☆入学式と言えば
さて、四月。入学に進級、そういう季節になるわけですが。
入学式しか関係ないのがシャン学メンバー、今年も入学式に出席。
シロエ 「うーん…。クラス発表、期待したんですけど…」
サム 「今年も1年A組なのな…」
ジョミー「担任の先生をお楽しみに、って書いてあるけど…」
そっちもどうせ決まってるよね、と講堂の裏手で皆でブツブツ。
サム 「安定のグレイブ先生だと思うぜ、今年もよ…」
シロエ 「それ以外、有り得ないですからね…」
マツカ 「どう転がっても、グレイブ先生の登場ですよね…」
そして抜き打ちテストですよ、と御曹司も。
マツカ 「ぼくたちの担任になった場合は、特別手当でしょう?」
スウェナ「ブルーがそう言ってたものねえ…。破格の待遇」
ババを引くのは確実だから、とスウェナちゃんの溜息。
スウェナ「グレイブ先生、毎年、志願してるんでしょう?」
キース 「らしいな、ミシェル先生のためにも高給取りだ、と」
ブラウ先生が名乗り出た年もあったらしいのに…、とキース君。
キース 「私がやります、と言ってのけたと聞いているしな」
ジョミー「特別手当が出るんだったら、ババでも報われるよね…」
ぼくたちは少しも報われないけど、とジョミー君の嘆き節。
ジョミー「毎年、毎年、1年A組! グレイブ先生!」
サム 「もういい加減、慣れたけどもよ…」
キースも見習って欲しいモンだぜ、とサム君の視線が副住職に。
キース 「…何故、俺になる?」
サム 「俺たちにババを引かせ続けて、何年だよ?」
ここじゃ言えねえ話だけどな、と潜める声。
サム 「先月も法要だったじゃねえかよ」
ジョミー「本当だ!」
ババを引かされるなら特別手当が欲しいよね、とジョミー君。
ジョミー「その辺を、どう考えてるわけ?」
キース 「い、いや、それは…」
シロエ 「資金繰りに苦労するにしたって、前向きにですね…」
考えて欲しいものですね、とシロエ君も。
どうなるんでしょう?
2018/04/01 (Sun)
☆今年も同じクラス
四月と言ったら入学式で、シャン学メンバーも毎度のように出席。
その後がクラス発表ですけど、やっぱり1年A組のままで…。
シロエ 「キース先輩、いいですか? グレイブ先生はですね…」
サム 「俺たちのクラスの担任になったら、特別手当でよ…」
ジョミー「夏休みとかには旅行だよねえ、ミシェル先生と」
うんと豪華にクルーズだとか、とジョミー君。
ジョミー「そうなってるのも、ババを引くのが確実だからでさ…」
シロエ 「毎年ババを引いてますから、特別手当が出るんですよ」
引かなくなったら出ないでしょうね、とシロエ君の分析。
シロエ 「ですから、先輩も特別手当を検討するべきかと…」
キース 「お前たちに特別手当を出せと言うのか?」
サム 「出してもいいんじゃねえかと思うぜ、キースの場合は」
年に三回はババを引くのが俺たちじゃねえかよ、とサム君も。
サム 「春と秋にはお彼岸があるし、お盆は棚経なんだしよ…」
ジョミー「棚経の時は、ぼくとサムとは、キース側だけどさ…」
それでも法要は絡んでくるよ、とジョミー君の文句。
ジョミー「全部キースのせいなんだから、特別手当の導入をさ…」
シロエ 「考えるべきだと思います! 少ない額でも!」
気は心です、と副住職を睨んでますけど。
キース 「ここでもめてる時間はないぞ? 教室に行かんと…」
シロエ 「逃げる気ですか!?」
キース 「そうではないが、グレイブ先生の件をどうするんだ!」
初日から怒らせたら後が無いぞ、とキース君が見回す周囲。
キース 「新入生は教室に行ったようだぞ、誰もいないしな」
シロエ 「そうみたいですね…」
仕方ありません、とシロエ君、フウと溜息。
シロエ 「今の話は、機会があったら仕切り直しということで…」
ジョミー「あーあ、グレイブ先生かぁ…。初っ端からテストで」
スウェナ「仕方ないわよ、そういうお約束だから」
諦めましょう、と教室に向かう御一同様。
今年も1年A組ですね…。
2018/04/02 (Mon)
☆初日からテスト
四月とくれば入学式で、毎年それに出席なのがシャン学メンバー。
