☆追加で卒塔婆が
さて、八月。夏の暑さもMAXな季節、強すぎる日差し。
生徒会長宅で涼むシャン学メンバーですけど、そんな中に…。
キース 「くっそぉ…。まだ終わらん…」
シロエ 「まだ言ってるんですか、卒塔婆書き」
スウェナ「じきにお盆よ、そんなペースで間に合うの?」
キース 「計画的に書いてたんだが、今年も狂った…」
例年以上の数を親父が押し付けて来た、とブツブツブツ。
キース 「どう転がったら、こんな季節にゴルフなんだ!」
サム 「そのゴルフ、坊主ばかりかよ?」
キース 「ああ。それも住職と呼ばれる連中ばかりでな!」
シロエ 「それじゃ、其処のお寺も卒塔婆書きが…」
滞っているということですよね、とシロエ君の指摘。
シロエ 「住職がゴルフに行っているなら、どのお寺も」
キース 「どうだかな…。卒塔婆プリンターがあるのかも…」
俺にとっては夢のツールが、と仰ぐ天井。
キース 「アレさえあったら、物凄い数の卒塔婆でも…」
シロエ 「自動で書いてくれるんですね?」
キース 「しかもノーミス、それは美しい筆跡でな!」
そのプリンターがある寺か、副住職が地獄の二択、と。
キース 「俺と同じで、山ほど追加の卒塔婆だとか…」
ブルー 「どっちなのかは知らないけどさ…。でも…」
キース 「何が言いたい?」
ブルー 「意識改革に成功してたら、楽だったよねえ?」
楽しく卒塔婆が書けるんだから、と生徒会長、いえ、銀青様。
ブルー 「ブルーが土下座で謝ってたけど、あの件をね…」
シロエ 「極めるべきだったかもしれませんねえ…」
キース先輩の今後のためにも、とシロエ君も。
シロエ 「卒塔婆書きは毎年あるんですから、此処で劇的に」
サム 「だよなあ、ジョミーの今後もかかっているしよ…」
キース 「なんで、その話題を蒸し返すんだ!」
スウェナ「キースが文句を言うからじゃないの」
マツカ 「そうですよねえ?」
もう一度、考えてみませんか、と御曹司まで。
さて、どうなる?
2019/08/01 (Thu)
☆キャラが違う人
お盆が近付いて来たんですけど、キース君には追加で卒塔婆。
アドス和尚から投げられたそうで、例年以上の数らしくて…。
マツカ 「本当に毎年のことですし、意識を変えてみては?」
キース 「お前までが言うのか、そんなことを!」
マツカ 「……。ぼくが言っては、いけないでしょうか?」
キース 「そういうわけではないんだが…。こう…」
温厚なイメージがあったんだがな、と副住職。
キース 「過激な意見は似合わないというか、あくまでだ…」
マツカ 「穏やかに微笑むイメージでしたか?」
ご希望に添えなくてすみません、と御曹司の苦笑。
マツカ 「でも、ぼくにだって意見はあります、それなりに」
キース 「お前、キャラまで変わってないか?」
あの馬鹿野郎が化けていないだろうな、と疑いの眼差し。
マツカ 「ああ…。実はそうかもしれませんね?」
キース 「本当なのか!?」
マツカ 「土下座までして謝りましたしねえ…」
恨んでても不思議じゃないでしょう、とニコニコニコ。
マツカ 「未だに卒塔婆に文句を言うなら、あの時に、と」
サム 「おいおい、マジかよ、化けてんのかよ!?」
シロエ 「じゃあ、本物のマツカ先輩は?」
マツカ 「家族旅行に行きましたよ?」
お父さんの休みが取れたとかで…、という返事。
ジョミー「それじゃ、此処にいるのは、本当に…?」
キース 「あの馬鹿野郎だということか!?」
マツカ 「そうなりますね」
一同 「「「ひぃぃっ!!!」」」
なんてこった、と誰もがワタワタ。
サム 「なんでいきなり出やがるんだよ!」
スウェナ「そうよ、心の準備が要るでしょ!」
マツカに化けるなんて反則、という声ですけど。
マツカ 「慌てないで下さい、冗談ですよ」
一同 「「「へ?」」」
マツカ 「キースの反応が面白かったので、つい…」
サム 「マジで心臓に悪いじゃねえかよ!」
キース 「怖かった…」
死ぬかと思った、と副住職、ガクブル。
卒塔婆の件は…?
