☆もうすぐ夏休み
さて、七月。なんとか梅雨も明け、待っているものは夏休み。
休日に生徒会長宅に集った面々、期待は大きいですけれど…。
ジョミー「やっぱり今年も、マツカの別荘行きだよね!」
サム 「外せねえよな、山も海もよ」
マツカ 「もちろん手配してありますから、いらして下さい」
シロエ 「ありがとうございます、マツカ先輩!」
お世話になります、とシロエ君、頭をペコリ。
シロエ 「ホントに頼りになりますよねえ、マツカ先輩は」
スウェナ「そうよね、シロエはキースの方が長い御縁だけど」
シロエ 「それは言わない約束ですよ」
あっちは疫病仏ですからね、と酷い台詞が。
シロエ 「今となっては腐れ縁ですよ、ぼくにしてみれば」
キース 「貴様、俺を何だと思ってるんだ!」
シロエ 「言った通りに、疫病仏です」
それに比べると、マツカ先輩は素晴らしすぎて、と大絶賛。
シロエ 「別荘とか御馳走がタダなんですよ、毎回、毎回」
サム 「だよなあ、でもって控えめだしよ…」
ジョミー「誰かさんとは大違いだよね」
キース 「アレは常識外れだろうが!」
比べるモノが間違ってるぞ、と副住職の反論。
キース 「もっとマシなのと比べるべきだ!」
ジョミー「えっと…? アレって、誰の話なわけ?」
キース 「あの馬鹿野郎に決まっている!」
あまり名前は出したくないが…、と副住職の眉間に皺が。
キース 「また出て来ると迷惑だからな」
ジョミー「なんだ、あっちの方だったんだ…」
キース 「はあ?」
ジョミー「ぼくが言ったの、キースのことだよ」
疫病仏とマツカを比較しただけ、とジョミー君、サラッと。
ジョミー「まあ、アレだって疫病仏だけどね、セットもので」
シロエ 「キース先輩とセットですよね、如来と菩薩で」
サム 「マツカだったら、地獄に仏って感じなのによ…」
スウェナ「キースの場合は、色々、終わっているのよねえ…」
いつだってロクなことが無いわ、と容赦ない声が。
間違ってませんねえ…?
2020/07/01 (Wed)
☆終わっている人
夏休みを控えたシャン学メンバー、生徒会長宅に集った休日。
海へ山へと期待はドッサリ、マツカ君には皆が感謝ですけど。
キース 「俺が、色々、終わっているだと!?」
ジョミー「終わってるよね、いろんな面でさ」
キース 「どういう意味だ!」
サム 「自分で分からねえのかよ?」
末期だよな、とサム君、お手上げのポーズ。
サム 「あの馬鹿野郎も大概だけどよ、キースだってよ…」
シロエ 「何かと言えば呼び込みますよね、あの誰かさんを」
先月も危うい所でしたよ、とシロエ君、指をチッチッと。
シロエ 「一つ間違えていたら、月参りが確定でしたしね」
スウェナ「そうなのよねえ、話が流れなかったら、月参りよ」
ジョミー「毎月、毎月、嫌でも付き合わされてたよね…」
サム 「あれは真面目にヤバかったぜ、うん」
あれもキースが招いた危機じゃねえか、とサム君も。
サム 「月参りの時に雨は困るとか、そんな話からよ…」
シロエ 「実に見事な召喚でしたね、あの人を」
キース 「俺のせいだと言いたいのか!?」
シロエ 「……違うんですか?」
月参りはキース先輩の専売特許ですよ、とシロエ君。
シロエ 「他に資格を持っている人は、いませんけどね?」
キース 「それが言いがかりだと言っているんだ!」
有資格者なら他にもいるぞ、と副住職の反撃。
キース 「俺の専売特許ではない!」
ブルー 「……ぼくのことかな?」
キース 「あんたの他に、誰がいるんだ!」
住職の資格を持っているヤツ、と副住職、ピシャリと。
キース 「つまり、あんたも、月参りはだな…」
ブルー 「出来るけどねえ、この場合はねえ…」
あくまで二番手になるんだよね、と生徒会長、いえ、銀青様。
ブルー 「なにしろ、肝心の仏様がさ、管轄違いで」
シロエ 「キース先輩が戒名をつけたからですよね?」
ブルー 「そういうことだね、あくまでキースが優先だよ」
月参りに行く坊主としては…、という説明。
正論ですねえ…。
2020/07/02 (Thu)
☆お仏壇が増えると
