☆冷える季節です
さて、十一月。早くも霜月、今年も残り2ヶ月を切りまして。
休日に生徒会長宅に集ったシャン学メンバー、今日ものんびり。
シロエ 「そろそろ、お鍋のシーズンですよね」
サム 「だよなあ、今年は初雪が早いって話もあるしよ」
スウェナ「でも、予報では暖冬なんでしょ?」
長期予報でも暖かそうよ、とスウェナちゃん。
スウェナ「寒い方がいいわね、冬は冬らしく」
キース 「こればっかりは分からんぞ。現に初雪がだな…」
マツカ 「例年よりも早い所が多いみたいですね」
キース 「ああ。だから、この辺りも、そうなるかもな」
そうでなくても朝晩は冷える、と副住職が眺める窓の向こう側。
キース 「お前たちには、実感できないかもしれないが…」
シロエ 「朝のお勤めが冷えるんですか?」
キース 「水仕事だからな、思いっ切り!」
俺の仕事は床の拭き掃除で始まるからな、とブツブツブツ。
キース 「今どき、ルンバで済ませる寺も多いのに…」
ブルー 「まあ無理だろうね、君の家だと」
ジョミー「百年経っても、キースが掃除をしてそうだよね」
キース 「不吉なことを言うな!」
親父だって年を取らないのに、と副住職が竦める肩。
キース 「俺は百年後も、副住職のままだろうしな…」
ブルー 「跡継ぎが生まれない限りは、そうなるよねえ…」
スウェナ「息子か、娘にお婿さんを取るか、どっちかよね」
キース 「理想的なのは息子なんだがな…」
生憎と嫁の予定すら無い、とフウと溜息。
キース 「実年齢はともかく、高校1年生ではなあ…」
シロエ 「お嫁さんどころじゃないですよね…」
ジョミー「息子は絶対、無理だよね…」
そういえば…、とジョミー君が瞬きを。
ジョミー「養子も迎えられないよね、と思ったんだけどさ…」
キース 「それがどうかしたか?」
ジョミー「誰かさんの養子はどうなったかな、と」
一同 「「「へ?」」」
誰の養子だ、と一同、キョトン。
そんなの、何処かにいてましたっけ…?
2018/11/01 (Thu)
☆養子を迎えた人
生徒会長宅に集ったシャン学メンバー、楽しくお喋り中ですが。
キース君の後継者がいない話から、突然、養子がどうこうと。
シロエ 「誰かさんの養子って…。養子なんかがいましたか?」
サム 「知らねえなあ…。グレイブ先生は養子じゃねえし」
スウェナ「ミシェル先生、お嫁入りだった筈だわよ」
グレイブ先生が婿に入ったとは聞いていないわ、という声。
スウェナ「他に養子って、誰がいるのよ?」
マツカ 「ゼル先生たちは独身ですけど、養子なんかは…」
シロエ 「誰も迎えていませんよね?」
サム 「もしかして、ゼル先生の犬が増えたのかよ?」
庭で猛犬、飼ってるもんな、とサム君の問い。
サム 「新しく子犬を飼い始めたとか、そんなのかよ?」
ジョミー「そうじゃなくって…。養子縁組してるヤツ」
一同 「「「養子縁組?」」」
それこそ知らん、と誰もが見合わせる顔。
キース 「少なくとも俺は知らないが…。休んでた日か?」
サム 「キースが法事とかで休みにしてもよ、俺たちは…」
シロエ 「基本は授業に出ていますからね…」
マツカ 「一人くらいは聞いてる筈だと思いますよ?」
他が居眠りしていたとしても…、と御曹司も。
マツカ 「それともジョミーは、教室の外で聞いたんですか?」
サム 「あー…。購買部だとか、廊下とかな!」
キース 「そっちの方なら、分からんでもない」
一部の生徒の噂だったら耳には入らん、と副住職。
キース 「体育会系での噂だったら、俺の耳にも入るんだがな」
シロエ 「そうですね…。ぼくの耳にも入りますけど…」
文化系のクラブとは接点が…、とシロエ君が振っている首。
シロエ 「ところで、誰が養子縁組なんかをしたんです?」
サム 「ヒルマン先生辺りかよ? 温厚な人柄で評判だしよ」
ジョミー「そうじゃなくって、思いっ切り馴染みの人だけど」
一同 「「「はあ?」」」
先生方も馴染みの筈なんだが…、と一同、キョトン。
誰なんでしょう…?
