シャングリラ号の定位置は地球から二十光年も離れた所。
クルーの交替などで戻った時には物資の補給をしますけれども、基本は
自給自足です。それで農業専用スペースなんかも必要になるわけでして。
ブルー 「さてと、この通路は覚えてる?」
キース 「船内見学をした時に来たな。それっきり二度と来てないが」
ブルー 「まあそうだろうね、お客様には用の無い場所だし」
ぶるぅ 「お料理するなら、とっても楽しい場所なんだけど…」
ブルー 「野菜は新鮮、卵も産みたて。ぶるぅには魅力の空間だよね」
なにしろ本物の農場だから、と生徒会長。
牛や鶏も飼育している広大なスペースでございます。
専用の扉をくぐって入れば、宇宙船の中とは思えない規模の畑があって。
キース 「俺たちに畑仕事を手伝えと?」
シロエ 「もしかしてジャガイモ掘りですか?」
ブルー 「そっちじゃなくって、こっちだよ。まだ準備中」
連れて行かれた先に広がっていたのは掘り返された土。
水路からチョロチョロと水が絶え間なく流れ込んでおりますが…。
ジョミー「えっと、これって…」
キース 「どう見ても田んぼというヤツだな」
シロエ 「準備中だって言いましたよね? 耕すんですか?」
ブルー 「もう耕してあるだろう? 次は田植えだよ」
全員 「「「田植え!?」」」
ブルー 「そう、田植え。シャングリラ号では田植えはお祭り」
サム 「お、お祭りって…。御神輿とかが出るのかよ?」
ブルー 「残念だけど、そういうヤツではないんだな」
どちらかと言えばイベントかも、と生徒会長は笑っております。
お祭りとイベントの違いは何処に?
ブルー 「手っ取り早く言えば見世物なんだよ」
キース 「見世物だと?」
ブルー 「宇宙じゃ季節感にも欠けるし、田植えは派手にやらないと」
キース 「どうやれば田植えが派手になるんだ!」
どうせ機械で植えるんだろうが、とキース君。
これだけ広い田んぼですから、機械を使わなきゃ無理ですよねえ?