☆悪戯タイム終了!
全校生徒が集まって来ていたグラウンドで繰り広げられた熱いキス。
教頭先生もゼル先生も、ショックのあまり唇が重なったままで硬直中です。
ブラウ 「うんうん、これで王子様はハーレイに決まりだね」
エラ 「ゼルにもメイクをしておきたかったわ…」
そしたらもっと見栄えが良かった、とエラ先生。
いやいや、亀仙人に目力メイクは似合いませんから!
そも、サングラスで肝心の目元が隠れてますから!
ブルー 「で、ガラスの靴はどうなるのかな?」
キース 「そうか、まだゼル先生が持ったままか…」
ブルー 「ぼくとパレードする条件はガラスの靴を履かせることだよ」
便所スリッパにキスをするのは前段階に過ぎないのだ、と生徒会長。
教頭先生、固まっている場合ではないようです。
早くしないと悪戯タイムが……って、キンコンカーンとチャイムの音が。
ブルー 「はい、おしまい。制限時間終了ってね」
ブラウ 「ハーレイ、ボケッとしている場合じゃないよ!」
エラ 「そうよ、パレードするんでしょ?」
教頭先生たちを両側から引き剥がすエラ先生とブラウ先生。
ようやく我に返った教頭先生、ゼル先生からガラスの靴を引ったくるなり
生徒会長の足元に跪いて。
ハーレイ「持って来たぞ、ブルー! ガラスの靴だ!」
ブルー 「それで?」
ハーレイ「足を出しなさい、履かせてやるから」
ブルー 「その台詞、もう少し早く聞きたかったな。時間切れだよ」
ハーレイ「…時間切れ…?」
ブルー 「うん。悪戯タイム終了までに、って言っといたよねえ?」
手遅れなんだ、と生徒会長は腕組みをして仁王立ち。
せっかく王子様の座を奪回したのに、教頭先生、パレードは無し。
ゼル先生とキスまで交わした結果がコレですか…。
ブラウ 「ありゃりゃ、パレードできないのかい?」
エラ 「あらあらあら…」
これじゃメイクも台無しだわ、とエラ先生たちも残念そうです。
ハロウィンの最後はパレードならぬガッカリ祭りで終わるのでしょうか?
2011/11/16 (Wed)
☆パレードの行方
生徒会長とのパレードの夢が砕け散ってしまった教頭先生。
グラウンドにへたり込んだまま呆然としておられます。
一方、亀仙人なゼル先生は…。
ゼル 「ペーッペッペッ、なんでハーレイとキスなんぞ…」
おえぇっ、と喚きつつ唇をゴシゴシ。
その唇には、教頭先生の唇を彩っていた口紅がしっかりくっついていたり。
生徒A 「フィナーレはカボチャの馬車でパレードだって聞いたのにさ」
生徒B 「だよなあ? みんな楽しみにしてたのに…」
カボチャの馬車が出現した時から期待されていたみたいです。
生徒たちの視線が集まる先には言い出しっぺの生徒会長。
キース 「おい、どうするんだ? みんなの期待を裏切る気か?」
ブルー 「ううん、パレードは決行するよ。ちょっと予定が狂ったけれど」
ジョミー「ああ…。教頭先生、失格だもんね」
シロエ 「じゃあ、ぼくたちの中の誰かが王子様ですか?」
ブルー 「それじゃ面白みに欠けるだろう? 王子様なら適役がいる」
教頭先生が持ってきたガラスの靴を履いた生徒会長はスタスタと。
片足が便所スリッパだった時とは違って実に優雅な足取りです。
ブルー 「折り入ってお願いがあるんだけどさ」
ブラウ 「おや、なんだい?」
ブルー 「メイクを頼みたいんだよ。思い切り見栄えするようなヤツ」
ブラウ 「あんたにかい?」
ブルー 「まさか。パレードの主役はシンデレラ姫と王子様だ」
エラ 「あら、パレードが見られるのね? 良かったわ」
ブルー 「だからね、せっかくキスも交わしたことだし、あの二人で」
げげっ、と仰け反る全校生徒。ブラウ先生たちも目が点です。
ブラウ 「じゃ、じゃあ……王子様をやるっていうのは…」
ブルー 「もちろん最初に権利を持ってたゼルの方!」
ゼル 「ま、待て! わしは確かに王子を希望じゃが、姫がじゃな…」
エラ 「あらまあ、私たちの腕の見せ所かもね」
頑張らなくちゃ、とエラ先生。
メイクの達人、再び登場! パレードに向けて期待大?
