☆お盆が近いと
さて、八月。ヒシヒシとお盆が近付く季節で、暑さもMAX。
生徒会長宅でダラダラしている面々の中で、キース君だけ溜息を。
キース 「まだ卒塔婆書きが終わらないんだ…。山ほどあってな」
サム 「自業自得っていうヤツだろ? お盆休みがねえのもさ」
ジョミー「そうだよ、今年は涼しい所で書けるチャンスが…」
あったのにさ、と僧籍な人たちからのツッコミが。
ジョミー「あの時、一緒に帰っていたなら、エアコン完備で…」
シロエ 「お盆休みもあったんですよね、異世界ですから」
マツカ 「棚経は一件だけですからねえ、それも出先で」
いいお話を断っておいて、文句も何も…、と御曹司も。
マツカ 「ぼくたちも、別荘でお盆休みのチャンスがパアです」
ブルー 「まったくだよ。キースさえ留守にしてくれていたら…」
スウェナ「お盆は花火大会に行ける筈だったのよ!」
なのに、どうして此処にいるの、と睨み付ける先に副住職。
スウェナ「他所の世界でも、卒塔婆くらいは書けるじゃないの!」
キース 「それは書けるが、真面目に命の危機でだな…!」
ブルー 「大丈夫だって言ってたじゃないか。航路設定」
普段以上に慎重にやると聞いたけど…、と生徒会長、大真面目。
ブルー 「航路さえきちんと設定したなら、安全だってば!」
キース 「だが、万一があるだろう!」
現にあいつも逃げて帰った、と反論が。
キース 「俺が地縛霊になった場合は、困るとな!」
シロエ 「それなんですけど…。初盆がどうとか言いましたよね」
マツカ 「ええ、来年になってしまうと聞きましたけど…」
どうしてなんです、という質問。
マツカ 「お盆の前に死んだ場合は、初盆でしょう?」
キース 「いや、その時期によりけりで…。お盆が近すぎると…」
シロエ 「どうなるんです?」
キース 「お浄土まで辿り着くよりも前に、お盆になるから…」
ブルー 「来年なんだよ」
初盆はね、と伝説の高僧、銀青様。
そういう仕組みなんですか…?
2017/08/01 (Tue)
☆初盆の仕組み
いよいよお盆の季節な八月、お坊さんにはハードすぎるシーズン。
お盆休みを逃したキース君ですけど、其処で問題なのが初盆。
シロエ 「お浄土に着く前にお盆って…。どういう意味です?」
キース 「そのままの意味だ。四十九日があるだろう?」
シロエ 「ありますけど…。四十九日とどう関係があるんです?」
キース 「お浄土までかかる日数が四十九日なんだ!」
出発してから四十九日でお浄土に着く、という解説。
キース 「だからだな…。四十九日を切った所で亡くなると…」
ブルー 「お盆の季節に帰って来るのが、道の途中からなんだよ」
一同 「「「途中?」」」
キース 「目的地に着いていないからな!」
お浄土を見ないで戻って来るという勘定に…、と副住職。
キース 「お浄土に行っていないんだから、初盆ではない」
スウェナ「えっ、でも…。家には戻って来るのよね?」
ブルー 「それはまあ…。でも、棚経は無いんだよ」
一同 「「「ええっ!?」」」
そうなるのか、と一同、ビックリ仰天。
シロエ 「そ、それじゃ、お盆はどうするんです!?」
ブルー 「他にも仏様がおいでだったら、お坊さんは来るけど…」
キース 「途中で戻って来た仏様には、棚経は無いな」
なにしろ必要無いんだから、とキッパリと。
キース 「お浄土で修行も積んでないし、供養の途中でもあるし」
一同 「「「供養?」」」
ブルー 「四十九日の間は、七日ごとに回向するわけで…」
そっちがあるから棚経なんかは無くっても…、と銀青様。
ブルー 「そんな理屈で、キースが今の季節に死んだら…」
キース 「初盆は来年になってしまって、厄介なんだ!」
俺の無念が晴れないからな、とブツブツブツ。
キース 「お浄土に行けずに途中で戻るだけならいいが…」
シロエ 「地縛霊って言ってましたよね?」
キース 「別の世界から、お浄土に行けるか微妙だからな!」
道に迷ったら終わりだろうが、と呻いてますけど。
そうなのかも…。
2017/08/02 (Wed)
