☆打ち上げを希望
さて、八月。暑さの方もMAXな時期で、容赦なく照るお日様。
シャン学メンバー、生徒会長宅で過ごすのが定番ですけれど…。
シロエ 「楽しかったですねえ、山の別荘は! 涼しくて…」
ジョミー「アルテメシアとは全然違うよね! まさに高原!」
サム 「ボート遊びとかも出来たし、最高だったぜ」
マツカ 「お役に立てて何よりです。また来年もどうぞ」
その前に海の別荘もありますけどね、と御曹司。
マツカ 「余計な面子が増えるんですけど、そっちの方は…」
スウェナ「諦めてるわよ、結婚記念日じゃ仕方ないから」
ブルー 「そればっかりは変えられないからねえ…。日付」
何事も無いことを祈ろう、と生徒会長、合掌。
ブルー 「ところでキースはどうなんだい? 卒塔婆書きは」
キース 「まさにリーチといった所だ、またしても親父が!」
シロエ 「敵前逃亡したんですか?」
キース 「これも毎年のことなんだがな!」
俺に思い切り押し付けやがった、とブツブツブツ。
キース 「副住職の務めだ何だと、屁理屈をつけて!」
シロエ 「でもですね…。そのくらいは辛抱して欲しいですね」
マツカ 「まったくです。ぼくたちも泣きを見るんですから」
キースが棚経を引き受けたお蔭で…、と御曹司の溜息。
マツカ 「地獄の沙汰も金次第ですけど、何もあんなのを…」
ブルー 「お布施に釣られて、ホイホイとね…」
キース 「そ、それは…。しかし、どのみち、避けようが…」
無いと思うし、お布施は高い方がいい、と開き直る人。
キース 「破格のお布施を貰えるんなら、やらねばな」
ジョミー「じゃあ、ぼくたちにもお裾分け!」
特別手当は貰えないんだし、少しだけでも…、という言い分。
ジョミー「棚経の打ち上げパーティーとかでいいからさ!」
シロエ 「いいですね、それ!」
キース 「打ち上げパーティー?」
ジョミー「みんなで焼肉とかで、パアーッと!」
それくらいしてもいいと思う、とジョミー君。
いい案ですね…?
2018/08/01 (Wed)
☆打ち上げをしたら
とうとう来たのが八月でして、お盆の棚経がやって来る時期で。
今年もスッポンタケの棚経、引き受けてしまったのがキース君。
キース 「打ち上げパーティーだって? 棚経のか?」
ジョミー「そう! ぼくも暑さでバテバテになるし!」
サム 「俺も毎年、倒れそうだしよ…。いい案だよな」
自転車でスクーターを追って走るのはキツイ、とサム君。
サム 「でもよ、終わったら打ち上げパーティーだったら…」
シロエ 「サム先輩も気合が入りますよね!」
サム 「もちろんじゃねえか。熱中症にはなってられねえ!」
打ち上げパーティー、大いに賛成、とサム君も乗り気。
サム 「キースがスポンサーになるんだよな?」
スウェナ「そういうことよね、誰かさんから貰うお布施で」
キース 「待ってくれ! お前たち、よく考えろ!」
お布施を誰が持って来るのかを…、と副住職。
ジョミー「誰って…。例の困った人だよ」
シロエ 「スッポンタケに人生を賭けてる人ですよね」
マツカ 「たかがキノコだと思うんですけど、本気ですしね…」
イワシの頭も信心からとは言いますけどね、と御曹司の呆れ顔。
マツカ 「あんなので船が守れたら、誰も苦労はしませんが?」
ブルー 「守れるつもりでいるってトコがね…」
あの発想は、ぼくにも謎だ、と生徒会長、お手上げのポーズ。
ブルー 「破格のお布施を包んで棚経を希望だからね」
キース 「そこが問題だと言っている! お布施はだな…」
あいつが包んで来るんだぞ、と副住職の渋面。
キース 「当然、お布施の使い道もチェックするだろう」
一同 「「「え?」」」
キース 「有意義かどうか!」
スッポンタケの役に立ったかどうかは、要チェック、と。
キース 「なのに、お前たちが飲み食いしたとなったら…」
シロエ 「……マズイですね……」
キース 「間違いなく、末代まで祟るぞ!」
一同 「「「うわー…」」」
それは困る、と誰もが顔面蒼白。
終わりですもんね…?
