☆初日の出に柏手
新年あけましておめでとうございます。元旦は元老寺から。
除夜の鐘の後は新年の法要、すっかり疲れて爆睡中な面々。
ぶるぅ 「かみお~ん♪ あけましておめでとう!」
起床、起床! と廊下を跳ねてゆく元気なお子様。
シロエ 「…もう朝ですか…」
ジョミー「眠いんだけど…」
キース 「こらあ、起きんか!」
初日の出だぞ、と法衣の副住職が襖をガラリと。
キース 「サッサと着替えて、山門に集合だ!」
一同 「「「はーい…」」」
行かないと、おせちにありつけないし、と渋々、起床。
サム 「くっそぉ、今日も寒いぜ…」
マツカ 「雪が止んだだけでもマシですよ」
スウェナ「そうねえ、大雪だった年もあったし…」
今年はどうかしら、などと言いながら山門へ。
アドス 「皆さん、お揃いになりましたな」
イライザ「いいお参りにしましょうね」
アドス 「二礼、二拍手、一礼ですぞ」
一同 「「「はいっ!」」」
初日に向かって深々とお辞儀、そして柏手。
一同 (((いい年になりますように…)))
アドス 「それでは、庫裏の方へどうぞ」
お雑煮の用意が出来ております、とアドス和尚が先導を。
アドス 「銀青様、どうぞ上座の方へ」
ブルー 「適当でいいよ、それより新年おめでとう」
アドス 「皆様も、新年おめでとうございます」
一同 「「「おめでとうございまーす!」」
まずはお屠蘇で、と盃が順に、続いて、お雑煮。
ぶるぅ 「いっただっきまーす!」
サム 「外が寒かったから、余計に美味いよな」
イライザ「おせちも、お召し上がり下さいね」
アドス 「和洋中と揃えてありますからな」
おかわりも充分ございますので、とアドス和尚。
アドス 「日頃、せがれがお世話になっておりますし…」
シロエ 「そうですね。キース先輩には、本当に…」
一同 「「「シーッ!」」」
アドス 「何ですかな?」
シロエ 「いえ、まあ…」
お正月ですしね、とシロエ君、ニッコリ。
今日は休戦?
2021/01/01 (Fri)
☆職業病だそうです
元旦は元老寺の庫裏でお雑煮とおせち、和やかなスタート。
アドス和尚も御機嫌なだけに、平穏にいきたい所ですけど。
アドス 「お正月だから、ということはですな…」
シロエ 「はい?」
アドス 「日頃だったら愚痴る所を、我慢ですかな?」
シロエ 「ノーコメントでお願いします」
お正月ですし、とシロエ君、意味ありげな答え。
アドス 「ふうむ…。何やら、ありそうですなあ…」
イライザ「キースが御迷惑をおかけしているのかしら?」
ブルー 「それほどでもないよ、うん」
でも、お坊さんだから…、と生徒会長、視線を副住職に。
ブルー 「何かと抹香臭くなるのは、仕方ないよね」
シロエ 「そうなんですよ、こう、ノートとかでも…」
スウェナ「微かだけれど、お線香の匂いがするのよねえ…」
アドス 「なるほど、なるほど」
職業病というヤツですな、と大きく頷くアドス和尚。
アドス 「それは、せがれが、とんだ御迷惑を…」
イライザ「月参りの帰りに登校だと、もっと御迷惑ねえ…」
アドス 「うむ。キース、今年から月参りの日は…」
学校に行かずに直帰するように、とアドス和尚の命令が。
アドス 「出席義務は無いんじゃから、そうすべきじゃな」
イライザ「ええ。真っ直ぐ帰っていらっしゃいな」
キース 「ちょっと待て!」
なんでそうなる、とキース君、ワタワタ。
キース 「それだと、俺はかなりの日数、欠席でだな…!」
シロエ 「別にいいんじゃないですか?」
サム 「迷惑はグンと軽減するぜ?」
ジョミー「だよねえ、ぼくも直帰をオススメ」
その方が絶対いいと思う、と誰もが口々にプッシュ。
スウェナ「キースも楽でしょ、着替えしなくて済むんだし」
ぶるぅ 「んとんと、でも…」
ぼくのお菓子は、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」の困り顔。
ぶるぅ 「食べてくれる人が減っちゃうよ!」
シロエ 「宅配すれば、その問題は解決しますよ」
瞬間移動で出来立てをお届け、という意見。
それは確かに…。
2021/01/02 (Sat)
