☆二年参りは無理
あけましておめでとうございます。元老寺の宿坊からの中継です。
除夜の鐘の後に泊まったシャン学メンバー、爆睡中でして…。
ぶるぅ 「かみお~ん♪ あけましておめでとう! 起床ーっ!」
シロエ 「う、うう…。もう朝ですか…」
サム 「まだ暗いけどよ…。初日の出を拝むなら仕方ねえよな」
俺たちの若さなら、軽く二徹はいけるのに…、とサム君の溜息。
サム 「除夜の鐘撞きで凍えた挙句に、修正会ではよ…」
シロエ 「心身ともに疲れ果てますよね、お寺ってトコは…」
神社に二年参りとかなら疲れないのに、とシロエ君も。
シロエ 「本堂に正座で法要ですしね、除夜の鐘の後に…」
ジョミー「おぜんざいも何処かへ吹っ飛んじゃうよね、アレ…」
修正会は新年の最初の法要。元老寺の場合は、夜中に厳修。
スウェナ「おまけに正座よ、椅子席は貰えないんだから!」
マツカ 「ご老人用って雰囲気ですしね、椅子席は…」
仕方ないですが、と御曹司も愚痴を零しつつ、皆で身支度。
キース 「みんな、用意は出来たようだな。行くぞ」
一同 「「「はーい…」」」
凍り付くような寒さの中を、境内を抜けて山門まで。
アドス 「新年おめでとうございます。今年もよろしく」
イライザ「まず、初日の出を拝みましょうね」
アドス 「二礼二拍手一礼ですぞ」
では、と明けゆく東の空へと、深々とお辞儀、そして柏手。
アドス 「本年もよろしくお願いします」
一同 「「「お願いします…!」」」
パンパン柏手、それからお辞儀で…。
イライザ「寒かったでしょう? 庫裏の方へどうぞ」
アドス 「お雑煮の用意が出来ておりますからな」
ぶるぅ 「わぁーい!」
法衣のアドス和尚とキース君に続いて、庫裏の座敷へ。
アドス 「改めまして、新年おめでとうございます」
一同 「「「おめでとうございまーす!」」」
イライザ「では、お屠蘇から…」
銀青様に、とアドス和尚に差し出すお屠蘇の器。
一番偉い人からですね?
2018/01/01 (Mon)
☆今年もいい年に
元老寺で新年を迎えたシャン学メンバー。お雑煮の前に、お屠蘇。
銀青様こと生徒会長にと、アドス和尚が屠蘇器を持ちまして…。
アドス 「銀青様、どうぞ、お屠蘇でございます」
ブルー 「ありがとう。今年もいい年になりますように」
頂きます、と盃に注がれたヤツをクイッと。
ブルー 「じゃあ、次は、ぼくから…」
アドス 「いえいえ、そんな、もったいない…!」
イライザ「ええ、私どもにお任せ下さいませ…!」
お次にどうぞ、とイライザさんが、お屠蘇をアドス和尚に。
アドス 「うむ。今年もいい年になりそうじゃな」
イライザ「キースも頑張ってくれてますもの。はい、キース」
キース 「は、はい…。頂きます」
盃を空ける副住職ですけど、複雑なのがシャン学メンバー。
シロエ (キース先輩が、諸悪の根源ですけど…!)
サム (何枚、猫を被っていやがるんだよ、家ではよ…!)
けれど口には出せないわけで、思念波も使えない現状。
イライザ「さあさあ、皆さんも、形だけでも…」
ジョミー「あっ、すみません! 頂きます!」
未成年だけに、お屠蘇は舐めるだけ。
ぶるぅ 「んとんと…。ぼくは普通に一杯!」
イライザ「あらあらあら…。一番小さいのにねえ…」
一人前ね、と注がれるお屠蘇。
ぶるぅ 「三百年以上、生きてるもーん!」
ブルー 「お酒も好きだし、お屠蘇くらいじゃ酔わないよ」
ぶるぅ 「うんっ!」
いただきまぁーす! とゴックンと飲んで、ニコニコニコ。
ぶるぅ 「お屠蘇が済んだら、お雑煮だよね!」
イライザ「おせちも沢山ありますからね。ご遠慮なくどうぞ」
一同 「「「はーい!」」」
さあ食べるぞ、と瞳が輝く御一同様。
シロエ 「毎年、これが楽しみなんですよね」
スウェナ「ゴージャスだものね、それに美味しいし…」
アドス 「銀青様に、粗末なものはお出し出来ませんしな」
イライザ「ええ、本当に…」
今年もよろしくお願いします、と挨拶が。
お寺と縁が切れませんね?
