☆冤罪なケース
さて、七月。期末試験も無事に終了、次に来るのは夏休みでして。
今年の夏はどうしようかと、シャン学メンバーが集う生徒会長宅。
ジョミー「海の別荘は外せないけど、山の別荘も行きたいよね!」
マツカ 「どちらも準備してありますから、オッケーですよ」
シロエ 「マツカ先輩、今年もよろしくお願いします!」
海の方は余計な人が来るんですけど、とシロエ君の深い溜息。
シロエ 「その上、日程も仕切って来ますし、迷惑ですよね…」
サム 「結婚記念日は、海の別荘だと決めてやがるし…」
スウェナ「絶対、その日に重ならないと駄目なのよね…」
ホントに迷惑な話だわよ、とスウェナちゃんも。
スウェナ「なんであんなに迷惑なのよ、あの誰かさんは!」
キース 「…言っておくがな、それだけは俺は無関係だからな!」
ヤツの結婚には関わっていない、と副住職。
キース 「人前式でやりやがったし、付き合わされただけだ!」
シロエ 「言われてみれば、そうでしたね…」
ジョミー「迷惑は全部、キースのせいだと思ってたけどね…」
あっちの世界に行って欲しいくらいに、とジョミー君、パチクリ。
ジョミー「キースと関係ないのもあるんだ、ちょっとビックリ」
シロエ 「ええ。もれなくキース先輩が絡むとばかり…」
そういうわけでもなかったんですか、とシロエ君も瞳をパチパチ。
シロエ 「じゃあ、その件に関しては冤罪ですね」
キース 「冤罪だって!?」
シロエ 「はい。先輩のせいだと、ぼくも思ってましたから!」
無罪ということでいいでしょう、と偉そうな姿勢。
シロエ 「でもですね…。ちゃんと自重して下さいよ?」
キース 「自重?」
何を自重だ、とキース君の問い。
キース 「俺にはサッパリ分からないんだが、どういう意味だ?」
シロエ 「ありとあらゆることですよ!」
スウェナ「そうよね、夏はお盆もあるし…」
シロエ 「危険なんです!」
災難を呼び込まないようにお願いします、との注文。
当然ですよね?
2018/07/01 (Sun)
☆自重して欲しい
夏休みの計画を練るシャン学メンバー、ハタと気付いたのが冤罪。
ソルジャー絡みの迷惑は全部、キース君のせいではないわけで…。
シロエ 「誰かさんの結婚については、先輩は確かに無罪です」
サム 「それには俺も異存はねえけど、他のことはよ…」
ジョミー「もれなくキースのせいっぽいよね、どう考えても」
やっぱり自重してくれなくちゃ、とジョミー君も。
ジョミー「結婚の件はシロだからって、大きな顔をされてもさ…」
シロエ 「困りますよね、本当に諸悪の根源ですから」
マツカ 「ええ。例のアカウントは、今も健在ですからね」
何も呟いていないだけです、と御曹司がサッと取り出すスマホ。
マツカ 「ぶるぅが写真を撮って来なくても、呟くくらいは…」
シロエ 「いつでも出来るようになっているんです!」
キース 「まだあったのか!?」
マツカ 「削除する理由がありませんしね?」
残しておけば抑止力にもなりますから、とマツカ君、涼しい顔。
マツカ 「何かあったら、すぐに呟くだけですよ」
ジョミー「副住職だけど、何か訊きたいことある、だよね?」
マツカ 「#坊さんあるある、も忘れずにつけておきますよ」
それが嫌なら自重して下さい、と御曹司、人のいい笑みを。
マツカ 「なんと言っても、夏は危険なシーズンですから」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ お盆があるもんね!」
お盆と言ったら棚経だもん、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
ぶるぅ 「今年も絶対、注文、あるよね!」
シロエ 「あるでしょうねえ…」
誰かさんのせいで、と副住職をギロリ。
シロエ 「そこは諦めがついてますから、他の部分を…」
マツカ 「気を引き締めてお願いします」
隙だけは作らないように、と御曹司。
マツカ 「プラスアルファは御免ですからね」
キース 「そう言われても、俺にはどうにも出来んのだが!」
シロエ 「ぼくたちだって同じですよ!」
避けられないから困るんです、とシロエ君の嘆き。
そりゃそうですよね…?
