☆旅行に行くのなら
さて、三月。いよいよ楽しい春休みというシャン学メンバー。
生徒会長宅で計画を、という目的で集った日曜日でして…。
ジョミー「やっぱりさあ…。旅行なんかもいいよね、春は」
サム 「だよなあ、美味いもの食って、温泉とかよ」
スウェナ「あらっ、マツカの別荘に行くのもアリじゃない?」
色々な所にあるんだものね、とスウェナちゃんの提案。
スウェナ「スキーも出来るし、その気になったら海水浴も!」
シロエ 「そうでした! 海外にも別荘、ありますもんね」
マツカ 「お好みに合わせて、手配をさせて頂きますよ」
一同 「「「やったー!」」」
海がいいかな、それともスキー、と盛り上がってますけど。
キース 「すまんが、春休みの最初は避けてくれるか?」
シロエ 「何か予定があるんですか?」
キース 「春分の日は、春のお彼岸のお中日でな…」
その日の俺は絶対、動けん、と副住職のしかめっ面。
キース 「旅行だなんて言おうものなら、親父に殺される!」
サム 「あー…。そりゃそうだよなあ、副住職だしよ」
キース 「その上、もう長いことスルーだったし…」
一同 「「「へ?」」」
スルーって何だ、と誰もがキョトン。
シロエ 「スルーって、何をスルーしたんですか?」
キース 「お中日だ」
ジョミー「殺されるって言わなかったっけ?」
キース 「皆、都合よく忘れたようだな」
全員参加のイベントだろうが、と副住職。
キース 「嫌というほど法要だったぞ、毎年、毎年!」
一同 「「「ひぃっ!」」」
忘れていた、と一同、ガクブル。
シロエ 「そ、そうでした…。春だけじゃなくて…」
マツカ 「秋のお彼岸も法要でしたね…」
誰かさんのせいで、と御曹司も。
マツカ 「そうなると、今年も危険でしょうか?」
キース 「分からんが…」
ジョミー「じゃあさ、キースだけ置いて行くのは?」
シロエ 「いいですね、それ!」
担当者がいればいいんですしね、という声が。
置き去りですか…。
2020/03/01 (Sun)
☆一人でも出来ます
日曜日に生徒会長宅で、春休みの計画中なシャン学メンバー。
旅行に行こうという話ですけど、春分の日が問題でして…。
キース 「俺だけ残して旅行に行くのか、お前たちは!?」
シロエ 「その案の、何処がダメなんです?」
凄い名案じゃありませんか、とシロエ君、ジョミー君に賛同。
シロエ 「法要なんて、キース先輩がいればいいんでしょう」
サム 「そうだと思うぜ、どうなんだよ、ブルー?」
プロの意見ってヤツを聞かせてくれよ、とサム君も。
サム 「ブルーの手伝いって理由で、毎回、抜けてるしよ」
ジョミー「うんうん、アドス和尚用の言い訳、ソレだよね」
キース 「た、確かにそうだが…!」
ブルー 「ぶっちゃけ、キースだけいれば出来るだろうね」
たかが内輪の法要くらい、と生徒会長、いえ、銀青様。
ブルー 「いくらお中日の法要と言っても、そう特別では…」
スウェナ「ないってわけね、お坊さん的には?」
ブルー 「うん。これがお寺の本堂だったら、大変だけどさ」
他のお坊さんも大勢いるし…、と解説が。
ブルー 「お坊さんたちのお世話だけでも、忙しいよね」
シロエ 「え、えっと…? お手伝いの人のお世話ですか?」
バイトの人を世話するようなものでは、という質問。
シロエ 「自分でやれって感じですけど、違うんですか?」
ブルー 「食事はお弁当でもいいけど、法要の進行とかがね」
マツカ 「ああ…。上司としての仕切りになるんですね」
ブルー 「そう! 座る場所から、退場する時の順番までね」
お坊さんが多いほど多忙になるよ、と銀青様。
ブルー 「だけどキースは、そういう心配、無いんだし…」
シロエ 「一人で出来るもん、ですか?」
前にツイッターで流行りましたね、とシロエ君の笑顔。
シロエ 「お坊さんたちが一斉に、ハッシュタグをつけて」
サム 「あったよなあ!」
キース 「まるで違うんだが!」
あれと一緒にしないでくれ、と叫んでますけど。
ハッシュタグ…?