2018/01/02 (Tue)
☆お正月にはコレ
今年も元老寺で新年を迎えたシャン学メンバー、おせちに舌鼓。
和洋中と豪華に揃っていまして、誰もが御機嫌なんですけれど…。
ジョミー「あっ、それも食べる! そっちのも!」
サム 「美味いよな、どれも…。マジで最高!」
シロエ 「やっぱり、お正月はコレに限りますよね、お雑煮と!」
あれもこれも、と賑やかに食べている中、アドス和尚がニッコリ。
アドス 「さて…。そろそろ、お願い致しましょうかな」
一同 「「「へ?」」」
アドス 「ああ、他の皆様は、そのままで…。お二人だけで」
サム殿とジョミー殿には、初詣の方の手伝いを…、という注文。
ジョミー「うわわ…。もう思いっ切り、忘れてたし!」
サム 「俺も綺麗に忘れてたけどよ、正月といえば定番だよな」
キース 「分かっているなら、話は早い。着替えて貰うぞ」
さあ、こっちだ、と容赦ないのが副住職。
キース 「じきに檀家さんがいらっしゃるしな、手を抜くなよ?」
アドス 「お二人とも、よろしく頼みますぞ」
サム 「はいっ!」
ジョミー「はぁーい…」
せっかくのお正月なのに…、と連行されていった人たち。
シロエ 「ジョミー先輩たちも大変ですよね、毎年、毎年…」
マツカ 「僧籍ですから、当然の仕事なんでしょうけど…」
スウェナ「でも、お正月よ? なんだか可哀想よねえ…」
なんで元日から衣なのよ、とスウェナちゃんが本堂の方へ視線を。
スウェナ「ブルーみたいに赤い衣なら、おめでたそうだけど…」
シロエ 「そういえば黒い衣でしたね、二人とも…」
マツカ 「アドス和尚も、黒いですよね…」
違う色を着られる筈なのでは…、と御曹司の疑問。
マツカ 「確かキースも黄緑でしたよ、ウグイス色みたいな」
スウェナ「でも、黒かったわよ? キースの衣も」
シロエ 「そうですよねえ…。どうなっているんでしょう?」
ブルー 「修正会では、そっちを着ていただろう?」
あれは正式な衣だからね、と銀青様。
じゃあ、初詣のは…?
2018/01/03 (Wed)
☆初詣には晴れ着
元老寺で新年を迎えたシャン学メンバーですけど、初詣が問題。
檀家さんたちがやって来るので、お相手に出るのが僧籍な人たち。
シロエ 「修正会だと色のついた衣で、初詣の方は黒ですか?」
ブルー 「そこは墨染と言って欲しいけど、まあ、そうだよね」
スウェナ「どうして黒になっちゃうのよ? 色付きでいいでしょ」
そっちが正式なんだから、とスウェナちゃんの疑問。
スウェナ「初詣の人のお相手なんだし、晴れ着でいいじゃない」
シロエ 「ですよね、初詣だと、ドレスコードは晴れ着ですよね」
マツカ 「最近は滅多に見ませんけれどね、そういうのは…」
やはり汚れるからでしょうか、と御曹司が言う女性の晴れ着。
マツカ 「昔は成人式に負けないような着物の人だって…」
スウェナ「初詣の新聞記事なんかだと、そういうのだったわね…」
特に「やらせ」でもなかった筈よ、と万年高校1年生の意見。
スウェナ「年々減っているのは確かね、だけど数人くらいなら…」
シロエ 「いるんですから、やっぱり晴れ着が正式ですよ」
キース先輩たちも、それでいいのでは…、とシロエ君も。
シロエ 「初詣に来る檀家さんだって、きっと晴れ着で…」
マツカ 「ジャージってことは、ないでしょうしね…」
スウェナ「それなら色付きで良さそうだけど…」
どうして黒い衣なのよ、とスウェナちゃんが傾げる首。
スウェナ「お正月から真っ黒よりかは、色付きだわよ!」
ブルー 「うーん…。問題はアドス和尚の考え方かな…」
炬燵に座ってお屠蘇でお迎え、と生徒会長、いえ、銀青様。
ブルー 「どう考えても法要とは無縁で、普段着が似合い」
シロエ 「えっと…? それじゃ、炬燵じゃなかったら…」
マツカ 「畳に正座でお出迎えなら、色付きの衣の方ですか?」
ブルー 「それだけじゃ駄目だね、檀家さんはお焼香が必須で」
一同 「「「お焼香?」」」
ブルー 「御本尊様に!」
思い切り抹香臭くなるけど、という話。
元日からお焼香ですか?
