☆冒険には必須
ジョミー君が持って来た豪華お歳暮の品、スモークサーモンとイクラ。
それを送りそうな誰かに心当たりの御一同様、パニック状態。
シロエ 「なんでドクツルタケのお歳暮が此処にあるんですか!」
サム 「ジョミーにやるって言ったじゃねえかよ!」
キース 「そうだぞ、勇者の称号もくれてやっただろうが!」
危険物取扱い主任の他に、とキース君。
キース 「勇者だったら自分で処理しろ、それともコレは別物か?」
シロエ 「その可能性もありますけれど…」
マツカ 「低いですよね?」
サム 「如何にもドクツルタケが寄越しそうな品物だしよ…」
ドクツルタケことイングリッドさん、外国にお住まい、それも北の方。
何か貰うともれなく死を招くと評判なだけに。
キース 「吐け、ジョミー! これはドクツルタケから来たのか!?」
ジョミー「う、うん…。まあ…」
キース 「貴様にやると言っただろうが!」
マツカ 「ウチに届いたら送るようにと手配しましたよ、ぼくは」
ジョミー「そうなんだけど…。ウチに届けて貰ったんだけど!」
キース 「なら、貰っておけ!」
こんな所へ持ってくるな、と鬼の形相。
キース 「冒険の旅はやり遂げてこそだ、勇者だろうが!」
ジョミー「でもさあ…。冒険の旅にもお手伝いの人はいるわけでさ…」
地図をくれるとか道順を教えてくれるとか、と妙な言い訳。
キース 「道順がどうした!」
ジョミー「地図が読めなきゃ、賢者に訊くしかないと思うし!」
一同 「「「地図?」」」
何処に地図が、と一同、キョロキョロ。
ジョミー「コレなんだけど…。読めないんだよね」
ホントに読めない、と引っ張り出された封筒が一つ。
ジョミー「御礼状を書こうにも、なんて書けばいいのか謎だから!」
キース 「そ、そいつはまさか…!」
ジョミー「差出人名は多分、イングリッドなんだよ」
一同 「「「ひいいっ!」」」
勇者の冒険には地図と賢者が必須だとか。
こんな展開、予測不可能ですってば…。
2014/12/16 (Tue)
☆賢者にお願い
勇者が出掛ける冒険の旅に欠かせないもの、地図と賢者の有難い知恵。
お歳暮についていた手紙が読めない、と賢者募集のジョミー君。
ジョミー「もうね、ホントに読めないから…。これじゃ困るし!」
キース 「誰も困らん!」
ジョミー「マツカが困ると思うんだよ!」
ぼくが御礼状を書くことになっているし、と勇者の仰せ。
ジョミー「失礼があったらマズイと思うよ、大事な取引先だしね!」
キース 「定型文でいいんだ、定型文で!」
マツカ 「けっこうなお品を有難うございました、でいいんですよ!」
ジョミー「でもさあ…。なんだか豪華に来たしさあ…」
スモークサーモンとイクラがこんなに沢山、と指差しまして。
ジョミー「おまけに他の箱もあるしさ、一言添えておきたいよね」
キース 「だったら一言、好物ですと書いておけ!」
マツカ 「そんな感じでいいと思いますけど…」
ジョミー「だけど、万一ってこともあるしね!」
リッチな特注品とかだったら失礼だから、と言ってますけど。
キース 「貴様、そいつは逃げ口上だろうが!」
サム 「だよなあ、勇者とも思えねえぜ」
シロエ 「勇者なら真っ向勝負ですよ! ドラゴンも、箱も!」
宝箱の危険な仕掛けを開けるのも勇者ならでは、とゲーマーな発言。
シロエ 「解除が難しいのとかはありがちですしね」
キース 「失敗するとパアになるのも多いからな」
だが、遠慮しないで貴様が開けろ、とキース君も。
キース 「手紙なんぞはどうでもいいんだ、要は処分だ!」
ジョミー「ホントにそれでいいのかな…?」
いつも色々くれているしね、と悩める勇者。
ジョミー「ぼくが貰っていいんだったら気にしないけど…」
キース 「気を遣わずに貰ってくれ!」
ジョミー「でもさ、一応、手紙は読んで貰った方が…」
ブルー 「…まさか、賢者はぼくなのかい?」
ジョミー「ブルーに決まっているじゃない!」
お願いします、と差し出された手紙。
はてさて、賢者はどうするのでしょう…?
