☆気が抜けない師走
さて、十二月。いわゆる師走で、お師匠様も走るという季節。
それでも休日は生徒会長宅でのんびりな、シャン学メンバー。
ジョミー「早いよねえ…。もうすぐ、今年も終わるだなんて」
シロエ 「本当に早かったと思うんですか、ジョミー先輩?」
心の底から思いますか、とシロエ君の問い。
ジョミー「え、えっと…? うーん、どうかな…」
サム 「考えてみろよ、今年はどういう年だったんだよ?」
ジョミー「そこそこ平和じゃなかったっけ?」
マツカのお蔭で…、とジョミー君。
ジョミー「お盆の棚経も、秋のお彼岸も、無事に済んだしさ」
シロエ 「それは間違いないんですけど、その後がですね…」
サム 「キースの野郎が役に立たねえって、確定でよ…」
スウェナ「最終兵器は、マツカだけしかいないのよ?」
誰かさんを倒せる人は…、とスウェナちゃんの嘆き節。
スウェナ「キースときたら、どう頑張ってもダメなんだもの」
ブルー 「修行するだけ無駄だったしねえ、本当に」
念仏三昧が精一杯で、と生徒会長も複雑な顔。
ブルー 「五体投地を三千回でも、筋肉痛になっただけでさ」
ジョミー「そうだったっけ…」
誰かさんが喜んだだけだったよね、とジョミー君も溜息を。
ジョミー「お念仏の数が凄かったから、って狂喜乱舞で」
シロエ 「でもって、効いたらしいですしね…」
お礼に来たじゃありませんか、とシロエ君。
シロエ 「これからも念仏三昧でよろしく、とお菓子持参で」
一同 「「「あー…」」」
来たんだった、と誰もが忘れたい先月の悲劇。
ジョミー「やっぱり今年も長かったんだね、例年通り」
サム 「しかも終わっていねえんだぜ?」
まだ大晦日が来ていねえ、とサム君、遠い目。
サム 「無事に乗り切れるって保証はねえよ」
スウェナ「そうねえ、キースがいるんだものね」
キース 「俺は疫病神なのか!」
シロエ 「そうですけど?」
疫病仏かもしれませんけど、と妙な言葉が。
ヤクビョウブツ?
2019/12/01 (Sun)
☆音読みと訓読み
師走でも休日は生徒会長宅でのんびりな、シャン学メンバー。
けれど話題は冴えないばかりか、溜息交じりな嘆き節でして。
シロエ 「皆さんも、そう思いませんか? 疫病仏だと」
ぶるぅ 「ねえねえ、ヤクビョウブツって、なぁに?」
シロエ 「キース先輩のことですよ。お坊さんですからね」
神様よりも仏様でしょう、とシロエ君の説明。
シロエ 「疫病神よりは、疫病仏だと思いますねえ」
ぶるぅ 「そっかぁ! 疫病神の親戚なんだね!」
キース 「おい、シロエ! おかしなことを教えるな!」
シロエ 「そう言われても…。ああ、そういえば…」
ぼくが間違えていましたね、とシロエ君、素直に謝罪。
キース 「分かればいいんだ、分かりさえすれば」
シロエ 「すみません、ウッカリしてました。…訂正します」
ぶるぅ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」に声を。
シロエ 「さっきの疫病仏ですけどね、ブツじゃないです」
ぶるぅ 「んとんと…。それって、どういう意味?」
シロエ 「正しくは、ヤクビョウボトケになるんですよ」
疫病神は神が訓読みになってますから…、とシロエ君。
シロエ 「ですから、キースの場合も、同じ訓読みで」
ぶるぅ 「あー、仏様のホトケだね!」
シロエ 「そうなんですよ、そっちの方でよろしく」
ぶるぅ 「分かったぁ!」
ありがとう、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」、ペコリとお辞儀。
ぶるぅ 「とってもお勉強になったの、覚えておくね!」
シロエ 「どういたしまして。そう呼んであげて下さい」
ぶるぅ 「うんっ! キースの新しいお名前だね!」
キース 「違うんだが!」
そうじゃないんだが、とキース君、怒りの形相。
キース 「シロエ、この件をどうしてくれる! よくも…」
シロエ 「どの辺が違うと言うんです? 疫病仏でしょう?」
サム 「全面的に支持するぜ、ソレ」
ジョミー「ぼくだって!」
キース 「そ、そんな…!」
疫病仏だと言われても…、と絶句している副住職。
違うんですか?
