☆お帰り願いたい
スッポンタケのせいで窮地に陥った、キース君ですけれど。
賠償金を肩代わりするべく来たのがソルジャー、目的は不純。
Aブルー「新年に煩悩を回収するには、まず、除夜の鐘!」
シロエ 「そ、それはそうかもしれませんけど…」
Aブルー「何か問題があるのかい?」
シロエ 「元老寺の除夜の鐘には、来ないじゃないですか!」
だったらキース先輩は無関係です、という指摘。
シロエ 「健康だろうが、寝込んでいようが、まるで全く!」
サム 「言われてみれば、そうだよなあ…」
ジョミー「何処のお寺も除夜の鐘だもんね、大晦日には」
キース抜きでも、どうとでもなるよ、とジョミー君も。
ジョミー「庇わなくてもいいと思うな、キースなんかを」
スウェナ「同感だわね…。賠償金は要らないけれど」
後々まで祟りそうだから、とスウェナちゃん、牽制。
スウェナ「それより早く帰ってちょうだい、その方がいいわ」
シロエ 「ええ、ぼくたちも嬉しいです」
余計な話は聞きたくないので…、とシロエ君も丁重に。
シロエ 「ぶるぅに折詰を貰って、お引き取り下さい」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ お料理のと、今日のおやつだね!」
Aブルー「ちょ、ちょっと…!」
そこで追い出さないで欲しい、とソルジャー、ワタワタ。
Aブルー「これからが盛り上がる所なんだよ、除夜の鐘で!」
シロエ 「盛り上げなくていいですから!」
サム 「うんうん、俺たちは好きにやるしよ」
そこのキースの野郎を肴に…、と指差すサム君。
サム 「なにしろ恨みは山ほどあるしよ、ネタは尽きねえ」
キース 「そうなるのか…!?」
今日はそういう集まりなのか、とキース君、ガクブル。
キース 「賠償金は支払えないと言った筈だが…!」
シロエ 「忘年会を捨てれば、解決します!」
ジョミー「払えなくても別にいいけど、いたぶるくらいは…」
サム 「やりてえよなあ…?」
暮れなんだしよ、とサム君、ニヤリ。
一年の締めくくりですもんね…?
2018/12/16 (Sun)
☆一年分の恨みを
キース君を庇いに来たソルジャーですけど、邪魔すぎる存在。
お帰り願って、キース君を苛めたいのがシャン学メンバー。
キース 「年の暮れだから、どうだと言うんだ!」
サム 「ずっと昔は、借金取りの季節だったと思うぜ」
シロエ 「そうです、そうです! 一年分のを取り立てに!」
掛け売りがメインだった頃の話ですよね、とシロエ君。
シロエ 「その精神でもって、一年分の恨みを清算ですか!」
サム 「清算するのは無理だけどもよ、気分だけでも…」
スウェナ「いいわね、キースをフルボッコなのね!」
言いたいことを言わせて貰って…、とスウェナちゃんも賛成。
スウェナ「地獄の底まで落としたいわね、キースの心を」
サム 「再起不能にしてやりてえよな、今日くらいはよ」
キース 「お、お前たち…!」
俺を苛めて面白いのか、と引き攣るキース君の顔。
キース 「それよりは、例のスッポンタケをだ…!」
サム 「いびれってか? でもよ、キノコをいびっても…」
ジョミー「落ち込むことは全く無いしね、キノコだから…」
馬の耳に念仏よりも酷いレベルで…、とジョミー君。
ジョミー「右から左に聞き流されて終わりだってば!」
マツカ 「そもそも、耳はあるんでしょうか?」
サム 「分からねえけど、逃げてはいたよな…」
洗礼されたくなくってよ、とサム君、ブツブツ。
サム 「その元凶がキースの野郎で、戦犯なんだぜ」
シロエ 「どうやって料理しましょうか?」
ぶるぅ 「んとんと…。お料理したら、死ぬと思うの!」
活け造りだって食べたら死ぬよ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
ぶるぅ 「可哀想だから、お料理はダメーッ!」
Aブルー「ぼくもそう思う。だけど料理にこだわるなら…」
シロエ 「まだいたんですか、何か意見でも…?」
Aブルー「折詰にしてくれれば、ぼくが貰って帰っても…」
一同 「「「イイネ!!!」」」
それなら生でも詰められるし、と上がる歓声。
活けの海老みたいに…?
