☆足りないスキル
さて、十月。流石に残暑も去ってゆく時期で、秋の気配が。
休日は生徒会長宅でのんびりするのが、シャン学メンバーで。
ジョミー「今月は何も無い筈だよねえ、変なイベント」
シロエ 「そうですねえ…。連続で食らいましたから…」
八月がお盆で、先月が秋のお彼岸で…、とシロエ君の溜息。
シロエ 「誰のせいとは言いませんけど、災難でしたよ」
スウェナ「あら、でも…。マツカのお蔭で、マシだったわよ」
お彼岸は難アリだったけれど、とスウェナちゃん。
スウェナ「だけど、例の人は暴れていないし、例年よりは…」
サム 「平和だったのは確かだぜ」
キースの法話は滑ったけどな、とサム君の苦笑。
サム 「ご先祖様がいねえヤツがいたのは、マズかったぜ」
キース 「思い切り、想定外だった…」
ご先祖様の方向に持って行きたかったのに…、と副住職。
キース 「そっちに行けたら、あの厄介なブツをだな…」
シロエ 「処分できたと言うんですか?」
キース 「それは無理だが、法要の趣旨を捻じ曲げられた」
ご先祖様を供養する方へ、と悔しそうな顔。
キース 「今後はそういう方向で、と言えたんだがな…」
スウェナ「あのねえ…。マツカとはスキルが違いすぎでしょ」
そう簡単に流れは変えられないわよ、と厳しい言葉が。
スウェナ「マツカだったら、ああいう時でもアドリブで…」
シロエ 「別のネタに持っていけそうですよね!」
ジョミー「どうかな、マツカ?」
マツカ 「そうですね…。ぼくは法話は出来ませんけど…」
話の流れの切り替えは何とか、と御曹司。
マツカ 「話をしていて、地雷を踏むことはありますからね」
一同 「「「地雷?」」」
マツカ 「それこそ、人の数だけ地雷が…」
存在すると思うんですよ、と御曹司の指摘。
マツカ 「触れたくないこととか、色々と」
一同 「「「あー…」」」
マツカ 「そういう時には…」
慌てず、話題の切り替えですよ、と穏やかな笑み。
確かにそうかも…。
2019/10/01 (Tue)
☆教えを請うには
秋の休日は生徒会長宅でのんびり、シャン学メンバーの定番。
只今の話題は秋のお彼岸、キース君の法話が滑ったことで…。
シロエ 「マツカ先輩なら、地雷を踏んでも安心なんですね」
マツカ 「気まずくなるとは思いますけど、切り替えですよ」
そうすれば一瞬で場が和みますから、と御曹司。
マツカ 「地雷の件は、水に流すのがコツですね」
ジョミー「触れないってことかな?」
マツカ 「ええ。場合によっては、お詫びしますけど」
お詫びが似合う場面があったら、そこですかさず、と微笑。
マツカ 「さっきはすみませんでした、と、さりげなくです」
サム 「地雷の中身には触れねえのな?」
マツカ 「そうなりますね、蒸し返してはいけませんから」
相手がピンと来ればいいんですよ、とニッコリと。
マツカ 「相手の方でも、「お気になさらず」で終わりです」
スウェナ「上級編って感じだわねえ、流石はマツカ!」
ブルー 「キースよりも法話向きだと思うよ、その話術は」
キースも勉強したらどうかな、と生徒会長、いえ、銀青様。
ブルー 「この際、マツカを師匠と仰いで、教えを請うとか」
シロエ 「いいですね! マツカ先輩のスキルを習えば…」
サム 「キースもメギド級になるよな、破壊力が」
ジョミー「平和利用もオッケーなんだし、最高だよね!」
キースもメギドになればいいんだ、とジョミー君も。
ジョミー「そしたら、誰かさんがやって来たってさ…」
シロエ 「キース先輩が、自力で撃退できますしね!」
その上、マツカ先輩もいます、とシロエ君も大いに乗り気。
シロエ 「キース先輩、頑張って下さい!」
キース 「俺がマツカに教わるのか?」
どうやって…、と副住職、アイスブルーの瞳をパチクリ。
キース 「話術を習うと言ってもだ…。どうすれば…」
ブルー 「坊主の修行と同じコースで!」
キース 「はあ?」
ブルー 「師と仰ぐんだよ」
坊主は師僧に絶対服従、と銀青様の仰せ。
服従しろと…?
