☆十二月と言えば
スッポンタケに振り回された秋も終わって、早くも師走でございます。
とはいえ、年を取らないシャン学メンバーなだけに…。
キース 「今年も師走か…」
ジョミー「元老寺で除夜の鐘だよね! おぜんざい、あるんだよね?」
キース 「それは当然、用意しているが…」
十二月といえば思い出さんか、と深い溜息。
シロエ 「あっ、道場の季節でしたね! 璃慕恩院の」
サム 「そういやそうだな、住職になるには必須だよなあ…」
マツカ 「確かクリスマスの頃まででしたか、あの道場は」
キース 「そうなんだが…。そのクリスマスも問題なんだが…」
言い淀んでいるキース君。
スウェナ「クリスマス? 何か問題あったかしら?」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ クリスマスはぼくのお誕生日だよ!」
サム 「めでたい日だよな、別に問題ねえだろう?」
キース 「どこぞの馬鹿が妙なヒントを得そうな気がする」
一同 「「「は?」」」
キース 「クリスマスと言えばターキーだろうが!」
でなければローストチキンなのだ、と言われましても。
シロエ 「御馳走がどうかしましたか?」
キース 「その台詞を貴様が言うのか、シロエ?」
シロエ 「えっ? ぼくは料理は管轄外ですけれど?」
キース 「馬鹿の料理にアイデアを与えたのは貴様だろうが!」
重曹を教えた戦犯のくせに、とギロリと視線を。
キース 「あれで戻したスッポンタケはどうなった?」
シロエ 「…りょ、料理されてます…」
キース 「詰め物に工夫を凝らしてな! そして!」
ターキーもローストチキンも詰め物が花だ、とズバリと指摘。
キース 「それだけにクリスマスも侮れんのだ!」
一同 「「「あー…」」」
それはヤバイ、と誰もが納得。
サム 「即興でスッポンタケ料理を始めやがるかもな…」
ジョミー「クリスマスパーティー、来ているもんね…」
嫌な予感が、と顔を見合わせるシャン学メンバーですけれど。
クリスマスの他にも何か問題、ありましたっけ?
2014/12/01 (Mon)
☆十二月にはコレ
十二月といえばクリスマス。詰め物をしたターキーやチキンがご登場。
どこぞのソルジャーが詰め物に凝っているだけに危険ですが。
シロエ 「重曹の件は反省してます。あれでスッポンタケが頑丈に…」
マツカ 「仕方ないですよ、そこまで予想は出来ませんから」
キース 「だが、戦犯は戦犯だ! こいつが重曹と言わなければ!」
あの馬鹿野郎はスッポンタケの乾物を削るだけだった、という指摘。
キース 「半生とやらに戻せる上に、頑丈で詰め物なんだぞ、今や!」
ジョミー「クリスマス、今から心配だよね…」
スウェナ「スッポンタケ料理も覚悟しておくべきかしら?」
キース 「俺たちに食えとは言わない筈だが、作りそうだしな…」
ソルジャーの大事なスッポンタケの干物。
御馳走するよりは自分で食べると思われるものの。
キース 「あのバカップルが「あ~ん♪」は有り得るな」
一同 「「「うわー…」」」
キース 「しかし、それよりも前に師走というのが問題だ」
ジョミー「クリスマスの他に何か問題あったっけ?」
キース 「師走と言ったら、暮れなんだが」
サム 「そいつがどうかしたのかよ?」
暮れも師走も同じものだろ、とサム君が首を捻りまして。
サム 「クリスマスくらいしかねえと思うぜ、十二月」
シロエ 「期末試験は特に心配ないですしね?」
キース 「学生のレベルで話をするから気付かないんだ!」
もっと世間を広く見回せ、とキース君。
キース 「昔は自分で持って行ったという話も聞くが…」
一同 「「「は?」」」
キース 「今でも特に大事な所には自分で持って行くものだが!」
ジョミー「何を?」
キース 「お歳暮に決まっているだろうが!」
お前の家には届かないのか、と聞いて一同、アッと息を。
シロエ 「そ、そうでした…。お歳暮のシーズンでしたよね」
ジョミー「貰えるんだから別にいいんじゃないの?」
無問題だ、とお気楽なジョミー君ですけれど。
お歳暮シーズンの何処に問題が…?