2018/08/02 (Thu)
☆打ち上げは無理です
今年も八月がやって来たわけで、その内にスッポンタケの棚経。
キース君が貰うお布施で打ち上げ、そういう案が出ましたけど。
サム 「アレが末代まで祟るのかよ? 飲み食いしたら…」
キース 「どう考えても、そうなると思うが?」
お布施を使って打ち上げなんぞは論外だ、と副住職。
キース 「仏様のお役に立っていないなら、ムダ金だからな」
シロエ 「使ったことは即バレですよね?」
キース 「今の時点で、もうバレているかもしれないしな」
あっちの世界から覗いていて…、とキース君が竦める肩。
キース 「お前たちの罰当たりな発言を知って、怒り狂って…」
ジョミー「此処に殴り込みに来るってわけ!?」
キース 「いや、来ないだろう。あいつは執念深いしな」
ブルー 「深く静かに沈黙を守って、後で強烈な復讐だよね」
例年以上にキッツイ棚経をかましてくるとか…、と生徒会長も。
ブルー 「棚経までには、まだ日があるから、工夫を凝らして」
シロエ 「スイカに卒塔婆を超えるヤツですか?」
ブルー 「どんな形かは分からないけど、ブルーだしねえ…」
タダで済むとは思えないよ、とブルブルブル。
ブルー 「酷い目に遭いたくないんだったら、お布施でさ…」
キース 「打ち上げパーティーは、しない方がいいな」
一同 「「「はいっ!!!」」」
反省してます、と土下座の御一同様。
シロエ 「その件は分かりましたけど…。ちょっと質問が」
キース 「俺にか?」
シロエ 「ええ。先輩がいつも貰ってるお布施って…」
いったい何に使ってるんです、とシロエ君の問い。
シロエ 「スッポンタケのためにしか使えないんですよね?」
キース 「残念ながら、そういう縛りだな」
俺だって命が惜しいんだから、と副住職、即答。
シロエ 「だったら、お布施の使い道は…?」
サム 「供養塔とかは建ててねえしな…」
ジョミー「聞いてないよね?」
誰も知らないのが、お布施の使い道。
さて、真相や如何に…?
2018/08/03 (Fri)
☆命が惜しければ
八月と言えばお盆の棚経、今年もスッポンタケのために厳修で。
キース君が貰うのがお布施ですけど、その使い道が全くの謎。
スウェナ「お布施は何に使っているのよ、今までの分は?」
シロエ 「棚経の他にもありますからねえ、お彼岸とか」
サム 「けっこうな額になってる筈だぜ、どうなってんだよ」
スッポンタケにしか使えないなら、いったい何に、という質問。
サム 「供養塔の建立費用に貯めてるのかよ?」
キース 「そういうわけでもないんだが…。貯金はしている」
ウッカリ使ったら終わりだからな、と副住職。
キース 「あいつは税務署よりも怖いぞ、間違いなく」
ブルー 「そうだろうねえ…。会計に興味は無さそうだけどさ」
シロエ 「お布施が流用されたとなったら、調べますよね」
それこそ帳簿の隅から隅まで…、とシロエ君も。
シロエ 「帳簿をつけてないとなったら、先輩をですね…」
ジョミー「拷問してでも吐かせそうだよね、何に使ったか」
キース 「ああ。お盆の時期なら、逆さ吊りかもしれないな」
盂蘭盆会の語源はソレらしいから…、と悪い顔色。
キース 「お釈迦様の国の言葉で、逆さ吊りのことを…」
ブルー 「ウラバンナと呼ぶんだよ、地獄の責め苦で」
お盆は地獄もお休みだから盂蘭盆会らしいよ、と銀青様。
ブルー 「ブルーのことだし、キースを拷問するくらいはさ…」
キース 「多分、朝飯前だと思うぞ」
人体実験の経験者なんだからな、とガクガクブルブル。
キース 「だから、お布施は貯めておくだけだ」
シロエ 「なんだかもったいないですね…」
キース 「命の方が大切だろうが!」
死んだら元も子も無いんだぞ、と正論が。
キース 「俺が貰うお布施に期待はするな。命が惜しければ」
ジョミー「ぼくたちが使ったら、ぼくたちも終わるね…」
ブルー 「逃げ道は何処にも無いだろうねえ…」
一同 「「「うーん…」」」
惜しい、と御一同様、ガッカリですけど。
命あっての物種ですよね?
