☆お花見は無理かも
さて、四月。毎年恒例の入学式も済んで、1年A組な面々。
じきに新学期スタートですけど、休日は生徒会長宅でして。
シロエ 「今年の桜は早かったですねえ、本当に…」
ジョミー「うん。入学式には、散ってるかもって思ったよ」
スウェナ「ギリギリ、なんとか持ちこたえたわね」
雨の日があったらアウトだったかも、とスウェナちゃん。
スウェナ「それに晴れても、風が冷たい日もあったもの」
サム 「だよなあ、お蔭で咲いてる期間は長かったよな」
キース 「流石に、週末までは持ちそうにないが…」
ジョミー「其処なんだよ! お花見がさ…」
今年は出来なくなりそうな気が、とジョミー君の心配顔。
ジョミー「もっと早くに行くべきだったよ、今年はさ…」
シロエ 「ええ。でも、それは不可能だったでしょう?」
よく考えてみて下さいね、とシロエ君が立てる人差し指。
シロエ 「なにしろ、普通に座れない人がいましたからね」
一同 「「「あー…」」」
キース 「す、すまん…」
俺のせいだ、とキース君、平謝り。
キース 「まさか、あそこまで長引くとは…」
ブルー 「尻餅ってヤツは怖いんだってば、ホントにね」
シロエ 「骨は大丈夫だったんですよね?」
キース 「そうなんだが…」
レントゲンも撮ったんだが、と副住職の深い溜息。
キース 「骨に異常は出ていなくても、痛みがな…」
ブルー 「あの時、無理をしちゃったからねえ…」
法要がトドメだったよね、と生徒会長、いえ、銀青様。
ブルー 「素直に治療を受けていればさ、今頃はさ…」
シロエ 「長引いていても、三日でしたよね…」
サム 「そう聞いたよなあ、効き目は神がかりってよ」
なんで使わなかったんだよ、とサム君、ブツブツ。
サム 「そうすりゃ、花見も行けてたんだぜ」
キース 「お前は、あの馬鹿に尻を任せられるのか?」
サム 「勘弁だぜ!」
キース 「ほら見ろ!」
俺だって勘弁願いたかったんだ、と副住職。
例の座薬ですね?
2021/04/01 (Thu)
☆大事を取りました
じきに新学期スタートな休日、生徒会長宅に来ている面々。
話題は週末のお花見でして、今年は桜が早かったわけで…。
サム 「でもよ、キースの尻さえ治っていればよ…」
ジョミー「今日だって良かったんだよねえ、お花見はさ…」
シロエ 「そうですよ。昨日が入学式でしたからね」
今日は休みで、明日から登校、とシロエ君も。
シロエ 「ですけど、キース先輩がですね…」
スウェナ「入学式で座りまくった後、どうなるかがねえ…」
マツカ 「誰にも分からなかったですしね」
キース本人でさえもです、とマツカ君は同情モード。
マツカ 「式の途中で立つというのは、難しいですし…」
スウェナ「其処なのよ。痛み始めても耐えるしかないし…」
サム 「再発したって仕方ねえ、って状況だしよ…」
シロエ 「今日は無理だ、ってことになったんですよね」
再発しなかったみたいですけど、とシロエ君。
シロエ 「とはいえ、モノがモノですからねえ…」
サム 「昨日は大丈夫でも、今日はダメってこともよ…」
マツカ 「ありそうですから、様子見ってことで…」
今日はブルーの家で過ごすことに…、とマツカ君の指摘。
マツカ 「ですから、仕方ないですよ、今日は」
ジョミー「分かってるけど、お天気もいいしさ…」
スウェナ「絶好のお花見日和だわねえ…」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 今から、何処かに行く?」
瞬間移動でパッとお出掛け、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
ぶるぅ 「お弁当なら、何か作るから!」
スウェナ「そうねえ、楽しそうだわね」
ジョミー「ダメだよ、そんなの!」
もっとゴージャスなのがいい、とジョミー君の反論。
ジョミー「いつもだったら、マツカがさ…」
サム 「うん、最高のプランをよ…」
提供してくれる筈なんだよな、とサム君も。
サム 「此処で普通に花見に行くとよ…」
ジョミー「負けっぽいってば!」
シロエ 「そうですね…」
ただのお花見で終わりですよね、という声が。
どうなる…?