2014/12/02 (Tue)
☆お歳暮のお裾分け
キース君曰く、十二月といえばお歳暮シーズン。
そのお歳暮が問題だという話ですけど、どう問題かが分からない人も。
ジョミー「貰えるものは貰っておいたらいいと思うよ、お歳暮」
キース 「貴様はそれでかまわないのか!」
ジョミー「お返ししなくていいんだったらお得だし!」
美味しいお菓子や食べ物なんか、と嬉しそう。
ジョミー「ブルーのトコにも色々くるしね、お裾分けの季節!」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ いいのを貰ったら御馳走するよ!」
シロエ 「いいですね! でも…」
ぶるぅ 「えとえと、シロエ、どうかした?」
シロエ 「会長の家に届くお歳暮はいいんですが…」
サム 「マツカの家が問題だよな」
ジョミー「なんで? うんと豪華に届くんじゃない?」
お歳暮専用の倉庫が要るほど、とジョミー君。
サム 「うへえ、倉庫かよ! 何が届いたかも忘れそうだぜ」
マツカ 「それは係がいますから…。食べ切れない分は配るとか」
一同 「「「配る?」」」
マツカ 「仕分けして施設なんかに寄付するんですよ」
ジョミー「寄付するんなら欲しいんだけど!」
余ってるんなら是非分けてくれ、とお願い攻撃。
ジョミー「ぼくの家にはそんなに来ないし、分けて欲しいな」
マツカ 「ぼくが貰うわけじゃないですから…」
キース 「いや、ジョミーにやればいいんじゃないか?」
それで問題は解決だ、とキース君の顔に爽やかな笑みが。
キース 「ジョミーが貰えばいいだろう。そして礼をな」
シロエ 「いいですね! マツカ先輩の仕事が減ります」
ジョミー「えっ?」
サム 「良かったな! 分けて貰えるらしいぜ」
頑張れよな、とジョミー君の背中をバンバンと。
サム 「んじゃ、俺たちはノータッチってことにしておくからよ」
スウェナ「やっと解放されるのね! 嬉しいわ、ジョミー」
ジョミー「えっ、えっ、なんで?」
お歳暮を分けて貰ったら、どうして皆に喜ばれるのか。
ジョミー君でなくても分かりませんよねえ?
2014/12/03 (Wed)
☆御曹司とお歳暮
十二月といえば暮れの挨拶、ここぞとばかりに行き交うお歳暮。
マツカ君の家にも山ほど届くそうですが、ジョミー君が貰うという話。
ジョミー「お歳暮、貰えるのは嬉しいんだけど…」
サム 「いいじゃねえかよ、貰っとけよ!」
キース 「是非とも貴様が貰うべきだな、欲しいんだからな」
シロエ 「そうです、欲しいと言う人が貰っておくのが一番ですよ!」
ジョミー「で、でも…。なんでみんなが喜んでるのか謎なんだけど!」
普通はズルイと言うトコなんじゃあ…、と途惑いの眼差し。
ジョミー「だって、マツカの家なんだよ? 凄いお歳暮だよ?」
キース 「そりゃそうだろうな、お歳暮係がいるくらいだしな?」
シロエ 「キース先輩の家はどうなんですか?」
キース 「付き合いだけは多いんだが…。坊主と檀家さんではなあ…」
どうも何やら抹香臭くて、と顔を顰めるキース君。
キース 「間違っても活けの車エビなんぞは届かんな」
一同 「「「あー…」」」
お付き合いは多そうな元老寺。
しかし、お寺に生臭ものはNG、活けの車エビなど論外で。
キース 「だからだ、お歳暮勝負は圧倒的にマツカの勝ちだ」
シロエ 「うんと豪華に来そうですしね!」
サム 「肉も魚も貰い放題って感じだよなあ、羨ましいぜ!」
スウェナ「お菓子も高級品が来そうよ、限定品とか」
マツカ 「そういったものは定番ですね」
サム 「やっぱマジかよ、御曹司!」
すげえよな、とマツカ君の背中をバンバンと。
サム 「でもよ、ジョミーにくれてやるんだろ?」
マツカ 「それって例のアレですよね?」
キース 「もちろんだ。アレでなければ何だと言うんだ」
ジョミー「ちょ、ちょっと待ってよ、アレって何さ?」
キース 「貴様が欲しいと言ったんだろうが、豪華お歳暮」
ジョミー「い、言ったけど…?」
キース 「なら、遠慮なく貰っておけ!」
マツカの家のお歳暮だぞ、と満面の笑みのキース君ですが。
豪華お歳暮を貰える件には裏があるんじゃあ…?