2018/11/02 (Fri)
☆心当たりがゼロ
生徒会長宅で過ごすシャン学メンバーに、いきなり謎の話題が。
ジョミー君は知っている誰かの養子。けれど知らない他の面々。
キース 「馴染みと言うなら、先生方は馴染み深いんだが…」
シロエ 「他に馴染みの深い人と言ったら、アドス和尚ですよ」
サム 「それくらいしか浮かばねえけど、そっちはよ…」
マツカ 「養子なんかは、全く迎えていませんよね…」
誰も聞いてはいませんよ、と御曹司の指摘。
マツカ 「第一、アドス和尚が養子縁組すれば、キースに…」
スウェナ「弟か妹が出来るんだものね、跡継ぎ候補の」
シロエ 「そうなりますよね? 今は小さな子供だとしても」
キース 「当然だ。俺がコケたら、そっちを据えるという形で」
早速、親父が仕込みを始める、と副住職。
キース 「そうなったんなら、俺の未来も明るいんだがな…」
シロエ 「副住職を降りるんですか?」
キース 「それは分からんが、日頃の苦労が少しは減るかと」
朝の本堂の拭き掃除だって仲間が出来る、と頷きまして。
キース 「俺の場合は、物心ついた頃からやっていたからな」
シロエ 「そこまでですか!?」
キース 「よく考えろよ、あの親父だぞ?」
一同 「「「うわー…」」」
確かに、と誰もが納得せざるを得ないのがアドス和尚という人。
サム 「幼稚園児でも容赦しねえのな、親父さん…」
シロエ 「クリスマスも無かったそうですからね…」
キース 「ああ。アレは異教徒の祭りだと一蹴されてな」
マツカ 「そうでしたよね…。それで、養子はいないんですね」
キースの修行仲間がいないのならば…、と御曹司の分析。
マツカ 「だとしたら、誰が養子縁組をしたと言うんです…?」
ジョミー「みんなも知ってる筈だけど? もう思いっ切り」
サム 「知らねえから聞いているんじゃねえかよ、誰なのか」
ジョミー「忘れたくなるのも、無理はないんだけどさあ…」
なんでぼくだけ貧乏クジを…、とジョミー君の嘆き。
どういう意味ですか?
2018/11/03 (Sat)
☆勘違いだと思う
ジョミー君だけが知っているらしい、誰かの養子という存在。
他の面々も知っているとの話ですけど、心当たりが無いわけで。
サム 「お前の勘違いってヤツなんでねえの? その話はよ」
シロエ 「ああ、有り得ますね! 話の端だけ聞きかじって…」
キース 「頭の中で勝手に思い込むのは、よくあるケースだ」
言葉などでも、ありがちだしな、と副住職。
キース 「自分でこうだと信じ込んだら、間違ったのを…」
スウェナ「使い続けるっていうのは、確かにあるわね」
シロエ 「雰囲気を「ふいんき」だと思い込んでた人なら…」
もう卒業した同級生にいましたっけ、とシロエ君がクスクス。
一同 「「「ふいんき?」」」
シロエ 「そうなんですよ。いい「ふいんき」だと言うんです」
クラスの空気が…、と可笑しそうな顔。
シロエ 「それでも流れで通じますしね、「雰囲気」だって」
サム 「いたっけなあ! 初めて入学した時のクラスな」
俺たちだけ1年C組だった時だよな、とサム君、懐かしそう。
サム 「あいつ、どうしているんだろう?」
シロエ 「フェイスブックを見付けましたよ、元気そうでした」
サム 「そりゃ良かった。ジョミーの養子の話はよ…」
シロエ 「彼と同じで、絶対、何かの間違いですよ」
現に、誰一人知りませんから…、と冷たい視線。
シロエ 「学校の廊下か何処かで聞いたんでしょう?」
サム 「でもって、お前に都合のいい方向で解釈な!」
キース 「俺もそうだと思うんだが…」
ジョミー「違うってば! ぼくの勘違いじゃないんだから!」
忘れているのは、みんなの方だ、とジョミー君、譲らず。
ジョミー「松茸山までは、きちんと覚えていた筈なんだよ」
一同 「「「松茸山?」」」
いつの話だ、と一同、ポカーン。
キース 「おい、先月だぞ、松茸山は」
ジョミー「そうだけど?」
シロエ 「まだ、ボケるには早いです!」
最近のことは忘れませんよ、とシロエ君。
若いですもんね…?