2011/11/17 (Thu)
☆シンデレラは誰だ?
なんとパレードの主役は教頭先生とゼル先生!?
しかもシンデレラ姫がカボチャ王子様な教頭先生だなんて、正気ですか?
ゼル 「わしゃ御免じゃ! ハーレイとパレードなんぞ御免蒙る!」
ブラウ 「見苦しいねえ…。あんたが王子を希望したんだろ?」
ブルー 「そうそう、便所スリッパにキスしてまでね」
ゼル 「そ、それはじゃな……シンデレラ姫がお前だったからで…」
ブルー 「ふうん、見かけで選ぶんだ? 王子様ってそんなのだっけ?」
ブラウ 「あたしは違うと思うんだけどね? ほれ、行くよ」
ゼル 「や、やめんかいっ!」
襟首を引っ掴まれたゼル先生、バタバタもがいておられます。
そこへ生徒会長が割って入って…。
ブルー 「ストーップ! ちょっと待った!」
ブラウ 「なんだい? メイクするなら急がなくっちゃ」
ブルー 「だから間違いなんだってば! メイクするのはゼルじゃない」
エラ 「あら、そうだったの? でも…」
ブルー 「ゼルは素材を生かしておきたいんだよ。亀仙人はハマリ役だし」
ブラウ 「じゃあ、ハーレイのメイクを直せってかい?」
ブルー 「うん。このままじゃシンデレラ姫には見えないじゃないか」
どこから見ても王子様だ、と生徒会長。
確かにカボチャの衣装にカボチャの王冠、ハロウィンカラーの王子様です。
ブラウ 「その格好が既に無理があるって感じだけどねえ?」
ブルー 「大丈夫。シンデレラ姫にはガラスの靴さえあれば…。ぶるぅ!」
ぶるぅ 「かみお~ん♪」
魔法使いの杖が一閃、カボチャ王子のオレンジ色の靴がボワンと変化!
透き通ったガラスのハイヒールですが、黒いタイツに似合わないような?
おまけに履いているのはゴッツイ足の教頭先生。
生徒A 「なんて言うか……オカマ?」
生徒B 「メイクがアレでハイヒールだしな…」
おええっ、と笑い転げる生徒たち。
シンデレラ姫は教頭先生に決定ですけど、オカマのままで突っ走るのか?
それともメイクで絶世の美女に?
2011/11/18 (Fri)
☆カボチャなシンデレラ
ガラスの靴さえあればカボチャ王子でもシンデレラ姫だ、と生徒会長。
しかし足元だけがガラスの靴な上、目力メイクではオカマっぽいとしか…。
ブラウ 「これをどうしろって言うんだい?」
ブルー 「ブラウの腕に期待してるよ。シンデレラ姫に見えるようにして」
エラ 「服はどうにもならないのね?」
ブルー 「ハロウィンの主役はカボチャだからね、これは残したい」
ブラウ 「なるほどねえ…。それじゃ一発、頑張ってみるか」
エラ 「そうね、生徒たちも期待しているようだし」
ハーレイ「ま、待て! こ、これ以上、私にどうしろと…」
ブルー 「馬車でパレードしたかったんだろ? 夢が叶えばそれでOK!」
行ってらっしゃい、と手を振られては教頭先生もどうにもならず…。
ブラウ 「さあ、行くよ! シンデレラ姫に変身だ!」
ハーレイ「私はこのままで充分なのだが…。く、靴は履いたし…」
エラ 「グズグズ言わずにさっさとする! 男は諦めが肝心よ!」
教頭先生、引き摺られるようにして校舎の方へ。
グラウンドでは生徒たちがワクワクしながらパレード待ちです。
キース 「なんだか異様に盛り上がっているな」
ブルー 「うん。カボチャの馬車も大活躍になりそうだよね」
ジョミー「でも、教頭先生、どうなっちゃうの? オカマのまま?」
ブルー 「さあね。ブラウとエラの腕次第かな」
オカマでも別に問題ないし、と生徒会長は笑っています。
やがてブラウ先生たちに連れられて戻ってきたカボチャの王子様は…。
全校生徒「「「………」」」
ジョミー「あ、あれってコワイ…」
ブルー 「やっぱり美白の王子様で来たか。男装の麗人風ってトコだよね」
キース 「どこが麗人だ、どこが!」
ブルー 「知らないかい? 娘役のメイクはあんなものさ」
教頭先生、ドーランが白く輝くピンク系に。
更につけ睫毛が上にも下にもドカンと増やされ、目力の方もパワーアップ!