☆見落とされる季節
お盆の季節な八月到来、お坊さんには一年で一番厳しいシーズン。
一生、無いのがお盆休みで、キース君にはチャンスがあっても…。
キース 「こっちの世界で死んだんなら、まだいいんだが…」
シロエ 「それだと道には迷わないんですか、回向があれば?」
キース 「仏様から、帰り道を教えて貰えるからな」
一同 「「「へ?」」」
仏様って…、と首を傾げる御一同様。
スウェナ「まだ極楽に着いてないのに、誰が教えてくれるのよ?」
シロエ 「阿弥陀様がいるのが極楽ですよね、他に誰が?」
キース 「十三仏様というのがいらっしゃってな…。その方々だ」
ブルー 「死んだ直後から、交代で面倒を見て下さるんだよ」
四十九日までは七日ごとに担当が変わる仕組み、という説明。
ブルー 「だから、お浄土に着いてなくても大丈夫だけど…」
キース 「別の世界で死んだヤツの場合は、放置ということも…」
シロエ 「目が届かないわけですね?」
ブルー 「ただでも忙しい時期になるしね、お盆を控えて」
仏様だって大忙しだ、と生徒会長、いえ、伝説の高僧、銀青様。
ブルー 「お盆は地獄も休みになるから、もう色々と…」
シロエ 「地獄も仏様の管轄ですか、閻魔様じゃなくて?」
ブルー 「蜘蛛の糸の話は知ってるだろう? 要チェックだよ!」
ついでに、お盆の回向によっては、帰って来る先が違うから、と。
ブルー 「きちんと回向をして貰った人は、お浄土に来るし…」
キース 「仏様の方でも、民族大移動に合わせて忙しいんだ!」
一同 「「「あー…」」」
それじゃ放置になるかもな、と一同、納得。
シロエ 「キース先輩が別の世界で死んだら、見落とされて…」
ジョミー「そのまま放置で、地縛霊になってしまうってこと?」
キース 「そうなるリスクが高すぎるんだ! 時期が時期だけに」
ブルー 「もっと修行を積んでいたなら、セーフだけどね…」
何処で死んでも、お浄土直行便だから、と言ってますけど。
そんなサービスが?
2017/08/03 (Thu)
☆チートじゃないです
八月とくればお盆のシーズン、お坊さんには多忙すぎるイベント。
今年のキース君は、別の世界に行けるチャンスがあったのに…。
シロエ 「お浄土直行便って、何なんですか?」
ブルー 「そのまんまだよ、四十九日が要らないわけ」
一同 「「「へ?」」」
それは必須の期間では、と誰もがキョトン。
スウェナ「四十九日かけて極楽に行くんでしょ? 法事もあって」
マツカ 「法事はともかく、四十九日かかる道なんですよね?」
どうやって短縮するんですか、と質問が。
マツカ 「直行便の意味が分かりませんけど、裏技ですか?」
シロエ 「チートなのかもしれませんね…」
ブルー 「あのねえ…。修行を積まないと駄目だと言ったよ」
修行の道にチートも裏技も無い、と伝説の高僧、銀青様。
ブルー 「きちんと修行して、徳も積んだ場合は直行便!」
シロエ 「それって、どういう感じなんです?」
ブルー 「二十五菩薩様がお迎えにいらして、アッと言う間に…」
お浄土の蓮に到着なのだ、という説明。
ブルー 「四十九日までの道は修行でもあるし、それが不要で」
マツカ 「ああ、なるほど…。キースだと修行不足なんですね?」
ブルー 「そういうこと! だから別の世界で死んじゃったら…」
二十五菩薩様は来なくて、十三仏様にもスルーされそう、と。
ブルー 「二十五菩薩様のお迎えリストには入っていないし…」
キース 「今の季節は、十三仏様も御多忙だからな…」
見落とされても仕方ないのだ、とブツブツブツ。
キース 「そんなリスクを背負って行けるか、他所の世界へ!」
シロエ 「誰かさんもドン引きしてましたしね…」
キース先輩の地縛霊なんかは要らないそうで…、と頷く人。
シロエ 「お坊さんだと欲しがるくせに、勝手なものです」
ブルー 「元が我儘MAXだしねえ、仕方ないよ」
サム 「美味しいトコだけ欲しがるタイプの典型だぜ」
でもって今年のお盆も来やがるのな、と溜息が。
来るでしょうねえ…。