2018/01/04 (Thu)
☆お焼香は抜きで
お正月と言えば晴れ着ですけど、そうじゃないのがキース君たち。
初詣に来る檀家さんのお相手、墨染めの衣が元老寺のスタイル。
シロエ 「どうして其処でお焼香なんです、御本尊様に?」
ブルー 「坊主が正式な衣だったら、そうなるものでさ…」
マツカ 「初詣が法要になるわけですか?」
ブルー 「そんな感じかな、プチ修正会みたいな雰囲気になって」
修正会はお正月にやるものだから、と生徒会長、いえ、銀青様。
ブルー 「元老寺だと、初日の出よりも前にやるけど…」
スウェナ「他所のお寺は違うって言うの?」
ブルー 「お寺によるねえ、昼間に盛大にやる所だって…」
少なくないし、というお寺の迎春事情。
ブルー 「そういうトコだと正式な衣で、もう元日から法要かな」
シロエ 「夜中にやってた、アレが昼間になるんですね?」
ブルー 「そう! 元老寺のも、来ていない人も多いから…」
修正会に来なかった檀家さんには、お焼香をして貰うもの、と。
ブルー 「だけどソレだと、嬉しくないしね…。初詣の人も」
マツカ 「初詣に来て、お屠蘇の代わりにお焼香ですか…」
シロエ 「キッツイものがありますね、それ…」
お正月気分が吹っ飛びそうです、とシロエ君が振っている頭。
シロエ 「お焼香のお香、普段のと全く同じですよね?」
ブルー 「お正月なんだし、上等なのを使うだろうけど…」
基本の香りは同じだよね、との明快な答え。
ブルー 「どう転がっても抹香臭くて、お寺の香り」
一同 「「「うわー…」」」
かなり嫌かも、と誰もがガクブル。
シロエ 「だったら、キース先輩たちが黒い衣なのは…」
ブルー 「お正月だけど、気楽にどうぞ、ってスタイルだよ」
坊主が正式な衣でなければオッケーだから、と。
ブルー 「見た目は黒くて晴れ着じゃなくても、お屠蘇でさ…」
シロエ 「お焼香は無しなんですね?」
ブルー 「そうなるね!」
そっちの方が喜ばれるだろう、と笑顔。
まあ、そうでしょうね?
2018/01/05 (Fri)
☆晴れ着がいいね
初詣とくれば晴れ着が定番、けれど普段着な法衣のキース君たち。
もう元日から墨染の衣、おめでたくなくても檀家さんへの気遣い。
シロエ 「見た目だけだと、色付きの衣が良さそうですけど…」
マツカ 「そっちを着てると、お焼香しなきゃ駄目なんですね…」
初詣に来た檀家さんが…、と御曹司も納得の墨染の理由。
マツカ 「元日からお焼香をするというのも、アレですし…」
スウェナ「お寺の人なら、抵抗も無いと思うけど…」
シロエ 「一般人の場合は、一気に気分は法事ですよね」
日頃から馴染みが無いですから、とシロエ君。
シロエ 「ぼくたちだって、法要の時くらいしか…」
マツカ 「シーッ! 縁起でもないことを言っちゃ駄目です」
一年の計は元旦にあり、と昔から言うじゃないですか、と。
マツカ 「今年こそ縁を切るんでしょう? 法事三昧の日々に」
シロエ 「そうでした…! 除夜の鐘も無我の境地でしたね」
スウェナ「厄介なことは、呼び込まないのが一番だわよ」
忘れましょうよ、とスウェナちゃんが頬張るおせち。
スウェナ「美味しく食べて、楽しいお正月よ!」
マツカ 「ジョミーたちには悪いですけど、仕方ないですしね…」
シロエ 「そういうお仕事ですからね。お坊さんですし…」
ブルー 「盆も正月も、基本、無いよね!」
ぼくはどっちもアリだけどさ、と生徒会長、涼しい顔。
ブルー 「その代わり、お寺は持っていないし!」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 気楽にいくのが一番だもんね!」
お寺を持ったら大変だも~ん、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」も。
ぶるぅ 「御本尊様のお世話とか、月参りとか…」
ブルー 「とてもじゃないけど、御免だね!」
お正月だって半端じゃないか、と生徒会長、ブツブツ。
ブルー 「おせちの後には本堂なんだよ?」
シロエ 「しかも墨染の衣ですよね…」
マツカ 「お正月は、やっぱり晴れ着がいいですよ」
お焼香は無しのコースで、と切実な希望。
元老寺では無理な話ですよね?