出ました、美白の王子様。いや、男装のシンデレラ姫…?
2011/11/19 (Sat)
☆王子様のチョイス
生徒会長曰く、美白の王子様は男装の麗人風だそうでございます。
カボチャの王冠にカボチャのパンツ、ハロウィンカラーでガラスの靴で…。
ブラウ 「ハーレイ、仕上げにコレを咥えておきな」
ほれ、と差し出したのは深紅の薔薇。
教頭先生、言われるままに咥えましたが、何処から見てもお笑いです。
全校生徒が爆笑する中、生徒会長がカボチャの馬車の扉を開けて。
ブルー 「さあ、パレードを始めようか。ゼル、姫を馬車へ」
ゼル 「心得た! 参るぞ、姫!」
亀仙人なゼル先生が威勢よく飛び出し、素早く姫の手を取って…って…
えぇぇぇっ!?
ブルー 「ちょ、ちょっと! シンデレラ姫はあっちだってば!」
ゼル 「いやいや、それでは世間が通らん。オカマな姫はお断りじゃ」
ブルー 「ぼ、ぼくだって男なんだけど!」
ゼル 「四の五の言わずに座らんかいっ! 馬車を出せいっ!」
カボチャの馬車に押し込まれてしまった生徒会長。亀仙人は得意げですが、
この展開に教頭先生が大人しくしているわけがなく…。
ハーレイ「ブルー! すぐに助けてやるからな!」
馬車の扉に取り付いた所へ駆け寄ったのはブラウ先生とエラ先生。
ブラウ 「おっと、薔薇を落としちゃいけないねえ」
エラ 「プロポーズに薔薇っていうのもアリよ。ブルーに渡せば?」
ハーレイ「う、うむ…。その手があったか! ブルー、私を選ぶんだ!」
ブルー 「え? ええっ?」
ハーレイ「私と一緒にパレードしよう。それともゼルの方がいいのか?」
ブラウ 「ええい、面倒だ。纏めてパレードしちまいな!」
エラ 「そうね、華やかでいいと思うわ。ゼルも両手に花なんだし」
ブラウ先生とエラ先生は教頭先生を強引に馬車に押し込みました。
亀仙人なゼル先生は生徒会長と教頭先生に挟まれて…。
ゼル 「な、なんでこういうことになるんじゃ!」
ブルー 「それはこっちが聞きたいよ!」
カボチャの馬車の中は大混乱。パレードの行方はどうなるのやら…。
2011/11/20 (Sun)
☆出発進行!
カボチャの馬車には主役が三人。
亀仙人な王子が一人とシンデレラ姫と、カボチャ王子な男装の姫とやら。
おまけにカボチャ王子はシンデレラ姫に薔薇を渡してプロポーズ中。
それを蹴飛ばす亀仙人やら、プロポーズを蹴るシンデレラやら…。
キース 「どうしろと言うんだ、こんなカオスを…」
ジョミー「でもパレードは期待されてるみたいだよ?」
全校生徒が「パレード!」「パレード!」と連呼しています。
とはいえ、どうやってカボチャの馬車を動かすのでしょう?
指図する筈だった生徒会長は馬車に連れ込まれてそれっきりですし…。
シロエ 「えっと…。動力源は無さそうですよね」
キース 「馬でも連れてくる気だったのか?」
ぶるぅ 「んと、んと…。引っ張るんだって言ってたよ?」
スウェナ「だから馬でしょ?」
ぶるぅ 「ううん、引っ張れば動くって! 何だったかなぁ…えっと…」
サム 「よし、落ち着いて思い出せよ」
ぶるぅ 「ん~と、ん~と……。カツオ?」
ジョミー「なにそれ…」
ぶるぅ 「違った、昆布だったかも! それとも煮干し…?」
シロエ 「そういう道具でどう引っ張れと言うんですか!」
キース 「まったくだ。せいぜい出汁が引ける程度で…って、山車か?」
ぶるぅ 「そう、それ! ブルーが出汁だよって!」
キース 「……ダシ違いだ。だが、それで言いたいことは分かった」
昆布でもカツオでも煮干しでもないが…、と馬車を調べるキース君。
シロエ君を呼び、何やらゴソゴソしていましたが。
キース 「これだ! この引き綱をくっつけるんだ」
シロエ 「あ、此処に金具がありますよ」
よいしょ、とシロエ君が馬車の前に太い引き綱を2本セットし準備完了!