2019/10/02 (Wed)
☆一挙手一投足に学べ
休日は生徒会長宅でのんびり、シャン学メンバーの過ごし方。
マツカ君の巧みな話術が話題で、キース君にも必要だとかで。
キース 「絶対服従するのか、マツカに? 師と仰いで…?」
ブルー 「それが早いと思うけどねえ、学びたいなら」
マツカの一挙手一投足から学ぶんだよ、と生徒会長。
ブルー 「坊主の修行はそういうものだろ、本来は」
サム 「そうなのかよ?」
ブルー 「お寺の子供に生まれた場合は、別だけれどね」
お父さんやお祖父さんだと上手くいかない、と銀青様、苦笑。
ブルー 「向こうも甘くなってしまうしね、いろんな所で」
キース 「俺の親父は、甘くはないが!」
ブルー 「そうだっけ? 君を野放しにしていたけどね?」
寺を継がないと言っていたのに…、と昔の話を蒸し返し。
ブルー 「そんな息子でも高校に入れて、柔道もやらせて…」
ジョミー「お小遣いまで渡してたんだよね、多分」
シロエ 「貰っていたでしょうね、バイトしていませんから」
まあ、中学生では雇って貰えませんが、とシロエ君の証言。
シロエ 「でも、お小遣いに困った様子は無かったです」
スウェナ「野放しな上に、甘かったみたいだわねえ…」
ブルー 「これでも甘くないのかな? アドス和尚は」
キース 「うう……」
言い返せない、と言葉に詰まるキース君。
ブルー 「お寺で育つと、こういう風になるんだけどさ…」
サム 「違った場合は、また別なのな?」
ブルー 「師僧に絶対服従しながら、学ぶことになるね」
まずはお寺での生活から…、と銀青様の解説が。
ブルー 「その辺りは古参が代理だけどさ」
一同 「「「古参…」」」
怖そうな響きだ、と顔を見合わせる御一同様。
ブルー 「古参がビシバシやってる間は、お師僧様もさ…」
ジョミー「甘くなるわけ?」
ブルー 「人によるけど、基本になるのは飴と鞭かな」
一同 「「「飴と鞭…」」」
やっぱり怖そう、と一同、ガクブル。
それをマツカ君が…?
2019/10/03 (Thu)
☆飴と鞭な世界
生徒会長宅で休日を過ごすシャン学メンバー、副住職が話題。
マツカ君に話術を習うべきだ、という流れから師僧な方向へ。
シロエ 「飴と鞭ってことは、厳しくも甘くもあるんですね」
ブルー 「うん。叱る時にはビシッと叱って、褒める時は…」
ご褒美にお菓子をあげたりするね、と生徒会長。
スウェナ「あら、文字通りに飴なのね?」
ブルー 「お寺の修行は厳しいからねえ、お菓子なんかは…」
サム 「普通は食えねえモンなんだよなあ、下っ端はよ」
シロエ 「そこまでですか?」
精進料理だけではなくて…、とシロエ君、真っ青。
シロエ 「お菓子もダメって、キツすぎですけど」
ブルー 「休憩時間が無いくらいだから、当然だよね」
ジョミー「えっ、無いの!?」
ブルー 「あると思っていたのかい? まだまだ甘いね」
修行体験とは違うんだよ、と生徒会長、いえ、銀青様。
ブルー 「死なない程度に休ませはしても、休憩はさ…」
キース 「修行の合間に茶が飲める程度で、菓子は出ないぞ」
その茶を淹れる時間も無いんだ、と副住職の証言。
キース 「デカいヤカンに入れてあるのを、注ぐだけだな」
シロエ 「その状況だと、お菓子は貴重品ですね?」
キース 「コッソリ持ち込むことも出来んし、貴重すぎだ」
ジョミー「それじゃ、お菓子をくれる人がいたら…」
ついて行きたくなっちゃうよね、とジョミー君。
ジョミー「そのための飴と鞭なのかな?」
ブルー 「そう考えてる人も多いし、そうじゃない人も…」
考え方は人それぞれ、と銀青様の仰せ。
ブルー 「マツカの場合は、どっちになるかは…」
シロエ 「謎なんですね、やってみないと」
どうなんでしょう、とシロエ君の視線がマツカ君に。
シロエ 「マツカ先輩、お菓子を与えるタイプですか?」
マツカ 「えっと、相手はキースですよね?」
シロエ 「そうなりますけど」
マツカ 「えーっと…?」
お菓子というのも失礼な気が、と考え込む人。
さて、タイプは…?