2018/12/17 (Mon)
☆折詰でよろしく
キース君をとことん苛めたいのが、シャン学メンバーの暮れ。
けれどソルジャーが庇いに来まして、言い出したことが…。
シロエ 「本当にお持ち帰りしてくれるんですか!?」
Aブルー「元から帰れと言われていたしね、そのついでだよ」
ぼくに帰って欲しかったんだろう、という質問。
Aブルー「料理もおやつもテイクアウトで、持って帰れって」
シロエ 「言いましたけど…。キース先輩まで?」
Aブルー「折詰にしてくれるんならね!」
ぼくが有難く貰って帰るよ、とニコニコニコ。
Aブルー「なにしろ法力は折紙つきだし、使えそうだから」
キース 「お、俺に、何をさせる気だ…!?」
Aブルー「ぼくのハーレイが漲るように、お経をよろしく!」
キース 「なんだって!?」
そんなお経が存在するか、と副住職、額に青筋が。
キース 「無い袖は振れんと昔から言うし、サッサと帰れ!」
Aブルー「違うよ、スッポンタケのためのお経でいいんだよ」
アレはハーレイの養子だからね、とソルジャーが立てる親指。
Aブルー「君がお経を唱えてくれれば、養子を通じて…」
サム 「パワーが届くって仕組みかよ?」
Aブルー「そう! だから是非とも、キースの折詰!」
活きのいいのを詰めて欲しい、と注文が。
ぶるぅ 「んとんと…。段ボール箱でもいい?」
Aブルー「もちろんだよ! 大きい箱があるのかな?」
ぶるぅ 「それなら、何処かで貰って来るーっ!」
家具売り場ならあると思うの! と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
ぶるぅ 「ちょっと待っててね、行ってくるから!」
キース 「ま、待ってくれ!」
俺にも都合というものが…、と副住職、顔面蒼白でして。
キース 「ただでも暮れは忙しいんだ! 寺というのは!」
シロエ 「でも、忘年会に出掛ける時間はあるんですよね?」
サム 「それを前倒しで使えばいいじゃねえかよ」
スウェナ「アドス和尚も許すわよ!」
帳尻が合えばいいんでしょ、という声が。
その通りかも…。
2018/12/18 (Tue)
☆揺れるかもです
キース君を苛めたいシャン学メンバーに、渡りに船な提案が。
なんとソルジャーが折詰を希望、お持ち帰りをという話で…。
スウェナ「忘年会で留守にするのは、どうせ夜でしょ?」
シロエ 「夕方からって所でしょうね、定番コースだと」
スウェナ「だったら、それを今夜と交換すればいいのよ!」
そして忘年会を一つ欠席すればいいわ、とスウェナちゃん。
スウェナ「欠席した忘年会の会費は、賠償金ってことで…」
ジョミー「ぼくたちが貰えばオッケーだよね!」
シロエ 「微々たる額の会費にしたって、使えますしね…」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 食材とかが買えるよ!」
それで御馳走を作ればいいの! という声も。
ぶるぅ 「そうすれば楽しくパーティー出来るし…」
Aブルー「じゃあ、決まり! 折詰をよろしく!」
其処のキースを詰めて欲しいな、とソルジャーの笑顔。
Aブルー「ぶるぅが箱を調達する間に、キースは家にさ…」
シロエ 「今夜は外で泊まってくる、と連絡ですね!」
ブルー 「アリバイ作りは、ぼくが協力するから」
ぼくの家に泊まるってことでいいよ、と生徒会長。
ブルー 「そうすれば、アドス和尚から連絡が来ても…」
Aブルー「ぼくのシャングリラに、すぐに転送できるしね」
キース 「そ、そんな…!」
Aブルー「心配しなくても、君の命は保証するから!」
明日には家に帰してあげるよ、とソルジャー、御機嫌。
Aブルー「ただねえ、この時期、ちょっと揺れるかも…」
キース 「揺れるだと…?」
Aブルー「うん。人類軍が来る可能性が割と高めでさ…」
一同 「「「人類軍!?」」」
もしかして危険なのだろうか、と顔を見合わせる御一同様。
シロエ 「…やめておいた方がいいんでしょうか?」
サム 「キースが死んだら、シャレにならねえしよ…」
Aブルー「ああ、その点なら大丈夫! ぼくがいるから!」
キース 「俺は命が惜しいんだが!」
危険な橋は渡りたくない、と副住職、ガクブル。
さて…?
