忍者ブログ
シャングリラ学園つれづれ語り

☆上手く使いたい


さて、七月。夏休みを控えた休日、生徒会長宅に集う面々。
話題はもちろん夏休みでして、何処へ行こうかと賑やかで。

シロエ 「マツカ先輩の山の別荘は、外せませんよね」
サム  「おう! 高原は涼しくて天国だしよ…」
ジョミー「あっちの別荘、誰かさんは絶対、来ないしね」
キース 「特別休暇が無理らしいしな」

流石に二カ月連続では…、とキース君、意地の悪い笑み。

キース 「あの馬鹿が来ないのは、いいことだ」
シロエ 「ですよね、それだけで気分が上がりますから」
ジョミー「そういえば…。先月は、あの人で上げたっけね」
スウェナ「そうだったわねえ…」

下僕にしたわね、とスウェナちゃんの相槌。

スウェナ「とはいえ、懲りてはいないと思うけど…」
キース 「シールドとエアコン係くらいは、楽勝だしな」
ジョミー「でもさ、文句ブツブツだったしさ…」
シロエ 「かなり気分が良かったですよね、あれは」

機会があったら、またやりたいです、とシロエ君。

シロエ 「誰かさんのサイオンを、上手く使えれば…」
ジョミー「ぼくたちも楽しくやれるもんねえ…」
キース 「まったくだ。馬鹿とハサミは使いようだしな」

是非とも上手く使いたいものだ、とキース君も。

キース 「俺としては、今月は、切実にだ…」
サム  「使いてえ何かがあるのかよ?」
キース 「気が付かないのか、来月はお盆だぞ?」
一同  「「「へ?」」」

お盆だったら何だと言うんだ、と誰もがキョトン。

サム  「お盆って…。棚経は来月だぜ?」
ジョミー「其処で使うんなら、分かるけどさあ…」

暑いもんね、とジョミー君。

ジョミー「エアコン完備で走りたいよね」
サム  「自転車だしなあ…」

サイオンで涼しくして欲しいよな、とサム君の視線が窓へ。

サム  「今から、これだけ暑いとよ…」
ジョミー「地獄だよねえ、絶対に…」
キース 「俺はとっくに地獄なんだが!」

まだ分からんか、とキース君の渋面。
どういう意味だと…?


2021/07/01 (Thu)

 

☆誰でも灼熱地獄


夏休みを控えて、何処に行こうかと生徒会長の家で相談中。
そういう面々なんですけれど、キース君は今が地獄だとか。

サム  「とっくに地獄って言われてもよ…」
ジョミー「暑いのは、誰でも同じだよ?」
シロエ 「此処はエアコン完備ですけど、外はですね…」
スウェナ「灼熱地獄っていうヤツじゃないの!」

夏だから仕方ないんだけれど、とスウェナちゃんの溜息。

スウェナ「これから当分、誰もが地獄を味わう季節よ」
シロエ 「キース先輩に限った話じゃないですよね?」
マツカ 「本当に。年々、暑さが酷くなりますしね」

こればっかりはどうしようも…、と御曹司も。

マツカ 「キースの場合は、仕事着が暑いかもですけど」
サム  「あー…。法衣な、アレは暑いぜ、マジで」
ジョミー「見た目は涼しそうなんだけどね…」

夏のヤツだと生地が透けてるし、とジョミー君。

ジョミー「でもさ、下に着てるヤツが暑くって…」
シロエ 「そうなんですか?」
サム  「考えてみろよ、昔ながらのヤツなんだぜ?」

涼しくなる工夫なんかはねえよ、とサム君、ブツブツ。

サム  「仕立ても、それに生地だってよ…」
ジョミー「汗だくになったら、貼り付くしさ…」

それでも上の衣は涼しげ、とジョミー君の嘆き節。

ジョミー「あっちはダテに透けてないよね」
サム  「貼り付かねえように、ってことかもなあ…」
シロエ 「暑さを感じさせないように、じゃないですか?」

檀家さんとかに、とシロエ君の言。

シロエ 「暑苦しい人が来るよりはですね…」
スウェナ「涼しげな人の方がいいわね、確かに」
マツカ 「着ているキースは地獄でしょうけど…」
キース 「それは確かにあるかもだが…」

俺の地獄はソレじゃない、とキース君の仏頂面。

キース 「お盆の前には、俺は毎年、地獄なんだが?」
シロエ 「ですから、誰だって地獄ですよ」
キース 「暑さじゃない!」

忘れたのか、と眉を吊り上げてますけど。
何が地獄だと…?