☆おやつは家族で
元老寺で迎えた元旦ですけど、いきなりキース君に災難が。
今年から月参りの日は登校せずに、直帰しろというお達し。
シロエ 「キース先輩は直帰ですから、家にいますし…」
ジョミー「部屋に届ければいいと思うよ、ケーキとかは」
アドス 「ほう…。せがれに三時のおやつですかな?」
いい御身分で、とアドス和尚も御機嫌な笑顔。
アドス 「わしもお相伴したい所ですなあ、是非に」
イライザ「あなた、厚かましいですわよ」
アドス 「あっ、これは、とんだ失礼を…!」
ブルー 「気にしなくていいよ、ぶるぅも喜ぶからね」
腕の揮い甲斐があるわけだしさ、と生徒会長。
ブルー 「そうだよね、ぶるぅ?」
ぶるぅ 「えとえと…。イライザさんも食べてくれるの?」
イライザ「あらまあ、私もよろしいんですの?」
ぶるぅ 「もっちろ~ん!」
そしたらキースも寂しくないし、と無邪気なお子様の意見。
ぶるぅ 「家族揃って、おやつの時間だもんね!」
シロエ 「いいですねえ! 心温まる風景ですよ」
イライザ「キースはコーヒー、いえ、紅茶かしら?」
ぶるぅ 「んとね、大抵、コーヒーだよ!」
だけど、お菓子で変わる時も、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
ぶるぅ 「紅茶で食べて欲しい時とか、あるもんね!」
アドス 「ほうほう…。ほうじ茶向きのもありますかな?」
ぶるぅ 「あるよ、色々作ってるから」
イライザ「そうなると、お勧めを教えて頂きたいですわね」
お菓子に合うお茶を淹れなくては、とイライザさんの笑み。
イライザ「お茶の時間が楽しみになりますわねえ…」
アドス 「いや、実に有難いお話ですな」
御本尊様にもお供えしなくては、アドス和尚、合掌。
アドス 「お供え出来ないお菓子も、ありそうですがな」
ぶるぅ 「そだね、ミートパイとかだと無理だしね…」
イライザ「まあ、本当にバラエティー豊かですのね」
ぶるぅ 「おもてなし、大好き!」
宅配するから楽しんでね、と言ってますけど。
キース君は…?
2021/01/03 (Sun)
☆お屠蘇と功労者
元日からキース君を襲った災難、月参りの日は直帰の命令。
おやつが宅配されるとあって、アドス和尚たちも大喜びで。
アドス 「今年は春から縁起がいいですな、美味しい話で」
シロエ 「あっ、上手いこと言いますねえ!」
アドス 「いやなに、これもシロエ殿のお蔭というもので」
せがれの欠点を指摘して下さって…、とアドス和尚。
アドス 「お蔭様で、思わぬ幸運が降って来ましたわい」
イライザ「ええ、本当に福の神ですわね」
ささ、お屠蘇をどうぞ、とイライザさんが差し出す盃。
イライザ「ググッと一杯、いって下さいな」
シロエ 「えっと…。お酒、入ってますよね?」
アドス 「もちろんですとも、大吟醸ですぞ」
シロエ 「酔っ払ったら大変ですしね…」
どうしようかな、とシロエ君、周りをキョロキョロ。
シロエ 「これ、頂いたらどうなると思います?」
サム 「知らねえよ。でもよ、キースに比べたらよ…」
ジョミー「リスクは低くなるんじゃないかな、お客様だし」
スウェナ「そうよ、酔って暴れても大丈夫よね」
きっと大目に見て貰えるわ、とスウェナちゃん。
スウェナ「それに、キースを直帰にした功労者じゃないの」
マツカ 「ええ。キースには災難でしたけれどね」
キース 「災難なんてレベルじゃないぞ」
なんで、親父たちとお茶なんだ、とキース君の眉間に皺が。
キース 「よくもドツボに落としやがって!」
イライザ「あら、お母さんとお茶は嫌だって言うの?」
悲しいわ、とイライザさんが押さえる目元。
イライザ「どうして、こんな子になったのかしら…」
キース 「違う、今のは言葉の綾で…!」
いいから、シロエと楽しんでくれ、と副住職、必死。
キース 「この場は、お屠蘇で和やかにだな…!」
シロエ 「いえ、キース先輩にお譲りします」
キース 「何故、そうなるんだ!?」
シロエ 「親子関係の修復ですよ、お屠蘇で、しっかり」
ヒビが入ってしまいましたし、シロエ君。
お屠蘇で修復…?