2018/12/19 (Wed)
☆ボーナス狙いで
キース君を折詰にして持ち帰りたい、と言うのがソルジャー。
美味しい提案なんですけれど、ヤバい感じが漂ってまして…。
シロエ 「どうして、人類軍が来る可能性が高いんです?」
Aブルー「ああ、それはニューイヤーが近いからでさ…」
一同 「「「へ?」」」
何故、新年が近いとそうなるのだ、と飛び交う『?』マーク。
シロエ 「ニューイヤーって…。何か特別なんですか?」
Aブルー「それはもちろん! ぼくの船でもパーティーだし」
シロエ 「おめでたいのは分かりますけど、何故、暮れに…」
Aブルー「襲来する可能性が増えるのか、って?」
簡単なことだよ、とソルジャー、ウインク。
Aブルー「ニューイヤーは人類軍も休みで、攻撃はゼロ!」
ジョミー「あー…。だからパーティー出来るんだ?」
Aブルー「そういうこと! その代わり、暮れは全力で…」
シロエ 「攻撃が来ると言いたいんですね?」
休暇に入る前に頑張るんですね、とシロエ君。
シロエ 「今年の間に片をつけようと、人類軍が」
Aブルー「うーん…。どっちかと言うと、ボーナス狙い?」
一同 「「「ボーナス?」」」
Aブルー「ミュウの母船を沈められたら、ドッカンと!」
凄い賞金が出るものだから…、とソルジャーの笑顔。
Aブルー「馬鹿だよねえ…。命あっての物種なのに」
シロエ 「軍人さんでも、ボーナスは欲しいものですか…」
Aブルー「当たり前だろう、休暇は命の洗濯だしね!」
いくらあっても困らないよ、というお金。
Aブルー「じゃあ、説明も済んだ所で…。折詰、よろしく!」
キース 「待て、本当に危ないじゃないか!」
半端なく危険が高そうだぞ、と顔面蒼白の副住職。
キース 「俺が死んだら、どうしてくれる!」
Aブルー「えーっと…。その場合は、ぼくの専属ってことで」
キース 「なんだって!?」
Aブルー「君が立派なお坊さんなら、今よりも、もっと!」
法力に期待できそうだから、とニコニコニコ。
ソルジャー専属…?
2018/12/20 (Thu)
☆名が上がります
キース君を折詰にしてお持ち帰りしたい、今日のソルジャー。
明日には帰してくれると言っても、リスクが高そうでして…。
Aブルー「立派なお坊さんを、ぼくの船にお迎え出来るしね」
キース 「お、俺が死んだら、そうなると…!?」
Aブルー「ぼくの世界に極楽は無いし、そうなるかな、って」
行き場が無いなら、船に残ってくれるよね、と満面の笑み。
Aブルー「そして毎日、スッポンタケのためにお経を!」
キース 「死んだ後までこき使う気か!?」
Aブルー「人聞きの悪い…。お坊さんとしては本望だろう?」
君の法力が役に立つんだからさ、とソルジャーの主張。
Aブルー「スッポンタケが漲れば、ぼくのハーレイだって!」
キース 「ただ、それだけのことだろうが!」
Aブルー「違うよ、ハーレイが漲れば、ぼくのパワーが!」
もうガンガンと上がるからね、とニコニコニッコリ。
Aブルー「そうすれば、きっと地球まで行けるし!」
シロエ 「ああ、なるほど…。キース先輩の法力で、ですね」
Aブルー「分かってくれた? 何もかもキースのお蔭だし…」
ミュウという種族の大恩人で…、とソルジャー、力説。
Aブルー「後々まで讃えられると思うよ、君の名前は!」
キース 「俺は嬉しくないんだが!」
他所の世界で有名になっても意味が無い、と副住職の反論。
キース 「それよりは、名も無い坊主として慎ましく…」
シロエ 「ぼくたちに迷惑をかけまくって…ですか?」
サム 「ちっとも慎ましくねえよな、ソレ」
ジョミー「折詰でいいって気がしてきたよ」
運が良ければ生きて帰って来られるしさ、とジョミー君。
ジョミー「ぶるぅ、段ボール箱を貰って来てよ」
ぶるぅ 「オッケー! キースが丸ごと入るヤツだね!」
キース 「ま、待ってくれ! 本当に俺の命がヤバイんだ!」
シロエ 「でも、名僧になれるチャンスですよ?」
キース 「そんなのは、要らん!」
俺は命が大切なんだ、とガクガクブルブル。
お坊さんでも…?