2014/12/17 (Wed)
☆逃げを打つ勇者
ジョミー君が貰った豪華お歳暮、謎の箱と読めない手紙がセット。
下手に御礼状を書くと失礼だから、と逃げを打っての持ち込みですが。
ブルー 「ぼくに手紙を読めと言われても、それはマツカ宛で…」
ジョミー「だけどブルーが読んでるじゃない!」
あの謎言語はブルーにしか読めない、という反論。
ジョミー「マツカも読んで貰って御礼状を書いてたわけだし…」
マツカ 「ぼくのは定型文ですよ?」
サム 「やっぱアレかよ、けっこうなお品をどうも、ってヤツかよ」
マツカ 「そんな感じです。大変美味しく頂きました、と」
一同 「「「は?」」」
ドクツルタケことイングリッドさんが寄越す品物、常に迷惑。
どう美味しいのか、と目が点の御一同様ですけれど。
マツカ 「ジンジャークッキーを頂きますしね、そう書かないと」
キース 「ま、待て! 美味しかったと書くのか、いつも?」
マツカ 「それが常識だと思いますが…」
キース 「確実に誤解されてるぞ! 例の饅頭とかも美味かったと!」
一同 「「「うわー…」」」
恐ろしい御神体の形のお饅頭やら、そういう形の飴細工やら。
どれも食べ物なだけに、美味しかったと御礼を書けば…。
シロエ 「ま、まさか、ああいうのも好物なんだと思われてますか?」
キース 「最悪のケースは想定しておくべきだろうな」
シロエ 「誰も美味しいとは言ってませんけど!」
キース 「だが、文面からはそう取れる。けっこうなお品も同様だ」
喜ばれたと思っているのだ、と深い溜息。
キース 「つまりだ、今回の謎の箱の中身も怪しいぞ」
ジョミー「ほらね、キースもそう思ってるし!」
キース 「貴様、知ってて持って来たのか!?」
ジョミー「無駄に死にたくないからね!」
キース 「それが勇者の言うことか!」
ジョミー「危険も避けなきゃ、冒険の旅は終わらないんだよ!」
死亡エンドじゃゲームオーバー、とズルイ台詞が。
冒険の旅とか屁理屈をつけて、逃げる姿勢が見え見えですよ…。
2014/12/18 (Thu)
☆見捨てられた勇者
勇者が死んだら冒険の旅が終わらない、と屁理屈をこねるジョミー君。
読めない手紙を言い訳にして謎の箱つきのお歳暮を持参。
ジョミー「とにかく賢者は必要なんだよ、解読してよ!」
ブルー 「ぼくは読むだけでいいのかい?」
お歳暮の始末は勇者がつけてくれるんだろうね、と生徒会長。
ジョミー「そ、それは…。中身によるかな…」
キース 「勇者のくせに何をぬかすか!」
シロエ 「ヘボいアイテムでも、勇者は集めてこそなんですよ!」
ジョミー「でもさあ、スモークサーモンとイクラをお歳暮にしたし…」
ちょっとくらいは助けてくれても、と勇者とも思えぬ情けない台詞。
ジョミー「冒険の旅には仲間も要るしね、賢者だけじゃなくて」
キース 「俺は貴様とパーティーを組んだ覚えは無いが!」
サム 「俺もねえなあ、仲間になるのを拒否られることも多いしよ」
シロエ 「条件付きっていうのもあります、今回は該当しませんよ」
賢者に手紙を読んで貰ったら自分で始末をつけて下さい、と淡々と。
シロエ 「仲間になってくれる人が無くても何とかなります」
サム 「うんうん、その方が達成感ってヤツも大きいぜ!」
ブルー 「ぼくも同感。手紙を読むだけにしておくよ」
御礼状と謎の箱の始末はよろしく、と生徒会長からも冷たいお言葉。
ブルー 「もしも中身がいいものだったら貰っておくから」
ジョミー「そうなるわけ!?」
ブルー 「当然だろう? スモークサーモンとイクラは解読料だよ」
もう貰った、と返す気はゼロ。
ブルー 「それで、手紙は…と」
ジョミー「な、なんて?」
ブルー 「流石に開けなきゃ読めないから!」
透視するだけのサイオンが惜しい、とハサミで開封、広げまして。
ブルー 「えーっと、暮れの御挨拶をお送りします、と…」
キース 「普通だな?」
シロエ 「普通ですね?」
案外、普通の品物なのか、と顔を見合わせるシャン学メンバー。
ドクツルタケことイングリッドさんの贈り物、今回は普通?