何度も繰り返す高校1年、クラスはA組、担任はグレイブ先生。
シロエ 「チャイムが鳴りましたし、そろそろ来ますね」
マツカ 「違う先生が登場したら、ビックリですけどね…」
サム 「それだけはねえだろ、1年A組に限ってよ…」
絶対にねえ、とサム君が言った所で、廊下の方からカツカツ靴音。
ジョミー「やっぱりね…」
スウェナ「あの歩き方は、グレイブ先生しかいないわよ」
キース 「前を素通りしていく線は…。無いようだな」
ガラリと教室の扉が開いて、颯爽と入って来たグレイブ先生。
グレイブ「初めまして、諸君。私の名はグレイブ・マードック」
一同 (((来た、来た…)))
グレイブ「グレイブ先生、と呼んでくれたまえ。では、早速…」
テストを始める、との声に教室中から上がった悲鳴。
生徒A 「マジですか!」
生徒B 「テストって、何のテストなんですか!」
グレイブ「私の担当は数学だ。赤点を取った生徒は補習だ」
生徒一同「「「うわー…」」」
そんな、と騒ぎになってますけど、またまた開いた教室の扉。
ブルー 「やあ、初めまして。ぼくの名は、ブルー」
生徒一同「「「???」」」
ブルー 「生徒会長をやってるんだけど、ぼくにはクラスが…」
無いんだよねえ、と生徒会長、のんびりと。
ブルー 「クラスの仲間に入れてくれたら、サービスするよ」
生徒一同「「「サービス?」」」
ブルー 「そう、スペシャルな御利益を! ぶるぅ!」
おいで、という声で扉が開いて「そるじゃぁ・ぶるぅ」が登場で。
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 入学式でも会ったけど、よろしくね!」
ブルー 「ぶるぅは学園のマスコットだけど、不思議パワーが…」
ぶるぅ 「そうなの! テストを満点にしてあげられるの!」
生徒一同「「「マジっすか!?」」」
ブルー 「マジだけど?」
クラスに入れて貰えるのかな、と生徒会長の問い。
さて、どうなる…?
2018/04/03 (Tue)
☆今年も仲間入り
四月と言ったら入学式で、今年も1年A組なシャン学メンバー。
ついでに担任はグレイブ先生、お馴染みのテストなんですけれど。
ブルー 「ぼくをクラスに入れてくれるなら、テストは満点!」
ぶるぅ 「そだよ、今日だけじゃなくて、1年間なの!」
ブルー 「ありとあらゆるテストが満点、そうなるんだけど?」
仲間に入れてくれるだろうか、と生徒会長が見回す教室。
生徒A 「中間テストとか、期末もですか!?」
ブルー 「それはもちろん。抜き打ちテストも全部、満点!」
ぶるぅの御利益パワーがあれば、とニコニコニッコリ。
ブルー 「で、どうなのかな?」
生徒A 「お願いします、クラスメイトになって下さい!」
生徒一同「「「お願いしまーす!!!」」」
ブルー 「オッケー、それじゃ早速、テストにしようか」
プリントを配ってくれたまえ、と生徒会長、グレイブ先生に視線。
グレイブ「また貴様か…。今年も私のクラスに来るのか!」
ブルー 「それを承知で担任なんだと思うけれどね?」
グレイブ「畜生、足元を見やがって…!」
仕方がない、と配られたプリント、難問だらけのブツですが…。
ブルー 「回答欄は、適当に書けばいいからね。白紙でもいいよ」
ぶるぅ 「ちゃんと満点で返って来るから、安心してねー!」
生徒一同「「「ありがとうございまーす!!!」」」
グレイブ「今年もなのか…」
苦虫を噛み潰したような顔のグレイブ先生、テスト終了と共に…。
グレイブ「よし、後ろから順に回してくるように!」
生徒A 「俺、白紙だけど、大丈夫だよな?」
生徒B 「解いてみたけど、無駄だったぜ…」
ぶるぅ 「大丈夫!」
任せといてね、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」の笑顔。
ぶるぅ 「1年生の間は、よろしくねーっ!」
ブルー 「ぼくからも、よろしくお願いするよ」
生徒一同「「「了解でーすっ!!!」」」
グレイブ「くっそぉ…」
どうして毎年、こうなるのだ、と落としている肩。
承知で担任なんですよね?