ブラウ 「へえ…。その綱で引っ張るのかい?」
キース 「そうらしいです。祭りの山車の要領で」
ブラウ 「よっしゃあ! それじゃ、野郎ども、引っ張りな!」
パレードだ! と女海賊なブラウ先生。
ワッと生徒たちが綱に取り付き、カボチャの馬車の出発です~!
2011/11/21 (Mon)
☆馬車の内側
ごたついている王子様とシンデレラ姫を乗せ、カボチャの馬車は出発進行!
馬車を引くのは仮装した生徒と先生たちです。
まずはグラウンドを一周してから校内をパレードするようで…。
キース 「けっこう滑らかに動くもんだな」
シロエ 「造りがしっかりしてるんでしょう。乗り心地も良さそうですよ」
ジョミー「でもさ、乗り心地どころじゃないみたいだけど…」
馬車の中では亀仙人とカボチャ王子が罵り合いをしています。
ゼル先生ったら、両手に花ではないんですか?
ゼル 「ええい、横から割り込みおって! このオカマが!」
ハーレイ「オカマだと? 失礼な、これはシンデレラ姫のメイクだ!」
ゼル 「だったら姫らしくしとかんかいっ! 何がプロポーズじゃ!」
姫同士でプロポーズなぞは百合と言うのじゃ、という叫びが馬車の外まで。
うーん、普通だったら百合なんでしょうが…。
生徒A 「なんか百合とか言ってるぜ?」
生徒B 「生徒会長はともかく、教頭先生には無理がないか?」
生徒C 「教頭先生じゃラフレシアだよな…」
生徒D 「分かる、分かる。あれってデカくてキモイよな!」
教頭先生、ラフレシアだそうでございます。
デカくてキモくて肉が腐ったような匂いがすると名高い世界最大の花。
馬車の中にも聞こえたらしく、ゼル先生は勝ち誇り。
ゼル 「ほほう、ハーレイはラフレシアじゃと? 確かにキモイわ」
そのメイクといい、格好といい…、と笑い転げるゼル先生。
これで王子を自称するとは片腹痛い、とビシッと指を突き付けて。
ゼル 「いいか、王子はワシなんじゃ! 見ておれよ!」
ブルー 「いたたっ、何するのさ! 痛いってば!」
ゼル 「場所を譲れと言っておるのじゃ! 窓際はワシじゃ!」
生徒会長の足を踏みつけ、窓側に移ったゼル先生。
馬車の窓にガラスはありませんから、上半身を思いっ切りグイと乗り出し、
窓枠に腰を……って、まさかの箱乗り。
馬車の箱乗りとは驚きですけど、パフォーマンス?