2021/01/04 (Mon)
☆酔ったら暴露で
元日なのにキース君を見舞った災難、登校できる日が激減。
月参りに行ったら家に直帰で、おやつは宅配される運命。
キース 「誰がヒビを入れたと思ってるんだ!」
シロエ 「キース先輩だと思いますけどね?」
お母さんとお茶は嫌だと言って、とシロエ君、冷静な指摘。
シロエ 「ですから、急いで修復した方がいいですよ」
キース 「元はと言えば、貴様がだな…!」
イライザ「あらまあ…。キースは、普段からこうですの?」
なんて言葉が悪いんでしょう、とイライザさんの深い溜息。
イライザ「その上、抹香臭いんじゃあ…。嫌われますわね」
アドス 「まったくじゃ。お茶の時間に躾け直さんと…」
皆様に申し訳がたたんわい、とアドス和尚も呆れ顔。
アドス 「キース、今年は修行の年じゃぞ」
キース 「修行だと!?」
アドス 「そうじゃ、立派な言葉遣いが出来るようにな」
キース 「とうの昔に、身についている!」
こいつらのせいで乱れるだけだ、と副住職が指差す面々。
キース 「いつもドツボに落としやがるし、最悪なんだ!」
ジョミー「ドツボだってさ…」
サム 「自分のことは棚に上げやがって、よく言うぜ」
シロエ 「本当ですよね、どっちがドツボなんだか…」
もう修復は要らないですね、とシロエ君。
シロエ 「この際、ぼくがお屠蘇を頂いてですね…」
サム 「おう、パァーッと酔っ払って暴露しろよな」
ジョミー「それがいいよね、何もかもをさ」
シロエ 「ええ。素面じゃ言えないことが多いですから…」
お屠蘇のパワーで言っちゃいますよ、と怖すぎる台詞が。
シロエ 「じゃあ、キース先輩、そういうことで」
キース 「ちょっと待て!」
その杯は俺が貰う、と副住職の必死の割り込み。
キース 「暴露大会をされるくらいなら、俺がだな…!」
アドス 「ほほう、後ろ暗い所があるようじゃな」
キース 「ほぼ、言いがかりに近いんだが!」
個人的な恨みレベルの…、と言ってますけど。
そうですか…?
2021/01/05 (Tue)
☆直帰させるのなら
元日からキース君を襲った災難、月参りの日は直帰の命令。
登校出来ずに帰るしかなく、おやつも宅配な運命でして…。
アドス 「個人的な恨みレベルで、言いがかりじゃと?」
キース 「そうなんだ! シロエを見れば分かるだろう!」
そもそも、こいつが振った話だ、とキース君、キレそう。
キース 「ずっと昔から、ライバル視してやがるしな!」
シロエ 「嫌ですねえ…。尊敬しているだけですよ」
先輩から一本取るのが夢ですしね、と涼しい顔のシロエ君。
シロエ 「柔道で一本取れないからには、他でですね…」
アドス 「勝つぞ、という心意気ですな」
実に御立派な心がけで…、とアドス和尚も感心モード。
アドス 「それに比べて、愚息と来たら…」
イライザ「なんて心が狭いんでしょうね、お坊さんなのに」
アドス 「今年は、ビシビシ仕込んでやらんと」
キース 「余計なお世話だ!」
グダグダ言う間に注いでくれ、と副住職が差し出す盃。
イライザ「あらまあ、キースが頂くの?」
キース 「これが飲まずにやってられるか!」
アドス 「檀家さんの初詣の方は、どうするんじゃ?」
キース 「俺が酔ったら、親父だけでやればいいだろう!」
サムとジョミーも手伝うしな、と既にヤケクソ。
アドス 「それは少々、面倒なんじゃが…」
キース 「どの辺がだ!」
アドス 「こう、お出迎えと、お見送りがじゃな…」
お前がいないと、ワシが炬燵から出ることに、とブツブツ。
アドス 「立って座って、出入り口は風が冷たいしのう…」
キース 「そう思うんなら、俺の処分を撤回しやがれ!」
アドス 「処分じゃと?」
キース 「月参りの件だ!」
直帰と言ったヤツを取り消せ、とキース君、凄い剣幕。
キース 「取り消さないなら、俺は大いに飲んでだな…!」
ブルー 「大トラか、爆睡モードって?」
キース 「この際、歌って踊ってもいい!」
一同 「「「イイネ!」」」
ちょっと見たいかも、と誰もがワクワク。
確かに…。