2021/04/02 (Fri)
☆桜が無いなら
新学期スタートを控えた休日、生徒会長宅に集う御一同様。
今年は桜の開花が早くて、週末にお花見は難しそうでして。
ジョミー「いつもみたいな、豪華なお花見がいいんだよ!」
ブルー 「高級料亭のお花見弁当なら、ゲット出来るよ?」
マツカじゃなくても、ぼくの顔で、と生徒会長の申し出。
ブルー 「流石に、お座敷は埋まっちゃってるけどさ」
マツカ 「ええ。ぼくも、手も足も出ませんよ」
予約済みのお客様が優先ですから、と御曹司。
マツカ 「板前さんの出張の方も、今からでは、とても…」
ジョミー「ほらね、ずいぶん格が落ちるし!」
そんなの嫌だ、とジョミー君の仏頂面。
ジョミー「この際、花は桜でなくてもいいからさ!」
一同 「「「えっ?」」」
ジョミー「藤でもいいし、なんでもアリでいいってば!」
お花見が出来ればいいんだよ、とトンデモな理論。
ジョミー「今から咲く花、色々あるしね!」
ブルー 「まあ、北の果てだと、そうだと聞くけど」
一同 「「「は?」」」
ブルー 「ヒグマがいるトコだよ、あそこのお花見はさ…」
桜とは限らないらしいよね、と生徒会長。
ブルー 「なにしろ、北国は春が一気に来るからさ…」
シロエ 「いろんな花が一度に咲くらしいですね?」
ブルー 「そう! だから、お花見は何でもオッケー!」
ライラックだろうが、アカシアだろうが、という北国流。
ブルー 「それでいくなら、ジョミーの理屈も通るよね」
サム 「北の方で花見って手もあるぜ?」
ジョミー「特別すぎると、来年からがつまらないよ!」
例年通りっていうのも大事、とジョミー君。
ジョミー「近場でお花見、そこが大切!」
ブルー 「チューリップでも?」
要は花なら何でもいいと、と生徒会長の問い。
ブルー 「ケシとか薔薇とか、そんなのでも…?」
ジョミー「桜が無いなら、他の花を見ればいいんだよ!」
キース 「お前なあ…」
何処かの国の王妃様か、と副住職のツッコミが。
確かに…。
2021/04/03 (Sat)
☆いつものがいい
入学式を済ませた休日、生徒会長宅に集っている御一同様。
今年は開花が早かった桜、週末にお花見は難しそうでして。
キース 「桜が無いなら他の花でいい、と来ればだな…」
シロエ 「パンが無いならお菓子を食べれば、ですよね」
ジョミー「王妃様でもかまわないってば、お花見が大事!」
それも近場でゴージャスに、とジョミー君のこだわり。
ジョミー「ホントに花は何でもいいって、薔薇でもね!」
サム 「薔薇は香りが強すぎねえか?」
スウェナ「それに、お弁当も和風は似合わないわよね」
シロエ 「そうですね…。ピクニックバスケットとか…」
そういう世界になりそうですよ、とシロエ君の見解。
シロエ 「仕出しと言うより、シェフが来てですね…」
ブルー 「ガーデンパーティーになりそうだけどね?」
サム 「うんうん、ビュッフェスタイルのヤツな!」
ジョミー「あー…。薔薇だと、そっちになりそうだよね」
それもなんだか、とジョミー君が顎に当てる手。
ジョミー「ちょっといつもと違い過ぎるし、ダメかな」
シロエ 「和風で行くなら、藤なんでしょうか」
キース 「藤は流石に、まだ咲かないぞ」
あれは青葉の季節だからな、と副住職。
キース 「チューリップや薔薇なら、今でもいけるが…」
ジョミー「だから、そういうのはダメだって!」
スウェナ「いいじゃないの、ビュッフェスタイルでも!」
サム 「そうだぜ、花は何でもいいんじゃねえのか?」
お前が自分で言ったくせによ、とサム君の指摘。
サム 「花さえ見られりゃ、桜でなくてもいいってよ」
ジョミー「言ったけどさあ、お花見っぽくないもんね…」
なんとか近場で普通にお花見、とブツブツブツ。
ジョミー「何かないかな、いつもみたいに出来るヤツ…」
マツカ 「あのぅ…。枝垂桜とかはどうでしょう?」
サム 「とっくに散った後じゃねえかよ!」
マツカ 「まあ、そうですけど…」
ぼくに案が、と割って入った御曹司。
でも、散ってますよ…?