2018/11/04 (Sun)
☆いなかった養子
ジョミー君しか知らない存在、誰かが迎えているらしい養子。
勘違い説も出たんですけど、忘れただけだと主張されている今。
シロエ 「いいですか? 最近のことは忘れないのが若人です」
サム 「うんうん、昔話ばかりするのが、年寄りってヤツな」
キース 「俺たちの場合は、まだまだ若い。ボケるわけがない」
マツカ 「先月の松茸山まで忘れるだなんて、有り得ませんよ」
あの時は楽しかったですよね、と御曹司の笑み。
マツカ 「皆さんに喜んで頂けて、本当に嬉しかったです」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 松茸、沢山、ありがとう!」
ブルー 「山で食べたすき焼きも美味しかったよ、いいお肉で」
マツカ 「ありがとうございます。用意した甲斐がありました」
また来年もいらして下さい、と嬉しいお誘い。
スウェナ「いいわね、来年も観光松茸山ね!」
マツカ 「毎年、やっていますから…。いくらでもどうぞ」
一同 「「「やったー!!!」」」
来年も松茸、採り放題だ、と上がる歓声。
サム 「松茸、マジで美味かったしよ…。土産にもドッサリ」
シロエ 「ぶるぅの料理で、松茸尽くしを堪能しましたよね」
キース 「焼き松茸に土瓶蒸しにと、贅沢だったな」
スウェナ「また来年も楽しめるのねえ、松茸山を」
最高だわね、とスウェナちゃんも喜んでいるんですけれど。
ジョミー「あのさぁ…。そこまで言っても思い出さない?」
サム 「思い出すって、何をだよ?」
ジョミー「だから、養子の話だってば!」
松茸山だと言った筈だよ、とジョミー君の膨れっ面。
ジョミー「ぼくの勘違いだと決め付けてるけど…」
キース 「その通りだろう?」
何処に養子がいると言うんだ、と副住職。
キース 「松茸山に行った面子を考えてみろ!」
シロエ 「養子なんかは、誰も連れてはいませんでしたよ」
ジョミー「いなかったのが問題なんだってば!」
一同 「「「へ?」」」
いないモノはいない筈なんだが、と深まる謎。
養子って…?
2018/11/05 (Mon)
☆病院に行くべき
ジョミー君だけが知っているのが、誰かの養子なんですけれど。
他の面子は忘れているだけ、松茸山までは覚えていたという話。
キース 「いなかったことが問題なんだ、と言われてもな…」
シロエ 「そんな養子はいないんですから、いなくて当然です」
スウェナ「そうよね、ボケているのはジョミーの方よ!」
私たちはボケてなんかいないわ、とスウェナちゃん。
スウェナ「第一、ジョミーしか知らないのよ? その養子は」
サム 「病院に行った方がいいんでねえの?」
シロエ 「ええ、その方が良さそうですね」
エロドクターでは話になりませんけど、とシロエ君の溜息。
シロエ 「マツカ先輩、いい病院を知りませんか?」
マツカ 「いつでも紹介できますが…。肝心のジョミーが…」
ジョミー「行くわけないよ、病院なんて!」
ぼくは100%正気なんだから、とジョミー君が尖らせる唇。
ジョミー「診て貰った方がいいのは、みんなの方だよ!」
キース 「しかしだな…。いるわけがない養子というのが…」
シロエ 「いないのが問題だっただなんて、普通じゃないです」
とにかく病院に行って下さい、とシロエ君が指差す扉。
シロエ 「一人で行くのは嫌だと言うなら、お供しますから」
キース 「この場合、付き添いは必須だろう。逃げると困る」
サム 「だよなあ、本人は正気のつもりだしよ…」
この手の病気のお約束な、とサム君も頭を振りまして。
サム 「幼馴染だし、俺が一緒に行くことにするぜ」
シロエ 「サム先輩、よろしくお願いします!」
ジョミー「あのさあ…。思いっ切り、バカにしてない?」
ぼくのことを…、とジョミー君、不満MAX。
ジョミー「養子と言ったら養子なんだよ、縁組もしてて!」
キース 「だから、そういう人物はいない、と…」
ジョミー「松茸山にはいなかっただけだよ、養子の方が!」
シロエ 「ジョミー先輩、かなり重症ですね…」
治るといいんですけれど…、と心配する声が。
大丈夫でしょうか?