2018/08/04 (Sat)
☆供養塔どころか
八月と言ったらお盆のシーズン、今年もスッポンタケの棚経が。
キース君が誰かさんから貰うお布施は、貯金するだけだそうで。
シロエ 「いつか供養塔を建てる時まで、貯めるだけですか…」
キース 「供養塔で済んだらいいんだがな…。どうなるやら」
一同 「「「へ?」」」
キース 「あいつのことだし、お堂を建てろと言いかねん」
残念なことに、敷地に余裕はあるものだから…、と副住職。
キース 「おまけに裏山の土地も余っているしな」
シロエ 「スッポンタケを安置するためのお堂ですか?」
ジョミー「キノコは腐ると思うんだけど…」
スウェナ「生はダメでも、彫刻とかなら大丈夫よね?」
キースが心配するのはソレね、とスウェナちゃんの問い。
スウェナ「仏像を作って来たとか言って、お堂を建てろって」
キース 「無いとは言い切れないからな…。せめて位牌で…」
ブルー 「勘弁して欲しいトコだね、そこは」
あんな仏像は誰も要らないし、見たくもない、と銀青様も。
ブルー 「ブルーのことだし、デフォルメしそうで…」
一同 「「「デフォルメ?」」」
ブルー 「スッポンタケだと言いつつ、もっと卑猥な形に!」
一同 「「「あー…」」」
如何にもありそうな話だよな、と誰もが納得。
シロエ 「そんな仏像、持ち込まれても困りますよね…」
キース 「当然だろうが! お厨子に押し込むにしてもだな…」
ブルー 「秘仏は見せないものだけれども、裏道がね…」
あるだけに、とても困ったことに…、と銀青様の深い溜息。
シロエ 「秘仏を見せてもいいんですか?」
サム 「御開帳かよ?」
何十年に一度とかのヤツかよ、とサム君が言ってますけれど。
ブルー 「そうじゃなくって、秘仏とセットのヤツがあってさ」
キース 「本物の秘仏は見せられないから、こう…」
ブルー 「お前立ちというのがあるんだよ」
一同 「「「おまえだち?」」」
ソレは何なのだ、と首を傾げる御一同様。
お前立ちって、何ですか…?
2018/08/05 (Sun)
☆秘仏にしても無駄
八月とセットのお盆のシーズン、不可避なスッポンタケの棚経。
お布施で打ち上げするのは無理で、キース君は貯金してまして。
シロエ 「お前立ちっていうのは、何なんですか?」
ブルー 「そのままの意味だね、お厨子の前にお立ちなんだよ」
キース 「秘仏の仏様のお姿を写した、レプリカだな」
レプリカと言ったら身も蓋も無いが…、と副住職の解説。
キース 「誰だってお姿は見たいものだし、有難いものだ」
ブルー 「こういう仏様なのか、と心から手を合わせるんだよ」
御開帳は何十年とかに一度だからね、と銀青様。
ブルー 「生きている間に出会えるかどうか、分からないしさ」
キース 「御縁だけでも結んでおきたい、と拝むわけだな」
シロエ 「それじゃ、誰かさんが持ち込んだ妙な仏像もですか」
キース 「ああ。お厨子に入れて秘仏にしようものなら…」
間違いなく、その手でやって来るぞ、と副住職が抱える頭。
キース 「余計な仏像が増えるんだ! お前立ちの分だけ!」
シロエ 「それは困りますね…」
キース 「おまけに俺は、それを拝む羽目になるんだぞ!」
毎日、朝晩、お堂に行って…、と副住職が訴えるピンチ。
キース 「お前たちだって、何かの時には拝まされるな」
ブルー 「まずは開眼供養だよねえ、その仏像の」
一同 「「「うわー…」」」
最悪すぎるコースじゃないか、と誰もがブルブル。
シロエ 「嫌でも見ることになるんですね? その仏像を?」
キース 「いくら秘仏にすると言っても、開眼供養までは…」
ブルー 「ただの彫刻という扱いだし、もうバッチリと!」
お前立ちじゃないのが来るであろう、と銀青様、断言。
ブルー 「それが済んだらお厨子に納めて、次はお前立ちの…」
キース 「開眼供養をすることになるな、寺の常識として」
ジョミー「避けられないわけ?」
キース 「あの馬鹿が仏像を持ち込みやがったらな!」
そうならないよう祈っておけ、と副住職も恐れる展開。
怖いですね…?