2018/04/04 (Wed)
☆特別手当とババ
四月とくれば入学式で、シャン学メンバーは今年も1年A組。
生徒会長も仲間入りを果たして、放課後はいつもの溜まり場で…。
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 今年も、みんなで遊びに来てね!」
一同 「「「はーい!」」」
サイオンを持った人しか入れない「そるじゃぁ・ぶるぅ」の部屋。
ぶるぅ 「ブルーも1年A組になれたし、今年も楽しみ!」
シロエ 「グレイブ先生、露骨に嫌そうな顔でしたけどね…」
サム 「覚悟の上だろ、特別手当を貰ってるんだしよ」
俺たちのクラスを担任したら、もれなくババだ、と言うサム君。
サム 「今日のテストも、下手に赤点をつけたらよ…」
ぶるぅ 「んとんと、そんな度胸は無いと思うの!」
ブルー 「間違いないねえ、酷い目に遭うのは確実だからね」
ぶるぅのパワーは、逆に作用したらアンラッキー、とニヤリ。
ブルー 「右手から出る赤い手形は、御利益絶大なんだけど…」
シロエ 「左手が出す黒い手形は、不運の連続でしたっけ…」
ぶるぅ 「そだよ、グレイブが赤点を出すなら、左手だもん!」
ぼくが急いで押しに行くもん、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
ぶるぅ 「だから赤点、つけるわけないし、大丈夫!」
ジョミー「その辺も含めて、特別手当を貰ってるんだよね…」
ブルー 「うん。黒い手形のリスクもついてくるからね…」
ただババを引くだけじゃなくて…、と頷く生徒会長の笑み。
ブルー 「全て承知で担任するなら、文句を言われる筋合いは…」
サム 「全くねえよな、どうなってもよ」
自業自得というヤツだしよ、とサム君も。
サム 「ところでよ…。俺たちの件はどうなったんだよ?」
一同 「「「へ?」」」
なんのこっちゃ、と誰もが首を傾げてますけど。
サム 「入学式の後で話が出てたじゃねえかよ、特別手当の」
シロエ 「ああ…! キース先輩の件ですね?」
サム 「そう、それ、それ!」
俺たちが引くババに対する特別手当、という話。
途中でしたっけね?
2018/04/05 (Thu)
☆引き続けるババ
シャン学メンバーには四月の定番なのが、入学式なんですけれど。
放課後は「そるじゃぁ・ぶるぅ」のお部屋で、のんびりゆっくり。
サム 「グレイブ先生の特別手当は、ババに対するモンだしよ」
ブルー 「いわば一種の危険手当だね、リスクが高いだけに」
ぼくたちのクラスを担任したら、ロクなことがない、と生徒会長。
ブルー 「毎年、毎年、ババを引くわけで、特別手当無しだと…」
シロエ 「やってられない気分でしょうね、間違いなく」
サム 「だからよ、俺たちも貰っていいような気がするぜ」
学校からじゃなくて、キースからな、とサム君、副住職に視線を。
サム 「キースのせいでババを引きまくって、何年だよ?」
ジョミー「えーっと…。もうどのくらいになるんだろう?」
スウェナ「一年や二年じゃないと思うわよ?」
棚経を何回やらされたかしら、とスウェナちゃんが折る指。
スウェナ「スイカに卒塔婆が刺さっていた年、去年じゃないわよ」
一同 「「「あー…」」」
確かにあった、と誰もが思い出す卒塔婆が刺さったスイカ。
スウェナ「アレは最初の棚経じゃないし、もっと前からよ!」
シロエ 「そうですね…。三年ほどになるのは確実ですね」
ブルー 「過去帳があったら、そこはハッキリするけどね…」
残念なことに無いものだから…、と生徒会長、深い溜息。
ブルー 「戒名をつけたら、過去帳に載せるものだけど…」
サム 「元老寺の過去帳にあるわけねえよな、スッポンタケは」
キースが勝手につけたんだしよ、とサム君、ブツブツ。
サム 「戒名管理ソフトもねえしよ、どうしようもねえな」
ブルー 「どうだろう? その辺は考えようかもね」
無くて吉かも、と言われましても。
シロエ 「過去帳に無いと、何かメリットあるんですか?」
ブルー 「根拠がまるで全く無いから、年忌法要が無いんだよ」
一同 「「「へ?」」」
年忌法要って何だったっけ、と首を傾げる御一同様。
素人ですもんね?
