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シャングリラ学園つれづれ語り

☆今年もノルマが


さて、八月。キース君が本格的にお盆と戦うシーズンです。
未だに終わらない卒塔婆書きとやら、生徒会長の家で今日もグチグチ。

キース 「なんで今頃、俺のノルマが増えるんだ…!」
サム  「また親父さんかよ?」
キース 「他に誰がいると言うんだ、誰が!」

この俺に卒塔婆を書かせるヤツが、と副住職の大きな溜息。

キース 「よくも旅行に行きやがって! この忙しい時に!」
シロエ 「あれっ、お父さんならとうに帰っているじゃないですか」
スウェナ「旅行のお土産、貰ったわよねえ?」
マツカ 「ええ、ぼくたちにまでお菓子を頂きましたしね」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 美味しいゼリーだったよね!」

夏はゼリーが美味しいもんね、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。

ぶるぅ 「でもでも、ゼリーは重たいし…。感謝しなくちゃ!」
シロエ 「言われてみればそうですね…。あれはズシッと来ますよね」
ブルー 「アドス和尚も分かってるんだよ、付け届けの大切さを!」

ぼくの機嫌を取っておいたら何かとお得、と生徒会長。

ブルー 「そして君たちは、ぼくのおこぼれにあずかったわけで…」
キース 「そんな所だな、親父も「銀青様に」と言っていたし…」
シロエ 「やっぱり帰って来ていますよねえ? お父さんは」
キース 「帰ってはいるが、旅行疲れで筆が全く進まないそうだ」
シロエ 「夏バテですか?」

行き先、南国でしたもんねえ…、という見解ですけど。

キース 「違うな、単なるサボリと見た」
一同  「「「サボリ?」」」
キース 「俺でも充分書けるだろう、と毎日サボッてやがるんだ!」

そのツケが俺に回って来た、と愚痴モード。

キース 「既にお盆はリーチだと言うのに、この時期に!」
サム  「だったら、帰って書いた方がいいぜ」
ブルー 「そうだね、少しでも進めた方が…」
キース 「俺もストレスが溜まってしまって、限界なんだ!」

息抜きをしないとミスが増える、というのも事実。
でも書かないと減りませんよ?

2015/08/01 (Sat)

 

☆お盆が近いんです


毎年恒例、キース君のお盆の卒塔婆書き。
アドス和尚に押し付けられたとかで、まだ終わりそうにないらしく…。

キース 「此処で息抜きしてリフレッシュなんだ、そしてまた書く!」
サム  「でもよ、ほどほどにしておかねえと後がヤバイぜ」
ブルー 「ぼくも同感。早く帰って書いた方がいいと思うけど…」
シロエ 「そうですよ。此処も安住の地とは限りませんし」
一同  「「「は?」」」

どういう意味だ、と顔を見合わせる御一同様。

サム  「アドス和尚が殴り込んで来ることはねえと思うけど?」
スウェナ「誰の家だか分かってるんだし、来ないわよねえ?」
キース 「俺もそう思う。だからこそ此処でリフレッシュなわけで…」
シロエ 「忘れたんですか、お盆が近いんですが」
キース 「忘れるわけがないだろうが!」

そのお盆のせいで卒塔婆なんだ、と副住職、歯軋りせんばかり。

キース 「馬鹿にしているのか、俺のことを!」
シロエ 「いえ、そんなことは…。ただ、お盆には…」
サム  「俺とジョミーも棚経に出るけど、他にも何かあるのかよ?」
シロエ 「えーっと…。その棚経が問題で…」

あれは毎年やるものでは、という質問が。

シロエ 「ぼくの家には来ませんけれども、お仏壇があれば…」
マツカ 「基本は来ますね、まず間違いなく」
キース 「マツカが言うので合ってるが…。それがどうかしたか?」
シロエ 「初盆で終わりじゃないですよね?」
キース 「むしろ、その後が棚経の本来の姿なんだが?」

初盆は仏様の仲間入りをなさった年というだけのことだ、とキース君。

キース 「翌年からの供養が大事で、だから欠かさず棚経をだな…」
シロエ 「やっぱりそういうことですよね?」
キース 「いったい何が言いたいんだ!」
シロエ 「ですから、初盆の次の年だと…」
キース 「いつがだ?」
シロエ 「今年ですけど…」

あまり言いたくないんですけど、と口ごもっているシロエ君ですが。
初盆の次の年って、なに…?