2019/12/02 (Mon)
☆ブツもホトケも
師走も生徒会長宅で休日、そういうシャン学メンバーですが。
キース君に疫病神説が浮上、お坊さんだけに疫病仏だそうで。
キース 「俺はこれでも頑張ってるんだ、それなのに…!」
シロエ 「疫病仏は酷い、と言いたいんですか?」
キース 「当然だろうが、俺の努力はどうなるんだ!」
誰か、なんとか言ってくれ、と縋るような目。
キース 「マツカに弟子入りとか、罰礼三千回だとか…」
ブルー 「うーん…。一言、言わせて貰うなら…」
キース 「有難い! 銀青様のお言葉なら、皆も聞くしな」
ブルー 「そう言われると嬉しいね。じゃあ…」
気になった点を言わせて貰うよ、と生徒会長、いえ、銀青様。
ブルー 「さっきのヤクビョウボトケだけどさ…」
シロエ 「やっぱり、問題ありますか?」
ブルー 「ヤクビョウブツでもいいと思うね、ぼくとしては」
キース 「なんだって!?」
なんで、あんたまで、その話を…、とキース君、愕然。
キース 「一言というのは、ソレだったのか!?」
ブルー 「ちょっと気になったものだから…。音の面でね」
座りがいいのはヤクビョウブツの方かもね、とニコニコと。
ブルー 「だから、どっちもアリだと思うよ、好みの方で」
ぶるぅ 「そうなんだ! ブルーが言うなら、ホントだね」
ブルー 「ダテに長生きしてないからねえ、学問もね」
そこのキースとは格が違うよ、と、さりげなく自慢。
ブルー 「ぼくが白いと言いさえすればね、カラスもさ…」
サム 「白くなるよな、銀青様だしよ」
ブルー 「そのぼくが、両方、認めるよ。ブツもホトケも」
シロエ 「ありがとうございます!」
活用させて頂きますよ、とシロエ君、感激。
シロエ 「キース先輩、聞きましたか? お墨付きです!」
キース 「いや、俺が言いたかったのは、そうではなくて…」
ブルー 「何か擁護をして欲しかった、と?」
キース 「そうなんだが…!」
これでは俺の立つ瀬が無い、とキース君、必死。
助け舟を希望…?
2019/12/03 (Tue)
☆援護射撃のプロ
師走も休日は生徒会長宅、それがシャン学メンバーですけど。
キース君に疫病仏説が浮上、読みの方はブツもホトケも可能。
ブルー 「要するに君は、疫病仏じゃないと言いたいわけ?」
キース 「当然だろうが、このままでは皆に避けられる!」
有難くない名前が定着したら、と副住職、ガクガクブルブル。
キース 「そうでなくても、お盆とお彼岸は嫌われるのに!」
ブルー 「でもねえ…。本当に自業自得だからさ…」
ぼくにも擁護のしようがないよ、と生徒会長、バッサリと。
ブルー 「何か言い訳の余地でもあればね、援護射撃も…」
サム 「出来るだろうけどよ、何もねえとよ…」
スウェナ「下手に戦線に出て行った場合、犬死にだわねえ…」
キースとセットで攻撃されて…、とスウェナちゃん。
スウェナ「誰だって放置したくなるわよ、こんなケースは」
シロエ 「ですよね、傭兵だったらともかく」
一同 「「「傭兵?」」」
シロエ 「そうです、戦闘のプロフェッショナルです」
お金次第で動くんですよ、とシロエ君が立てる親指。
シロエ 「危険な任務を片付けてるのは、彼らですよね」
ブルー 「まあねえ…。正規軍が動けない所だとかね」
キースの場合もソレになるかも、と生徒会長。
ブルー 「まるで庇える要素が無くても、お金次第で…」
シロエ 「傭兵だったら、援護射撃をしてくれますよ」
それも最高の腕前で…、とシロエ君、ニッコリ。
シロエ 「援護射撃どころか、狙撃もするのが傭兵です」
サム 「暗殺とかかよ?」
シロエ 「そうらしいですよ、敵地に潜入して」
キース先輩も如何でしょうか、と視線を副住職へと。
シロエ 「誰も庇ってくれませんけど、傭兵さえ雇えば…」
サム 「ちっとは立場が、マシになるかもしれねえなあ…」
スウェナ「雇いなさいよ、ブツブツ文句を言っていないで」
キース 「傭兵か…」
シロエ 「オススメです!」
キース先輩にピッタリですよ、と言ってますけど。
傭兵ですか…?