もうすぐ夏休みに入る休日、生徒会長宅に集う面々ですけど。
海へ山へと高まる期待、マツカ君には感謝で、副住職には…。
シロエ 「会長が二番手になるんですから、この前の件は…」
ブルー 「当然、キースが悪いわけだね、どう考えても」
月参りが決まらなくて良かった、と生徒会長までが言う始末。
ブルー 「キースが一人で対応したって、場所は要るから」
ぶるぅ 「んとんと…。お仏壇を置く部屋だよね?」
ブルー 「毎回、仮置きっていうのもねえ…」
銀青の名が泣くだろうし、と生徒会長、深い溜息。
ブルー 「そうなってくると、あの迷惑な仏様にさ…」
ジョミー「一部屋、提供しなくちゃダメ、って?」
ブルー 「お仏壇を置くだけにしても、やっぱりねえ…」
その部屋は抹香臭い感じに、とブツブツブツ。
ブルー 「家具調仏壇でも、お仏壇には違いないから」
サム 「あー…。ブルーが面倒見るわけだしよ…」
ブルー 「そう。花を供えて、毎日、蝋燭とお線香と…」
ぶるぅ 「お茶とご飯もお供えだよね」
お仏壇には要るんだもん、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」も。
シロエ 「あれっ、ご飯が要るんですか?」
スウェナ「月参りの時は要らないって聞いたわよ?」
ブルー 「それはお膳だよ、ご飯は別物」
ぶるぅ 「ご飯を炊いたら、仏様にもお供えなの!」
お菓子とかをお供えするのと一緒、と流石なお子様。
ぶるぅ 「だからね、お仏壇が増えたら…」
ブルー 「お世話係が要るってことだよ、例のアレのさ」
一同 「「「うわー…」」」
大惨事になる所だった、と一同、ガクブル。
シロエ 「良かったですねえ、ポシャってくれて」
ブルー 「心の底からそう思うよ」
その災いを呼んだのは誰だっけ、と話が最初へ。
ブルー 「まったくホントに、キースときたら…」
シロエ 「どうしようもなく厄介ですよね、例の人並みに」
キース 「あの馬鹿並みだと!?」
俺はそこまで酷くない、と言われましても。
日頃の行いが…。
2020/07/03 (Fri)
☆やらかし続ける人
夏休みを目前に控えた休日、生徒会長宅で過ごしている面々。
マツカ君の別荘行きが楽しみな反面、迷惑なのが副住職で…。
キース 「どう転がったら、俺があの馬鹿並みに厄介だと!」
シロエ 「違うだなんて言わせませんよ、現にさっきも…」
ジョミー「月参りで危機一髪だった、って分かったトコだよ」
お仏壇が増えるトコだったんだし、とジョミー君の鋭い指摘。
ジョミー「増えていたら、月参りがあるだけじゃなくてさ…」
スウェナ「お世話係が必要だったのよ、あの迷惑な仏様の」
キース 「そ、それは…」
シロエ 「ぶるぅがやってくれるから、じゃダメですからね」
会長にまで御迷惑が…、とシロエ君も厳しい顔付き。
シロエ 「会長は伝説の高僧ですから、お仏壇があったら…」
ブルー 「嫌でもお参りすることになるね、毎日、朝晩」
君のお勤めほどじゃないけど、と生徒会長、副住職をギロリ。
ブルー 「ぼくの仕事を増やそうだなんて、迷惑なんだよ」
キース 「そんなつもりは無かったんだが…!」
ブルー 「あっても無くても、危なかったのは本当だってば」
その状況は誰が招いたのかな、と赤い瞳に怖い光が。
ブルー 「ブルーも大概、厄介だけどね、君の場合はさ…」
シロエ 「無自覚にやらかしてくれる辺りが、酷いんですよ」
キース 「なんだって?」
ブルー 「天然だって言ってるんだよ、そういうキャラだと」
ブルーとは違う意味で厄介、と生徒会長が仰ぐ天井。
ブルー 「本人に自覚があるんだったら、まだしもねえ…」
シロエ 「直す方法もあるでしょうけど、無自覚ですから…」
やらかし続けるだけなんですよね、とシロエ君の嘆き節。
シロエ 「でもって、ぼくたちを巻き込み続けるわけですよ」
ブルー 「そういう人間がいたらしいよね、百年ほど前に」
一同 「「「へ?」」」
ブルー 「巻き込んでたのは、病気だけど」
一同 「「「病気?」」」
何の話だ、と首を傾げる御一同様。
病気に巻き込む、って…?