2021/04/04 (Sun)
☆品種が違うんです
新学期スタートを控えた休日、生徒会長宅でお花見の相談。
今年は桜の開花が早くて、週末に行くのは難しそうでして。
ジョミー「あのさ、枝垂桜があるからってさ…」
サム 「遠出は却下、ってジョミーが言ってやがるぜ?」
マツカ 「いえ、その点なら、大丈夫です」
いつもと同じ別荘ですよ、と御曹司の笑み。
マツカ 「桜は散っていそうですけど、枝垂桜なら…」
シロエ 「えっと…? 枝垂桜は真っ先に散りましたよ?」
サム 「だよなあ、一番に咲き始めたしよ…」
今じゃ残っていねえじぇねえか、とサム君も。
サム 「それともアレかよ、育て方が違うのかよ?」
マツカ 「いえ、違うのは桜の品種です」
一同 「「「は?」」」
マツカ 「紅枝垂ですよ、あれだと咲くのが遅いんです」
花の色は濃いめですけどね、と御曹司。
マツカ 「桜色と言うには、ちょっと濃すぎる色ですよ」
キース 「あるな、そういう枝垂桜が」
スウェナ「そういえば…。それで有名なトコもあるわね」
他所の桜が終わった後で賑わうトコ、とスウェナちゃん。
スウェナ「あの別荘でも咲くって言うの?」
マツカ 「ええ。それに、此処より気温が低いですから…」
運が良ければ、普通の桜も少しくらいは、と頼もしい言葉。
マツカ 「紅枝垂で良ければ、手配をさせて頂きますよ」
ジョミー「やったね、今年も普通にお花見!」
??? 「その話、乗ったあ!」
ぼくも、と湧いて出たソルジャー(会話表記はAブルー)。
Aブルー「お花見に行くなら、ぼくたちもね!」
マツカ 「いいですよ。キャプテンと、ぶるぅもですね」
Aブルー「そう! 流石、マツカは話が早いね!」
御馳走も期待出来そうだしさ、とソルジャー、ウキウキ。
Aブルー「多少、桜が違っていてもさ、気にしないから!」
キース 「誰のせいだと思ってやがる!」
Aブルー「何の話さ?」
キース 「桜が違う件だ!」
大きな顔をしやがって、と副住職が顰める顔。
そういえば…。
2021/04/05 (Mon)
☆満開を逃した理由
新学期のスタートも間近な休日、生徒会長宅で過ごす面々。
週末はお花見に行けそうですけど、ソルジャーも登場で…。
Aブルー「えっと…? 桜が違うのは、お天気のせいで…」
キース 「なんだって?」
Aブルー「今年は暖かくて、いつもより早く咲いたから…」
早く満開になったんだよね、とソルジャー、しれっと。
Aブルー「だから、お花見シーズンの方もズレちゃって…」
キース 「まあ、その点は否定しないが…」
Aブルー「だったら、お天気のせいじゃないか!」
ぼくには全く関係無いね、とソルジャーの笑顔。
Aブルー「大きな顔をしたって当然、問題無し!」
キース 「馬鹿野郎! 天気だけなら、俺たちもだ…」
早めに行けば良かっただけだ、とキース君が吊り上げる眉。
キース 「例年よりも早めに行ったら、満開だったぞ!」
Aブルー「そうだろうけど、でも、行くのはさ…」
週末ってことになったじゃないか、とソルジャーの反論。
Aブルー「その日がいい、って思っただけのことだろう?」
キース 「そうなったのは、誰のせいなんだ!」
Aブルー「誰って…。強いて言うなら、君じゃないかと」
お尻を痛めていたからね、とソルジャー、キッパリ。
Aブルー「その筈だけれど、他に誰がいると?」
キース 「しらばっくれるな!」
あんたのせいで悪化したんだ、とキース君の怒声。