2020/03/02 (Mon)
☆一人でも出来る筈
生徒会長宅で春休みの計画なシャン学メンバー、問題は法要。
春のお彼岸があるわけでして、キース君だけを残す方向へと。
キース 「一人で出来るもん、というのは車の運転だぞ!」
シロエ 「ああ、そうだったかもしれませんねえ…」
キース 「ついでに言うと、法衣で出来るもん、だった!」
ハッシュタグは正確に言わんとダメだ、と副住職の渋面。
キース 「でないと検索に引っ掛からんぞ、それではいかん」
シロエ 「細かいことはどうでもいいんですよ」
サム 「うんうん、一人でも法衣でも変わらねえよな」
要は坊主に出来るかどうか、とサム君の指摘。
サム 「法衣で運転出来るのか、ってのが問題だったしよ」
ジョミー「だよねえ、だから法衣でバク転とかをさ…」
スウェナ「してたわけよね、お坊さんたちが」
それで解決したじゃないの、とスウェナちゃん。
スウェナ「反則切符を切った警察、謝ったものね」
キース 「それはそうだが、法要はだな…!」
シロエ 「さっき会長が、一人で出来ると言いました!」
一人でやればいいでしょう、とシロエ君が突き付ける指。
シロエ 「そもそも、法要は誰のせいなんです!」
サム 「キースが余計な戒名をつけたせいだよなあ…」
ジョミー「しかも半端なく立派らしいよね、アレ」
ブルー 「クジラの戒名のパクリだからねえ…」
その場のノリでつけるからだ、と生徒会長、冷たい視線。
ブルー 「頭を捻れば、最悪なのをつけられたのに」
一同 「「「へ?」」」
ブルー 「今の時代じゃ、もう絶対に無理なヤツ!」
昔のも変更しなきゃダメだし、と言ってますけど。
シロエ 「えっと…? それは戒名なんですか?」
ブルー 「うん。ずっと昔は、それでオッケーだったのに…」
ジョミー「今だと、何か問題あるわけ?」
ブルー 「つけようものなら、もう確実にフルボッコだよ」
一同 「「「フルボッコ?」」」
いったいどんな戒名なんだ、と誰もが傾げる首。
フルボッコって…?
2020/03/03 (Tue)
☆戒名と最高裁
春休みの計画中なシャン学メンバー、旅行に行くという話が。
けれどお彼岸の法要が問題、キース君だけ残留な方向でして。
シロエ 「つけたらフルボッコな戒名…ですか?」
ブルー 「それはもう! 家族だけじゃなくて、他所からも」
サム 「親戚かよ?」
ブルー 「そういうレベルじゃ済まないだろうねえ…」
多分、内輪じゃ終わらないね、と生徒会長、いえ、銀青様。
ブルー 「運が悪けりゃ、最高裁まで行っちゃうかもね」
一同 「「「最高裁?」」」
ブルー 「和解できなきゃ、そうなるかと…」
シロエ 「ということは、最高裁は最高裁判所ですね?」
ぼくの聞き間違いではなくて…、とシロエ君の問い。
シロエ 「何故、フルボッコで最高裁になるんです?」
スウェナ「お寺を相手に裁判なくらい、酷いのかしら?」
その戒名は、とスウェナちゃんも。
スウェナ「戒名って、文字が多いほどいいんでしょう?」
ブルー 「基本はそうだね」
スウェナ「だったら、一文字だけとかなの?」
フルボッコなら、という質問ですけど。
ブルー 「文字数で言えば、少なくはないね」
サム 「へえ…? それなのに裁判沙汰なのかよ?」
ブルー 「なにしろ、犬畜生だから…」
一同 「「「へ?」」」
犬用なのか、と誰もがポカーン。
シロエ 「あのですね…。ペットの葬儀は人気ですけど…」
ジョミー「戒名をつけて貰っておいてさ、裁判ってさ…」
マツカ 「酷い気がしますね、やりすぎですよ」
有難く頂いておけばいいのに、と御曹司も。
マツカ 「断られたんなら、まだ分かりますけどね」
サム 「だよなあ、貰って文句ってのはよ…」
お寺を馬鹿にしてるじゃねえかよ、と僧籍な人。
サム 「第一、犬は戒名、読めねえんだし…」
ブルー 「その辺もあってさ、昔はバレなかったんだろうね」
シロエ 「バレなかったって、何がですか?」
ブルー 「犬畜生だよ」
バレなきゃ問題ないんだし、と言われましても。
犬にですか…?