2021/07/02 (Fri)

 

☆地獄が分かりません


夏休み間近で、生徒会長宅で何処に行こうか相談中な面々。
外は灼熱地獄ですけど、キース君は違う地獄にいるそうで。

キース 「毎年、今の季節になったら、言ってる筈だが!」
シロエ 「えーっと…? 何でしたっけ?」
マツカ 「お盆が来月というのが、ヒントなんですよね?」
キース 「ヒントも何も、お盆が地獄の原因なんだ!」

もう来月に迫っているしな、とキース君、キレそう。

キース 「しかも日に日に近付いてくるし、更に地獄で!」
スウェナ「お盆は、地獄がお休みなのよね?」
シロエ 「そうらしいですね、だからご先祖様とかが…」
マツカ 「お帰りになるので、棚経ですよね」

それが問題なんでしょうか、と御曹司が傾げる首。

マツカ 「休みに入る前には、仕事が増えるものですし…」
サム  「あー…。駆け込み需要みたいなヤツな?」
マツカ 「そうです、そうです。ですから、お坊さんも…」
シロエ 「忙しいのかもしれませんね…」

だったら地獄も分かりますよ、とシロエ君の相槌。

シロエ 「月参りのお経が長めになるとか、厳しそうです」
ジョミー「ただでも灼熱地獄だもんね…」
サム  「暑い中を回って、拘束時間も長めかよ…」

でもってエアコン、ついてねえのな、とサム君も。

サム  「棚経の時も、ご高齢者にはありがちだしよ」
ジョミー「団扇で扇ぐのが一番だと思ってるんだよね…」

おもてなし精神と敬意は有難いけど、とジョミー君。

ジョミー「こう、恭しく扇ぐよりはさ…」
サム  「やっぱ、一発、エアコンだよなあ…」
ジョミー「扇風機でもいいから、点けて欲しいよね…」
シロエ 「キース先輩、そういう苦労を先取りですか…」

棚経だけでもキツイのに、とシロエ君、同情の眼差し。

シロエ 「大変でしょうけど、月参り、頑張って下さいね」
キース 「月参りじゃない!」
シロエ 「違うんですか?」
キース 「大違いだ!」

よくも綺麗に忘れやがって、と叫んでますけど。
どんな地獄だと?


2021/07/03 (Sat)

 

☆出番が無いアレ


夏休み間近な御一同様、生徒会長宅でお出掛け先の相談中。
ただでも外は暑いというのに、キース君は更に地獄だとか。

シロエ 「忘れやがって、って言われてもですね…」
スウェナ「いったい何があるって言うのよ、月参りの他に」
キース 「お前たちとマツカは、まあ、仕方ないが…」

素人だしな、とキース君、ブツブツ。

キース 「しかしだ、サムとジョミーは許せん!」
サム  「なんだよ、言いがかりってヤツじゃねえかよ」
ジョミー「ホントだよねえ、当たり散らしちゃってさ…」
キース 「僧籍のくせに、忘れるんじゃない!」

来月はお盆だ、と副住職が吊り上げる眉。

キース 「お前たちも、棚経に回るだろうが!」
ジョミー「そうだけど?」
キース 「思い出さないのか、棚経と言えばだな…!」

其処まで叫んで、アッと口を押さえる人。

キース 「そ、そうか…。棚経で行った先の家には…」
ジョミー「どうかしたわけ?」
キース 「アレは、置かれていないんだった…」

アレの出番は施餓鬼会だった、と副住職が抱える頭。

キース 「つまり、本堂に置きっぱなしで…」
サム  「何の話だよ?」
キース 「俺を地獄に突き落とすヤツだ!」

今も絶賛、地獄なんだが…、と副住職。

キース 「棚経に行っても、アレは見ないか…」
シロエ 「アレって言われてもですね…」
ジョミー「分かんないよね、アレだけではさ」

ちゃんと名前を言わないと、とジョミー君のツッコミ。

ジョミー「おまけに、見たことないヤツなんだし」
シロエ 「まったくです。素人には見当もつきませんよ」
キース 「そうだった…! いや、待てよ?」

ジョミーと素人集団は別だ、と副住職がポンと叩く手。

キース 「お前たちの場合は、アレを毎年、見ているぞ!」
ジョミー「だからさ、アレだと分かんないってば!」
シロエ 「名称でお願い出来ますか?」
キース 「棚経の時なんだが!」

それで思い出せ、とヒントを出されましても。
どうしろと?