2019/12/04 (Wed)
☆傭兵を雇うには
疫病神ならぬ疫病仏というのが、キース君の評価ですけれど。
誰も擁護をしない状況、そんな時でも有能なのは傭兵だとか。
シロエ 「どんな困難な状況だろうが、傭兵はお金次第です」
サム 「へええ…。成功報酬も出るってわけな?」
シロエ 「そうでなければ、命を懸けてはくれませんよ」
それだけに雇う価値があります、とシロエ君、力説。
シロエ 「もっとも、オススメだとは言いましたけど…」
サム 「何か問題あるのかよ?」
シロエ 「キース先輩の場合、財布の中身が大問題です」
おまけに特殊例ですからね、と人差し指をチッチッと。
シロエ 「狙撃手じゃなくて、言葉で攻撃が必須ですから」
一同 「「「あー…」」」
それは条件が難しそうだ、と皆の視線が生徒会長に。
ブルー 「えっと…? みんな、どうしちゃったわけ?」
シロエ 「……会長が最高なんですけどねえ」
サム 「高僧な上に、ダテに四百年、生きてねえよな」
ブルー 「ああ、キースのための傭兵かい?」
引き受けないでもないけどさ、と生徒会長、軽く腕組み。
ブルー 「でもねえ…。ぼくの場合は、時間給がさ…」
シロエ 「やっぱり半端ないですよね?」
ブルー 「法要だったら、一席いくらで受けるけれどさ…」
傭兵は拘束時間だよね、と顎に手を。
ブルー 「そうなってくると、一時間あたり…」
シロエ 「どのくらいですか?」
ブルー 「法要でも、単純に計算したら、このくらいかな」
スッと出された指が一本。
シロエ 「そ、それは…。10じゃないですよね?」
ブルー 「もちろん。100は頂かないと」
特殊任務な傭兵の場合は、割増だよね、と恐ろしい台詞が。
シロエ 「更に割増料金ですか…。キース先輩には、少々…」
ブルー 「厳しいんじゃないかと思うけれどね?」
シロエ 「キース先輩、どうなんですか?」
キース 「払えるわけがないだろう!」
俺は給料も貰っていないんだ、と副住職の絶叫。
お小遣いでしたっけね…。
2019/12/05 (Thu)
☆給料を貰うには
疫病神ならぬ疫病仏だ、と評されてしまったキース君ですが。
擁護する人は誰もいなくて、そういう時には傭兵なのに…。
シロエ 「やっぱり、お金が問題ですか…」
キース 「当たり前だろうが、小遣い程度で払えるか!」
そんな大金、とキース君、天井を仰いで嘆き節。
キース 「俺が大金を手に出来るのは、例の法要の時だけで」
シロエ 「しかも手元を通過なんですよね、あのお金…」
キース 「パフォーマンスに過ぎないからな!」
いくら偉そうに受け取ったって、とブツブツブツ。
キース 「お前たちも勘違いしてたらしいが、俺の金だと」
シロエ 「すみません…。長いこと、誤解してました」
サム 「それについては謝るけどよ…。お前さあ…」
マジで小遣いだけなのかよ、とサム君の問い。
サム 「坊主仲間の集まりの時だけ、臨時手当って…」
キース 「考えてもみろよ、あの親父だぞ?」
高校生に給料を出すと思うのか、と眉間に皺が。