2019/10/04 (Fri)
☆お菓子の扱い方
生徒会長宅で過ごすシャン学メンバー、只今の話題は副住職。
マツカ君に話術を教わるために、弟子入りが浮上しましたが。
シロエ 「キース先輩にお菓子は、失礼なんですか?」
マツカ 「お菓子を渡すと、上から目線になりませんか?」
進物用じゃないですからね、と御曹司の難しそうな顔。
マツカ 「きちんと包んで差し上げるんなら、別ですけれど」
サム 「あー…。お中元とか、お歳暮とかな」
マツカ 「お越し下さった方に、お出ししたお菓子もですね」
召し上がらずにお帰りの時は、お包みします、とマツカ君。
マツカ 「お邪魔にならないようでしたら、と大急ぎで」
シロエ 「確かに、そういうのはありますね…」
マツカ 「そっちだったら、懐紙などの包みもアリですが…」
失礼にはならないんですけれど、と御曹司の説明。
マツカ 「それ以外だと、ちょっと包んで渡すというのは…」
ブルー 「お子様向けか、出入りの職人さん向けだよね」
大工さんとか、植木屋さんだとか…、と生徒会長も。
ブルー 「仕事が終わって帰る時にさ、ご苦労様です、と」
マツカ 「そうなんです。ですから、キースに渡すのは…」
どう転がっても、上から目線になるんですよ、と御曹司。
マツカ 「渡さない方が、いっそマシかと思うんですけど」
サム 「そうかもなあ…。キース、プライド高いしよ」
スウェナ「じゃあ、飴は無しね?」
鞭だけでビシバシいくってことね、とスウェナちゃんが確認。
スウェナ「お菓子は渡さないんだったら、そうなるんでしょ」
シロエ 「待って下さい、そもそも上から目線なのでは?」
お菓子なんかを渡さなくても…、とシロエ君。
シロエ 「マツカ先輩に弟子入りですから、立場は下です」
ジョミー「そっか、最初から下なら、お菓子でいいんだよね」
マツカ 「ぼくがキースに、お菓子を…ですか?」
サム 「鞭だけでも、かまわねえんだぜ?」
俺たちは傍観者だからよ、とサム君、キッパリ。
傍観者ですね…。
2019/10/05 (Sat)
☆罰礼なら任せろ
生徒会長宅で過ごす休日、マツカ君の話術の巧みさが話題に。
キース君も弟子入りするべきだ、と誰もが考えているのが今。
シロエ 「キース先輩の場合、鞭だけでもいいと思いますよ」
スウェナ「そうよね、プライドが傷付くよりかは鞭だわよ」
サム 「アドス和尚で慣れてると思うぜ、その辺はよ…」
何かと言ったら罰礼だしよ、と僧籍な人も。
サム 「マツカは罰礼、やらねえし…。遥かにマシだぜ」
マツカ 「それはまあ…。ぼくは、お坊さんじゃないですし」
罰礼のやり方だって分かりませんよ、とマツカ君、苦笑。
マツカ 「だからキースが手抜きしたって、バレませんしね」
シロエ 「あー…。そうだ、マツカ先輩、覚えませんか?」
マツカ 「何をです?」
シロエ 「罰礼ですよ、サム先輩も会長も知ってますから」
お手本を見せて頂いては…、とシロエ君の提案。
シロエ 「そうすれば手抜きを見抜けますしね、一発で!」
ジョミー「それ、いいかも…。鞭は罰礼っていうのが最高!」
キース 「ちょっと待て! 貴様ら、他人事だと思って!」
サム 「やっぱ罰礼、苦手なのな?」
ここで割り込んでくるってことは、とサム君、ニンマリ。
サム 「罰礼コースでいくのが良さそうだぜ、マツカ」
マツカ 「でも…。お坊さんの資格は持ってませんから…」
ブルー 「いくらでも貸すよ、それくらいなら!」
なにしろ免許を二枚持ちでね、と生徒会長、いえ、銀青様。
一同 「「「二枚持ち?」」」
ブルー 「そう! 二つの宗派で修行を終えているからさ…」
免許皆伝が二人前だよ、と生徒会長、ニッコリと。
ブルー 「璃母恩院と恵須出井寺と、どっちもオッケー!」
シロエ 「だったら、貸してあげて下さい!」
そしてキース先輩を鍛えて貰いましょう、とシロエ君。
シロエ 「マツカ先輩、キース先輩を弟子にして下さい!」
マツカ 「ぼくが、キースを…?」
心の準備がありませんが、とマツカ君、ワタワタ。
さて…?