2014/12/19 (Fri)
☆外国からのお歳暮
ドクツルタケことイングリッドさんのお手紙、開封の儀。
暮れのご挨拶をお送りします、と出だしはごくごく普通ですけれど…。
ブルー 「こちらの名物をお召し上がり下さい、って書いてあるね」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ スモークサーモンとイクラだね!」
キース 「ジンジャークッキーばかりでは芸が無いと思ったか…」
ブルー 「そうじゃないかな、それに暮れだし」
クリスマスにお正月と使える機会が多いから、と生徒会長。
ブルー 「有難いよね、こういうものも」
ぶるぅ 「クリスマスパーティーに使わなくっちゃね!」
サム 「その辺はジョミーに感謝だぜ、うん」
一人占めしても良かったのによ、とサム君も。
サム 「ただなあ、そこの謎の箱がよ…」
シロエ 「でも、普通かもしれませんよ?」
キース 「クリスマスも近いし、そっち系かもしれないな」
マツカ 「あちらの方のオーナメントとかは凝ってますしね」
スウェナ「いいわね、本場もののオーナメント!」
クリスマスがうんと華やかに、と高まる期待。
ブルー 「どうなのかな? えーっと…」
ジョミー「もしかして、そういうものだったわけ?」
にわかに惜しそうなヘタレ勇者。
ジョミー「怖がらずに開ければ良かったかなあ…」
キース 「自業自得だ、貴様が持って来たんだろうが!」
シロエ 「そうですよ。今更、欲しいと言うだけ無駄です」
サム 「安心しろ。俺たちが貰ってやるからよ」
ぶるぅ 「ねえねえ、ホントにオーナメント?」
でなきゃヘクセンハウスとか! と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
ヘクセンハウス、すなわちお菓子の家。
シロエ 「そういう線もありそうですね?」
キース 「ジンジャークッキーが名物だけにな」
ブルー 「…ちょっと待ってよ?」
キース 「どうかしたのか?」
ブルー 「あの方々にもどうぞよろしく、と書いてあるんだけど」
一同 「「「あの方々!?」」」
まさか、と固まる御一同様。
あの方々とは、もしかしなくても…?
2014/12/20 (Sat)
☆ドクツルタケの正体
こちらの名物をお召し上がり下さい、というイングリッドさんの手紙。
スモークサーモンとイクラのことだと喜んでいれば。
キース 「あの方々というのは、もしかしなくてもだな…!」
シロエ 「何処かのバカップルのことでしょうか?」
キース 「馬鹿、口に出すな!」
言霊というのがあるだろうが、と唇に指を。
キース 「そこは伏せてだ、言わないのが吉だ」
シロエ 「そ、そうですね…」
サム 「んで、手紙はそれで終わりなのかよ?」
ブルー 「ぼくも終わって欲しいんだけどね…」
キース 「終わらないのか!?」
ブルー 「そう。プリンセスがどうとかって書いてあってさ」
一同 「「「プリンセス?」」」
プリンセスと言えばお姫様。
ドクツルタケことイングリッドさん、何故に手紙にプリンセスなのか。
シロエ 「ドクツルタケって、実はプリンセスだったんですか!?」
マツカ 「あちらの国では名門だと父に聞いていますが…」
ジョミー「正体はお姫様だったわけ!?」
ブルー 「えーっと…。プリンセス入門の件について、と…」
キース 「誰が入門するんだ、誰が!」
この面子の誰がお姫様だ、と声を荒げたものの。
スウェナ「私もいるわよ、失礼だわね!」
キース 「す、すまん…。しかしだ、プリンセス入門とは…」
シロエ 「何なんでしょうね、招待状か何かでしょうか?」
ドクツルタケの国で社交界デビューですか、とシロエ君。
キース 「クリスマスはそういうシーズンだったか?」
マツカ 「年が明けてからだと思いますが…」
サム 「じゃあ、何なんだよ、プリンセス入門ってえのはよ?」
プリンセスになってどうするんだよ、と、もっともな疑問。
ブルー 「ぼくにもイマイチ謎なんだけど…」
キース 「ドクツルタケがコネでもつけてくれるのか?」
シロエ 「ああ、そういうのはアリかもですね!」
社交界は敷居が高いそうですし…、という意見。
名門の人の紹介だったら、プリンセス気分になれそうですねえ?