2014/12/04 (Thu)
☆要らないお歳暮
御曹司と名高いマツカ君の家、届くお歳暮も豪華絢爛。
それを貰えることになったジョミー君ですが、どうも話がうますぎで。
ジョミー「なんでみんなは要らないわけ? 豪華お歳暮」
キース 「俺の家では間に合っているからな、お歳暮は」
シロエ 「先輩宛にも届くんですか?」
キース 「届くぞ、副住職の肩書きはダテではない」
それなりの品が届くのだ、とキース君。
キース 「ただしだ、かなりの高確率で親父に持って行かれるが…」
一同 「「「あー…」」」
やっぱりそうか、と一同、納得。
アドス和尚が届いたお歳暮を見逃すことなど、まず無さそう。
サム 「それじゃ、キースは礼状を書くだけなのかよ?」
キース 「そうなるな。実に不毛な作業と言えるが」
シロエ 「キース先輩も苦労しますねえ…」
キース 「そう思っていたが、俺の苦労はまだまだだった」
マツカの苦労には遠く及ばん、と言われて頷く御一同様。
シロエ 「マツカ先輩、半端な苦労じゃないですからね」
スウェナ「だけどジョミーが貰うわけよね、今回から」
キース 「らしいな、実にめでたいことだ」
サム 「良かったな、マツカ! ジョミーが交代するんだからよ」
マツカ 「そうですね。ぼくは御礼状だけということで」
キース 「そいつも任せていいと思うぞ」
こいつに書かせろ、とジョミー君に向かってビシィと指を。
キース 「お歳暮なるものを貰うからには、貴様も礼儀を覚えんとな」
ジョミー「え、えーっと…。御礼状はいいんだけれど…」
キース 「書き方だったら定型文を教えてやるぞ」
ジョミー「そうじゃなくって、どうしてみんなは要らないのさ!」
思い切り豪華なお歳暮だよ、とキョロキョロと。
ジョミー「普通は欲しいと思うんだけど…」
サム 「いや、アレを欲しがるヤツはいねえぜ、間違いねえよ」
キース 「いないだろうな」
シロエ 「いませんよね?」
アレだけに…、とアレで通じている話。
ジョミー君、蚊帳の外なのでは?
2014/12/05 (Fri)
☆危険物なお歳暮
マツカ君の家に届く豪華お歳暮、ジョミー君が貰えるそうなのですが。
他の面子は要らないらしくて、アレ呼ばわりで敬遠中。
ジョミー「アレだとか、誰も要らないだとか…。なんか変じゃない?」
キース 「特に変ではないと思うが」
シロエ 「ジョミー先輩は欲しいんですから、それでいいんですよ」
サム 「うんうん、貰えばいいってな!」
届けばマツカが持ってくるぜ、とサム君がグッと親指を。
サム 「そうだよな、マツカ?」
マツカ 「でも…。持って来ちゃっていいんでしょうか?」
アレですよ、と声をひそめるマツカ君。
マツカ 「ジョミーの家に直接、届けておく方が良さそうですけど」
ジョミー「えっ、宅配サービスをつけてくれるわけ?」
マツカ 「そのくらいはさせて頂きますよ」
ジョミー「やったね、サービス満点だよね!」
アレでもいいや、と満面の笑顔。
ジョミー「アレだか何だか知らないけれども、貰わなくっちゃ!」
キース 「良かったな、マツカ。忘れずに転送するんだぞ」
マツカ 「係に届けさせますよ。これでお歳暮の季節も安心です」
シロエ 「ぼくたちもホッとしましたよ」
アレが来ないと分かったら…、と歓喜の表情。
シロエ 「散々苦労をしましたね、アレ」
サム 「まだ二回しか食らってねえけど、お中元が来てたしなあ…」
スウェナ「お歳暮が来ないわけがないわよ、絶対に来るわ」
キース 「真っ当なのが来るという可能性もゼロではないが…」
サム 「いいじゃねえかよ、その時は」
危険物処理代ってことでくれてやろうぜ、という意見。
サム 「サーモンだろうがイクラだろうが、処理代ってことで」
シロエ 「いいですね! 危険物取扱い主任ですか!」
キース 「この際、そういう肩書きをつけておくのもいいな」
ジョミー「ちょ、ちょっと待ってよ、危険物って何さ?」
キース 「安心しろ。爆発するわけではないからな」
発火もしないし、ということですけど。
何故にお歳暮で危険物が…?