2018/08/06 (Mon)
☆平常心で乗り切れ
八月とくればお盆の棚経、どう転がっても避けられない状況で。
しかもお布施で打ち上げは無理で、いつかはお布施で仏像かも。
シロエ 「最低最悪な展開ですね、ソレ…」
キース 「だから祈れと言っている! ついでに現状維持も」
今よりも酷い目に遭うよりマシだ、と副住職の指摘。
キース 「棚経の方も我慢してくれ。あの馬鹿が来ても」
一同 「「「はーい…」」」
転ばぬ先の杖と言うし、と誰もが頷くしかない現状。
スウェナ「何も無いといいわね、今年の棚経」
シロエ 「スイカに卒塔婆は許容範囲だと思いましょう!」
妙な仏像が来るよりマシです、とシロエ君の前向きな発言。
シロエ 「打ち上げパーティーも、絵に描いた餅ですしね」
ジョミー「実現させたら、もう思いっ切り後が無いしね…」
諦めよう、とジョミー君。
ジョミー「誰かさん、絶対、聞いてそうだし…。今の話を」
ブルー 「壁に耳ありと言うからねえ…」
都合の悪い話ほど聞かれるものだ、と生徒会長、深い溜息。
ブルー 「とにかく棚経を我慢しとけば、その次はさ…」
サム 「お彼岸まで何もねえからよ」
一同 「「「お彼岸…」」」
インターバルは、たった1ヶ月なのか、と一同、愕然。
シロエ 「なんでそんなに短いんです! そこの間が!」
キース 「坊主の世界でも、そう言われている」
ブルー 「お盆で燃え尽きてるのに、すぐ来るからねえ…」
本職でもそうだから、我慢するんだね、と銀青様のお言葉。
ブルー 「一つずつクリアしていこう。まずは棚経」
キース 「よろしく頼むぞ」
一同 「「「うーん…」」」
よろしくされても、と思っても口に出せない御一同様。
シロエ 「仕方ないですね…」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ お膳、頑張って作るからね!」
キース 「いいか、冷静さを欠いたら負けだ。何があっても」
ブルー 「平常心でね」
一同 「「「了解…」」」
耐えてみせます、と誓う今年の棚経。
さて、運命や如何に…?
2018/08/07 (Tue)
☆積み重ねが大切
誰もが避けたいと願っていたのに、やって来たのが棚経の日。
朝早くから生徒会長宅に集合、待機しているシャン学メンバー。
シロエ 「なんでこんなに早いんでしょうか、毎年、毎年」
スウェナ「キースが来るのは、まだまだ後になるのにね…」
マツカ 「仕方ないですよ、誰かさんが万全を期待してますし」
きちんと準備を整えないと…、と御曹司。
マツカ 「手抜きしたなら終わりですしね、ぼくたちの命が」
??? 「誰もそこまで言ってないけど?」
今日はよろしく、とソルジャー(会話表記はAブルー)登場。
Aブルー「いい棚経になるといいねえ、今年のも!」
シロエ 「厄介なことはしないで下さいよ?」
Aブルー「君たちの方こそ、邪念を抱かないで欲しいね」
お布施で打ち上げをしようだなんて…、とソルジャー、ギロリ。
Aブルー「あれはキースが貯めてるんだよ、将来のために!」
シロエ 「怖くて使えないだけだと言ってましたが?」
Aブルー「そうらしいけど、ビジョンはあるみたいだしね!」
供養塔とか、お堂だとか…、と嬉しそうな人。
Aブルー「お堂を建ててくれるんだったら、もっとお布施を!」
シロエ 「迷惑ですから!」
Aブルー「御利益はあると思うけどねえ、夫婦和合に」
お参りの人も増えると思う、とブッ飛んだ意見。
Aブルー「なんと言っても、お祭りする像がアレだから!」
シロエ 「非公開の秘仏にすると聞きましたけど?」
Aブルー「抜け道はあると言っていたよね、何だったっけ?」
お厨子の前にレプリカだよね、とキッチリ聞かれていた話。
Aブルー「そういうお堂を建てるためにも、積み重ねが大切!」
シロエ 「お布施の、ですか?」
Aブルー「ピンポーン!」
今日の棚経も張り切っていこう、と突き上げる拳。
Aブルー「それじゃ、準備に取り掛かろうか」
一同 「「「はーい…」」」
Aブルー「もっと元気に、景気よく!」
年に一度の棚経だしね、と笑顔全開。
どうなるんでしょう…?
