☆夏休みにはコレ
さて、7月。やって来るのが夏休みでして、もう真っ盛り。
けれど最初に恒例のイベント、それが終わって生徒会長宅へ。
ぶるぅ 「かみお~ん♪ みんな、お疲れ様ぁーっ!」
ジョミー「うえ~、今年も完全に死んだ…」
もう無理だって、とリビングの床にへたり込むジョミー君。
サム 「情けねえなあ…。とっくに常連入りなのによ」
シロエ 「まったくです。ぼくなんか、合宿の最古参ですよ」
キース先輩たちもですが…、とシロエ君の呆れ顔。
シロエ 「それと同じ回数、参加してると思いますけどね?」
ジョミー「ううん、絶対、1回は少ない!」
最初の年には行ってないから、とキッパリと。
ジョミー「普通の高校1年生の時には、行っていないよ!」
サム 「そういや、俺にも記憶はねえな」
ブルーが高僧なことも知らなかったし、と頷くサム君。
ジョミー「ほらね! 夏休みはキースの家に行ったんだよ」
マツカ 「懐かしいですねえ…。非日常体験でしたっけ?」
スウェナ「そうそう、ブルーの提案だったわ!」
泊まりに行ったら、お寺でビックリ、とスウェナちゃんも。
スウェナ「いきなり宿坊で、お寺ライフに突入したのよ」
シロエ 「ぼくは前から知ってましたけどね、お寺だって」
サム 「いやあ、あの時はマジで驚いたぜ」
なのに今では俺まで坊主、とサム君の苦笑。
サム 「でもって夏休みは、毎年、璃母恩院でよ…」
ぶるぅ 「修行体験ツアーだもんね!」
ジョミー「もういい加減、嫌なんだってば!」
卒業したい、とジョミー君、グチグチ。
ジョミー「精進料理しか出て来ないしさ、疲れるしさ…」
サム 「卒業するのは簡単じゃねえかよ」
坊主の道に入ればオッケー、と立てる親指。
サム 「そしたら一気に指導者側だぜ、ボランティアで」
シロエ 「そうなんですか?」
キース 「ああ。大学の夏休みのバイトで指導員がある」
もちろん専門コースの学生にもな、と副住職。
指導者側になれるんですか?
2019/07/01 (Mon)
☆修行の道とノルマ
ジョミー君とサム君の夏休みのイベント、璃母恩院ツアー。
毎年恒例なんですけれども、卒業したいとジョミー君の嘆き。
シロエ 「指導者側って、なんだか楽しそうですね?」
キース 「まあな。修行道場のようにはいかんが…」
マツカ 「ビシバシ鍛えていいんでしょうか?」
キース 「そういう風潮ではあるな。体罰もオッケーだ」
なにしろ場所が寺だからな、とニヤニヤと。
キース 「ジョミーも何かやられてそうだな、この夏も」
ジョミー「やられたってば、たるんでる、って!」
ハリセンでパアンと派手に一発、と撫でる自分の頭。
ジョミー「ちょっとアクビしただけなのにさ!」
サム 「お勤めの最中に、大口あけてやるからだぜ」
普通はソレは噛み殺すだろ、とサム君、お手上げのポーズ。
サム 「そんな調子だから、合宿が楽しくねえんだよ」
ジョミー「お経と掃除ばっかりじゃないか!」
キース 「坊主の修行の基本だからな、当然だろう」
嫌なら修行の道に入れ、と副住職もプッシュ。
キース 「指導員側に回れるだけでも、値打ちはあるぞ」
ジョミー「だけど、その先に待ってるコースはさ…!」
サム 「立派な坊主への門出じゃねえか」
俺と一緒に目指せ、高僧! とサム君、発破を。
サム 「緋色の衣を着られる身分に、一日も早く!」
ジョミー「ちょっと聞くけど、そうなる前にさ…」
積み重ねの日々があるんじゃあ…、とジョミー君の問い。
サム 「それはそうだぜ、一足飛びにはいかねえよ」
ジョミー「そうじゃなくって、地獄のノルマ!」
一同 「「「ノルマ?」」」
ジョミー「毎年、キースがやってるヤツだよ!」
今年も時期だと思うんだけど、と視線を副住職に。
ジョミー「卒塔婆書きで文句が出るよね、いつも?」
キース 「アレか…。今年もシーズンに入っているが」
ジョミー「それって、坊主限定だよね?」
キース 「そうなるな」
おふくろには書けん、という返事。
あれって資格が要るんですか?