キース 「大学を出て、それっきりなら良かったんだが…」
シロエ 「ああ、なるほど…。だったらですね…」
卒業してはどうでしょうか、とシロエ君。
一同 「「「卒業?」」」
シロエ 「そうです、シャングリラ学園を!」
文字通り卒業するんですよ、とニッコリと。
シロエ 「幸い、毎年、卒業式には出ていますから…」
サム 「あー…。入学式さえ出なけりゃよ…」
シロエ 「卒業できると思うんですよ」
そしたら立派に大卒ですね、と立てる親指。
シロエ 「給料を貰える身になれそうです、キース先輩も」
サム 「いいじゃねえかよ、ソレ!」
キース 「そう思うのか?」
本当にベストだと思っているか、と副住職の顰めっ面。
キース 「卒業したら、間違いなく寺に常勤になるが?」
シロエ 「えーっと…? それはどういう意味でしょう?」
キース 「フルタイムで坊主だ、年中無休になるんだが!」
土日も祝日も無くなるんだが、という叫び。
フルタイム勤務…。
2019/12/06 (Fri)
☆値切りはお断り
疫病神ならぬ疫病仏なのでは、というキース君の評価ですが。
誰も擁護してくれない状態、傭兵を雇おうにも無いのがお金。
シロエ 「大卒になると、フルタイムでお坊さんですか?」
キース 「そうじゃないヤツも世には多いが、俺の場合は…」
なんと言っても親父がアレだ、とキース君、ワタワタ。
キース 「もう文字通りに副住職にされて、休暇なんぞは…」
ブルー 「無しだろうねえ、どう考えても」
せっかくの給料も使えないね、と生徒会長、いえ、銀青様。
ブルー 「アドス和尚にこき使われて、ブラック企業状態で」
キース 「分かってるんなら、もう少し安くならないか?」
あんたを傭兵に雇う金額、と縋るような目。
キース 「此処に来ている日だけでいいから、時間給で…」
ブルー 「100は頂くと言ったけど? 法要でもね」
キース 「そこをなんとか!」
ブルー 「あのねえ…。モノがブツだかホトケだかだよ?」
仏道と無縁じゃないものでね、と生徒会長、冷たい声音。
ブルー 「なのに格安で受けたとなったら、ぼくの面子が…」
サム 「立たねえわけな、高僧としてよ…」
ブルー 「そうなんだよねえ、キースには悪いけどさ」
黙って攻撃されていたまえ、と突き放し。
ブルー 「傭兵の件はお断りだね、嫌なら先に金策をね」
キース 「そ、そんな…!」
好きに言われていろと言うのか、と唸るしかない副住職。
キース 「しかし、本当に金が無いしな…」
スウェナ「ボランティアの傭兵なんかは、無いわよねえ…」
シロエ 「難民キャンプなら、退役組がいるかもですよ」
引退後は平和のために働いてるとか、と言われましても。
ジョミー「それって戦闘のプロの方だし、キースにはさ…」
サム 「役立たねえよな、仮に無償で来てくれてもよ」
キース 「話術が巧みな人間でないと、どうにもならん!」
シロエ 「あれっ、それって…」
キース 「話術か!」
若干一名、心当たりが…、とシロエ君とキース君。
誰…?