2018/12/21 (Fri)
☆キャンセルは必須
キース君を折詰にして持って帰る、と言い出したソルジャー。
シャン学メンバーも乗り気だというのに、本人が逃げ腰で…。
キース 「さっき、そいつも言ってただろうが!」
シロエ 「何をです?」
キース 「命あっての物種だ、と!」
俺だって命が惜しいんだ、とキース君、必死。
キース 「誰に迷惑をかけまくろうが、俺はかまわん!」
シロエ 「そう来ましたか…」
サム 「坊主の風上にも置けねえヤツだな」
キース 「何とでも言え、俺は意地でも逃げて生き残る!」
折詰なんぞにされてたまるか、と悟りの境地とは真逆な発言。
キース 「まだまだやりたいことも多いし、まだ死ねん!」
ジョミー「要は、行く気は無いんだね?」
キース 「絶対に、行かん!」
ジョミー「じゃあ、賠償金くらい払ってくれるよね?」
忘年会は全部キャンセルで…、とジョミー君。
キース 「なんで、そうなる!?」
ジョミー「迷惑をかけて生きるんだったら、常識だから」
シロエ 「そうですね…。誠意は見せて欲しいです」
Aブルー「賠償金なら、ぼくが肩代わりしてあげるけどね?」
どう転んでも、キースは迷惑な存在らしいし…、という声が。
Aブルー「お持ち帰りは諦めるけど、今後の拘束料でさ」
シロエ 「それは困ります! 迷惑が更に増えますから!」
マツカ 「基本の迷惑だけで充分なんです、ぼくたちは」
Aブルー「うーん、残念…」
いい話だと思ったのに…、とソルジャー、ガッカリ。
Aブルー「だったら話は、そっちでつけてよ」
シロエ 「帰るんですか?」
Aブルー「御馳走とかだけ貰ってね」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ すぐに詰めるね!」
手際よく出来たテイクアウト用、手を振るソルジャー。
Aブルー「それじゃ、またねー!」
シロエ 「行っちゃいましたか…」
キース 「た、助かった…!」
ジョミー「忘年会は全部、キャンセルだよ?」
サム 「分かってるよな?」
見苦しいのは勘弁だぜ、と厳しい注文。
当然ですね…?
2018/12/22 (Sat)
☆キャンセルの結末
キース君の折詰の持ち帰りを諦め、帰って行ったソルジャー。
シャン学メンバーの言い分はといえば、忘年会のキャンセル。
サム 「俺たちに迷惑かける以上は、賠償金くらいはよ…」
ブルー 「全力で支払って然るべきだろうね、どう考えても」
キース 「し、しかし…! あれは大切な交流の場で…!」
ブルー 「そうじゃないのは、もうバレたよね?」
要はクリスマスの代わりじゃないか、と銀青様の鋭い指摘。
ブルー 「潔く、全部断りたまえ! この場で、直ぐに!」
キース 「出席の返事をしているのにか…!?」
ブルー 「ぼくの名前を出せばいいだろ、難しいのなら」
緋色の衣の高僧のお供が入った、と言えばオッケー、と。
ブルー 「それでも文句を言うような坊主は…」
サム 「何処を探してもいねえよな、うん」
ジョミー「ほら、早く! キャンセル、キャンセル!」
シロエ 「余った費用で、ぼくたちに賠償金ですよ!」
早くして下さい、とシロエ君も。
シロエ 「そのお金で、ぶるぅに食材を買って貰って…」
サム 「忘年会をしようぜ、俺たちで!」
一同 「「「イイネ!!!」」」
クリスマスの後で是非やろう、と誰もが賛成。
シロエ 「クリスマスは、例の人たちも来ちゃいますから…」
マツカ 「ぼくたちだけのお楽しみですね、忘年会は」
スウェナ「ほら、キース! サッサと断りなさいよ!」
キース 「う、うう…。仕方ない…」
せっかくの忘年会だったのに…、とスマホを取り出す副住職。
キース 「…申し訳ない、と…。ん? んん!?」
サム 「どうしたんだよ?」
キース 「羨ましいぜ、この野郎、と…」
即レスが来た、と副住職が続ける作業。
キース 「此処もか、そして、こいつもなのか…!」
ブルー 「ほらね、ぼくの名前の効果は抜群!」
キース 「あんたの奢りだと思っていやがるんだが…!」
ブルー 「知らないねえ…」
ぼくに奢ってくれるんだろう、と満面の笑顔。
気の毒すぎ…。
