☆夏休みにはコレ
さて、七月。夏休みが近いとあって、シャン学メンバーも喜ぶ季節。
出席義務さえ無い特別生だけに、定期試験も我関せずという世界で。
ジョミー「夏休みかぁ…。やっぱりマツカの別荘だよね!」
シロエ 「海の別荘も、山の別荘も外せませんよね!」
マツカ 「いつでも準備は出来ていますよ。でも、その前に…」
行事のある皆さんも多いのでは、と御曹司の問い。
マツカ 「柔道部は強化合宿ですし、ジョミーとサムは…」
スウェナ「そうだったわねえ、璃母恩院の修行体験ツアーよね!」
ブルー 「今年もきちんと申し込んだし、修行に励んでくれたまえ」
ジョミー「うえー…。アレって、基本は二泊三日なのに…」
なんで一週間になるわけ、とブツブツ文句を言っている人。
ジョミー「他の面子は帰って行くのに、ぼくとサムだけ居残りで…」
サム 「お前なあ…。特別待遇に感謝の気持ちはねえのかよ?」
キース 「そうだぞ、ブルーが頼んでくれるからこそだ」
老師に顔が利くからなんだぞ、と副住職も。
キース 「その辺の坊主が頼み込んでも、どうにも出来ん!」
ジョミー「ぼくは、そっちでかまわないから! 普通コースで!」
ブルー 「うーん…。だったら、元老寺から頼んで貰うかい?」
一同 「「「へ?」」」
アドス和尚の紹介になるのか、と誰もがビックリ。
シロエ 「そういうコースもアリなんですか?」
ブルー 「基本はお寺が申し込むんだし、もちろんアリだよ」
ジョミー「じゃあ、それで! それなら普通に行けるっぽいし!」
二泊三日で帰れるんだよね、と弾ける笑顔。
ジョミー「今年のは元老寺から行くよ! 楽そうだから!」
ブルー 「ふうん…? いいけど、キースもセットになるよ」
キース 「なるほどな…。俺が青年会から行けばいいんだな?」
ブルー 「話が早くて助かるよ。君なら任せて安心だしね!」
ジョミー「え、えっと…。青年会って…?」
なんでキースがセットなわけ、と質問が。
どうしてでしょうね…?
2017/07/01 (Sat)
☆個人的に指導
夏休みを控えたシャン学メンバー、海へ山へと計画満載ですけれど。
その前にあるのが柔道部の合宿、ついでに璃母恩院の修行体験も。
ジョミー「キースが来るって、どういう意味? 青年会って?」
キース 「俺の宗派の青年会だが…。若手の坊主が入るヤツだな」
ブルー 「修行体験ツアーの時には、お手伝いにも行くんだよ」
お盆を控えて忙しい時期だし、暇な人たちに限定だけど、と銀青様。
ブルー 「卒塔婆書きはプリンターにお任せだとか、そんな感じで」
シロエ 「キース先輩の家は手書きじゃなかったですか?」
キース 「そうなんだが…。璃母恩院の手伝いをするとなったら…」
留守の間のノルマは親父がこなすだろうな、と立てる親指。
キース 「手伝いに行くのは名誉なことだし、親父も喜ぶ」
ジョミー「ちょ、ちょっと…! それでキースが来ちゃったら…」
ぼくの立場はどうなるわけ、と慌てる人。
ジョミー「アドス和尚の紹介で行くなら、二泊三日で済む筈だけど」
キース 「ああ。そこは間違いないんだが…。個人指導だな」
ジョミー「個人指導?」
キース 「紹介した親父の名誉にかけて、俺がビシバシ!」
修行の基本を叩き込むのだ、とニンマリと。
キース 「特別メニューを組み込んでやろう。こう、色々と」
ジョミー「それって食事のことじゃないよね、メニューって…?」
キース 「食事は全員共通だからな。修行の方のオプションだ」
青年会のヤツらと楽しく相談しよう、と酷薄な笑み。
キース 「俺たちが道場でやられたシゴキを、特別に!」
ジョミー「シゴキ?」
キース 「住職の資格を取る道場は、鬼の厳しさで有名だからな」
誰だって他人にやってみたいものだ、と恐ろしい台詞。
キース 「だが、道場の指導係をするには、まだ経験が…」
シロエ 「足りていないというわけですか?」
キース 「そういうことだ。絶好のチャンス到来だな!」
俺の同期にも声を掛けないと、嬉しそうな顔。
ジョミー君、ピンチ…?