2019/07/02 (Tue)
☆卒塔婆が潰す夏
夏休み恒例の修行体験ツアー、それを終えて来たジョミー君。
ブツブツ文句を言ってますけど、指導員になるのも嫌だとか。
ジョミー「その卒塔婆書き…。それだけでも地獄だよ!」
シロエ 「あれって、イライザさんは除外だったんですか?」
マツカ 「そういえば、聞いたことが無いですよね…」
アドス和尚の話は毎年、出ていますけど、と御曹司も。
マツカ 「ノルマを丸投げされたとか、そういう感じのが」
シロエ 「ええ。イライザさんは完璧なんだとばかり…」
思ってました、とシロエ君。
シロエ 「なのに、そもそもノルマが無かったんですか?」
キース 「ああ。ジョミーが言う通り、坊主限定だからな」
ブルー 「住職の資格を持っていないと、書けないんだよ」
ああいう立派な卒塔婆はね、と銀青様の解説が。
ブルー 「ミニサイズのなら、誰が書いてもいいんだけどさ」
シロエ 「ビッグサイズはダメなんですね?」
キース 「そういうことだ。だから昔は、親父がだな…」
一人で全部書いていたんだ、と副住職。
キース 「その頃の苦労話を持ち出されると、弱くてな…」
サム 「あー…。分かるぜ、それは逆らえねえよ」
ジョミー「でもって、地獄のノルマなんだよね?」
今年もせっせと書いている筈、とジョミー君の指摘。
ジョミー「お坊さんになったら、もれなくソレがさ…」
ブルー 「ついてくるから、修行は嫌だと?」
ジョミー「他にもあるけど、今だとソレだよ!」
せっかくの夏が楽しめないし…、と仏頂面。
ジョミー「海にも山にも行けないじゃないか!」
シロエ 「キース先輩、どっちにもですね…」
普通に来てるじゃないですか、とシロエ君の反論。
シロエ 「卒塔婆を書きつつ、ちゃんとリフレッシュで!」
ジョミー「でもさあ、卒塔婆が残り何本とか…」
スウェナ「確かにカウントしてるわねえ…」
ジョミー「キツイってば、そういう人生は!」
卒塔婆が追って来るなんて、と嫌そうな顔。
まあ、そうかも…?
2019/07/03 (Wed)
☆卒塔婆でスタート
夏休み恒例なのが修行体験ツアー、ジョミー君とサム君だけ。
文句を言うのはジョミー君ですけど、指導員側になるのも嫌。
ジョミー「夏休みの度に卒塔婆なんだよ、地獄だってば!」
キース 「正確に言えば、夏休み前からあるんだがな?」
一同 「「「へ?」」」
そうだったっけ、と顔を見合わせる御一同様。
シロエ 「夏休み前からって…。聞いてませんよ?」
サム 「だよなあ、卒塔婆書きの文句が出るのは今でよ…」
夏休みの風物詩と化してるもんな、とサム君の声。
サム 「でも、その前からあるのかよ、アレ?」
キース 「巷で知られていないだけだな、一部を除いて」
シロエ 「一部というのは、お寺関係の人でしょうか?」
キース 「いや、寺とは全く無縁な輩もいると思うが」
そもそも相手はツイッター民だ、と副住職。
一同 「「「ツイッター民?」」」
キース 「そうだ、ツイッターばかり見ているヤツらだ」
シロエ 「なんで、そんな人が詳しいんですか!」
ツイ廃のくせに、とシロエ君、ブツブツブツ。
シロエ 「お寺なんかと関係無いでしょう、ツイ廃は!」
キース 「いいや、今の時期だけ湧いてくるんだ」
坊主業界の周辺に…、とフウと溜息。
キース 「去年は盛り上がりがイマイチだったが…」
ジョミー「まさか、お坊さんがバズるわけ?」
キース 「その現象に近いものがある」
例年、まとめサイトも出来るし…、と複雑そうな表情。
キース 「アレだ、坊さんあるある盆というヤツだ!」
シロエ 「えっと…? 夏休み前からやってるんですか?」
そのハッシュタグで、とシロエ君の問い。
シロエ 「確かに、お盆が七月の地域もありますけれど…」
キース 「全国的にだ、六月頃には卒塔婆が寺に届くから…」
スウェナ「まさか、そこから始まってるの? お盆ツイート」
キース 「古参の坊主は、卒塔婆の写真でスタートらしいぞ」
山と積まれた未開封の卒塔婆を大公開だ、という話。
マジネタですか…?