2020/03/04 (Wed)
☆忠犬でも無理です
春休みの計画を練るシャン学メンバー、旅行に行くという話。
ところが逃れられないお彼岸、キース君だけ残留を検討中で。
シロエ 「バレなきゃいいって、どうせ相手は犬ですよ?」
ジョミー「バレるも何も、犬は文句を言わないよ?」
吠えないと思う、とジョミー君も怪訝そうな顔。
ジョミー「それにさ、今の時代につけても、飼い主だって…」
スウェナ「犬用なんだし、文句を言うのは筋違いだわよ」
サム 「うんうん、犬は犬なんだしよ…」
そこの所は変えられねえぜ、と僧籍な人。
サム 「それともアレかよ、クジラ並みにしろってか?」
シロエ 「並みの忠犬では無理ですよ、それ」
ジョミー「人命救助くらいはしないと、無理だと思う…」
だから犬には犬並みだよね、とジョミー君の指摘。
ジョミー「なのに飼い主が文句をつけるの、なんて言うか…」
シロエ 「いわゆるモンペと変わりませんよね、今、問題の」
モンスターペアレントってヤツですよ、とシロエ君の溜息。
シロエ 「どう転がっても、犬は犬でしかありませんから」
ブルー 「まあねえ…。犬用だったら、そうなるだろうね」
一同 「「「へ?」」」
犬用の戒名の話だろうが、と誰もが一斉に傾げる首。
シロエ 「犬の戒名の話でしょう?」
ブルー 「それが違うんだな、犬畜生は」
一同 「「「え…?」」」
だったら誰の戒名なんだ、と顔を見合わせる御一同様。
シロエ 「まさか、最高裁っていうのは、ソレですか?」
ブルー 「そうだけど?」
シロエ 「人間用の戒名だったりしますか、ソレは?」
ブルー 「ピンポーン!」
つけた時代があったんだよね、と言われましても。
サム 「マジかよ、人間様の戒名が犬と同じなのかよ?」
スウェナ「あんまりだわよ、人権問題というヤツじゃない!」
ブルー 「だから言ったよ、今の時代なら最高裁だ、って」
シロエ 「確かに最悪な戒名ですね…」
どうしてそんな戒名を、とシロエ君の疑問。
酷すぎますよね?
2020/03/05 (Thu)
☆最悪でもオッケー
春休みの計画中なシャン学メンバー、旅行を希望ですけれど。
逃れられない春のお彼岸、キース君だけ残留しろという話で。
シロエ 「その戒名はあんまりですよ、何故、つけたんです」
ブルー 「戒名をくれと言われたからだよ、ただそれだけ」
スウェナ「だけど、相手は人間なのよ!?」
ブルー 「貰った当時は、喜ばれた戒名なんだけどねえ…」
でなきゃ墓石に彫らないからね、と銀青様の正論が。
ブルー 「これは嫌だ、と思った場合はスルーするだろ?」
シロエ 「それは確かに…。でもですね…」
そんなの貰って嬉しいですか、とシロエ君の反論。
シロエ 「普通は嫌だと思うんですけど、犬用だなんて」
ブルー 「なんて書いてあるか、分からなかったら?」
一同 「「「あー…」」」
そこか、と誰もが納得な理由。
スウェナ「どうせ読めないから、つけちゃったわけね?」
ジョミー「読めなきゃ、有難いかもね…」
ブルー 「そうなんだよねえ、立派な戒名を貰った、と」
だから御自慢で、墓石にも彫ってたんだけど…、と銀青様。
ブルー 「読み書きを覚えた子孫がビックリ、そこが問題」
一同 「「「うわー…」」」
お寺に文句を言うわけだ、と一同、ガクブル。
シロエ 「それでつけ直しで、今やれば、裁判なんですね?」
ブルー 「そういうこと! でも、例のアレは…」
法廷に持ち込めないからねえ、と銀青様、いえ、生徒会長。
ブルー 「最悪なのをつけてもオッケーだったわけでさ…」
サム 「だよなあ、どうせ値打ちは分かってねえし…」
シロエ 「犬畜生でも、通った可能性はありますね…」
ブルー 「可能性と言うより、通った筈だね」
なにしろ戒名の知識がゼロ、と生徒会長、冷たい笑み。
ブルー 「犬の所を茸に変えれば、きっと問題無かったかと」
ジョミー「でも、畜生はさ、悪態で普通に使う気が…」
ブルー 「どうかな、キノコなんだしね」
属性を示すお約束だと説明したら…、とニヤリ。
通るかもですね?
