☆募金活動の拠点
クリスマス実行委員会ことシャン学メンバーの寄付金集め。
活動場所は中庭だそうでございます。募金箱は目立ってなんぼの精神から!
ブルー 「活動時間は昼休みと放課後ってことでいいよね?」
キース 「そうだな。朝は何かと慌ただしいし、それが妥当な線だと思う」
ブルー 「まずは準備をしなくっちゃ! 職員さんに頼んで小屋とか」
全員 「「「小屋?」」」
ブルー 「うん。クリスマスと言えば馬小屋だろう?」
キース 「それはキリストが生まれた場所じゃなかったか?」
ブルー 「まあ、その程度は常識だね。その馬小屋が要るんだってば」
ジョミー「馬小屋なんか何に使うわけ?」
ブルー 「募金活動の拠点だよ。これがなくっちゃ始まらないさ」
マツカ 「あのぅ…。それって教会の前とかにある馬小屋セットですか?」
シロエ 「馬小屋セット? 何ですか、それ?」
ブルー 「キリストの誕生を再現してある飾りだけど? 人形つきで」
クリスマスが近づくと教会の前に飾られるという馬小屋セット。
赤ん坊のイエスを囲んで聖母マリアとヨセフ、羊飼いなどが居並ぶそうで。
ブルー 「どうせなら華やかにやりたいよねえ、募金活動」
キース 「ちょっと待て! 馬小屋セットを飾ってお賽銭を集める気か?」
ブルー 「お賽銭? せめて献金と言ってほしいな」
キース 「細かいことはどうでもいい! あんた、募金と言っただろうが!」
ブルー 「募金だよ? 馬小屋セットを拠点にするって説明したけど?」
キース 「…寺や神社の賽銭箱と何処が違うと言うんだ、何処が!」
ブルー 「ん? あえて言うなら人形を置かないって所かな?」
全員 「「「は?」」」
ブルー 「人形を飾って献金箱を置くなんてことは出来ないだろう」
此処は教会じゃないんだから、と生徒会長。
ブルー 「やっぱり頭を使わないとね。寄付を募るなら、それなりに!」
募金活動に馬小屋セットは必須だとか。
けれど人形を置かないだなんて、それでも馬小屋セットですか…?
2011/12/16 (Fri)
☆馬小屋で募金
募金活動に馬小屋セットが必要だと言う生徒会長。
馬小屋は職員さんに作って貰うようですけれど、人形無しでどうすると…?
ブルー 「人形を置くと本物っぽくて宗教色がね…。ちょっと重すぎ」
シロエ 「でも、馬小屋だけが飾ってあっても通じませんよ?」
ジョミー「だよね、ブルーに馬小屋って言われても何か分からなかったし」
ブルー 「馬小屋だけだとそうなるけどさ。マリアとかが居れば大丈夫!」
全員 「「「え?」」」
ブルー 「一番最初に訊いただろう? マリアはジョミーでいいのかって」
ジョミー「ちょ、ちょっと待って! それってまさか…」
キース 「人形の代わりに人間だってか? ジョミーがマリア役なのか?」
ブルー 「ご名答。ぼくたちが馬小屋セットになりきるんだよ」
全員 「「「!!!」」」
ポカンと口を開けて固まっているシャン学メンバー。
けれど生徒会長は嬉々として…。
ブルー 「衣装はいつもの店で用意できるし、本格的なヤツにしようね」
キース 「なんでそういうことになるんだ!」
ブルー 「募金箱とか献金箱より、見世物の方が集金しやすい」
ジョミー「み、見世物って…」
ブルー 「だって見世物みたいなものだし! 投げ銭の代わりに募金箱に」
シロエ 「そ、それは……確かにウケるかもしれませんけど…」
ブルー 「絶対ウケる! 馬小屋のシーンは信者さんでなくても有名!」
ジョミー「だからって、どうしてぼくがマリアになるのさ!」
ブルー 「男女混合は駄目だと言ったじゃないか」
降誕劇をやる高校は男子校か女子校だ、と生徒会長は申しております。
男子校だとマリア役が女装、女子校の場合はヨセフ役が男装。
ブルー 「実行委員会は圧倒的に男子が多数。必然的にマリア役は女装!」
ジョミー「じゃ、じゃあ、スウェナは…」
ブルー 「募金係に決まっているだろう」
馬小屋セットの前で募金箱を持つのがスウェナだそうです。
ということは、他の面々は…? シャン学メンバーの運命や如何に!