2021/01/06 (Wed)
☆破壊活動と正義
元日からキース君を見舞った災難、月参りの日は登校不可。
家に直帰の命令でして、おやつは瞬間移動で宅配だそうで。
ジョミー「酔っ払ったキースって、見たことないしね」
シロエ 「ぼくもです。本当に歌って踊るんですか?」
キース 「俺が知るわけないだろう!」
酒量は控えめを旨としている、と副住職。
キース 「やらかしてからでは遅いしな」
ブルー 「なるほどね…。それを今から披露する、と」
キース 「親父が撤回しないならな!」
最悪、暴れるかもしれん、とキース君が指差す座敷の天井。
キース 「サイオン・バーストとまではいかなくてもだ…」
ぶるぅ 「んとんと…。ぼくのお部屋が吹っ飛んだヤツ?」
ブルー 「あったっけねえ、そういう事件も」
キース 「あの頑丈な部屋がパアだったしな…」
酔って暴発程度のヤツでも天井くらい、と恐ろしい台詞。
キース 「軽くブチ抜いて、屋根も吹っ飛ぶかもな」
ジョミー「踊るんじゃなくて、破壊活動なわけ?」
キース 「やっている俺は楽しい筈だぞ」
気分は怪獣かもしれん、とキース君が浮かべる笑み。
キース 「あるいは正義の味方になって、悪の組織を…」
シロエ 「待って下さい、ぼくたちを倒すと…?」
キース 「立派に悪の組織だろうが!」
ついでに親父も、と指をポキポキ。
キース 「サイオンで端から撃破するんだ、爽快だろうな」
ブルー 「ぼくは迎撃出来るけど?」
ぶるぅ 「ぼくも!」
キース 「面白い。二大怪獣と戦うわけか」
座敷は無傷で済まないぞ、とニヤリニヤニヤ。
キース 「障子はズタズタ、襖もボロボロといった所か」
ブルー 「いいねえ、保険はかけてるだろうし…」
存分に暴れてくれたまえ、と生徒会長もノリノリ。
ブルー 「正義が勝つか、悪の組織が栄えるかだよ」
キース 「よーし、飲むぞ!」
アドス 「こ、こら、待たんか!」
キース 「なんだ、親父?」
俺が好きに飲んで何が悪い、と言ってますけど。
破壊活動ですよ…?
2021/01/07 (Thu)
☆保険なら任せて
元日早々、キース君を襲った災難。月参りの日は家に直帰。
登校するなという命令で、おやつも宅配な運命ですけど…。
キース 「シロエが譲ってくれたんだ。俺は飲むぞ!」
アドス 「し、しかしじゃな…! 酔った場合が大変で…」
キース 「庫裏なら保険に入っている筈だぞ」
俺が暴れたと分かるもんか、とキース君、目がマジ。
キース 「サイオンなんぞは、全く知られていないしな!」
ブルー 「うん、保険屋は知らないだろうね」
シロエ 「謎の爆発でも、被害は出ているわけですし…」
マツカ 「保険は下りると思いますけど?」
難しそうなら、いい弁護士を紹介しますよ、と御曹司も。
マツカ 「その辺は、ブルーもツテがありそうですけどね」
ブルー 「それはもう! ソルジャーをやってるんだしね」
万一に備えて、ツテは色々…、と生徒会長が立てる親指。
ブルー 「ぶるぅの部屋が爆発した時も、キッチリと!」
スウェナ「そういえば、騒がれなかったわねえ…」
サム 「マスコミもシャットアウトしたよな」
キース 「聞いたか、親父? 大丈夫らしいぞ」
俺とブルーが壊しまくっても、と飲む気満々な副住職。
キース 「おふくろ、お屠蘇をガンガン頼む!」
イライザ「で、でも…。初詣の檀家さんがパニックに…」
アドス 「そうでなくても、縁起が悪すぎるわい!」
元日から庫裏が壊れるなんぞ…、とアドス和尚の悪い顔色。
アドス 「檀家さんにどう言い訳するんじゃ、不始末を!」
キース 「それは親父が頑張ってくれ」
修理費用のお願いには俺も回るから、と副住職、しれっと。
キース 「頭を下げるのは苦ではないしな」
シロエ 「罰礼で慣れてますもんねえ…」
土下座だって朝飯前でしょう、とシロエ君。
シロエ 「でも、その前に破壊活動ですね?」
キース 「月参りの帰りは直帰らしいしな…」
アドス 「そ、その件じゃが…!」
キース 「何か?」
俺に話があると言うのか、と据わっている瞳。
どうなる…?