2018/07/02 (Mon)
☆流れが変わるかも
夏休みの計画を練ろうと集ったシャン学メンバー、話題は災難。
キース君がいる限りやって来るもので、自重して欲しい代物で…。
シロエ 「先輩が避けられないのと同じで、ぼくたちもです!」
マツカ 「しかも巻き込まれる方ですからねえ、ぼくたちは…」
いつもキースの巻き添えですよ、と御曹司がつく深い溜息。
マツカ 「そこをしっかり心得て下さい、災難が減るように」
サム 「まったくだぜ。お盆ってだけで一つは確定だしよ」
俺は直接関係ねえけど、と僧籍な人。
サム 「アドス和尚のお供をしてれば、棚経は他所の家だしよ」
ジョミー「あーっ! そうだっけ、サムは毎年いないんだっけ!」
ズルイ、とジョミー君の声。
ジョミー「ぼくは毎年やらされてるのに、なんでサムだけ…!」
サム 「そりゃよ…。アドス和尚の覚えがめでたいからだぜ」
直々にお声掛かりがあるしよ、という棚経のお供。
サム 「今年もワシの方でいいのか、って」
ジョミー「そうだけど…。そうなんだけど、ぼくだって…!」
お供が出来る資格はある筈、とジョミー君、ブツブツ。
ジョミー「たまには代わって欲しいよ、ソレ!」
サム 「俺はそれでもかまわねえけど…。耐えられるのかよ?」
自転車でスクーターを追い掛けるんだぜ、とサム君、腕組み。
サム 「キースのお供なら、同じ自転車で済むけどよ…」
ジョミー「うーん…。キツイのかなあ、そっちの方が…」
サム 「体力的には、もうギリギリだぜ、熱中症とセットで」
それでいいなら代わってもいい、という申し出。
サム 「キースのお供が俺に変われば、棚経だってよ…」
シロエ 「流れが変わるかもしれませんね!」
サム先輩なら修行が出来てますから、とシロエ君。
シロエ 「誰かさんが無茶を言って来たって、それなりに…」
スウェナ「スルースキルはありそうね?」
キース 「そうかもしれんな…」
下手にオタオタしない分だけマシだ、と副住職も。
選手交代ですか…?
2018/07/03 (Tue)
☆流れを変えたい
夏休みの計画を練っているシャン学メンバー、話題は棚経へと。
確実に災難を呼ぶブツですけど、流れが変わりそうな要素が。
キース 「ジョミーは俺とセットものだが、今年は外すか…」
シロエ 「アドス和尚の許可は取れそうですか?」
ジョミー先輩は無能ですが…、とシロエ君の酷すぎる指摘。
シロエ 「お経は口パク同然ですし、作法もまるで駄目ですが」
キース 「そこは何とかなるだろう。親父に言えば」
ジョミー「えっと…。どんな感じに?」
ぼくの運命、それ次第だけど、とジョミー君の問い。
ジョミー「覚えがめでたくなってくれないと、困るんだけど…」
キース 「安心しろ。親父には自分から志願したと伝えておく」
立候補だな、と副住職が立てる親指。
キース 「心を入れ替えて修行したくなった、で、いいだろう」
ジョミー「ちょ、ちょっと…! 修行って…!」
その言い方はマズくないか、と慌てるジョミー君。
ジョミー「早くから拘束されそうだけど…。棚経の準備で!」
キース 「それはまあ…。読経の練習とかはあるかもしれんな」
ジョミー「や、やっぱり…! ソレ、要らないから!」
修行する気は全然ないから、とタラリ冷汗。
ジョミー「サムと入れ替えて貰えるだけでいいんだけど…!」
サム 「でもよ、お前はシロエも言ってる通りに無能だしよ」
キース 「まったくだ。お前を親父に推薦できる理由がない」
俺も自信を持って親父にオススメ出来ん、とキッツイ一言。
キース 「だが、交換して欲しいという声もあるしな…」
シロエ 「そうなんです! サム先輩なら有能ですから!」
誰かさんの妙な注文があっても乗り切れそうです、とシロエ君。
シロエ 「キース先輩をしっかりサポート、それこそ隙なく!」
スウェナ「駄目なものは駄目だと言ってくれそうよね?」
サム 「通るかどうかは分かんねえけどな」
キース 「あいつだからな…」
素直に聞くとも思えないが、と言ってますけど。
ワンチャンですね?