2014/12/21 (Sun)
☆プリンセス入門
ドクツルタケことイングリッドさん、名門の方でいらっしゃるそうで。
手紙に書かれたプリンセス入門とやらが気になる所。
スウェナ「社交界デビューっていうのも素敵ねえ…」
サム 「でもよ、スウェナに限定されねえか?」
シロエ 「ぼくたちは付き添いになるんじゃないですか?」
キース 「そうかもしれんな、大変なのは女性らしいからな」
作法にしてもダンスにしても…、とキース君。
キース 「それで、ドクツルタケが面倒を見てくれるのか?」
ブルー 「どうなんだろうね、入門セットとあるけど」
一同 「「「入門セット?」」」
ブルー 「そっちの箱のことだと思うよ、入門セット」
スモークサーモンとイクラは違うし、と指差す先に例の謎の箱。
ブルー 「プリンセス入門を目指して下さい、と書いてあるから」
サム 「目指すってことは、努力ってえのも必要なのかよ?」
シロエ 「ダンスの映像資料でしょうか?」
キース 「それを見てまずは練習からだということか…」
マツカ 「ある程度のレベルは必要ですしね、デビューするなら」
素人さんでは恥をかきます、と御曹司ならではの発言が。
マツカ 「ダンスなんかはプロの教師がついたりしますよ」
サム 「そこまでなのかよ!?」
マツカ 「社交界デビューは大切ですしね」
キース 「俺たちには無縁な世界なんだが、大丈夫なのか?」
シロエ 「マツカ先輩がいるじゃないですか!」
この際、ドーンと行ってみましょう、とシロエ君は乗り気。
シロエ 「スウェナ先輩をプリンセスに仕立ててデビューですよ!」
キース 「ドクツルタケの手引きでか…」
サム 「いいじゃねえかよ、なんか派手だし」
スウェナ「名門の人が一緒だったら、きっと扱いもいいのよね?」
マツカ 「それは間違いないですね」
ジョミー「ふうん、スウェナがプリンセスかあ…」
ドクツルタケも気が利くよね、と箱を持ち込んだジョミー君も笑顔。
プリンセス入門セットって、どんなのでしょうね?
2014/12/22 (Mon)
☆プリンセスを目指せ
謎の箱の中身はプリンセス入門セットだそうでございます。
名門らしいイングリッドさんの紹介で、夢の社交界デビューなのかも。
シロエ 「スウェナ先輩、大変でしょうけど頑張って下さいね」
キース 「そうだな、どうやら主役はスウェナらしいしな」
スウェナ「プリンセスになれるんだったら、努力するわよ」
マツカ 「あの国だと何処でデビューでしょうねえ…」
王宮の舞踏会でしょうか、と凄い話が。
一同 「「「王宮!?」」」
マツカ 「あそこは王室がありますからね」
キース 「そういえば、こないだまで受賞パーティーをやってたか…」
シロエ 「ありましたねえ! 王宮晩餐会とかも!」
年に一回、優れた研究者などに贈られる有名な賞。
イングリッドさんのお国で授与される上に、記念の晩餐会なども。
スウェナ「テレビで見たわよ、あそこでデビューできるのかしら?」
キース 「ドクツルタケが名門だったら、そのコースかもな」
サム 「すげえな、王宮の舞踏会かよ!」
世界が違うぜ、と華やかな夢が広がっておりますが。
スウェナ「とにかく、私はデビューに向かって練習なのね?」
ブルー 「そうなんだろうね、プリンセス入門セットだし…」
キース 「詳しい中身は書いてないのか?」
ブルー 「素晴らしい成果がありますように、とエールはあるけど…」
シロエ 「それで、社交界デビューはいつなんですか?」
練習の都合もありますよ、とシロエ君。
シロエ 「近いようなら、猛特訓をしておかないといけませんから」
ブルー 「えーっと…。自信をもって選びました、と…」
サム 「やっぱ、ダンスの教材かよ?」
キース 「マナーブックということもあるな」
マナーも大切らしいからな、と言われてみればその通りで。
ブルー 「プリンセス誕生をお祈りしてます、とあるし…」
キース 「ドクツルタケのメンツを潰さないよう、努力なのか…」
イングリッドさんの手引きで社交界デビュー。
努力が必要みたいですねえ?