2015/08/02 (Sun)

 

☆有り得ない初盆


今年は初盆の次の年だ、と面妖なことを言い出したシロエ君。
副住職なキース君の話によると、棚経は初盆の次の年からが肝心で…。

サム  「今年が初盆の次の年っていうのは何だよ?」
シロエ 「そのまんまですよ、去年が初盆だったんですよ!」
ジョミー「誰の初盆?」

お葬式の記憶も無いんだけれど、とジョミー君が首を捻っております。

ジョミー「お葬式が無ければ初盆も無いよね、どう考えても」
キース 「昨今は家族葬というのも多いが、初盆となれば…」
サム  「坊主の出番があったわけだぜ」
ジョミー「だよねえ、お葬式抜きで初盆は無いよね」
キース 「内輪でも確実にやった筈だぞ、初盆をするような家ならな」

葬式は抜きで初盆なんぞという例は知らん、と副住職。

キース 「葬式もしないで初盆だけを頼まれたなぞは聞かないが…」
ブルー 「有り得ないねえ、そういうことは」
シロエ 「…そうでしょうか?」
サム  「おいおい、まさかの葬式抜きかよ?」
シロエ 「ええ、お葬式は無かったですね」

誰も出ていませんからね、とシロエ君の断言。

シロエ 「初盆をやってた人にしたって、お葬式なんかしていません」
サム  「誰だよ、そんな罰当たりなヤツがいるのかよ?」
キース 「罰当たり以前に、何処の坊主が初盆をしたのか気になるが」

頼まれても引き受けようがないんだが、とブツブツと。

キース 「葬式が無くては、戒名からして貰えないからな」
ブルー 「戒名も無いのに初盆は無いねえ…」
サム  「坊主の方でもマジで困るぜ、そんな仏様」

棚経は戒名を読んでなんぼの世界だからよ、とサム君も。

サム  「お仏壇にある位牌を端から読むのが棚経だぜ?」
ジョミー「読み間違えたら大惨事だしね、アレ…」
キース 「その程度には理解していたか…」
ジョミー「毎年、毎年、付き合わされたら覚えるよ!」
キース 「…というわけなんだが?」

葬式抜きで初盆は無い、という指摘。
シロエ君の勘違いですか?

2015/08/03 (Mon) 

 

☆例外すぎる初盆


シロエ君曰く、今年は初盆の次の年に当たっているとか。
しかし初盆にはお葬式が前提、それをスルーして初盆だったという話。

キース 「分かるな、最初に戒名なんだ。それを貰って初盆になる」
ブルー 「生きてる間に貰う人もいるけど、そういう人はねえ…」
サム  「寺との付き合いが濃いわけだしよ、葬式抜きはまず無いぜ」
シロエ 「でもですね…。確かに去年が初盆なんですよ」
キース 「何処でそういう妙な話を聞いたんだ?」
シロエ 「…此処ですけど…」
一同  「「「はあ?」」」

シロエ君が言う所の妙な初盆。
噂を聞いた場所が此処だとなると…。

ジョミー「ひょっとして、火元はキースなわけ?」
シロエ 「そうなりますが…」
キース 「俺はそういう例外を扱った覚えは無いが!」

葬式もしなかった仏様の棚経はやっていない、とキッパリと。

キース 「第一、誰が戒名をつけたんだ! その仏様に!」
シロエ 「誰って、キース先輩ですけど?」
キース 「俺…?」

サーッと青ざめる副住職。

キース 「そ、そういえば…。去年、なりゆきでスッポンタケに…」
ブルー 「つけちゃってたねえ、景気よく」

院殿号まで奮発しちゃって、と生徒会長、呆れ顔。

ブルー 「君の一番弟子になったんだっけね、スッポンタケが」
キース 「…忘れていた…」

綺麗サッパリ忘れていた、とズズーン…と落ち込むキース君。

キース 「卒塔婆書きに追われて、あんなヤツのことは…」
サム  「それって願望も入っていねえか、忘れたいっていう」
キース 「かなりの割合で混じってそうだが、そうか、アレか…」

葬式なんぞは確かに無かった、とガックリと。

キース 「あの馬鹿がうるさく騒ぐから…」
シロエ 「まずはお葬式をしろ、と言えば諦めていたかもですね?」
スウェナ「それはあったかもしれないわねえ…」
サム  「でもよ、あいつなら葬式もよ…」

必要となったらやりかねないぜ、という指摘。
スッポンタケのお葬式を…?