2020/07/04 (Sat)
☆似ている健康保菌者
夏休みを控えたシャン学メンバー、生徒会長宅で休日ですが。
マツカ君は絶賛されているのに、キース君は厄介者扱いで…。
ジョミー「病気に巻き込むって、何の話さ?」
シロエ 「キース先輩と、どう関係があるんです?」
ブルー 「無自覚の内にやらかすトコだよ、巻き込むのをね」
そういう人間、病気に関しちゃ普通だろう、と生徒会長。
ブルー 「いわゆる健康保菌者ってヤツ」
シロエ 「あー…。でも、キース先輩は違うんじゃあ?」
ブルー 「話は最後まで聞きたまえ。百年前と言った筈だよ」
ジョミー「うん、聞いたけど…。だけど、健康保菌者って…」
今も昔も同じじゃないの、とジョミー君が傾げる首。
ジョミー「いろんな病気で普通にいるしさ、ブルーもさ…」
シロエ 「さっき、普通だと言いませんでしたか?」
ブルー 「今でこそ、ってことだよ、そこは」
百年ほど前には事情が別で…、と生徒会長、視線をグルリと。
ブルー 「病気の研究は日進月歩、健康保菌者って概念も…」
シロエ 「もしかして、昔は無かったんですか?」
ブルー 「そういうことだね、これは最初の事例の話」
海の向こうの大陸で起こった実話だけど、と立てる人差し指。
ブルー 「腕のいい女性の料理人がいてね、その人がさ…」
ジョミー「健康保菌者だったわけ?」
ブルー 「そう。彼女を雇うと、家の人間がチフスに罹る」
一同 「「「えっ…」」」
怖くないか、と誰もが見合わせる顔。
サム 「チフスって、ヤバイんじゃねえのかよ?」
ブルー 「その時代だったら、死人も出るねえ…」
現に彼女は死人も出した、と恐ろしい台詞が。
ブルー 「だけど本人には自覚が無くてさ、まるで全く」
スウェナ「健康保菌者だったのね?」
ブルー 「当時は、想像もされていなくて、未知の症例」
シロエ 「病気じゃない、ってことですか…」
ブルー 「だけど、調べると菌が出るんだよ」
キースの場合と似ていないかい、とニヤニヤと。
それは確かに…。
2020/07/05 (Sun)
☆レベルが似てます
もうすぐ夏休みに入る休日、生徒会長宅で過ごす御一同様。
マツカ君は絶賛されても、キース君は厄介だという話でして。
シロエ 「なるほど、キース先輩も健康保菌者なんですね」
ジョミー「本人が自覚してない辺りは、そっくりだよねえ…」
ブルー 「そうだろう? でもって、キースが厄介なのは…」
最初の事例と同じトコだね、と生徒会長の赤い瞳がキラリ。
サム 「健康保菌者って、いつも事情は同じじゃねえの?」
ブルー 「そういう概念が無かったんだよ、そこが問題」
本人も納得いかないよねえ、と生徒会長。
ブルー 「あなたはチフスに罹ってます、と言われてもさ…」
シロエ 「症状が無いんじゃ、無理かもですね」
ブルー 「お医者さんにも、仕組みが謎だったんだよ?」
調べると菌が出るだけでさ、と言われてみれば、その通り。
ジョミー「だったら、その人、どうなったわけ?」
ブルー 「一応、隔離されていたけど、納得しなくて…」
施設を出て行っちゃったんだよねえ、と生徒会長、深い溜息。
サム 「へえ…。んじゃ、その後は分からないわけな?」
ブルー 「それが違うんだな、偽名を使っていたんだけど…」
シロエ 「居所がバレたということですね?」
ブルー 「そう。実に簡単すぎる理由で」
チフスの患者が出たんだよね、と恐ろしすぎる台詞がポンと。
シロエ 「チフスって…。また誰かに移したんですか?」
ブルー 「今度は、病院の患者さんにね!」
一同 「「「うわー…」」」
健康な人に移すより酷くないか、と誰もがガクブル。
ジョミー「それって、思い切り、死にそうだけど!」
ブルー 「死んだんだよねえ、それに大勢、罹ったし…」
調査が入って、偽名で勤めているのがバレた、と生徒会長。
ブルー 「ついた渾名が、無垢な殺人者というヤツで」
一同 「「「無垢な殺人者…」」」
ブルー 「キースも、殆どソレじゃないかと」
厄介さのレベルが、その人並み、とキッパリ。
無垢な殺人者…。