2018/07/04 (Wed)
☆欲しいのは希望
夏休みの計画中のシャン学メンバー、今の話題は棚経のことで。
お盆になれば来るのが棚経、キース君のお供を取り替える話。
キース 「あの馬鹿野郎は、人の話を聞かないからな…」
シロエ 「でもですね…。言いなりのジョミー先輩よりは…」
マツカ 「サムの方が頼りになる気がしますよ、ワンチャンで」
駄目で元々じゃないですか、と御曹司も。
マツカ 「サムが注意して聞いてくれなくても、その時ですよ」
スウェナ「何も言わないジョミーよりマシね、どう考えても」
取り替えましょうよ、とスウェナちゃんも乗り気。
スウェナ「今年のキースのお供はサムで! それがいいわよ」
ジョミー「ぼくの立場はどうなるわけ!?」
アドス和尚のシゴキがありそう、と怯えるジョミー君ですけど。
シロエ 「そこは我慢をして下さい。みんなのためです」
マツカ 「たまには奉仕の精神を発揮するべきですよ」
腐ってもお坊さんでしょう、と御曹司のツッコミ。
マツカ 「世のため、人のために尽くしてなんぼの職業です」
ジョミー「そうじゃない人が此処にいるけど!」
歩く迷惑、とジョミー君が指差す副住職。
ジョミー「諸悪の根源はキースなんだし、我慢はキースで!」
キース 「だが、あの馬鹿の結婚の件については無罪だぞ」
冤罪だったと認めただろうが、と副住職の反論。
キース 「全部が全部、俺のせいではないんだからな!」
ジョミー「だ、だけど…! だからって、ぼくに回すなんて!」
酷い、とジョミー君も反撃。
ジョミー「キースのお供がサムになっても、何か変わるとは…」
シロエ 「限りませんけど、希望はあります」
誰だって希望が欲しいんですよ、とシロエ君。
シロエ 「ですから交代して下さい! 少なくとも、今年は!」
マツカ 「それで何かが変わるようなら、有難いですしね」
スウェナ「無駄だった時は、元に戻せばいいわよ。また来年に」
今年はサムにすればいいでしょ、とトントン拍子。
どうなるんでしょう…?
2018/07/05 (Thu)
☆相談は折を見て
夏休みの計画を練っているシャン学メンバー、お盆の棚経対策。
キース君のお供をサム君にすれば、災難を避けられる可能性が。
スウェナ「キースも、そういうことでいいでしょ?」
シロエ 「お供としては、サム先輩の方が優秀ですしね」
キース 「確かに、いいことずくめではある」
デキるお供がついてくる上に、災難も回避、と副住職。
キース 「分かった、帰ったら親父に相談しておく」
一同 「「「イイネ!!!」」」
ジョミー「そ、そんな…!」
あんまりだよ、と喚くジョミー君ですけど、誰もがスルー。
シロエ 「それじゃ、夏休みの計画の方に移りましょうか」
スウェナ「最初は合宿が入るから…。私だけが留守番なわけね」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ぼくとブルーもお留守番!」
サムとジョミーは修行だよね、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
ぶるぅ 「今年も璃母恩院で頑張って来てねーっ!」
ジョミー「ソレも断わりたいんだけど…!」
ブルー 「ダメダメ、棚経に備えて修行も頑張る!」
ぼくの顔に泥を塗らないでくれたまえ、と銀青様の睨み。
ブルー 「老師にお願いしてあるんだから、真剣にやる!」
サム 「そうだぜ、有難い話じゃねえかよ」
ジョミー「キツイだけだし…!」
あんなのは嫌だ、と叫ぶだけ無駄というもので…。
シロエ 「えーっと…。合宿と修行が終わったら山の別荘で…」
キース 「ああ。その合間にジョミーは親父のシゴキだ」
親父がその気になってくれれば、と副住職の笑み。
キース 「卒塔婆書きで気が立っているから、半端じゃないぞ」
シロエ 「そういえば、そういうシーズンでしたね」
朝から晩まで卒塔婆書きの季節でしたっけ、とシロエ君。
シロエ 「熟練のアドス和尚でもキレるわけですか?」
キース 「もちろんだ。いつでも瞬間湯沸かし器という状態だ」
スウェナ「ブチ切れるのね?」
キース 「些細なことでな!」
だから慎重に持ち掛けないと…、という棚経の話。
怖そうですねえ…?