2017/07/02 (Sun)
☆シゴキをするなら
夏休みが間近に迫ったシーズン、心が浮き立つシャン学メンバー。
海へ山へとお出掛けですけど、その前に合宿やら修行体験なんかも。
ジョミー「き、キースと、キースの同期って…。それが来るわけ?」
キース 「ああ。修行体験ツアーでボランティアだな」
サム 「マジかよ、そういや毎年、若い坊主がいるけどよ…」
あれは璃母恩院の坊主なんじゃあ…、という質問。
サム 「寺の説明とかも詳しいから、そうだとばかり…」
キース 「もちろん、そういうヤツらもいる。だが、青年会も…」
夏休みの前に募集してるぞ、と副住職。
キース 「璃母恩院の坊主だけでは、人員不足に陥るからな」
ジョミー「そ、それでキースが申し込むわけ!?」
キース 「喜ばれるだろうな、今の時期から新規が増えたら」
ギリギリの人数で回しているだけに…、とニヤニヤと。
キース 「一気に五人ほど増やしてやろうか? 俺と同期とで」
ジョミー「ご、五人…?」
キース 「暇にしているヤツも多いし、もっと来るかもな」
シゴキをやっていいんなら、と冷たい笑み。
キース 「俺たちのキャリアじゃ、まだまだシゴキは…」
ブルー 「出来ないだろうねえ、修行道場は任せて貰えないし」
キース 「あっちはプロ中のプロが仕事をする場所だしな…」
未来の住職を育てるだけに、とフウと溜息。
キース 「ボランティアとして登録したって、下働きだ」
シロエ 「そういう世界なんですか?」
キース 「坊主の世界は、基本が年功序列だからな!」
どんなにデキる坊主であっても、縛りが多い、と顰める顔。
キース 「紫の衣を着てもいいのは四十歳とか、そういうのだな」
サム 「あー…。あったっけな」
そんな縛りも、とサム君も。
サム 「それで修行道場の手伝いは無理、と…」
キース 「下働きなら出来るんだが…。シゴキは無理だ」
ジョミー「シゴキに来るって!?」
修行道場の代わりにシゴキなのか、とガクガクブルブル。
さて、どうなる…?
2017/07/03 (Mon)
☆シゴキのチャンス
夏休みが来たら海へ山へと、お出掛けするのがシャン学メンバー。
その前にあるのが修行体験ツアーで、ジョミー君とサム君だけ参加。
ジョミー「しゅ、修行道場並みのシゴキをする気…?」
キース 「当然だろうが! そのためにタダで働くんだしな!」
サム 「ボランティアは完全にタダ働きかよ?」
キース 「そうなるが? 璃母恩院のお役に立てる名誉な機会だ」
タダ飯を食わせて貰えるだけでも充分だろう、という返事。
キース 「総本山で毎日お勤めが出来て、寝泊まり出来る名誉職だ」
ブルー 「坊主の間じゃ、もう最高の待遇だからねえ…」
タダ働きでも、璃母恩院で暮らせるのなら、と伝説の高僧、銀青様。
ブルー 「たったの二泊三日だけでも、気分はお浄土体験かな」
サム 「あー…。宗祖様のお膝元だもんなあ、御廟もあるしよ」
ブルー 「そういうこと! 功徳を積めるいいチャンスだよね」
誰でも暇なら行きたがるよ、とニコニコと。
ブルー 「おまけに公認でシゴキをやってもいいとなるとね!」
ジョミー「そのシゴキって…。どんなヤツなわけ?」
キース 「修行道場と同じだと思え! 失敗したら罰礼だな!」
ジョミー「罰礼?」
もしかして、キースがやってるヤツ、と青ざめているジョミー君。
ジョミー「お念仏に合わせて五体投地の、アレのこと…?」
キース 「他にどういう罰礼がある?」
失敗した時は、アレを三百回が修行道場だ、とキッパリと。
キース 「素人さんは百回で膝が笑うが、修行道場はプロが相手だ」
ジョミー「ぼ、ぼくはプロとかじゃないんだけど…!」
キース 「銀青様の紹介を蹴るようなヤツは、セミプロだろうが!」
それに相応しく扱ってやる、と惨い台詞が。
キース 「ウチの寺からの紹介なんだし、どうとでも出来る!」
サム 「犠牲者はジョミーだけだよな?」
キース 「もちろん、他は対象外に決まっている!」
性根を叩き直すだけだ、と言ってますけど。
犠牲者は一人だけですか…。