2018/01/06 (Sat)
☆元日から大雪
元老寺でのお正月と言えば、初詣の手伝いをするジョミー君たち。
墨染の法衣で檀家さんのお相手、それも下っ端なわけでして…。
シロエ 「ジョミー先輩たちには気の毒ですけど、墨染の方が…」
マツカ 「檀家さんは嬉しいわけですね…。お焼香が無しで」
ブルー 「そういうこと! 炬燵でお屠蘇を貰っておしまい」
一緒に来た子は、ジョミーたちからお菓子を貰って…、と。
ブルー 「お菓子が目当てで来る子供だって、お焼香はさ…」
スウェナ「要らないわよねえ、お焼香の意味が分かってなくても」
シロエ 「ええ、要らないと思います。お菓子で充分!」
マツカ 「お年玉が欲しいくらいでしょうね、お焼香よりも」
お焼香したなら、ご褒美に欲しくなりませんか、と御曹司。
マツカ 「何かをきちんとやったんですし、アドス和尚から…」
シロエ 「確かに、子供はそうなりますね。褒めて欲しくて」
スウェナ「その辺もあるから、お焼香コースを避けたのかしら?」
ブルー 「どうなんだろうね、お菓子がお年玉扱いだけど…」
お年玉ほど高くはないし、と生徒会長もスウェナちゃんと同意見。
ブルー 「お年玉を奮発しているよりかは、お菓子だよね」
キース 「悪かったな! …実の所は、その通りだが…」
聞こえていたぞ、と副住職の登場。
シロエ 「初詣、もう終わったんですか?」
マツカ 「いつもの年より早いですけど、どうしたんです?」
ジョミー「雪だよ、外を見て分からない?」
一同 「「「え?」」」
おせちに夢中で気が付かない間に、積もっている雪。
キース 「さっき大雪警報が出てな…。もう誰も来ない」
サム 「降り始めた頃から、急に客足、落ちてたしよ…」
一同 「「「あー…」」」
そういうことか、と納得の雪景色。
キース 「親父が、もういいと言ったんだ」
ジョミー「庫裏に戻れ、って」
ブルー 「それは良かった。お疲れ様」
キース君は法衣ですけど、ジョミー君たちは元の服。
宴会タイムですね?