2019/08/02 (Fri)
☆前向きに卒塔婆
いよいよお盆の月ですけれど、キース君に追加で来た卒塔婆。
アドス和尚のノルマの分で、文句をつけたら恐ろしいことに。
キース 「どうして、マツカに遊ばれないといかんのだ…」
マツカ 「すみません。でも、本当に来るかもですよ?」
例の人が…、と声をひそめる御曹司。
マツカ 「土下座させたのはキースですしね、卒塔婆の件で」
サム 「確かになあ…。マジで来ねえって保証はねえよな」
ジョミー「来ちゃった時は、思いっ切り苦情三昧だよねえ?」
スウェナ「当たり前でしょ、マツカがやった通りになるわよ」
実は演技派だったのね、とスウェナちゃん、感心した様子。
スウェナ「もしかして、日頃の温厚なキャラも演技かしら?」
マツカ 「そうだとしたら、どうします?」
一同 「「「うわー…」」」
それは怖すぎ、と一同、ドン引き。
サム 「言わねえでくれよ、怖いから!」
キース 「俺も勘弁願いたい。親父だけでも充分なんだ!」
怖いキャラはな、と副住職の悪い顔色。
キース 「だから冗談だと言ってくれ! 今の台詞も!」
マツカ 「もちろん冗談ですけれど…。でもですね…」
卒塔婆書きに文句を言っちゃダメです、と大真面目な顔。
マツカ 「あの人が来てからじゃ、遅いんですから」
キース 「そのためにも意識改革をしろと?」
マツカ 「そこまでは言いませんけれど…。文句は抜きで」
もっと前向きにお願いします、とキッパリと。
マツカ 「卒塔婆書きから逃げる道なんか、無いんですしね」
サム 「だよなあ、卒塔婆プリンターがねえんじゃ…」
シロエ 「マツカ先輩に頼めば、楽勝なんじゃないですか?」
卒塔婆プリンター、と割り込んで来たシロエ君。
シロエ 「お小遣いで買えそうですよ、マツカ先輩なら」
サム 「あー…。けどよ、親父さんにバレねえか、ソレ?」
キース 「置いた時点で、バレると思うが」
シロエ 「大丈夫です!」
置き場所は此処で、と指差す床。
生徒会長の家に…?
2019/08/03 (Sat)
☆置き場所は確保
お盆が迫っているというのに、キース君に追加で来た卒塔婆。
アドス和尚のノルマの分で、文句が出るのも分かりますけど。
シロエ 「此処に置いたら、アドス和尚にはバレませんよ!」
サム 「それは間違いねえよな、うん」
スウェナ「銀青様の自宅を家宅捜査なんて、出来ないわよね」
伝説の高僧なんだものね、とスウェナちゃん。
スウェナ「アドス和尚もヘコヘコしてるし、来られないわよ」
ジョミー「来られたとしても、玄関先が限界だよね…」
ブルー 「いや、そこまでは言わないけどさ…。お客様には」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 客間で、お茶くらい出すよ!」
お茶菓子もつけて、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」も。
ぶるぅ 「でもでも、卒塔婆プリンターがあるお部屋には…」
ブルー 「踏み込ませないけどね、絶対に」
サイオンで迷わせることも出来るし…、と生徒会長の笑顔。
ブルー 「廊下を真っ直ぐ進んだつもりが、進んでないとか」
一同 「「「おおーっ…」」」
凄い、と上がる感動の声。
シロエ 「そんなことまで出来るんですね! 流石です!」
ブルー 「もっと言うなら、卒塔婆プリンターを隠せるね」
ぶるぅ 「そうなの! サイオンで見えなく出来るの!」
だから安心して置いていいよ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
ぶるぅ 「アレはけっこう場所を取るから、お部屋を一つ!」
ブルー 「お望みとあれば空けてあげるよ、キースのために」
サム 「最高じゃんかよ、おい、キース!」
シロエ 「素晴らしい条件が整いましたよ、キース先輩!」
卒塔婆プリンターが買えそうですよ、とシロエ君もニコニコ。
シロエ 「マツカ先輩、費用はお願い出来るんですよね?」
マツカ 「任せて下さい、家を買うよりは安いでしょうしね」
サム 「買って貰えよ、ありがたい話なんだしよ」
キース 「しかしだな…」
スウェナ「なによ、文句があるって言うの?」
これだけの好条件が揃ってるのに、とスウェナちゃん。
いい話ですよね…?