キース 「痛めた日に、法要で無理をしたからな!」
Aブルー「うーん…。でもさ、ぼくは薬を持って来たよ?」
それも神がかりな効き目のヤツを、とソルジャー、譲らず。
Aブルー「あの時、あれを使ってればさ…」
シロエ 「治ったでしょうね、劇的に…」
キース 「肯定するな!」
こんな野郎の言い分を、とキース君、ブチ切れ。
キース 「あんな薬が使えるか、馬鹿!」
Aブルー「よく効くのに?」
キース 「使い方に問題ありすぎだろうが!」
シロエ 「ですよね…」
そっちが問題でしたっけね、とシロエ君も。
効く薬なのに…。
2021/04/06 (Tue)
☆スキルが無くても
新学期スタートを控えた休日、生徒会長宅に集う御一同様。
週末はお花見に行けそうですけど、ソルジャー登場でして。
Aブルー「使い方って言われても…。普通だったよ?」
キース 「あんたがやると言い出すからだ!」
Aブルー「だって、デリケートな薬だったし…」
キース 「俺も痒いのは勘弁だったが、それでもだ!」
あんたにしか扱えないような薬はダメだ、と副住職。
キース 「ぶるぅに頼むのも無理だったしな!」
シロエ 「座薬のスキルが無かったですしね…」
Aブルー「其処なんだよねえ、確かにぼくが一番だけど…」
他にも人はいたんだよね、とソルジャー、順に視線を皆に。
Aブルー「例えばシロエに頼むとかさ」
シロエ 「ぼくですか!?」
Aブルー「やっぱり、スキルはゼロなのかな?」
シロエ 「確かに、ゼロではありますけど…」
ぶるぅよりかはマシかもですね、とシロエ君が傾げる首。
シロエ 「もっとも、キース先輩が、どう思うかは…」
キース 「其処の馬鹿よりかは、遥かにマシだ!」
Aブルー「ほらね、シロエでも良かったんだよ」
キース 「うっ…」
気付かなかった、と言葉に詰まる副住職。
キース 「そうか、その手があったのか…」
シロエ 「でもですね…。法衣を着付けるスキルの方が…」
Aブルー「何を言ってるのさ、即効性のある薬だよ?」
シロエ 「あー! 治れば、キース先輩が自分で…」
着ればいいだけの話ですよね、とシロエ君、手をポンと。
シロエ 「ぼくも気付いていませんでした…」
サム 「あの状況だと、誰も気が付かねえと思うぜ」
Aブルー「ぼくも、あれだけ否定されちゃうとさ…」
提案する気にもなれなかったし、とソルジャー、しれっと。
Aブルー「というわけでね、ぼくは少しも悪くないから!」
キース 「くっそぉ…。俺としたことが…」
Aブルー「お花見、堂々と行っていいよね?」
キース 「仕方ない…」
俺が馬鹿だった、と後悔しきりな人。
文句は言えませんね…。
2021/04/07 (Wed)
☆仕入れ先の問題
新学期スタートが間近な休日、生徒会長宅に来ている面々。
週末はマツカ君の別荘でお花見、ソルジャーも行くことに。
キース 「そうか、あの時、誰かに頼んでいれば…」
Aブルー「法要の前に、痛みは消えていた筈なんだよ」
プラス塗り薬で完治は確実、とソルジャー、得意げ。
Aブルー「それを断ったのは君だし、自業自得だよね」
キース 「もう少し早く知りたかったぞ、その話を!」
シロエ 「ずいぶん長引きましたもんねえ…」
ジョミー「入学式も危ないかも、ってくらいにね…」
ホントに気の毒、とジョミー君たちも。
ジョミー「ついでに、ぼくたちも可哀想だけどね」
スウェナ「そうよ、早くに治っていたら、お花見だって…」