2018/01/07 (Sun)
☆雪見酒でいこう
元老寺のお正月と言えば、檀家さんたちを本堂で迎える初詣。
けれど今年は大雪警報が出る大雪で、早々に客足が途絶えまして。
キース 「ここまでの雪は珍しいんだが…。元日から降るのは」
シロエ 「凄く降ってますね、これじゃ初詣に行こうって気も…」
マツカ 「無くなりますよね、檀家さんたちも…」
家から出たら滑りそうです、とマツカ君が眺める外の雪。
マツカ 「傘だって役に立たないでしょうし、服も濡れますよ」
ジョミー「うん。来た人、みんな服についた雪をはたいてたしね」
サム 「俺たちの仕事は、檀家さんのコートの水気取りな!」
イライザさんに出して貰ったタオルで…、という今年の手伝い。
キース 「サムたちのお蔭で助かった。俺と親父だけだと…」
サム 「キースが拭くしかねえもんなぁ…。濡れちまった服」
ジョミー「お帰りになる前に、乾かさなくちゃ駄目だったしさ…」
ストーブの前で広げておくのも仕事だった、とジョミー君。
ジョミー「サムと二人でこう、広げてさ…」
サム 「お屠蘇の間に乾かすんだよな、少しでも早く」
キース 「俺がそっちに回っていたなら、檀家さんも居心地が…」
悪くなってしまわれただろうし…、と副住職の気遣い。
キース 「専門の係がいるというだけで、ゆっくりして頂けた」
ブルー 「良かったねえ…。初詣も早めに済んだしね」
キース 「ああ。親父は本堂に座ってはいるが、暇だろうな」
きっと一人で雪見酒だぞ、と苦笑い。
キース 「お屠蘇とはいえ、本堂で酒が飲めるのは正月だけだし」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ぼくたちも雪見酒がいい!」
せっかく御馳走があるんだも~ん! と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
ぶるぅ 「お酒、欲しいな…。チューハイでもいいから!」
ブルー 「いいねえ、頼んで貰えるかな? ぼくは熱燗で」
キース 「分かった。おふくろに注文してこよう」
ぶるぅ 「わぁーい!」
ホントに宴会、と飛び跳ねるお子様。
今年は縁起がいいのかも?
2018/01/08 (Mon)
☆お寺でもう一泊
元日から大雪警報が出る雪で、元老寺の初詣も開店休業な状態に。
お蔭で解放されたジョミー君たち、庫裏で宴会モードでして…。
イライザ「さあさあ、皆さん、どんどん召し上がって下さいね」
ぶるぅ 「ぼく、チューハイ! ブルーが熱燗!」
イライザ「はいはい、ちゃんと持って来ましたよ」
どうぞ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」にチューハイ。
イライザ「銀青様は熱燗でらっしゃいましたね、ヒレ酒ですわ」
ブルー 「気が利くねえ…。熱燗としか言っていないのに」
イライザ「せっかくですもの、この方がいいかと思いまして…」
おかわりも沢山ございますから、と出て来たヒレ酒。
イライザ「お酌をしたいところですけど、お邪魔ですわね?」
ブルー 「申し訳ないけど、手酌でやるから」
キース 「いや、俺が注ごう。これでも一応、副住職だしな」
イライザ「そうね、キースにお願いしようかしら」
失礼のないようにしなさいよ、と注意してから、襖の向こうへ。
イライザ「ごゆっくりなさって下さいね」
一同 「「「はーい!」」」
イライザ「今夜も泊まって行って下さいな、この雪ですから」
一同 「「「ありがとうございまーす!」」」
帰らなくてもいいとなったら、盛り上がるのが雪見の宴。
シロエ 「宿坊ですけど、もう一泊ですか!」
ジョミー「悪くないよね、今夜も御馳走!」
キース 「そうなるだろうな、ブルーがいる以上は」
銀青様に粗末なものは出せないから…、と副住職。
キース 「幸い、食材は山ほどあるからな…。迎春用のが」
一同 「「「へ?」」」
キース 「檀家さんから届くんだ。例年だったら、宿坊でだ…」
振舞う分を、こっちに回す、と明快な答え。
キース 「鍋にしようかと言ってたぞ。さっき、おふくろが」
ぶるぅ 「お鍋、大好き! 締めはラーメン?」
シロエ 「雑炊の魅力も捨て難いですよ」
ぶるぅ 「どっちも、好きーっ!」
お鍋を食べてお酒も飲む! と大喜び。
見た目は子供なんですけどね?