2017/08/04 (Fri)
☆地獄は休みでも
八月に入ればお盆がリーチで、お坊さんは毎日がカウントダウン。
お盆休みも貰えないわけで、キース君の場合は厄介なオマケも。
サム 「キースが此処にいるってことはよ、今年もよ…」
シロエ 「スッポンタケの棚経ですよね、もう確実に…」
スウェナ「キースがあっちに行ってくれたら、楽だったわよ!」
棚経は無しでお盆休みで…、とスウェナちゃん。
スウェナ「マツカの別荘で、花火大会なんかにも行けて」
シロエ 「まったくです。それを残留されてしまってですね…」
マツカ 「今年のお盆も、いい感じに地獄になりそうですよ」
一同 「「「地獄…」」」
どうして此処で地獄になるのだ、と誰もが嘆きたくなる棚経。
シロエ 「お盆は地獄も休みなんですよね、昔から?」
ブルー 「そうだけど? だからこそ、お盆があるわけで…」
マツカ 「地獄の釜の蓋も開くのに、現世が地獄はキツイですよ」
サム 「全部、キースのせいなんだけどよ…」
とんでもない弟子を取りやがって、とサム君も睨む副住職。
サム 「スッポンタケに院殿号を出すから、こうなったんだぜ」
キース 「それは重々、承知しているが…。アレはだな…」
その場しのぎの戒名だった、と汗がダラダラ。
キース 「現にクジラのパクリなんだし、分かってくれ!」
シロエ 「分かりたい人はいませんよ! 今となっては!」
スウェナ「そうよ、どれだけ迷惑したと思っているの!」
後付けでお葬式までやらされたわ、とツッコミが。
スウェナ「お盆は棚経、お彼岸の度に法要よ? 最悪だわよ」
サム 「…その内に年忌法要も来るぜ」
一同 「「「年忌法要?」」」
なんだそれは、と首を傾げる御一同様。
シロエ 「年忌法要って、何なんです?」
サム 「もう過ぎたけどよ、一周忌とか…。三回忌とか」
ブルー 「過ぎちゃってるねえ、どっちもね…」
一同 「「「うっ…」」」
そういえば…、と誰もが顔面蒼白。
年忌法要、いわゆる法事の定番ですよね…。
2017/08/05 (Sat)
☆命日が無いです
いよいよお盆が来るのが八月、お坊さんには厳しすぎるシーズン。
卒塔婆書きを終えたら棚経なわけで、お盆休みもナッシング。
サム 「今でも法要だらけなのによ、年忌法要が来たら…」
シロエ 「そのパターンは地味に泣けますね…」
スウェナ「三回忌の次は七回忌かしら、それは来そうね…」
マツカ 「誰かさんが思い付いたら、確実ですね」
七回忌となれば大変ですよ、と御曹司。
マツカ 「法要だけでは済みませんから…。会食つきで」
一同 「「「あー…」」」
それがあった、と誰もが愕然。
シロエ 「仕出しを取るか、料亭に行くかなんですよね?」
ブルー 「今どきはホテルもアリだけど…。焼肉なんかも」
一同 「「「焼肉!?」」」
ブルー 「せっかく親戚が集まるんだから、こう、賑やかに…」
小さい子供が多い場合は、焼肉店も人気なのだ、という話。
ブルー 「喪服でゾロゾロ入って行っても、個室ならオッケー!」
シロエ 「お坊さんはどうなるんです?」
ブルー 「場合によるね。一緒に行ったり、お膳料だったり」
お施主様と仲が良かった場合は、焼肉もアリ、と銀青様。
ブルー 「もちろん衣で出掛けて行くけど、ご愛敬だよね」
シロエ 「……そんな法事もアリですか……」
サム 「七回忌の方はヤバそうだぜ?」
来るんじゃねえの、と恐ろしい予言を吐いてますけど。
ブルー 「大丈夫じゃないかな、そっちの方は」
一同 「「「え?」」」
何故に、と一同、キョトンとした顔。
ジョミー「大丈夫って…。例の人は法要が大好きで…」
シロエ 「チャンスさえあれば法要ですけど?」
ブルー 「そうなんだけどさ、年忌法要だけは大丈夫!」
やる方法が無いものだから…、と言われましても。
シロエ 「無いって、どういう意味なんです?」
ブルー 「年忌法要の根拠自体が無いからね。…命日が無くて」
一同 「「「…命日…」」」
そういえば無かった、と誰もが頷く命日なるもの。
セーフですか?