2019/07/04 (Thu)
☆半端ない卒塔婆
夏休み恒例の修行体験ツアー、今年も疲れ果てたジョミー君。
けれど指導員側に回るのも嫌で、理由の一つが卒塔婆書き。
ジョミー「山と積まれた卒塔婆の写真って…。マジで?」
キース 「お前も将来のために、見ておいた方がいいかもな」
今の時期なら、既に余裕で検索できる、と副住職。
キース 「坊さんあるある盆で検索、それで出る筈だ」
シロエ 「そうなんですね? 出て来るでしょうか、ソレ…」
やってみましょう、とシロエ君が取り出すスマホ。
シロエ 「へえ? 本当にツイート上がってますねえ…」
サム 「どれどれ? おおっ、もう何人も呟いてるのな!」
キース 「噂だと、この人が最古参だという話でな…」
スマホを覗き込み、副住職が指差すアイコン。
キース 「坊さんあるあるの、生みの親だと言われているが」
シロエ 「じゃあ、この人のを遡っていけばいいんですね?」
卒塔婆、卒塔婆…、とシロエ君、スマホを操作中。
シロエ 「本当だ、6月の末にはもう書いてますね」
キース 「もっと遡れば、未開封の卒塔婆が出ると思うぞ」
シロエ 「待って下さいよ、ここでも書いてて…。あっ!」
コレですね、と止まったシロエ君の指。
シロエ 「うわあ、これ全部、卒塔婆ですか!」
サム 「こんな風に梱包されて届くのかよ…」
キース 「お盆でなくても、そういう形で配送だがな」
卒塔婆の規格は年中同じだ、と副住職の説明が。
キース 「法要の時にも使うから…。年中、コレだが…」
サム 「ドカンと山のように来るのが、お盆前なのな?」
キース 「要る量が半端ないからな!」
どの墓にも卒塔婆が並ぶんだから…、と副住職が抱える頭。
キース 「過去帳にある仏様、全部とまでは言わないが…」
ブルー 「五十回忌までの仏様だと、有り得るんだよね…」
一同 「「「五十回忌!?」」」
キース 「そこまでは法事をやるのがお約束だしな…」
年忌だったら卒塔婆が来るぞ、と副住職。
凄い数なのでは…?
2019/07/05 (Fri)
☆逃げたくなる現実
夏休み恒例なのが修行体験ツアー、ジョミー君が嫌がるヤツ。
けれど指導員側に回るのも嫌で、理由の一つがお盆の卒塔婆。
シロエ 「この卒塔婆の山、何本くらいあるんでしょう?」
キース 「分かっていても、数えたくないのが現実でな…」
その人も呟いていないだろうが、と副住職の指摘。
キース 「自分で発注した数なんだし、把握しているのにな」
シロエ 「現実逃避というヤツですか?」
キース 「ああ。終わりが近づいて来たら、呟き始める」
残り何本といった具合に…、と副住職。
キース 「他に呟くのは、半分超えたとか、そういう時だな」
サム 「つまり、現実を見たくねえのな?」
キース 「当たり前だろうが、俺だってそうだ!」
現に今年も数えていないぞ、とキッパリと。
キース 「しかし卒塔婆は山とあるわけで、きっと今年も…」
サム 「親父さんの分が回って来るっていう勘定かよ…」
強く生きろな、とサム君、キース君の肩をバンッ! と。
サム 「大変だろうけど、坊主の大事な仕事だしよ…」
キース 「もちろんだ。俺は決して手抜きはしない」
シロエ 「だけど文句は言ってますよね?」
今年も卒塔婆書きが終わらないとか…、とシロエ君。
シロエ 「そんな調子だから、ジョミーも嫌がるんですよ」
キース 「そうなのか?」
ジョミー「あのねえ…。普通、そうなると思うけど?」
誰だって学習すると思うよ、とジョミー君の呆れ顔。
ジョミー「副住職になってから、ずっとソレだしさ…」
スウェナ「言われてみれば、そうだわねえ…」
マツカ 「住職の資格を持っていない頃には、違いましたね」
夏休みを楽しんでいた筈ですよ、と御曹司も。
マツカ 「いつの間にか、卒塔婆に追われる夏ですけどね」
ジョミー「ほらね、ぼくだって学んだんだよ! 地獄だと!」
サム 「するってえと、キースが態度を変えれば…」
キース 「はあ?」
何の話だ、と首を傾げる副住職。
態度を変えるって、何でしょうね?