2018/04/06 (Fri)
☆過去帳と年忌
入学式が終わったシャン学メンバー、溜まり場に来ていますけど。
グレイブ先生の特別手当が問題、キース君も出すべきでは、と。
シロエ 「年忌法要って、何ですか?」
ブルー 「知らないことはないと思うけど? 一周忌とかさ」
サム 「三回忌だとか、七回忌だとか、こう、延々と…」
続くモンだぜ、と僧籍な人も。
サム 「五十回忌とかになったら、他の仏様と纏めるけどよ…」
ブルー 「最初の間は単独でやるね、同じ年に年忌が重なっても」
誰かの三回忌と、他の仏様の七回忌とか…、と銀青様の解説。
ブルー 「だけど、年忌を忘れる人も少なくないしさ…」
サム 「七回忌くらいまではいけても、十三回忌とかはよ…」
そろそろだろうと思ってはいても、曖昧だぜ、という人間の記憶。
ブルー 「忘れちゃったら大変だからね、お寺が案内するんだよ」
サム 「うんうん、来年はこの仏様の年忌です、ってよ」
それの根拠が過去帳だよな、とサム君。
サム 「でもよ、スッポンタケは過去帳に載ってねえから…」
ブルー 「年忌法要の案内も来ないし、年忌法要も無いね」
そういう意味では、何年ババを引き続けたって大丈夫、と。
ブルー 「年忌法要は節目なだけに、こう、色々と…」
サム 「大がかりだけどよ、それをしなくて済むからよ…」
まだマシだよな、という話。
サム 「そうは言っても、ババを引くのは間違いねえし…」
シロエ 「特別手当が欲しいですよね、グレイブ先生みたいに」
貰えるんなら我慢もします、とシロエ君。
シロエ 「この先、法要が永遠ループで終わらなくても!」
マツカ 「そうですね…。金額じゃなくて気持ちの問題ですね」
キースの気持ちが大切なんです、とお金に不自由しない御曹司も。
マツカ 「迷惑をかけている自覚があるなら、考えて下さい」
キース 「特別手当を出せと言うのか?」
マツカ 「そうですけど?」
ぼくは金額にはこだわりません、と人のいい笑み。
でも怖いですね?
2018/04/07 (Sat)
☆特別手当の額
入学式を終えたシャン学メンバー、いつものように溜まり場へと。
そしてキース君に集まる非難、特別手当がどうのこうのと。
マツカ 「何も沢山出してくれとは言いません。特別手当は」
シロエ 「ですよね、マツカ先輩も満足の額はキツすぎでしょう」
とても払えるとは思えませんし、とシロエ君の相槌。
シロエ 「マツカ先輩、お小遣い、いくらでしたっけ?」
マツカ 「決まった額は無いですね…。必要な分だけ貰うんです」
サム 「おー、太っ腹! いくらでもいいのな?」
自家用ジェットも買っていいのかよ、という質問。
マツカ 「ぼくは欲しいと思いませんけど…。もうありますから」
サム 「親父さんのヤツな…。んじゃ、クルーザーとか?」
マツカ 「そっちも別に欲しくないですし…」
皆さんと楽しく遊べるだけで充分です、と謙虚な発言。
マツカ 「ですから、正直、ワンコインでもいいんですよ」
サム 「小遣いがかよ?」
マツカ 「いえ、キースから貰う特別手当の金額です」
本当に気は心ですから、とニッコリと。
マツカ 「毎月、きちんと頂けるんなら、有難いですね」
一同 「「「ワンコイン…」」」
流石、と誰もがポカンの金額。
サム 「マツカはいいかもしれねえけどよ…。俺は嫌だぜ」
シロエ 「ぼくもです。たったのワンコインだなんて!」
しかるべき額がある筈ですよ、とシロエ君も。
シロエ 「やっぱりお札は欲しいですよね、最低でも」
スウェナ「1人に1枚以上は基本で、ゼロが多いほどいいわよね」
サム 「決まってるじゃねえかよ、モノは特別手当なんだぜ?」
貰いすぎるということはねえ、とサム君、キッパリ。
サム 「グダグダ言わずに検討しろよな、特別手当」
キース 「し、しかし…。俺は一介の高校生というヤツで…」
シロエ 「でも、裏の顔は副住職だと思いますけど?」
サム 「シロエが言うので間違いねえな」
お布施を貰える立場じゃねえか、と鋭い指摘。
さて、どうなる…?