2019/08/04 (Sun)
☆飛び付かない人
お盆が間近に迫っているのに、卒塔婆書きに追われる副住職。
アドス和尚から追加でドッカン、文句を言っていましたが…。
マツカ 「費用のことなら、心配ご無用ですけれど?」
サム 「後で払えとは言わねえよなあ、マツカなんだしよ」
マツカ 「ええ。さっき演じた怖いキャラなら、別ですけど」
あっちだったら利子も付きます、とマツカ君の笑み。
マツカ 「しかもトイチで、十日に一割頂く形で」
一同 「「「うわー…」」」
闇金並みだ、と誰もがガクブル。
サム 「そんなキャラ、何処で覚えたんだよ!?」
マツカ 「一応、経営の勉強の方もやりましたから…」
その過程で耳に入りましたね、と温厚なだけに怖さ倍増。
シロエ 「そ、それじゃ、マツカ先輩を怒らせた時は…」
サム 「実はメチャメチャ怖いんでねえか、誰よりもよ…」
ジョミー「あるかもね、ソレ…」
怖いキャラを演じられたらおしまいかも、とジョミー君も。
ジョミー「キースなんかは、元老寺ごと潰されるとか…」
マツカ 「それはもちろん出来ますよ?」
一同 「「「ひぃぃっ!!!」」」
誰かさんより恐ろしいかも、と一同、ドン引き。
シロエ 「き、キース先輩、卒塔婆プリンターは即決で!」
サム 「そうだぜ、マツカを怒らせない内に…!」
買って貰えよ、とプッシュな人たち。
シロエ 「迷っている間に、利子がつくかもしれません!」
マツカ 「やりませんってば、アコギなことは」
でもですね…、と御曹司、怪訝そうな顔。
マツカ 「何か問題があるんでしょうか、卒塔婆プリンター」
スウェナ「そうねえ、キースの夢のツールなのに…」
飛び付かないのが不思議だわね、とスウェナちゃんも。
スウェナ「置き場も資金も揃っているのよ、好条件でしょ!」
キース 「それはそうだが、卒塔婆プリンターには…」
シロエ 「何か欠陥でも?」
キース 「欠陥と言うか…」
行き届かない所があってな、とブツブツブツ。
それは、どういう…?
2019/08/05 (Mon)
☆行き届かない機械
お盆が間近に迫って来たのに、卒塔婆書きがリーチな副住職。
アドス和尚から追加でドッカン、それを助けるツールの話が。
シロエ 「行き届かないって…。どういう意味なんです?」
サム 「戒名を入力するだけだと聞いてるぜ、アレは」
キースの話の受け売りだけどよ…、と僧籍な人。
サム 「後は自動で書き上げてくれて、完成だよな?」
シロエ 「もしかして、卒塔婆のセットが厄介なんですか?」
紙のようにはいかないでしょうし…、とシロエ君が傾げる首。
シロエ 「1本ずつ自分でセットしていく仕様だとか?」
スウェナ「それは面倒そうだわね…。自動じゃないなら」
キース 「いや、ある程度は纏めて突っ込める筈だ」
厚みがあるから限度はあるが、と副住職の解説。
キース 「書き上がった分も、ちゃんと仕分ける筈なんだが」
シロエ 「ソレ、優秀じゃないですか! 何処がダメだと?」
キース 「如何せん、機械は機械なんだ」
フォントが決まっていやがるんだ、と副住職。
キース 「とても綺麗な筆跡で書くが、書き上げる文字が…」
シロエ 「まさかの一種類ですか!?」
キース 「そこまでではないが、無限大でもないからな」
親父が見たら即バレするぞ、とブルブルブル。
キース 「明らかに筆跡が違うとなったら、もうアウトだ」
サム 「あー…。それに同じ字は、同じなわけな」
キース 「機械なだけに、恐らく完璧にな!」
ミリを切る単位で揃う筈だ、と副住職の深い溜息。
キース 「卒塔婆プリンターを使ったことは、一目でバレる」
ジョミー「持ってない筈のツールでも?」
キース 「借りることなら出来るからな!」
持ってる寺に頼み込めば…、と仰ぐ天井。
キース 「せっかくの素晴らしい話なんだが、命が惜しい」
サム 「アドス和尚に殺されるのな、バレた時には?」
キース 「あの親父だぞ?」
一同 「「「うーん…」」」
ダメか、とシャン学メンバーもガックリ。
命の方が大事ですしね…?