2017/08/06 (Sun)
☆命日がポイント
お盆に向かってカウントダウンな季節到来、お坊さんにはリーチ。
キース君も当然リーチですけど、棚経が近いと誰もがリーチで…。
シロエ 「スッポンタケに命日はありませんけど…。それが?」
スウェナ「でも、お葬式はやったわよ? 後付けだとかで」
マツカ 「お葬式をやったんですから、年忌法要もありそうです」
ブルー 「後付けって所が問題なんだよ、いつ死んだんだい?」
スッポンタケは、という質問。
ブルー 「誰かがお亡くなりになった場合は、菩提寺に電話で…」
キース 「枕経を頼むのがお約束だな、その日の内に」
菩提寺までが遠かった時は、近くの同じ宗派のお寺、とキース君。
キース 「とにかく坊主が来ないことには、葬式は出来ん」
ブルー 「お通夜の前には枕経だしね、すっ飛ばさない限りは」
一同 「「「すっ飛ばす?」」」
ブルー 「最近流行りの直葬だってば、お葬式はパスの」
もう本当に全部すっ飛ばすヤツ…、と生徒会長、いえ、銀青様。
ブルー 「お浄土も天国も存在しない、という人に人気で」
シロエ 「家族葬とかもありますけれど?」
キース 「そっちのパターンも、坊主は無視の方向なんだが…」
ブルー 「お坊さんを呼んでお葬式を、となれば枕経からで…」
枕経はパスでも、お通夜は必要、と説明が。
ブルー 「お浄土に向かって旅立つ前の、とても大事な法要で…」
キース 「それをパスして葬式というのは、まず無いな」
シロエ 「でも…。スッポンタケのお通夜は無かったですよ?」
ブルー 「死んでないから出来たんだよ! お通夜無しでも!」
枕経だって不要じゃないか、とニヤニヤと。
ブルー 「後付けでお葬式ってことになっても、命日はねえ…」
キース 「普通はあるから、枕経はパスでもお通夜はあるぞ」
シロエ 「だったら、スッポンタケの場合は…」
ブルー 「お葬式ごっこをやっただけだね、命日は抜きで!」
そんな仏様に年忌法要があるもんか、と言ってますけど。
本当に…?
2017/08/07 (Mon)
☆案内状も無理
お盆に向かってカウントダウンで、お坊さんには多忙なシーズン。
キース君も当然リーチですけど、お盆といえば棚経がセットで…。
シロエ 「えっとですね…。命日が無いなら、年忌法要が…」
マツカ 「無いそうですけど、でも棚経はありますよ?」
ブルー 「あれも一種のお遊びだってば、死んでないから!」
スッポンタケは存命だから…、と生徒会長、いえ、銀青様。
ブルー 「いつお浄土に行ったのか謎で、命日も無いし…」
キース 「年忌法要は絶対無理だな、数えようがない」
一同 「「「へ?」」」
キース 「いつ死んだのかが分からないなら、そうなる仕組みだ」
死んでから経った年月に合わせる法要が年忌法要だ、と。
キース 「寺の方でも把握してるし、早々に案内を出すからな」
一同 「「「案内?」」」
キース 「お宅は来年、この仏様が何回忌です、とお知らせだ」
ブルー 「年忌法要は忘れる人も多いし、必須なんだよ」
十三回忌でもヤバイくらいだ、という話。
ブルー 「何処の家でも忙しいしねえ、忘れがちだよ」
シロエ 「あー…。十年も経つと、そうかもですね」
キース 「ついでに纏めることも多いし、早めの案内が大切で…」
一同 「「「纏める?」」」
いったい何を纏めるのだ、と一同、キョトンとしてますけれど。
キース 「同じ年に年忌法要だったら、一番早い人に合わせる」
ブルー 「五十回忌の仏様とか、百回忌とかの場合だね」
シロエ 「百回忌って…。忘れる以前に知りませんよ!」
そんな昔の人の命日、とシロエ君。
シロエ 「それはお知らせが欲しいですけど、一番早い人って?」
キース 「年忌法要は、祥月命日よりも遅れてはならん」
そういう縛りがあるものだから、と解説が。
キース 「それで一番早い仏様に合わせて纏めるが…」
ブルー 「スッポンタケの場合は、命日がね…」
キース 「年忌法要の日さえ分からん!」
案内状さえ出しようがない、と副住職。
それじゃ法要は無理ですねえ?