2021/07/04 (Sun)

 

☆地獄になるのは


生徒会長宅で夏休みの相談中な、シャン学メンバーですが。
キース君は今が地獄だそうで、地獄の原因が問題でして…。

シロエ 「思い出せって、棚経って何がありましたっけ?」
スウェナ「お仏壇でしょ、此処のは仮設のヤツだけど」
マツカ 「祭壇ですね、それから、花とお供え物と…」

例の仏様の位牌ですよ、とマツカ君が挙げるアイテム。

マツカ 「後は木魚と鐘でしょうか?」
シロエ 「それくらいですよね、あっ、蝋燭とお線香!」
スウェナ「他には、えーっと…。座布団かしら?」
マツカ 「お坊さん用のが要りますよね」

それで全部だと思いますよ、と御曹司。

マツカ 「この中で、キースが地獄になりそうなのは…」
シロエ 「ズバリ、座布団じゃないですか?」
一同  「「「座布団?」」」
シロエ 「先月、話題になってましたよ?」

雨の日の月参りで困る件で…、とシロエ君、流石な記憶力。

シロエ 「濡らしてしまうと申し訳ない、というヤツです」
ジョミー「あー、アレ! そっか、座布団なんだ?」
マツカ 「どう地獄かが、謎ですけどね…」
ジョミー「うーん…。棚経は汗だくになっちゃうし…」

汗で濡れるって話なのかも、とジョミー君、経験者の談。

ジョミー「この暑さだと、月参りでも気になるかもね…」
マツカ 「濡らさないように、気を遣うわけですね?」
シロエ 「家に入る前に、タオルで拭くのが必須ですか…」

それは確かに大変ですよ、と大きく頷くシロエ君。

シロエ 「玄関先のスペースが狭いと、無理ですし…」
ジョミー「だよねえ、玄関の前は道路とかさあ…」
スウェナ「ありがちだわよね、町の中だと」

郊外だったら別だけれど、とスウェナちゃんも。

スウェナ「座布団の苦労ね、キースも大変だわねえ…」
キース 「お前ら、わざとやっていないか!?」
ジョミー「真面目に考えてるってば!」
キース 「座布団は、何処の家にもある!」

限定アイテムではないぞ、と言ってますけど。
じゃあ、何だと?


2021/07/05 (Mon)

 

☆他所では見ないブツ


夏休み直前のシャン学メンバー、生徒会長宅で相談タイム。
何処へ行くかが問題ですけど、キース君は今が地獄だとか。

シロエ 「座布団じゃなくて、此処だけのヤツですか?」
キース 「他の家では見ないヤツだぞ」

さっきから言っているんだが、と副住職の渋面。

キース 「サムは仕方ないとしても、ジョミーはだな…」
シロエ 「何なのか、気付く筈なんですか?」
キース 「目が節穴でなければな、と言いたいんだが…」

節穴かもしれん、と深い溜息。

キース 「元々、やる気がゼロな所へ、厳しい暑さで…」
ジョミー「意識朦朧だよ、節穴とか言う以前にさ!」

流れ作業でこなしてるだけ、とジョミー君の膨れっ面。

ジョミー「家に入ったら、蝋燭とお線香、それだけだよ!」
シロエ 「そういえば、お経も口パクでしたね…」
キース 「未だに覚えないからな…」

そんな輩に期待するだけ無駄だった、と副住職。

キース 「素人集団にも、分からんと来たか…」
シロエ 「すみませんけど、素人ですから…」
マツカ 「棚経のことなんか、分かりませんよね…」

他所のお宅とどう違うのか、と御曹司も。

マツカ 「此処は、キースが指摘する方が早いですよ」
シロエ 「そうです、無駄なストレスも溜まりませんしね」
キース 「そのようだ。…俺が言うのは、卒塔婆なんだが」
一同  「「「卒塔婆?」」」