2017/07/04 (Tue)
☆行くなら一人で
じきに夏休みが来るんですけど、ジョミー君には修行体験ツアーも。
期間短縮を希望というので、元老寺からの紹介で出掛ける話が。
ジョミー「な、なんで、ぼくだけシゴキになるわけ? サムは?」
キース 「サムはお前の巻き添えなだけで、模範生だからな!」
サム 「その話だけどよ…。俺は別行動でもいいんじゃねえかと」
キース 「別行動だと?」
どういう意味だ、とキース君、怪訝そうな顔。
キース 「別行動で何をするんだ、班分けを別にしろってか?」
サム 「そうじゃなくてよ…。せっかくブルーの紹介なんだし…」
俺は普通に行きてえんだけど、という申し出。
サム 「いつもと同じで、一週間で。その方が勉強になるからよ」
ブルー 「なるほどねえ…。流石はサムだよ、いい心がけだよね」
キース 「ふむ…。だったらサムはジョミーと完全に別行動だな?」
サム 「ブルーが紹介してくれるんなら、喜んで行くぜ!」
ぼっち参加でも辛くねえし、と殊勝な人。
サム 「何処かでジョミーと期間が重なるだろうけど…」
キース 「心配するな。馬鹿とは班を分けてやるから」
その辺の仕切りも、俺たちボランティアの仕事だ、とキッパリと。
キース 「サムは真面目な寺の跡継ぎと一緒でいいよな」
サム 「マジかよ、ジョミーと分けてくれるのかよ!?」
キース 「馬鹿に合わせる必要は無いし、大いに修行に励んでくれ」
その間に俺はジョミーの性根を叩き直す、と燃えている人。
キース 「帰ったら早速、親父に頼んでツアーを申し込ませよう」
ジョミー「ま、待ってよ、本気でキースが来るって!?」
キース 「俺だけじゃないぞ、道場仲間も呼んでやるから」
何人くらい集まるだろう、と追ってゆく指。
キース 「確実に暇にしているヤツは、と…」
シロエ 「卒塔婆プリンターのお寺の人ですか?」
キース 「気ままに旅をしてるのもいるぞ」
住職になったら自由が無いし、と今の間に旅だとか。
お寺は無休ですもんね…。
2017/07/05 (Wed)
☆ブラックな感じ
夏休み恒例の行事になっているのが、璃母恩院での修行体験ツアー。
参加者はサム君とジョミー君のみ、嫌がるジョミー君ですけれど。
キース 「住職は年中無休な上に、忙しい時は半端ないからな…」
サム 「あー…。午前も葬式、午後も葬式とかいうヤツな…」
キース 「それに加えて、枕経が入る日だってあるぞ」
シロエ 「枕経だと、下手をしたら夜はお通夜じゃないですか!」
亡くなった仏様を拝みに行くのが枕経ですよね、とシロエ君。
シロエ 「待ったなしだと聞いてますけど、お葬式の合間にも…?」
キース 「行ける時間が取れるようなら、もちろんだ!」
一同 「「「うわー…」」」
一日の間に葬儀が二つと、枕経でお通夜な激しすぎるコンボ。
シロエ 「下手なブラック企業よりもハードじゃないですか?」
マツカ 「どうなんでしょう? 暇な時は暇なのがお寺ですしね」
キース 「それはそうだが、テンパった時はブラックすぎだ!」
それで霊場会を脱退した寺があるほどだ、と妙な台詞が。
一同 「「「霊場会?」」」
キース 「ソレイド八十八ヶ所の寺だ、それの一つが抜けたんだ!」
一同 「「「ええっ!?」」」
揃ってこその八十八ヶ所、一つが抜けたら大変な感じ。
サム 「許されるのかよ、抜けるなんてよ…」
キース 「住職が過労死しそうになったというのが理由らしいが」
ブルー 「あそこは年中無休に加えて、御朱印も出すしね…」
普通のお寺よりも業務が多くて、と銀青様。
ブルー 「それで儲けが出ないとなったら、抜けたくもなるよ」
スウェナ「だったら、八十七ヶ所になったのかしら?」
一つ抜けたら八十七よね、と質問が。
スウェナ「御利益が減っていそうだけれど…」
キース 「今も御朱印は受け付けている。開門時間が違うだけでな」
ブルー 「遅めに開けて、早く閉めるんだよ」
キース 「寺のキツさが分かったか?」
若い間に遊んでおくヤツがいる理由も、と。
そういう人たちを呼ぶんですね…?