2018/08/08 (Wed)
☆外国人にも人気
誰もが避けたかった棚経、容赦なく来てしまった当日とゲスト。
いえ、主催者と呼ぶべきなんでしょうか、張り切ってまして…。
Aブルー「ぶるぅはお膳をよろしく頼むよ、美味しいのを!」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ちゃんと朝一番で仕入れて来たよ!」
新鮮な野菜が一杯なの! と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
ぶるぅ 「今年は最先端の精進料理に挑戦! お膳だけど!」
Aブルー「最先端って?」
ぶるぅ 「外国の人にも喜ばれるヤツ! 宿坊で人気!」
Aブルー「宿坊って…。キースのトコかい?」
聞いてないけど、とソルジャー、怪訝そうな顔。
Aブルー「外国の人も泊まってたっけ? まあ、安いけどさ」
シロエ 「そりゃ、来るでしょうけど…。人気でしたっけ?」
料理のことは聞いていませんが…、とシロエ君も。
シロエ 「ただの観光拠点なだけで、食事は普通なんじゃあ?」
マツカ 「キースは何も言ってませんよね、そういう話」
スウェナ「名物になるくらいだったら、言うわよねえ…?」
それとも謙虚な姿勢かしらね、とスウェナちゃんが傾げる首。
スウェナ「こんなに人気だ、と喋ったら自慢になりそうだし…」
マツカ 「その可能性はありますね…」
Aブルー「なるほどねえ…。それじゃ、密かに人気なんだ?」
此処のみんなが知らないだけで、と頷くソルジャー。
Aブルー「ぶるぅは知っていたんだね? 料理好きだから」
ぶるぅ 「違うよ、世界遺産になってる所の宿坊なの!」
一同 「「「世界遺産?」」」
何処だソレは、と誰もがキョトン。
シロエ 「世界遺産に宿坊なんかが、ありましたっけ?」
マツカ 「どうなんでしょう?」
近頃、世界遺産も多くて…、と御曹司。
マツカ 「雨後のタケノコ状態ですしね、何処のことだか…」
ぶるぅ 「ソレイド八十八ヶ所の御大師様のトコだよ!」
ブルー 「正確に言えば、総本山だね」
一同 「「「あー…」」」
そういえば人気だったっけ、と一同、納得。
外国人客、多数…。
2018/08/09 (Thu)
☆流行りの精進料理
来てしまったのが棚経の日で、ソルジャーも張り切って登場で。
「そるじゃぁ・ぶるぅ」も抜かりないのが、お膳の準備。
シロエ 「山奥なのに人気らしいですね、総本山は」
ブルー 「密教の根本道場ってことで、非日常だよね」
町自体がさ…、と生徒会長。
ブルー 「住んでいる人は、お坊さんか、お寺の関係者だし」
シロエ 「一般人は皆無なんですか?」
ブルー 「そうでもないけど、少数派だよね。お店の人とか」
土産物だけじゃなくて、生活必需品とかね、という解説。
ブルー 「昔はパチンコ屋さんもあったらしいよ」
スウェナ「パチンコって…。誰を相手にしてたのよ?」
ブルー 「表向きは一般人なんだけどさ、まあ、実態は…」
シロエ 「お坊さんも行ってたわけですね…」
容易に想像できますよ、とシロエ君の溜息。
シロエ 「花街が無いだけマシなんでしょうね、きっと」
ブルー 「流石にソレはマズイと思うよ、宗教都市では」
そんなわけで今は厳選された人が住む町、と銀青様。
ブルー 「外国の人には新鮮だろうね、観光地じゃないし」
マツカ 「仏教に理解があるかはともかく、惹かれそうですね」
神秘的だというだけで…、と御曹司も納得。