2018/12/23 (Sun)
☆忘年会が済んだら
キース君の忘年会キャンセルから日は流れまして、12月末。
今年も終わりの大晦日の日で、元老寺に向かう御一同様。
シロエ 「楽しかったですねえ、忘年会!」
サム 「キースの野郎も、なんだかんだで楽しんだけどよ」
ジョミー「食材費だけで、あれだけ豪華な御馳走だしね…」
マツカ 「ぶるぅの腕がいいからですよ」
それに仕入れも手慣れたものです、と御曹司。
マツカ 「プロ級ですしね、その辺りは」
スウェナ「そうねえ、ダテに三百年以上も生きてないわね」
サム 「だよなあ、俺たちとは経験値ってヤツがよ…」
シロエ 「まるで全く違いますよね、ブルーも、ぶるぅも」
一生、勝てやしませんよ、とシロエ君の溜息。
シロエ 「今日だって、ぼくたちはバスで来ましたけど…」
サム 「あっ、あのタクシーがそうなんじゃねえか?」
黒塗りだしよ、と目を遣るタクシーが山門前に横付け。
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 同じ時間に着いたねーっ!」
ブルー 「早めに来るのは、いい心がけだよ」
シロエ 「いえ、それほどでも…」
キース 「なんだ、お前たちまで来やがったのか…」
俺はブルーの出迎えに来たのに…、と法衣のキース君。
キース 「だが、見なかったふりも出来んしな…」
シロエ 「そうですよ。庫裏には通して貰えるんでしょう?」
キース 「一般客と一緒に並んだらどうだ?」
一番に鐘を撞きたい人なら、遥か前に来たぞ、という台詞。
キース 「列なら、既に出来始めているが」
シロエ 「別にいいですけど、忘年会は楽しかったですねえ」
サム 「うんうん、来年も、是非、やりてえよな」
キースの金でよ…、とサム君が揉み手。
サム 「坊主仲間の忘年会は出ないで、俺たちの方に」
シロエ 「資金を回して頂けると、とても嬉しいんですが…」
キース 「うっ…。よ、良かったら、庫裏で温かいものでも…」
一同 「「「イイネ!!!」」」
お邪魔します、と山門をくぐる面々。
寒いですもんね…。
2018/12/24 (Mon)
☆効果が無いような
今年も大晦日がやって来たわけで、元老寺に集った御一同様。
キース君の案内で庫裏に入って、後は除夜の鐘を待つばかり。
シロエ 「いいですねえ…。お寺住まいの知り合いって」
キース 「普段は文句ばかりだろうが!」
俺はお構い出来ないからな、と副住職がドンと置く、お茶。
キース 「ブルーにだけ淹れれば、俺の役目は終わりなんだ」
ブルー 「どうぞ、お構いなく。色々と忙しいだろうしね」
キース 「有難い。では、失礼させて頂いて、準備の方に…」
行って参ります、と襖を閉めて、そそくさと。
シロエ 「逃げられましたね、早々に」
ブルー 「仕方ない気もするけどねえ…。忘年会の恨みで」
サム 「あいつも楽しんでいたじゃねえかよ」
ブルー 「坊主仲間の忘年会が、今年は全部パアだったし…」
暮れのお楽しみが全部オシャカに…、と生徒会長の苦笑。
ブルー 「だから大目に見てあげたまえ。今日の所は」
シロエ 「でもですね…」
ブルー 「暖かい部屋で待てるだけでも、有難いだろう?」
この寒さだと雪が降るよ、と生徒会長、いえ、銀青様。
ブルー 「寒風の中で除夜の鐘を待つのと、庫裏だとさ…」
ジョミー「断然、庫裏の方だよね…」
ブルー 「そういうことだよ、我慢、我慢」
そして良い年を迎えたまえ、とパチンとウインク。
ブルー 「煩悩を全て洗い流して、清い心で」
シロエ 「正直、毎年やってますけど、効果ゼロです!」
ブルー 「分かっていたって、きちんとやる!」
功徳を積んでいけばいつかは…、と銀青様のお説法。
ブルー 「塵も積もれば山となる、って言うだろう?」
一同 「「「うーん…」」」
いい年になった試しが無いのに…、と誰もが納得いかず。
スウェナ「来年もダメって気がするわよねえ…」
マツカ 「ぼくもです」
ブルー 「そんな調子じゃ、貰える福も逃すものだよ」
シロエ 「そう言われてもですね…」
毎年、災難続きですから、とシロエ君。
間違いないですね…?