2018/07/06 (Fri)
☆晩酌用にお届け
夏休みの計画中のシャン学メンバー、お盆の棚経の方も対策中。
キース君のお供をサム君に変えて、災難を回避する目論見で…。
シロエ 「キレやすいんなら、充分に注意して下さいよ?」
スウェナ「そうよ、話がパアになったら困るもの」
ジョミー「ぼくは、その方がいいんだけど!」
マツカ 「ジョミーの意見は、誰も聞いてはいませんから」
大切なのは棚経対策です、と御曹司、バッサリ。
マツカ 「キース、よろしくお願いします。アドス和尚に」
キース 「承知した。晩酌の時にでも尋ねてみよう」
ぶるぅ 「んとんと…。それなら、何か持ってく?」
枝豆でも茹でてあげようか、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
ぶるぅ 「キースが訊きに行く時間に合わせて、お届けで!」
キース 「有難い。瞬間移動で届くんだな?」
ぶるぅ 「うんっ! 冷奴とかもつけて、晩酌セット!」
それでどうかな、と笑顔全開。
ぶるぅ 「卒塔婆書きで毎日疲れてるんなら、お疲れ様、って」
キース 「なるほどな…。銀青様からの差し入れか…」
きっと効果は抜群だろう、と副住職。
キース 「一気に機嫌が良くなるだろうし、チャンスだな」
ブルー 「ただ、問題はジョミーなんだよね…」
なにしろスキルが低すぎるから…、と生徒会長、深い溜息。
ブルー 「ぼくだってオススメしかねるわけだし、あまり…」
キース 「正直言って期待は出来んが、可能性に賭けよう」
相談は今夜だ、と副住職の決意。
キース 「駄目だった時は諦めてくれ。俺も親父が怖いからな」
シロエ 「分かってます。でも、出来るだけのことは…」
スウェナ「やって欲しいわよね」
晩酌セットもつくんだから、とスウェナちゃん。
スウェナ「いいわね、棚経のお供、今年は交代よ?」
キース 「ああ。俺にはサムがつく方向で」
一同 「「「イイネ!!!」」」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 説得、頑張ってねーっ!」
明日が楽しみ、と飛び跳ねるお子様。
晩酌セットは効くんでしょうか?
2018/07/07 (Sat)
☆結果にワクワク
夏休みの計画中のシャン学メンバー、お盆の棚経も気になる所。
キース君のお供をサム君にすれば、少しはマシになりそうで…。
シロエ 「キース先輩、説得よろしくお願いします!」
キース 「分かった、名誉挽回のチャンスだからな」
ぶるぅの晩酌セットに期待だ、といった所で解散、そして翌日。
シロエ 「おはようございます!」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ いらっしゃい!」
今日もゆっくりしていってね、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
スウェナ「棚経の話は、どうなったのかしら?」
ぶるぅ 「んとんと…。ぼくは覗き見してないし…」
ブルー 「ぼくも覗いていないんだよ。キースの報告待ちだね」
こういったことはサプライズがいい、と生徒会長の笑顔。
ブルー 「いい日曜日になるといいねえ、みんな御機嫌で」
シロエ 「ええ、本当に…」
キース先輩はまだでしょうか、と誰もが目を遣る玄関の方。
サム 「話が上手く運んでた時は、俺も楽が出来るぜ」
シロエ 「スクーターを追い掛けなくても済みますしね」
マツカ 「自転車ですしね、キツいですよ」
その点、キースのお供だったら自転車同士で…、と御曹司も。
マツカ 「サムのためにも、吉報が欲しい所ですが…」
ジョミー「ぼくには吉報なんかじゃないから!」
シロエ 「ジョミー先輩の立場は、どうでもいいんです!」
大勢が幸せになれれば、それで…、とシロエ君、キッパリ。
シロエ 「それで効果があるようだったら、来年もですね」
ジョミー「ええっ!?」
スウェナ「そうよね、ずっとサムでいいわね、棚経のお供は」
安心なのが一番なのよ、と言った所へチャイムの音が。
シロエ 「キース先輩の御到着ですよ!」
ぶるぅ 「いらっしゃーい! 入って、入って!」
サム 「いよいよ昨日の報告が聞けるぜ、楽しみだよな!」
ジョミー「ぼくは、ちっとも楽しみじゃないよ!」
キース 「遅くなってすまん」
待たせたな、と副住職の登場ですけど。
さて、結果は…?