アレか、と誰もが見合わせる顔。

シロエ 「えっと…。アレって、此処だけですか?」
キース 「本来、施餓鬼会で供養するものだしな」

本堂に置いておくものだ、と副住職。

キース 「しかし、あの仏様のは置けないし…」
サム  「あー…。アドス和尚にバレるもんなあ…」

院殿号を出しちまったのが、とサム君、納得した様子。

サム  「そういや、棚経に行った先では見ねえな」
キース 「此処まで言えば分かるだろう?」
シロエ 「キース先輩の地獄ですか?」

何でしたっけ、とシロエ君が傾げる首。
分かりますかねえ?


2021/07/06 (Tue)

 

☆ストレスなのかも


夏休み間近なシャン学メンバー、生徒会長宅で行き先相談。
けれどキース君は今が地獄で、毎年の話らしいですけど…。

シロエ 「卒塔婆で地獄って、皆さん、分かりますか?」
マツカ 「アドス和尚にバレると怖い件でしょうか?」
スウェナ「それなら、バレなきゃ大丈夫でしょ?」

どうせ本堂には置かないんだし、とスウェナちゃん。

スウェナ「バレたら、大惨事だとは思うけど…」
シロエ 「そうでなければ、特に問題は無さそうですよ」
ジョミー「地獄ってほどじゃないよね、うん」
マツカ 「いえ、ストレスかもしれません」

バレるのでは、という恐怖がストレスに、と御曹司の指摘。

マツカ 「ストレスは馬鹿に出来ませんしね…」
サム  「あー…。胃がキリキリと痛むとかかよ」
シロエ 「頭痛や吐き気もあるみたいですよ」
ジョミー「うわー…。それは確かに地獄かもね…」

ただでも暑くて辛いのにさ、とジョミー君が竦める肩。

ジョミー「だけど卒塔婆は、書かないわけには…」
シロエ 「いかないですよね、お盆ですから」
マツカ 「本当に。キース、身体を大事にして下さいね」
ぶるぅ 「んとんと…。何か差し入れ、した方がいい?」

栄養がついて胃に優しいモノ、と気が利くお子様。

ぶるぅ 「何がいいかな、ウナギは味が濃いかもだし…」
マツカ 「ニンニクとかもキツイですしね…」
シロエ 「栄養ドリンクが一番じゃないですか?」

美味しいわけじゃないですけどね、とシロエ君の提案。

シロエ 「とはいえ、効き目は抜群ですから」
ぶるぅ 「でもでも、それって、ストレスに効く?」

頑張る時に飲むんじゃないの、と素朴な疑問が。

ぶるぅ 「キースにあげても、意味がないかも…」
キース 「俺としてはだ、欲しいくらいの勢いだが?」
シロエ 「ストレスで胃が痛いのに、ですか?」
キース 「誰もストレスとは言っていないが!」
一同  「「「えっ?」」」

じゃあ何なんだ、と誰もが見合わせる顔。
地獄って…?


2021/07/07 (Wed)

 

☆地獄と言えばコレ


夏休みを控えたシャン学メンバー、生徒会長宅に集う休日。
お出掛け先の相談ですけど、今は地獄なのがキース君で…。

シロエ 「ストレスじゃない、って…。地獄ですよね?」
キース 「その通りだが?」
ジョミー「じゃあ、何なのさ、その地獄って?」
キース 「お前たち、絶対、わざとだとしか思えんぞ!」

これだけ言っても分からんのか、と副住職が吊り上げる眉。

キース 「特にジョミーだ、卒塔婆の話をしただろうが!」
ジョミー「うん、書かないとヤバイよね?」

例の仏様のは激ヤバだけど、とジョミー君、肩をブルッと。

ジョミー「アドス和尚にバレたら怖いし、でも、アレを…」
シロエ 「スルーした場合、誰かさんがですね…」
スウェナ「もう、思いっ切り、怖いわよねえ…」

祟りどころの話じゃないわ、とスウェナちゃんも。

スウェナ「何が起こるか、想像する気も起こらないわよ」
シロエ 「まったくです。アレ、忘れないで下さいよ?」

きちんと書いて下さいね、とシロエ君の注文が。

シロエ 「卒塔婆だらけで大変でしょうが、アレは必ず!」
サム  「うんうん、最優先でもいいくらいだぜ」
マツカ 「ぼくからも、よろしくお願いしますね」
キース 「やっぱり、お前ら、わざとだろうが!」