2019/07/06 (Sat)
☆態度を変えるべき
夏休み恒例の修行体験ツアー、今年も疲れ果てたジョミー君。
指導員側に回るのも嫌で、理由の一つがお盆の卒塔婆書き。
キース 「俺が態度を変えるというのは、何の話だ?」
サム 「卒塔婆書きが地獄だと言ってるヤツだよ」
それを変えるに決まってるだろ、とサム君、ビシィ! と。
サム 「とても楽しい作業なんだ、と言い換えればよ…」
シロエ 「あー…。見てる側の感覚も変わりますよね!」
スウェナ「そうねえ、羨ましくなるかもしれないわ」
私たちには体験できない世界だものね、とスウェナちゃん。
スウェナ「住職の資格を持っていないと、書けないんでしょ」
キース 「それはそうだが…」
スウェナ「ちょっと資格が欲しくなるわよ、書きたくて!」
卒塔婆書きが楽しいイベントならね、と明るい笑顔。
スウェナ「その方向で努力しなさいよ、キース!」
サム 「俺が言いたいのはソレなんだよなあ、マジで」
ジョミーもやりたくなるようにしろよ、とサム君。
サム 「卒塔婆書きの夏が待ち遠しいとか、そんなので」
ブルー 「いいねえ、せめてキースだけでも…」
卒塔婆書きを楽しみにすれば変わる、と銀青様も。
ブルー 「地獄だと言わずに、とても楽しいイベントだとね」
キース 「しかし、実際、アレは地獄で…!」
だから大勢の坊主がツイート、とキース君の反論。
キース 「俺だけが逆のことを言っても、意味は無いかと」
ブルー 「何処の世界にも、例外はあるものだからねえ…」
シロエ 「起業する人なんかは、その傾向がありますね」
サム 「うんうん、発想が違うのな!」
それで成功しちまうんだよ、とサム君、親指をグッと。
サム 「キースもそいつで、一発逆転! この夏からよ!」
シロエ 「ソレを呟いたら、バズるかもしれませんね!」
キース 「俺はツイッターをやっていないんだが!」
スウェナ「やればいいじゃないの」
バズればジョミーの気も変わるわよ、という声が。
そうですかねえ…?