2018/07/08 (Sun)
☆断わられました
夏休みを控えたシャン学メンバー、お盆の棚経用に立てた対策。
キース君のお供をサム君に変更、災難を回避するつもりでして。
シロエ 「キース先輩、首尾はどうでしたか?」
マツカ 「サムに変更出来たんでしょうか、アドス和尚のお供」
キース 「……それがだな……」
申し訳ない、と副住職、いきなりのお詫び。
シロエ 「思いっ切りダメだったんですか!?」
キース 「ああ。親父の機嫌は良かったんだが…」
ぶるぅの晩酌セットのお蔭で…、と効果はあった晩酌セット。
キース 「冷奴に枝豆、他にも洒落たのを届けてくれて…」
ぶるぅ 「ぼく、頑張ったのに…。ダメだったの?」
そんなぁ…、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」、涙目。
ぶるぅ 「もっと頑張った方が良かった? 夜食セットとか?」
キース 「いいや、ぶるぅは悪くない。悪いのはだな…」
そこのジョミーだ、と指をビシイ! と。
ジョミー「ぼく!?」
キース 「そうだ、貴様が無能だからだ!」
未だにお経も口パクだしな、と副住職が吊り上げる眉。
キース 「今から仕込んでも間に合わん、と言われたんだ!」
一同 「「「あー…」」」
間に合わないよね、と誰もが納得。
シロエ 「それじゃ、今年の棚経もジョミー先輩ですか…」
キース 「残念ながら、そういうことだな」
諦めてくれ、と苦渋の表情。
キース 「その分、それまでの夏休みを、だ…」
シロエ 「楽しむしかないってことですね…」
山の別荘には誰かさんが来ませんからね、とシロエ君。
シロエ 「仕方ありません、お盆までの期間を楽しみましょう」
サム 「その前に、お互い、合宿と修行体験だけどよ…」
ブルー 「ジョミーは特に頑張りたまえ!」
無能だと言われないように、と銀青様の仰せ。
ブルー 「この夏休みを有意義に!」
シロエ 「ぼくたちは柔道を頑張りますから!」
ジョミー「なんで、ぼくまで!」
悪いのはキースだ、と喚いてますけど。
夏休みも波乱になりますかねえ…?