2018/04/08 (Sun)
☆チップもあります
入学式が終わった後は、「そるじゃぁ・ぶるぅ」の部屋での時間。
グレイブ先生が貰う特別手当の件から、キース君へと向いた矛先。
サム 「高校生の方のキースじゃ、全く話にならねえけどよ…」
シロエ 「副住職のキースだったら、お金は充分、ある筈ですね」
月参りにも行ってますし、とシロエ君。
シロエ 「月参りで遅刻は名物ですから、お布施だって…」
ジョミー「きっと沢山貰っているよね、行った先でさ」
まさかワンコインってことはないから、とジョミー君のツッコミ。
ジョミー「棚経ほどじゃないにしたって、金封だよね?」
ブルー 「それは常識というヤツだよねえ、檀家さんのさ」
むき出しのお金を差し出すだなんて、とんでもない、と銀青様。
ブルー 「きちんと金封に入れておくもので、金封なんだし…」
サム 「やっぱ、ワンコインってことはねえよな?」
ブルー 「お年玉でも、今どき、ないよ」
幼稚園児ならともかくとして…、と生徒会長もワンコインを否定。
ブルー 「月参りのお布施は、檀家さんの懐具合で色々だけど…」
サム 「最低限でも、必ずお札になるわけな?」
ブルー 「そうなるね」
それにチップがある家だって、と銀青様の笑み。
ブルー 「お布施とは別に、お車代とでも銘打ってね」
シロエ 「マジですか!?」
ブルー 「気の利いた家なら、別に包みもするけれど?」
そしてチップは書かなくてもいい、と妙な話が。
シロエ 「えーっと…? 書かなくてもいいって、何にですか?」
ブルー 「もちろん、お寺の帳簿にだよ!」
税務署が来た時に見せるヤツだ、と生徒会長。
ブルー 「お寺といえども、税務署が来ることもあるしさ…」
スウェナ「税金はかからないんじゃなかったの? 宗教法人って」
ブルー 「細かいことは省略するけど、税務署は来るよ?」
シロエ 「でも、チップだと…」
ブルー 「ノーチェックだね!」
チップだけに、と生徒会長。
キース君、貰っていそうですよね…?