2019/10/06 (Sun)
☆罰礼とお手本
生徒会長宅で過ごすシャン学メンバー、マツカ君に期待な今。
キース君に話術を仕込んで貰おうと、弟子入りコース提案中。
シロエ 「大丈夫です、心の準備なんか要りませんってば!」
スウェナ「そうよ、ビシバシしごいてやればいいだけよ!」
サム 「トチッた場合は、罰礼でいけばオッケーだしよ…」
一回につき百発くらいで、と僧籍な人のオススメが。
キース 「百回だと!? それじゃ親父と同じじゃないか!」
サム 「アドス和尚も百回なのな? んじゃ、それで!」
キース 「何故、そうなるんだ!」
サム 「厳しさってヤツは必要だぜ、うん」
まして鞭だけでいくんならよ、とサム君、親指をグッと。
サム 「とりあえず、マツカに罰礼の手本を見せねえと」
シロエ 「サム先輩、よろしくお願いします!」
サム 「おう、任せとけって!」
こうやるもんだ、とサム君、リビングの床に正座。
サム 「南無阿弥陀仏を三回唱える間に、五体投地な」
マツカ 「スクワットだというヤツですね?」
サム 「いくぜ、南無阿弥陀仏…」
正座から合掌したままピシッと立って、更にお念仏。
サム 「南無阿弥陀仏…」
マツカ 「二回目で座って、その姿勢から五体投地ですか…」
サム 「南無阿弥陀仏…と、よし、ここまで!」
マツカ 「三回目で身体を起こして、正座に戻るんですね」
他に作法はあるんでしょうか、と御曹司の問い。
マツカ 「どっちの足から立つとか、座るとか…」
サム 「右足から立つのが普通な筈だぜ」
ブルー 「そうなってるね。でも、そこは逆でもいいんだよ」
右足に故障がある時とかは、逆でオッケー、と銀青様。
ブルー 「要は、お念仏を三回の間に、五体投地を一回だね」
マツカ 「分かりました。それをキースに?」
ブルー 「やればいいと思うよ、資格は貸すから」
マツカ 「でもですね…」
ブルー 「じゃあ、お試しで!」
師匠をやってみないかい、と赤い瞳がキラリーン! と。
お試しって?