2020/07/06 (Mon)
☆どうにもならない人
夏休みを目前に控えた休日、生徒会長宅に集う面々ですが。
海に山にと別荘を用意なマツカ君に対して、厄介な副住職。
シロエ 「キース先輩が、無垢な殺人者ですか…」
サム 「無垢って所はアレだけどもよ、確かによ…」
ジョミー「やってることは変わらないよね、その人と…」
チフスを移すか、災厄を招くかの違いで、とジョミー君。
ジョミー「本人に自覚が無いって所は、おんなじだしさ」
スウェナ「そうねえ、流石に死人は出ていないけど…」
サム 「俺たちがババを引いた回数、半端じゃねえぜ」
これから先も引きまくりでよ、とサム君、超特大の溜息。
サム 「キースが消えるか、あの馬鹿野郎が…」
シロエ 「消えない限りは、災難が続く一方ですよね」
ジョミー「最終兵器のマツカはいるけど…」
マツカ 「ぼくは僧籍じゃありませんから、万能だとは…」
言えませんよね、とマツカ君が曇らせる顔。
マツカ 「たまたま上手くいっているだけで、この先は…」
ジョミー「ダメかもしれない、って?」
マツカ 「ええ。出来るだけ努力してみますけど…」
スウェナ「しょっちゅう使うと、キースがつけ上がるわよ」
どうせマツカがいるんだから、って、とスウェナちゃん。
スウェナ「尻拭いは自分でさせるべきよね、キースの力で」
シロエ 「それが出来たら、誰も苦労はしませんよ?」
ジョミー「そこなんだよねえ、それに健康保菌者でさ…」
無自覚に災難を呼び続けるし、とジョミー君の嘆き節。
ジョミー「これって、どうにもならないんだよね」
シロエ 「そうなんですけど…。って、待って下さいよ?」
最初の事例はどうなったんです、とシロエ君が傾げる首。
シロエ 「会長、無垢な殺人者の、その後というのは?」
ブルー 「偽名で勤めていたのがバレた後かな?」
シロエ 「そうです、まさかそのまま放置ってことは…」
ブルー 「死ぬまで隔離されてたそうだよ」
他に方法は無いだろう、と言ってますけど。
死ぬまで隔離…。
2020/07/07 (Tue)
☆百年前は隔離
楽しい夏休みが間近な休日、生徒会長宅で過ごす御一同様。
マツカ君の別荘に期待な一方、厄介なのがキース君でして。
シロエ 「死ぬまで隔離って、本当ですか!?」
スウェナ「健康保菌者だったんでしょう、元気だわよね?」
ブルー 「うん。本人は至って健康体だったし…」
二度目の隔離は23年間だったらしいね、とサラッと数字。
ジョミー「ちょ、23年って、そんなに長く…?」
ブルー 「だって、それしか無いじゃないか」
チフスは治せなかったんだし、と生徒会長、大真面目な顔。
ブルー 「放っておいたら、また犠牲者が出るからね」
一同 「「「あー…」」」
就職先で移すんだった、と納得するしかない事情。
サム 「するってえと、23年間もよ、隔離施設かよ?」
ブルー 「そうなるねえ…。気の毒だけどさ」
ジョミー「自覚症状が無いんだしね…」
なんだか可哀想な気もする、とジョミー君の呟き。
ジョミー「百年前だと、きっと娯楽も少ないだろうし…」
ブルー 「まあね、今とはかなり違うよ」
ラジオくらいはあったけどさ、と四百年も生きている人。
ブルー 「とはいえ、23年は流石にキツイかな」
マツカ 「ジョミーの言う通り、可哀想ですね…」
シロエ 「でも、今なら事情は違います!」
世の中、ネットで繋がってます、とシロエ君の瞳がキラリ。
シロエ 「たとえ死ぬまで隔離されても、それなりに…」
ブルー 「娯楽はあるし、外と交流できるね、確かに」
病室からツイッターなんて普通だし、と頷く生徒会長。
ブルー 「百年前に、ネットがあれば良かったねえ…」
シロエ 「ええ、今だったら、あるんですよ」
ですから、やってやれないことは…、と妙な台詞が。
サム 「おい。やるって、何をやるんだよ?」
シロエ 「さっき会長が言ったヤツです、隔離ですよ」
ジョミー「隔離って…。何を?」
シロエ 「ズバリ、健康保菌者です!」
此処に一名いますからね、と言ってますけど。
それって…?