2018/07/09 (Mon)
☆修行して欲しい
棚経の災難を回避するべく、シャン学メンバーが考え出した策。
けれどもアドス和尚に蹴られて、そして夏休みのスタートで…。
ジョミー「あー、疲れたー…。今年も死んだ…」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ おかえりなさぁーい!」
お疲れ様でしたー! と「そるじゃぁ・ぶるぅ」のお出迎え。
シロエ 「ぼくたちも無事に合宿終了です。有意義でした!」
キース 「ああ。ジョミーの修行がどうだったかは知らんがな」
ジョミー「いつも通りだよ、死んだだけだよ…」
なんで一週間も修行を、とジョミー君、ブツブツ。
ジョミー「普通のコースは二泊三日で終わるのに…」
サム 「ブルーのお蔭で延長なんだぜ、有難く思えよ」
なのにお経も覚えねえなんて、とサム君の文句。
サム 「そんな調子じゃ、プロの坊主になれねえぜ?」
ジョミー「ならなくていいから!」
シロエ 「いいえ。そこの所は、なって貰わないと困ります!」
サム先輩の代理が務まるようにして下さい、という注文。
シロエ 「でないと、棚経のお供が出来ません。アドス和尚の」
ジョミー「なんで、ぼくが!」
スウェナ「決まってるじゃない、災難除けよ!」
来年は代わって欲しいものね、とスウェナちゃん。
スウェナ「誰かさんを封じられるパワーが必要なのよ!」
サム 「俺に出来るって保証はねえけど、ジョミーよりは…」
オタオタしねえ分だけマシかな、とサム君も。
サム 「毎年、悲惨みてえだけどよ」
キース 「あの馬鹿野郎は、勘違いをしていやがるからな!」
お盆を何だと思ってるんだ、と副住職も苦い顔。
シロエ 「お彼岸とかと同列でしょう?」
マツカ 「それっぽいですよね…」
御利益パワーに期待ですから、と御曹司。
マツカ 「今年も何かやらかさないといいんですけどね…」
シロエ 「妙なオブジェは勘弁ですよ」
サム 「スイカに卒塔婆が刺さってたって聞くよな…」
俺ならビビッてもスルー出来るぜ、とサム君の自信。
頼もしいですね?
2018/07/10 (Tue)
☆サプライズの場
夏休みがスタートしてるんですけど、今年のお盆も受難の予感。
棚経のお供をサム君にする策、見事にコケてジョミー君でして。
シロエ 「サム先輩なら、スルースキルが高そうですしね…」
マツカ 「ジョミーよりも修行が出来ている分、安心ですよ」
ブルー 「それは間違いないだろうねえ、棚経に専念!」
周りなんかは気にしないよね、と銀青様も。
ブルー 「デキる坊主は、そんなものだよ。何があろうと!」
キース 「言えてるな…。棚経は年に一度のサプライズの場だ」
一同 「「「サプライズ?」」」
キース 「普段は行かない家にもお邪魔するからな」
それだけに驚く要素は山ほど、と副住職の言。
キース 「線香立てに線香が刺さらないのは普通だそうだ」
一同 「「「へ?」」」
何故、お線香が刺さらないのかと首を傾げる御一同様。
シロエ 「あのですね…。線香立ては、お線香専用ですよ?」
スウェナ「お線香用に出来ているのよ、刺さらないなんて…」
マツカ 「普通じゃないと思いますけど?」
欠陥商品というヤツでしょうか、と御曹司の問い。
マツカ 「百均とかで買ったヤツだと、刺さらないとか…?」
キース 「いや。高級品の線香立てでも、ダメな時はダメだ」
シロエ 「何故、そうなるんです!」
キース 「全く使っていないからだな、普段の日には」
灰がすっかり固まってしまって刺さらないのだ、という話。
キース 「そうなった時も、冷静に対処してこそで…」
シロエ 「気合で刺すというわけですか?」
キース 「力任せでは折れてしまうし、灰作務からだ」
失礼します、と線香立てのケアをするのが正しいとか。
キース 「そんなのは、まだ序の口で…。他にも沢山」
スウェナ「サプライズがあるということね? 棚経に行くと」
キース 「座布団を猫が占拠していて動かないとか、色々と…」
シロエ 「誰かさんじゃなくても、リスキーですね…」
