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『やられっ放しは』
「ねえ、ハーレイ。やられっ放しは…」
良くないのかな、と小さなブルーが投げ掛けた問い。
二人きりで過ごす休日の午後に、唐突に。
お茶とお菓子が置かれたテーブル、それを挟んで。
「はあ? やられっ放し?」
急にどうした、とハーレイはポカンとした。
ブルーは大人しい子だから、何かされているのだろうか。
「うん。悪戯とか、意地悪とか、色々あるでしょ?」
やり返した方がいいものなの、とブルーは続けた。
なんとも物騒な話ではある。
ハーレイは、一気に緊張した。
人間が全てミュウの今では、深刻なトラブルは起こらない。
そうなる前に、互いに思念で理解し合って、それで解決。
(しかしだ…)
子供の場合は、まだバランスが上手く取れない。
「理解し合おう」と考える前に、口や手が先に出がち。
止める係は、親や教師で、今のハーレイは教師。
もしかして俺の出番なのか、とハーレイは身構えた。
ブルーの担任ではないけれど、守り役として対処すべき。
「お前、その手のヤツで、困ってるのか?」
どうなんだ、と確認したら、ブルーはコクリと頷いた。
「ちょっぴりだけどね…。基本は仲良しだから」
「なるほどなあ…」
ありがちなヤツだ、とハーレイには直ぐに分かった。
子供同士は、歯止めが利きにくい。
最初は軽い悪戯や意地悪、それが次第に加速してゆく。
相手の気持ちが分からないから、加減も知らない。
(嫌がられていない、と勘違いして…)
大人しい子に、やっちまうんだ、と教師の勘が告げている。
きっとブルーも、巻き込まれたのだろう。
(とはいえ、もう解決の糸口、見えているよな)
俺は背中を押すだけでいい、とハーレイは少しホッとした、
こういうトラブルが起きた時には、行動力が肝になる。
「やられている子」が、「嫌だ」と気持ちを伝えること。
(口で言うのが一番なんだが、やり返すってのも…)
ストレートに伝わるから、方法の一つには違いない。
ブルーに「その気」があるのだったら、そうしてもいい。
(もっとも、こいつに、出来るんだろうか?)
なんと言っても、ブルーだしな、と心配ではある。
大人しい上に、前の生では「ソルジャー・ブルー」。
「自分一人が我慢すれば」で、メギドまで飛んだほど。
(…どうするかなあ…)
背中の押し方、と悩ましい。
「やり返していい」と言った所で、ブルーが従うかどうか。
それでも、此処は押すべきだろう。
勢いをつけてやらないと、と励ましてやることにした。
「そうだな、やり返すというのも、止めはしないぞ」
一発、ガツンとやって来い、とハーレイはウインクした。
「悪戯なんだか、意地悪なんだか、俺は知らんが」
「やり返してやった方がいいわけ?」
じっと我慢をしてるよりも、とブルーが確認する。
「ホントにいいの?」と、赤い瞳を瞬かせて。
「ああ。でないと、ソレは収まらんしな」
お前のサイオンは不器用すぎて、とハーレイは付け加える。
「普通だったら、なんとなくでも伝わることもあるが…」
「ぼくだと、ぼくの気持ちは、分かって貰えないしね…」
「そういうことだ。親や教師の出番が来ちまう」
まず、お互いを理解しろ、と割って入りに、と苦笑い。
「そうなる前に、やり返してやれ」
相手に気持ちを伝えるんだ、とハーレイは背中を押した。
「遠慮しないで、ガッツンとな!」
やられた通りにやって来い、とブルーを励ます。
そうしたら…。
「分かった、ハーレイ、意地悪で嫌い!」
大嫌いだってば、とブルーは拳をグッと握った。
「やり返してやる!」
いつも叩かれてばかりだしね、とハーレイの頭をゴッツン。
椅子から立って、パッと側に来て、真上から一発。
「うわっ、何をするんだ!?」
「ハーレイ、自分で言ったじゃない!」
やり返した方がいいって、とブルーは勝ち誇った笑み。
「キスの代わりに、コレばっかりだもの!」
悪戯なのか、意地悪なのか、分かんないけど、という理屈。
(……うーむ……)
逆の立場になっちまった、とハーレイは頭を抱えるだけ。
ブルーが言うのも、一理あるから。
いくら理由を並べてみたって、ブルーから見れば意地悪。
(…やり返されるしかないよなあ…)
痛かったぞ、と白旗を掲げて、仲直り。
キスはしないで、ひたすら「すまん」と謝り続けて…。
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