2017/07/06 (Thu)
☆やりたいシゴキ
今や夏休みの恒例行事な、ジョミー君たちの璃母恩院での修行体験。
今年は二泊三日にしたいという声、其処から話は酷い方へと。
キース 「若い間は遊ぶヤツでも、道場の厳しさは覚えているし…」
シロエ 「それを誰かにやってみたいというわけですね?」
キース 「そんな所だ。ジョミーが相手なら、何でも出来るぞ」
ただの修行体験ツアーの面子じゃないし、とニンマリと。
キース 「ウチの寺からの紹介な上に、修行体験ツアーの常連だ」
サム 「俺と一緒に、毎年行っているもんなあ…」
ブルー 「老師にも顔が売れているしね、ぼくの弟子だから」
大いにシゴキをするといい、と生徒会長もシゴキをプッシュ。
ブルー 「老師公認でシゴキが出来るよ、ぼくが伝えておくからね」
キース 「本当か? ビシバシとやっていいんだな?」
ブルー 「うん。いつか修行道場で指導をする日に備えて!」
腕を磨いておきたまえ、と伝説の高僧、銀青様。
ブルー 「君の知り合いも大勢呼んで、厳しくやってくれればね!」
キース 「有難い。皆、腕が鳴ることだろう」
ジョミー「待ってよ、それをぼくだけが? 他の人たちは?」
本当に除外されるわけ、とガクガクブルブル。
ジョミー「ぼく一人だけが五体投地を三百回とか、そういう修行?」
キース 「そうなるな。ウチの寺からの参加とはいえ…」
ブルー 「一般人とは別扱いでいいと思うよ、ジョミーのためにも」
立派な坊主を目指すためには、いい勉強になるだろう、との仰せ。
ブルー 「高校生で本格的な修行をするのは、まず無理だしね」
ジョミー「修行じゃなくって、シゴキだってば!」
キース 「やかましい! シゴキも修行の内なんだ!」
シゴキは修行の華なんだぞ、と握り締める拳。
キース 「キツいシゴキに耐えてなんぼの世界だからな!」
ブルー 「そうだよ、頑張ってくるんだね!」
ジョミー「そ、そんな…!」
シゴキなんかは求めていない、と真っ青な顔。
さて、どうなる…?
2017/07/07 (Fri)
☆中身が濃ければ
夏休みの恒例行事になっているのが、璃母恩院での修行体験ツアー。
参加するのはジョミー君とサム君だけでも、すっかり名物でして。
ジョミー「元老寺からの紹介で行くと、キースがシゴキを…!?」
キース 「当然だろうが! ウチの寺のメンツもあるからな!」
サム 「あー…。ヘボいのを紹介したらマズイよな、うん」
ブルー 「もっと早い時期だったら、特に問題ないんだけどね…」
今だと申し込みの期限を過ぎているから、と伝説の高僧、銀青様。
ブルー 「特別枠での参加になると、お寺の子弟に限られるかな」
キース 「其処を特別に入れてやるんだ、有難く思え!」
ジョミー「その話は聞いていないから!」
普通に行けると思ってたから、と懸命な逃げ。
ジョミー「アドス和尚の弟子じゃないしさ、息子でもないし!」
キース 「その辺は、親父がどうとでもする!」
ブルー 「住み込みで修行を志願中とか、理由は色々つけられるよ」
シロエ 「いいですね! キース先輩の家の見習いですか…」
昔だったら書生でしょうか、とシロエ君も楽しそうな顔。
シロエ 「ジョミー先輩、修行のチャンスです! 此処で一気に!」
マツカ 「二泊三日でも中身が濃ければ、最高の修行になりますよ」
スウェナ「いつも窶れて帰ってくるけど、今年も期待できそうね」
キース 「多分、雑巾並みだと思うぞ」
見る影もなくズタボロになるであろう、という予言。
キース 「俺も今から楽しみだ。ジョミーを雑巾にするのがな!」
シロエ 「キース先輩のシゴキは激しそうですからねえ…」
ブルー 「アドス和尚が半端ないから、キースも半端ないってば」
身内には容赦しない筈だ、と生徒会長、断言。
ブルー 「まあ、頑張ってくるんだね。二泊三日で」
ジョミー「生きて帰れそうにないんだけど…!」
キース 「そう悲観するな」
ブルー 「うん。死んだら、お浄土直行便だよ」
宗祖様のお膝元だしね、と言ってますけど。
お浄土直行便でいいんですか…?