ちゃんと分かっているくせに、とキース君、ブチ切れ。

キース 「俺の地獄は、まさにソレだぞ!」
シロエ 「…あの仏様の卒塔婆ですか?」
キース 「まだ言うか!」

地獄は卒塔婆書きそのものなんだ、と拳を握る副住職。

キース 「毎年、毎年、ノルマに追われて、生き地獄で…」
一同  「「「あー…」」」

そうだったっけ、と一同、納得。

シロエ 「まだ慣れないんですか、キース先輩?」
マツカ 「もっと早くから、計画的に書けばどうです?」
キース 「そうはいかないのが、坊主の世界のお約束だ!」
ブルー 「そうなんだよねえ、こればっかりは…」

坊さんあるあるの世界なんだよ、と生徒会長も。
卒塔婆書き地獄…。


2021/07/08 (Thu)

 

☆早めに書けない理由


夏休み間近なシャン学メンバー、生徒会長宅で行き先相談。
けれどキース君は地獄の住人、地獄の正体は卒塔婆書きで。

シロエ 「どうして早くから書けないんですか?」
ジョミー「だよねえ、いくら坊さんあるあるでもさ…」
スウェナ「マツカが言う通り、早めにやれば間に合うわよ」

どうして直前に書いてるわけ、とスウェナちゃんの問い。

スウェナ「ノルマがあるなら、数は分かるでしょ?」
マツカ 「ぼくも、そう思って言ったんですけど…」
サム  「早めに書いても、値打ちは下がらねえだろ?」

早期割引とかはねえよな、とサム君も。

サム  「業者に出してるわけじゃねえしよ…」
ジョミー「そういうのがあるなら、マズそうだけどね」
マツカ 「お中元とかだと、早くに頼むと割引ですけど…」

卒塔婆には当てはまらないでしょう、と御曹司。

マツカ 「なのに、どうしてダメなんです?」
キース 「業者と言うか、供給と言うか…」
一同  「「「は?」」」
キース 「卒塔婆の流通が問題なんだ!」

卒塔婆が無いと書けないだろうが、と副住職の渋面。

キース 「手元に届く時期というのが…」
ブルー 「あるんだよねえ、お盆は全国共通だから」

業者も、それに合わせて納入、と生徒会長、いえ、銀青様。

ブルー 「注文は早めに取り纏めるけど、お届けの方は…」
キース 「毎年、決まったシーズンになるな」

数日くらいは前後するが、と副住職の深い溜息。

キース 「纏め買いしないと、値段が馬鹿にならないし…」
マツカ 「それなら、仕方ないですね」
キース 「なにしろ、輸入品だしな…」
一同  「「「輸入品?」」」

何が、と一同、ポカーンとした顔。

ジョミー「輸入品って、まさか卒塔婆じゃないよね?」
キース 「今は卒塔婆の話だろうが!」
シロエ 「あれって、輸入品ですか!?」
キース 「完成品で入って来るぞ」
一同  「「「ええ…」」」

国産品じゃなかったのか、と誰もが仰天。
輸入ですって…?


2021/07/09 (Fri)

 

☆リッチなお寺なら


夏休みを控えたシャン学メンバー、生徒会長宅で相談な今。
行き先検討中ですけれど、キース君は卒塔婆地獄だそうで。

シロエ 「あのですね…。完成品って、どの辺がですか?」
キース 「卒塔婆の形ということだが?」
ジョミー「えっと…。いつも見ている、あの形なわけ?」
キース 「そういうことだな、卒塔婆だから」

届いた後は、書くだけでいい、と副住職。

キース 「そこまで仕上げて来るわけなんだし…」
ブルー 「大量に必要なお盆前には、作る方もね…」

多忙なんだよ、と生徒会長、いえ、銀青様も。

ブルー 「いわゆる、繁忙期というヤツでさ」
キース 「それに合わせて輸出するから、どうにも出来ん」

早めに買うなら割高なんだ、とキース君、ブツブツ。

キース 「だから何処でも、お盆の前に地獄なわけだ」
シロエ 「早めに買えるのは、リッチなお寺だけですか…」
ブルー 「違うね、リッチでも事情は同じだよ」
キース 「違うのは、人手が潤沢にあってだな…」