2018/11/06 (Tue)
☆病院に行ったら
ジョミー君だけが知っているという、誰かが養子縁組した養子。
松茸山にいなかっただけだと言われましても、知らないわけで。
サム 「とにかく病院に行かねえと…。あ、でも今日は…」
シロエ 「お休みですから、診察もしていないでしょうね」
マツカ 「いえ、その点は大丈夫です。ぼくから頼めば」
病院自体は休日もやっていますからね、と御曹司。
マツカ 「病棟に患者さんがいるんですから、先生の方も」
キース 「だが、当直の医者じゃないのか?」
スウェナ「プロ中のプロってわけでもなさそうよ?」
マツカ 「お願いすれば、いいお医者さんが来て下さいますよ」
休日出勤になりますけれど、と穏やかな笑み。
マツカ 「学会で出張だとか、遠くへ旅行でなかったら」
サム 「すげえな、流石、御曹司!」
マツカ 「えっとですね…。病院の場所は此処なんですけど…」
何時に診察をお願いすればいいんでしょう、と取り出すスマホ。
マツカ 「待ち時間が長いと、ジョミーには良くないですし…」
サム 「行ったらすぐに診て貰えるのが一番だしなぁ…」
先に先生の都合を聞いてくれよ、とサム君の返事。
サム 「いつでもいいなら、今すぐでも行くぜ」
マツカ 「分かりました。それなら電話してみますね」
ジョミー「ちょっと待ってよ!」
勝手に話を進めないで欲しい、とジョミー君の叫び。
ジョミー「忘れているのは、ホントにみんなの方なんだから!」
キース 「まあ、落ち着け。プロが話を聞いてくれるからな」
ジョミー「みんなの頭が疑われるよ?」
健忘症で済めばいいけれど…、と周囲をジロジロ。
ジョミー「最近のことは忘れないのが、若者なんだし」
シロエ 「忘れていないと言ってるでしょう! ぼくたち全員」
ジョミー「口だけなんだよ、シロエも、それにマツカだって」
マツカ 「あのぅ…。電話してもいいですか?」
ジョミー「後悔するよ?」
後悔先に立たずなんだよ、と言ってますけど。
正しいのは、どっち?