2019/08/06 (Tue)
☆需要が無い機械
お盆を目前に控えているのに、副住職が追われる卒塔婆書き。
アドス和尚から追加でドカンで、お助けツールも無理そうで。
シロエ 「所詮、機械は機械ですか…。いくら便利でも」
ジョミー「ほらね、やっぱり卒塔婆書きは地獄なんだってば」
マツカ 「ファジーさに欠けるというヤツですか…」
せめて筆跡に揺らぎがあれば…、と御曹司も残念そうな顔。
マツカ 「何文字かに一字の割合くらいで、ズレるとか…」
キース 「生憎と、そこまで便利に出来てはいない」
開発費が高くつくからな、と正論が。
キース 「なにしろ寺にしか売れないし…」
スウェナ「大金をかけて開発したって、意味が無いのね」
サム 「飛ぶように売れるわけもねえしな、そういうの…」
せいぜい買い替え需要だよな、とサム君も。
サム 「農機具の方が、まだしも需要がありそうだぜ」
ブルー 「あっちは使う人も多いし、輸出も出来るしね」
卒塔婆プリンターは国内だけだよ、と銀青様もキッパリと。
ブルー 「残念だけれど、キース向けのは出来ないかと…」
ぶるぅ 「えとえと…。それ、シロエでも無理なのかなぁ?」
一同 「「「へ?」」」
ぶるぅ 「シロエは機械に強いんでしょ?」
特別に作れないのかな、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」の問い。
ぶるぅ 「作れなくても、改造するとか…。ダメ?」
サム 「あー! シロエだったら、出来るかもなあ!」
シロエ 「ちょ、ちょっと…! ファジーなのを、ですか?」
ぼくに改造してくれと…、とシロエ君、アタフタ。
シロエ 「ぼくにしたって、開発に時間が…!」
サム 「やっぱ、無理かよ?」
シロエ 「無理とは言いませんけれど…」
年単位でかかるかもですよ、という返事。
シロエ 「でもですね…。キース先輩の筆跡だけなら…」
キース 「作れるのか!?」
シロエ 「出来ないこともありません」
一同 「「「マジで?」」」
作れるんだ、と誰もがビックリ仰天。
流石は機械に強い人…。
2019/08/07 (Wed)
☆改造なら出来ます
お盆が間近に迫って来たのに、卒塔婆書きがリーチな副住職。
アドス和尚の分がドカンと追加で、悲鳴を上げていますけど。
サム 「おいおいマジかよ、キースの筆跡で作れるって?」
シロエ 「ええ。ファジーにするより簡単ですしね」
開発じゃなくて改造ですから、と大きく頷くシロエ君。
シロエ 「多分、完璧なのが出来るかと…」
スウェナ「それなら、改造してあげなさいよ!」
シロエ 「無償ボランティアになるんでしょうか?」
それとも幾らか貰えますか、という質問。
シロエ 「時給程度のバイト料でもいいんですけど…」
サム 「そのくらい、マツカが払ってやるよなあ?」
マツカ 「もちろんです。大手IT企業の正社員並みで」
時間給を計算して払いますよ、と頼もしい言葉が。
シロエ 「いいんですか、そんなに貰っちゃっても!?」
マツカ 「ええ、人助けになりますからね」
タイムカードも適当でいいです、と太っ腹な申し出。
マツカ 「自己申告で、時間単位で言って下されば…」
シロエ 「30分未満でも1時間とか、いいですか?」
マツカ 「かまいませんよ、それでキースが助かるんなら」
キース 「ありがたい…!」
よろしく頼む、とキース君、深々とお辞儀。
キース 「これで来年から、卒塔婆の悩みが無くなるぞ!」
シロエ 「えーっと…。その前に、データを下さい」
キース 「データだと?」
シロエ 「はい。キース先輩が書いた卒塔婆の情報です」
筆跡を入力しないと駄目ですからね、とシロエ君。
シロエ 「簡易スキャナーを渡しますから、取り込んで…」
キース 「俺が書いた卒塔婆をか?」
シロエ 「そうですよ?」
頑張って取り込んで来て下さい、と大真面目な顔。
シロエ 「それを機械に入力しないと…」
キース 「改造するのは不可能なのか?」
シロエ 「当然でしょう?」
キース 「そ、そんなことを言われてもだな…!」
無理すぎるんだが、と青ざめている副住職。
簡単そうですけどね?