卒塔婆書きを丸投げ出来るところだ、と副住職の嘆き節。

キース 「人件費までは出せん、という寺でも…」
ブルー 「卒塔婆プリンターを買うっていう手がね…」
サム  「世の中、やっぱり金なのかよ?」
シロエ 「地獄の沙汰だけじゃないみたいですね…」

まあ、この場合も地獄ですけど、とシロエ君。

シロエ 「卒塔婆地獄を回避するには、お金ですか…」
キース 「俺の場合は、親父が大いに問題だがな」

卒塔婆プリンターくらいは買えるんだぞ、と副住職の言。

キース 「親父がパルテノンで遊ぶ金の一部があれば」
シロエ 「ケチなんですね?」
キース 「それに頑固なんだ!」

俺を使えばいいと思ってやがる、と叫んで、ハッと。

キース 「待てよ、使うと言えばだな…」
シロエ 「どうかしましたか?」
キース 「さっきの話だ、先月、便利に使った件だ」
シロエ 「何でしたっけ?」

便利に使ったって…、とシロエ君が傾げる首。
何の話…?


2021/07/10 (Sat)

 

☆借りればオッケー


夏休み間近なシャン学メンバー、生徒会長宅で行き先相談。
けれどキース君は地獄の住人、お盆を控えて卒塔婆書きで。

シロエ 「キース先輩、何の話です?」
キース 「あの馬鹿のことだ、バーベキューの時にだな…」
ジョミー「そうそう、エアコン係だっけね!」

大雨の屋上でカラッと除湿、とジョミー君。

ジョミー「シールドで雨を遮断しちゃって、クーラーも!」
シロエ 「ナントカとハサミは使いよう、でしたね!」
キース 「ソレだ、あの馬鹿を上手く使えれば…」
サム  「卒塔婆書きが楽になるのかよ?」

サイオンで卒塔婆プリンターとか、とサム君の問い。

サム  「何処かから、コッソリ拝借とかよ…」
シロエ 「夜の間とかなら、大丈夫な気がしますよね」
スウェナ「でも、消耗品はどうするのよ?」

プリンターにはインクが必須、とスウェナちゃんの指摘。

スウェナ「電力の方は、上手く誤魔化せたって…」
シロエ 「インク代が馬鹿になりませんよね…」

キース先輩の懐を直撃しそうです、とシロエ君も。

シロエ 「盗むってわけにもいきませんし…」
ジョミー「プリンターの音は、どうなのかな?」
サム  「あー…。アドス和尚にバレそうだよなあ…」

夜中は外も静かだしよ、とサム君、心配そうな顔。

サム  「キースの部屋は、防音じゃねえし…」
キース 「恐らく、音でバレるだろうな」
ジョミー「ダメそうだよね、プリンター…」
マツカ 「待って下さい、消耗品と音ですよね?」

それに電気代、と御曹司。

マツカ 「ぼくの家なら、いけますけど」
一同  「「「は?」」」
マツカ 「空いている部屋なら、ありますし…」

電気代とインク代も任せて下さい、と頼もしい申し出。

マツカ 「もう何本でも、刷って頂けますけれど?」
シロエ 「最高じゃないですか、キース先輩!」
ジョミー「これで卒塔婆は解決だよ!」
キース 「有難いんだが…」

その手は使えそうにない、と副住職の深い溜息。
何か問題が…?


2021/07/11 (Sun)

 

☆筆跡でバレます


夏休みを控えたシャン学メンバー、生徒会長宅に集う休日。
行き先相談だったんですけど、キース君の地獄の話から…。

シロエ 「使えないって…。何処がダメなんです?」
サム  「場所も費用も、マツカで解決するじゃねえかよ」
キース 「それはいいんだが、プリンターは機械だぞ?」
シロエ 「機械ですけど、それがどうかしましたか?」

使い方が分からないとか…、とシロエ君が傾げる首。

シロエ 「マニュアルなら、今どき、ネットでですね…」
ジョミー「見ればいいだけの話じゃないの?」
サム  「うんうん、仕様書とか、今はそうだしよ…」

型番を入れりゃ一発だろ、とサム君も。

サム  「それを見て、やればいいじゃねえかよ」
キース 「使い方じゃなくて、筆跡だ!」
一同  「「「筆跡?」」」
キース 「機械なんだぞ、フォントはあっても…」