2014/12/06 (Sat)
☆サーモンにイクラ
アレと呼ばれる豪華お歳暮、マツカ君の家に届いたらジョミー君宅へ。
そのジョミー君に付けられそうな肩書き、危険物取扱い主任。
ジョミー「爆発も発火もしないって…。それがどうして危険なのさ!」
キース 「危険物だからだ。少なくとも俺は開けたくはない」
シロエ 「ぼくもですね」
マツカ 「頂いておいて悪いんですけど、ぼくもです」
ジョミー「何なのさ、それ!」
アレだの危険物だのと、とジョミー君は叫んでおりますが。
サム 「気付かねえ辺りが大物なんだよ、危険物の件は任せたぜ」
スウェナ「運が良ければスペシャルよ? うんと豪華に!」
シロエ 「あの辺りはサーモンにイクラでしょうか?」
マツカ 「スモークサーモンは定番みたいですよ?」
サム 「いいじゃねえかよ、スモークサーモン!」
すっげえゴージャス、と言われなくとも素敵なスモークサーモン。
ジョミー「スモークサーモン、好きだけどさ…」
キース 「良かったな! シーズン的には有り得るからな!」
シロエ 「イクラもつくといいですね?」
マツカ 「トビコもあると聞きましたね…」
それが絶品らしいんです、とマツカ君。
マツカ 「お歳暮だけに海産物はあるかもしれませんね」
キース 「クリスマスや正月に使えるからな」
サム 「美味いんだよなあ、イクラもスモークサーモンも」
スウェナ「そういうのが来るといいわね、ジョミー」
ジョミー「嬉しいけどさあ…。それのどの辺が危険物なわけ?」
豪華お歳暮なだけなんじゃあ…、と尤もな疑問。
ジョミー「ぼくなら喜んで貰うけど?」
キース 「だからこその危険物取扱い主任だ、頑張ってくれ」
シロエ 「ジョミー先輩の御武運をお祈りしていますよ」
サム 「うんうん、根性でスモークサーモンをゲットな!」
ジョミー「貰うだけなら根性は要らないと思うんだけど…」
キース 「よく言った!」
それでこそ勇者だ、と今度は勇者の称号が。
危険物取扱い主任から格上げですけど、大丈夫ですか…?
2014/12/07 (Sun)
☆師走の勇者たち
スモークサーモンかイクラと噂の豪華お歳暮。
それを貰うと言ったジョミー君、危険物取扱い主任から勇者に格上げ。
キース 「今日から貴様は勇者ジョミーだ。頑張ってくれ!」
サム 「勇者に冒険はセットだよなあ、危険ってヤツもよ」
シロエ 「ゲームの勇者に危険手当は付きませんけどね」
その代わり、色々と御褒美が…、とシロエ君。
シロエ 「ジョミー先輩、今月は冒険の旅ですよ!」
キース 「そうだな、俺たちは平凡な師走を過ごすんだがな」
マツカ 「キースの場合は、平凡と言っていいんでしょうか?」
スウェナ「自分の家で除夜の鐘って、あまり普通じゃないわよねえ…」
サム 「レアケースだよな、自宅ってのは」
大部分のヤツは撞きに出掛けて行くもんだぜ、と真っ当な意見。
サム 「家の敷地から一歩も出ねえで撞けるってえのは…」
シロエ 「普通の家では有り得ませんね?」
マツカ先輩の家でも無理です、とキッツイ台詞が。
シロエ 「キース先輩も師走はヒーローなんですよ」
マツカ 「そうですね…。ぼくの家でも除夜の鐘はちょっと」
サム 「大邸宅でも敷地に寺はねえからなあ…」
キース 「勝手にヒーローに祭り上げるな!」
今月のヒーローは一人いればいい、とジョミー君に指をビシィッと。
キース 「勇者もヒーローもジョミーで決まりだ、今月はな」
シロエ 「危険物取扱い主任もでしたね、勇者ジョミーですね」
サム 「ドラゴンも倒すのが勇者ってモンだし、頑張れよな」
死んでも呪文で蘇るし、と縁起でもない一言が。
ジョミー「ちょ、死ぬって何さ!」
キース 「安心しろ。冒険の旅に死亡エンドは付き物だ」
サム 「読経はキースに任せとけよな、プロだしよ」
除夜の鐘までには生き返れるぜ、と頼もしい言葉。
シロエ 「ええ、除夜の鐘でまた会いましょう!」
キース 「冒険を終えた勇者を労ってやろう」
おぜんざいの接待があるぞ、と言ってますけど。
勇者ジョミーは冒険の旅に…?