2019/08/08 (Thu)
☆無理すぎる作業
間近に迫って来たのがお盆で、卒塔婆書きに追われる副住職。
アドス和尚から追加でドッカン、リーチな有様ですけれど…。
シロエ 「難しい注文はしていませんよ? ぼくは」
キース 「し、しかし…。全部の卒塔婆のデータなのか?」
シロエ 「そうですけど? それさえ入力してやれば…」
後は機械が自動で書いてくれます、とシロエ君の太鼓判。
シロエ 「先輩の筆跡で、それは見事に仕上げますから!」
サム 「いい話じゃねえかよ、作って貰えよ」
キースはデータを取り込むだけだし、とサム君もプッシュ。
サム 「その程度の努力はすべきだと思うぜ、キースも」
スウェナ「そうよね、来年からは楽になるんだもの」
マツカ 「プリンターが書いてくれるんですしね」
頑張ってデータを取り込みましょう、と御曹司。
マツカ 「余計な作業が増えても、来年のためなんですから」
キース 「それは分かるんだが、その作業が、だ…」
ジョミー「無理すぎるって、どういう意味さ?」
スキャナーで取り込む時間も無いわけ、とジョミー君の疑問。
ジョミー「時間、そんなにかかりそうにないけど?」
シロエ 「ええ。簡易スキャナーでも、高性能ですし…」
キース 「その前に、肝心の卒塔婆が分からん!」
一同 「「「はあ?」」」
なんのこっちゃ、と一同、ポカーン。
サム 「分からねえって…。自分の筆跡がかよ?」
シロエ 「アドス和尚と酷似してるとか、そんなのですか?」
キース 「似てはいないが、森の中の木の葉状態だ!」
すっかり親父のと紛れてしまって…、とブツブツブツ。
キース 「書き上げた卒塔婆は、纏めて乾燥させるから…」
ジョミー「アドス和尚と同じ置き場なわけ?」
キース 「そうなるな」
分ける意味など無いものだから…、と苦悶の表情。
キース 「あの大量の卒塔婆の山から、俺の分だけを…」
シロエ 「探すのは無理なわけですか…」
基本の所でコケてますよ、とシロエ君。
改造は無理だと…?