2011/11/22 (Tue)
☆箱乗りの王子様
カボチャの馬車に箱乗りなさったゼル先生。生徒たちはビックリ仰天です。
転げ落ちたら大変だ、と馬車をストップさせたのですが…。
ゼル 「何をしておる、どんどん引っ張っていかんかいっ!」
キース 「で、ですが…。パレードは安全第一かと…」
ゼル 「なんじゃ、ハロウィン実行委員か。わしを誰だと思っておる!」
まだまだ若い者には負けん、とゼル先生は拳を振り上げています。
ブラウ 「まあ大丈夫じゃないかと思うよ、それに保険も入ってあるし」
キース 「保険ですか?」
ブラウ 「そうさ。ハーレイが言い出したんだよ、入るべきだって」
エラ 「備品が壊された時のためにと言っていたのだけれど…」
ヒルマン「生徒が怪我をすることもあるかと思って、色々検討したのだよ」
ブラウ 「そういうこと! ゼルが落ちても問題ない、ない」
パレード続行! と号令をかけるブラウ先生。
馬車が再び動き始めた途端、ゼル先生が大きな声を張り上げて。
ゼル 「ハロウィンの主役の王子はわしじゃ! このゼルが王子じゃ!」
このわしに清き一票を、と選挙運動の如くアピール開始でございます。
王子様コンテストなぞは誰も企画していませんが…。
ジョミー「なんなの、あれ…」
キース 「自己主張というヤツだろう。…ん?」
シロエ 「わわっ、教頭先生まで!?」
反対側の馬車の窓から教頭先生が顔を覗かせ、窓枠にグイと手をかけると。
ハーレイ「私が王子だ! ハロウィンといえばカボチャだからな」
この服を見ろ、とカボチャパンツで窓枠に腰掛け、こちらも箱乗り。
カボチャの馬車は亀仙人と美白の王子様の対決の場所となったようです。
ゼル 「黙れ、黙れ! なにが王子じゃ、オカマめが!」
ハーレイ「最初から私が王子なのだ! カボチャの衣装がその証拠だ!」
ゼル 「やかましいわ! シンデレラ姫にも捨てられたくせに!」
怒鳴り合う自称王子様たち。
なんとも賑やかなカボチャの馬車がゴトゴト進んでいきますよ~!
2011/11/23 (Wed)
☆うるさい王子様
箱乗りの亀仙人とカボチャな美白の王子様を乗せ、カボチャの馬車は前へ、
前へと進んでおります。
どちらも自分こそが王子だと主張して譲らず、どうにもこうにも…。
ジョミー「パレードってこういうものだっけ?」
キース 「俺が知るか! 言い出しっぺはブルーだからな」
シロエ 「いくら会長でも、こんなプランは絶対考えつきませんよ…」
キース 「だろうな、なんと言っても自分自身が巻き添えだ」
シンデレラ姫な生徒会長、馬車の中で完全に忘れられています。
教頭先生もゼル先生も自分をアピールするのに夢中。
これじゃ、どちらが王子様の座を獲得しても、姫に肘鉄を食らうのでは…。
マツカ 「いいんでしょうか、このままで…。ブルー、絶対怒ってますよ」
キース 「しかし、どうにも出来ないぞ。救出しようにも扉がアレだ」
サム 「どっちも塞がっちゃってるもんなぁ、教頭先生とゼル先生で」
ジョミー「扉が開かなきゃ逃げられないよね…」
さあ困った、と頭を抱えるシャン学メンバー。
生徒会長がブチ切れた場合、その矛先が何処へ向かうかは予測不可能。
フィナーレのパレードが台無しになれば、実行委員会のメンツ丸潰れです。
キース 「馬車と言うより選挙カーだな。ブルーも我慢の限界だろうさ」
シロエ 「王子をよろしくって連呼するより、会長を解放した方が…」
キース 「その方が株が上がると思うが、ヒートアップしているからな…」
そこまで頭が回らんだろう、とキース君は深い溜息。
亀仙人とカボチャ王子は大声を張り上げ、もはや騒音公害の域に。
とうとう生徒会長に耳栓を差し入れるという案が出ました。
ぶるぅ 「えっ、耳栓を用意するの? なんで?」
キース 「少しは音がマシになる。お前の力で届けてくれ」
ぶるぅ 「ブルーだったら大丈夫! 今からショーをするんだって」
実行委員「「「は?」」」
この状況でショータイムとは、いったい何事?
カボチャの馬車に閉じ込められた生徒会長、そんな余裕があるんですか?