2015/08/04 (Tue) 

 

☆お金ならあります


お葬式抜きでの初盆なるもの、実在した上に相手はスッポンタケ。
誰かさんに頼まれたキース君がやったというオチ、誰もが忘れたい話。

シロエ 「いくらなんでも、お葬式まではしないと思いますが」
ブルー 「お葬式は何かと物入りだしねえ…」
キース 「家族葬が増える理由もそいつだからな」
サム  「あいつ、金だけは充分あるじゃねえかよ」

エロドクターが山のように小遣いを…、という言葉に一同、ガクブル。

ジョミー「そ、そうだっけ…。お金だったら腐るほど…」
サム  「ドクツルタケには負けそうだけどよ、あっちは貴族だし」
スウェナ「貴族だと桁が違うわよね?」
マツカ 「お城は基本ですからね。領地も込みで」
キース 「働かなくても、賃料だけで食えるという話だしな…」
ブルー 「ノルディも流石にそこまではねえ…」

医者の仕事もたまにはしないと、と生徒会長。

ブルー 「まるで働かないっていうのは無理だね、ノルディの場合」
サム  「けどよ、葬式くらいは余裕で出せるぜ?」
キース 「その気になったら、璃慕恩院で出せそうではあるな」

一般人にはまず無理だが…、と副住職が言う総本山コース。

キース 「関係者以外は、とてつもない金がかかるしな」
シロエ 「どういう人がやるんですか、それは?」
ブルー 「大会社の社長とかだね、権力を誇示したいならね」
サム  「そのコースだと、戒名の方も院殿号になるのかよ?」
ブルー 「院殿号は厳しいねえ…。そう簡単には出さないからね」

それをスッポンタケに奮発したのが其処のキース、と指をビシッと。

ブルー 「その上、初盆になっちゃったしねえ…。情けないったら」
キース 「す、すまん…」
サム  「また来やがるんじゃねえか、棚経の方で」
シロエ 「そっちの方も心配ですけど、お葬式も心配です」
一同  「「「は?」」」
シロエ 「後付けでやるっていうのはありますか?」

初盆が先で…、と言ってますけど。
お葬式の後付けはあるんでしょうか?

2015/08/05 (Wed)

 

☆後付けは無い筈


誰かさんがスッポンタケの棚経にやって来るのでは、と気がかりな所。
そこへシロエ君が言い出したのが、お葬式の後付けなるもので。

サム  「葬式の後付けって、聞いたこともねえぜ」
ブルー 「生前葬なら、最近、流行っているけどねえ…」
シロエ 「やっぱり後付けは無いんですね?」
キース 「どういう意味で後付けと言っているのかは知らないが…」

あったとしても「偲ぶ会」だろう、と副住職。

キース 「そうでなければお別れの会だな、ホテルとかでな」
マツカ 「ええ、そういうのはたまにありますね」
スウェナ「宴会場を借りてやるのよね?」
マツカ 「ちょっとしたパーティー並みですよ」

軽食が出たりしますから、と御曹司ならではの体験談。

マツカ 「賑やかなのが好きだった方だと、もう完全に宴会ですし」
キース 「坊主も一緒に飲み食いらしいな、そいつだと」
シロエ 「アドス和尚も出たんですか?」
キース 「職業柄、そういうことも多いぞ」