2017/08/08 (Tue)
☆命日が無ければ
もう目前に迫ったのがお盆、お坊さんにはハードすぎるイベント。
キース君も卒塔婆書きに追われてますけど、話題は年忌法要で。
キース 「スッポンタケには、過去帳さえも無いからな…」
ブルー 「それも無いねえ、なにしろ死んでいないんだから」
今の季節は山から消えているだけで…、と銀青様。
ブルー 「これだけ暑くて雨も降らないと、キノコはねえ…」
シロエ 「もれなく乾いて死んでますけど、スッポンタケは…」
ジョミー「本物の命日だけは無いよね、また生えるから」
スウェナ「特定しようがないものねえ…。山ほどありすぎて」
シーズンだったら、毎日が命日のようなものよ、という声が。
スウェナ「どれか1つが力尽きても、別のが生えて来るんだし…」
マツカ 「新しいのがダウンしたって、次々に生えて来ますしね」
シロエ 「そう考えると、本当に毎日が命日ですよ」
キース 「どれも端から枕経なら、命日もあるというわけだが…」
生憎と一件も引き受けていない、と副住職が浮かべる皮肉な笑み。
キース 「いきなり法要をやらされた上に、棚経だぞ?」
ブルー 「後付けでやったお葬式にしても、ただのお祭りだしね」
誰かさんが一人で盛り上がっていただけで…、とバッサリと。
ブルー 「どう転がっても年忌法要だけは無理だよ、アレは」
キース 「過去帳に載っていない以上は、把握出来んからな」
シロエ 「そういう仕組みなんですか?」
ブルー 「やっぱり基本は過去帳だよね」
戒名管理ソフトが出来ても、基本になっているのは過去帳、と。
ブルー 「過去帳もパソコンで管理するけど、元のデータが…」
キース 「全く無いのがスッポンタケだし、どうしようもない」
七回忌もクソもあったもんか、と副住職。
キース 「いくらあいつが百年先まで生きていても、だ…」
ブルー 「百回忌は絶対、無理なんだよ」
シロエ 「いいですねえ!」
命日が無いとそうなるんだ、と喜ぶ御一同様。
法要コンプリートは無いんですね?