マツカ 「それで精進料理も、ご時世に合わせてるんですね」
ぶるぅ 「そうなの! やっぱり美味しくなくっちゃね!」
色々と工夫されてるんだよ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
ぶるぅ 「お肉や魚は使えないけど、ヘルシーだしね」
シロエ 「ベジタリアンの人には、嬉しいでしょうね」
スウェナ「外国の人は、ヘルシー志向が高いらしいものね」
ベジタリアンじゃなくても飛び付くわよ、とスウェナちゃんも。
スウェナ「今年のお膳は、そういう仕様になるってことね?」
ぶるぅ 「うんっ! 喜んで貰いたいもんね!」
Aブルー「ありがとう、ぶるぅ!」
シロエ 「そこまでしなくても良さそうな気が…」
あんな迷惑な仏様に…、とブツブツブツ。
そりゃそうですよねえ…?
2018/08/10 (Fri)
☆出世する可能性
今年もスッポンタケの棚経、ソルジャーも来て、始まった準備。
お膳は「そるじゃぁ・ぶるぅ」の担当、精進料理ですけれど…。
Aブルー「迷惑な仏様って、何さ! きっといずれは!」
シロエ 「出世するとでも言いたいんですか?」
Aブルー「順調にいけば、その可能性が高いじゃないか!」
キースは貯金してるんだから、とソルジャー、グッと拳を。
Aブルー「供養塔だとイマイチだけど、お堂だったら…」
一同 「「「…………」」」
例の話か、と凍り付く御一同様。
Aブルー「君たちも話していただろう? 秘仏にするって!」
シロエ 「そ、そうですけど…?」
Aブルー「でもって、お厨子の前にレプリカ! 何だっけ?」
名前を忘れてしまったんだけど、とソルジャー、笑顔。
Aブルー「そういうのを置いて、拝んで貰うんだよね?」
シロエ 「誰も作るとは言ってませんが!」
Aブルー「ぼくの未来のプロジェクトだよ! お堂の建立!」
元老寺には土地が余っているらしいから、とニコニコニコ。
Aブルー「作れば、夫婦和合に御利益! きっとバッチリ!」
ブルー 「あのねえ…。まずはキースが承知しないと…」
シロエ 「計画倒れだと思いますけど?」
ついでにアドス和尚もですね、とシロエ君。
シロエ 「元老寺の実権、アドス和尚が握ってますから」
マツカ 「キースは副住職ですからね…」
下っ端ですよ、と御曹司も。
マツカ 「いくらキースが提案しても、断られたら…」
シロエ 「頓挫しますよね、お堂の話」
お金だけでは実現しません、と正論が。
シロエ 「その辺も考えて貰わないと…」
Aブルー「うーん…」
アドス和尚が壁になるのか、とソルジャー、ブツブツ。
Aブルー「キースが乗り気になってくれても、駄目だって?」
ブルー 「乗り気になるわけが無さそうだけど?」
シロエ 「そうですよ!」
Aブルー「決め付けないでくれたまえ!」
先のことなんか分からないよ、と強気ですけど。
どうなんだか…。
2018/08/11 (Sat)
☆未来は読めません
いよいよスッポンタケの棚経、ソルジャーも到着済みですけど。
お布施でお堂を建てると言い出し、いつか実現させる気、満々。
Aブルー「キースが本気を出してくれれば、アドス和尚も!」
シロエ 「折れると言いたいわけですか?」
Aブルー「そう! なんと言っても、未来の住職!」
元老寺の今後を担う人材、疎かにするわけがない、という読み。
Aブルー「アドス和尚も年を取らないけど、引退ってことも…」
ブルー 「それは無いとは言い切れないかな…。激務だから」