しかし俺にはまだ早いらしい、とブツブツと。

キース 「美味しい話は必ず親父が持って行くんだ!」
ブルー 「そうだろうねえ、君には任せられないとか言って」

ありそうな話だ、と銀青様も頷いております。

ブルー 「でもまあ、とにかく後付けでお葬式っていうのは無いよ」
シロエ 「それなら一安心ですが…」
キース 「待て、後付けというのはスッポンタケか?」

スッポンタケの葬式のことか、とキース君の顔色がサーッと青く。

シロエ 「そうですけど…。お葬式をやっていませんから」
サム  「冗談じゃねえぜ、もう初盆も済んでるのによ!」
シロエ 「ですから、後付けは有り得るのかと…」

何かとうるさい人ですから、とシロエ君も背後を気にしつつ。

シロエ 「あの初盆は間違いだったということになれば…」
キース 「葬式をしろと言ってくるのか、後付けで!?」
一同  「「「うわー…」」」

愕然とする御一同様。
まさかの後付けはありそうですか…?

2015/08/06 (Thu)

 

☆繰り上げなコース


去年の八月、スッポンタケの初盆をやらされてしまったキース君。
しかし初盆には大前提としてお葬式が必須、初盆だけという例は無し。

シロエ 「お葬式の後付け、絶対に無いと言い切れますか…?」
キース 「少なくとも俺は聞いたこともないが!」
ブルー 「初盆までやってて、後からお葬式というのはねえ…」

色々な事情で遅れることはあるけれど…、と銀青様も悩んでおります。

ブルー 「そういう時でも、お盆までには滑り込むよね、普通はね」
キース 「でないと初盆が出来ないからな…」
シロエ 「お盆合わせは無いんでしょうか?」
一同  「「「お盆合わせ?」」」
シロエ 「えーっとですね…。遠方の親戚とかが来られないとか」

そういう事情でお盆休みにやるという例は…、という質問。

シロエ 「お葬式と初盆のセットものとか、そういうのですよ」
キース 「…俺は知らんが、あんたはどうだ?」
ブルー 「ぼくは住職をやってないしね、現場の事情はそんなには…」
シロエ 「それじゃ、あるかもしれないんですか?」
サム  「繰り上げ初七日とか、四十九日なら聞くけどよ…」
スウェナ「なんなのよ、それ」

いったい何を繰り上げるのよ、と首を傾げるスウェナちゃんですが。

ブルー 「そのまんまだよ、初七日とか四十九日とか」
キース 「シロエの言うヤツだ、親戚とかが遠い所に住んでる場合だ」
サム  「葬式が済んだら、続きに全部やっちまうんだよ」
キース 「普通は初七日くらいだが…。フルスピードだと四十九日だ」
マツカ 「待って下さい、四十九日だと忌明けですよ?」

お葬式の日に忌明けだなんて、とマツカ君の目が点ですけれど。

ブルー 「でも本当にあるんだよ、これが」
キース 「坊主の方でも、檀家さんの事情に合わせるものだしな…」
シロエ 「断ったりはしないんですか?」
キース 「四十九日の意味を話して説得はするが…」

まず無駄だな、とキッパリと。
お葬式の日に忌明け、マッハの速さでお浄土へ…?

2015/08/07 (Fri) 

 

☆お浄土行きの裏技


お葬式抜きで初盆をやったスッポンタケですけれど。
世の中には、お葬式の日に忌明けだという強烈なヤツがあるらしく…。

シロエ 「お葬式の日に忌明けだったら、仏様はどうなるんですか?」
キース 「そこが言い訳に苦しむ所だ、実を言えばな」
ブルー 「初七日くらいは、繰り上げても誤差の範囲で済むけどね…」

流石に忌明けというのはねえ…、と銀青様の深い溜息。

ブルー 「いろんな意味でね、お約束ってヤツがパアになるから」
一同  「「「お約束?」」」
ブルー 「四十九日ってヤツの意味だよ、忌明けは満中陰とも言って」
キース 「中陰の間はお浄土への旅をするものなんだ」

その期間が終わったという意味で満中陰だ、と副住職の解説。

キース 「旅の間は、色々な仏様が七日ずつ担当して下さるわけで…」
ブルー 「お葬式で即、忌明けになるとね…。その仏様も」
シロエ 「出番が無いってことですか?」
キース 「出番もそうだが、亡くなった方の仏様もだな…」