スルースキルが要りそうですね、とシロエ君。
恐るべし、棚経…。
2018/07/11 (Wed)
☆アウトらしい猫
夏休みに入ったシャン学メンバー、話題はお盆の棚経について。
必須らしいのがスルースキルで、お坊さんなら高くて当たり前。
シロエ 「あのですね…。猫の対処はどうするんですか?」
キース 「座布団を占拠されてた時か?」
シロエ 「そうです、そうです! 気になりますから」
正しい対処の方法が、と好奇心に輝く瞳。
シロエ 「線香立てならケアらしいですし、猫の場合は?」
キース 「おい。…マニュアルがあると思うのか?」
猫なんぞに、とキース君の渋面。
シロエ 「無いんでしょうか?」
キース 「あるわけなかろう、そうでなくても猫はだな…」
ブルー 「坊主の世界では、ちょっとランクが落ちるんだよ」
一同 「「「へ?」」」
なんでまた、と誰もがキョトン。
シロエ 「ランク落ちって、何なんですか?」
キース 「そのまんまだが? ペットとしては人気なんだが…」
ブルー 「経典をしっかり勉強するとね、アウトなのがね…」
一同 「「「アウト?」」」
ますますもって意味が不明だ、と顔を見合わせる御一同様。
シロエ 「アウトって…。猫のどの辺が駄目なんでしょう?」
マツカ 「ピラミッドよりも古い時代から、飼われてますよね」
人気の上では犬と同格では…、と御曹司。
マツカ 「経典を齧るネズミも退治していた筈ですが?」
キース 「まあ、そういうのはあるんだが…。しかしだな…」
ブルー 「どうしようもない生き物だという認識がね…」
猫にはセットものなんだよね、と銀青様の深い溜息。
ブルー 「涅槃図というのを知ってるかい?」
一同 「「「えーっと…?」」」
ブルー 「涅槃会に必須の絵なんだけどね」
お釈迦様の御命日が涅槃会で…、という説明。
ブルー 「その絵には猫がいないんだよ」
キース 「沢山の動物が、お釈迦様の死を嘆くんだが…」
ブルー 「正統派だと、猫は描かない」
一同 「「「え?」」」
どうしてなのだ、と一同、ビックリ。
何故、猫が不在に…?
2018/07/12 (Thu)
☆罪深い生き物
夏休み中のシャン学メンバー、話題はお盆の棚経なんですけど。
棚経を妨げるモノは色々、猫もあるそうで、その猫が問題。
シロエ 「猫は描かないって…。涅槃図のお約束ですか?」
キース 「描いてあるのも少なくはないが、そういったのは…」
ブルー 「絵師の知識が足りないんだな、と思われるよね」
坊主の視点で眺めたならば、と銀青様のお言葉。
スウェナ「どうして猫は駄目なのよ? 可愛いじゃないの!」
マツカ 「ランクが落ちるから、描かないんですか?」
キース 「いや、本来は描くべきではない生き物なんだ」
ブルー 「なにしろ、罪深い生き物だしねえ…」
お経をしっかり勉強したなら、それが分かる、という話。
ブルー 「やってはいけないことをしたのが、猫だからさ…」
キース 「ああ。お釈迦様がお亡くなりになった元凶だからな」
一同 「「「ええっ!?」」」
どうして猫がお釈迦様を…、とビックリ仰天の御一同様。
シロエ 「猫って、アサシンだったんですか!?」
キース 「いや、差し向けられたわけではないし…」
ブルー 「本能に忠実に行動した結果が、そうなったんだよ」
一同 「「「本能…?」」」
煩悩じゃなくて本能なのか、と誰もがポカーン。
シロエ 「本能で行動した結果って…。殺人鬼でしょうか?」
マツカ 「猫又なら、そうなるでしょうけどね…」
スウェナ「それは普通の猫なわけよね?」
どう転がったら、お釈迦様を殺せるのよ、とスウェナちゃん。
スウェナ「何かウイルスを持っていたわけ?」
シロエ 「それはあるかもしれませんね。狂犬病とか」
お釈迦様を噛んだら感染したとか…、との説も出てますけれど。
キース 「それなら同情の余地がある。猫に罪は無いしな」
シロエ 「だったら、何をやったんです?」
ブルー 「特効薬を奪ったんだよ、お釈迦様の病を治すための」
一同 「「「特効薬…?」」」
ますます分からん、と深まる謎。
いったい、猫が何をやらかしたんでしょう…?