2014/12/08 (Mon)
☆選ばれし勇者
死んでも呪文で生き返れる、と冒険の旅に行かされそうなジョミー君。
しかし勇者の称号はともかく、死亡エンドとは穏やかではなく。
ジョミー「ぼくはお歳暮を貰うだけだよ、なんで死亡エンド!?」
キース 「勇者でなければ死ぬからだ」
シロエ 「一般人だと死にますね、ええ」
ジョミー「危険物だとか、死亡エンドだとか、どんなお歳暮!?」
サム 「貰うと言い出した時点で勇者に決定なんだぜ」
誰も欲しいと言ってねえから、と鋭い指摘。
サム 「勇者の冒険だってそうだろ、普通は冒険しねえしよ」
シロエ 「選ばれし勇者と言えば、とってもカッコいいですが…」
キース 「単なる命知らずとも言う」
スウェナ「そういう見方もあるわよねえ…」
サム 「要は単純バカっていうのも条件なんだぜ、勇者のよ」
そしてジョミーは選ばれた馬鹿だ、と実に強烈な見解が。
サム 「俺たちからすりゃ、真の勇者と言えるけれどよ…」
キース 「いわゆる馬鹿には間違いないな」
ジョミー「ぼくが馬鹿って…。どういう根拠で!」
キース 「アレを欲しいと言い出す野郎は馬鹿だけだ!」
賢者は敬遠するものだ、と復活の呪文を唱える立場の副住職。
キース 「とにかく、死んでも骨は拾ってやるからな」
サム 「成仏しろよな、でもって除夜の鐘までには復活しろよ」
ジョミー「ちっとも嬉しくないんだけれど!」
シロエ 「お歳暮、喜んでいたじゃないですか」
ジョミー「そうだけど…」
だんだん不安になってきた、と心細そうで。
ジョミー「ズバリ訊くけど、アレって何さ?」
キース 「決まっているだろう、暮れのご挨拶だ」
ジョミー「だから、どんなの?」
キース 「言っても貴様は引き受けるのか?」
ジョミー「豪華お歳暮なら…」
キース 「なら、言ってやろう! ドクツルタケからのお歳暮だ!」
ジョミー「ドクツルタケ!?」
それを聞くなり、ジョミー君、一気に顔面蒼白。
ドクツルタケと言えば、ロクでもないものを寄越す外国人では…?