スウェナ「引退すれば、卒塔婆書きから解放されるのよね?」
ブルー 「月参りや法要からも、基本は外れるものだしね…」
顔出しが必要な時だけ出れば充分だから、と銀青様の解説。
ブルー 「重鎮は、そうそう働かないよ。ゆったり構えて」
Aブルー「ほらね、アドス和尚が好きそうじゃないか」
そういう生き方、とソルジャー、ニッコリ。
Aブルー「だから住職の座をキースに譲って、円満退職!」
シロエ 「絶対に無いとは言えませんね…」
マツカ 「引退してゴルフ三昧は、夢かもしれませんしね…」
Aブルー「そうだろう? そのためにも、未来の住職をさ…」
大事にしないといけないよね、と言われてみれば、その通り。
シロエ 「じゃ、じゃあ…。キース先輩のお願いだって…」
Aブルー「通る可能性があるってことだよ、頑固親父でも!」
スッポンタケのためのお堂も建てられるかも、と前向きな人。
Aブルー「お堂さえ出来れば、トントン拍子に出世ってね!」
シロエ 「あんな迷惑な仏様がですか?」
Aブルー「出世すれば、もう、迷惑じゃないよ!」
世のため、人のために役立つんだから…、と広がる野望。
Aブルー「その仏様を粗末にしない! まずは棚経!」
シロエ 「結局、そこに行き着くんですね?」
Aブルー「グダグダ言わずに、準備してくれたまえ!」
一同 「「「はーい…」」」
逆らったら後が無いもんね、と誰もが溜息。
迷惑すぎですよねえ…?
2018/08/12 (Sun)
☆家の本性が出ます
スッポンタケの棚経の日ですけど、誰も乗り気にならない現実。
とはいえ、ソルジャーが来ている以上は、やるしかないわけで。
シロエ 「…祭壇は此処でいいんですよね?」
ぶるぅ 「うんっ! お膳をこっちに置くんだから…」
ブルー 「花はこの辺りで、お線香立てがその辺で…」
しっかりと準備するように、と銀青様の指図。
ブルー 「腐っても、ぼくの家だからねえ…。きちんとする!」
シロエ 「あんな迷惑な仏様でも、手抜きは厳禁なんですか?」
ブルー 「キースも言っていただろう? 棚経の日はさ…」
その家の本性が出るんだよね、と生徒会長。
ブルー 「お線香立てにお線香が刺さらないとか、色々と」
一同 「「「あー…」」」
そうだったっけ、と一同、納得。
スウェナ「日頃、お線香を使っていないと、そうなるのよね?」
ブルー 「そう! 灰がガチガチに固まるからね」
お仏壇を放置してるのがバレバレだよね、という話。
ブルー 「スッポンタケは、ウチの仏様じゃないけどさ…」
シロエ 「会長の家で棚経な以上は、完璧にしたいわけですね」
ブルー 「誰かさんが余計なことをしなかったらね!」
Aブルー「誰かって…。ぼくのことかい?」
心外な、とソルジャー、憮然とした顔。
Aブルー「全身全霊で棚経なんだよ、ぼくが何をしたと?」
ブルー 「筆頭はアレだね、スイカに卒塔婆!」
とんでもないオブジェを作っただろう、と厳しい視線。
ブルー 「ああいうドン引きされそうなモノは、勘弁だよね」
Aブルー「そういえば…。だけど、アレはさ…」
夫婦和合を象徴するオブジェだったわけで…、とイヤンな解説。
Aブルー「スッポンタケにはピッタリだったよ、本当に!」
ブルー 「何処から見たって、邪道だから!」
Aブルー「うーん…。最高だったと思うんだけどな…」
ブルー 「とにかく普通に!」
Aブルー「あのオブジェかあ…」
ちょっといいかも、と考え込んでいる人。
まさか、再現する気だとか…?