2018/07/13 (Fri)
☆奪われた薬
夏休みに入ったシャン学メンバー、今の話題は棚経ですけれど。
そこからズレて猫の話で、罪深い生き物だということでして…。
シロエ 「特効薬を猫が奪ったって…。本当ですか?」
マツカ 「マタタビだったら分かりますけど、薬ですよね?」
その猫は薬物中毒だったんでしょうか、と御曹司の疑問。
マツカ 「猫の好物は魚とかですし、薬なんかは…」
シロエ 「盗らないと思いますけどね?」
キース 「直接、盗ったわけではないな。それは確かだ」
ブルー 「単に、好物を捕まえて食べただけなんだけどね…」
それが罪深かったのだ、と銀青様、合掌。
ブルー 「お釈迦様は食あたりで亡くなったんだよ」
一同 「「「食あたり?」」」
キース 「ああ。柔らか豚という食べ物にあたってな」
一同 「「「柔らか豚?」」」
肉じゃないか、と誰もが見合わせる顔。
ジョミー「なんで、肉!? ぼくでも精進料理だったのに!」
サム 「修行体験も本物の修行も、肉はダメだぜ?」
キース 「その辺は後付け設定なんだ」
ブルー 「お釈迦様の時代は、肉を食べても良かったんだよ」
そしてお召し上がりになったのが柔らか豚だ、と銀青様。
ブルー 「だけどあたって、命の危機になってしまって…」
キース 「お釈迦様の母上が、お浄土から特効薬をだな…」
ブルー 「地上へと投げて下さったんだよ。でも、その薬が…」
キース 「高い木の枝に引っ掛かってしまって、届かなくて…」
取りに登ろうとしたのがネズミなのだ、と副住職の解説。
キース 「薬が引っ掛かった枝を齧れば、落とせるからな」
シロエ 「ネズミなんですか? だったら、猫は…」
そのネズミを捕まえて食べたんですね、とシロエ君。
シロエ 「それで薬は届かないままで、お釈迦様は…」
キース 「そういうことだ。実に罪深いことをしたものだな」
ブルー 「死んで詫びても足りないほどだよ」
お釈迦様を殺したんだから、とキッツイ言葉が。
涅槃図にいないわけですねえ…?
2018/07/14 (Sat)
☆逸れた矛先
夏休み中のシャン学メンバー、棚経のお供からズレている話題。
お坊さんから見れば罪深いのが、猫という生き物らしくって…。
シロエ 「お釈迦様を殺した犯人扱いなんですか? 猫は」
キース 「その通りだが? ちゃんと薬が届いていれば、だ…」
ブルー 「お釈迦様は治ったわけなんだからね」
なんと言ってもお浄土特製の特効薬だ、と銀青様。
ブルー 「それを阻んだ猫はアウトだよ、どう考えても」
キース 「お釈迦様の死を嘆く資格は全く無いな」
涅槃図に登場しないのは当然、と副住職も。
キース 「そんな生き物に対して、マニュアルは要らん!」
一同 「「「あー…」」」
棚経の話ね、と頷く御一同様。
シロエ 「猫が座布団を占拠してた場合は、適当なんですね?」
キース 「流石に蹴飛ばすわけにはいかんし、待ちの姿勢だな」
飼い主が追い払うか、自主的に退去してくれるのを…、と。
キース 「中には運んだ坊主もいる」
一同 「「「へ?」」」
キース 「動かないから、檀家さんと一緒に、座布団ごと」
仏壇の前が空かないことには棚経が出来ん、と、もっともな話。
キース 「そういうサプライズが山ほどあるのが、棚経だな」
スウェナ「スルースキルは確かに要るわね…」
マツカ 「サムの方が明らかに向いていますね、棚経に…」
誰かさんが何をやらかそうともスルーですから、と御曹司。
マツカ 「でも、ジョミーだと、巻き込まれますし…」
シロエ 「早く代わって欲しいですよね、修行を積んで」
アドス和尚のお眼鏡に叶う器になって…、とシロエ君も。
シロエ 「そうすれば少しは平和になります!」
スウェナ「今よりはマシね」
ジョミーも努力しなさいよ、と逸れた矛先。
スウェナ「この夏から心を入れ替えて! お経も読んで!」
サム 「まずは口パク卒業だよなあ、勉強しろよ?」
一同 「「「イイネ!」」」
ジョミー「ぼくが!?」
なんで、と慌てふためくジョミー君。
これは旗色、悪そうかも…?
2018/07/15 (Sun)