2020/07/08 (Wed)
☆隔離してしまえ
もうすぐ夏休みに入る休日、生徒会長宅に集っている面々。
マツカ君の別荘は楽しみですけど、厄介なのが副住職で…。
ジョミー「ちょっと待ってよ、健康保菌者っていうのは…」
シロエ 「もちろん、キース先輩ですけど?」
サム 「キースを隔離するのかよ!?」
シロエ 「それが一番、話が早いと思いませんか?」
ちょうど夏休みもあることですし、とシロエ君、ニッコリ。
シロエ 「柔道部の合宿が終わったら直ぐに、隔離ですよ」
スウェナ「何処の病院も、引き受けてくれないわよ!」
ジョミー「あそこはどうかな、エロドクターのトコ」
サム 「あー…。地獄の沙汰も金次第かもなあ…」
マツカに頼めば特別室に…、と頷くサム君。
サム 「それなら文句は言わねえだろうし」
シロエ 「いえ、お金は一銭も要りませんよ?」
一同 「「「へ?」」」
シロエ 「ついでに監視も万全だろうと思いますけど」
時期が時期だけに、と意味ありげな笑み。
シロエ 「そしてキースの評価も、グンと上がるんですよ」
ジョミー「そりゃまあ、ぼくたちは迷惑しなけりゃ…」
サム 「高く評価はするよな、うん」
スウェナ「だけど、いったい何処なのよ?」
その隔離場所、とスウェナちゃんの問い。
スウェナ「費用はタダで監視付きって、凄すぎない?」
シロエ 「キース先輩の家ですからね」
一同 「「「はあ?」」」
どういうことだ、と誰もがキョトン。
ジョミー「キースの家って…。今も普通に来てるけど?」
キース 「貴様ら、何が俺を隔離だ!」
シロエ 「キース先輩、卒塔婆書きの方は進んでますか?」
お盆が近付いているんですけど、とシロエ君の切り返し。
シロエ 「毎年、ノルマで騒いでますよね、あと何本って」
キース 「話を逸らすな、俺をどうするつもりだ、貴様!」
シロエ 「卒塔婆書きに励んで貰いたいな、と思いまして」
キース 「家にいろってか!?」
あのクソ親父に怒鳴られながら、と慌てる人。
元老寺に隔離…。
2020/07/09 (Thu)
☆意見を聞きたい
楽しい夏休みを控えた休日、生徒会長宅に集った御一同様。
マツカ君の別荘に期待な一方、迷惑なのがキース君でして。
シロエ 「キース先輩さえ、大人しく家にいてくれれば…」
ジョミー「確かに迷惑は減りそうだよねえ、夏休みの間」
サム 「でもよ、卒塔婆書きがある間だけだぜ?」
お盆の前には終わっちまうしよ、とサム君の指摘。
サム 「どうするんだよ、其処から後はよ」
シロエ 「墓回向だってあるでしょう、お盆前には」
ジョミー「そうだっけ…。すると、お盆の直前までは…」
シロエ 「元老寺に隔離できるんですよ」
キース先輩にしか出来ない仕事が山積みで…、とニヤリ。
シロエ 「きっと毎年、アドス和尚は苦々しい気分です」
スウェナ「それはそうかもしれないわねえ…」
サム 「なんだかんだで逃げてやがるしな、今みたいに」
マツカ 「本当だったら、今日だって卒塔婆書きですよね」
此処でのんびりする代わりに…、と御曹司も。
マツカ 「書き上がったとは、とても思えませんし」
シロエ 「キース先輩、どうなんです? 今年の分は」
キース 「そ、それは確かに、まだ途中だが…」
途中なんだが、とキース君、必死の形相。
キース 「そうは言っても、俺にも息抜きは必要で!」