2018/11/07 (Wed)
☆検査されるのは
ジョミー君だけが知っているらしい、誰かと養子縁組した養子。
けれど知らない他の面々、ジョミー君を病院へという話ですが。
シロエ 「あのですね…。病気は早期治療が肝心ですよ?」
マツカ 「ええ。とにかく電話してみましょう」
ジョミー「ホントに後悔することになると思うけど…」
まずはサムかな、とジョミー君の視線がサム君に。
ジョミー「サムが付き添いで来るってことはさ、必然的に」
サム 「脅すんじゃねえよ、お前、正気じゃねえくせに」
ジョミー「正気だから言っているんだってば!」
お医者さんが事情を聞いたら、矛先はサムに向くんだよ、と。
ジョミー「絶対、サムが検査されるよ、認知症のさ」
一同 「「「認知症?」」」
それはお前のことだろうが、と一同、非難の目付き。
キース 「落ち着け、ジョミー。現時点では不治の病だが…」
スウェナ「進行を遅くする方法なら、皆無じゃない筈よ」
ジョミー「そんなに検査されたいわけ? みんな揃って」
アレの検査はチェックシートだったっけか、とジョミー君。
ジョミー「それともお医者さんがするなら、問診かな?」
サム 「いいから行こうぜ、マツカに予約をして貰って」
ジョミー「犠牲者第一号になりたいんだ…」
まあいいけどね、と深い溜息。
ジョミー「スッポンタケも忘れるようでは、末期だってば」
一同 「「「スッポンタケ?」」」
アッと息を飲む御一同様。
シロエ 「ま、まさか…。ジョミー先輩が言う養子って…」
ジョミー「松茸山には、一人もいなかったんだけど?」
マツカが全部除去させたから…、とジョミー君。
ジョミー「だから誰かさんがガッカリしちゃって…」
一同 「「「そ、そういえば…」」」
そんな話もあったんだった、と誰もが真っ青。
ジョミー「アレはキャプテンと養子縁組してた筈だよ」
サム 「綺麗サッパリ、忘れてたぜ…」
ジョミー「そうだよねえ?」
これでもボケているのかな、と辛辣な問い。
形勢逆転…。
2018/11/08 (Thu)
☆チャラでお願い
ジョミー君しか知らなかったのが、誰かが迎えた養子ですけど。
実はみんなが忘れていただけ、養子の正体はスッポンタケで…。
ジョミー「認知症だなんて、よく言うよ。忘れてたくせに」
キース 「す、すまん…。お前が正しかった」
シロエ 「許して下さい、ジョミー先輩!」
この通りです、とシロエ君が土下座で、他の面子もお詫び一色。
サム 「俺が悪かったぜ、思い切り決め付けちまってよ…」
スウェナ「ごめんなさいね、あんなの、普通は忘れたいでしょ」
マツカ 「すみません。ぼくが頼んで除去して貰ったのに…」
ジョミー「いいけどね…。忘れたい気持ちは分かるからさ」
ぼくだって出来れば忘れたかったよ、とジョミー君。
ジョミー「ぼくしか覚えていなかったなんて、損した気分」
キース 「そうだろうな…。俺たちが忘れていたんでは」
ぶるぅ 「んとんと…。ぼくも忘れてて、ごめんなさい…」
ブルー 「ぼくもお詫びを言わせて貰うよ、この件については」
忘れたいことは忘れる主義で…、と生徒会長までが。
ブルー 「悟りの境地に至るためには、それも修行の一つでね」
キース 「おい、本当にそうなのか?」
ブルー 「うーん…。正確に言うなら、覚えておくべきかな」
精神的苦痛を乗り越えるのも修行だからね、と銀青様モード。
ブルー 「苦行をするなら、きちんと覚えていないとアウト」
キース 「なのに、あんたは忘れてたのか!?」
ブルー 「既に伝説の高僧なんだよ、サボリもオッケー!」
この世で極楽を楽しむべし、と太々しく開き直った台詞。
キース 「そう来たか…」
ジョミー「酷いよ、ぼくまで巻き込むなんて!」
誰かさんと顔がそっくりなくせに…、とジョミー君の苦情。
ブルー 「それは謝るよ。だけど、スッポンタケの除去はさ…」
シロエ 「会長が出したアイデアでしたね」
ジョミー「そういえば…」
ブルー 「チャラでお願い!」
差し引きゼロにしてくれないかな、と注文が。
チャラですか…。
2018/11/09 (Fri)
☆その条件で許す