2019/08/09 (Fri)
☆お盆までにコツコツ
いよいよお盆が間近に迫って、卒塔婆書きがリーチな副住職。
地獄な作業を引き受けるツールも、どうやら夢に終わりそう。
シロエ 「あのですね…。先輩の筆跡のデータが無いと…」
キース 「卒塔婆のでないとダメなのか?」
シロエ 「はい。それを入力しないと、デフォの筆跡ですよ」
選べるフォントが何種類かは知りませんけど、とシロエ君。
シロエ 「とはいえ、お盆までに取り込む作業が無理なら…」
キース 「抜け道があると?」
シロエ 「ええ、来年の卒塔婆書きですね!」
その時に1本ずつデータを取り込みましょう、と立てる親指。
シロエ 「書いた端から取り込んでいけば、完璧ですよ」
キース 「来年までに、それを忘れていそうなんだが…」
シロエ 「残念ですけど、その点は、ぼくも同じです」
覚えておく義務もありませんし、と冷たい言葉が。
シロエ 「でも、お盆までにコツコツやるなら、別ですよ?」
キース 「どういう意味だ?」
シロエ 「本来、お盆に書くべき卒塔婆と同じのをですね…」
サム 「あー! 別口で書いて、データを取り込むのな!」
それなら余裕で間に合うぜ、と僧籍な人。
サム 「そうしろよ、ブルーに卒塔婆を買って貰って」
ブルー 「なるほど、ぼくなら注文できるね」
坊主には違いないんだからさ、と生徒会長も。
ブルー 「買ってあげるから、此処で書くかい?」
キース 「お盆でもないのに、卒塔婆を書けと?」
シロエ 「その分、来年はプリンターが仕事をしますよ」
どうするんです、とシロエ君の質問。
シロエ 「コツコツ書いたら、来年のお盆はですね…」
キース 「書かなくて済むというわけか…」
それも手だな、と頷く副住職。
キース 「よし、今年のお盆が終わったら、やるか」
??? 「ダメダメダメーっ!!!」
キース 「あんた、何処から湧いたんだ!?」
??? 「もちろん、ぼくの青の間から!」
絶対ダメ、とソルジャー(会話表記はAブルー)乱入。
何故?
2019/08/10 (Sat)
☆手書きでお願い
間近に迫って来たのがお盆で、卒塔婆書きに追われる副住職。
来年は卒塔婆プリンターな案が出たのに、止めに来た人が。
Aブルー「ぼくは絶対反対だからね、卒塔婆プリンターは!」
キース 「何処があんたに関係あるんだ、卒塔婆書きの!」
俺の苦労も知らないくせに、と副住職が吊り上げる眉。
キース 「毎年、この時期は地獄なんだぞ、本当に!」
Aブルー「そうかもだけど、ダメだってば!」
シロエ 「そういえば、先月も土下座していましたねえ…」
卒塔婆書きの意識改革の件で、とシロエ君、流石の記憶力。
シロエ 「あの件と関係あるんでしょうか、今回のも?」
Aブルー「少しくらいは…。だって、卒塔婆は…」
お盆に必須のアイテムなんだし、とソルジャー、真剣。
Aブルー「スッポンタケの供養がかかってるんだよ?」
キース 「いったい、それが何だと言うんだ!」
Aブルー「印刷だと、御利益なさそうだから!」
心をこめて手書きでお願い、と大真面目な顔。
Aブルー「アドス和尚も、そういう考え方だよね?」
キース 「確かに…。卒塔婆プリンターを買う金はあるが…」
買う気は全く無いのが親父、と副住職の渋面。
キース 「いざとなったら、俺に丸投げ出来るしな!」
サム 「あー、今年もゴルフに行ったんだよなあ…」
キース 「そういうことだ。あんな親父の肩を持つなど…」
許し難い、と怒りの形相。
キース 「シロエ、卒塔婆プリンターの改造を頼む!」
Aブルー「だったら、ぼくはアドス和尚にバラすよ」
キース 「卒塔婆プリンターの存在をか?」
Aブルー「そうじゃなくって…」
スッポンタケの戒名の方、とソルジャー、ニッコリ。
Aブルー「正真正銘、君が付けたと!」
キース 「院殿号を出したというのを、あの親父にか!?」
Aブルー「うん。こっちのブルーになりすましてね!」
キース 「ま、待ってくれ、それだと俺は確実に…」
親父にブチ殺されるんだが、と顔面蒼白の副住職。
ヤバイのでは…?