Aブルー「でもさ、桜が違うだけでさ、中身の方は…」
マツカ 「大丈夫ですよ、いつもと変わりませんから」
きちんと手配しておきますね、と御曹司。
マツカ 「お食事の方も、食材は多分、問題無いです」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 仕入れ先だけの話だもんね!」
マツカ 「ええ。その食材が旬の所を選ぶだけですし…」
例年より北の方かもですね、とマツカ君、穏やかな笑み。
マツカ 「今年はタケノコとかも早いですから」
Aブルー「そうなんだ? だけど、産地が違っても…」
ちゃんと美味しく出来上がるよね、とソルジャーの問い。
Aブルー「料理のプロだし、もう最高に!」
マツカ 「その筈ですよ」
ぶるぅ 「えっとね、方法は色々あるの!」
下ごしらえとか、調理法を変えるとか…、と元気なお子様。
ぶるぅ 「食材に合わせてお料理するのが、プロだもん!」
Aブルー「なるほどね! じゃあ、そういうことで…」
週末は楽しみにしてるから、とソルジャー、ニッコリ。
Aブルー「マツカ、よろしく!」
マツカ 「お任せ下さい、三人様ですよね」
Aブルー「そう! おっと、そこのお菓子を…」
ぶるぅ 「持ち帰り用だね!」
直ぐに詰めるね、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
いつも通りですね…。
2021/04/08 (Thu)
☆御馳走があれば
入学式を終えた後の週末はお花見、今年もマツカ君の別荘。
今年は桜が早かったですけど、紅枝垂なら見頃だそうで。
ぶるぅ 「かみお~ん♪ はい、お持ち帰り用のお菓子!」
Aブルー「ありがとう! それじゃ、週末にね!」
お花見、楽しみにしてるから、とソルジャー、お帰りに。
ジョミー「あーあ、今年も来るんだ、あの人…」
シロエ 「そのようですね…」
キース 「俺は貧乏クジを引かされた気がするぞ!」
あの馬鹿が、もっと早く来ていれば、とキース君の恨み節。
キース 「そうすれば俺は早く治って、花見の方もだ…」
サム 「いい時期に出掛けられたよなあ…」
スウェナ「そうねえ、やっぱりソメイヨシノが素敵だし…」
ブルー 「でもさ、ジョミーの台詞じゃないけど…」
花ならなんでもいいような気が、と生徒会長。
ブルー 「結局の所、楽しみなのは御馳走なんだし」
シロエ 「それは言えてますね…」
ジョミー「ゴージャスなのが素敵なんだよ!」
紅枝垂でも桜は桜、とジョミー君の笑顔。
ジョミー「マツカ、御馳走、期待してるからね!」
マツカ 「任せて下さい。いいお天気になりそうですし…」
サム 「今年も桟敷で花見だよな!」
マツカ 「ええ。桜を見ながら、お食事をして頂けます」
桜が違うのを除けば、例年通りですよ、と御曹司。
マツカ 「食事の方も、充分な量を用意しますから」
キース 「あっちのぶるぅは、胃袋に底が無いからな…」
ジョミー「異次元に繋がっていそうだよねえ、アレ…」
でも、食べさせておけば安心、とジョミー君が立てる親指。
ジョミー「食べてる間は、悪戯しないし!」
シロエ 「誰かさんだって、同じですよ」
さっき帰って行った人です、とシロエ君の指摘。
シロエ 「存分に食べて、大人しくして頂きましょう!」
キース 「それが一番平和だからな」
サム 「頼んだぜ、マツカ!」
マツカ 「了解です!」
皆さんもお楽しみに、とマツカ君が保証する料理。
期待ですね!