どんなヤツだということになる、と副住職。

キース 「旅もしないでお浄土に着くのは掟破りだ」
ブルー 「よっぽど偉い人ならともかく、普通人には出来ない技でさ」
スウェナ「ワープみたいなものかしら?」
ブルー 「そうなるねえ…。それもワープドライブ無しでね!」

出来る筈がないことが実現するのが、繰り上げ四十九日だとか。

ブルー 「お浄土へワープなんていうのは、普通はねえ…」
キース 「四十九日の間に修行を積んで、やっと入れるのがお浄土だ」
シロエ 「それじゃ、繰り上げたら修行は無しですか!」
ブルー 「そういうことだね、坊主の立場から言うならね」

いろんな意味で有り得ないのだ、と銀青様はブツブツと。

ブルー 「でも、頼まれたらやるしかないのが坊主なわけで…」
シロエ 「掟破りな技でもですね?」
キース 「坊主もプロには違いないしな」

裏技だと思って諦めている、という話ですけど。
お浄土へ行くのに裏技ですか…。

2015/08/08 (Sat) 

 

☆ワープ出来ます


お葬式の日に忌明けというヤツ、お浄土にワープだそうでございます。
四十九日もかかる修行をしないで、サクッと飛び込む凄すぎるコース。

シロエ 「その裏技って、ぼくなんかでも出来るんでしょうか?」
キース 「坊主だけにしか出来ない技だが?」

ついでに住職の資格が無いと、と副住職が指差す二人。

キース 「サムとジョミーも坊主ではあるが、無資格だからな」
ブルー 「お葬式をすることが出来ないわけだよ、そこの二人は」

裏技以前の問題だよね、と銀青様も。

ブルー 「だからシロエにも無理ってことだね」
キース 「住職の資格云々以前に、僧籍ですらもないからな」
シロエ 「いえ、ぼくが言うのはそうじゃなくって…」
キース 「何が言いたい?」
シロエ 「ぼくでもお浄土にワープ出来ますか、という意味です」

お葬式でそれをやって貰ったら、という質問。

シロエ 「キース先輩に裏技をかけて貰えば、ワープなんですか?」
キース 「…不本意ながら、そうなるな」
シロエ 「やっぱり、ぼくでも出来るんですか…」

裏技の凄さが分かりました、と頷いているシロエ君。

シロエ 「ぼくなんかでもワープだったら、修行も何も無いですね」
キース 「それで坊主が困っているんだ、いろんな意味で!」
スウェナ「法事が減ったら、当然、御布施も減るのよね?」
キース 「そっちはいいんだ、金銭的な問題は!」

寺の経営と仏の道とは別問題で…、と生真面目な答え。

キース 「困るポイントは修行抜きのお浄土ワープなんだ!」
ブルー 「お念仏を唱えたことが無い人もワープ出来るしねえ…」
シロエ 「ぼくでも出来るというんだったら、そうなりますね」

信心深い人が気の毒すぎます、とシロエ君まで深い溜息。

シロエ 「そんな御時世だと、何でもありってことですか…」
キース 「世知辛い話というヤツだ」
シロエ 「それじゃ、お葬式の後付けも…」

出来たりするんじゃないでしょうか、と青い顔。
もしや実現可能とか…?

2015/08/09 (Sun)

 

☆お盆に全力投球


お葬式の日に忌明けさえすれば、誰でも可能なお浄土へのワープ。
そんな裏技が可能だったら、出来そうなのがお葬式の後付けだそうで。

シロエ 「どうなんでしょうか、出来るんですか?」
キース 「やった例を俺は知らんと言ったが?」
ブルー 「ぼくも聞いてはいないけどねえ…」

この道に入って長いんだけどね、と銀青様にも分からない模様。

シロエ 「そうですか…。だったら不安が残りますね」
サム  「おいおい、例のスッポンタケかよ?」
シロエ 「初盆が完璧じゃなかったとなると、ヤバくないですか?」
一同  「「「うーん…」」」

どうなんだろう、と悩む御一同様。

ジョミー「出来るとしたらヤバイよねえ?」
スウェナ「そんなレベルじゃないわよ、これは!」
キース 「…頼まれないことを祈るのみだな、俺はただでも忙しい」
サム  「分かるぜ、卒塔婆書きがリーチらしいしよ」