ジョミー君以外は忘れていたのが、スッポンタケという存在。
忘れたいのが人情とはいえ、ジョミー君をコケにしたわけで…。
ブルー 「ぼくが言わなきゃ、スッポンタケは山にあったし…」
マツカ 「そうですね。松茸だけということはないでしょう」
ブルー 「だからさ、ぼくのお蔭ってことで勘弁してよ」
ジョミーも災難を免れただろう、と生徒会長。
ブルー 「もしもスッポンタケがあったら、記念撮影はさ…」
サム 「ジョミーだったかもしれねえよなあ、第一号で」
ジョミー「そ、それは…」
確かにそうかも、とジョミー君、ブルブル。
ジョミー「見付けちゃったら、記念撮影って言ってたしね…」
ブルー 「そうだろう? それに第一号でなくても…」
シロエ 「もれなく記念撮影するんでしたね…」
被害者はゼロで済みましたけど、とシロエ君も悪い顔色。
ブルー 「ね? 功労者はぼくだし、許して欲しいな」
ジョミー「うーん…。病院とまで言われちゃったけど…」
シロエ 「謝りますから、ぼくたちも許して下さいよ」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ジョミーのおやつ、増やすよ!」
それでもダメ? と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
ぶるぅ 「オレンジスカッシュも、飲み放題で!」
ジョミー「それにプラスで、テイクアウトも出来るかな?」
ぶるぅ 「いいけど、今日の晩御飯?」
ジョミー「そうじゃなくって、夜食バージョン!」
ぼくだけスペシャル、というオーダー。
ジョミー「何がいいかは、晩御飯までに考えるから」
ぶるぅ 「オッケー!」
ジョミー「じゃあ、許す!」
他のみんなはテイクアウトは無しだからね、と輝く笑顔。
ジョミー「それくらいは言ってもいいと思うんだよ」
サム 「仕方ねえよな、悪いのはマジで俺たちだしよ…」
シロエ 「記念撮影の刑に比べたら、ずっとマシですよ」
スウェナ「間違いないわね…」
ジョミー「それなんだけどさあ…」
どうなったかな、と首を傾げるジョミー君。
例の養子の件ですね…?
2018/11/10 (Sat)
☆松茸だけでした
ジョミー君以外は忘れ果てていた、スッポンタケという存在。
忘れたくなるのも無理はないブツで、松茸山には無かった代物。
ジョミー「みんなは忘れちゃっていたけど、誰かさんはさ…」
シロエ 「きっと忘れはしなかったでしょうね、あれからも」
サム 「最後まで喚いていたもんなあ…。1本もねえって」
マツカ 「あるわけがなかったんですけどね…」
プロに除去して貰ったんですし…、と御曹司。
マツカ 「素人ばかりが入山するから、松茸だけで、と」
ブルー 「実に見事な徹底ぶりだったよ。流石はプロだね」
スウェナ「木の幹に生えるタイプのキノコもゼロだったわよ」
シロエ 「普通の山なら、あの時期、あるんですけどねえ…」
素人は採りませんけれど、とシロエ君も頷く木に生えるキノコ。
シロエ 「地面に生えるキノコ以上に、難しそうですし…」
サム 「だよなあ、シイタケもホダ木に生えててこそだぜ」
ブルー 「まさか、あそこまで取り除くとはねえ…」
スウェナ「ホントに松茸だけだったわよね、それもドッサリ」
観光松茸山って凄いのねえ…、とスウェナちゃん、感激の瞳。
スウェナ「山ですき焼きで、夜も松茸尽くしだったし」
ジョミー「誰かさんも、美味しく食べてはいたんだけどね…」
それでも、にじみ出るガッカリ感が…、とジョミー君。
ジョミー「1本くらいあってもいいのに、ってブツブツと…」
ブルー 「マツカに頼んだ時点で敗北してたんだけどね」
サム 「あいつが自前で手配してたら、ああはならねえよな」
シロエ 「それでも、懲りてませんけどね…。多分」
都合の悪いことは忘れますから、とシロエ君の指摘。
シロエ 「1年も経てば綺麗に忘れて、また言いそうです」
ジョミー「ぼくもそう思う。でも、今は後悔MAXかな、って」
サム 「記念撮影する気、満々だったしよ…」
ブルー 「巻き込まれなくて良かったよねえ、本当に」