2014/12/23 (Tue)
☆プリンセスと名門
ドクツルタケことイングリッドさんからの素敵なお歳暮。
プリンセス入門セットなだけに、社交界デビューだと盛り上がる面々。
シロエ 「ダンスの教材とマナーブックってトコですね!」
キース 「だろうな、しかし箱の大きさがかなりあるしな…」
サム 「中の教材も半端ねえってことなんだろうな、名門だしよ」
ドクツルタケの顔に泥を塗ったら大変だぜ、とブルブルブル。
サム 「やたらフレンドリーなヤツだったけどよ、名門ではよ…」
シロエ 「実はプライドが高かった、ってオチは非常にありそうです」
マツカ 「どうなんでしょうね、ご主人は気のいい方らしいですが」
キース 「そうだったのか?」
マツカ 「カーレースがお好きで、気さくな公爵らしいですよ」
一同 「「「公爵!?」」」
ということは…、と顔を見合わせるシャン学メンバー。
ジョミー「ご、ご主人が公爵っていうことはさ…」
キース 「公爵夫人か、ドクツルタケは!?」
マツカ 「父からはそう聞きましたが…」
シロエ 「じゃあ、間違いなく王宮コースですよね、社交界デビュー」
マツカ 「公爵ともなれば、そうでしょうね」
ただ、お連れの人がどうなるかは…、とマツカ君は首を捻って。
マツカ 「公爵夫人の紹介だけで、王宮でデビュー出来るかどうか…」
スウェナ「なんでもいいわよ、プリンセスなら!」
マツカ 「そうですか? 何処でデビューしたかは一生モノですが」
スウェナ「どうせ、今回だけじゃないの!」
そうそう何度も行けやしないわ、と言われてみれば、その通りで。
スウェナ「要はプリンセスになれればいいのよ、社交界デビュー!」
キース 「まあ、デビューさえすれば顔は覚えて貰えるか…」
シロエ 「公爵夫人の紹介ですしね!」
マツカ 「そうなりますねえ、誰の紹介かは大きいですよ」
ジョミー「公爵夫人かあ…。貴族の中の貴族だよね!」
ドクツルタケから公爵夫人に一気に格上げ、イングリッドさん。
なんとも現金な話ですねえ…?
2014/12/24 (Wed)
☆社交界に行こう
実は公爵夫人だったと判明、ドクツルタケことイングリッドさん。
そうなってくると俄然注目を浴びるのが、例のプリンセス入門セット。
キース 「公爵の上はもう王族しか無いからな…」
スウェナ「運が良ければ、本物の王子様とかにも会えそうよね!」
マツカ 「そうですね。王宮の舞踏会でなくても、王子とかなら…」
色々な所に顔を出しますよ、とマツカ君も。
シロエ 「それで、スウェナ先輩の社交界デビューはいつなんです?」
ブルー 「ちょっと待ってよ、新しい年に向けてと書いてあるから…」
サム 「やっぱ来年かよ、新年早々ってトコ辺りかよ?」
ジョミー「冬休みの後なら、学校は欠席で決まりだね!」
学校なんかは蹴って出掛けるのだ、という気持ちは誰もが同じで。
キース 「どうせ特別生には出席義務なぞ無いんだし…」
シロエ 「揃って出掛けないといけませんね!」
マツカ 「自家用ジェットを用意しますよ、往復の足は」
サム 「おう! 向こうのホテルもよろしく頼むぜ、御曹司!」
五つ星とかな、とゴージャスな注文。
マツカ 「もちろんです。でも、公爵邸ってこともありますよ?」
一同 「「「え?」」」
マツカ 「部屋を用意して下さる可能性も高いですからね」
キース 「そいつは凄いな、貴族の館か…」
ジョミー「ほらね、持って来て正解だったじゃない!」
このお歳暮、と威張るジョミー君。
ジョミー「ぼくが勝手に処分してたら、そういう話は全く無いし!」
キース 「すまん、あれこれと文句をつけて悪かった」
ジョミー「分かってくれればいいんだよ、うん」
みんなで社交界にお出掛けしよう! と意気盛んですが。
ブルー 「…ん?」
ジョミー「どうかした?」
ブルー 「あの方々にもくれぐれもよろしく、と…」
キース 「待て、あいつらまで呼ばれているのか!?」
一同 「「「えーっ!?」」」
そんな、と派手に飛び交う悲鳴。
例のバカップルが他の世界の人だとは知られていないですよね?