2019/10/07 (Mon)
☆サポートは万全
生徒会長宅で休日なシャン学メンバー、マツカ君に期待中。
キース君に話術を仕込んで貰えば、誰かさんに対抗できそう。
マツカ 「あのぅ…。お試しというのは何ですか?」
ブルー 「そのままの意味だよ、お試しコース!」
一日師匠でどうだろうか、と生徒会長が乗り出す膝。
マツカ 「一日師匠…って、どういうものです?」
ブルー 「よくあるじゃないか、一日駅長とか、色々と!」
素人さんでも務まるヤツが…、と立てる親指。
ブルー 「だから師匠が出来るかどうか、此処でお試し!」
マツカ 「えっと…。此処ってことは、今ですか?」
ブルー 「それが早いと思うけどねえ、試してみるなら」
丸一日には少し足りないけれど、と周りを見回しまして。
ブルー 「他のみんなは、どう思う? 一日師匠って」
サム 「いいんでねえの? どんな感じかやってみればよ」
スウェナ「そうよね、アドバイスだって出来そうだし…」
シロエ 「もちろん、やってみるべきですよ!」
罰礼の指導もサポート出来ます、とシロエ君も大いに乗り気。
シロエ 「マツカ先輩、お試しでどうぞ!」
キース 「ま、待ってくれ、俺の意見はどうなるんだ!」
ブルー 「意見を言える立場なのかい?」
君って人は…、と生徒会長、呆れ顔。
ブルー 「君のせいで困っているのが、此処のみんなで…」
ジョミー「キースにマツカのスキルがあれば、助かるんだよ」
サム 「うんうん、メギドが倍になるしよ」
二人もいれば、あの野郎も…、とサム君、拳をグッと。
サム 「大人しくなるんじゃねえのか、と!」
キース 「し、しかし…!」
ブルー 「つべこべ言わない!」
決定権はマツカにあるね、と生徒会長、ビシィ! と宣言。
ブルー 「どうするんだい、お試しコース? 一日師匠!」
マツカ 「皆さんのサポートを受けられるんですね?」
ブルー 「充実のをね!」
マツカ 「じゃあ…」
試しにやってみてもいいです、と御曹司。
一日師匠体験ですね?
2019/10/08 (Tue)
☆師匠のお世話を
キース君にマツカ君のスキルがあったら、と誰もが期待な今。
巧みな話術を仕込んで貰うべく、弟子入りしろという話で…。
ブルー 「それじゃ、一日師匠体験! たった今から!」
マツカ 「えっ、もう早速に始めるんですか?」
ブルー 「でないと時間が経ってしまうよ、アッと言う間に」
サム 「そうだぜ、ビシバシやってくれよな!」
キースに泣き言は言わせねえぜ、と張り切る僧籍な人。
サム 「罰礼の手本も見せたんだしよ、ここは厳しく!」
マツカ 「そう言われても…。何をすればいいんですか?」
ブルー 「坊主の世界じゃ、弟子の仕事の基本はさ…」
サム 「身の回りのお世話ってヤツらしいぜ」
そこから始めればいいんでねえの、とサム君の提案。
サム 「そのくらいなら、特に問題ねえだろうし」
シロエ 「話術の稽古になるでしょうか、ソレ?」
ブルー 「言葉遣いと立ち居振る舞いは学べると思うよ」
マツカのお世話をするだけでもね、と生徒会長も。
ブルー 「さあ、やってみよう!」
マツカ 「え、えーっと…? そう言われてもですね…」
スウェナ「お茶を頼めばどうかしら?」
マツカ 「…お茶ですか?」
もう頂いているんですけど、とマツカ君が眺めるカップ。
マツカ 「ぶるぅが淹れてくれましたしね」
ブルー 「だから入れ替えて貰うんだよ。新しいのに」
ジョミー「そうだね、マツカの好みのヤツにさ」
今は紅茶が入ってるけど…、とジョミー君もプッシュ。
ジョミー「うんと注文のうるさいヤツとか、難しいので!」
マツカ 「ぼくは普通でいいんですけど…」
ブルー 「ダメダメ、キースの師匠なんだから!」
弟子に厳しく躾をするのも師匠の役目、と生徒会長。
ブルー 「ここは一発、美味しい紅茶を淹れるように、とね」
マツカ 「それをキースに言うんですか?」
ブルー 「師匠らしく、上から目線でね」
マツカ 「上から目線で…?」
ぼくのキャラとは違うんですが、と御曹司、困惑。
どうなる…?