2020/03/06 (Fri)
☆属性だそうです
春休みは旅行に行きたいシャン学メンバー、けれど入る邪魔。
いわゆるお彼岸の法要でして、キース君だけ残留する案が。
シロエ 「なるほど、畜生は属性なんだ、と説明ですか」
ブルー 「うん。人間じゃないのは確かだからさ…」
サム 「分かりやすいように入れるんだ、と言うわけな?」
ブルー 「そういう決まりになっている、とキッパリとね」
嫌なら戒名の話は無しで…、と生徒会長、いえ、銀青様。
ブルー 「無しになるよりは、茸畜生の方がいいだろう?」
スウェナ「そうねえ、戒名が無いと法要は無理だし…」
ブルー 「法要どころか、毎日の供養も出来ないよ」
無縁仏な扱いでしか、とプロならではの生徒会長の知識。
ブルー 「そう言われたら、いくら茸畜生でもさ…」
シロエ 「つけて貰うしかないですね、ソレ…」
サム 「後でバレても、どうしようもねえよな、ヤツには」
ブルー 「裁判所には行けないしねえ…」
キースがうんと言わない限りは、茸畜生だよ、と断言が。
ブルー 「でもってキースは、取り上げるぞ、の一点張り!」
シロエ 「いいですねえ! 既に手遅れですけれど…」
サム 「つけちまったしなあ、立派なのをよ…」
やっぱりキースは疫病仏だぜ、とサム君、深い溜息。
サム 「おい、キース。なんでクジラのをパクったんだよ」
キース 「あれは、その場のノリでだな…!」
シロエ 「同じノリなら、犬用をパクれば良かったんです!」
茸畜生なら、今頃はもっと平和でした、とシロエ君の怒り。
シロエ 「あの人だって、法要にこだわりません!」
サム 「だよなあ、モノが茸畜生だしよ…」
威張れるポイント、何もねえしな、と僧籍な人。
サム 「どんな感じになってたのかは、知らねえけどよ」
ブルー 「そうだねえ…。畜生院亀茸居士ってトコかな」
シロエ 「キジョウコジ…ですか?」
ブルー 「茸の字はジョウと読むんだよ」
院と居士とは大サービス、と言ってますけど。
サービスって?
2020/03/07 (Sat)
☆変えるのは無理
春休みの計画中なシャン学メンバー、旅行を希望ですけれど。
お彼岸が邪魔をしてくるわけで、キース君だけ残留という話。
シロエ 「院と居士は大サービスって、どういう意味です?」
ブルー 「どっちも上等な戒名向けだよ、院も居士もね」
院殿号と大居士には及ばないんだけどさ、と銀青様の解説。
ブルー 「だけど茸畜生とつけるからには、サービスだよ」
サム 「そのせいで格が上がらねえのかよ?」
ブルー 「上がるも何も、茸畜生だから…」
ド底辺なのは間違いないね、と生徒会長、ニンマリと。
ブルー 「誰かさんが威張ったところで、どうにもこうにも」
ジョミー「つけ直せ、って言われそうだけど?」
ブルー 「残念なことに、そう簡単にはいかないんだな」
戒名を変えるというヤツは…、と生徒会長が立てる親指。
ブルー 「つけたお寺に頼んでダメなら、他所でもダメだよ」
スウェナ「じゃあ、裁判しか無いのかしら?」
ブルー 「宗派を変えれば、場合によってはオッケーだね」
宗派によって流儀もあるし、という説明。
ブルー 「それに相応しく変えて下さい、と頼めばいけるよ」
シロエ 「なるほど…。キース先輩との縁を切るんですね」
ブルー 「そういうことだね、茸畜生を変えたかったら」
とはいえ、何処のお寺でも無理、と生徒会長、クスクスと。
ブルー 「ペットならともかく、キノコではねえ…」
サム 「門前払いになりそうだぜ」
シロエ 「寄付をしたって難しいでしょうか?」
ブルー 「お寺にも誇りがあるからねえ…」
買収できるような所は格が落ちるよ、と銀青様。
ブルー 「当然、全てがお金次第で」
シロエ 「有難くない感じですねえ…」
誰かさんでも嫌がりそうです、とシロエ君、苦笑。
シロエ 「すると、キース先輩が茸畜生をかましていたら…」
ブルー 「それで固定になっていたねえ、間違いなく」
サム 「やっぱ、戦犯はキースかよ…」
疫病仏だぜ、と天井を仰ぐサム君。
その通りですね?