2018/04/09 (Mon)
☆チップがあるなら
入学式の後は「そるじゃぁ・ぶるぅ」のお部屋で、のんびり。
それがシャン学メンバーですけど、キース君から欲しい特別手当。
シロエ 「キース先輩、チップを貰っていそうですよね…」
サム 「だよなあ、いくら副住職でも、見た目が高校生だしよ」
おまけに本物の高校生だぜ、と僧籍な人。
サム 「大学は卒業しちまっててもよ、通ってるのは高校で…」
スウェナ「月参りの後は着替えて登校、きっと有名よね?」
マツカ 「檀家さんたちが知らない筈が無いですよ」
普段からお付き合いがあるからこその月参りです、と御曹司も。
マツカ 「平日に行ったら、ご苦労様です、とチップですよ」
サム 「うんうん、自転車で走っていたって、お車代な」
シロエ 「…という話になってますけど、どうなんですか?」
嘘をつかずに答えて下さい、とシロエ君が睨む副住職。
シロエ 「チップを貰っているんだったら、正直に!」
サム 「お車代ってわけじゃなくても、チップはチップな!」
お布施以外に貰っているなら、全部チップだ、という指摘。
サム 「それで、貰っているのかよ?」
キース 「そ、それはまあ…。こう、お志で…」
いくらか下さる家もあるのだ、と副住職の額にタラリ冷汗。
キース 「しかし金額は微々たるもので、小遣い程度で…」
シロエ 「特別手当を出せるほどには、無いとでも?」
だったら、お給料はどうなんです、と詰め寄るシロエ君。
シロエ 「貰っていないってことは無いでしょう、お給料を!」
サム 「副住職なら、それなりに出ると思うぜ、給料」
住職を助ける立場だからよ…、とサム君も。
サム 「そっちの方から支払うんなら、いけるんでねえの?」
シロエ 「是非、そっちから出して下さい! 特別手当を!」
ジョミー「出すべきだよね!」
キース 「気持ちは分かるが、俺は給料が無いんだが…!」
一同 「「「へ?」」」
なんで無給になると言うんだ、と誰もがキョトン。
副住職ですよね…?
2018/04/10 (Tue)
☆お給料が出ます
入学式を済ませた後は、いつもの溜まり場なシャン学メンバー。
そして話題はキース君の件で、ぜひ特別手当が欲しいと思う面々。
シロエ 「お給料が無いって、どういうことです?」
サム 「それはねえだろ、仮にも副住職なんだしよ」
元老寺から出てる筈だぜ、とサム君も怪訝そうな顔。
サム 「確か坊主も給料の筈で、自分の寺でも、本山でもよ…」
シロエ 「お給料が貰えるものなんですね?」
ブルー 「そこで仕事をしている以上は、そうなるね」
臨時雇いのお手伝いなら、時給っぽいけど、と銀青様も。
ブルー 「一日いくらで貰う形になるけれど…。常勤だとさ…」
シロエ 「毎月、貰えるわけですね? サラリーマンみたいに」
ブルー 「そういうことだね、何処のお寺も同じだよ」
だから税務署の人が来るのだ、とニッコリと。
ブルー 「会社みたいな部分もあるから、脱税チェックに」
一同 「「「あー…」」」
全く来ないわけじゃないのか、と誰もが納得の税務署なるもの。
シロエ 「それなら、キース先輩だって貰ってますよね?」
サム 「アドス和尚には敵わねえだろうけど、それなりに…」
貰っていねえ筈がねえよ、とサム君も言ってますけれど。
キース 「俺が普通の副住職なら、給料も貰える勘定なんだが…」
スウェナ「あらっ、普通に副住職でしょ?」
ジョミー「だよねえ、ヒラの坊主じゃないと思うけど?」
キース 「それがだな…。俺の場合は、現役の高校1年生で…」
見た目も高校生なのがマズイ、と副住職の呻き。
キース 「高校生には給料は早い、と親父がだ…」
シロエ 「まさか、お小遣いなんじゃないでしょうね?」
キース先輩のお給料は…、とシロエ君の問い。
シロエ 「高校生並みのお小遣いを払って、おしまいだとか?」
ジョミー「ぼくたちと大して変わらないとか、そういうオチ?」
キース 「情けないんだが、その通りだ…!」
俺の給料は小遣いなんだ、と副住職の激白。
マジなんですか…?