2019/10/09 (Wed)
☆紅茶を頼むには
キース君がマツカ君のスキルを持ったら、と期待がかかる今。
一日師匠体験だとかで、マツカ君がキース君を指導ですけど。
ブルー 「師匠は上から目線のものだよ、頑張りたまえ」
マツカ 「でも…。どんな風にやればいいのか分かりません」
ブルー 「普通にやったらいいんだよ。紅茶を頼めば」
マツカ 「えーっと…? いつも通りにですか?」
上から目線にならないような、とマツカ君、オロオロ。
マツカ 「ぼくの普通だと、違うように思うんですけれど…」
ブルー 「いいから、いいから! ぼくがサポート!」
アドバイスしてあげるから、と生徒会長、ニッコリと。
ブルー 「さあ、頼みたまえ! お茶の入れ替え!」
マツカ 「え、ええ…。あの、キース…。すみませんけど…」
キース 「なんだ?」
ブルー 「ダメダメ、師匠にその言い方は!」
なんでしょうか、と返したまえ、と生徒会長のツッコミが。
ブルー 「君はアドス和尚にも、そう言うのかい?」
キース 「もちろんだ。親父に敬語は使っていないぞ」
ブルー 「ほらね、ここにもう甘えが出ているんだよ!」
お父さんが師僧であるがゆえのね、と厳しい指摘。
ブルー 「いいかい、マツカは師匠なんだよ、まず敬語!」
キース 「そ、そうか…。…なんでしょうか、師匠」
マツカ 「あ、その呼び方がいいですね! 師匠というのが」
少し気持ちが軽くなりました、と御曹司の笑み。
マツカ 「お芝居だと思って、やってみますよ」
ブルー 「だいぶ違うんだけど、まあいいか…。はい、続き」
マツカ 「お茶を入れ替えて下さいますか?」
美味しい紅茶が飲みたいんですが、とキース君に注文が。
ブルー 「ちょっと丁寧すぎるけど…。そのまま続けて!」
マツカ 「香り高い紅茶がいいですね。銘柄は特に…」
ブルー 「詰めが甘いよ、もっと我儘に!」
マツカ 「こだわるんですか?」
ブルー 「そうなるね」
無ければ買いに行けという勢いで、と生徒会長。
そこまでですか?
2019/10/10 (Thu)
☆紅茶を淹れるには
キース君にマツカ君のスキルを学ばせるべく、一日師匠体験。
生徒会長がサポートについて、お茶の入れ替えからですけど。
ブルー 「いいかい、弟子は師匠に絶対服従なんだから…」
マツカ 「らしいですね、ですから紅茶を頼みましたが…」
銘柄を指定して我儘にですか、とマツカ君、オロオロ。
マツカ 「そこまで偉そうにするというのも、なんだか…」
ブルー 「お芝居だと思っておくと言っただろう?」
マツカ 「え、ええ…」
ブルー 「なら、偉そうに、こだわって!」
できる弟子というのは、そうなんだから…、と生徒会長。
ブルー 「師僧の好みを心得ていて、言われなくても…」
スウェナ「こだわりの銘柄のお茶を淹れるのね?」
ブルー 「そういうことだね、お茶の葉も、常に切らさずに」
特に山奥のお寺の場合は大事なスキル、と銀青様モード。
ブルー 「言われて直ぐには買いに行けないんだから!」
サム 「あー、気配りが大切なのな、切らさないっていう」
ブルー 「そう! この気配りは、マツカのスキルにも…」
共通している要素だよね、とキース君に視線をチラリ。
ブルー 「君は、とにかく学びたまえ! マツカから!」
キース 「わ、分かった…。それで、紅茶は…」
マツカ 「ダージリンでお願いします」
キース 「はい!」
淹れて参ります、とキッチンに向かおうと立った所へ…。
ブルー 「ちょっと待った! 君はコーヒー党だろう?」
キース 「その通りだが?」
ブルー 「紅茶の淹れ方、知ってるのかい?」
細かいルールがあるんだけどね、と生徒会長の問い。
キース 「ルールだと?」
ブルー 「お約束だよ、美味しく淹れるための!」
知っているかな、と赤い瞳がジロリ。
キース 「い、いや…。湯を沸かすのは分かるんだが…」
ブルー 「どうかな、マツカ? それで淹れられるかい?」
マツカ 「危ないと思います」
キース 「うっ…」
そう言われても…、と固まる副住職。
紅茶の行方は?