2017/07/08 (Sat)
☆破門して欲しい
今や夏休みの恒例行事な、璃母恩院での修行体験ツアーなるもの。
一週間はキツすぎる、と二泊三日を希望したのがジョミー君で…。
ジョミー「お浄土直行便なんて…! それって本末転倒だから!」
キース 「どの辺がだ? お前も坊主の端くれだろうが!」
ジョミー「なりたくてなったわけじゃないから、ぼくの場合は!」
全部ブルーにはめられたんだ、と喚く人。
ジョミー「勝手に坊主の名前までつけて、弟子にしちゃって…」
サム 「有難い話だと思うぜ、俺は。銀青様の直弟子なんてよ」
ブルー 「そうだよ、ぼくは弟子なんかは取らない主義で…」
君とサムとは特別なのだ、と恩着せがましい物言いが。
ブルー 「それに文句をつけるなんてね、どうかと思うよ」
ジョミー「だったら破門でかまわないから! ぼくなら出来るし!」
一同 「「「破門?」」」
ジョミー「そう! ブルーが破門と言ったら破門で、坊主卒業!」
僧籍剥奪でいいと思う、と罰当たりな台詞。
ジョミー「どうせ立派な名前でもないし、破門は簡単だと思う!」
シロエ 「あのぅ…。立派な名前って、アレのことですか?」
あまり言いたくないんですけど、とシロエ君。
シロエ 「キース先輩が弟子にしちゃって、破門出来ないアレ…」
ジョミー「うん! あっちは凄い名前だけどさ…」
ぼくのは普通、と比べているのがスッポンタケの戒名で。
ジョミー「ぼくを破門にするくらいなら、楽勝だよね?」
ブルー 「理屈の上ではそうだけど…。決めるのは、ぼく!」
大事な愛弟子を破門するなど、とんでもない、と銀青様。
ブルー 「スッポンタケなら、容赦なく破門するけどね!」
サム 「破門って…。出来るのかよ!?」
院殿号の仏様だぜ、と慌てるサム君。
サム 「破門できねえから、キースの弟子のままで…」
ブルー 「キースの修行が足りないからだよ!」
一同 「「「え?」」」
もしかして破門は可能なのか、と一同、仰天。
破門、オッケーだと…?