2021/01/08 (Fri)
☆素面でいて欲しい
元日からキース君を見舞った災難、月参りの日は登校不可。
家に直帰で、おやつも宅配。そういう運命なんですけれど。
キース 「話があるなら、俺が素面の間に頼むぞ」
アドス 「い、いや…! 今日は素面で頼みたいんじゃが」
キース 「さっきから飲むと言ってるだろうが!」
アドス 「じゃから、お屠蘇はやめてくれ、と」
イライザ、お屠蘇を引っ込めるんじゃ、とアドス和尚。
アドス 「注ぐなら、お客様にじゃな…」
キース 「俺はスルーか!?」
アドス 「暴れられてはたまらんわい!」
キース 「だったら、前言撤回しやがれ!」
直帰なヤツだ、と副住職が吊り上げる眉。
キース 「どんなに抹香臭い時でも、登校していい、と!」
アドス 「仕方ないわい、皆様には御迷惑なんじゃが…」
庫裏を壊されてはどうにもこうにも、と嘆き節。
アドス 「おやつの宅配も、魅力的じゃったんじゃが…」
キース 「其処なのか!?」
アドス 「ぶるぅ殿は料理がお上手じゃしな」
イライザ「ええ、本当に。お正月に中華の精進料理を…」
作って下さった年がありましたわね、とイライザさんも。
イライザ「素敵なおやつが届きそうでしたけど…」
アドス 「諦めるしかないようじゃのう…」
キース 「登校してもいいんだな?」
アドス 「暴れられるよりマシじゃしな」
例年通りにするが良かろう、と撤回された直帰の命令。
アドス 「皆様、抹香臭いのは、どうぞご勘弁を…」
ブルー 「職業病だし、みんな諦めてると思うよ」
それより、ここは祝い酒で、と生徒会長。
ブルー 「キース意外には、ヤケ酒だろうけど」
シロエ 「まったくですよ」
これが飲まずにいられますか、とシロエ君が手にする盃。
シロエ 「思いっ切り、注いで頂けますか?」
ジョミー「ぼくだって、お客様だしね!」
ブルー 「君とサムは初詣のお手伝いがあるだろう?」
ジョミー「えーっ!?」
酷いんだけど、とジョミー君、不満そうな顔。
僧籍ですしねえ…。
2021/01/09 (Sat)
☆トリップするかも
元日からキース君を見舞った災難ですけど、なんとか解決。
月参りの日も登校していい、とお許しが出て、祝い酒で…。
ジョミー「ヤケ酒なんだし、ちょっとくらいは許してよ!」
アドス 「いやいや、ヤケ酒というものはですな…」
ブルー 「リミッターが外れやすいんだってば」
残念ながら…、と生徒会長も止める側に。
ブルー 「祝い酒なら、ほろ酔い程度で済んでもさ…」
アドス 「ヤケ酒の場合は、泥酔で悪酔いモードですぞ」
ブルー 「そう! バッドトリップしちゃうかもねえ…」
ジョミー「バッドトリップ?」
それって何さ、とジョミー君、キョトン。
ブルー 「知らないかい? ドラッグとかで飛ぶ時にさ…」
ジョミー「飛ぶって?」
キース 「トリップのことだ、バッドトリップになると…」
ブルー 「いい気分どころか、地獄らしいよ」
それで良ければヤケ酒をどうぞ、と生徒会長。
ブルー 「ほら、キースには祝い酒ってね」
イライザ「仕方ないわね、少しだけよ?」
キース 「有難く頂戴いたします」
ハハーッ! とお辞儀で、キース君が受けて飲み干す盃。
キース 「さてと…。親父、そろそろ本堂に行くか」
アドス 「うむ。ジョミー殿は残ってヤケ酒ですかな?」
ジョミー「遠慮しとくよ!」
縁起でもないことを言われちゃったし、とガクブルな人。
ジョミー「ヤケ酒はシロエでいいと思うな」
サム 「おう! バッドトリップするかもなあ…」
ちょっと楽しみになってきたぜ、とサム君、ワクワク。
サム 「でなきゃ、歌って踊るとかよ」
キース 「そうだな、それも面白そうだな」
ジョミー「期待しようよ、どうなっちゃうか」
じゃあね、と本堂へ初詣のお迎えに向かう僧籍な人たち。
キース 「スウェナ、万一の時は録画を任せたぞ」
スウェナ「もちろんよ! マツカも撮るわよね?」
マツカ 「そうですねえ…」
シロエ 「ちょ、ちょっと…!」
悪乗りしないで下さいよ、と慌ててますけど。
どうなる…?