2014/12/25 (Thu)
☆要らないバカップル
公爵夫人なイングリッドさんの手引きで社交界へ、と盛り上がる面々。
しかし手紙には「あの方々にもよろしく」という一文が。
シロエ 「ど、どうするんですか、あのバカップルを!」
サム 「あいつら、パスポートなんか持ってねえよな?」
ジョミー「サイオンでチョロッと誤魔化すんじゃない?」
キース 「貴様、来て欲しいのか、あの連中に!」
ジョミー「そ、それは無いけど!」
あんなの要らない、と敬遠されているバカップルことソルジャー夫妻。
キース 「しかしマズイな、ドクツルタケは招待するつもりだぞ」
シロエ 「あんなの呼んだら最悪ですよ!」
マツカ 「角が立たないようにお断りしますか?」
キース 「その方向で頼む!」
ジョミーでは駄目だ、と御礼状を書く役目がマツカ君に。
キース 「御礼ついでに、なんとか上手く断ってくれ!」
マツカ 「分かりました。父とも相談して書きます」
サム 「よろしく頼むぜ、御曹司!」
でもって俺たちは社交界だぜ、と話題は再び華やかな方へ。
サム 「スウェナのドレスとか、色々要るよな!」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ いつものお店で注文する?」
スウェナ「素敵ね、オートクチュールね!」
キース 「仮装用の衣装では話にならないからな」
マツカ 「費用の方は任せて下さい」
ジョミー「やったね!」
社交界ってどんな所だろう、とジョミー君以下、誰もがワクワク。
ジョミー「ドクツルタケが一緒だったら無敵なんだよね?」
マツカ 「公爵夫人ですからねえ…。ほぼ無敵ですね」
王族以外は、と聞いて一同、大歓声。
シロエ 「楽しみですねえ、スウェナ先輩はプリンセスですし…」
キース 「俺たちも最低限の作法は要りそうだな」
シロエ 「入門セットが無いんですから、さほど問題無しですよ!」
サム 「だよなあ、要るならつけてくるよな?」
ジョミー「主役はプリンセスなんだよ!」
入門セットで学べば完璧、という話ですが。
プリンセスも大変そうですねえ?
2014/12/26 (Fri)
☆プリンセスは誰だ
社交界への御招待とやら、バカップルも対象になっているようですが。
上手に断り、自分たちだけで出掛けようというシャン学メンバー。
キース 「まずはプリンセス入門セットからだな」
シロエ 「中身については書いてないんですか?」
ブルー 「えーっと…。お喜び頂けると思います、と…」
スウェナ「何が入っているのかしら?」
ジョミー「とにかく開ければいいんじゃない?」
百聞は一見に如かず、という意見ですが。
ブルー 「ちょっと待った!」
キース 「どうした?」
ブルー 「そちらの国ではプリンセスはお姫様ですね、と…」
サム 「当たり前だろ、お姫様じゃねえかよ」
ブルー 「そのお姫様を始めるにあたって必要なものを、って…」
シロエ 「プリンセス入門セットですから、当然じゃないですか」
何処か問題あるんですか、と鋭い突っ込み。
シロエ 「スウェナ先輩がお姫様になるのに必要なんですよ」
キース 「そうだな、そのための入門セットだ」
ブルー 「そ、それが…。あの方々のために選びました、と…」
一同 「「「は?」」」
あの方々とくればバカップルことソルジャー夫妻。
何故にソルジャー夫妻にプリンセス入門セットなのか。
シロエ 「プリンセスって柄じゃないですよ!」
スウェナ「酷いわ、私はどうなるのよ!」
ブルー 「入門セットが違うんだよ!」
キース 「どういう意味だ?」
ブルー 「イングリッドさんは記憶力が非常に良かったらしい」
サム 「それじゃ分かんねえぜ?」
ブルー 「この国の言葉をしっかり覚えていたんだよ!」
節分祭で会った時の、と生徒会長。
ブルー 「覚えてないかな、バスを降りる時に叫んでたのを」
ジョミー「えーっと…?」
シロエ 「何でしたっけ?」
ブルー 「ぼくも言いたくないんだけれど…」
キース 「待てよ、激しく恥をかかされたような…」
とんでもない別れの挨拶だったような、とキース君が記憶を地引網。
イングリッドさん、なんて言いましたっけ?