2018/12/25 (Tue)
☆効果が無い理由は
大晦日には元老寺で除夜の鐘を撞くのが、シャン学メンバー。
只今、庫裏で待機中ですけど、不満たらたらな雰囲気でして。
シロエ 「一度くらいは、ちゃんと御利益が欲しいですよ」
サム 「まったくだよなあ、毎年、ハズレばっかりだしよ」
スウェナ「此処の除夜の鐘って効くのかしらねえ…」
そもそも、それが問題だわよ、とスウェナちゃんの疑問。
スウェナ「なにしろ、キースが副住職をやってるんだし…」
ジョミー「確かに、ソレが悪いのかも…。キースだっけね…」
マツカ 「諸悪の根源だと言われてますしね、ずっと前から」
例のスッポンタケのせいで…、と御曹司も。
マツカ 「煩悩を清めたつもりでいたって、無効なのかも…」
スウェナ「ほらね、マツカもそう思うでしょ?」
怪しいのよね、と視線を鐘楼がある方角へ。
スウェナ「だから毎年鐘を撞いても、何の効果も無いわけよ」
シロエ 「一理ありますね、此処では駄目なわけなんですね」
キース先輩がいないお寺に行かないと…、とシロエ君。
シロエ 「今から行ったら間に合いますよね、他所のお寺も」
サム 「いけると思うぜ、アルテメシアは寺が多いし」
スウェナ「そうと決まれば、タクシーだわよ!」
バスなんか待っていられないわ、と取り出すスマホ。
スウェナ「何処でもいいわね、タクシー会社は?」
シロエ 「もちろんです!」
サム 「早いトコ頼むぜ、何処でもいいから」
スウェナ「分かったわ。えーっと…。もしもし?」
タクシーをお願いできるかしら、と始まった通話。
スウェナ「ええ、5人だから中型で…。えっ?」
シロエ 「どうかしましたか?」
スウェナ「無いんですって…。じゃあ、小型を2台…。え?」
それもダメなの、と電話を終了で…。
スウェナ「予約は受けていないんですって、一杯で」
シロエ 「他所に頼みましょう!」
スウェナ「当然よ! もしもし…。え? えええっ?」
此処も予約で一杯だわよ、と悪い顔色。
もしかして、他も…?
2018/12/26 (Wed)
☆何処も一杯です
除夜の鐘を撞こうと元老寺に来た、シャン学メンバーですが。
煩悩を清めても続わらない災難、原因は鐘だ、と脱出を決意。
シロエ 「そこの会社もダメなんですか…。次は?」
スウェナ「今から電話よ。もしもし、えっと、タクシーを…」
お願いします、と言うなり「ええっ?」という声、再び。
スウェナ「はい…。はい、分かりました、他を当たります」
サム 「今の会社もダメだったのかよ!?」
スウェナ「そうなのよね…。後は此処と、此処と…」
全部ダメってこともないでしょ、と電話したのに結果は全滅。
スウェナ「個人タクシーまで出払ってるわよ、何なのよ!」
ブルー 「大晦日で、しかも夜だからねえ…」
最初から予約で一杯だと思う、と生徒会長。
ブルー 「お出掛けしようって人も多いし、無理もないよ」
シロエ 「じゃあ、脱出は不可能なんですか!?」
ブルー 「路線バスなら、ご自由にどうぞ」
今日は終バスも遅いからね、と言ってますけど。
サム 「今からバスで出掛けるんなら、何処の寺だよ?」
シロエ 「さ、さあ…? 何処が有名なんでしょう?」
マツカ 「有名どころだと、そうですね…。この辺とか…」
でも、今からだと間に合うかどうか、と御曹司が傾げる首。
マツカ 「バスも満員かもしれません。初詣の人で一杯で」
サム 「あー、二年参りのヤツらがいるよな…」
シロエ 「満員だと通過されちゃいますよね、バス停…」
たとえ、ぼくたちが待っていても…、とシロエ君。
シロエ 「次のバスにお乗り下さい、って」
ジョミー「だよねえ…。って、そうだ、マツカだ!」
一同 「「「え?」」」
ジョミー「マツカの家の車だったら…!」
運転手さん付きで来るのでは、と妙案が。
マツカ 「そうでした! 直ぐに電話を…」
キース 「邪魔するぞ。ブルー、そろそろ準備を頼む」
一同 「「「へ?」」」
キース 「お前たちも列に並べよ」
いい時間だしな、と副住職が指差す腕時計。
リーチ…?