2019/12/07 (Sat)
☆格安でいけそう
疫病神ならぬ疫病仏だ、と評されてしまったキース君ですが。
擁護してくれそうな傭兵、生徒会長だと金額が高すぎる現実。
シロエ 「話術が巧みな人と言ったら、あの人ですよね?」
キース 「間違いないな、しかもブルーのお墨付きだ」
あの馬鹿野郎も撃退できる腕前の…、と大きく頷くキース君。
キース 「その上、金には困っていないし、給金の方も…」
シロエ 「きっと格安か、それこそ無償でボランティアです」
難民キャンプの退役組の傭兵並みに、とシロエ君も。
シロエ 「キース先輩、いけますよ、コレ!」
キース 「ああ。俺もいける気がして来たぞ」
無償だと非常に有難いんだが…、と副住職が繰る数珠レット。
キース 「なにしろ俺には、月々の小遣いしかないし…」
シロエ 「ここは頑張って交渉しましょう、安くなるように」
キース 「よし、まずは仕事を頼んでみよう」
援護射撃をしてくれないか、と頭を下げる先に、御曹司。
キース 「この通りだ! 俺を助けて欲しいんだが…!」
マツカ 「え、えっと…? それって、ぼくに言ってます?」
キース 「他に誰がいると思ってるんだ?」
シロエ 「キース先輩、その言い方ではダメですってば!」
喧嘩を売るんじゃありませんから、と飛ぶシロエ君の注意。
シロエ 「そんな調子じゃ、通る話も通りませんよ?」
キース 「そ、そうだった…。つい、いつもの調子で…」
シロエ 「学習能力が皆無ですから、仕方ないですけど…」
キース 「なんだって!?」
お前こそ喧嘩を売っているのか、と副住職が吊り上げる眉。
キース 「俺の立場が弱いと思って、好きに言いやがって!」
シロエ 「ですから、それがいけないんですよ」
マツカ先輩、どう思います、とシロエ君の問い。
シロエ 「口は禍の元っていうのを、地で行ってますよね?」
マツカ 「そうですね…。好んでドツボに…」
シロエ 「はまってますよ!」
擁護するだけ無駄な感じが、とキッツイ分析。
それは確かに…。
2019/12/08 (Sun)
☆地雷原に行く人
疫病神ならぬ疫病仏というのが、キース君への評価ですけど。
擁護する人は誰もいなくて、傭兵を雇おうにも厳しい懐事情。
シロエ 「キース先輩の場合、傭兵を雇ってもですね…」
サム 「意味がねえかもしれねえなあ…。端からドツボで」
スウェナ「そうよね、いくらマツカが凄腕でも…」
ドツボを埋める作業は不毛だわよ、とスウェナちゃんも。
スウェナ「しかも格安かボランティアでしょ、無駄骨だわよ」
ジョミー「だよねえ、マツカが骨折り損だよ」
キース 「いや、そこまでではないと思うが…!」
シロエ 「どうでしょうか…。決めるのはマツカ先輩ですし」
如何ですか、とインタビューよろしく、マツカ君の方へ。
シロエ 「マツカ先輩も感じた通りに、好んでドツボに…」
マツカ 「はまっていますね、キースは、確かに」
シロエ 「傭兵なんかを引き受けちゃったら、大変ですよ?」
マツカ 「いえ、ぼくの手間の方はいいんですけど…」
肝心の効果が得られそうになくて…、と御曹司の困り顔。
マツカ 「擁護したって、ドツボに飛び込むタイプですしね」
キース 「俺はそんなに酷いだろうか…?」
マツカ 「自覚症状が皆無な所が、致命的ですよ」
自分を把握出来ていないということですし、と鋭い分析。
マツカ 「それでは凄腕の傭兵でも、どうにもなりませんよ」
キース 「凄腕というのは、ブルーのことか?」
マツカ 「いいえ、本物の傭兵ですね」
危険な任務を引き受ける方の、と御曹司。
マツカ 「あちらにしたって、まるで自衛をしない人だと…」
シロエ 「庇いようが無いってことですか?」
マツカ 「そうなりますね」
地雷原に突っ込んで行くような人ですよ、と説明が。
マツカ 「自分で地雷を踏むような人を、助けられますか?」
シロエ 「どう考えても、無理ゲーですよね」
マツカ 「キースも、そういうタイプですから…」
キース 「そうなのか?」
俺の擁護は無理ゲーなのか、と愕然とする副住職。
自覚ゼロ…。