2017/08/09 (Wed)
☆年忌法要は無理
今や目前に迫っているお盆、お坊さんには一年で一番厳しい季節。
キース君も卒塔婆書きに追われてますけど、棚経を前に朗報が。
シロエ 「年忌法要が無いと聞いたら、ホッとしましたよ」
マツカ 「ですよね、あれが法要の花みたいなものになりますし」
??? 「そうだったのかい?」
知らなかったよ、とソルジャー(会話表記はAブルー)登場。
一同 「「「うわぁぁぁっ!?」」」
Aブルー「失礼な…。人を化け物みたいにさ!」
キース 「そういう扱いに近いと思うが? あんたの場合は」
ブルー 「日頃の行いが悪いからねえ、どう考えても」
化け物扱いも仕方あるまい、と生徒会長、キッパリと。
ブルー 「散々迷惑をかけまくりだし、反省しないし…」
Aブルー「何処に反省する理由があると? それより棚経!」
今年もスッポンタケの棚経をよろしく、とニコニコニコ。
Aブルー「キースはもちろん、他のみんなも来てくれるよね?」
シロエ 「またですか…。もう諦めていますけど…」
Aブルー「そう言わずに! スッポンタケも喜ぶから!」
でも、その前に…、とズズイと前へ。
Aブルー「年忌法要が無いというのは本当なのかい?」
キース 「本当も何も、現に案内状を出していないが」
一周忌も三回忌も過ぎた筈だぞ、と腕組みをする副住職。
キース 「ヤツが登場してから長いし、そのくらいは経つ!」
Aブルー「そ、それじゃ、大事な法要が出来ていないわけ?」
ブルー 「出来るも何も…。話は聞いていたんだろう?」
年忌法要が出来ない理由、と生徒会長、厳しい表情。
ブルー 「棚経が出来るだけでも奇跡なんだよ、この場合は!」
キース 「まったくだ。所詮はごっこ遊びだがな」
棚経だけで我慢しておけ、と突き放し。
キース 「ちゃんと今年も回ってやるから、安心しろ」
ブルー 「棚経があれば上等だからね」
Aブルー「…そ、そんな…」
スッポンタケが可哀相だよ、と言われましても。
死んでませんしね…?
2017/08/10 (Thu)
☆命日を作っても
もう目前に迫ったのがお盆、お坊さんには辛くて厳しいイベント。
卒塔婆書きが終わった途端に棚経、地獄のような季節ですけど。
Aブルー「年忌法要が出来ないだなんて、片手落ちだよ!」
キース 「片手落ちも何も、そもそも死んでいないだろうが!」
ブルー 「まったくだよ。死んでないのに、もう色々と…」
なんて迷惑な仏様なんだろう、と生徒会長、ブツブツブツ。
ブルー 「地縛霊の方がまだしもマシだよ、供養で消えるし」
ジョミー「そうだよね…。ブルーだったら、どんな霊でも…」
サム 「お浄土に送っちまうしよ…。スッポンタケは無理でも」
シロエ 「死んでいませんから、その手が使えないんですね…」
ストーカーのように付きまとわれて…、とシロエ君が抱える頭。
シロエ 「なのに棚経だけはあるって、あんまりですよ!」
Aブルー「何を言うかな、ぼくにしてみれば年忌用法が大切で!」
キース 「それだけは絶対、有り得んからな!」
ブルー 「どう転がっても無理なんだよねえ、命日無しでは」
今から作るというのも駄目、と指をビシィ! と。
ブルー 「死んだら出来ると思ってそうだけど、甘いから!」
キース 「そうだぞ、スッポンタケを採りに行っても無駄だ!」
この日に死んだ、と死骸を持って来たって駄目だ、と副住職。
キース 「とっくの昔に戒名がついているんだからな!」
ブルー 「戒名は二重につけられないから、諦めるんだね」
Aブルー「じゃ、じゃあ…。新しくつけて貰うのは?」
それなら命日も出来そうだから、と食い下がる人。
Aブルー「夏が過ぎたら、すぐに採るから! 山に出掛けて!」
キース 「俺はそれでもかまわんが…。パワーは落ちるぞ」
Aブルー「え?」
なんで、とキョトンとするソルジャー。
Aブルー「スッポンタケだよ、パワーたっぷり!」
キース 「院殿号はもう、出してやらん!」
ブルー 「当然だよね」
居士もつけずに信士で良かろう、と相槌が。
戒名ランクダウンですか…。
2017/08/11 (Fri)
☆パワーを守るには
お盆が目前に迫ってくる中、またまた来たのがソルジャーなる人。
スッポンタケの年忌法要を希望で、けれど無いのが肝心の命日。