あんな写真は御免蒙る、と生徒会長も。
最悪すぎる企画でしたしねえ…。
2018/11/11 (Sun)
☆戒名を消せる策
先月の観光松茸山には全く無かった、スッポンタケという代物。
プロが除去してしまったわけで、ガッカリした人もいましたが。
ブルー 「記念撮影はせずに済んだし、いい日だったよ」
シロエ 「会長のアイデアに感謝です。松茸オンリーだなんて」
ジョミー「都合よく忘れて、ぼくをコケにしていたけどね…」
その忘れっぷりは誰かさん並み、とジョミー君の膨れっ面。
ジョミー「挙句の果てに、病院に行けって言いだすしさ…」
キース 「悪かった。しかし、俺たちだって忘れたいんだ」
シロエ 「キース先輩には、その権利、無さそうですけどね…」
諸悪の根源じゃないですか、とシロエ君、ギロリと。
シロエ 「先輩が戒名をつけなかったら、平和だったんです」
キース 「それは詫びても詫びきれないが、もう手遅れで…」
ブルー 「つけた戒名は、もはやどうにもならなからねえ…」
スッポンタケが改宗すればともかく、と生徒会長。
一同 「「「へ?」」」
ブルー 「だから、いわゆる宗旨替えだよ。スッポンタケが」
サム 「何処に行っても同じじゃないかよ、戒名は」
ブルー 「仏教だとは言っていないけど?」
キリスト教とか、神道だとか…、と挙げられた例。
ブルー 「そっちに行ったら、戒名はお役御免だからね」
キース 「なるほどな…。そもそも戒名の出番が無いか…」
スウェナ「キリスト教だと、洗礼名がつくんだったかしら?」
マツカ 「ええ。生まれてすぐの赤ん坊でも、貰えますね」
教会で洗礼を受けさえすれば…、と御曹司。
マツカ 「改宗するなら、洗礼を受けて名前を貰う筈ですよ」
サム 「なるほどなぁ…。戒名とは縁が切れるってか」
盲点だったぜ、とサム君、感心。
サム 「破門したって無理だと思っていたけどよ…」
シロエ 「改宗という手があったんですか…」
ジョミー「いいかもね、ソレ」
キース 「俺ともキッパリ絶縁だしな…」
キリスト教なんぞ範疇外だぞ、と副住職。
そりゃそうですよね?
2018/11/12 (Mon)
☆うるさい宗教
観光松茸山から消されていたのが、迷惑な存在のスッポンタケ。
誰かさんが有難がる戒名の方は、キース君にも消せませんが…。
シロエ 「元老寺だと、クリスマスも無いと言ってましたね?」
キース 「ああ。ガキの頃には、サンタクロースも来なかった」
それくらいの勢いでキリスト教とは無縁なんだ、と副住職。
キース 「スッポンタケがそっちに行ったら、俺は知らんぞ」
サム 「だよなあ、キースは坊主だしよ…」
マツカ 「神父さんでも、牧師さんでもないですからね」
関わりようがないですよ、と御曹司も。
マツカ 「キリスト教に改宗するにも、キースじゃ無理です」
ジョミー「あー…。キリスト教の専門家が必要だよね」
ブルー 「そうなるねえ…。素人さんでは、洗礼は無理だし」
あの宗教はうるさくて…、と生徒会長が振っている首。
ブルー 「なにしろ女性の聖職者でも、出来ない場合が…」
一同 「「「へ?」」」
何が、とキョトンとする御一同様。
シロエ 「何が出来ないって言うんです?」
ブルー 「洗礼だってば。他にも色々、出来ないことが沢山」
スウェナ「えーっと…。シスターなんかは、どうなるのよ?」
ブルー 「もちろん、何の役にも立たないってね」
正式な祝福だって無理だ、とキッパリと。
サム 「何だよ、正式な祝福ってのは?」
ブルー 「ロザリオとかを使い始める前には、祝福が必要!」
スウェナ「でも、シスターだって祝福するでしょ?」
ブルー 「お気持ち程度の祝福なんだよ、教義的には」
素人さんよりランクが上というだけ、とフウと溜息。
ブルー 「シスターがいない方の宗派なら、女性もオッケー」
シロエ 「そういえば宗派が分かれてますね」
ぼくは詳しくありませんが…、とシロエ君。
シロエ 「スッポンタケなんかは、どうなるんでしょう?」
ブルー 「女性の聖職者は認めていてもねえ…」
マツカ 「無理そうですか…」
キノコなだけに…、と御曹司の嘆き。
まあ、そうでしょうね?