2011/12/17 (Sat)
☆馬小屋の配役
馬小屋セットの人形の代わりにクリスマス実行委員会を使う、と生徒会長。
シャン学メンバー、目が点ですが。
ブルー 「降誕劇より簡単だよ。動かなくていいし」
ジョミー「で、でも…。なんで、ぼくがマリア…」
ブルー 「理由を言えばいいのかい? 君はタイプ・ブルーだろう?」
ジョミー「自覚ゼロだし! 思念波くらいしか使えないし!」
ブルー 「マリアも自覚ゼロだったんだよ、受胎告知の天使が来るまで」
ジョミー「それとどういう関係が!?」
ブルー 「とりあえず、ぼくとぶるぅを除けば唯一のタイプ・ブルーだし」
マリア役は特別な人間がやるべきだ、と生徒会長は主張しております。
ジョミー「だったらブルーがマリアじゃないか、ソルジャーだもの!」
ブルー 「ぼくは天使をやるんだよ。マリアより目立つ花形だしね」
美形には相応のポジションを、だそうでございます。
生徒会長が目立っていれば女子生徒たちが狂喜するのは間違いなしで…。
キース 「一応、理屈は通っているな。見世物な以上、より目立たないと」
ブルー 「分かってくれて嬉しいよ。注目を浴びれば募金が増える」
ジョミー「ぼくはマリアなんかイヤだってば!」
ブルー 「心配しなくてもヨセフはキースだ」
ジョミー「だから、そういう問題じゃなくて! …って、キース…?」
キース 「どうして俺がヨセフなんだ! ジョミーと組んだ覚えは無い!」
ブルー 「ヨセフは忍耐の人なんだよ。身重のマリアを押し付けられてさ」
シロエ 「ああ、世界一有名な寝取られ男とか言いますよねえ…」
ブルー 「うん。聖家族と言えば聞こえはいいけど、実態は悲惨」
キース 「それと俺とが、どう結び付くと!?」
ブルー 「悲惨じゃなくて忍耐の方さ。お坊さんになるべく忍耐の日々だ」
サム 「なるほどなぁ…。坊主頭にしろと言われたり、色々あるよな」
ブルー 「だろう? キースにピッタリのキャラなわけ」
生徒会長、独断と偏見で暴走中。
シャン学メンバーの明日はどっちだ!?
2011/12/18 (Sun)
☆配役決定!
生徒会長曰く、ジョミーがマリアでキースがヨセフ。
自分は天使ガブリエルをやると言ってますから、残る面々が演じるのは…。
ブルー 「後は羊飼いと三人の博士だね」
キース 「おい、俺とジョミーは決定なのか!?」
ブルー 「どうしても嫌なら君がマリアをやってもいいよ」
キース 「なんでそうなる!」
ブルー 「マリアは特別な人にしたいし、君は唯一の大学生だし…」
キース 「そういう特別扱いは要らん!」
ブルー 「じゃあ、ヨセフで」
ジョミー「ま、待ってよ、ぼくは? ぼくの立場は?」
ブルー 「キースがマリアを断った以上、君の代わりはいないんだけど」
ジョミー「酷いよ、なんで勝手に決めるのさ!」
ブルー 「…クジ引きとかジャンケンがいいのかい?」
シロエ 「ジョミー先輩、諦めた方がいいですよ。会長には勝てません」
サム 「そうそう、クジ引きもジャンケンも無駄だよな」
マツカ 「サイオンで細工されたらおしまいですしね」
キース 「畜生、他人事だと思いやがって!」
ジョミー「だけど、逆らっても無駄って所は当たっているよ…」
生徒会長、こうと決めたら一直線。
止められるような人も無ければ、止めるような命知らずもおらず。
ブルー 「博士はサムとマツカとシロエでどうかな? ぶるぅは羊飼いで」
ジョミー「そうだ、シロエが特別だよ! ホントは一学年下なんだし!」
ブルー 「早速衣装を誂えなくちゃね。馬小屋の手配と」
ジョミー「だからシロエが特別だってば! マリアはシロエで!」
ブルー 「馬小屋は多分明日には出来るし、衣装も急ぎでお願いしよう」
ジョミー「シロエはキースの後輩だし! キースのヨセフに似合うと思う!」
ブルー 「明日の放課後から練習だ。衣装が出来たら即、募金開始」
馬小屋が出来上がったら立ち位置とポーズを決めるそうです。
ジョミー君の叫びも空しく、配役は全て決定しました。
キース君はチャリティーだからと忍の一字で耐え抜く覚悟。
頑張れ、クリスマス実行委員会!