2019/07/07 (Sun)
☆常識を変えろ
夏休みは璃母恩院で修行体験、今年も受難だったジョミー君。
指導員側に回るのも嫌で、理由に挙がったお盆の卒塔婆書き。
キース 「俺にツイッターを始めろと言うのか!?」
スウェナ「やりなさいよ、そしてバズるのよ!」
卒塔婆書きが楽しいツイートで、とスウェナちゃん。
スウェナ「それで常識を変えればいいでしょ、楽しい方へ!」
サム 「確かになあ…。やるなら楽しい方がいいよな」
ブルー 「他のお坊さんたちの励みにもなるよ」
地獄が一気に極楽だしね、と銀青様も。
ブルー 「この際、何か考えたまえ。楽しくなるように!」
キース 「そう言われても、アレは地獄でだな…!」
シロエ 「その先入観、捨てませんか?」
楽しい部分は無いんでしょうか、とシロエ君の問い。
シロエ 「全てが地獄だった場合は、ツイッターもですね…」
マツカ 「やってる余裕は無さそうですよね」
サム 「卒塔婆書きに追われて、時間がねえよな」
ブルー 「うーん…。その辺は、原稿と同じで…」
現実逃避で呟くかもね、と生徒会長、フウと溜息。
ブルー 「現にそういうボットもあるから」
一同 「「「へ?」」」
ブルー 「原稿をしろ、と繰り返すだけのボットだよ」
締め切りに追われる人のためのボット、とニッコリ。
ブルー 「ツイッターを閉じて原稿をしろ、とかね」
シロエ 「あー…。卒塔婆書きもその世界ですか…」
ブルー 「頑張る自分をアピールしたくて、墓穴なんだよ」
呟いた分だけ時間が減るし、とクスクスクス。
ブルー 「だけど、キースは呟くべきかも」
キース 「なんで、そうなる!」
ブルー 「だから発想の転換だってば!」
迷える僧侶を救いたまえ、と合掌を。
ブルー 「卒塔婆書きが楽しいイベントになれば、大勢が…」
サム 「救われるよなあ、宗派を超えてよ」
スウェナ「頑張りなさいよ、バズるのよ!」
キース 「無理だと思うが!」
楽しかったら苦労はしない、と副住職の悲鳴。
まあ、確かに…。
2019/07/08 (Mon)
☆革命並みの教え
夏休みは恒例の修行体験ツアーですけど、ジョミー君は受難。
けれど指導員側に回るのも嫌、理由の一つがお盆の卒塔婆。
サム 「そう言わねえでさ、何か考えろよ」
スウェナ「ジョミーの意識も、変わるかもしれないのよ?」
ブルー 「うん。それにバズれば有名人だしさ…」
名が上がるよね、と生徒会長、いえ、銀青様の仰せ。
ブルー 「みんなが地獄と言っているのを、一気に改革!」
シロエ 「画期的ですよね、そうなった時は」
ブルー 「宗祖様の教えと同じくらいに、凄いかもねえ…」
一同 「「「宗祖様?」」」
そこまで凄い話なのか、と誰もがキョトン。
シロエ 「あのぅ…。宗祖様って、一番偉い人ですか?」
ブルー 「南無阿弥陀仏の宗派を開いた人だからね」
もう間違いなくトップだよね、とニッコリと。
ブルー 「お念仏の教えの最初は、革命並みなんだよ」
一同 「「「革命並み?」」」
ブルー 「それまでには無い、凄い発想だったわけ!」
よく聞きたまえ、と始まる解説、いや、法話もどき。
ブルー 「宗祖様が生きた時代は、末世でねえ…」
シロエ 「世界の終わりというヤツでしょうか?」
ブルー 「そういう概念だけと違って、もう実際にさ…」
毎日が死と隣り合わせで…、と説かれる話。
ブルー 「食べる物にも事欠く時代で、行き倒れは常で…」
シロエ 「そこまでですか?」
ブルー 「しかも弔う人も無いから、野ざらしでね…」
宗祖様は日々、救うために勉強なさったのだ、と銀青様。
ブルー 「教えを請うたり、書物を読んだり…」
サム 「でもって、南無阿弥陀仏なのかよ?」
ブルー 「昔のお坊さんがそう書いたのを、見付けたわけ!」
南無阿弥陀仏で救われるという一文を、と立てる親指。
ブルー 「ただそれだけで極楽往生、これは革命!」
シロエ 「そうなんですか?」
ブルー 「他には、何一つ要らないんだからね!」
お寺への寄進も、参拝も不要、とキッパリと。
確かに画期的ですね?