シロエ 「アドス和尚のご意見を、是非、伺いたいですね」
実際の所はどんなものか…、とシロエ君、腕組み。
シロエ 「先輩が高校生でなければ、と思っているかも…」
サム 「あー…。それはありそうだよなあ、マジな話で」
ジョミー「本当だったら、とっくに大学卒業だしね…」
副住職に専念してる頃だよ、と僧籍なジョミー君。
ジョミー「シャングリラ学園が特別すぎるんだよね」
ブルー 「卒業したって、特別生になって高1だしねえ…」
シロエ 「絶対、不満に思っていますよ、アドス和尚は」
スウェナ「意見を聞いてみたいわねえ…」
キース 「やめてくれ!」
親父の意見は聞かなくていい、と叫んでますけど。
どうなる…?
2020/07/10 (Fri)
☆連絡なら任せて
もうすぐ楽しい夏休みな休日、生徒会長宅に集う御一同様。
マツカ君の別荘に期待ですけど、厄介なのがキース君で…。
シロエ 「キース先輩が反対ってことは、アドス和尚は…」
スウェナ「きっと隔離に賛成だわよ」
サム 「でもって、キリキリ卒塔婆書きな」
朝から晩まで、みっちりと、とサム君、大きく頷きまして。
サム 「お盆の前には墓回向もあるしよ、その方向で…」
キース 「ちょっと待て!」
何をする気だ、とキース君の視線がサム君に。
サム 「何って…。親父さんに聞いてみるんだよ」
シロエ 「連絡先、知ってるんですか?」
サム 「知らねえで済むと思ってるのかよ?」
毎年、棚経のお供なんだぜ、と僧籍な人。
サム 「ケータイの番号も知っているしよ」
キース 「まさか、他にも…?」
サム 「LINEとかな!」
今どき、コレだろ、とサム君が立てる親指。
シロエ 「サム先輩、LINE、やってたんですか?」
サム 「アドス和尚に言われたからよ、一応な」
普段、全然使ってねえけど、とサム君、苦笑。
サム 「みんなとは思念で一発だしよ、要らねえよな」
キース 「親父のLINEなぞ、俺は知らんが!」
サム 「へー…。お前もLINE、やってたのかよ?」
キース 「大学の仲間は、そっちだからな」
しかし親父の方は知らんぞ、と副住職の眉間に皺が。
キース 「いったい親父は、どういうつもりで…」
サム 「多分、温情判決でねえの?」
シロエ 「既読スルーしたら、終わりでしょうしね」
あえて教えていないんですよ、とシロエ君、サム君を支持。
シロエ 「じゃあ、サム先輩、聞いて貰えますか?」
サム 「隔離の件な!」
キース 「だから、待て、と!」
お前ら、俺を殺すつもりか、とキース君、ワタワタ。
キース 「お盆まで隔離されるだなんて…!」
シロエ 「でも、ぼくたちには有難い話なんですよ」
家で過ごして貰えませんか、という注文。
元老寺に隔離…。
2020/07/11 (Sat)
☆合宿だけで充分
夏休みを間近に控えた休日、生徒会長宅に集っている面々。
マツカ君の別荘は楽しみですけど、キース君が厄介でして。
シロエ 「キース先輩さえ、家で大人しくしてくれたら…」
ジョミー「ぼくたちは普通に過ごせるんだよ、夏休み」
キース 「俺の夏休みは、どうなるんだ!」
サム 「柔道部の合宿があるじゃねえかよ」
その間は卒塔婆書きもねえぜ、とサム君、明るい笑顔。
サム 「朝晩のお勤めだってねえしよ、満喫しろよな」
スウェナ「そうよね、ジョミーなんかは、その間は…」
シロエ 「修行体験ツアーですもんね、サム先輩と」
ジョミー「言わないでよ!」