2021/04/09 (Fri)
☆揃うまで来ない人
やって来ました、お花見な土曜日。いいお天気で春の青空。
朝から生徒会長のマンション前に集合、次々到着する面々。
ジョミー「おはよう、みんな早いね!」
シロエ 「そりゃそうですよ、遅れたら文句が出ますしね」
キース 「どうだかな…。気にしていない輩もいるぞ」
一同 「「「あー…」」」
そういえば、と誰もが溜息。
スウェナ「誰かさんは、何も考えてないわよねえ…」
サム 「うんうん、一番に来た試しがねえよな」
ブルー 「それは仕方ないよ、ブルーの場合は」
こっちの状況はお見通しだから、と生徒会長。
ブルー 「無駄に早くは来ないと思うよ、揃ってからだね」
シロエ 「こっちの面子が全員…ですね?」
ジョミー「つまり、そろそろ来るのかな?」
Aブルー「ピンポーン!」
みんな、おはよう! とソルジャー登場。
Aブルー「予報通りにいいお天気だね、お花見日和!」
??? 「皆さん、よろしくお願いします」
お世話になります、とキャプテン(会話表記はA船長)も。
??? 「ぼくも、ぼくもーっ!」
ぶるぅ 「わぁーい、ぶるぅだあーっ!」
一同 (((やっぱり来た…)))
悪戯小僧が、と恐れられるお子様(会話表記はAぶるぅ)。
Aぶるぅ「ねえねえ、御馳走、沢山ある?」
マツカ 「ええ、いくらでもありますよ」
Aぶるぅ「やったぁ、沢山食べるもんねーっ!」
地球の食事は美味しいもん! とピョンピョンと。
Aぶるぅ「お花見、大好きーっ!」
A船長 「私も桜が楽しみでして…」
今年は桜が違うそうで、とキャプテンも期待している様子。
A船長 「紅枝垂だと聞いて、どんな桜かと…」
Aブルー「ぼくも楽しみにしてるんだよね」
怪我の功名というヤツに、とソルジャー、ニコニコ。
Aブルー「文字通り、怪我の功名だしねえ…」
A船長 「そうなのですか?」
Aブルー「うん、キースがさ…」
キース 「わーっ!」
言わなくていい、とキース君、真っ青。
そりゃまあ、ねえ…?
2021/04/10 (Sat)
☆見頃を過ぎたら
マツカ君の別荘でお花見な土曜日、ソルジャーたちも到着。
今年の桜は紅枝垂とあって、キャプテンも楽しみらしくて。
A船長 「怪我の功名というからには、お怪我を?」
Aブルー「そうなんだよねえ、気の毒にさ…」
キース 「だから、その話はしなくていいと!」
それより花見だ、とキース君、必死。
キース 「どうせなら桜の話題にしてくれ、頼むから!」
マツカ 「そうですよ。バスを御用意していますから…」
皆さん、バスの方へどうぞ、とマツカ君が助け舟を。
マツカ 「例年通り、バスの中でもお菓子や飲み物を…」
Aぶるぅ「かみお~ん♪ 桜餅とかもある?」
マツカ 「もちろんですよ」
Aぶるぅ「わぁーい、乗る、乗る!」
ぶるぅも早くぅーっ! と駆け出す、大食漢の悪戯小僧。
ぶるぅ 「凄いね、今年のマイクロバスもゴージャス!」
ブルー 「そりゃ、マツカだから…。ぼくたちも乗ろうか」
シロエ 「別荘まで優雅にドライブですよね」
サム 「うんうん、並みの観光バスとは違うからよ」
流石だぜ、とサム君も絶賛、一同、バスへと。
Aブルー「よしっ、今年もいい眺めの席!」
A船長 「窓も大きくて素敵ですね」
Aブルー「うん。窓からの桜も楽しみだよ」
ぶるぅズ「「かみお~ん♪ しゅっぱぁーつ!」」
走り出したバスですけれど、車窓の桜は桜吹雪か散った後。
Aブルー「えっと…。ホントに桜はおしまいなんだね」
A船長 「そのようですねえ…」
Aブルー「ということはさ、去年みたいな…」
お花見渋滞も無いのかな、とソルジャーの問い。
Aブルー「中継ヘリが来ていたけれど…」
マツカ 「そのシーズンは過ぎましたね」
観光地は混んでいるでしょうけど、と御曹司。
マツカ 「ただの混雑では、取材のヘリは来ませんよ」
Aブルー「そうなのかい?」
マツカ 「ええ。ニュースになりませんからね」
Aブルー「話題性が無いってことだね」
それは残念、とソルジャー、ガッカリ。
中継ヘリが好きだと?