2021/01/10 (Sun)
☆ヤケ酒に差し入れ
元日早々、キース君に出た、月参りの日は直帰という命令。
他の面子には朗報だったのに、取り消しで元の木阿弥で…。
シロエ 「どうして、ぼくがオモチャにされるんです!」
キース 「身に覚えならあると思うぞ。…さて、行くか」
サム 「おう!」
ジョミー「期待してるからねーっ!」
初詣が終わったら報告会だ、と僧籍な人たち、本堂の方へ。
イライザ「私もそろそろ失礼しますわ、裏方ですから」
ブルー 「うん。ぼくたちなら、勝手にやるから」
イライザ「足りないものがあったら、お申し付け下さいね」
あちらの方におりますから、とイライザさんも退場。
ブルー 「さてと…。シロエはどうするのかな?」
スウェナ「ヤケ酒でしょ? お酌なら、してあげるわよ」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 熱燗なんかも出来ちゃうよ!」
マツカ 「お屠蘇以外もアリなんですか?」
確かにヤケ酒ですもんね、と御曹司。
マツカ 「そういうことなら、ぼくからも何か…」
ブルー 「おや、差し入れがあるのかい?」
マツカ 「ええ。ぶるぅに頼めば、ぼくの家から…」
瞬間移動で取り寄せられますからね、と穏やかな笑み。
マツカ 「お正月用に、いいお酒が揃ってるんですよ」
ブルー 「それはいいねえ! おつまみもかい?」
マツカ 「もちろんです。キャビアなんかもありますし…」
スウェナ「素敵じゃないの!」
お坊さん組は抜きで宴会しましょ、とスウェナちゃん。
スウェナ「肴はシロエのバッドトリップよ!」
シロエ 「違いますから!」
ぶるぅ 「んとんと…。シロエがヤケ酒でないと…」
マツカの差し入れ、来ないと思うの、という声が。
ぶるぅ 「だからシロエは、頑張らないと…」
シロエ 「そうなるんですか!?」
マツカ先輩、そうなんですか、とシロエ君、真っ青。
シロエ 「ぼ、ぼくだけはヤケ酒だとか…?」
マツカ 「そうですねえ…。どうしましょうか」
キースたちも期待してますし、と思案顔の御曹司。
ヤケ酒は必須?