2018/04/11 (Wed)
☆証拠をお願い
入学式の後は「そるじゃぁ・ぶるぅ」のお部屋で、お茶とお喋り。
そういうシャン学メンバーですけど、問題はキース君と特別手当。
シロエ 「お給料が無くて、お小遣いって…。本当ですか?」
サム 「嘘だろ、お前、副住職じゃねえかよ」
キース 「名前だけなんだ、それと仕事の中身とな…!」
高校生と両立だから、それほど仕事もしていないが、と副住職。
キース 「月参りや法要などはともかく、他の仕事は…」
ブルー 「してないかもねえ、本物の副住職に比べて」
キース 「そうだろう? だから親父が、給料は要らんと…!」
なにしろスクーターの許可も出ないし、と副住職の嘆き節。
キース 「俺は自転車で走るしかなくて、もう月参りが大変で…」
スウェナ「その話は聞いたことがあるけど、お給料もゼロなの?」
キース 「なんと言っても、親父だからな!」
おまけに師僧で、弟子は師僧に絶対服従、とブツブツブツ。
キース 「小遣いがあるだけマシと思え、という姿勢なんだ!」
シロエ 「そうですか…。それじゃ、証拠を見せて下さい」
キース 「証拠?」
シロエ 「さっき会長が言いました。帳簿がある、って!」
お給料が出ていない証拠をお願いします、とシロエ君の注文。
シロエ 「次の土曜日でかまいませんから、コピー持参で」
サム 「いいよな、ソレ! ハッキリするしよ」
ジョミー「お給料を貰っているんだったら、即、バレるしね…」
バレたら特別手当を貰うってことで、とジョミー君も賛同。
ジョミー「次の土曜日! ブルーの家で!」
キース 「そうなるのか?」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 御馳走、用意するからね!」
遊びに来てね、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
ブルー 「じゃあ、決まり! 続きは土曜日!」
シロエ 「コピー、忘れないで下さいよ?」
キース 「分かった、証拠は持参する」
サム 「給料が出てたら、特別手当な!」
約束だぜ、とサム君が立てる親指。
果たして真相は、どうなんでしょうね…?
2018/04/12 (Thu)
☆高そうな給料
入学式の日の放課後に交わした約束、シャン学メンバーと副住職。
土曜日に生徒会長宅で、キース君が無給の証拠を提示すること。
シロエ 「おはようございます! いよいよ今日ですね」
サム 「おう! キースの野郎、持って来やがるだろうな?」
ジョミー「忘れたなんて言わせないよね、もう絶対に!」
スウェナ「取りに帰って貰うわよ! そんな言い訳!」
許すわけないでしょ、と集合場所のバス停で顔を見合わせる面々。
スウェナ「特別手当がかかっているのよ、私たちのための!」
シロエ 「キース先輩にかけられた迷惑、半端ないですしね…」
マツカ 「グレイブ先生の場合よりずっと、酷い筈ですよ」
ぼくたちが被っている迷惑は…、と御曹司も。
マツカ 「例の人を必ず呼び寄せる上に、巻き添えの刑で…」
シロエ 「先月だって法要でしたし、それが永遠ループですよね」
サム 「キースが坊主を辞めねえ限りは、そうなるぜ」
しかも坊主で儲けてやがる、とサム君、ブツブツ。
サム 「マジで無給で、小遣いだけなら仕方ねえけど…」
ジョミー「お給料を貰って、チップも貰っているんなら…」
シロエ 「特別手当を支払うべきです、ぼくたちに!」
ワンコインでは許しませんよ、とシロエ君が握り締める拳。
シロエ 「坊主丸儲けと言いますからね、それなりの額を!」
サム 「札で払うのはお約束ってヤツな、ゼロが多めで」
スウェナ「ゼロはMAXであるべきよ!」
キースが儲けているんなら、とスウェナちゃん。
スウェナ「元老寺は潤っている筈なのよね、宿坊もあるし」
ジョミー「アドス和尚も、パルテノンで遊んでいるらしいしね」
一同 「「「あー…」」」
そうだったっけ、と誰もが納得。パルテノンは花街。
シロエ 「そういうことなら、キース先輩のお給料も…」
ジョミー「普通よりも沢山貰っていそうだよ」
サム 「並みの坊主よりもな!」
証拠を押さえて毟り取ろうぜ、とサム君。
高給取りなら、そうなりますね?