考えただけで憂鬱だから、とジョミー君の悲鳴。
ジョミー「でも、終わったら、マツカの山の別荘だしさ…」
スウェナ「涼しい高原で、バーベキューに乗馬とかよね!」
マツカ 「食事の方も、楽しみになさって下さいね」
シェフが色々考えているそうです、と御曹司、温和な笑み。
マツカ 「ぼくの大切なお客様ですから、こだわって」
一同 「「「やったー!!!」」」
何が出るかな、と大歓声の中、キース君だけが浮かない顔。
キース 「お前ら、本気で、俺を置いて行くと…?」
シロエ 「隔離するのが、一番、安全ですからね」
??? 「こんにちはーっ!」
今日も暑いね、とソルジャー(会話表記はAブルー)登場。
ぶるぅ 「かみお~ん♪ いらっしゃい!」
Aブルー「こっちは暑いよ、ぶるぅ、アイスは?」
ぶるぅ 「んとんと…。アイスもあるし、かき氷も…」
Aブルー「じゃあ、フルーツパフェ!」
言われてもいないメニューを、しれっと頼む人。
ぶるぅ 「オッケー! みんなは?」
一同 「「「食べる!」」」
フルーツだ、チョコだ、と飛び交う注文。
ぶるぅ 「すぐ作るから、待っててねーっ!」
Aブルー「ありがとう、ぶるぅはいい子だね!」
シロエ 「ええ。誰かさんとは…」
違いますから、とシロエ君が吊り上げる眉。
何故、ソルジャーが…。
2020/07/12 (Sun)
☆呼ばれていない人
もうすぐ楽しい夏休みな休日、生徒会長宅に集う御一同様。
キース君を隔離する案が出ている所へ、ソルジャー登場。
シロエ 「いったい何しに来たんです! この暑い中を!」
Aブルー「待ってよ、まずはフルーツパフェだよ」
サム 「そこなのかよ?」
Aブルー「ぶるぅのパフェは絶品だしさ!」
楽しみだよね、とキッチンの方を眺めるソルジャー。
Aブルー「うん、新鮮なフルーツ山盛り!」
シロエ 「アイスって言って、来ませんでしたか?」
Aブルー「そうだけど…。ぶるぅが聞いてくれたから…」
シロエ 「アイスか、かき氷か、と尋ねたんですよ?」
パフェは入っていないんですけど、とシロエ君、鬼の形相。
シロエ 「そんな調子だから、みんなが迷惑するんです!」
Aブルー「そうだっけ? ぼくの話じゃなかったような…」
キースの話だと思ったけどな、とソルジャーが傾げる首。
Aブルー「隔離するとか、物騒な話だったけど」
ぶるぅ 「お待たせーっ! はい、フルーツパフェ!」
Aブルー「ありがとう! やっぱり、ぶるぅの腕は最高!」
ぶるぅ 「みんなのパフェも、出来てるからねーっ!」
チョコに、フルーツに…、と手際よく配る元気なお子様。
ぶるぅ 「盛り付けも、うんとこだわったの!」
スウェナ「いつも凄いけど、今日も凄いわねえ…」
シロエ 「SNSをやってたら、UPするんですけど…」
そういう話の前にですね、とソルジャーの方に鋭い視線を。
シロエ 「誰も呼んではいないんですけど、あなたなんか」
Aブルー「どうだろう? 役に立てると思うんだけどな」
一同 「「「へ?」」」
何処からそういう話になるんだ、と誰もがポカーン。
シロエ 「役に立つって…。現に今もですね…」
サム 「ぶるぅに迷惑かけたじゃねえかよ」
ぶるぅ 「えとえと、ぼくは楽しく作ったんだし…」
Aブルー「そうだよねえ? ホントに、いい子なんだから」
誰かさんとは、まるで違うよ、と言ってますけど。
えっと…?