2021/01/11 (Mon)
☆ヤケ酒に期待
元日からキース君が食らった災難ですけど、なんとか解決。
そして今度はシロエ君の番で、期待されるバッドトリップ。
マツカ 「キースたちが戻って来た時、どう言うかですよ」
スウェナ「和やかに宴会中だと、ガッカリだわよねえ…」
シロエ 「何故、ぼくだけがババを引くんです!」
スウェナ「最初に引き金を引いたからでしょ」
諦めなさいよ、とスウェナちゃん。
スウェナ「ほら、マツカ、お酒とおつまみ、お願い!」
ぶるぅ 「シロエのヤケ酒用だよね! ぼく、お相伴!」
ブルー 「ぼくも美味しく頂きたいから、よろしくね」
マツカ 「分かりました。ぶるぅ、このメモを持って…」
お使いをお願いします、とマツカ君がメモをサラサラと。
ぶるぅ 「えっと、これを厨房の人に渡すと…」
マツカ 「揃えてくれますから、瞬間移動でこちらの方へ」
ぶるぅ 「オッケー!」
パッと姿が消えたお子様、シロエ君が震える間に帰還。
ぶるぅ 「ただいまーっ! 貰って来たよーっ!」
ブルー 「凄いね、最高級のワインにブランデーに…」
スウェナ「大吟醸でしょ、それにキャビアにカラスミに…」
オードブルだって沢山あるわ、とスウェナちゃん、感激。
スウェナ「さあ、シロエ、どんどん飲みなさいよ!」
ブルー 「まずは一杯、ワインをグイッと!」
生徒会長が差し出すグラス、シロエ君、腹を括ったようで。
シロエ 「ヤケ酒、いきまーすっ!」
ブルー 「うん、いい飲みっぷり!」
シロエ 「美味しいです! でも、なんだか…」
眠くなって来ました、と言うなりコロンと転がりまして。
シロエ 「ぐーっ!」
一同 「「「えっ?」」」
ぶるぅ 「んとんと…。寝ちゃったみたい…」
つまんないよう! とシロエ君をつつくお子様。
ブルー 「どれどれ? なるほど、これは…」
マツカ 「爆睡ですか?」
ブルー 「立派な狸寝入りだね!」
一同 「「「狸寝入り?」」」
なんでまた、と誰もがポカーンですけど。
狸寝入りって…?
2021/01/12 (Tue)
☆眠らせておこう
元日からキース君が食らった災難の次は、シロエ君が災難。
バッドトリップを期待されまして、お酒も揃いましたけど。
ぶるぅ 「えとえと…。狸寝入りって、なあに?」
ブルー 「死んだふりとも言うかもねえ…」
スウェナ「早い話が、寝たふりで逃げているわけよ!」
マツカ 「くすぐったら起きると思いますけどね」
痛い目に遭わせても無駄でしょうけど、と御曹司。
マツカ 「どうします?」
スウェナ「サラッと怖いことを言うわね、マツカ」
ブルー 「そりゃ、マツカだから…」
誰かさんも恐れる最終兵器、と生徒会長、断言。
ブルー 「でもねえ、ここは起こさない方が…」
一同 「「「え?」」」
ブルー 「一人分、取り分が増えるんだよ!」
一同 「「「イイネ!」」」
見世物よりも御馳走だ、と誰もが納得。
マツカ 「それじゃ、美味しく頂きましょうか」
スウェナ「シロエは放置でいいのかしら?」
ブルー 「後でキースが始末すると思うよ」
今は飲もう、と生徒会長。そして賑やかに飲み食いで…。
キース 「戻ったぞ。シロエは踊ったのか?」
ジョミー「なんか死んでるみたいだけど…」
マツカ 「その件ですけど、実はですね…」
こういうわけで、と御曹司、手短に解説。
マツカ 「始末はキースに任せるそうです」
キース 「心得た。ちょっとブチ込んでくる」
よいしょ、と肩に軽く担いで出て行った人。
ジョミー「座敷牢でもあるのかな?」
サム 「知らねえけど…」
どうなるのかな、と僧籍な人たちも宴会の席に。
ジョミー「出遅れちゃったけど、なんか凄いね」
マツカ 「追加も遠慮なく言って下さいね」
すぐに手配をしますから、と太っ腹。
サム 「おーし、飲むぞ! おっ、キース!」
マツカ 「お帰りなさい。シロエはどうなったんです?」
キース 「本堂の柱に縛って、暖房をオフにして来た!」
一同 「「「うわー…」」」
外は雪だし酷寒地獄だ、と一同、ガクブル。
本堂ですか…。