2014/12/09 (Tue)
☆万歳で解散
ジョミー君以外の誰もが敬遠、マツカ君の家に届くと噂の豪華お歳暮。
贈り主はドクツルタケだと聞いたジョミー君、真っ青な顔で。
ジョミー「ど、ドクツルタケって…。イングリッドさん!?」
キース 「他にどういうドクツルタケがいると言うんだ」
シロエ 「アレを貰うなんて、ジョミー先輩はまさしく勇者ですよ!」
サム 「間違いねえな、もう超ド級の勇者だってな!」
ドラゴンならぬドクツルタケは任せたぜ、と肩をバンバン。
サム 「いやもう、マジで復活の呪文はキースでいけるし!」
スウェナ「お坊さんだものねえ、その道のプロよね」
キース 「正確に言えば俺の宗派にその手の呪文は無いんだが…」
知らないこともないから唱えてやろう、と頼もしい言葉。
キース 「後は任せて、もう安心して死んでくれ」
ジョミー「そ、そんな…!」
シロエ 「勇者ですしね、死なないってこともありますからね」
サム 「うんうん、冒険の旅が成功したらいいわけだしよ」
ジョミー「ぼ、冒険って…」
キース 「単に貴様は受け取るだけだ。そいつを開けて御礼状をな」
それをマツカが会社の人に訳して貰えば完璧だ、とキース君。
キース 「貴様の任務は御礼状までだ、頑張れよ」
サム 「運が良ければスモークサーモンとかイクラだぜ!」
ジョミー「で、でも…」
ドクツルタケだよ、とガクガクブルブル。
節分祭に行くバスで出会って以来の御縁の女性がイングリッドさん。
渾名の由来は「死の天使」と呼ばれる毒キノコで。
ジョミー「なんか死ねそうなんだけど!」
キース 「いいか、勇者は死んでこそだ」
シロエ 「死にもしないで終わる旅なんてつまらないですよ」
チートな技で強くなっても直ぐに飽きます、とニッコリと。
シロエ 「ですからよろしくお願いします」
マツカ 「ウチに届いたら、ジョミーの家まで届けさせますよ」
キース 「決まりだな!」
これで十二月は安泰だ、と万歳三唱、そして解散。
何処かの政治家みたいですねえ…?
2014/12/10 (Wed)
☆出遅れた人
ドクツルタケことイングリッドさんから届くお歳暮。
勇者ジョミーが引き受けるから、とシャン学メンバーは万歳でしたが。
キース 「なんだ、ジョミーは来ていないのか?」
シロエ 「そうみたいですね…。いつもなら来ている時間ですけど」
サム 「おっ、あのバスに乗ってんじゃねえか?」
土曜日に生徒会長宅へ行こうと最寄りのバス停に集合。
年末寒波で寒いと言うのに、若干一名、未到着で。
スウェナ「ジョミーが乗ってる路線だけれど…。いないわよ?」
シロエ 「降りるんだったら前の方にいますよね」
キース 「そうだと思うが…」
まだ遅れるのか、とキース君が毒づいた所でバスが停車。
前の扉がプシューッと開いて、数人が降りて。
サム 「やっぱ、いねえな?」
マツカ 「乗っていなかったようですね…」
降りてこない、と思ったものの。
運転手 「お客さん、早くして下さいよ! 降りないんですか?」
ジョミー「す、すみません! 降ります、降りますーっ!」
荷物が引っ掛かっちゃって、とジョミー君の声が。
一同 「「「荷物?」」」
運転手 「早めに前まで来ておいて下さい、遅れますから」
ジョミー「ご、ごめんなさいーっ!」
すみませんでした、と平謝りで降りて来ましたけれど。
サム 「なんだよ、そのデカイ荷物はよ」
ジョミー「パパに車で送って貰おうと思ったんだけど…」
ゴルフに出掛けて留守だった、とデカイ荷物を両腕で。
シロエ 「それ、ぼくたちに差し入れですか?」
ジョミー「そんなトコかな、プレゼントだよ」
キース 「ほほう…。なかなかにいい心掛けだな、差し入れとはな」
ジョミー「ブルーとぶるぅにいつもお世話になっているしね!」
たまには暮れのご挨拶を、とニコニコニコ。
サム 「へええ…。身銭を切ってお歳暮かよ?」
ジョミー「やっぱり日頃の御礼というのも大事だもんね」
キース 「なら、行くか」
これで面子も揃ったことだし、と一同、出発。
生徒会長の家は徒歩数分~。
2014/12/11 (Thu)
☆暮れのご挨拶