2011/11/24 (Thu)
☆突然、ショータイム
選挙カー状態のカボチャの馬車に押し込められたままの生徒会長。
救出しようにも手も足も出ないシャン学メンバー、困惑中でございますが。
キース 「今からショーをやるとか言ったな? なんのことだ?」
ぶるぅ 「えっとね、ブルーが司会をしてくれって」
ジョミー「司会って何さ?」
ぶるぅ 「こんな感じで…って、キースがいいって言ってるよ」
キース 「俺!!?」
青天の霹靂というヤツですけど、流石はキース君、打ち合わせが済むなり
王子様たちの叫びにも負けない声を張り上げて。
キース 「パレードの最中ですが、ショータイムです!」
全校生徒「「「ショータイム?」」」
キース 「グレイブ先生のマントからお菓子を見習い、マジックショー!」
グレイブ「マジックショーだと? 誰がだ?」
ブラウ 「さてねえ? ハロウィン実行委員会かな?」
なんだ、なんだ…と騒ぎながらもカボチャの馬車は止まりません。
亀仙人と目力美白カボチャ王子も王子の主張を連呼したまま。
キース 「皆さん、ぶるぅパワーの素晴らしいマジックに御注目下さい!」
ブラウ 「おや、ぶるぅかい? こいつは期待できそうだ」
エラ 「だけど、どういうマジックかしら?」
キース 「只今より世紀の脱出大マジック!」
全校生徒「「「脱出マジック?」」」
キース 「シンデレラ姫、見事に馬車から抜け出せましたら盛大な拍手を!」
おおっ、とどよめく全校生徒。
箱乗り王子様たちが扉を塞いでしまった馬車からシンデレラ姫が大脱出?
キース 「では、皆さんでカウントダウン! スリー、ツー…」
全校生徒「「「ワン……ゼロ!」」」
ぶるぅ 「かみお~ん♪」
星の杖がサッと振られてカボチャの馬車に光の粉がキラキラと。
ブルー 「脱出成功!」
馬車の屋根の上にパッと出現したシンデレラ姫な生徒会長、優雅にお辞儀。
たちまち湧き起こる大きな拍手に生徒会長は御満悦です。
姫は脱出したようですけど、箱乗りの自称王子様たちはこれからどうする?
2011/11/25 (Fri)
☆箱乗りの王道
生徒会長、カボチャの馬車から大脱出。
立っているのは屋根の上なので教頭先生たちは気付いていません。
ゼル 「王子はわしじゃ! このゼルの方が男前じゃ!」
ハーレイ「ハロウィンにはカボチャ! 王子に相応しいのは私だ!」
相変わらずの怒鳴り合いに生徒会長は呆れ顔ですが、トンと屋根を蹴って
地面にストンと降り立つと。
ブルー 「やれやれ、姫はとっくに逃げたんだけどねえ?」
キース 「全く気付いていないようだぞ」
ブルー 「馬車の中なんか見ちゃいないしね。ホントに呆れた王子様だよ」
これはお仕置きが必要かな、とニヤリと笑う生徒会長。
ブルー 「せっかく箱乗りしたんだからさ、それっぽくしてもらおうか」
ジョミー「それっぽく?」
ブルー 「うん。箱乗りとくれば暴走しなくちゃ。そうだよね、ブラウ?」
ブラウ 「ああ、まあ……箱乗りと暴走はセットかもねえ」
ブルー 「祭りの山車にはスピードを競うヤツもある。張り切っていこう!」
キース 「な、なんだって?」
ブルー 「だから暴走! 校内一周、スピードの旅!」
箱乗りの王子様たちにはバランス感覚を競ってもらう、と言い切りました。
転げ落ちるなど言語道断、王子以前の問題で…。
ブルー 「保険には入ってあるんだろう? どっちが落ちるか楽しみだな」
ブラウ 「案外、同時だったりしてね。野郎ども、走れ!」
全校生徒「「「アイアイサー!!」」」
カボチャの馬車はガクンと揺れた後、一気に加速。
作りがしっかりしているとはいえ、暴走されると左右にガタガタ。
ゼル 「むっ、なんじゃ?」
ブルー 「見捨てられちゃった姫の仕返し!」
ハーレイ「い、いつの間に外へ…。仕返しだと?」
ブルー 「姫より箱乗りが好きなんだろ? 落ちないように頑張るんだね」
パレードのフィナーレは暴走馬車だ、と生徒会長は煽っております。
亀仙人もカボチャ王子もガタゴト揺られて暴走中。
とんだフィナーレになりそうですけど、これぞ箱乗りの王道ですよね!
2011/11/26 (Sat)
☆ハロウィン、閉幕!