2020/07/13 (Mon)
☆それなりに役立つ人
じきに夏休みを迎える休日、生徒会長宅に集う面々ですが。
厄介なキース君を隔離する話の最中、ソルジャー登場で…。
シロエ 「誰かさんとは違う、って…。あのですね…」
サム 「分かってるのかよ、誰かさんって誰なのかをよ」
Aブルー「もちろんだよ!」
分かってるから来たんだってば、とソルジャー、笑顔全開。
Aブルー「絶対、お役に立てる筈だよ、このぼくがね!」
シロエ 「それはまあ…。ものは考えようかもですね」
サム 「おい、シロエ! 何、言ってんだよ!」
ジョミー「そうだよ、丸め込まれてどうするのさ!」
それじゃキースと同じパターンだよ、とジョミー君の悲鳴。
ジョミー「乗せられてないで、キッチリ始末をつけないと」
シロエ 「いえ、この人なりに役には立つんですよ」
食べ終わったら出てってくれれば、と指差す扉の方向。
シロエ 「でもって向こう1ヶ月ほど、大人しくですね…」
サム 「あー! こっちに来なけりゃいいわけな!」
それは確かに役に立つぜ、とサム君がグッと立てる親指。
サム 「んじゃまあ、食ったら出てってくれよな!」
シロエ 「どうぞよろしくお願いします」
お盆の棚経でお会いしましょう、とシロエ君、サラッと。
シロエ 「それまで大いに役立って下さい、大人しくして」
Aブルー「あのねえ! それだと、役に立てないだろう!」
迷惑な誰かさんの件で、とソルジャー、反論。
Aブルー「やっぱり送迎係も要るしさ、こう、毎日の」
一同 「「「送迎係?」」」
なんのこっちゃ、と誰もが傾げる首。
シロエ 「えっとですね…。誰かさんって、誰なんです?」
Aブルー「キースに決まってるじゃないか!」
とても厄介で迷惑なんだろ、とパフェを頬張るソルジャー。
Aブルー「だからさ、ぼくがお役に立てる、って!」
シロエ 「話が全く見えないんですけど…」
Aブルー「毎日、送迎するんだよ?」
それで分からないかな、と言ってますけど。
どう理解しろと…?
2020/07/14 (Tue)
☆引き受けるそうです
夏休みを間近に控えた休日、生徒会長宅に集った御一同様。
厄介なキース君を隔離する話になった所へ、ソルジャーが。
シロエ 「毎日、送迎するって、誰をですか?」
Aブルー「今の流れで分からないかな、キースだってば」
ぼくなら簡単、任せて安心、とソルジャー、胸をドンと。
Aブルー「そして君たちも安心なんだよ、どうだろう?」
シロエ 「すみませんけど、もう少し、分かりやすく…」
話して貰えませんか、とシロエ君の注文が。
シロエ 「それだと話が見えないんですよ、まるで全く」
Aブルー「うーん…。キースを隔離する計画だよね?」
シロエ 「そうですけど?」
Aブルー「だからさ、それを引き受けるんだよ!」
このぼくが、とソルジャーが指差す自分の顔。
Aブルー「大丈夫、元老寺には毎日、送迎するから!」
シロエ 「なるほど、そういうことですか…」
サム 「でもよ、隔離って、何処になんだよ?」
あんたの世界はヤバすぎるだろ、とサム君、冷静な指摘。
サム 「人類軍に攻撃されたら、キースもよ…」
ジョミー「無事でいられる保証は無いよね…」
スウェナ「保険にも入れないわよねえ…」
世界が違うし、第一、ミュウでは…、とスウェナちゃんも。
スウェナ「流石に、どうかと思うわよ」
キース 「有難い! もっと、どんどん言ってくれ!」
俺だって命は惜しいんだ、とキース君、必死。
キース 「こいつに隔離されるくらいなら、自主的に…!」
シロエ 「元老寺に籠ってくれるんですか?」
でもって、お盆まで外出自粛でいいですか、とシロエ君。
シロエ 「そういうことなら、この人にですね…」
サム 「お帰り願ってもいいよな、うん」
フルーツパフェを食い終わったら、とサム君も同意。
サム 「どうするんだよ、外出自粛かよ?」
キース 「本当に出てはダメなのか?」
シロエ 「決まってるでしょう、迷惑ですから!」
合宿が済んだら即ですね、と容赦ない台詞。
どうなるやら…。
2020/07/15 (Wed)