2018/01/09 (Tue)
☆お正月から宴会
元日からドカンと降った大雪、元老寺の本堂での初詣も開店休業。
ジョミー君たちの手伝いも不要で、シャン学メンバー、雪見の宴。
ぶるぅ 「チューハイ、美味しい! もうすぐ、お鍋~!」
シロエ 「そうですねえ…。日が暮れるのが早いですしね」
マツカ 「じきに真っ暗になりますよ。この大雪だと帰れません」
瞬間移動は別ですけれど、と御曹司。
マツカ 「交通網はマヒでしょうねえ、元日なのに」
キース 「車で初詣に出掛けた人たちは、きっと困っているぞ」
ジョミー「だよねえ、家を出た時には晴れてたんだし…」
大雪になるなんて思わないよ、とジョミー君が眺める外の雪。
ジョミー「お蔭で今夜も宴会だけどね、鍋料理で!」
ブルー 「お寺ライフが追加で来るのは、いいのかい?」
ジョミー「初詣の手伝いが早く終わったから、気にしない!」
夕方のお勤めくらいが何さ、と上機嫌。
ジョミー「明日も朝からお勤めだけどさ、宴会の方が…」
スウェナ「楽しいわよねえ、元日から騒げるんだもの」
お寺が何よ、とスウェナちゃんも。
スウェナ「それより泊まりで宴会だわよ!」
サム 「だよなあ、こんな正月は、そうそうねえしよ…」
楽しもうぜ、とサム君が賛成、夕方のお勤めも誰も気にせず。
シロエ 「終わりましたね、アッサリと…」
キース 「親父も力尽きているしな、開店休業の初詣でも」
本堂に座りっぱなしだったからな、と副住職。
キース 「早く終わらせて庫裏で一杯、それが本音だ」
一同 「「「うーん…」」」
そんな調子でいいんだろうか、と思いはしても有難い展開。
シロエ 「アドス和尚も人の子ですねえ…」
キース 「自分に甘いのは否定はしない」
さて、俺たちも宴会だ、と庫裏の座敷で囲む鍋。
ぶるぅ 「かみお~ん♪ お鍋に乾杯!」
ブルー 「実に豪華な寄せ鍋だよねえ、カニも山ほど」
キース 「檀家さんから頂いたしな」
遠慮しないで食べてくれ、と並んだ具材。
最高のお正月ですね?
2018/01/10 (Wed)
☆お正月の後には
昼間に降った大雪のお蔭で、元日も元老寺の宿坊に泊まって宴会。
シャン学メンバーも大満足のお正月でして、冬休みが明けても…。
シロエ 「楽しかったですねえ、今年のお正月は!」
ジョミー「元老寺で元日の夜から大宴会でさ、もう最高!」
スウェナ「あんな元日なら、何度やってもかまわないわよね」
来年も大雪にならないかしら、と二匹目のドジョウを狙う声。
ブルー 「来年のことを言うと鬼が笑うよ、まだ1月なのに…」
サム 「でもよ、マジで春から縁起がいいって感じだったぜ」
暦じゃ正月は春だもんな、と僧籍な人。
サム 「今年こそいい年になるんじゃねえかな、間違いなく」
シロエ 「同感です! 今日もこうして集まれましたし…」
休みの日は此処に限りますよね、と集まっている生徒会長の家。
シロエ 「ぶるぅの料理は美味しいですし、お菓子だって…」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 今年も沢山食べてね!」
一同 「「「はーい!」」」
御馳走になります、と誰も異議なし。
キース 「すまんな、今年も世話になる。…食ってばかりだが」
ぶるぅ 「遠慮なくどうぞーっ!」
ブルー 「此処はお寺じゃないからねえ…。寛いでくれたまえ」
お勤めも何も無いからね、と生徒会長も笑顔。
ブルー 「キースの家だと縛りがあるけど、此処には無いし」
シロエ 「その点がとっても助かります!」
マツカ 「嬉しいですよね、お寺ライフが抜きというのは」
キースの家だと、もれなくついて来ますから、と御曹司。
マツカ 「元日の夜は良かったですけど、次の日の朝は…」
スウェナ「早起きしてお勤めだったものねえ、本堂で…」
あれが余計よ、と零れる溜息。
スウェナ「お正月くらい、ゆっくり寝かせてくれればいいのに…」
キース 「前にも言ったが、坊主に正月休みは無いぞ」
シロエ 「年中無休は分かりますけどね…」
スウェナ「巻き込まないで欲しいわ…」
一般人まで、と苦情の声。
お坊さんは仕方ないですけどね…?