Aブルー「えっと…。居士と信士はどう違うんだい?」
キース 「会社で言うなら、幹部クラスか、ヒラ社員かだが」
ブルー 「スッポンタケに新しくつけるとなったら、信士だよね」
大居士どころか居士もつかない、と生徒会長、涼しい顔。
ブルー 「キースはとっくに懲りているから、信士で決定!」
キース 「院殿号も出してやらんし、院号も出さん!」
Aブルー「それでパワーが足りなくなると? 戒名が駄目で…?」
キース 「当然だろうが、ヒラ社員と全く変わらんからな!」
院殿号なら、社長以上の存在だが…、と解説が。
キース 「院殿号をキープするなら、命日も年忌法要も無しだ!」
ブルー 「命日と年忌法要の方を優先するなら、ヒラ社員だね」
Aブルー「そ、そんな…。一気にパワーが落ちるだなんて!」
キース 「それが嫌なら、現状で我慢しておきやがれ!」
棚経くらいは回ってやるから、と副住職が吊り上げる眉。
キース 「今年も棚経をして欲しいのか、年忌法要かを選べ!」
ブルー 「そうだね、早く決めたまえ。どっちだい?」
Aブルー「う、うう…。パワーダウンよりは、今のままかな…」
残念だけど…、とソルジャー、ガックリ。
Aブルー「肝心のパワーが落ちてしまったら、ダメダメだから…」
キース 「よし、分かった。棚経の日は準備しておけよ?」
Aブルー「うん…。みんなもよろしく」
一同 「「「うっ…」」」
やっぱり今年も棚経なのか、と誰もが溜息。
シロエ 「…また朝イチから集合ですか…」
ブルー 「文句を言わない! ぶるぅはお膳も作るんだから!」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ みんなで楽しくやろうね!」
一同 「「「はぁーい…」」」
Aブルー「それじゃ、お盆にまた来るからねーっ!」
スッポンタケの棚経だよ! と、姿を消しましたけど。
この夏もですか…。
2017/08/12 (Sat)
☆暑い盛りなのに
八月のメインイベントがお盆、とうとう来たのが棚経の日。
スッポンタケのは十四日でして、シャン学メンバーも朝から集合。
シロエ 「なんで毎年、こうなるんです…。暑い盛りなのに」
マツカ 「それを言うなら、ジョミーやサムの方が大変ですよ」
スウェナ「そうよね、今日は一日、自転車で走り回るんだもの…」
おまけにサムは今年もババよ、とスウェナちゃん。
スウェナ「アドス和尚のお供なんでしょ、スクーターを追って」
シロエ 「あれは気の毒すぎますよ…。サム先輩は自転車なのに」
マツカ 「ジョミーが精進しない限りは、あのポジションは…」
サムで固定になるでしょうしね、と御曹司だって同情しきり。
マツカ 「アドス和尚の面子を潰さないよう、サムなんですから」
シロエ 「ジョミー先輩、今年もお経は口パクっぽいですし…」
ブルー 「いつまで経っても覚えないからね、その気が無くて」
でもまあ、その分、ババだって引く…、とニヤニヤと。
ブルー 「キースのお供は楽そうだけどさ、此処の棚経が…」
シロエ 「そうでした! スッポンタケの棚経がセットでしたね」
スウェナ「スッポンタケはキースの弟子だし、そうなるわよね」
キースのお供で棚経に行くなら、スッポンタケも、という話。
スウェナ「どんなに酷い棚経だろうと、逃げられないものね」
ブルー 「今年は無事だといいんだけどねえ、何事も無くて」
シロエ 「思い付きだけで行動するのが、誰かさんですし…」
マツカ 「年忌法要の件でへこんでましたし、大丈夫ですよ」
あの状態ではアイデアだって湧かないでしょう、との声。
マツカ 「どう転がっても、年忌法要は無理なんですし…」
ブルー 「まあ、へこむよね」
自業自得と言うんだけれど…、と突き放し。
ブルー 「棚経があるだけでも、御の字なんだよ」
シロエ 「まったくです」
スウェナ「だからって朝から集合よ?」
酷いわよね、と嘆き節。
お盆は暑さが半端ない時期、キツイですよね…。
2017/08/13 (Sun)
☆お迎えしません
八月のメインイベントがお盆、世間一般にはお盆休みのシーズン。
ところが違うのがシャン学メンバー、ここ数年は棚経でして。
シロエ 「どうして毎年、こうなるんでしょう…。お盆なのに」