2019/08/11 (Sun)
☆これからも手書き
お盆が間近に迫っているのに、卒塔婆書きがリーチな副住職。
来年は卒塔婆プリンターを、という話な所へ、反対派が登場。
Aブルー「スッポンタケの戒名、そんなにヤバイんだ?」
キース 「前にも言ったが、院殿号など、普通は出さんぞ!」
ブルー 「それなのにサラッと出したよね、君は」
鯨の戒名のパクリだけどさ、と生徒会長、いえ、銀青様。
ブルー 「アドス和尚がコレを知ったら、どうなることやら」
キース 「もう間違いなく殺される! 問答無用で!」
ブルー 「じゃあ、仕方ないね、今回の件は諦めたまえ」
卒塔婆プリンターの改造などは、と銀青様もソルジャー派。
Aブルー「嬉しいねえ、君が味方をしてくれるなんて!」
ブルー 「キースが軽率すぎた件では、ぼくも色々迷惑を…」
蒙ってるから、とキッツイ言葉が。
ブルー 「お蔭で毎年、此処で棚経なんだしね!」
キース 「す、すまん…!」
ブルー 「そう思うんなら、卒塔婆地獄に耐えたまえ!」
サッサと帰ってキリキリ作業、と冷たい視線。
キース 「そ、そんな…!」
ブルー 「お盆は待ってはくれないんだよ、お帰りはあちら」
Aブルー「あ、今年のお盆も、棚経、よろしく!」
ぶるぅ 「はい、持ち帰り用の水ようかん! 頑張ってね!」
バイバーイ、と言われたキース君、強制的に退場で…。
Aブルー「うん、これでスッポンタケの卒塔婆も安心!」
シロエ 「キース先輩、お盆まで卒塔婆書きですか…」
Aブルー「そうだよ、そして君たちの出番はお盆だからね!」
一同 「「「うっ…」」」
また棚経に付き合わされる、とガックリ項垂れる御一同様。
Aブルー「いい棚経になるといいよね、今年もね!」
シロエ 「分かりましたよ、ちゃんと参加はしますから!」
Aブルー「それじゃ、棚経の日に、また会おうね!」
一同 (((来なくていい、来なくていい…)))
Aブルー「じゃあねーっ!」
元気に帰って行きましたけど。
ソルジャー以外は、お盆は受難…。
2019/08/12 (Mon)
☆消えて欲しい人
そうこうする間に、やって来たお盆。棚経の日の8月14日。
朝早くから生徒会長宅に集合なシャン学メンバー、既に溜息。
シロエ 「あーあ、今年も棚経ですか…」
マツカ 「仕方ありませんよ、こればっかりは」
スウェナ「だけどキースの責任よね、コレ!」
いわゆるA級戦犯じゃない、とスウェナちゃんの厳しい指摘。
スウェナ「戒名が無ければ、棚経も無かった筈なのよ!」
シロエ 「確かに、仏様が不在ですからね…」
マツカ 「そうは言っても、手の打ちようが無いですから」
縁が切れないみたいですしね、と御曹司までが愚痴。
マツカ 「今までに出た案、全部コケたじゃないですか」
シロエ 「そこなんですよね、ぶっちゃけ、キース先輩を…」
スウェナ「タコ殴りにしたい気分だわよ!」
シロエ 「いえ、そうじゃなくて、キース先輩さえ…」
いなくなったらいいんですよね、とシロエ君の物騒な台詞。
マツカ 「いなくなるって、どういう意味ですか?」
シロエ 「消えて貰うんですよ、この世界から」
スウェナ「ちょっと、いくらキースがA級戦犯でも…」
処刑したら警察が来るじゃないの、と慌てるスウェナちゃん。
スウェナ「でもって逮捕よ、刑務所送りは確実だわよ!」
シロエ 「そんなリスクは心配無用ですってば!」
行方不明になるだけですよ、とシロエ君、ニッコリ。
シロエ 「誰かさんにプレゼントすればいいんです!」
マツカ 「別の世界に移籍ですか?」
スウェナ「じゃあ、元老寺はどうなるのよ!」
あれでも副住職じゃない、と冷静な意見。
スウェナ「私たちは良くても、アドス和尚が…」
シロエ 「困ったら、何か問題でも?」
ぼくたちは全くの部外者ですよ、とキッパリと。
シロエ 「養子を取るとか、その辺はですね…」
マツカ 「元老寺だけの問題ですね…」
ブルー 「駄目だよ、人質を取られているから」
一同 「「「人質?」」」
人質なんかがいただろうか、と誰もがキョトン。
いましたっけか…?