2017/07/09 (Sun)
☆破門できない人
夏休みになれば恒例行事な、璃母恩院での有難い修行体験ツアー。
今年は二泊三日にしたい、とジョミー君が文句をつけましたけど。
シロエ 「す、スッポンタケの破門は可能なんですか?」
サム 「キースじゃ駄目でも、ブルーだったら出来るのかよ?」
ブルー 「そりゃねえ…。ダテに修行は積んでいないよ」
銀青の名前もダテじゃないし、とニンマリしている伝説の高僧。
ブルー 「こっちの方が偉いんだからさ、破門は楽勝!」
ジョミー「で、でも…。ブルーの名前って、銀青だよね?」
ブルー 「そうだけど?」
ジョミー「院殿号なんか、何処にもついていないっぽいし…」
どの辺がアレより偉いわけ、と比較対象はスッポンタケの戒名。
ジョミー「倫王院殿法界善根大居士だよね…?」
シロエ 「覚えたんですか、ジョミー先輩!?」
ジョミー「あれだけ連呼されちゃったらさ…。嫌でも頭に…」
グイグイ入って来ちゃうんだよね、と嘆き節。
ジョミー「ブルーは大居士もついていないし、ただの銀青だし…」
ブルー 「甘いね、フルネームはもっと長いから!」
一同 「「「へ?」」」
ブルー 「修行を積んだ度合に応じて、字が増えるんだよ!」
それに必須の道場もある、とキッパリと。
ブルー 「住職の資格が全てじゃないから、もう一段階!」
スウェナ「それって、キースも受けなきゃ駄目なのかしら?」
ブルー 「いずれはね!」
璃母恩院に籠って修行するのだ、という住職向けの道場。
ブルー 「これがキツくて、先延ばしにする人も多くてねえ…」
サム 「キースは受けていねえんだな?」
キース 「あ、ああ…」
日にちが上手く合わなくて、と悪い顔色。
キース 「副住職なら、まだ要らないかと…」
ブルー 「これだから、スッポンタケも破門出来ないってね!」
シロエ 「修行不足が原因ですか…」
ブルー 「そう! ぼくなら破門可能だよ!」
だけどジョミーは破門しない、と話はループ。
ジョミー君、どうなるんでしょう?
2017/07/10 (Mon)
☆逃げたいシゴキ
今や夏休みの恒例行事な、璃母恩院での一週間の修行体験ツアー。
二泊三日にしたいジョミー君、自らドツボにはまった感が満載で。
ブルー 「ジョミーも修行を積まないと…。二泊三日でもね!」
キース 「任せておけ。住職としての修行は足りんが」
シロエ 「スッポンタケは破門できなくても、シゴキですね?」
修行道場の体験に基づくキツイのですね、とシロエ君。
シロエ 「そっちで先輩も徳を積んで下さい! 将来に向けて!」
マツカ 「そうですよね…。スッポンタケを破門できるくらいに」
スウェナ「日々の積み重ねが大切だものね、お坊さんの修行は」
頑張って偉くなってちょうだい、とスウェナちゃんも。
スウェナ「つまりジョミーは人柱ね! 今年の修行体験ツアー!」
サム 「だよなあ、それでキースの覚えがめでたくなったらよ」
ブルー 「なると思うよ、老師も喜ぶだろうから」
今の時期からプロの坊主の手伝いがドンと増えるんだから、と。
ブルー 「たったの二泊三日間でも、璃母恩院には有難いしね」
キース 「ああ。頑張って人を集めよう」
では早速…、と取り出すスマホ。
キース 「最近は便利になったからなぁ、まずはLINEで」
ジョミー「ちょ、LINEって!?」
キース 「同期の坊主のLINEがあるんだ、さてと…」
ジョミー「そんな連絡、要らないから!」
LINEを見た人も既読スルーでいいから、と大慌て。
ジョミー「二泊三日のコースで行ったら、殺されそうだよ!」
サム 「でもよ…。お前が自分で決めたんじゃねえか」
ジョミー「い、一週間の方でいいから!」
今年も普通にサムと行くんだ、と必死の逃げ。
ジョミー「そっちの方が、まだマシだから!」
ブルー 「ふうん? 散々、文句を言ってたくせに」
ジョミー「死んだら元も子も無いし!」
キース 「つまらんな…。せっかくのチャンスだったのに…」
来年以降に期待するか、と残念そうな副住職。
シゴキはお預け、今年も普通の夏休み…。
2017/07/11 (Tue)