2019/10/11 (Fri)
☆紅茶のシャンパン
マツカ君のスキルを学ぶべく、一日弟子入り体験のキース君。
まずは紅茶を淹れる所から、けれどキース君はコーヒー党で。
ブルー 「ほらね、いきなりつまづいてるし!」
キース 「お、親父は緑茶かコーヒーだから…」
ブルー 「ついでに君が淹れてないだろ、アドス和尚のは」
イライザさんがいるんだからね、と生徒会長の鋭い指摘。
ブルー 「そういう意味でも、君はまだまだ甘いんだよ!」
キース 「うう…。それはそうかもしれないが…」
ブルー 「とにかく、紅茶を美味しく淹れる! 頑張って!」
スウェナ「でも…。思いっ切りの素人だわよ?」
マツカも不安があると言ったわ、とスウェナちゃん。
スウェナ「危ないです、ってそういう意味でしょ?」
マツカ 「ええ…。コーヒーとは違いますからね…」
それにダージリンは繊細ですし…、とマツカ君が曇らせる顔。
マツカ 「なにしろ、紅茶のシャンパンですから」
一同 「「「へ?」」」
マツカ 「そう呼ばれるんですよ、香りの高さで」
マスカットフレーバーと言うんですけど…、と説明が。
マツカ 「上手く淹れないと、香りが飛んでしまうんですよ」
スウェナ「あらまあ、フレーバーティーより厄介なのね?」
マツカ 「お湯の温度も、抽出時間も大切ですね」
正直、ぼくも自信はあまり…、と御曹司の苦笑。
マツカ 「自分では、滅多に淹れませんから」
サム 「あー…。メイドさんが淹れてくれるのな?」
マツカ 「場合によって、色々ですね」
うちの執事も美味しく淹れるんですよ、とニッコリと。
マツカ 「とにかく、頼む方が多くて…」
ブルー 「舌は立派に肥えてる、と…」
キースも頑張り甲斐があるね、と生徒会長。
ブルー 「美味しいのを淹れてくれたまえ。全員分で」
キース 「全員分だと!?」
ブルー 「せっかくだからね」
マツカ 「そうですね。皆さんにも味わって頂きたいです」
極上の紅茶のシャンパンを…、と御曹司の注文。
大丈夫ですか?
2019/10/12 (Sat)
☆紅茶が欲しい人
マツカ君のスキルを学ぼうと、一日弟子入りをしたキース君。
紅茶の入れ替えを頼まれたんですけど、早速高いハードルが。
キース 「ぜ、全員の分の紅茶を俺が…?」
マツカ 「ぼくだけ、熱いお茶を淹れて頂くというのは…」
皆さんにも申し訳ないですからね、とマツカ君の微笑み。
マツカ 「紅茶党じゃない方も、おいででしょうけど」
シロエ 「細かいことなんか、この際、どうでもいいですよ」
キース先輩のスキルアップが大切です、とシロエ君。
シロエ 「たとえ抹茶が出る仕様でも、誰も気にしません!」
サム 「抹茶なあ…。もっとハードル高そうだよな、ソレ」
キース 「いや、まだマシだ!」
一同 「「「へ?」」」
何故に抹茶がマシなんだろう、と誰もがポカーン。
ジョミー「キース、茶道をやってたっけ?」
キース 「やっていないが、坊主の場合は…」
ブルー 「知りませんでは済まないんだよ、そっちの道はね」
なにしろ献茶があるものだから、と生徒会長、いえ、銀青様。
一同 「「「献茶?」」」
ブルー 「仏様にお茶をお供えする行事でさ…」
キース 「参加なさった人にも、お茶をお出しするのが…」
ブルー 「基本なんだよね、何処のお寺でも」
だから抹茶を点てられないようでは、坊主失格、と説明が。
ブルー 「作法はともかく、点てるくらいは出来るんだよ」
シロエ 「なるほど…。そうなると、ますます紅茶ですね」
マツカ 「そうみたいですね、お願いします」
??? 「あっ、ぼくの分も!」
紅茶をお願い、とソルジャー(会話表記はAブルー)登場。
一同 「「「ひぃぃっ!」」」
Aブルー「どうかしたのかい?」
紅茶を頼んだだけなんだけど、とキョトンとする人。
Aブルー「極上の紅茶が飲めるんだってね!」
シロエ 「あの…。淹れるのはキース先輩で…」
サム 「ぶるぅじゃねえから…」
Aブルー「気にしないって!」
美味しく淹れてくれるなら、と言ってますけど。
招かれざる客…。
2019/10/13 (Sun)
☆紅茶の香り高さ
マツカ君のスキルを学ぶべく、キース君が一日弟子入り中。