2018/11/13 (Tue)
☆祝福くらいなら
一度つけたら消せないブツが、スッポンタケの戒名ですけれど。
宗教を変えたら消せるのだそうで、キリスト教には無い戒名。
マツカ 「キリスト教に行ってくれれば、平和なんですけど…」
シロエ 「でも、洗礼が要るんですよね?」
ブルー 「そこだけは外せないポイントだよねえ…」
洗礼は大前提だから…、と生徒会長。
ブルー 「スッポンタケに洗礼をしてくれるような人はさ…」
マツカ 「何処にもいそうにありませんね?」
ブルー 「祝福だけなら、なんとかなるとは思うけど…」
一同 「「「えっ?」」」
なんでスッポンタケに祝福、と一同、ビックリ仰天。
シロエ 「あのぅ…。祝福っていうのは、特別なのでは?」
マツカ 「シスターがやるとランク落ちだと言いましたよね」
ブルー 「そっちの宗派だと、神父がやるのが正式だから…」
ロザリオとかを使い始める前には、お願いするもの、と。
ジョミー「それじゃ、スッポンタケは無理そうだよ?」
サム 「宗教とは何の関係もねえし、断られそうだぜ」
ブルー 「それがそうでもないんだよ。モノによっては」
一同 「「「えーっと…?」」」
サッパリ分からん、と誰もが首を傾げていますけど。
ブルー 「お菓子とかでも祝福するしね、必要ならば」
一同 「「「お菓子!?」」」
ブルー 「復活祭のが有名だけれど、それ以外でも」
目的さえハッキリしていれば…、と立てる親指。
ブルー 「探し物用のケーキなんかが有名だよね」
一同 「「「探し物?」」」
ブルー 「見付けたい時に、作るケーキがあるんだよ」
それを祝福して貰ってから食べて探す、という話。
ブルー 「そうすると失せ物が見付かるらしいよ」
シロエ 「本当ですか!?」
ブルー 「専用のケーキで、ちゃんと名前もあるからね」
ジョミー「だったら、スッポンタケなんかでも…」
ブルー 「場合によっては、オッケーかもねえ…」
祝福を頼むくらいなら…、と言ってますけど。
アリなんですか?
2018/11/14 (Wed)
☆メインだけなら
一度つけたら消せないと噂の、スッポンタケの戒名なんですが。
宗教を変えれば不要な戒名、そっちの線で何とかしたい面々。
シロエ 「探し物用のケーキがあるなら、いけそうですね」
スウェナ「ロザリオと違って、お祈りとは無関係なんでしょ?」
ブルー 「祝福をして貰わないと、効き目が無いらしいけどね」
そのケーキだけを作っても無駄、と生徒会長。
ブルー 「ただの美味しいケーキなだけで、探し物は無理」
サム 「でもよ、ケーキを祝福するなら、キノコでもよ…」
シロエ 「して貰えそうですよ、きちんと頼めば」
ブルー 「まあねえ…。ただ、問題は洗礼でさ…」
ソレをしないと改宗できない、と生徒会長、深い溜息。
ブルー 「祝福くらいはして貰えても、洗礼の方は…」
サム 「難しいって言うのかよ?」
ブルー 「女性の聖職者がランク落ちになる宗派だしねえ…」
キノコに洗礼を認めるだろうか、と顎に手を。
ブルー 「やっぱりプロが洗礼しないと、ダメなんだろうし」
一同 「「「へ?」」」
ブルー 「洗礼のメインイベントだけなら、コッソリと…」
可能な感じの宗派だけれど…、と言ってますけど。
シロエ 「メインイベントって、何なんです?」
ブルー 「いわゆる洗礼というヤツだけど?」
マツカ 「コッソリ出来るようなモノですか、アレ?」
手順が厄介そうですけれど…、と御曹司。
マツカ 「ぼくも詳しくないんですけど、こう、色々と…」
ブルー 「それがそうでもないんだな。その宗派だと」
サム 「マジかよ、重要なイベントじゃねえかよ」
ブルー 「だけど、メインは単純なんだよ」
その気になったら誰でも出来る、と見回す周囲。
ブルー 「なにしろ、ドボンと浸けるだけだから!」
一同 「「「へ?」」」
ブルー 「洗礼盤の中に、頭のてっぺんまでドップリと!」
キース 「浸けるのか!?」
ブルー 「そうだけど?」
文字通りドボンと…、と大真面目な顔。
何か間違ってるような…?
2018/11/15 (Thu)