カボチャの馬車は右に左にガタガタ揺れて爆走中。
亀仙人も美肌のカボチャ王子も、王子の主張どころではございません。
ゼル 「や、やめい! やめんかいっ!」
ハーレイ「と、止めてくれ! 頼む!」
ブルー 「知らないね。年甲斐もなく箱乗りなんかをするからだよ」
箱乗りと言えば暴走だ、と生徒会長は楽しげです。
馬車はますます加速して…。
ハーレイ「うわあっ!」
カボチャパンツは窓枠と相性が悪かったらしく、放り出された教頭先生。
はずみで馬車が大きく揺れて、ゼル先生も転げ落ち…。
ゼル 「ええい、馬鹿者、何をしておる! いててててて…」
ハーレイ「わ、私だって痛いのだが…」
ゼル先生が怒鳴り、教頭先生は腰を擦っておられます。
カボチャの馬車は一旦停止。
ブルー 「同時に転げ落ちたってトコに縁の深さを感じるねえ…」
運命の赤い糸で結ばれてるよ、と生徒会長。
ブルー 「本来、パレードはこの二人! 御成婚をお祝いしよう!」
ブラウ 「よっしゃあ! 野郎ども、姫と王子を馬車にお乗せしな!」
全校生徒「「「アイアイサー!」」」
亀仙人と男装のシンデレラ姫とやら、カボチャの馬車に押し込まれました。
馬車の屋根には「そるじゃぁ・ぶるぅ」とドレス姿の生徒会長。
ブルー 「さあ、フィナーレだ! ぶるぅが手作りキャンデーを撒くよ」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 福は~内~!」
魔法の杖が振られてキャンデーの雨が降り注ぎます。
カボチャの馬車は亀仙人とオカマな姫のカップルを乗せて粛々と…。
ゼル 「ええい、どうしてこうなるんじゃ!」
ハーレイ「ブルー、私が悪かった! 戻って来てくれ~!」
馬耳東風の生徒会長、馬車の屋根の上で豆まきならぬキャンデー撒き。
ぶるぅ 「福は~内! 鬼は~外~!」
ハロウィンといえば百鬼夜行。大事な主役の鬼を祓っていいんですかねえ?
キャンデーの雨は華やかですけど…。
シャングリラ学園初のハロウィン、御成婚パレードで閉幕です~!
2011/11/27 (Sun)
☆子供の特権
賑やかだったハロウィンも終わり、なべてこの世は事も無し。
シャン学メンバー、平和に暮らしているのですけど。
ジョミー「なんていうかさあ…。退屈?」
サム 「だよなあ、今月は特に行事も無かったし…」
ブルー 「そう? この間、ぶるぅの七五三に行ったじゃないか」
ジョミー「行ったけど…。ぶるぅだけしか得しなかったし!」
キース 「七五三で得してどうする。千歳飴でも欲しかったのか?」
ジョミー「そうじゃないけど、ぶるぅって何度目の七五三なのさ!」
絶対ズルイ、とジョミー君。
なにしろ「そるじゃぁ・ぶるぅ」ときたら、三百年以上も生きています。
いくら外見が子供だからって、毎年七五三にお出掛けするのは反則かも…。
ブルー 「ぶるぅは中身も子供だからね、七五三には連れてってやりたい」
ジョミー「でもさあ…」
キース 「子供相手に膨れるな。お前は露店で食いまくったくせに」
ジョミー「ぶるぅも食べてた!」
ブルー 「やれやれ…。来年からはジョミーの分も千歳飴を買おうかな」
ぶるぅ 「えっ、ジョミーも一緒に七五三するの? わーい!」
一緒に御祈祷して貰おうね、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」は乗り気です。
ブルー 「だったら羽織袴も要るね。楽しい七五三になりそうだ」
ジョミー「ちょ、ちょっと…。そういうんじゃなくて、もっと、こう…」
スウェナ「あら、いいじゃない、七五三。小さな子供って得なのよ」
シロエ 「ですよね、ネバーランドにも行けますし!」
マツカ 「サンタクロースも来てくれますよ」
サム 「うんうん、いいこと満載だよな! お前、来年は七五三しろよ」
キース 「電車とかバスも子供料金で乗れるようになるぞ」
ジョミー「そっちは見た目で多分アウト…。って言うか、その場で補導?」
キース 「普通はな。…分かってるんなら七五三をするのは諦めろ」
ジョミー「誰もしたいって言ってないよ!」
だけど子供はお得かも…、と考え込んでいるジョミー君。
まさか来年、七五三デビュー?
2011/11/28 (Mon)
☆子供はお得?
