」
サム  「でも、今日のお寺は別口だよな?」
ブルー 「うん。ソレイド八十八ヶ所と同じ系列だよ。より古いけど」
キース 「そういえば、あそこは古義だったか…」
サム  「古義って何だよ?」
ブルー 「お大師様の時代より前からあるってことさ」

その割に最先端のモノもあるんだけどね、と生徒会長は路線バスへ。

ブルー 「うん、いい具合に空いてるかな」

降りるのは終点近くだから、と最後尾に陣取るシャン学メンバー。
由緒あるお寺みたいですけど、最先端のモノって何?

2012/09/07 (Fri)

 

☆十三参りのお寺


路線バスに乗って辿り着いた先は、節分に行ったお寺の近くの観光名所。
そこから橋を渡った対岸の山に目的のお寺がございます。

ブルー 「さてと…。十三参りに来たんじゃないから注意は不要か」
シロエ 「あれは振り向いたら終わりなんですよね、帰り道で」
ブルー 「そう、この橋を渡り終えるまでの間は…ね」
スウェナ「振り返ったらバカになっちゃうのよね?」
ブルー 「うん。御本尊様に頂いた智恵をお返ししてしまうんだ」
サム  「あれは本気で怖かったぜ。でも、振り向いてないのになあ…」

俺の智恵は何処に行ったんだろう、とサム君は首を捻っております。

ジョミー「返さなくてもその程度って話なんじゃないの?」
サム  「お前がそれを言うのかよ! ブルーがいなけりゃ赤点だろ!」
ジョミー「今は関係無いもんね。授業の中身は頭にバッチリ!」
ブルー 「何度も1年生をやっているんだ、覚えて当然」
キース 「ブルーのフォローもあったしな。それと智恵を返す話だが…」
シロエ 「返したんですよね、キース先輩は」
マツカ 「返したんですか!?」
キース 「おふくろがうるさく言うものだから、俺は自力で頑張ろうと」
ブルー 「あえて振り向いたというわけか…」
キース 「そういうことだ。おふくろには思い切り叱られたがな」
サム  「返しちまっても天才かよ…。なんか人生、不公平だぜ…」

ワイワイと思い出話を繰り広げながら橋を渡って参道へ。

ジョミー「あ、そうだ。すっかり忘れちゃっていたんだけど…」
キース 「何をだ?」
ジョミー「ブルーが言ってた話だよ。バスに乗る前に」

最先端のモノって何さ、とジョミー君に生徒会長が指差したものは。

ブルー 「あそこに小さな神社があるだろ? あれがそうだけど」
ジョミー「普通だよ?」
ブルー 「甘いね、あれは電電宮と言って電波の神様」
全員  「「「電波!?」」」

そんな神社が存在するのか、と誰もが仰天。
古いお寺に電波の神様。それは確かに最先端…。

2012/09/08 (Sat)

 

☆本日、重陽の節句


9月9日、重陽の節句にシャン学メンバーがやって来たのは立派なお寺。
ソレイド八十八ヶ所で知られたお大師様よりも古いそうなのですが…。

キース 「電波の神様は知らなかったぞ。本当なのか?」
ブルー 「宗派が違うし、知らない方が普通かな。でも本当だよ」
サム  「ホントに電波の神様なのかよ、だったら新しい神社だよな?」
ブルー 「んーと…。今のお社が出来たのが60年くらい前だったかと」
全員  「「「60年!?」」」
ブルー 「そう。150年ほど前に火事で焼けちゃって、暫く仮宮」
ジョミー「なんか新しくないんだけど…」
シロエ 「でも、会長はそれより前から生徒会長な筈ですよ」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ブルーは300年以上も生徒会長だもん!」
ジョミー「あ、そっか。じゃあ、ブルーよりかは新しいんだ?」
ブルー 「失礼な…。人を年寄りみたいに」

それに神社はもっと古い、と唇を尖らせる生徒会長。

ブルー 「この神社はねえ、千年以上も前から此処にあるんだから」
全員  「「「せ、千年!?」」」
ブルー 「千二百年近いかな? とにかく由緒正しい神社なんだよ」
ジョミー「せ、千二百年前に電波の神様って…」
キース 「そんな時代に電波の概念があったのか、おい?」
ブルー 「あるわけないだろ、電波は後付け設定さ」
シロエ 「それじゃ電電宮って名前も後付けですか?」
ブルー 「そこは微妙な所かなぁ…。明星社って名前だったけど…」
ジョミー「だったけど……何さ?」
ブルー 「祭られていたのは電電明神だったわけ」
キース 「分かったぞ! 雷神というオチなんだな?」
ブルー 「残念でした。虚空蔵菩薩様が明星にお姿を変えて御顕現」

そのお姿である明星天子が電電明神、と言われましても。

ジョミー「うーん、頭が混乱してきた…」
ブルー 「本堂に行けばスッキリするよ、菊の香りで一杯だから」

生徒会長は先に立って歩いてゆきますが。
重陽の節句って、菊だらけのイベントなんですかねえ?