☆お盆が近いです
夏休みと言えば恒例行事な、璃母恩院の修行体験ツアーなるもの。
ジョミー君も結局、一週間コースで出掛けることになりまして…。
ジョミー「し、死んだ…。今年も一週間、キツかったよ…」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ おかえりなさい、修行、お疲れ様ぁ!」
ブルー 「お疲れ様。まあ、キースにシゴキをされるよりはね?」
サム 「遥かにマシってモンだと思うぜ、一週間でもよ」
麦飯ばかりの飯の日々でも、とサム君の方はケロリとした顔。
サム 「ジョミーも早く慣れねえと…。じきにお盆だぜ?」
シロエ 「そうでした…。来月は棚経なんですよね」
ジョミー「忘れてた…。やっぱりキースとセットなのかな?」
サム 「アドス和尚の方がいいなら、代わってやるぜ?」
キース以上にキツイけどな、とニヤニヤニヤ。
サム 「あっちはスクーターだしよ…。キースと違って」
スウェナ「そうらしいわよね、それを自転車で追うんでしょ?」
シロエ 「サム先輩、体力が半端ないですよね…」
マツカ 「ただでも夏の一番暑い時期なのに、凄いですよ…」
朝の間は涼しいでしょうが、と御曹司。
マツカ 「じきに猛暑で、炎天下を走るわけですからね…」
サム 「それで良ければ俺と代われよ。そっちの方がよ…」
スッポンタケとの縁が切れるしな、とチラつかせる餌。
サム 「キースのお供で回る限りは、アレの棚経だぜ?」
ジョミー「うーん…。それも嫌だけど、アドス和尚もキツそう…」
キース 「当然だろうが、俺の親父を舐めるなよ?」
怒らせたらタダでは済まないからな、と副住職。
キース 「そうでなくても、お盆の頃には既に瞬間湯沸かし器だ」
一同 「「「へ?」」」
何故に瞬間湯沸かし器、と首を傾げる御一同様。
シロエ 「暑さでイライラしてるんですか?」
キース 「馬鹿野郎! 墓回向に加えて卒塔婆書きだぞ、お盆は」
一同 「「「あー…」」」
ソレがあった、と誰もが納得。
お盆の前には卒塔婆を書くんですよね…。
2017/07/12 (Wed)
☆卒塔婆書きの季節
夏休みに入ると近付くのがお盆、お坊さんにはハードなシーズン。
山と積まれた卒塔婆と格闘、来る日も来る日も卒塔婆書きで…。
シロエ 「今年のノルマも半端ないんですか、キース先輩?」
キース 「親父と分担してはいるがだ、凄い数だぞ」
仏具屋から届いた包みを見ただけで気が遠くなる、とブツブツと。
キース 「五十枚セットとかの束がだ、こうドッカンと…」
サム 「庫裏に積まれているのかよ?」
キース 「そんな所だ。書くぞ、と気合は入るんだがな…」
それと現実は別物だよな、と仰ぐ天井。
キース 「今日はこれだけ、と決めていたって、進まんし…」
ブルー 「集中力が足りていないんだと思うけれどね?」
キース 「クソ暑いのにエアコン無しだぞ、それだけでキツイ!」
おまけに昼間はセミが鳴くし、と嘆く環境。
キース 「風鈴の音もかき消されるんだ、セミの大合唱で!」
ぶるぅ 「えとえと…。だったら、ここで書けば?」
シロエ 「ですよね、ぶるぅの言う通りです」
マツカ 「和室で書いたらいいと思いますが…」
阿弥陀様のお厨子もありますよ、とマツカ君。
マツカ 「お香でも焚けば、いい環境になりそうですけど」
キース 「そうは思うが、それに馴染んだら後が地獄だ!」
夜だって卒塔婆書きなんだ、と呻くほど凄いのがノルマ。
キース 「何処の寺でも、今は地獄だ。ツイッターで分かるぞ」
一同 「「「へ?」」」
キース 「#坊さんあるある2017盆、でヒットする筈だ」
あちこちの寺の坊主が呟くからな、とハッシュタグの話。
キース 「早い寺だと、先月の末から呟き始める」
サム 「お盆の時期の関係じゃねえの?」
七月にお盆の地域もあるだろ、と言ってますけど。
キース 「甘いな、八月のお盆に備えてだ!」
シロエ 「六月の末から卒塔婆書きですか?」
キース 「今年も来ました、という感じだな…」
今年はこれだけ書くんです、と卒塔婆の写真をUPするとか。
大変そうですね…?