この上、厄介なのは要らねえよな、とサム君も。

サム  「とにかく棚経は俺とジョミーも行ってやるから」
キース 「感謝する。卒塔婆はそれまでに仕上げないとな」

お盆に間に合わなかったらシャレにならない、とブツブツと。

キース 「帰って、書いて書きまくってくる」
ブルー 「その方がいいね、リーチだったら」
??? 「ちょっと待ったあ!」

急ぐんだけど、とソルジャー(会話表記はAブルー)出現。

Aブルー「話は全部聞いてたんだよ、スッポンタケのためにお願い!」
キース 「なんの話だ、俺は急いでいるんだが!」
Aブルー「お葬式だよ、後付けで!」

手違いがあっただなんて大変だから、と慌てるソルジャー。

Aブルー「今年も棚経を頼まなくちゃ、と思ってたのに…!」
キース 「悪いが、お盆が終わるまでは法事は受け付けていない」
Aブルー「法事じゃなくって、お葬式だってば!」
キース 「本当に必要なケース以外は、一切お断りなんだ!」

全力でお盆と棚経なんだ、と言ってますけど。
その言い訳で逃げ切れますか…?

2015/08/10 (Mon) 

 

☆お盆の前は駄目


スッポンタケのお葬式を後付けでお願い、と出て来たソルジャー。
断ると答えたキース君曰く、お盆が済むまで法事は受け付けない仕様。

キース 「あんたには悪いが、そういう仕組みだ。お盆までは!」
Aブルー「本当に駄目だと言うのかい?」

地獄の沙汰も金次第とか聞いたけれど、とソルジャーの反論。

Aブルー「お金だったらちゃんと出すから、スッポンタケのお葬式!」
キース 「金の問題じゃないんだ、これは。地獄の方の問題だな」
Aブルー「なんだい、その地獄の方っていうのはさ?」
キース 「文字通りに地獄だ、地獄の釜の蓋が開くのがお盆なんだ」

そして仏様がお帰りになる、とキース君。

キース 「お迎えするには卒塔婆が必須で、他にも色々忙しいんだ!」
Aブルー「だから、お金は出すってば!」
キース 「駄目なものは駄目だ、この時期は法事は断ってるんだ!」

どんなに偉い檀家さんでもこればっかりは…、と副住職はキッパリと。

キース 「法事をするなら早めが基本で、この時期の仏様は七月だ!」
Aブルー「それじゃ、スッポンタケのために出来るのは…」
キース 「棚経だけだな、ハッキリ言って!」
Aブルー「じゃあ、棚経はしてくれるんだ?」
キース 「うっ…!」

しまった、と顔に書いてありますが、既に手遅れ。

Aブルー「やったね、棚経の方をよろしく! 今年も此処で!」
ブルー 「…またなのかい?」
Aブルー「他にやらせてくれる所は無いしね…。残念ながら」
ブルー 「断ると言ったら、SD体制がどうこうと言うんだろう?」
Aブルー「決まってるじゃないか、実際、苦労してるんだしね!」

棚経くらいはさせてくれても…、と今年も決まってしまった棚経。

Aブルー「それとさ、棚経が終わってからでいいから…」
ブルー 「まだ何か?」
Aブルー「スッポンタケのお葬式もしたいんだけど!」
キース 「断固、断る!」

俺は棚経しかやらん、と帰ってしまった副住職。
とりあえず棚経はオッケーですね?

2015/08/11 (Tue)

 