「そるじゃぁ・ぶるぅ」の七五三が羨ましかったらしいジョミー君。
正確に言えば「子供はお得」と思っただけなんですけれど…。
ブルー 「いいねえ、ジョミーも七五三! 遠慮しないで来年やろうよ」
ジョミー「要らないってば! だけど子供って得だとは思う…」
キース 「まだ諦めがつかないのか。子供料金でバスに乗るべきだな」
シロエ 「運転手さんに叱られちゃえば一気に諦めがつきますよね」
ジョミー「だから、そういう話じゃなくて! 子供は得だって話なんだよ」
スウェナ「千歳飴でしょ? 分かってるわよ」
ジョミー「七五三じゃなくてクリスマス!」
全員 「「「クリスマス?」」」
七五三とクリスマスには共通点なぞございません。
そもそも七五三は神道でクリスマスとくればキリスト教。どう繋がると…?
ジョミー「小さい子供にはサンタクロースが来るんだよ。マツカも言った」
マツカ 「そ、それは確かに言いましたけど…」
サム 「ぶるぅの所にもサンタは来てるな」
ジョミー「でしょ? やっぱり子供ってお得じゃないか」
ぼくたちの年だとパーティーだけだ、とジョミー君はぼやいています。
ジョミー「幼稚園はクリスマス会をしてくれたけど、学校には無いし!」
キース 「そうか? 俺の幼稚園には無かったぞ」
シロエ 「えっ、そんなことはないでしょう! 忘れたんですよ、きっと」
キース 「いや、無かった。なにしろ異教徒の祭りだからな」
スウェナ「なんなの、それ…」
キース 「阿弥陀様がいらっしゃるのにクリスマスも何もないだろう」
シロエ 「そういえば、先輩が行ってた幼稚園ってお寺のでしたね…」
ブルー 「なるほどねえ…。厳格な園長先生だったわけか」
運が悪かったね、と生徒会長。
お寺の付属幼稚園でもクリスマス会をやる所は多いみたいです。
キース 「運が悪いって? 別にそうとは思わんが…」
元々寺とは無関係だし、とキース君。
でもクリスマス会の無い幼稚園なんて、子供には酷じゃないですか…?
2011/11/29 (Tue)
☆クリスマスそれぞれ
幼稚園時代にクリスマス会が無かったらしいキース君。
しかも本人がそれを不運だと思っていない所がなんとも哀れを誘います。
サム 「そうか、キースはクリスマス会を知らないのか…」
キース 「いや、まるで知らないわけではない」
ジョミー「そうなの? ああ、友達の家でっていうのもあるよね」
スウェナ「それはクリスマスパーティーでしょ? 別モノじゃないの」
シロエ 「ですよね、クリスマス会とは違いますよ」
クリスマス会と言えばサンタクロースがやって来て…、とシロエ君。
そうだそうだ、と思い出話に突っ走りそうになった所で。
キース 「やはりサンタクロースが来るものだよな」
マツカ 「なんだ、キースもちゃんと経験してるんですね」
シロエ 「あれ? でもキース先輩、小学校は地元なんじゃあ…」
キース 「そうだが、それがどうかしたか?」
シロエ 「幼稚園にはクリスマス会が無かったんでしょう? だったら…」
ジョミー「小学校でサンタクロース? 地元のヤツで?」
スウェナ「それってちょっと凄くない? 珍しいわよ」
ブルー 「だよね、公立の小学校でサンタクロースはレアだと思う」
サム 「俺の小学校には来なかったな。やっぱ、お菓子をくれるわけ?」
キース 「もちろんだ」
ええっ、と驚くシャン学メンバー。
公立なのにサンタクロース、しかもお菓子のプレゼントつき。
キース君の幼稚園時代は不遇でしたが、小学校では恵まれたクリスマスを?
キース 「今でもハッキリ覚えているぞ。給食の時間になるとだな…」
ジョミー「サンタクロースが来るんだね?」
キース 「ああ。校長先生がサンタクロースの格好をして来て下さるんだ」
特別給食と言うんだぞ、と説明を始めるキース君。
サンタクロースが配りにくるのは『いりこスナック』。
カルシウムを摂って健康に! よく噛み締めて歯を丈夫に!
ジョミー「それ、クリスマス会じゃないと思う…」
何かが違う、と誰もがツッコミ。ユニークすぎるぜ、キース君!
2011/11/30 (Wed)