土曜日は生徒会長の家で遊ぼう、とバス停で集合のシャン学メンバー。
大荷物を抱えたジョミー君が遅刻したものの、面子も揃って。
ぶるぅ 「かみお~ん♪ いらっしゃい!」
一同 「「「お邪魔しまぁーす!」」」
生徒会長が住むマンションの最上階、無事に到着でございます。
ブルー 「やあ、来たね。それでジョミーのその荷物は?」
ジョミー「あっ、これは…。いつもお世話になってるから…」
どうぞ、と箱を差し出すジョミー君。
ぶるぅ 「わぁーい、お歳暮?」
ジョミー「うん、そんなトコ」
ぶるぅ 「ありがとー! ブルー、お歳暮だって!」
中身、何かなぁ? と茶色の包み紙を剥がせば、下に熨斗紙。
ブルー 「ふうん…。本格的だね、ジョミーが書いたみたいだけれど」
ぶるぅ 「そだね、お歳暮って所は印刷だけどね」
下手くそな毛筆で「ジョミー」と書かれている熨斗紙。
キース君が眉を顰めまして。
キース 「お前な…。こんな下手な字は却って失礼だろうが!」
ジョミー「そういうものかな、頑張ったんだけど」
キース 「プロに任せろ、買った店で頼めばいいんだからな」
サム 「まったくだぜ。坊主になるなら書道も必須じゃあるけどよ」
もうちょっと上手くなってから書けよな、とサム君も。
サム 「でもまあ、お歳暮を持って来ようというのは偉いぜ」
シロエ 「ぼくたちも持って来ないと駄目でしょうか?」
ブルー 「お気遣いなく。手ぶらでも、ぼくは大歓迎だし」
ぶるぅ 「うんっ! お客様、大好き!」
遠慮しないで遊びに来てね、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
ぶるぅ 「ジョミーは持って来てくれたけど…。これ、貰ったの?」
ジョミー「えっ?」
ぶるぅ 「ちょっと包み方が下手だから…」
だから余ったのをくれるのかな、と考えちゃったぁ! と。
ぶるぅ 「ほら、重なるものって、よくあるし!」
ジョミー「あ、うん…。そんな感じ」
重なっちゃって、という話。
お歳暮の中身、何なんでしょうね?
2014/12/12 (Fri)
☆自分でクール便
生徒会長に暮れのご挨拶、とジョミー君が持って来たお歳暮なるもの。
重なった品物を持って来たらしくて、熨斗紙の名前が自筆ですが。
ぶるぅ 「重なっちゃったものでも、貰えてしまうと嬉しいよね!」
ブルー 「まあ、悪い気分はしないよね」
お気遣いどうも、と生徒会長。
ブルー 「ずいぶん大きな箱だけど…。重かっただろう?」
ジョミー「大したことないから! バスには乗り遅れちゃったけど…」
キース 「降りる時にも苦労してたな、そういえば」
ジョミー「こういうのを持って乗るようには出来ていないしね」
路線バスは人間用だから、と言われてみれば確かにそうかも。
ジョミー「普通は配達を頼むんだろうけど…。それじゃ高いし」
サム 「配送料をケチったのかよ?」
ジョミー「自分で運べばお得だしね!」
シロエ 「それはそうですが…。ぼくたち、かなり待たされましたよ」
ジョミー「ごめん、ごめん! その分、お歳暮、持って来たから」
みんなで食べて、とニッコリ笑顔。
ぶるぅ 「そっか、食べ物! 開けてみなくちゃ!」
ジョミー「うん、どうぞ」
ぶるぅ 「えーっと、熨斗紙…」
これを剥がして、と熨斗紙を剥がし、それから蓋を。
ぶるぅ 「…あれ?」
ブルー 「保冷剤がギッシリとはねえ…」
重いわけだ、と生徒会長、納得の様子。
ブルー 「アイスクリームとか、そっち系かな?」
ジョミー「お楽しみってコトでいいと思うよ」
ぶるぅ 「わぁーい、何かな?」
アイスクリームもいいしアイスケーキも、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
保冷剤を次々に放り出し、目的の箱に辿り着いたようで。
ぶるぅ 「じゃあ、開けるねーっ!」
サム 「アイスケーキも悪くねえよな、暖房の効いた部屋だしよ」
キース 「贅沢な楽しみ方ではあるな」
シロエ 「暖房を入れてアイスですしね、冬ならではですよ」
スウェナ「ホント、アイスもいいわよね!」
保冷材の多さに高まる期待。
アイスケーキかアイスクリームか、さて何が?