2012/09/09 (Sun)

 

☆お寺と商売


千二百年ほども昔の時代から電波の神様をお祭りするお寺。
いくら後付け設定だからと言っても、最先端なのは間違いない事実で…。

キース 「電電明神だから電電宮か…。でもって電波の神様ときたか」
ブルー 「なかなか商売上手だろ? やっぱりこうでなくっちゃね」
シロエ 「商売上手って…。お寺ってそういうものなんですか?」
ブルー 「それはもう。維持管理にもお金がかかるし」
キース 「確かにそこは間違いないな。ましてこれほどの広さだと…」
ブルー 「そう、維持費も馬鹿にならないよ。稼がなくっちゃね」
サム  「十三参りがあるじゃねえかよ」
ジョミー「大抵の子供は来るんだからさ、充分じゃないの?」
キース 「甘いな。大寺院の経営ってヤツは大変なんだ」

何十年、何百年に一度の大修理とか、とキース君。

キース 「そういう時には大金がかかる。日頃からの備えが大切だ」
ブルー 「修理に合わせて募る寄付金だけでやるのは無理だよ」
シロエ 「えっ、でも…。色々なパターンで集めまくるじゃないですか」
スウェナ「瓦に名前を書いてあげますとか、そういうのよね?」
マツカ 「写経を納めるタイプもありますよ」
ジョミー「修学旅行生でも記念に払えそうな額からあると思うんだけど」
ブルー 「ダメダメ、そんなのじゃ全然足りない」
キース 「塵も積もれば山となる、と言ってもな…。桁が違うんだ」
サム  「あー、そっか…。家を一軒建てるのとは全然別物だもんな」
ブルー 「大工さんだって専門の人が必要なんだよ」
キース 「場合によっては建材から探さなくてはならないんだぞ」

寺院建築は奥が深い、とキース君は人差し指を立てて。

キース 「元老寺くらいの規模の寺の本堂でもピンキリなんだぜ」
ジョミー「なに、それ…」
キース 「建てるのに必要な経費の額だ。凝り始めたらキリがない」
ブルー 「建てた後は維持費がかかるしね」

電電宮は凄いんだよ、と生徒会長。
もしかしなくても稼ぎが半端じゃない神社ですか?

2012/09/10 (Mon)

 

☆商売の秘訣


生徒会長とキース君曰く、お寺の維持に金銭は必須だそうでございます。
商売が下手だと修理もままならないらしく…。

ブルー 「電電宮は放っておいても年々稼ぎが増えるからねえ」
キース 「放っておいても? …どういうことだ?」

経営努力は必要だろう、とキース君は大真面目。

キース 「霊園だって今どきのヤツは宣伝しないと売れないぞ」
サム  「キースの所も広告とかを出してるのかよ?」
キース 「いや、ウチは檀家さんのクチコミだけで充分だが」
ブルー 「そこそこ歴史があるお寺だからこそ出来ることだよ」
シロエ 「それじゃ電電宮も由緒あるお寺にあるからいけるんですか?」
ブルー 「違うんだな、これが。電波って所が重要なんだよ」

今どきは何でも電波に電気、とニッコリ笑う生徒会長。

ブルー 「なにしろ電電宮だから…。電気と電波の守り神ってことで」
キース 「後付け設定だとか言わなかったか?」
ブルー 「こういうモノはね、言った者勝ち! だから独り勝ち状態で」
ジョミー「分かった、お賽銭が半端じゃないんだね?」
ブルー 「お賽銭なんてレベルじゃないよ。維持のための会まであるさ」
全員  「「「は?」」」
ブルー 「電電宮奉賛会と言ってね、お供えも整備もバッチリだってば」
キース 「それ専門の会があるのか…」
ブルー 「年に一度は会員が集まって住職が祈祷。御布施がドカンと」
マツカ 「御布施ですか…。それは凄そうですね」
ブルー 「しかも会員はテレビ局とか電気関連事業の会社だ」
シロエ 「つまり会社が儲かれば儲かるほど御布施も増えるわけですね」
ブルー 「おまけにオンリーワンだろう? 会員数は増える一方」
キース 「あんな小さな神社がか…。分からんものだな」
ブルー 「つまり世の中、アイデアなんだよ。元老寺も何か考えたら?」
キース 「銀青様の台詞とも思えんな…」