2014/12/27 (Sat)
☆バカップル用です
実はソルジャー夫妻用だったらしい、プリンセス入門セットなるもの。
そうなった理由、イングリッドさんが別れ際に叫んだ言葉らしく。
キース 「確か、あの時はバカップルも一緒のバスでだな…」
ブルー 「そう、そこなんだよ、ポイントは」
シロエ 「…もしかして、あの時の猥談地獄じゃないでしょうね?」
キース 「思い出したぞ、そいつのことだ!」
まさにプリンセス入門だった、と顔面蒼白のキース君。
サム 「なんだよ、プリンセス入門ってのはよ」
キース 「そのまま普通に訳してみろ! 俺たちの言葉に!」
ジョミー「お姫様入門って…。普通だけど?」
キース 「違う、入門も訳すんだ!」
サム 「どうしたんだよ、お前、言葉が変になってねえか?」
入門をどう訳すんだよ、とサム君ならずとも疑問な所。
シロエ 「入門はもう訳せませんよね?」
マツカ 「そう思いますが…」
キース 「もっと平たく言い換えるんだ!」
一同 「「「は?」」」
キース 「幼稚園児に入門なんて言葉は通じんだろうが!」
平易な言葉に訳してみろ、と言われましても。
ジョミー「弟子入りとか?」
シロエ 「幼稚園児には弟子入りも通じないんじゃないですか?」
マツカ 「どう言い換えればいいんでしょう?」
キース 「初めてのお稽古とか、言いようは何とでもあるだろうが!」
サム 「そういや、そうか…。で、どうかしたのかよ?」
キース 「これだけ言っても気が付かないのか!」
言えと言うのか、と苦悶の表情。
キース 「いいか、お姫様と初めてのお稽古のセットものだが!」
シロエ 「それじゃ全然分かりませんよ」
キース 「なら、言ってやろう! 姫はじめだ!」
ジョミー「そ、そういえば…」
サム 「ヒメハジーメ! って手を振っていやがったっけな…」
ブルー 「その姫はじめ用にと選んだらしいよ、そこの箱の中身」
一同 「「「うわー…」」」
バカップル用だ、と、ただただ愕然。
とんだプリンセス入門ですねえ?
2014/12/28 (Sun)
☆公爵夫人の贈り物
公爵夫人だった、ドクツルタケことイングリッドさんからの贈り物。
プリンセス入門で社交界デビューだと期待していれば、エライ代物で。
シロエ 「ひ、姫はじめ用ですか…」
ブルー 「喜んで頂けるといいのですが、と書いてあるよ」
??? 「もちろん、喜んで頂戴するよ!」
ぼくのだってね、とソルジャー(会話表記はAブルー)登場。
Aブルー「もしかしたら、と覗き見していた甲斐があったよ!」
キース 「タイミングよく湧きやがって!」
Aブルー「福の神様からのお歳暮と聞けば、気になるじゃないか!」
イングリッドさん、ソルジャーの中では福の神認定。
過去にトンデモグッズを集めた人は、お使いのメデタイ様だとか。
Aブルー「またメデタイ様が頑張ってくれたんだろうね、色々と!」
キース 「マツカ、メデタイ様とやらを左遷しろ!」
マツカ 「で、でも…。いくら父の会社の社員でもですね…」
シロエ 「そういう左遷はパワハラですよ、キース先輩」
キース 「くっそお…。実に迷惑な存在なんだが!」
あのバイク野郎、とブツブツブツ。
何かといえばバイクで走って集めてくるのがメデタイ様で。
キース 「ヤツさえいなけりゃ、俺たちはもっと平和にだな!」
ブルー 「それが…。今回、一名、増えたようだよ」
一同 「「「は?」」」
何が、と目を剥く御一同様。
シロエ 「何が一名増えたんです!?」
ブルー 「箱の中身を提供した人」
キース 「誰だ、そいつは!」
ブルー 「主人も楽しんで選んだそうです、と…」
一同 「「「ええっ!?」」」
公爵夫人のご主人とくれば公爵ですが。
何故に公爵がアイテム選びに参加するのか。
サム 「何か間違っていねえか、それ?」
ブルー 「イングリッドさんが喋ったようだよ、話のついでに」
キース 「なんでそうなる!」
Aブルー「そういえば、ご主人はゲイだと聞いたっけね!」
同好の士だ、と歓喜のソルジャー。
イングリッドさんのご主人までがグッズ選びを?