マツカ 「今年は逃げられる筈だったんですけどね…」
キースさえ別の世界に行ってくれていたら…、と御曹司。
マツカ 「あっちの世界で棚経だったら、無関係ですし」
スウェナ「私たちも休みが取れたわけよね、お盆らしいのが」
シロエ 「そうですよ! マツカ先輩の別荘で花火大会見物で」
ブルー 「残念だよねえ、そこの所は…」
たまにはお盆をエンジョイしたい、と生徒会長までが。
ブルー 「迎え火くらいは焚くけどさ…。お約束だから」
シロエ 「そうでした…。会長のご家族、あの世でしたね」
ブルー 「三百年も前のことだし、とっくに歴史の彼方だけどね」
いったい何人がアルタミラを覚えていることやら…、と。
ブルー 「火山の噴火で沈んだ島でも、忘れられたら終わりだし」
シロエ 「会長だって、棚経はしていませんよねえ…」
ブルー 「向こうのお寺に頼んであるから…。此処じゃ遠いし」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 回向料は届けに行くんだよ!」
ぼくとブルーが瞬間移動で、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
ぶるぅ 「だからウチでは迎え火だけなの!」
マツカ 「そうなんですか…。あれっ、そしたら例のアレには?」
シロエ 「スッポンタケには迎え火が無いわけですね?」
会長の家族のために焚いてる迎え火ならば…、とツッコミが。
シロエ 「お膳の方はスッポンタケ用でも、迎え火の方は…」
ブルー 「まるで全く無関係だけど? どうせ命日も無いからね」
どうして迎える必要があるのだ、と吐かれた正論。
ブルー 「祭壇やお膳は作ってあっても、所詮は他人!」
シロエ 「でもって、おままごとですか…」
ブルー 「お遊びの域を出ないからねえ、あんな代物!」
誰かさんはこだわっているけれど、とブツブツブツ。
迎えていないと?
2017/08/14 (Mon)
☆お膳が無駄です
ついに迎えた棚経の当日、シャン学メンバーもスタンバイですが。
生徒会長が言うには、スッポンタケの霊は迎えていないそうで…。
ブルー 「棚経をやっているのはいいけど、仏様は不在なんだよ」
シロエ 「そうなるんですか…。こうしてお膳もあるんですけど」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 今年も頑張って作ったもんね!」
うんと見栄えのする精進料理、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
ぶるぅ 「少しずつしか盛り付けないけど、美味しいんだよ!」
スウェナ「ぶるぅだものね…。ちゃんと味見もしてるのね?」
ぶるぅ 「うんっ! 手抜きのお膳は作らないも~ん!」
お料理大好き! と得意満面。
ぶるぅ 「でもでもでも…。このお膳、食べて貰えないのかな?」
一同 「「「へ?」」」
ぶるぅ 「んとんと…。スッポンタケはお迎えしていないから…」
此処にいないよね、と指差す祭壇。
ぶるぅ 「いないんだったら、供えても食べてくれないし…」
シロエ 「ああ、それは…。ぶるぅの努力が無駄骨ですか…」
マツカ 「そうみたいですね、せっかく作ったのに…」
スッポンタケが来ていないのなら…、とマツカ君も気の毒そうに。
マツカ 「もう来年から、お膳はやめたらどうでしょう?」
スウェナ「やめたら誰かさんが騒ぐし、買えばいいんじゃない?」
フリーズドライのがあるんでしょ、とスウェナちゃん。
スウェナ「来年からはそれでいいわよ、来もしない仏様なんか」
シロエ 「そうですよ! 今年までの努力は無駄でしたけど」
ブルー 「別に無駄にはなっていないよ?」
スッポンタケが来なくてもね、と生徒会長、ニッコリと。
ブルー 「棚経じゃなくて施餓鬼と思えば、お膳も生きるし!」
一同 「「「施餓鬼?」」」
ブルー 「餓鬼に御馳走するんだよ。それでオッケー!」
シロエ 「えっと…?」
ブルー 「餓鬼も地獄から出て来るわけでさ…。そっち向けに」
これこそがお盆の精神だよね、と伝説の高僧、銀青様。
施餓鬼ですって…?
2017/08/15 (Tue)