2020/03/08 (Sun)
☆習わない可能性
春休みは旅行を希望なシャン学メンバー、けれど問題が一つ。
お彼岸の法要があるわけでして、キース君だけ残留な話が。
サム 「キースが疫病仏ってことはよ、春の旅行はよ…」
シロエ 「残留でいいと思いますねえ、キース先輩だけ」
法要は一人でも出来るそうですし、とシロエ君。
シロエ 「この際、やって頂きましょう! 戦犯ですから」
ジョミー「だよねえ、最悪な戒名をつけなかったんだし…」
スウェナ「立派過ぎるのをパクったんだものね」
犬畜生をパクれば良かったのに、とスウェナちゃんも。
スウェナ「知識が無かったとは言わせないわよ!」
シロエ 「なんと言ってもプロですからねえ、お坊さんの」
マツカ 「待って下さい、習わないという可能性は?」
ブルー 「それを言うなら、クジラの戒名も習わないよ」
せいぜい講義中の雑談程度、と生徒会長、いえ、銀青様。
ブルー 「必須じゃないねえ、その辺りはね」
マツカ 「それなら、キースは知らなかったかもしれません」
サム 「疫病仏を庇うのかよ?」
マツカ 「そうじゃないですけど、知らなかったのなら…」
罪が軽くなると思いますから、と御曹司の弁。
マツカ 「旅行は残留するにしたって、お土産くらいは」
サム 「あー…。土産は買ってもいいかもなあ…」
シロエ 「ですねえ、安いので充分ですけど」
で、どうなんです、とシロエ君、副住職をギロリと。
シロエ 「犬畜生な戒名、知っていたんですか?」
キース 「そ、それはまあ…」
シロエ 「知っていたんですね?」
もう重罪で確定ですね、とシロエ君が吊り上げる眉。
シロエ 「どうして茸畜生にしなかったんです!」
キース 「だから、その場のノリでだな…!」
引き摺るとは思わなかったんだ、と必死の言い訳。
キース 「こうなることが分かっていたら、俺だって…!」
サム 「犬畜生をパクったのかよ?」
キース 「当然だ!」
たとえブルーに聞いてでも、と言ってますけど。
何を尋ねると?