2019/08/13 (Tue)
☆人質と言われても
お盆の棚経の日ですけれども、シャン学メンバーはウンザリ。
キース君がいなくなれば、と別の世界へ送る案が出たのに…。
シロエ 「人質って、誰のことなんです?」
マツカ 「キースが人質を取っただなんて、知りませんよ?」
スウェナ「聞かないわよねえ、そんな話は」
何のことなのよ、とスウェナちゃんも傾げる首。
スウェナ「それに人質を取っていたって、突入は可能よ!」
シロエ 「ああ、誰かさんなら楽勝で突破しますよね!」
マツカ 「武装しているゲリラ集団でも、きっと平気ですよ」
瞬間移動で人質をパッと救出でしょう、と御曹司。
マツカ 「むしろ、その方がゲリラ集団には有難いですよ」
シロエ 「ですよねえ…。突入されたら悲劇ですしね」
スウェナ「悲劇どころか、惨劇だわよ!」
骨さえ残らないんじゃないの、とスウェナちゃん、ブルブル。
スウェナ「人質以外は、瞬殺だわね」
シロエ 「蒸発するとか、そんなのですよね…」
マツカ 「人体発火もありそうですよ」
シロエ 「怖すぎですって!」
それはともかく…、とシロエ君の視線が生徒会長に。
シロエ 「キース先輩が、誰を人質にしたと言うんですか?」
ブルー 「キースじゃなくって、アドス和尚だよ」
一同 「「「アドス和尚?」」」
それこそ謎だ、と顔を見合わせる御一同様。
シロエ 「アドス和尚って、最近、会ってないですよねえ?」
マツカ 「いつの間に、誰を拉致したんでしょう?」
スウェナ「呼び出されたって話も聞いてないわよ?」
ブルー 「本当に、そうかな?」
誰も呼び出されていないのかな、と逆に質問が。
ブルー 「ちょっと聞くけど、面子は揃っているのかい?」
一同 「「「面子?」」」
なんのこっちゃ、という顔の一同ですけど。
ブルー 「いつも此処に来るメンバーだってば!」
シロエ 「そ、そういえば…」
マツカ 「キースの他にも、来ていない人が…」
二人いますよ、と御曹司。
面子が足りないようですねえ…?
2019/08/14 (Wed)
☆人質を取られたら
お盆の棚経のために生徒会長宅に集合した、御一同様ですが。
キース君を別の世界に送ってしまえば、との話が出たのに…。
マツカ 「サムとジョミーが来ていませんよね」
シロエ 「先輩たちは、キース先輩と…」
スウェナ「アドス和尚のお供で棚経だったわよねえ…?」
あれは確かに呼び出しだわよ、とスウェナちゃん、真っ青。
スウェナ「それじゃ、アドス和尚が取った人質って…」
シロエ 「ジョミー先輩とサム先輩ですか?」
マツカ 「…サムの方ではないんでしょうか?」
アドス和尚のお供をするのはサムですよ、と御曹司の指摘。
マツカ 「ジョミーのお経は口パクですから、キースの方に」
スウェナ「人質って、サムのことだったのね…」
それは迂闊に動けないわ、とスウェナちゃんの悪い顔色。
スウェナ「うっかりキースを別の世界に送ったら…」
ブルー 「そう、後継者としてサムが拉致られるんだよ」
アドス和尚に問答無用で…、と生徒会長、深い溜息。
ブルー 「ついでに、ジョミーも巻き添えだろうね」
シロエ 「でも、ジョミー先輩は全く役に立ちませんよ?」
マツカ 「拉致してみても、お経を覚えるとは思えませんが」
スウェナ「まったくだわよ、骨折り損は決定だわね」
ジョミーを拉致する筈がないわ、と断言ですけど。
ブルー 「だけど、化ける可能性はゼロじゃないしね」
一同 「「「化ける?」」」
ブルー 「うん。専門コースの修行は厳しいからさ…」
シゴキを受けたら、才能が開花する可能性大、とキッパリと。
ブルー 「化けた場合は、サムとセットで使えるし…」
シロエ 「ジョミー先輩まで拉致るんですね?」
アドス和尚が…、とシロエ君、ガクブル。
シロエ 「すると、ぼくたち、ジョミー先輩に…」
マツカ 「恨まれるでしょうねえ、末代まで…」
スウェナ「才能が開花しちゃった時でも、恨まれるわよね?」
ブルー 「そう思うけど?」
呪詛のスキルも身につくかもね、と怖い台詞が。
復讐されると?
2019/08/15 (Thu)