2018/12/27 (Thu)
☆脱出した場合は
除夜の鐘を撞きに元老寺に来た、シャン学メンバーですけど。
元老寺の鐘は効きそうにない、と脱出を計画している所へ…。
キース 「早く並ばないと、順番がどんどん後になるぞ」
ブルー 「だろうね、ぼくは衣に着替えに行くから」
ぶるぅ 「みんなは脱出、頑張ってねーっ!」
キース 「脱出だと?」
何処へ行くんだ、と副住職の問い。
シロエ 「え、えっと…。たまには他所のお寺もいいかと…」
マツカ 「そうなんです。ずっと元老寺ばかりでしたし…」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 他所の除夜の鐘、効くといいね!」
キース 「なんだと、ウチのは効かんと言うのか!?」
なんて罰当たりな連中なんだ、と副住職が吊り上げる眉。
キース 「お蔭様でウチのは評判なんだぞ、あちこちで!」
サム 「ブルーが撞きに出てるからだろ?」
キース 「緋色の衣の高僧な上に、超絶美形だからな…」
老若男女を問わずに人気だ、と腕組みを。
キース 「貴様たちが脱出すると言うなら、ブルーをだ…」
一同 「「「へ?」」」」
キース 「コケにするんだが、覚悟はいいか?」
それでいいなら出て行きやがれ、と指差す山門の方角。
サム 「そうなるのかよ!?」
キース 「誰が聞いても、そうだと思うが…。ではな」
俺は急ぐ、とソソクサと。
シロエ 「ど、どうしましょう…。会長に訊こうにも…」
マツカ 「着替えに行ってしまいましたし…」
ブルー 『ぼくなら、全く気にしないけどね?』
だけど来年がヤバイかも…、と届いた思念。
ブルー 『何かあったら、脱出したせいにされると思うよ』
一同 「「「うわー…」」」
効かない鐘より酷いじゃないか、と誰もがガクブル。
シロエ 「自己責任にされちゃうみたいですね…?」
サム 「そうなるよりかは、此処で撞いた方がよ…」
ジョミー「まだマシだよねえ…?」
スウェナ「自己責任だなんて、勘弁だわよ!」
悪いのはキースなんだから、とスウェナちゃんも。
脱出したら負け…?
2018/12/28 (Fri)
☆脱出したら終わり
除夜の鐘を撞きに元老寺に来ている、シャン学メンバー。
脱出を計画したんですけど、逃げた場合は来年が大変そうで。
スウェナ「キースが来年、何をやらかしても文句は禁止よ?」
シロエ 「有難い除夜の鐘を逃したからだ、と言いますよね」
サム 「それ以外にねえと思うぜ、絶対」
ジョミー「他所のお寺のが効かなかった、って言うんだよ」
どんな災難が降って来たって…、とジョミー君の嘆き。
ジョミー「いくらキースが悪くったって、そうなるってば」
マツカ 「ぼくの家の車、呼ばない方が良さそうですね…」
スウェナ「呼んだら終わりよ、他所のお寺に行くんだから」
サム 「キースに見付かる前に逃げてりゃ、まだしもよ…」
現場を押さえられちまったし、とサム君も。
サム 「勝手に逃げたら、出来心で許されそうでもよ…」
シロエ 「元老寺に文句をつける形になりましたしね…」
ダメなフラグが立ってますよ、とシロエ君。
シロエ 「他所の方が効きそうでも、ここで脱出したら…」
ジョミー「一切文句を言えない年になるよね、来年…」
マツカ 「ええ、多分…。お寺絡みのことについては」
スウェナ「つまりは、キースに関することよ!」
此処の副住職なんだから…、とスウェナちゃんが仰ぐ天井。
スウェナ「諦めて此処で撞くしかないわね、除夜の鐘」
シロエ 「ですよね、逃げたらおしまいですし…」
ジョミー「早く行こうよ、列が長くなるから」
サム 「だよな、ぜんざいを早く食いてえし…」
寒い中を並ぶんだったら、それだけが楽しみ、という声が。
サム 「此処のぜんざいは美味いしよ…」
ジョミー「それは間違いないよね、うん」
急ごう、と庫裏を飛び出す御一同様。
シロエ 「うわー、すっかり出遅れましたよ」
サム 「例年だったら、もっと前の方だぜ、俺たちは…」
スウェナ「これもキースのせいにしたいわね」
マツカ 「そうですね…」
そのためにも此処で撞きましょう、と諦めの境地。
脱出、失敗…。