2020/03/09 (Mon)
☆分からない読み方
春休みは旅行をしたいシャン学メンバー、なのに難問が一つ。
お彼岸の法要が来るわけでして、キース君だけ残留という案。
シロエ 「えっと…。犬畜生をパクったかも、なんですね?」
キース 「そうだ、こうなることが分かっていたならな!」
サム 「一応、知識はあったんだよなあ?」
だったら、普通にパクれるじゃねえか、とサム君が傾げる首。
サム 「なんでブルーに聞くんだよ?」
シロエ 「確かに…。勝手につければいいでしょう?」
キース 「いや、思い付いた場合、戒名の文字が問題で…」
一同 「「「へ?」」」」
何か難しかったっけ、と誰もがキョトン。
ジョミー「あのさあ…。犬畜生をパクるだけだよ?」
シロエ 「ですよね、犬を茸に変えるだけなんですし…」
キース 「その茸の字を、なんと読むのか知らなかったしな」
シロエ 「茸と言ったら、タケでしょう?」
松茸の茸でシイタケのタケ、とシロエ君。
シロエ 「さっきから何度も、茸畜生と言ってますけど?」
キース 「だったら聞くが、ブルーが捻った戒名は何だ?」
シロエ 「畜生院亀茸大居士です」
キース 「それだ、読みはキジョウで、カメタケではない!」
戒名はあくまで音読みなんだ、と副住職が顰める顔。
キース 「茸の字をジョウと読むなど、俺は知らなかったぞ」
シロエ 「あー…。まさか、そのせいでスルーしましたか?」
犬畜生をパクる件を、とシロエ君の質問ですけれど。
キース 「そうだと言えたら、どんなに楽か…」
サム 「思い付きさえしなかったのな…」
やっぱり戦犯なんじゃねえかよ、とサム君が仰ぐ天井。
サム 「お前、一人で留守番しろよな、春のお彼岸」
ジョミー「それしかないよね」
同情の余地が全く無いし、とジョミー君も。
ジョミー「お土産だって要らないよ」
スウェナ「そうねえ、買うなら、いやげものだわね」
一同 「「「さんせーい!」」」
それで決まりだ、と歓声と共に突き上げる拳。
残留決定…。
2020/03/10 (Tue)
☆旅行に行く場合は
春休みは旅行に行きたいシャン学メンバー、やっと解決策が。
お彼岸の法要はキース君だけが残留、一人で法要をする方向。
キース 「真面目に俺だけ残留なのか!?」
シロエ 「会長だって、一人で出来ると言いましたしね」
法要は一人でやって下さい、とシロエ君の突き放し。
シロエ 「いやげものくらいは買って来ますよ」
サム 「うんうん、何もねえよりマシだろ?」
いやげものでも貰えるだけマシ、とサム君、キッパリ。
サム 「そうと決まれば、何処に行くかが問題だぜ」
ジョミー「美味しいものがあって、あとはスキーとか?」
シロエ 「海水浴もいいですよねえ、南の島で」
スウェナ「バカンスよね!」
疫病仏は放置で楽しみましょ、とスウェナちゃん。
スウェナ「マツカ、オススメの場所は何処かしら?」
マツカ 「そうですねえ…。何処でも御用意出来ますけど…」
本当にキースは残留ですか、と御曹司の問い。
マツカ 「法要が終わった頃に迎えを出しますけれど?」
シロエ 「甘すぎです!」
この際、猛省して貰わないと…、とシロエ君の反論。
シロエ 「救済策なんか要らないんですよ、まるで全く!」
ジョミー「いやげものだけ、あればいいよね」
サム 「そうだぜ、戦犯なんだしよ」
それより旅行を決めちまおうぜ、とサム君が立てる親指。
サム 「やっとお彼岸から逃げられるしよ」
??? 「待ってよ、勝手に決めないでよ!」
ぼくの意見は、とソルジャー(会話表記はAブルー)登場。
一同 「「「げっ!!!」」」
Aブルー「えっと…? 春のお彼岸の話だよねえ?」
今年も素敵な法要をよろしく、とソルジャー、ニコニコ。
Aブルー「春と言ったら恋の季節で、パワーもドッサリ!」
シロエ 「誰も呼んではいないんですけど!」
Aブルー「そうだったかなあ、キノコの話をしていたよ?」
一同 「「「キノコ…」」」
ヤバイ、と誰もが顔面蒼白。
茸畜生の話、いいように解釈されたかも…?