新規の商売で儲けてどうする、とキース君は顔を顰めております。
檀家さんだけで充分ですか、そうですか…。

2012/09/11 (Tue)

 

☆商売はじめました


お寺の維持管理にお金は不可欠。
電電宮で抜かりなく稼ぐお寺を舞台に、アイデア次第だと説く生徒会長。

ブルー 「アイデアにも色々あるだろう? そこの所を考えなくちゃ」
キース 「俺は新規で商売を始めるつもりはないぞ」
シロエ 「お守りを売るのもアウトってわけじゃないでしょう?」
キース 「何のお守りを売れと言うんだ、ウチの寺で!」
ジョミー「王道は合格祈願じゃないの?」
スウェナ「縁結びも人気が高いわよ」
キース 「阿弥陀様がどう結び付くんだ、その二つに!」

無責任に発言するな、とキース君は眉を吊り上げておりますが。

ブルー 「うーん…。それを言い出すと璃慕恩院の立場がねえ…」
キース 「…はぁ? あんた、正気か?」
ブルー 「その台詞、そっくりそのまま君に返すよ」
キース 「なんでそうなる!」
ブルー 「学校と坊主の掛け持ちで忙しいのは分かるけどねえ…」

宗報には目を通したまえ、と生徒会長は深い溜息。

ジョミー「宗報って何さ?」
ブルー 「総本山の発行物さ。月刊シャングリラの璃慕恩院版」
キース 「俺は毎月読んでるぞ! もちろん親父もだ」
ブルー 「その割に分かっていないようだけど? さっきの話だと」
キース 「商売を始めましたなどとは一切書かれていない筈だが?」
ブルー 「…やっぱりアッサリ見落としてたか…」
キース 「ま、まさか…。本当に商売を始めたのか? 璃慕恩院が?」
ブルー 「始めちゃったんだよ、つい最近…ね」

これがなかなか素晴らしい、と生徒会長はニコニコ顔で。

ブルー 「明神様のお社があるだろう? あそこで各種祈願と御祈祷」
キース 「御本尊様…とは違うのか……」
ブルー 「阿弥陀様に合格祈願とか縁結びとかを頼むのはちょっと」
サム  「それで神社の出番なのかよ?」
ブルー 「うん。考えたよねえ、要受付で護摩も焚くんだ」

信者の人から観光客まで需要は沢山あるそうです。
総本山でも新規の商売。元老寺も何か考えるべき時代なのかも?

2012/09/12 (Wed)

 

☆商売の黒幕


総本山の璃慕恩院でも新しい商売を始める時代。
お寺を末永く維持するためには、アイデアが不可欠のようでございます。

ブルー 「元老寺もいずれは何か考えた方がいいかと思うよ」
キース 「これでも安定経営なんだが…。宿坊もあるしな」
ブルー 「ダメダメ、人は世につれ、世は人につれ」

総本山でも護摩なんだから、と生徒会長は指をチッチッと。

ブルー 「ぼくたちの宗派に護摩は無いだろ? 基本はね」
キース 「ああ。途中から宗旨替えしてきた寺は別だが」
シロエ 「そうなんですか? そういえば聞いたような気も…」
ブルー 「教義に護摩焚きは無いんだよ。だから習わないね」
サム  「へえ…。じゃあ、俺やジョミーが大学とかに入っても?」
キース 「そういう講義は一切無いな。だから俺だって作法は知らん」
ブルー 「ふふ、ぼくは護摩焚きもバッチリだけどねえ?」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ブルーは恵須出井寺にもいたもんね!」

とっても厳しいお寺なんだよ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
璃慕恩院の開祖様も修行なさったという郊外の山の頂上のお寺です。

ジョミー「思い出したよ、校外学習で行ったっけ…」
スウェナ「写経と座禅だったわねえ…」
ブルー 「別の宗派でも修行をするとね、こう、色々と役に立つわけ」
キース 「おい。璃慕恩院の護摩、あんたの仕業じゃないだろうな?」
ブルー 「えっ? 違うよ、多分」
キース 「…多分だと?」
ブルー 「うん。前に老師と話をしててさ、護摩は目立つよって…」
キース 「焚きつけたのか?」
ブルー 「ち、違うってば、護摩は派手だから人目に立つって!」
キース 「………。それだな、老師が覚えてらっしゃったんだ」
ブルー 「そうなる…のかな?」
キース 「決まってるだろう、老師以外の誰に決定権がある!」
ブルー 「そうかも…。じゃあさ、何か考えてあげようか?」

元老寺用のアイデアを、とニッコリ笑う生徒会長。
緋の衣には逆らえないだけに、キース君の未来に赤信号?