2018/04/13 (Fri)
☆遅刻して来た人
キース君から特別手当を毟り取りたいのが、シャン学メンバー。
けれど無給だと言われたわけで、証拠を見せて貰う約束の土曜日。
シロエ 「キース先輩、遅いですねえ…。逃げたんでしょうか?」
サム 「逃げても無駄だぜ、俺たちの方で押し掛けるしよ」
ジョミー「元老寺だもんね、逃げも隠れも出来ないよね!」
普通の家ならトンズラ出来ても、お寺は無理、とジョミー君。
ジョミー「今は逃げてても、夕方までには帰るだろうし…」
シロエ 「夕方のお勤め、サボったら後が怖そうですしね」
スウェナ「遅くまで遊んでいる時だって、帰ったらアレでしょ?」
サム 「うん、御本尊様に御挨拶な!」
それをしねえとアドス和尚の雷で…、とサム君の証言。
サム 「体調を崩していねえ限りは、罰礼って聞いたぜ」
シロエ 「南無阿弥陀仏に合わせて、五体投地のヤツですね?」
サム 「らしいぜ、基本は百回コースで」
だからそうそう逃げられねえよ、とサム君、ニヤリ。
サム 「バスが遅れているだけでねえの?」
ジョミー「あっ、アレかな?」
キースのバス、とジョミー君が指差す先。
シロエ 「あれですよね、いつも先輩が乗って来る系統は」
マツカ 「乗ってるといいんですけどね…」
乗っていないなら大遅刻ですよ、と御曹司。
マツカ 「キースは大抵、一番に来ていますから」
サム 「だよなあ、坊主は朝が早いしよ」
どうなんだか、と言っている間にバス停に滑り込んだバス。
キース 「すまん、遅くなった!」
シロエ 「逃亡したかと思いましたよ、事情が事情なだけに」
ぼくたちに帳簿を見せたくなくて…、と容赦ない人。
キース 「い、いや…。それはしないが、親父がだな…」
シロエ 「帳簿を出してくれなかったとか、そういうのですか?」
サム 「実務はキースじゃなかったっけか?」
キース 「帳簿は俺の管轄だ。しかし、朝から…」
お勤めでヘマをして罰礼だった、と副住職が落とす肩。
怖い師僧ですね…?
2018/04/14 (Sat)
☆遅刻した理由
キース君から特別手当が欲しいものだ、と願うシャン学メンバー。
ところがキース君は無給だそうで、証拠を見せて貰うことに。
シロエ 「逃亡でなければ、許しますけれど…。罰礼ですか?」
サム 「いったい何をやらかしたんだよ、灰作務かよ?」
キース 「そっちの方は上手くやったが、お膳をだな…」
一同 「「「お膳?」」」
御本尊様用のお膳だろうか、と誰もがピンとくる言葉。
サム 「お膳、おふくろさんじゃなかったっけか?」
ジョミー「だよねえ、イライザさんが作って供えるんだよね?」
スウェナ「お膳の中身がどうなっていても、関係ないでしょ?」
キースには、とスウェナちゃんの指摘。
スウェナ「ご飯の水加減が間違って、お粥になっていたって」
シロエ 「おかずが少々焦げていたって、キース先輩とは…」
マツカ 「全く関係ないわけですし、責任だって無いですよね?」
なのに、どうして罰礼なんです、と御曹司も。
マツカ 「まさか、アドス和尚、イライザさんには甘くって…」
シロエ 「代わりにキースに八つ当たりなのかよ?」
キース 「いや、それは無い! 俺の不手際だ」
蝋燭のせいでやっちまった、と嘆く副住職。
キース 「こう、灯明を灯す時にだ、衣の袖が引っ掛かって…」
シロエ 「お膳を落としたんですか?」
キース 「違う、落ちたのは燭台の方だ」
よりにもよって、お膳のド真ん中に…、という悲しい告白。
キース 「もちろん、お膳はひっくり返って、作り直しで…」
一同 「「「あー…」」」
それは罰礼も食らうであろう、と一同、納得。
サム 「でもって、朝のお勤めの方も遅れたのな?」
キース 「おふくろがお膳を作り直す分だけ…」
そして、その間に罰礼を食らった、との話。
キース 「それで大幅に遅刻したんだ、申し訳ない」
シロエ 「帳簿のコピーは、あるんでしょうね?」
サム 「忘れてねえよな?」
そっちが肝心なんだからよ、と睨むサム君。
どうなんでしょうね…?
2018/04/15 (Sun)