2019/12/09 (Mon)
☆正式じゃないなら
疫病神ならぬ疫病仏だ、とキース君に下った評価ですけれど。
誰も擁護をしてくれなくて、マツカ君にまで見放された感じ。
キース 「マツカの話術でも、俺の擁護は無理ゲーだと…?」
マツカ 「そうだとしか思えないですからね…」
なにしろ事情が事情ですし、と御曹司、申し訳なさそうに。
マツカ 「ぼくが疫病仏ではないと言っても、恐らくは…」
シロエ 「マッハの速さでキース先輩が覆しますよ!」
本当に無駄骨というヤツですよ、とシロエ君。
シロエ 「こんなのは放っておけばいいです、マツカ先輩!」
キース 「なんでお前が仕切るんだ!」
シロエ 「ほら、またそういう態度ですから…」
ドツボにはまるのも無理はないです、とシロエ君、溜息。
シロエ 「もう諦めて、潔く疫病仏をですね…」
サム 「受け入れた方がいいと思うぜ、名前だけだしよ」
ジョミー「うんうん、確かに名前だけだよね!」
名前が全てを表してるけど…、とジョミー君。
ジョミー「だけど名前の問題だけだし、それでオッケー!」
キース 「どの辺が、それでオッケーなんだ!」
シロエ 「渾名が増えるというだけですしね」
ブルー 「そうだね、正式な名前じゃないから…」
いいんじゃないかな、と生徒会長も。
ブルー 「法名みたいに加算されたら、大変だけどさ」
シロエ 「えっと…? それはどういう意味なんですか?」
ブルー 「お坊さんの名前に文字が増えるシステムだね」
一同 「「「へ?」」」
増えるものか、と誰もがキョトン。
シロエ 「あのぅ…。増えるんですか、アレ?」
ブルー 「増えるね、修行を積んで行ったら」
まあ、限界はあるんだけれど…、と生徒会長、いえ、銀青様。
ブルー 「普通は打ち止めになるんだけれどね、例外もさ…」
サム 「あるってことかよ、偉くなったら?」
ブルー 「うん。戒名が立派になるのと理屈は同じ」
一同 「「「へえ…」」」
それじゃないならいいんでないの、と漂う空気。
疫病仏…。
2019/12/10 (Tue)
☆加算するのなら
疫病神ならぬ疫病仏だ、とキース君に下されてしまった評価。
擁護する人は誰もいないまま、それでいいやという雰囲気で。
サム 「正式に決まるわけじゃねえしよ、いいじゃねえか」
シロエ 「ですよね、キース先輩の名前に加算されなければ」
加算されたら大変ですけど…、とシロエ君が捻る首。
シロエ 「どういう感じになるんでしょうか、加算だと」
ブルー 「法名の方に増やすんだったら、急須にプラスで」
ジョミー「あー! キュースだっけね、キースの法名!」
スウェナ「そうだったわねえ、ヤカンみたいな名前なのよ」
そこに疫病仏を足すのね、とスウェナちゃん、クスクス。
スウェナ「急須疫病仏ってことになるのかしら、加算すると」
ブルー 「最後に仏の文字が来るから、そうなるね」
サム 「すっげえ偉そうな響きじゃねえかよ、急須疫病仏」
ジョミー「でもさあ、なんの御利益も無いよ?」
どっちかと言えばマイナスだよね、とジョミー君、キッパリ。
ジョミー「貧乏神の方が、まだマシだっていう気がするよ」
キース 「なんで、そこまで言われねばならん!」
シロエ 「急須疫病仏だからです」
正式に加算した場合…、とシロエ君、ピシャリと。
シロエ 「渾名で済ませてあげるんですから、諦めて下さい」
ぶるぅ 「んとんと…。急須疫病仏で決まりなの?」
これからお名前、それで書くの、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
キース 「な、名前って…。何に書く気だ!?」
ぶるぅ 「んーとね、パーティーの時の席札だとか…」
キースって書くより、そっちがいいかな、と無邪気な質問。
キース 「何故、そうなるんだ!」
ぶるぅ 「えとえと、みんなで決めてたし…」
そっちの方がいいかと思って、と素直なお子様。
ぶるぅ 「パーティーだと、ウケも狙うでしょ?」
キース 「狙わなくていい!」
ぶるぅ 「でも、盛り上がりは…」
シロエ 「大切ですよね!」
ぶるぅの言う通りですよ、とシロエ君、プッシュ。