2021/01/13 (Wed)
☆楽しくお正月
元日からキース君を見舞った災難、お次はシロエ君が災難。
狸寝入りで切り抜ける筈が、本堂の柱に縛られ暖房もオフ。
ジョミー「それってさあ…。凍死しないかな?」
キース 「もっと寒い所で修行している坊主は多いぞ」
ブルー 「なんと言っても、屋内だしね」
放置でオッケー、と生徒会長が立てる親指。
ブルー 「とはいえ、多分、今頃はさ…」
キース 「後悔MAXといった所か」
踊った方がマシだったろうな、とキース君も宴会の座に。
キース 「まあ、俺たちは楽しくやろう」
ジョミー「だよねえ、マツカの差し入れも凄いし」
ブルー 「その件だけど、君たち、未成年だよね?」
一同 「「「あっ…」」」
飲んでしまった、と顔を見合わせる御一同様。
ジョミー「も、もしかして、バッドトリップ…?」
キース 「今の時点で正気だったら、大丈夫そうだが…」
イライザ「お邪魔します…、って、あらっ、皆さん…」
いつの間にかお酒が沢山、とイライザさん、仰天。
マツカ 「す、すみません、ぼくが差し入れを…」
キース 「ウッカリ飲んでしまったらしい」
ブルー 「悪いけど、薬湯をお願い出来るかな?」
悪酔い防止に、と生徒会長。
イライザ「え、ええ、すぐにお持ちしますわ」
ブルー 「それと、本堂の柱にさ…」
シロエを縛ったから、そっちは放置で、と怖い台詞が。
イライザ「あらあら…。主人にも伝えておきますわね」
キース 「暖房もオフのままだぞ、おふくろ」
でないと罰にならないしな、とキース君が追い打ちで…。
イライザ「お待たせしました、薬湯ですわ」
一同 「「「ありがとうございまーす!」」」
イライザ「ごゆっくり、お楽しみ下さいね」
お正月ですもの、と料理も運んでくれまして。
キース 「いい正月になったな、今年は」
ジョミー「ホントにね!」
ぶるぅ 「シロエ、本堂で泣いてるよ?」
一同 「「「スルー!」」」
自業自得というヤツだ、と盛り上がる宴。
いいお正月ですね!
2021/01/14 (Thu)
☆お正月が済んだら
元老寺でのお正月は楽しく宴会、シロエ君だけ悲惨な結末。
それから日は経ち、シャングリラ学園のお正月行事も終了。
ジョミー「なんだかんだで、まだお正月って気分だよね」
ブルー 「そりゃまあ、昨日が小正月でさ…」
ぶるぅ 「今日は土曜で、お休みだも~ん!」
ゆっくりしてね、というわけで生徒会長宅に集う面々。
ぶるぅ 「んとんと、小豆粥は昨日だったし…」
ブルー 「今日は特別な行事も無いから、食事は普通だね」
キース 「此処の普通は、世間では御馳走だと思うがな」
サム 「だよなあ、ぶるぅの腕もいいしよ」
料理も菓子も美味いんだよな、とサム君、絶賛。
サム 「おーし、今日もドッサリ食うぜ!」
??? 「是非、お相伴に与りたいね!」
新年おめでとう、とソルジャー(会話表記はAブルー)が。
Aブルー「みんな、今年もどうぞよろしく!」
一同 「「「うーん…」」」
Aブルー「失礼だねえ、ちゃんと挨拶したのに!」
一同 「「「おめでとうございます…」」」
ちっともおめでたくないような、と一同、渋々、挨拶。
Aブルー「ぶるぅ、ぼくにも紅茶とケーキ!」
ぶるぅ 「オッケー!」
お客様だぁ! と喜ぶ無邪気なお子様。
ぶるぅ 「はい、どうぞ! 今年もよろしくねーっ!」
Aブルー「ありがとう、ぶるぅはいい子だね!」
それに比べて…、と赤い瞳がジロジロと。
Aブルー「君たちときたら…。まあ、いいけどね」
キース 「あんたの日頃の行いのせいだ!」
Aブルー「そうかな、今年も無事に煩悩ゲットだよ?」
除夜の鐘で流れたヤツを、ハーレイと、と弾ける笑顔。
Aブルー「お蔭でビンビンのガンガンでさ!」
ブルー 「その先、禁止!」
これだから君は…、と生徒会長、苦い顔付き。
ブルー 「少しくらいは反省したまえ、言動を!」
Aブルー「そうだね、本堂の柱は勘弁願いたいかな」
一同 「「「本堂?」」」
もしかしてアレか、と顔を見合わせる御一同様。
シロエ君の…?
2021/01/15 (Fri)