☆まずは棚経から


スッポンタケのお葬式は断固断る、と帰ってしまったキース君ですが。
流れでウッカリ受けた棚経、今年も生徒会長の家でやるということに。

Aブルー「良かったよ、まずは棚経が大切だしね!」
ブルー 「…前提が思い切り、間違ってる仏様だけど?」
Aブルー「お葬式の件なら、いずれきちんと!」

キースに頼んでやって貰うから無問題! と恐ろしい返事。

Aブルー「どういう順番になっていようと、帳尻が合えばね!」
ブルー 「仏様に関しては、順番が大切なんだけど!」

色々な意味で、と生徒会長、柳眉を吊り上げております。

ブルー 「お葬式の後付けなんていう、とんでもないのは論外だよ!」
Aブルー「だけど、シロエでもお浄土にワープが可能なんだろ?」

スッポンタケはワープも抜きで旅立ったのだ、と独自の主張。

Aブルー「お葬式も四十九日とやらも、全くやってないからね!」
サム  「ワープまで省略しやがったのかよ!?」
Aブルー「そういうことだと思うけど?」

今はお浄土にいるようだし、とニコニコと。

Aブルー「つまりは偉大な仏様なんだよ、スッポンタケは!」
ブルー 「どう転んでもただのキノコだから!」
Aブルー「でも戒名は鯨並みだよ、間違いなく!」

桁外れの偉さに違いないのだ、と斜め上な方に解釈しているようで。

Aブルー「その偉い仏様の棚経なんだよ、そこをよろしく!」
シロエ 「…ぼくたちも出席するんですか?」
Aブルー「当たり前だよ、14日は朝イチで準備するから!」

朝の5時には集合だから、と決めてしまって…。

Aブルー「じゃあ、棚経の日は遅刻しないでよ?」
シロエ 「そんな命知らずはいませんよ!」
Aブルー「ありがとう! それじゃ、朝の5時!」

はい決定! と姿が消滅。

ブルー 「…決まっちゃったよ…」
シロエ 「そうみたいですね…」
サム  「俺は棚経組で良かったぜ…」

ジョミーと俺は棚経だから、と二名は逃走可能ですけど。
他の面子はアウトですね?

2015/08/12 (Wed)

 

☆朝早くから準備


今年も決まったスッポンタケの棚経、14日は朝の5時に集合。
眠い目を擦りつつ生徒会長の家に集まって来た、不幸な御一行ですが。

ぶるぅ 「かみお~ん♪ いらっしゃい!」
Aブルー「時間厳守で来てくれたんだね、嬉しいよ!」
シロエ 「…逆らったら命がありませんしね…」

始発のバスも無いので父に送って貰いました、とシロエ君。

シロエ 「スウェナ先輩も迎えに行ったんですよ」
スウェナ「ごめんなさいね、回って貰って」
シロエ 「いえ、ぼくか、マツカ先輩かが行くしか無いですから」

他の面子がいないだけに…、と見回す部屋にはいない顔が三つ。

マツカ 「サムとジョミーも棚経ですしね…」
スウェナ「今年はどっちがキースとセットになるのかしら?」
ブルー 「サムらしいねえ、ジョミーはアドス和尚とセットで」

アドス和尚はスクーターで走り、ジョミー君は自転車だとか。

シロエ 「それって酷くないですか? ジョミー先輩、半殺しですよ」
ブルー 「去年はサムがそのコースなんだよ、そしてその前は…」
一同  「「「その前は?」」」
ブルー 「キースがそれをやっていたねえ、副住職になるまでは!」

そしてキースは今も自転車、と生徒会長、気の毒そうに。

ブルー 「若い間はスクーター禁止がアドス和尚の方針だからさ」
シロエ 「そういえば、去年も自転車でしたね、キース先輩」
Aブルー「ジョミーとセットで走っていたね!」

それを瞬間移動で来て貰って、とニコニコと。

Aブルー「今年もそれだよ、祭壇が出来たら頃合いを見て!」
ぶるぅ 「んとんと、お膳も作るんだよね!」
Aブルー「うん、お願い! ぼくにはちょっと無理だから!」

精進料理のお膳なんて、と見事に丸投げ。

Aブルー「他のみんなは、お供え物を並べてくれるかな?」
一同  「「「はーい…」」」
Aブルー「でもって、主役の居場所が此処、と!」

リビングに据えられた机、ドンと置かれた白木の位牌。
キース君に書かせたみたいですね?