2018/12/29 (Sat)
☆出遅れた結果は
除夜の鐘を撞こうと列に並んだ、シャン学メンバーですけど。
例年よりも出遅れただけに、早く到着していた分がパア。
シロエ 「キツイですよね、この順番は…」
サム 「撞ける頃には、1時過ぎかもしれねえなあ…」
一同 「「「うーん…」」」
ホントにそうかも、と思わざるを得ない前に並んだ人の数。
ジョミー「鐘を撞かないと、おぜんざいは貰えないしね…」
スウェナ「暖かいテントに入れないわけね、寒いのに…」
マツカ 「あっ、雪が降って来ましたよ。風花ですけど」
シロエ 「一番寒くなるパターンですよ、それ…」
雲ってないから放射冷却で…、とシロエ君が見上げる星空。
シロエ 「この中を1時過ぎまでですか…」
キース 「ほほう…。今年は、こんなに後ろか」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 寒いけど、頑張ってねーっ!」
ブルー 「君たちがトリってわけでもないけど、遅そうだね」
冷える中を行列ご苦労様、と鐘楼に向かう面々が通過。
シロエ 「いいですよねえ、関係者用のテント…」
サム 「あそこはストーブあるんだよな…」
ジョミー「熱いお茶もあるし、食べ物もあるよね…」
マツカ 「おぜんざいだけじゃないんですよね…」
偉いお坊さん用ですから、とマツカ君が零す溜息。
マツカ 「ブルーは最後の鐘も撞きますし、待ち時間が…」
シロエ 「長い分だけ、うんと優遇されるんですよね」
なのに、ぼくたちはこの有様です、とシロエ君の嘆き。
シロエ 「いつになったら鐘を撞けるか、それさえ謎です」
サム 「整理券を出してくれたら助かるのによ…」
スウェナ「全部キースのせいなのよ!」
順番が遅いのも、整理券が無いのも…、とスウェナちゃん。
スウェナ「そういう文句をつけるためにも、撞かなくちゃ」
シロエ 「そうでした! 来年のために耐えないと…」
サム 「纏めて文句を言おうぜ、全部」
ジョミー「そのために残ったんだしね…」
脱出計画を放棄して、と拳を握る御一同様。
忍の一字ですね?
2018/12/30 (Sun)
☆除夜の鐘にお願い
除夜の鐘を撞く列に並んだシャン学メンバー、遅そうな順番。
撞ける頃には1時過ぎかもしれない中で、風花と厳しい寒さ。
シロエ 「とんでもない暮れになりましたよね…」
サム 「これもキースのせいなんだぜ」
スウェナ「間違いないわね、キースが来たから脱出失敗」
ジョミー「他所のお寺の鐘の御利益、欲しかったけどね…」
逃したものは仕方ないよね、とジョミー君、ブツブツ。
ジョミー「その分、来年もキースに文句! 列の分まで!」
ブルー 『まだ煩悩にまみれてるのかい、君たちは…』
その調子だから鐘が効かない、と届いた銀青様の思念波。
ブルー 『無我の境地で鐘を撞きたまえ、謙虚な姿勢で!』
一同 「「「無理!!!」」」
行列の人「「「???」」」
シロエ 「い、いえ、なんでもありません…!」
失礼しました、と頭を下げる御一同様。
ブルー 『来年も荒れそうな感じだよねえ、本当に…』
一同 『『『すみません……』』』
反省してます、と返す間に、テントから出て来た銀青様。
シロエ 「時間らしいですね?」
ぶるぅ 『かみお~ん♪ 今年もこれでおしまい!』
来年もいい年になりますように、と無邪気な思念波が。
ぶるぅ 『遅い時間に撞いても、御利益あるからねーっ!』
一同 (((無い、無い、無い…)))
元老寺の鐘では絶対に無理、と諦めの境地。
シロエ 「どうせ来年も永遠ループなんですよ…」
ジョミー「災難エンドレスだよね…」
サム 「キースの野郎が、せっせと呼び込みやがるしな」
本当に他所に行きたかったぜ、とサム君の愚痴。
ブルー 『じゃあ、撞くからね?』
一同 『『『はーい…』』』
ゴーン…、と厳かに銀青様が撞いた除夜の鐘。
シロエ 「言うだけ無駄なんでしょうけど、来年こそは…」
一同 「「「いい年に…!」」」
どうか災難が来ませんように、と切なる祈り。
煩悩を祓うどころか煩悩まみれで、暮れてゆく年。
皆様は、どうぞ良いお年を~!
2018/12/31 (Mon)