2019/07/09 (Tue)
☆宗祖様の勢いで
夏休み恒例の修行体験ツアー、今年もしごかれたジョミー君。
指導員側に回るのも嫌で、理由の一つがお盆の卒塔婆書き。
サム 「あー…。お念仏だけでいいんだもんなあ…」
シロエ 「本当に、他には要らないんですか?」
ブルー 「極論を言えば、そういうことになるんだよ」
菩提寺も要らなきゃ、法事も何も不要ってこと、と銀青様。
ブルー 「お寺やお坊さんに頼らなくても、極楽行きでね!」
スウェナ「それだと、お坊さんは要らなくなるわよ?」
ブルー 「うん。今の時代だと、それは罰当たりだけれど…」
宗祖様の時代だと、とても有難い話なんだよ、という説明。
ブルー 「なにしろ庶民は、食べる物にも事欠く時代で…」
マツカ 「お寺に寄進をする余裕は無かったんですね?」
ブルー 「寄進どころか、参拝するのも夢のまた夢!」
時間も無ければ、参拝用の服も無いよね、と銀青様の解説。
ブルー 「極楽へ行けるのは、一部の特権階級だけって時代」
一同 「「「うわー…」」」
いわゆる貴族というヤツか、と誰もがブルブル。
シロエ 「それ以外の人は、もれなく地獄行きなんですね?」
ブルー 「そう! そこを改革なさったんだよ、宗祖様は!」
お念仏だけで極楽往生できるんだから、と極上の笑み。
ブルー 「これで救われた人は多いし、特権階級の人もさ…」
シロエ 「何かいいこと、あったんですか?」
ブルー 「お念仏だけで極楽なんだよ、安心じゃないか!」
全財産を寄進しなくても大丈夫、と親指をグッと。
ブルー 「この画期的な教えで、世界は変わったねえ…!」
シロエ 「なるほど、それでキース先輩にも…」
卒塔婆書きの世界を改革しろと…、とシロエ君。
シロエ 「宗祖様の教えと同じ勢いで、発想の転換ですね!」
ブルー 「やれば宗派の壁を越えるよ、卒塔婆書きだから!」
サム 「確かに、何処の宗派でも書くもんなあ…」
でもって地獄と評判で…、とサム君も頷く卒塔婆書き。
さて、どうなる…?
2019/07/10 (Wed)
☆改革すべき意識
夏休みは璃母恩院での修行体験ツアー、ジョミー君には受難。
けれど指導員側に回るのも嫌で、理由の一つがお盆の卒塔婆。
サム 「卒塔婆書きは地獄じゃねえ、って方に行けたら…」
ブルー 「この国のお坊さんたちが、皆、助かるねえ!」
お盆前の地獄ツイートだって無くなるんだよ、と銀青様。
ブルー 「楽しんで書いているんだったら、盛り上がる方で」
シロエ 「なるほど、楽しくツイートですね!」
サム 「終わる頃には名残をり惜しんで、残念なのな!」
一年先まで書けねえんだし、とサム君も。
サム 「よーし、ここは一発、頑張れよ、キース!」
スウェナ「そうよ、楽しくツイートするのよ!」
キース 「アカウントを持っていないと言ったが?」
シロエ 「そのくらい、すぐに作れますってば!」
なんなら代わりに作りましょうか、とシロエ君の笑顔。
シロエ 「先輩のスマホを貸して貰えれば、一瞬ですよ」
サム 「おいおい、ソレはアウトじゃねえの?」
シロエ 「ハッキングとは違いますって!」
それとも二段階認証ですか、という質問。
キース 「いや、そこまではやっていないが…」
シロエ 「だったら問題ありませんよ!」
ちょっと代理で弄るだけです、とメカに強い人。
シロエ 「貸して下さい、先輩の希望のアカウントは?」
キース 「誰が貸すか!」
ブルー 「でもねえ…。ジョミーの将来のためにも…」
意識は改革して欲しいんだよ、と生徒会長、いえ、銀青様。
ブルー 「卒塔婆書きが楽しくなるように!」
キース 「あんた、宗祖様並みの革命だと言っただろう!」
ブルー 「言ったけど?」
キース 「俺は凡夫だ!」
ただの坊主に過ぎないんだ、とブツブツブツ。
キース 「改革できるほどの才能は無い!」
シロエ 「それじゃ、馬鹿だということでしょうか?」
キース 「なんだって!?」
シロエ 「才能が無ければ、馬鹿でしょう?」
違いますか、とシロエ君、厳しい指摘。
馬鹿なんですかねえ?