ウケ狙い…。
2019/12/11 (Wed)
☆イイネの逆は
疫病神ならぬ疫病仏だ、と下されたキース君の評価ですけど。
渾名にするなら急須疫病仏、席札にも使えそうだという話で。
ぶるぅ 「キースの席札、急須疫病仏でいいと思うでしょ?」
シロエ 「思いますとも、先輩方も賛成ですよね?」
一同 「「「イイネ!!!」」」
キース 「俺は賛成していない!」
ついでに「イイネ」をする気も無いぞ、と副住職の仏頂面。
キース 「そんな渾名を俺が喜ぶと思うのか?」
シロエ 「喜ばなくても、そのくらい受け入れるべきですよ」
サム 「うんうん、迷惑かけまくりだしよ…」
渾名くらいは貰っとけよな、とサム君の意見。
サム 「席札がそれになったとしてもよ、法名にはよ…」
ブルー 「疫病仏とはつかないんだから、我慢したまえ」
キース 「しかしだな…!」
??? 「ぼくもイイネの逆の方かな」
どう言うのかな、とソルジャー(会話表記はAブルー)登場。
一同 「「「ひぃぃっ!!!」」」
Aブルー「なるほど、イイネの逆はヒィィ、と…」
だったらソレで、とソルジャー、ニッコリ。
Aブルー「キースの渾名の件については、ぼくはヒィィで!」
シロエ 「あ、あのですね…。何処から湧いて出たんです!」
Aブルー「もちろん、ぼくの青の間からだよ!」
覗いてみたらキースが困っていたものだから…、と涼しい顔。
Aブルー「疫病仏だなんて可哀想だよ、有能なのに!」
シロエ 「ぼくはヒィィと言いたいですが!」
イイネの逆がソレになるなら、とシロエ君、逆襲。
シロエ 「キース先輩の何処が有能だと言うんです!」
Aブルー「いい戒名をつけてくれたし、法要も最高だよ!」
お蔭で、ぼくのハーレイが漲りまくり、とソルジャーの笑顔。
Aブルー「疫病仏だなんてとんでもないよね、ヒィィだよ!」
シロエ 「イイネの逆は無いですから!」
Aブルー「それじゃ、ヒィィは?」
シロエ 「あなたへの評価です!」
疫病仏と似たようなモノです、怒鳴ってますけど。
大丈夫…?
2019/12/12 (Thu)
☆名乗りを上げた人
疫病神ならぬ疫病仏だ、と評されてしまったキース君ですが。
それは逆だとソルジャー登場、イイネの逆でヒィィだそうで。
Aブルー「えっと…? イイネの逆はヒィィじゃないと?」
シロエ 「現時点では、そういう機能が無いですからね!」
イイネの逆はまだありません、とシロエ君、力説。
シロエ 「ですからヒィィは、強いて言うなら…」
Aブルー「疫病仏みたいなもので、ぼくへの評価だ、と?」
シロエ 「分かっているじゃないですか!」
だったら退場して下さい、と指差す扉の方角。
シロエ 「瞬間移動で消えてもいいです、即、退場で!」
Aブルー「なんでそういうことになるわけ?」
ぼくはキースを庇っただけだよ、とソルジャー、ブツブツ。
Aブルー「傭兵がどうのと言っていたのも、聞こえてたし…」
一同 「「「傭兵!?」」」
Aブルー「そう、傭兵! ぼくの世界には無いヤツだけど」
なにしろSD体制だから、とソルジャー、解説モード。
Aブルー「軍人と言えば正規軍だし、他は海賊くらいでさ…」
シロエ 「傭兵が割り込む余地は無いんですね?」
Aブルー「うん、軍だって二通りあるほどだしね」
人類統合軍と国家騎士団、という説明。
Aブルー「システム自体がまるで違うから、傭兵はさ…」
シロエ 「出番が無いのは分かりましたが、まさかですね…」
キース先輩の傭兵になるつもりですか、とシロエ君の問い。
シロエ 「疫病仏だと言われているのを、覆すとか…?」
Aブルー「そうなんだよ! ぼくだからこそ出来る役目で!」
キースの凄さを熟知しているからね、と威張り返る人。
Aブルー「疫病仏だなんて、とんでもないよ!」
シロエ 「詭弁ですから!」
結託しても何も出ませんよ、とシロエ君、冷たい視線。
シロエ 「キース先輩は赤貧ですから、逆さに振っても…」
サム 「傭兵を雇う金はねえよな」
Aブルー「ボランティアだよ!」
マツカの代わりに雇われるから、と笑顔全開。
傭兵ですって…?