2014/12/13 (Sat)
☆かさばるクール便
配送料が高いから、と保冷剤を詰めてジョミー君は自分でクール便を。
大荷物と化したお歳暮ですけど、ようやく中身がご登場で。
ぶるぅ 「わあっ、スモークサーモンだあ!」
ブルー 「豪華だねえ…。スモークサーモンなら日持ちもするのに」
ジョミー「ぶるぅに頼めば美味しい料理に化けるしね!」
サム 「お前、実益も兼ねたのかよ?」
ジョミー「どうせなら美味しく食べなくちゃ!」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ お料理、任せといてね!」
いろんなものが出来ると思うの! と頼もしい言葉。
ぶるぅ 「こんなに沢山入ってるから、クリスマスにも使えそう!」
ジョミー「ホント? 喜んで貰えて良かったよ」
ぶるぅ 「えとえと、イクラも入ってるみたい!」
瓶が幾つも、とウキウキ数えておりましたが。
ぶるぅ 「…あれ?」
ブルー 「どうかしたのかい?」
ぶるぅ 「イクラの瓶の下にも何か…。あっ、別の箱だあ!」
こっちは何かな、と出て参りました、これまたけっこう大きめの箱。
キース 「なるほど、荷物がかさばるわけだな」
シロエ 「おまけに保冷剤までギッシリ詰めてたわけですしね…」
サム 「中身はうんとゴージャスだけどよ、配送料がよ…」
ケチるなよ、ともっともな仰せ。
サム 「クール便にしとけばカッコイイのによ」
ジョミー「だけど、貰ったものだしね?」
また送料を支払うなんて愚の骨頂だ、とジョミー君。
ジョミー「とにかく、みんなで分けてくれれば…」
キース 「もちろん遠慮なく食わせて貰うが、あの箱は何だ?」
ジョミー「さあ…?」
シロエ 「知らずに持って来たんですか!?」
ジョミー「ぼく宛の荷物じゃないからね」
一同 「「「あー…」」」
家族用か、と頷く御一同様。
キース 「だがな、他所へ贈ろうというなら確認しろ!」
ジョミー「ちゃんと確認したってば! サーモンとイクラ!」
もうそれだけで充分だろう、という話ですが。
品物くらいは送り状で確かめて欲しいですよね?
2014/12/14 (Sun)
☆お歳暮サプライズ
貰ったお歳暮が重なったから、とジョミー君が持ち込んだ豪華お歳暮。
スモークサーモンにイクラはいいのですけど、謎の箱も。
キース 「送り状は剥がして来たのか、貴様は」
ジョミー「だって、贈り物にするなら貼ったままだと失礼だし!」
キース 「確かにそれは常識なんだが、せめて品物くらいはだな…」
きちんとチェックをしてくるものだ、と入った指導。
キース 「でないと贈る先にも失礼だろうが、謎の品物では!」
ジョミー「サプライズってことでいいかと思って…」
ブルー 「まあいいけどね、貰って文句を言うのもアレだし」
ぶるぅ 「うんっ! スモークサーモンとイクラは嬉しいもんね!」
きっとコレに合う何かなんだよ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
ぶるぅ 「えとえと、開けてみてもいい?」
ジョミー「うーん…。多分…」
サム 「煮え切らねえヤツだな、謎のままで持ってくるからだぜ」
ジョミー「そうだけど…。でも…」
キース 「何が多分で、でもなんだ! 何か問題があるというのか!」
お歳暮だろうが、と怒鳴ったキース君ですが。
キース 「…待てよ? スモークサーモンにイクラと来たか…」
シロエ 「どうかしたんですか、キース先輩?」
キース 「いや…。そういうお歳暮に心当たりが無いでもなくてな」
シロエ 「ま、まさか、ドクツルタケですか?」
サム 「ちょ、ヤバイじゃねえかよ!」
確かにそんな話もあった、とジョミー君へと視線が集中。
キース 「お前、そいつを持って来たんじゃないだろうな?」
シロエ 「マツカ先輩、お歳暮は届いていましたか?」
マツカ 「そ、それが…。ぼくは手配をしておいただけで…」
届いた場合はジョミー君の家へ配達するよう、手配のみ。
マツカ 「届いたかどうかの報告までは来ないんですよ」
キース 「ということはだ、このお歳暮は…」
一同 「「「ドクツルタケ!?」」」
そんな、と御一同様、激しくパニック、悲鳴の嵐。
果たして真相はどうなんでしょう…?
2014/12/15 (Mon)