2019/07/11 (Thu)
☆馬鹿じゃないなら
璃母恩院での修行体験ツアーで、酷い目に遭ったジョミー君。
お坊さんになる気は全く無いのを、変えたい所ですけれど…。
キース 「どうして、俺が馬鹿だとまで!」
シロエ 「だって、改革する才能が無いと言いましたしね」
すなわち馬鹿ってことなんですよ、とシロエ君、リピート。
シロエ 「凡夫だと言って逃げるくらいは、誰だって…」
サム 「出来ることだよな、間違いねえよ」
キース 「だからと言って、馬鹿はあんまりだろうが!」
俺はこれでもエリートなんだ、と副住職、必死。
キース 「その気になれば、璃母恩院での出世コースに…」
シロエ 「でも、それだけで終わりですよね?」
先輩の教えは残りませんよ、とキッツイ言葉が。
シロエ 「会長の場合は、色々と残ってるみたいですけど」
ブルー 「うん、ぼくは存命中なんだけどね!」
既に伝説の高僧だから、と生徒会長、極上の笑み。
ブルー 「キースも、卒塔婆書きを改革してさ…」
キース 「伝説になれと!?」
ブルー 「教えを残すよりも効果があるかと…」
何処の宗派にも共通のお悩み解決だしね、と立てる親指。
ブルー 「しかもツイッターでバズれば、一夜で名僧!」
サム 「だよなあ、あちこちでリツイートされてよ」
スウェナ「一躍、高僧扱いじゃないの?」
ブルー 「そうなるだろうね、緋色の衣を持ってなくても」
頑張りたまえ、と銀青様の仰せ。
ブルー 「シロエに、馬鹿と言われたままでもいいのかな?」
キース 「そ、それは…。それは非常に腹立たしいが!」
シロエ 「ならば、改革して下さい! 卒塔婆書きを!」
そして名僧になって下さい、と言われましても。
キース 「馬鹿か、そうでないか、そういう次元では…」
ブルー 「語れないとでも言うのかい? 頭が固いねえ…」
シロエ 「頭のいい人は、発想も柔軟なんですけれど?」
キース 「坊主の世界は別物なんだ!」
伝統としきたりを守ってこそだ、と副住職。
そうなのかも…?
2019/07/12 (Fri)
☆体罰がある世界
夏休み恒例の修行体験ツアー、今年も疲れ果てたジョミー君。
お坊さんになる気は全く無くて、お盆の卒塔婆も理由の内で。
シロエ 「伝統としきたりと言ってもですね…」
ブルー 「時代に合わせて、変わっていくけどねえ?」
キース 「いや、違う! このご時世でも体罰の世界だ!」
ジョミー「うん、それは間違いないと思うよ」
この夏も派手にやられたもんね、とジョミー君。
ジョミー「たるんでるぞ、って叱られて、廊下で正座とか…」
シロエ 「あー…。ジョミー先輩、常習犯ですよね」
サム 「学習しやがらねえからなあ…。何回行っても」
スウェナ「ジョミーが悪いのよ、覚えないから」
何をやったら叱られるのか、とスウェナちゃん、溜息。
スウェナ「キースも馬鹿だけど、ジョミーも馬鹿ね」
キース 「何故、俺が馬鹿だと!」
スウェナ「頭が固すぎちゃ、馬鹿だわよ」
キース 「やかましい!」
坊主の世界も知らないくせに、と副住職が吊り上げる眉。
キース 「いいか、扇子で殴られるんだぞ、この年でも!」
一同 「「「へ?」」」
キース 「璃母恩院の行事でヘマをやったら、ビシバシと!」
指導役の坊主に殴られるんだ、とブルブル。
キース 「それも扇子が折れるまでな!」
シロエ 「お、折れるって…。アレ、丈夫ですよね?」
キース 「ああ。坊主仕様の扇子は頑丈に出来てるぞ」
ご婦人用の扇子とは違う、と副住職。
キース 「机を叩いても折れないくらいで…」
サム 「それが折れるのかよ?」
キース 「何十発と殴る間にな!」
そんな世界を舐めるんじゃない、とブツブツと。
キース 「卒塔婆書きを改革すると言っても、簡単には…」
シロエ 「そうでしょうか?」
宗祖様の教えも革命でしょう、とシロエ君の指摘。
シロエ 「努力もしないで投げるのはですね…」
サム 「怠慢か、馬鹿かもしれねえなあ…」
キース 「おい、お前たち…!」
簡単に言うな、と怒ってますけど。
努力してみては…?