筆跡が全く同じじゃないか、と副住職。

キース 「ついでに、俺の字にもならんし…」
マツカ 「アドス和尚にバレるんですね、印刷なのが…」
キース 「どう考えても、バレるだろうが!」

バレたら確実に殺されるぞ、とキース君、ガクブル。

キース 「あの馬鹿が、プリンターを拝借出来ても…」
ジョミー「バレたら、キースの命が無いよね…」
??? 「そうでもないと思うけど?」

お邪魔するよ、とソルジャー(会話表記はAブルー)登場。

Aブルー「ぼくを上手に使いたい、って?」
キース 「い、いや、それは言葉の綾で…!」

そうしようとは思っていない、と顔面蒼白なキース君。

キース 「ぶるぅ、お茶でもお持ちしてくれ!」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ お菓子もだね!」
Aブルー「ありがとう、ぶるぅはいい子だね!」

それに比べてキースと来たら…、とソルジャーが竦める肩。

Aブルー「舐めて貰っちゃ困るね、ぼくを!」
キース 「はあ…?」
Aブルー「要は、バレなきゃいいってコトだろ?」

アドス和尚に…、と言ってますけど。
何か方法があるとでも?


2021/07/12 (Mon)

 

☆照れてるんです


夏休み間近なシャン学メンバー、生徒会長宅で行き先相談。
けれどキース君は卒塔婆書きで地獄、其処へソルジャーが。

キース 「親父にバレないって…。あんた、出来るのか?」
Aブルー「ぼくを誰だと思っているのさ、君は」

まさか、本気で馬鹿だとでも…、とソルジャー、ジロリと。

Aブルー「いつも言ってるしね、あの馬鹿、ってさ」
キース 「そ、それは…!」
Aブルー「本気なのかな?」

ちょっと詳しく聞かせて欲しいね、と赤い瞳に不穏な光が。

Aブルー「前から気になっていたんだよねえ、君の本音は」
キース 「い、いや、あれは、言葉の…!」
Aブルー「綾って言うには、多すぎないかい?」

お約束と化している気が、とソルジャーのツッコミ。

Aブルー「いつ聞いたって、あの馬鹿、だしね!」
キース 「だ、だから…。枕詞というヤツだ!」
Aブルー「えっ?」

何だい、それは、とソルジャー、キョトン。

Aブルー「枕投げなら知っているけど、言葉って…?」
シロエ 「分かりやすく言えば、一種の定型文ですね」
Aブルー「定型文?」
シロエ 「冠詞と言うか、決まった言葉につけるんです」

今どき、流行らないんですけど、とシロエ君の助け舟。

シロエ 「それが出て来たら、続きの単語は決定ですね」
Aブルー「ふうん…? じゃあ、あの馬鹿と言えば…」
シロエ 「あなたのことだ、と分かる仕組みです!」

悪意は全く無いんですよ、とシロエ君。

シロエ 「直接、名前を口にするのは、恐れ多いですし…」
キース 「そういうことだ、実は、あんたを…」
Aブルー「敬ってる、って?」
キース 「敬いたいが、照れているんだと思ってくれ!」

そういうケースは多いだろうが、とキース君も必死。

キース 「こう、偉大なる、とか、つけたくても、だ…」
Aブルー「恥ずかしくて、あの馬鹿になる、と?」
キース 「そうなんだ!」
Aブルー「なるほどねえ…」

悪くないかな、とソルジャー、納得した様子。
セーフ…。


2021/07/13 (Tue)

 

☆バレない方法は


夏休みが近いシャン学メンバー、生徒会長宅で行き先計画。
けれどキース君は卒塔婆書きで地獄、ソルジャーも来て…。

Aブルー「あの馬鹿って、一種の誉め言葉なんだ?」
キース 「そんな感じだ、脳内で適当に置き換えてくれ!」

偉大なるとか、比類なきとか…、とキース君。

キース 「俺が自分で言うのは無理だし、そっちで頼む」
Aブルー「だったら、超絶美形がいいかなあ…」

なんと言ってもホントのことだし、とソルジャーの笑み。

Aブルー「こんな美形は、そうそういないよ」
キース 「なら、そうしてくれ。ときに、さっきの…」

親父にバレない話なんだが、とキース君、副住職モード。

キース 「あんたには、それが出来るんだな?」
Aブルー「もちろんだよ! 実に簡単なことだしね!」
キース 「どうやるんだ?」
Aブルー「サイオンを使って、アドス和尚にさ…」