2019/12/13 (Fri)
☆お得な感謝期間
疫病神ならぬ疫病仏だ、とキース君に下った評価ですけれど。
擁護したいとソルジャー登場、ボランティアで傭兵だそうで。
Aブルー「ボランティアなら、キースは一銭も要らないしね」
シロエ 「そ、それで、あなたがマツカ先輩の代わりに…?」
Aブルー「うん! 普段から暇にしてるしね!」
キースが危うくなった時には援護射撃を、と立てる親指。
Aブルー「まずは疫病仏だというのを、なんとかしなくちゃ」
キース 「お、おい…! それは本当にタダなのか?」
Aブルー「もちろんだよ! 日頃から感謝しているからね」
ついでに暮れだし、感謝期間でもっとお得に、と満面の笑み。
Aブルー「もう全力で擁護するから、安心してくれたまえ!」
キース 「感謝期間というのは何だ?」
Aブルー「歳末セールみたいなものかな、よくやってるよね」
あちこちの店でお得なセール、とソルジャー、ニコニコ。
Aブルー「いつも以上に頑張らせて貰うよ、君の擁護を!」
シロエ 「あ、あのぅ…。感謝期間というのは…」
キース先輩に限定でしょうか、とシロエ君の質問。
シロエ 「それとも、全員が対象ですか?」
Aブルー「キースだけに決まっているだろう!」
お世話になってるのはキースなんだから、と返った答え。
Aブルー「それともアレかい、君たちが何かしてくれたと?」
シロエ 「法要に参加してるんですけど!」
Aブルー「その法要は、誰がやってるのかな?」
君たちに開催資格はあるかな、とソルジャー、鋭い視線。
Aブルー「そういうことなら、感謝したっていいけどさ」
シロエ 「…無いですね…」
Aブルー「ほらね、キースに限定なんだよ」
だからキースの傭兵になる、とキッパリと。
Aブルー「疫病仏だと言われてるけど、実はその逆でさ…」
シロエ 「福の神ではないと思いますが!」
Aブルー「もっと凄いよ、世界を救うんだから!」
一同 「「「へ?」」」
それはどういう意味なんだ、と誰もがポカーン。
救世主だと…?
2019/12/14 (Sat)
☆サンタが来ない家
疫病神ならぬ疫病仏だ、と評価されているキース君ですけど。
ソルジャーが傭兵を引き受けるとかで、援護射撃が始まって。
シロエ 「え、えっと…? キース先輩が世界を救うと?」
Aブルー「その通りだけど?」
本当に凄い話だよね、とソルジャー、パチンとウインク。
Aブルー「そうはいないと思うんだよねえ、そんな大物!」
シロエ 「具体的には、どういった意味になるんでしょうか」
漠然としすぎて分かりません、とシロエ君の問い。
シロエ 「いわゆる救世主とは違いますよね?」
Aブルー「救世主と言うと…。クリスマスの人かな?」
馬小屋で生まれた人のことかな、とソルジャー、顎に手を。
シロエ 「そうです、そうです! キリストですね」
スウェナ「流石にそれは無いわよねえ…。いくらなんでも」
第一、宗教が違うじゃないの、とスウェナちゃん。
スウェナ「それにキースの家には、クリスマスが無いでしょ」
シロエ 「そうでした! サンタクロースも来なかったとか」
Aブルー「へええ…。キースの家には来ないのかい?」
シャングリラにも来てくれるのにね、とソルジャー、ポカン。
Aブルー「つまり、サンタに見放されている、と…」
キース 「あんた、喧嘩を売っているのか!?」
来ないのは俺の家の仕様だ、とキース君、ブチ切れ。
キース 「なんと言ってもウチは寺だし、親父がだな…」
シロエ 「サンタクロースを断ったそうです、キッパリと」
Aブルー「断れるのかい、アレは?」
強引にやって来るのでは…、とソルジャー、不思議そうな顔。
シロエ 「強引に、って…。なんですか、それは?」
サム 「まさか、押し入ってくるのかよ?」
強盗みたいに…、とサム君、目が真ん丸に。
サム 「頼んでねえのに入って来るとか、そんな感じで」
Aブルー「うん、それに近いものがあるねえ、サンタはね」
一同 「「「ええっ!?」」」
確かに頼むものではないが…、と誰もがビックリ。
強引なサンタ…?
2019/12/15 (Sun)