2018/01/11 (Thu)
☆特別枠だそうです
元日の夜も元老寺で大宴会だった、今年のシャン学メンバー。
宿坊に泊まって騒げたものの、次の日の朝には本堂で朝のお勤め。
スウェナ「お正月気分が台無しだったわよ、あのお勤めで」
シロエ 「まったくです。朝早くから正座で、抹香臭くて…」
キース 「寺の朝は、いつでもそういうものだが…」
マツカ 「でもですね…。宿坊のお客さんは例外でしょう?」
そう聞いてますよ、と御曹司のツッコミ。
マツカ 「三が日の間は、泊まりのお客さんは無いそうですけど」
シロエ 「らしいですよね、色々と忙しいとかで…」
ですから、相客はいませんよね、とシロエ君。
シロエ 「檀家さんの差し入れの食材とかは、昼食向けで…」
キース 「その通りだが? 今年は、お前たちにも振る舞ったが」
マツカ 「食材はともかく、お客さんですよ。普段の時でも…」
スウェナ「朝夕のお勤めに出るかどうかは、自由なんでしょ?」
一度も見かけたことが無いわ、とスウェナちゃんも。
スウェナ「滅多に泊まらないけれど…。いつでも私たちだけよ」
キース 「それはまあ…。ご希望の方はどうぞ、とだけで…」
特別なことは何もないから、と副住職の答え。
キース 「これが座禅の宗派だったら、また違うんだが…」
一同 「「「へ?」」」
キース 「座禅の体験は人気だからな、ちゃんと人が来る」
宿坊に泊まった人でなくても…、と少し遠い目。
キース 「ウチはそういった売りが無いしな、南無阿弥陀仏で」
ブルー 「お勤めに出たって、非日常な雰囲気、薄めだよね」
一同 「「「あー…」」」
それでなのか、と一同、一応、納得ですけど。
シロエ 「でもですね! どうして、ぼくたちだけなんです!」
スウェナ「強制参加は酷いと思うわ、しかもお正月から!」
マツカ 「元日は仕方ないですけどね…。二日の朝くらいは…」
キース 「お前たちは、俺の友達だからな」
親父にとっては特別枠だ、と言われましても。
そんな特別、要りませんよね?
2018/01/12 (Fri)
☆外せない特別枠
生徒会長宅に集ったシャン学メンバー、お正月のことで愚痴を。
元老寺の宿坊での二泊目、キッチリついて来た朝のお勤めですが。
シロエ 「特別枠って…。なんですか、それ!」
キース 「そのままの意味だが…。他のお客様とは違うという」
より親密に扱うものだ、と得意げな顔の副住職。
キース 「庫裏で宴会だって出来るし、元日はおせちとお雑煮で」
シロエ 「特別枠のせいで、お勤めに強制参加なわけですね?」
キース 「半ば身内という扱いだし、そうなるな」
親戚が来たようなものだろうが、というのがアドス和尚の認識。
キース 「サムとジョミーが僧籍だからな、より親密で…」
シロエ 「でも、ぼくたちは違いますから!」
マツカ先輩とスウェナ先輩、それにぼくです、と必死の反論。
シロエ 「一般人が三人もですよ、なのに特別枠なんて…」
マツカ 「あんまりですよね、もっと普通でいいんですけど…」
スウェナ「その枠、外せないのかしら? 私たちだけでも」
そしたら、もっと楽になるのに…、とスウェナちゃん。
スウェナ「修正会だって出なくていいでしょ、夜中のアレ…」
シロエ 「そうですよね…。除夜の鐘だけで帰っても…」
いい筈ですよね、とシロエ君も。
シロエ 「帰って行く先が宿坊にしても、楽は楽です」
スウェナ「少なくとも正座はしなくて済むのよ、本堂で!」
特別枠を外してちょうだい、と切実な声。
スウェナ「アドス和尚に頼んで欲しいわ、外してくれって!」
キース 「無理だと思うが…。親父の中では定着済みだ」
ついでに頑固で頭が固い、と深い溜息。
キース 「今更どうこう言った所で、まず聞かないな」
シロエ 「じゃあ、ぼくたちは永遠に特別枠のままですか?」
キース 「そう思ってくれ。俺にはどうすることも出来ない」
マツカ 「無理なんですね?」
キース 「親父だからな!」
一同 「「「うわー…」」」
なんてこったい、と頭を抱える御一同様。
今年もお寺に追われそうですね?