紅茶の入れ替えを頼まれた所へ、招かれざる客が登場でして。
Aブルー「紅茶のシャンパンなんだって? 味わいたいよね」
マツカ 「あのぅ…。意味は分かっておいででしょうか?」
Aブルー「意味って、何さ?」
マツカ 「紅茶のシャンパンのことなんですけど」
本当に分かってらっしゃいますか、と御曹司の問い。
Aブルー「シャンパンと言ったら、シャンパンだろう?」
マツカ 「ですから、それの意味ですよ」
Aブルー「もちろんだよ! 最高級のワインの一種だよね!」
スパークリングワインの最高峰だろ、と威張るソルジャー。
Aブルー「条件がとっても厳しいんだってね、シャンパンは」
シロエ 「そうなんですか?」
Aブルー「ぼくも詳しくは知らないけれど、ノルディがね」
そう言ってたよ、と受け売りらしいシャンパンの話。
Aブルー「それが入った紅茶となったら、飲まなくちゃ!」
サム 「おいおい、何か違ってねえか?」
スウェナ「シャンパンは入ってないわよね…?」
Aブルー「えっ、そんなことはないだろう?」
ブランデーとかを入れるじゃないか、とソルジャー、反論。
Aブルー「ブランデーの代わりにシャンパンだよね?」
マツカ 「いえ、そうじゃなくて、この場合はですね…」
香りの高さの話なんです、と御曹司。
マツカ 「ダージリンは香りの高い紅茶で、その香りが…」
Aブルー「シャンパンと同じになるのかい?」
マツカ 「違いますってば、シャンパンに例えているんです」
最高級という点を、とマツカ君、ソルジャーに説明を。
マツカ 「香りそのものは、また別の表現ですね」
Aブルー「そうなんだ?」
どんな香りかな、と興味津々のソルジャー。
マツカ 「マスカットフレーバーですが…」
Aブルー「それはいいねえ!」
マツカ 「は?」
Aブルー「マスカットだろう?」
美味しいマスカットがあるんだよね、と言ってますけど。
えっと…?
2019/10/14 (Mon)
☆紅茶とマスカット
対ソルジャーな最終兵器かも、と噂されているのがマツカ君。
そのスキルをキース君にも、と一日師匠中な所へ乱入した人。
Aブルー「なんだったっけ、皮ごと食べられるマスカット!」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ シャインマスカットだよね!」
Aブルー「そう、それ、それ! 美味しくってさ!」
そのままでも良し、お菓子でも良し、とソルジャーの笑顔。
Aブルー「皮を剥かなくてもいいって所が、もう最高で!」
ブルー 「君の性格には向いてそうだね、確かにね」
Aブルー「あっ、分かる? ブドウの皮は面倒でねえ…」
ブドウは甘くて美味しいけどさ、とブツブツブツ。
Aブルー「あれさえなければ、って思ってたから…」
ぶるぅ 「シャインマスカット、ケーキ屋さんも歓迎なの!」
沢山飾っても食べられるから、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
ぶるぅ 「その代わり、お値段、高くなるけど…」
シロエ 「そうなんですか?」
ぶるぅ 「んとね、元々が高いから…」
ケーキにしちゃうと、もっと高いよ、と解説が。
ぶるぅ 「新しい品種は、そうなっちゃうけど…」
スウェナ「その内に安くなるかしら?」
ブルー 「10年くらいはかかるんじゃないかな?」
Aブルー「それを使うんだよね、美味しい紅茶!」
マスカットフレーバーなんだしさ、と赤い瞳がキラキラ。
Aブルー「皮を剥かなくても美味しいのを搾って…」
マツカ 「あのですね…。ダージリンは、もっと古いです」
最近の紅茶じゃないんですよ、と御曹司の指摘。
マツカ 「ですから、シャインマスカットは入りません」
Aブルー「それじゃ、普通のマスカットなわけ?」
どっちにしたって美味しそうだよ、と食い下がる人。
Aブルー「ぼくにも淹れてくれるだろう、キース?」
キース 「あんただけ、搾って入れてやろうか、マスカット」
マツカ 「そうですねえ…。こだわってらっしゃいますから」
Aブルー「ええっ?」
ちょっと待ってよ、とソルジャー、ワタワタ。
特製紅茶…?
2019/10/15 (Tue)