2017/07/13 (Thu)
☆卒塔婆書きの実態
夏休みとセットでやって来るのが、お坊さんにはハードなお盆。
卒塔婆書きから始まるわけで、キース君は今年も既に戦いの日々。
キース 「卒塔婆プリンターが完備の寺なら、楽なんだが…」
サム 「あー…。親父さんだと、ソレ、絶対に入れねえよな?」
ジョミー「頑固だもんねえ、アドス和尚は…」
キース 「卒塔婆プリンターどころか、電動卒塔婆削り器もだ…」
ウチの寺ではアウトだからな、と垂れている文句。
スウェナ「だけど、家にはあるんでしょ? 電動の卒塔婆削り器」
マツカ 「前に使って、バレたと言ってませんでしたか?」
キース 「あるにはあるが、アレは親父の私物に近い!」
親父は使えても、俺は使わせて貰えないから、と深い溜息。
キース 「なんだかんだで親父の方が、卒塔婆の数は多いしな…」
一同 「「「ええっ!?」」」
まさか、と一同、ビックリ仰天。
サム 「マジかよ、なんで親父さんの方が多いんだよ!?」
ジョミー「絶対、キースに丸投げなんだと思ってたけど…!」
キース 「よく考えろよ、あの親父だぞ?」
俺なんかに借りを作るもんか、と顰める顔。
キース 「自分が優位に立ってなんぼだ、卒塔婆書きもな!」
シロエ 「でも…。先輩に押し付けている印象が…」
スウェナ「そうよね、いきなり追加で五十本とか普通でしょ?」
マツカ 「ノルマが増えたと、毎年、聞いている気がしますが…」
アドス和尚がサボッた分で、との指摘ですけど。
キース 「それでも親父の方が遥かに多いんだ! 元の数がな!」
サム 「うーん…。つまりは頭が上がらねえのな?」
どんなにハードな卒塔婆書きでも、とサム君、気の毒そうに。
サム 「エアコン禁止で、電動卒塔婆削り器も禁止でもよ…」
キース 「そうなるな。親父はエアコンを使っているが…」
シロエ 「沢山書くんじゃ、仕方ないですね…」
キース 「要は効率だからな!」
山ほど書くなら、いい環境が必要だとか。
確かに効率優先ですよね…。
2017/07/14 (Fri)
☆お盆休みは無いです
夏休みと言えば来るのがお盆で、お坊さんにはハードなシーズン。
懸命に卒塔婆を書くわけですけど、キース君より凄いアドス和尚。
キース 「正直、親父と同じだけ書くとなったらキツイぞ」
シロエ 「そんなに沢山あるんですか? 卒塔婆」
キース 「もう数えたくもない感じだな。何処の寺もだが」
「#坊さんあるある2017盆」で検索してくれ、と副住職。
キース 「あちこちの坊主が呟く季節だ、卒塔婆の山の写真もな」
サム 「うへえ…。写真付きかよ?」
キース 「これだけ書いた、と書き上げた山と、真っ白なのと…」
対比を見せているヤツもいる、と現場で暮らす人の証言。
キース 「そうかと思えば、掛け声しか上げないヤツとかな」
一同 「「「掛け声?」」」
キース 「自分に発破をかけると言うか…。さあやるぞ、と」
「今すぐやるぞ」とか「今日こそ書く」とか、それのリピート。
キース 「でもって、真面目に詰んで来るとだ…。もう悲鳴だな」
サム 「人生終わったとか、そんなのかよ?」
キース 「お盆休みを取ってみたいとか、現実逃避に走るんだ」
一同 「「「お盆休み…」」」
それは無理では、と誰もが承知な、お寺の事情。
シロエ 「どう転がっても休めませんよね、お盆なんて?」
キース 「寺に生まれたら、お盆休みは一生無いな」
クリスマスの方が現実的だ、とキッパリと。
キース 「俺の家には無かったんだが、ツリーを飾る寺も多いし」
ブルー 「クリスマスに法要は無いからね…。何処の宗派も」
時間があるならクリスマスだってオッケーだ、と銀青様。
ブルー 「流石に境内でイルミネーションとかは無理だけど…」
キース 「庫裏でパーティーはアリだしな」
檀家さんからフライドチキンの差し入れが来たり、と証言が。
キース 「ウチには来ないが、他所の寺だと定番だぞ」
一同 「「「フライドチキン…」」」
なんだか凄い、と誰もが驚くクリスマス。
でも、お盆休みは無いんですね?
2017/07/15 (Sat)