2018/01/13 (Sat)
☆変わらないお寺
元日の大雪で帰りが延びて、元老寺に二泊したシャン学メンバー。
宴会付きの件はともかく、朝夕のお勤めに文句が出ましたけれど。
シロエ 「外れないんですか、特別枠…。どう頑張っても…」
キース 「親父の目が黒い間は無理だ。あの親父だけに」
シロエ 「でもって、その目がいつまでも黒いわけですね?」
なにしろ年を取りませんから…、とシロエ君の嘆き。
シロエ 「キース先輩が、高校1年生のままなのと同じで…」
マツカ 「アドス和尚も今の姿をキープですよね…」
ブルー 「そうなるねえ…。三百年は余裕だろうと思うよ」
ぼくも、ハーレイたちもそうだから、と嫌すぎる例が。
ブルー 「三百年後も特別枠だね、行けば立派なお寺ライフで!」
一同 「「「そ、そんな…」」」
この運命からは逃れられないのか、と誰もが愕然。
シロエ 「三百年以上って言われてもですね…。三世紀以上で…」
スウェナ「世の中、色々変わると思うわ、きっと、お寺も!」
マツカ 「楽な方へと流れそうですよね、時代に合わせて」
そっちの方に期待しましょう、と御曹司の意見。
マツカ 「年中無休が無くなるだとか、お勤めが減るとか…」
ブルー 「甘いね、相手はアドス和尚だよ?」
璃母恩院が変わらない限り、変わるわけがない、と銀青様。
ブルー 「総本山の覚えがめでたくないと、お寺というのは…」
キース 「やりにくいものがあるからな…」
下手をすれば離脱するしかない、と副住職。
一同 「「「離脱?」」」
キース 「総本山から独立するとか、そういうのだな」
ブルー 「霊場会から外れたお寺もあるからねえ…」
ソレイド八十八ヶ所の方で…、と妙な話が。
シロエ 「ソレイドは前に行きましたけど…。外れた、って?」
ブルー 「霊場会から、1ヶ所、離脱したんだよ」
キース 「住職が疲れ果てたんだそうだ。年中無休で」
一同 「「「ええっ!?」」」
いったいどういう展開なんだ、と誰もが仰天。
霊場会を離脱って…?
2018/01/14 (Sun)
☆離脱という選択
お正月から元老寺で二泊したのが、シャン学メンバーですけれど。
朝夕のお勤めがセットなお寺ライフは、逃れられない運命だとか。
シロエ 「あのですね…。霊場会を離脱って…。何なんですか?」
スウェナ「ソレイド八十八ヶ所でしょ? 卒業旅行で行った…」
マツカ 「ええ。キースが歩き遍路に行くのを、みんなで見物に」
ぼくたちはバス遍路でしたけれど…、と御曹司。
マツカ 「あそこは八十八のお寺がセットですよね、今も昔も」
ジョミー「ぼくたちはバスをチャーターしたけど、キースはさ…」
サム 「法衣に菅笠、草鞋で歩いて回ってたよな」
あの頃はお遍路さんがブームで…、とサム君も。
サム 「観光みたいなバスツアーってのも多かったぜ」
キース 「今はずいぶん減ったがな…。実は、そいつが問題で」
一同 「「「へ?」」」
キース 「昔みたいに、観光のバスが多ければいいんだが…」
激減したのに、それでもお遍路さんが来るのが問題、と。
キース 「もう文字通りに年中無休で、御朱印もだな…」
ブルー 「書かなきゃいけない仕組みなんだよ、何処のお寺も」
一同 「「「あー…」」」
そういえば御朱印を集めたっけ、と思い出す卒業旅行の光景。
シロエ 「会長命令で、掛軸にもお願いしてましたよね…」
スウェナ「掛軸は高く売れるから、って頼まれたわよね…」
キース 「お一人様に1つ限りで、例外は有り得ないからな!」
掛軸は今も高く売れるそうだが…、とブツブツブツ。
キース 「御朱印は手間がかかるんだ。小さな寺だと…」
ブルー 「負担にもなるし、ホントに年中無休だからさ…」
開けている時間を縮めたくもなる、と銀青様。
ブルー 「だけど、霊場会の方から決められてるから…」
キース 「朝早く開けて夕方までだぞ、人は滅多に来ないのに」
シロエ 「それはキツイですね…」
ブルー 「疲労困憊して、離脱したんだよ」
霊場会から抜ければ自由、という話ですけど。
八十八ヶ所、1つ欠けたと?
2018/01/15 (Mon)