2015/08/13 (Thu) 

 

☆後回しは嫌な人


スッポンタケの棚経は14日。キース君とサム君が来る予定。
自転車で回る棚経の途中に、ソルジャーが瞬間移動で呼び出すわけで。

Aブルー「元老寺を6時に出発だからね、急いで準備しなくっちゃ!」
ブルー 「早い時間は無理だと思うよ、予定ビッシリで」
Aブルー「そうなのかい?」
ブルー 「檀家さんの方でも準備が要るから、行く方も時間厳守だよ」

でないと檀家さんにご迷惑が…、と生徒会長。

ブルー 「朝早く起きて準備をしたのに、来なかったら?」
シロエ 「それは確かに嫌ですね…」
マツカ 「普通に起きてる時間だったら、いいんでしょうけど…」
スウェナ「凄く早起きして待ってるのに、遅刻は困るわ」

5分くらいなら許せるけれど、とスウェナちゃんも。

スウェナ「6時すぎのつもりで待っていたのに、7時とかはね…」
シロエ 「1時間の遅刻は誤差とは言えませんからね…」
マツカ 「もう1時間遅く起きても間に合った、と思いますよね」
ブルー 「そこなんだよねえ、だから早いほど時間厳守で!」

遅刻したとしても5分が限界、と言われれば誰もが納得で。

ブルー 「スッポンタケなんかは後回しでかまわないんだよ!」
Aブルー「だけど、偉さは半端じゃないよ?」

お葬式も四十九日もしないでお浄土にワープだから、という主張。

Aブルー「出来るだけ早くやって欲しいね、棚経を!」
ぶるぅ 「お膳、出来たよーっ!」
Aブルー「ありがとう! これで準備はバッチリだし…」
ブルー 「まだキースたちの出番じゃないから!」

せめて9時過ぎまで待ちたまえ、と生徒会長、ソルジャーをギロリ。

ブルー 「棚経のスケジュールが狂っちゃったら大変だから!」
Aブルー「分かったよ…」

時間がズレてくるまで待つよ、と大人しくしていたソルジャーですが。

Aブルー「はい、ご到着~!」
ブルー 「もう呼んだのかい?」
キース 「強引にな!」

邪魔するぞ、と法衣のキース君とサム君登場。
自転車は玄関前らしいですよ?

2015/08/14 (Fri)

 

☆棚経はじめました


いよいよスッポンタケの棚経ですけど、当日はタイトなスケジュール。
棚経の遅刻は顰蹙らしくて、早い時間に来て貰うのは無理で…。

キース 「よくもこんなに早い時間に呼びやがったな!」
Aブルー「ブルーに言われて9時まで待ったよ、充分じゃないか!」

それに君のスケジュールにも少し遅れが…、という指摘。

Aブルー「遅れているから取り戻すぞ、ってサムに言ったよ!」
キース 「そ、それはそうだが…」
Aブルー「瞬間移動で時間短縮! 次の家まで一瞬で!」

遅れを取り戻して余裕も出来る、とソルジャー、胸を張りまして。

Aブルー「そんなわけだから、棚経よろしく!」
キース 「仕方ない…。おい、蝋燭と線香だ!」
サム  「はいっ!」

普段だったら「おう!」なサム君、今日は大真面目。
蝋燭に火を点け、お線香に移して準備完了。

キース 「では、始めるぞ」
Aブルー「あっ、今年もパワーアップでお願い!」
キース 「…パワーアップだと?」
Aブルー「スッポンタケのパワーが高まるようにというヤツだよ!」

去年もお願いした筈なんだ、とニコニコと。

Aブルー「何か唱えてくれてたと思うよ、他所より多めに!」
キース 「…アレか…。分かった、今年もつけておこう」

チーン…と鐘を鳴らした副住職。

Aブルー「ほらほら、みんなもちゃんと拝んで!」
一同  「「「はーい…」」」
キース 「のうまく さらば たたぎゃた ばろきてい…」

意味不明な呪文と、如何にも有難そうな所作。

Aブルー「効きそうだねえ…」
ブルー 「シーッ!」

読経中だ、と銀青様のお叱りが。

キース 「あらたんのう たらやぁや のうまく ありやみたばや…」
サム  「あみりた ぎゃらべい あみりた しっでい…」
キース 「しゃきしゃよう きゃれい そわか」
坊主二人「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏…」
キース 「もろもろのヘタレをすることなく…」

いきなり出て来たヘタレなる言葉。
これもお経の内ですか?

2015/08/15 (Sat)






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