2020/03/11 (Wed)
☆もう一つ貰える件
春休みはキース君だけ残留させて、他は旅行に決定ですけど。
其処へ登場したのがソルジャー、法要に期待しているようで。
Aブルー「ほらね、していただろう、キノコの話を!」
シロエ 「え、えっとですね…、あれは…」
ブルー 「ぶっちゃけ、茸畜生なんだけれどね?」
ちゃんと話を聞いてたのかな、と生徒会長、冷静な指摘。
Aブルー「もちろんだよ! スペシャルな企画なんだろう?」
一同 「「「へ?」」」
Aブルー「もう一つ戒名をくれるんだよねえ、素敵なのを!」
しかも大サービスなヤツを、とソルジャー、笑顔全開。
Aブルー「院と大居士が貰えるんだって?」
ブルー 「そう言ったけど…?」
Aブルー「素晴らしいよね、今度は銀青様からなんだよ!」
伝説の高僧がつけてくれるなんて、と赤い瞳がキラキラキラ。
Aブルー「なにしろキースとは格が違うし、最高だってば!」
ブルー 「茸畜生だと言ってるだろう!」
Aブルー「それ、それ! 有難いヤツを、もう一度お願い!」
改めて聞いておきたいからね、とソルジャー、ズズイと。
Aブルー「そうだ、どうせなら書いてくれるかな?」
ブルー 「書くって…?」
Aブルー「メモ用紙でいいから、その戒名を!」
有難さを噛み締められるからね、とソルジャーの注文。
Aブルー「ぶるぅ、何か書くもの、貰えるかな?」
ぶるぅ 「オッケー!」
はい、どうぞ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」が差し出すメモ帳。
ぶるぅ 「これでいいかな、それとも、もっと上等な紙?」
Aブルー「あるんだったら、上等なのが欲しいかな」
ブルー 「チラシの裏で充分だから!」
メモ帳でも上等すぎるくらいだ、と生徒会長が吊り上げる眉。
ブルー 「茸畜生には、チラシの裏だってもったいないよ!」
Aブルー「分かるよ、有難いことをそう言うよね!」
一同 「「「え?」」」
Aブルー「もったいない、って!」
もったいないお言葉とかって言い回し、と一人で頷く人。
そうなるんですか?
2020/03/12 (Thu)
☆もったいない話
春休みはキース君だけ法要で残留、他は旅行と決定ですけど。
其処へソルジャーがやって来まして、話はとんでもない方へ。
Aブルー「実にもったいない話だもんねえ、その戒名は!」
シロエ 「どの辺が、どう有難いんです?」
サム 「おい、馬鹿野郎は放置しとけよ」
シロエ 「そうはいきませんよ、話をキッチリさせないと!」
有難いだなんて言ってますから、とシロエ君。
シロエ 「このままだとリスクが高まりそうですからね」
Aブルー「リスクって…? ああ、お彼岸の法要だね!」
君たちは嫌っているからねえ、とソルジャー、ニッコリ。
Aブルー「だけどブルーは乗り気じゃないか、戒名も来たし」
シロエ 「ですから、会長がつけたヤツはですね…」
Aブルー「伝説の高僧から貰えた上に、タダなんだよ?」
まさか今から請求ってこともないだろう、と立てる親指。
Aブルー「これがもったいない話でなければ、何なんだい?」
一同 「「「うっ…」」」
本格的に勘違いだ、と誰もが真っ青。
Aブルー「というわけでね、メモに書いてよ!」
ブルー 「本気なのかい?」
Aブルー「うん、ぼくのハーレイにも見せたいからね!」
スッポンタケとは養子縁組してるんだし、と嫌すぎる話が。
Aブルー「息子に素晴らしい戒名がつけば、喜ぶよ!」
ブルー 「何度も言うけど、茸畜生でさ!」
Aブルー「分かってるってば、属性がハッキリするんだよね」
畜生とつけば、と嬉しそうなソルジャー。
Aブルー「今まで以上に、うんと御利益ありそうだよ!」
ブルー 「そうなるわけ?」
Aブルー「属性は大事だと思うんだよね!」
五行だったか何だったか…、とソルジャー、首を捻りまして。
Aブルー「木火土金水とか言うよね、風水とかでさ!」
ブルー 「それはそうだけど、それでパワーが上がるって?」
Aブルー「特化した御利益が貰えそうだし!」
一同 「「「うーん…」」」
そうなるのか、と頭を抱える御一同様。
アレが有難いと…?