2018/08/13 (Mon)
☆果物でバレます
スッポンタケの棚経の準備をするなら、完璧にやりたい銀青様。
ところが真逆なのがソルジャー、スイカに卒塔婆がどうこうと。
Aブルー「スイカに卒塔婆は、本当にいいオブジェだしねえ…」
シロエ 「どの辺がですか!」
Aブルー「え? スイカのアソコに卒塔婆がズッコン! と」
立派な夫婦和合の形、とニコニコニコ。
Aブルー「それを供えて棚経をすれば、スッポンタケだって!」
ブルー 「喜ぶとでも言いたいのかい?」
Aブルー「当然じゃないか、棚経と併せて漲りまくり!」
奥の奥までズンズンだよね、と朝っぱらから嫌すぎる話。
Aブルー「よし、決めた! 今年はスイカに卒塔婆だよ!」
一同 「「「ひぃぃっ!!」」」
なんでそうなる、と誰もがワタワタ。
シロエ 「あのですね…! お供え物なら、もう、ぶるぅが…」
スウェナ「そうよ、きちんと買ってるじゃないの!」
花も果物もお菓子なんかも…、とスウェナちゃん。
スウェナ「これ以上、何を望むというのよ!」
Aブルー「ブルーと同じで、完璧な棚経!」
スイカは置いてないようだしね、と冷静な指摘。
Aブルー「ぶるぅ、スイカは買わなかったのかい?」
ぶるぅ 「えとえと…。お供え物のランキングだと…」
一同 「「「???」」」
ぶるぅ 「果物のトップはメロンなの! 高級品だから!」
桐箱入りのとかもあるでしょ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
ぶるぅ 「だからメロンが一番だよね、って!」
ブルー 「お寺で法事をやる時なんかは、果物でバレるよ」
シロエ 「何がですか?」
ブルー 「法事のお布施をはずんだかどうか、一発で!」
メロンが供えてあったら文句は無し、と銀青様のお言葉。
ブルー 「他の果物でも高級品なら、メロンと同等!」
シロエ 「じゃあ、バナナとかだとダメなんですか?」
ブルー 「仏様の好みによるけど、まあ、大抵はね…」
一同 「「「うーん…」」」
そんな所でバレるのか、と誰もが思うお布施の額。
果物ですか…。
2018/08/14 (Tue)
☆スイカも色々
スッポンタケの棚経のお供え物に、入っていない果物がスイカ。
果物を供えるならメロンが最高、そういう世界らしくって…。
シロエ 「果物で法事のランクがバレるって、キツイですね…」
スウェナ「露骨すぎよね、酷い話だわ」
ブルー 「そうは言っても、お寺の方でも予算に合わせるから」
貰ったお布施で赤字になるのは避けないと…、と銀青様の説明。
ブルー 「果物もそうだし、お袈裟でも分かるものなんだよ」
マツカ 「それは前に聞いたことがあります。確か、種類が…」
シロエ 「変わるんでしたね、立派な法要ほど絢爛豪華に」
ブルー 「その通り! 素人さんの目で分かるのは、そっち」
果物までは見ていないよね、と銀青様。
ブルー 「キンキラキンのお袈裟の方が、目を引くしさ」
シロエ 「うーん…。でも、果物でも見分けられるんですね?」
ブルー 「メロンとスイカじゃ、月とスッポンかな…」
値段がまるで違うからね、という話。
ブルー 「冬の法事でスイカだったら、また別だけど」
一同 「「「あー…」」」
冬に無いのがスイカなだけに、あったら値段も高そうな感じ。
シロエ 「すると珍しいスイカだったら、オッケーですか?」
ブルー 「えっと…?」
シロエ 「同じスイカでも、お値段がメロン並みだとか」
ブルー 「それならいいけど、でも、スイカだしね…」
珍しいのがあっただろうか、と考え込んでいますけど。
ぶるぅ 「んとんと…。四角いスイカもあるよね!」
スウェナ「あったわねえ! アレなら一目で違いが分かるわ」
マツカ 「黒いスイカもありますよ」
お値段、割と高めなのでは…、と御曹司。
マツカ 「夏祭りのお供え物で見かけたことがありますから」
シロエ 「爆弾みたいなヤツですね? 真っ黒で、丸くて」
ぶるぅ 「黒玉スイカ? 普通のスイカよりは高いけど…」
Aブルー「ちょっと待ってよ、爆弾みたいなスイカだって?」
それでお値段高めなのかい、と輝くソルジャーの瞳。
何か問題でも?
2018/08/15 (Wed)