2014/12/29 (Mon)
☆新年フライング
ドクツルタケな公爵夫人からバカップルへの贈り物、姫はじめグッズ。
ご主人の公爵もアイテム選びをやっていたようで、ソルジャー、感激。
Aブルー「嬉しいねえ! ゲイな人のチョイスは期待出来そう!」
キース 「あんた、メデタイ様はどうした!」
Aブルー「メデタイ様も有難いけど、同好の士には敵わないよね!」
お正月早々楽しめそうだ、と例の箱をガッチリ確保しまして。
Aブルー「せっかくだから開けてもいいかな、このグッズ!」
ブルー 「それはいいから!」
Aブルー「でも、御礼状を書く都合もあるしさ…」
マツカが書くことになってたよね、と包装紙を剥がして箱をパカリと。
Aブルー「うわあ、これはとっても御利益ありそう!」
一同 「「「………」」」
Aブルー「お正月限定、開運招福の木の根まんじゅうだって!」
きっとメデタイ様からだ、と特大の箱にウキウキと。
木の根まんじゅう、御神体だというアレの形の木の根を象ったお饅頭。
Aブルー「なるほど、金箔を貼ってあるんだ! まさに金の色!」
ブルー 「もういいから!」
Aブルー「でもって、こっちが…。へええ、フライングでゲット!」
一同 「「「フライング?」」」
Aブルー「新年に売られるお守りとかをさ、フライングだって!」
福の神様の御利益で…、とお守り入りの箱を伏し拝むソルジャー。
Aブルー「福の神様の名前を出したら出来るらしいよ、フライング!」
キース 「そこまでなのか、ドクツルタケは!?」
マツカ 「有難がられるでしょうね、外国の名門貴族となれば」
一同 「「「うっわー…」」」
エライものに魅入られてしまった、と一同、真っ青。
ソルジャーの方は箱の中身をガサガサと。
Aブルー「ご主人のチョイスがこっちなんだね!」
ブルー 「開けなくていいから!」
Aブルー「当たり前だろ、夜を楽しむアイテムらしいし!」
ぼくのハーレイと二人で開ける、と満面の笑顔。
ゲイな公爵のチョイスも大概、迷惑そうな感じですねえ?
2014/12/30 (Tue)
☆除夜の鐘によろしく
姫はじめを頑張って下さいとばかりに、バカップル向けのグッズ色々。
イヤンな形のお饅頭やら、新年用のお守りやらと盛りだくさんで。
Aブルー「もう頑張るしかないってね! 姫はじめ!」
ブルー 「迷惑だからサッサと帰りたまえ!」
Aブルー「それはもちろん! ハーレイとじっくり中身も見たいし!」
ゲイな公爵のチョイスが楽しみ、とソルジャー、ウキウキ。
Aブルー「同好の士にしか分からないことって多いからねえ!」
ブルー 「知りたくもないし、興味も無いから!」
Aブルー「そうだろうねえ、君は除夜の鐘さえ頑張ってくれれば…」
それでオッケー、と親指をグッと。
Aブルー「いいかい、除夜の鐘で流れた煩悩が大事!」
シロエ 「何でしたっけ?」
キース 「馬鹿、訊くな!」
Aブルー「除夜の鐘で他の人が流した煩悩ゲットが姫はじめだよ!」
流れ流れて姫はじめの夜にゲットのチャンスが、と自説を展開。
Aブルー「ぼくのハーレイと一緒に励んでいればね、自動的にね…」
ブルー 「もういいから!」
Aブルー「今年は大いに御利益あったし、来年もね!」
沢山の煩悩をガッツリ掴んでイチャラブなのだ、と抱え込む箱。
Aブルー「それじゃこの箱、貰って行くから! 御礼状をよろしく!」
一同 「「「お、御礼状…」」」
Aブルー「末永くお付き合いしたいしね!」
イングリッドさんにくれぐれもよろしく、とパッと姿が消えまして。
キース 「…よろしくだと?」
サム 「ヤバイじゃねえかよ、縁を切っちまおうぜ!」
マツカ 「そ、それが…。父の会社の得意先で…」
シロエ 「切れないんですか、この御縁!?」
マツカ 「あちらが忘れて下さるまでは…」
一同 「「「うわー…」」」
愕然とする面々ですが。
キース 「そこで除夜の鐘だ! 御縁を流せ!」
ブルー 「それしかないねえ…」
心をこめて除夜の鐘を撞いて流したまえ、ということですが。
煩悩以外も流せるかどうか、本年これにて中継終了~。
2014/12/31 (Wed)