2020/03/13 (Fri)
☆解脱するそうです
春休みはキース君だけ法要で残留、他の面子は旅行ですけど。
そう決めた所へ来たのがソルジャー、話はとんでもない方へ。
Aブルー「キノコなんです、と主張できるしね!」
ブルー 「それに相応しい扱いになると思うけれどね?」
Aブルー「どういう意味だい?」
ブルー 「急いで解脱させないと、という方向かな」
なにしろ畜生なんだから…、と生徒会長、いえ、銀青様。
Aブルー「解脱って?」
ブルー 「輪廻転生と言うんだけれどね、こう、六道をさ…」
Aブルー「六道?」
ブルー 「六つの世界をウロウロするのが、輪廻ってヤツで」
生まれ変わって、いろんなコース、と説法ならぬ解説が。
ブルー 「解脱というのは六道を抜けて、極楽に行くこと!」
Aブルー「ふうん? 畜生の場合は急ぎになるわけ?」
ブルー 「人間以上に苦労をしているだろうしね」
早めに救ってあげなくちゃ、と銀青様が説く仏様の務め。
ブルー 「というわけでさ、パワーよりも極楽往生かと」
Aブルー「でもさあ、極楽に行くんだろう?」
ブルー 「そうだけど?」
Aブルー「じゃあ、行った先で凄いパワーをゲットだよ!」
しかも早めに貰えそうだ、と赤い瞳がキラキラと。
Aブルー「もう最高だよ、その戒名! ありがとう!」
ブルー 「……そこまで言うなら、選びたまえ」
Aブルー「選ぶって?」
ブルー 「戒名はダブルで持てないからね」
キースのか、ぼくのか、どっちか一つ、とキッパリと。
ブルー 「そこの所をハッキリさせてよ、どっちにすると?」
Aブルー「えーっと…? 君のを選んだ場合は?」
ブルー 「院殿号が外れちゃうから…」
立派な戒名とは言えなくなるね、と銀青様の厳しい指摘。
ブルー 「ついでに、ぼくはキースほど甘くはないよ」
Aブルー「まさか、法要はしてくれないとか?」
ブルー 「当たり前だよ、お盆の棚経もお断りだね」
Aブルー「えーーーっ!?」
それは酷い、と叫んでますけど。
まあ、当然な話ですよね…?
2020/03/14 (Sat)
☆二つに一つです
春休みはキース君を残して旅行にお出掛け、そう決めたのに。
其処へ乱入して来たソルジャー、法要をやる気満々でして…。
Aブルー「せっかく戒名をつけてくれたのに、選べって?」
ブルー 「二つは持てない決まりだからねえ…」
院殿号を捨てるか、ぼくのを捨てるか、と銀青様が迫る二択。
ブルー 「どっちにするかは、君次第だよ」
Aブルー「君が法要をしないってことは、お彼岸は?」
ブルー 「キースに頼むか、法要は無しになるかだね」
キースに義務は無いんだけどさ、と生徒会長、いえ、銀青様。
ブルー 「自分でつけた戒名だったら、やるしかないけど」
シロエ 「あー…。キース先輩、フリーになるんですね?」
ブルー 「そういうことだよ、みんなと旅行に行けるわけ」
一同 「「「イイネ!!!」」」
でもって、お盆の棚経も無くなる、と誰もが歓声。
サム 「やったぜ、お盆はアドス和尚のお供だけだぜ!」
ジョミー「ぼくも、キースの手伝いだけだね」
スウェナ「私とシロエは自由なのね!」
いいじゃないの、とスウェナちゃんも大喜び。
スウェナ「それにキースも、疫病仏を返上だわよ」
シロエ 「そうなりますねえ、諸悪の根源はアレでしたから」
キース 「助かった…! 一生モノだと諦めていたぞ」
是非ともブルーのヤツを選んでくれ、と副住職、プッシュ。
キース 「いいか、有難さが段違いだからな、あっちの方は」
Aブルー「そうらしいけど…。でも…」
キース 「何の問題があるというんだ、いい話じゃないか」
Aブルー「法要が無いっていうのはねえ…」
やる気を無くされそうで困る、とソルジャー、フウと溜息。
Aブルー「いくら有難くてパワーがあっても、やっぱりさ…」
キース 「法要は節目にやっているだけで、燃料ではないぞ」
Aブルー「そうかな、だったらサボれると思うけど?」
キース 「は?」
Aブルー「お中日の法要だよ!」
アドス和尚がうるさいんだろう、とツッコミが。
そうでしたっけね…。
2020/03/15 (Sun)