2021/04/11 (Sun)
☆怪我が気になる人
マツカ君の別荘でお花見な週末、走り出したマイクロバス。
車窓の桜は見頃を過ぎた後、中継のヘリも飛んでいなくて。
シロエ 「中継ヘリって…。手を振りたかったんですか?」
Aブルー「去年の紅葉が楽しかったしさ…」
サム 「あー! 俺たちがヘリで出掛けたヤツな!」
ジョミー「中継ヘリと間違えられたんだっけね!」
手を振る人が多かったっけ、と誰もがピンと来た紅葉見物。
ジョミー「面白いから、中継ヘリのふりをしたっけ…」
Aブルー「思い出してくれた? だから、今日はさ…」
ヘリが来てたら手を振りたかったよ、と残念そうな人。
Aブルー「でも、飛んでないんじゃ仕方ないよね…」
A船長 「シーズンを過ぎているのは、確かですしね…」
桜吹雪か、散っているかですし、とキャプテンが眺める窓。
A船長 「とはいえ、違う桜が見られるそうですから…」
マツカ 「大丈夫ですよ、見頃だそうです」
Aブルー「やったね、ホントに怪我の功名!」
A船長 「その件ですが…。どうにも、気になってまして」
お怪我をなさったのですか、と心配そうなキャプテン。
A船長 「見たところ、お元気そうですが」
キース 「御覧の通り、俺は元気だが?」
A船長 「良かったです。せっかくのお花見ですからね」
Aブルー「其処なんだよねえ、ホントだったら…」
桜に合わせて、もっと早くに、とソルジャーが割り込み。
Aブルー「なのに、キースがダメだったからさ…」
A船長 「やはり、お怪我を?」
Aブルー「思いっ切り、派手にやっちゃってねえ…」
実は座れもしなかったんだよ、とソルジャー、暴露発言。
Aブルー「もう本当に大変でさ…」
キース 「だから、言うなと!」
その件は喋らなくていい、と焦りまくりなキース君。
キース 「俺なら、この通り、元気なんだしな!」
A船長 「ご無理なさっておられるのでは?」
キース 「そんなことはない!」
バスの振動でも大丈夫だ、と言ってますけど。
失言では…?
2021/04/12 (Mon)
☆蒸し返された話題
週末はマツカ君の別荘でお花見、マイクロバスでお出掛け。
車窓の桜は既に散り際、けれど別荘では紅枝垂が見頃とか。
A船長 「バスの振動、と仰いましたか?」
キース 「いや、その…。別に気にして貰わなくても…!」
過ぎたことだし、とキース君、失言に気付いた様子。
キース 「それよりも、マツカ…。いいバスだな、いつも」
マツカ 「道中でも楽しんで頂きたいですしね、皆さんに」
Aぶるぅ「かみお~ん♪ バスの中でも桜餅!」
ぶるぅ 「そだよ、抹茶も点てられるもん!」
ホントに最高、と悪戯小僧と「そるじゃぁ・ぶるぅ」も。
ぶるぅ 「路線バスだと、こんなの無理だし!」
シロエ 「ですよね、普通の観光バスでも無理ですよ」
ジョミー「いいよね、このバス!」
サム 「運転手さんの腕もいいよな、揺れねえしよ」
急カーブでも快適なんだぜ、とサム君も惚れるテクニック。
サム 「下手なバスだと、今のカーブとかよ…」
スウェナ「揺れるわよねえ、絶対に」
A船長 「そうでしょうねえ…。ああ、揺れると言えば…」
話が途中になってましたね、とキャプテンが蒸し返す話題。
A船長 「このバスだったら安心、という意味ですか?」
一同 (((忘れてなかった…)))
A船長 「路線バスだと、まだダメだとか…?」
座れなかったそうですし、と心配そうな視線がキース君に。
A船長 「ご無理はなさらない方が…」
キース 「だから、俺なら大丈夫だと!」
Aブルー「うん、治ったのは確からしいよ」
長引いちゃったみたいだけどね、とソルジャー、クスッと。
Aブルー「薬を使わなかったしさ…」
A船長 「なんですって!?」
薬は使うべきですよ、とキャプテン、真剣な顔。
A船長 「でないと治りが遅くなったり、こじらせたり…」
Aブルー「君だって、そう思うよねえ?」
A船長 「もちろんです!」
Aブルー「でもさ、キースは強情でさ…」
薬を断ったんだよね、とソルジャーの溜息。
だってねえ…?