2019/07/13 (Sat)
☆賛成しに来た人
夏休みは璃母恩院の修行体験で、酷い目に遭ったジョミー君。
けれど指導員側に回るのも嫌、理由の一つがお盆の卒塔婆。
シロエ 「簡単に言うな、って言われてもですね…」
マツカ 「キースの努力を見ていないですよ、ぼくたちは」
努力してみてはどうでしょう、と御曹司も。
マツカ 「ジョミーの意識も変わるでしょうし、一石二鳥で」
サム 「うんうん、それにキースの名も上がるしよ」
卒塔婆書きを改革するんだからよ、とサム君もプッシュ。
サム 「やりもしねえで、先に文句だけ言うってのはよ…」
スウェナ「馬鹿か、怠け者のすることだわよ!」
??? 「そう思うねえ、ぼくだって!」
大いに賛成、とソルジャー(会話表記はAブルー)ご登場。
キース 「な、なんであんたが出て来るんだ!」
Aブルー「話が聞こえて来たからだよ」
キース 「勝手に覗き見してたんだろうが!」
Aブルー「いつものことだし、何を今更…」
気にする方がどうかしてるね、と悪びれない人。
Aブルー「それにしても暑いね、こっちの世界は」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ いらっしゃい! 暑いかなぁ?」
クーラー、効いていないかな、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
ぶるぅ 「それなら、温度を下げるけど…」
Aブルー「ううん、大丈夫! 来る前に、ちょっと屋上に」
パッと出てみたら暑かっただけ、とソルジャー、ニッコリ。
Aブルー「やっぱり地球の太陽は違うね、パワーが凄いよ」
キース 「そうなのか?」
Aブルー「一気に日焼けしちゃいそうだよ、日光浴したら」
夏はいいねえ、と御機嫌ですけど。
シロエ 「あのですね…。話を逸らさないで頂けますか?」
Aブルー「悪い、悪い!」
卒塔婆書きの話だったっけね、とソルジャー、素直に謝罪。
Aブルー「その件だけどさ、キースは努力すべきだよ」
キース 「あんたには関係無いだろうが!」
Aブルー「そう思うのかい?」
大いに関係あるんだけどね、という返事。
そうなんですか…?
2019/07/14 (Sun)
☆来月のイベント
お坊さんを嫌がるジョミー君のためにも、卒塔婆書きを改革。
そういう話の最中ですけど、別の世界からのお客様が登場で。
キース 「どの辺が、どう関係あるんだ! あんたが!」
シロエ 「そうですねえ…。その点は、ぼくも賛成ですよ」
味方して下さるのは嬉しいですが…、とシロエ君も怪訝そう。
シロエ 「モノがお盆の卒塔婆書きですし、無関係かと…」
Aブルー「分かってないねえ、キースも、シロエも!」
来月は何があるのかな? とソルジャーの問い。
シロエ 「来月ですか?」
Aブルー「そう、来月のイベントだけど!」
とても大きなイベントだよね、とソルジャー、ニコニコ。
Aブルー「毎年、毎年、キースにお世話になってるんだけど」
一同 「「「えーっと…?」」」
何だったっけ、と首を傾げる御一同様。
シロエ 「海の別荘行きは、マツカ先輩の管轄ですよね?」
ジョミー「だよねえ、別荘はマツカの家ので、電車とかも…」
スウェナ「マツカが手配してくれているわよ、全面的に」
やってるのは執事さんだけど、とスウェナちゃんも。
スウェナ「キースは何もしていないわよね、そういうの…」
マツカ 「宿坊に泊めて貰ったのは、ずっと昔ですしね…」
夏休みには、と御曹司もピンと来ていない様子。
マツカ 「キースにお世話になるようなことって…」
サム 「ぶっちゃけ、何もねえけどなあ?」
Aブルー「サムはそうかもしれないけどさ…」
他は全員、覚えがある筈、とソルジャー、キッパリ。
Aブルー「特にジョミーが大きいかな、うん」
一同 「「「へ?」」」
ますます分からん、と誰もが顔を見合わせるだけ。
シロエ 「ジョミー先輩が、キース先輩のお世話に…?」
ジョミー「全然、覚えが無いんだけど! どう考えたって!」
Aブルー「よく考えてみてよ、しっかり思い出してさ」
ジョミー「絶対、無いから!」
キース 「俺にも無いな」
言いがかりはやめて貰おうか、と副住職。
それっぽいですしね?
2019/07/15 (Mon)