2012/09/13 (Thu)

 

☆お客を呼び込め


璃慕恩院が新しく始めたという護摩焚き、一枚噛んでいたのが生徒会長。
本人に自覚は無かったのですが、どうやらアイデア源だったようで。

ブルー 「うーん…。元老寺だと何がいいかなぁ?」
キース 「よ、余計なことはしなくていいっ!」
ブルー 「そうかなぁ? アドス和尚も喜んでくれると思うけど」
キース 「やめてくれ、親父はあんたのファンなんだぞ!」

言われたら何でも通りそうだ、と頭を抱えるキース君。
生徒会長にアイデアを提供されたら、元老寺まで牛耳られるのは確実で。

ブルー 「やっぱり護摩が集客力があるかもね」
キース 「俺も親父も護摩焚きは出来ん!」
ブルー 「だからさ、今から君が修行してきて護摩の作法を覚えるんだ」
サム  「それってカッコイイじゃねえかよ、やっちまえよ」
ジョミー「うんうん、ぼくにばっかり修行って言わずにお手本に」
ブルー 「行くなら一筆書いてあげるよ、恵須出井寺にさ」
キース 「じょ、冗談だろう? 俺はだな、元老寺だけで手一杯で…」
ブルー 「そうかい? だったら布教師を目指すのはどうだろう」
全員  「「「布教師?」」」
ブルー 「ぼくたちの宗派の教えを説くのが布教師さ。法話の専門家」

でもって元老寺で毎月、説法会を…と生徒会長は申しております。

ブルー 「美坊主図鑑が人気の時代だ、人を呼べるのは間違いないよ」
全員  「「「美坊主図鑑!?」」」
キース 「あれは外道だ、俺は認めん!」
シロエ 「美坊主図鑑って何なんですか?」
ブルー 「名前そのまま。イケメンのお坊さんの図鑑っていうわけ」

説法会をしているお寺や、座禅体験が出来るお寺。
宿坊に泊まれるお寺などなど、敷居の低いお寺のイケメンを図鑑に掲載。

ブルー 「元老寺も宿坊をやっているんだ、載せて貰えば良かったのに」
キース 「客寄せパンダの真似が出来るかあ!」

俺はあくまで坊主なんだ、とキース君。
美坊主図鑑とやらの取材申し込みが来たようですけど、断りましたか…。

2012/09/14 (Fri)

 

☆イケメンで行こう


シャン学メンバーが知らない間に、世間では美坊主図鑑が人気。
イケメンのお坊さんを掲載していて、会いに行こうというコンセプトで。

ブルー 「その様子だと、取材の申し込みを蹴ったのは君か…」
キース 「親父も一応、渋っていたぞ」
ジョミー「一応って?」
キース 「お寺に親しみを持って貰うという趣旨には賛同してたんだ」
ブルー 「例によってアレだね、君のその髪がネックになった、と」
キース 「そういうことだ。親父は未だに恥晒しだと言ってるし…」
スウェナ「だけど美坊主っていうんだったら無問題じゃない?」
ブルー 「うん、有髪が似合う坊主はポイント高いんだよ」
キース 「その辺が親父は頭が固いんだ。ブルーのファンの割にはな」

生徒会長こと銀青様はバッチリ有髪でございます。
それが売りでもあるのですけど、アドス和尚にとっては別件。

キース 「何かある度に剃ってしまえとうるさくて…」
ブルー 「だったら是非とも載るべきだったね、美坊主図鑑に」
キース 「なんでそうなる!」
ブルー 「だってイケメンが売りなんだよ? 写真そのままの姿が大切」

有髪で美坊主図鑑に載ったら守り抜くのがお約束、と言われてみれば…。

キース 「そ、そういう解釈もあったのか…。載ったら髪を守れたか…」
ブルー 「後悔先に立たずってね。イライザさんは賛成してただろうに」
キース 「何故おふくろの意見を知っている!?」
ブルー 「女性の心理も分からない男はモテないよ。単なる推測」
キース 「くっそぉ…。巷の女性を味方につければ良かったのか…」
ブルー 「次の機会があった時には断らないで受けるんだね」
キース 「分かった。心に留めておくことにする」
ブルー 「あ、でもさ。表向きは元老寺の未来のためにと受けること!」

髪を守れて千客万来、と生徒会長は得意顔。
美坊主図鑑とやらの第二弾が出たら、キース君が載るかもしれません。
商売繁盛の秘訣はまず集客力。電電宮や護摩の代わりにイケメンで勝負?

2012/09/15 (Sat)

 

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