2021/04/13 (Tue)
☆薬は使わないと
週末はマツカ君の別荘でお花見、マイクロバスで目的地へ。
紅枝垂が見頃らしいですけど、車内の話題は不穏な方へと。
A船長 「とんでもないです、薬を使わないなんて!」
キース 「いや、使ったが!」
Aブルー「嘘だよ、断ったじゃないか!」
キース 「あんたが言うのを断っただけだ!」
俺だって湿布くらいはする、とキース君、憤然。
キース 「おふくろに言って、ちゃんと出して貰った!」
シロエ 「そうだったんですか?」
キース 「尻餅の話は知っていたしな、おふくろも」
ジョミー「あー…。だけど、やっぱり長引いたよね」
無理をしたのが悪かったかな、とジョミー君。
ジョミー「もっと早くに手当てしてれば、少しはさ…」
マツカ 「そうですね、最初が肝心ですから」
A船長 「なるほど、尻餅事故ですか…」
その状態で無理をしたわけですね、とキャプテンの苦い顔。
A船長 「よくないですよ、尻餅は怖いんですからね」
Aブルー「痛いのに、立ったり座ったりしてたんだってば」
A船長 「なんと…! 私がいたら、止めていますよ」
どうして止めなかったんです、とキャプテン、非難の表情。
A船長 「あなたにしたって、よくご存じの筈ですが?」
Aブルー「だから薬を用意したのに、キースがさ…」
A船長 「使わずに断ったんですね?」
その結果、長引いてしまったと…、とキャプテンの溜息。
A船長 「皆さんも、何をなさってたんですか!」
シロエ 「あ、あのぅ…。その薬がですね…」
サム 「もう思いっ切り、厄介なヤツでよ…」
勧めたら俺たちが危なかったしよ、とサム君たち。
サム 「キースに恨まれるのは、間違いねえし…」
ジョミー「恨むどころか祟るよ、アレは!」
末代までね、とジョミー君、肩をブルッと。
ジョミー「でなきゃ、その場で殺されるとか…!」
A船長 「話が全く見えないのですが…?」
キース 「見なくていい!」
知らないままで済ませてくれ、と悲鳴ですけど。
通りますか?
2021/04/14 (Wed)
☆通じていない人
週末はマツカ君の別荘へお出掛け、豪華なマイクロバスで。
紅枝垂が見頃らしいんですけど、車内が不穏な情勢な今。
A船長 「見なくていい、と言われてもですね…」
Aブルー「ソレなんだよねえ、薬を断られたのも…」
A船長 「どういう意味です?」
見なくていいとは、とキャプテン、怪訝そうな顔。
A船長 「診察の筈がないですし…。ますます謎ですよ」
Aブルー「お尻だってば、キースのね!」
ぼくには見せたくないんだってさ、とソルジャーの暴露。
Aブルー「せっかく、薬を入れてあげると言ったのに!」
A船長 「はあ…。もしかして、その薬というのは…」
Aブルー「君も知ってる座薬だよ! 最高に効くヤツ!」
A船長 「アレですか! まさに神がかりな効能ですが…」
キースは断ったんですか、とキャプテン、呆れた様子。
A船長 「即効性で、ブリッジクルーの必需品なのに…」
Aブルー「そうだろう? ゼルはもちろん、他の人もさ…」
バンバン使っているのにね、とソルジャー、ブツブツ。
Aブルー「どうかと思うよ、断るだなんて!」
A船長 「お尻を見せたくなかった、と…」
背中ならまだ分かるのですが、と斜め上なキャプテン。
A船長 「敵に背中を見せるというのは、恥らしいですし」
Aブルー「うん、背中なら仕方ないけどねえ…」
お尻くらい、とソルジャーも乗っかる斜め上な発言。
Aブルー「減るモンじゃないし、見せてもさ…」
A船長 「そうですよ。私もお世話になってますしね」
何度、座薬を入れて貰ったことか、と頷くキャプテン。
A船長 「あなたは座薬のベテランですよ!」
Aブルー「その言い方は、ちょっと…」
ぼくが入れて貰う方みたいだし、とソルジャーの苦笑。
Aブルー「入れて貰うのは、君のアレなんだしさ」
A船長 「失礼しました…」
キース 「そんなヤツだから、嫌だったんだ!」
A船長 「と、申しますと…?」
何か問題でも、と首を傾げるキャプテン。
通じてませんね…?
2021/04/15 (Thu)