ちょっと干渉すればいいだけ、とソルジャー、ニッコリ。

Aブルー「この卒塔婆はキースが書いたんだ、ってね!」
キース 「よく分からんのだが…?」
Aブルー「同じ筆跡になってバレる、って話だろう?」
キース 「その通りだが…」

なにしろプリンターだから…、と副住職の深い溜息。

キース 「あんたの世界はどうか知らんが、こっちでは…」
シロエ 「機械任せじゃ、筆跡は変えられないんですよ」
Aブルー「それでバレるというわけだよね?」

だったら、ぼくには楽勝だってば、とソルジャーの笑顔。

Aブルー「キースが印刷させた文字をさ…」
キース 「どうするつもりだ?」
Aブルー「ズバリ、コレがキースの筆跡だ、とね!」

アドス和尚に刷り込むだけ、と立てる親指。

Aブルー「そうしておいたら、もう絶対にバレないよ!」
シロエ 「あー…。キース先輩の字ですもんねえ…」
サム  「綺麗に揃った、いい字になるよな」
Aブルー「楽勝だろう?」
キース 「いや、それはマズイ」

大いにマズイ、とキース君、苦い顔付き。
何処がダメだと…?


2021/07/14 (Wed)

 

☆プリンターはマズイ


夏休み間近なシャン学メンバー、生徒会長宅に来てますが。
キース君は卒塔婆地獄の住人、ソルジャーまでが登場で…。

Aブルー「マズイって、何処がマズイのさ?」
シロエ 「完璧だと思いますけどね?」
サム  「アレかよ、謝礼の問題なのかよ?」

サイオンで細工して貰う分の…、とサム君の問い。

サム  「確かに、高くつきそうだけどよ…」
Aブルー「その点だったら、今回に限り、タダだけど?」
ジョミー「上手く使う、って話だったからかな?」
Aブルー「違うよ、人質がいるからだよ!」

流石のぼくも、人質がいては…、とソルジャー、溜息。

Aブルー「タダ働きでも、何も文句は言えないってば!」
シロエ 「…人質って、誰かいましたっけ?」
サム  「知らねえけど?」
スウェナ「第一、二人しかいないわよ?」

ぶるぅとキャプテン、とスウェナちゃんの言。

スウェナ「どっちも、此処には来てないじゃないの」
キース 「俺も、人質を取った覚えは無いが?」
Aブルー「そりゃ無いだろうね、これからだしね!」
キース 「これから?」

俺はそんなに凶悪じゃない、とキース君、心外な様子。

キース 「言いがかりは、やめて貰いたい!」
Aブルー「でもねえ…。卒塔婆を書いて貰えないとさ…」

真面目に困る、とソルジャー、ブツブツ。

Aブルー「棚経のために、心をこめて!」
一同  「「「あー…」」」

スッポンタケの卒塔婆のことか、と誰もが納得。

シロエ 「例の仏様には、手書きですか?」
Aブルー「当然だよ、プリンターはダメ!」
キース 「いや、プリンターは…」

さっきも言ったがマズイんだ、と副住職の渋面。

キース 「いいか、プリンターは市販品でだ…」
シロエ 「そうでしょうねえ…」

特注品ではないでしょうね、と頷くシロエ君。

シロエ 「でも、それが何か…?」
キース 「他の寺にも、同じ筆跡のがあるってことだ!」

俺が書いた筈の卒塔婆がな、と言ってますけど。
それは確かに…。


2021/07/15 (Thu)




拍手[0回]

PR
カレンダー
06 2025/07 08
S M T W T F S
27 28 29 30 31
最新CM
[06/12 みゆ]
[06/12 Qちゃん]
[06/09 みゆ]
[06/09 Qちゃん]
[05/15 みゆ]
最新TB
プロフィール
HN:
みゆ
性別:
非公開
バーコード
ブログ内検索
P R
カウンター
アクセス解析
カウンター
アクセス解析