2011/12/19 (Mon)
☆馬小屋への道
生徒会長に一方的に配役を決められてしまったシャン学メンバー。
翌日、登校してみれば中庭でトンテンカンと職員さんたちが工事中。
ジョミー「ど、どうしよう…。本気で馬小屋作ってるよ」
キース 「ブルーがやると言い切った以上、諦めるしかないだろう」
シロエ 「いいんですか、キース先輩? 家はクリスマス禁止でしょう?」
キース 「それなんだがな…。おふくろに昨日、愚痴ってみたら…」
ジョミー「えっ、喋ったわけ? ヨセフをやるって?」
キース 「そうハッキリは言ってない。坊主にクリスマスは有りなのか、と」
サム 「有りだって返事だったんじゃねえか? ブルーも言ってたし」
キース 「……親父がサンタだったんだ……」
全員 「「「はぁ?」」」
キース 「青年会に入っていた頃、養護施設に慰問に行ってサンタの役を」
若かりし頃のアドス和尚、同じ宗派のお坊さんが集う青年会の一員でした。
歳末助け合いの一環として慰問に行った先が養護施設。
サンタに扮して子供たちにプレゼントを、と頼まれてしまって断れず…。
キース 「おふくろには宗教の壁を越えて働いてきた、と言ってたそうだ」
ジョミー「なにそれ! キースにはクリスマス禁止だったのに?」
キース 「上の決定には逆らえないのが坊主の世界だ。だから俺も、だ」
マツカ 「お坊さんとしては会長の方が偉いんでしたね…」
キース 「親父も通ってきた道だと聞けばやるしかない。ヨセフでもな」
開き直ったキース君。
一番強固に反対しそうな人物がやる気になってしまった以上、馬小屋でも
なんでもやるより他に道は無く…。
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 馬小屋、もうすぐ出来るって!」
ブルー 「キースの覚悟も決まって良かった。さあ、練習を始めようか」
ジョミー「馬小屋も出来上がってないのに、何の練習?」
ブルー 「大まかなポーズは決めとかないと。これがイエスで」
よいしょ、と床に置かれたミカン箱。
イエスが寝かされている飼い葉桶に見立てて練習開始~!
2011/12/20 (Tue)
☆いざ、馬小屋へ
シャン学メンバー、飼い葉桶に見立てたミカン箱を囲んでおります。
生徒会長がそれぞれの役に合わせてポーズを指導。
ブルー 「ジョミー、手はもう少し自然に合わせる! 柔らかくね」
仏像じゃなくて聖母だから、と注文がうるさい生徒会長。
ヨセフ役のキース君や三人の博士たちも表情に至るまでビシバシと…。
ジョミー「動いちゃダメって言われても! これってキツイ…」
ブルー 「顔に出すなと言った筈だよ、マリアは優しく微笑むだけ!」
そう言う生徒会長は天使ですから、後ろに控えて両手で星を掲げるそうで。
ブルー 「この辺に立てばいいのかな? スウェナ、1枚撮ってみてよ」
スウェナ「はーい! じゃあ、撮るわよ?」
パシャリと撮られた写真を元に生徒会長は皆のポーズを再検討。
そこへ職員さんから電話が入って馬小屋の建物が完成です。
生徒たちが下校した後で中庭に向かい、寒空の下で配置について…。
ブルー 「よし、今の表情とポーズを忘れずにね。動かないよう、厳かに!」
ぶるぅ 「えとえと、ぼくは動いちゃってもいいんだよね?」
ブルー 「子供は我慢できなくて普通! ぬいぐるみを持ってればOKだよ」
羊飼いだし、とニッコリ笑う生徒会長。羊のぬいぐるみも手配済みとか。
練習で疲れたシャン学メンバー、ヘロヘロになって下校しました。
しかし翌日、登校すると、校門で「そるじゃぁ・ぶるぅ」がお出迎え。
ぶるぅ 「かみお~ん♪ みんなのお洋服、出来てきたよ!」
キース 「もう出来たのか!?」
ぶるぅ 「だって急ぎの注文だもん! ブルーが今から練習だよ、って」
ジョミー「えっ、授業は?」
ぶるぅ 「お昼休みには募金活動! 頑張らないと間に合わないの!」
引っ張って行かれ、急いで着替えてポーズを取って…。
ブルー 「衣装も映えるし、いい感じだよね。誰でも募金したくなる」
写真を撮ってのチェックも終えて、いざ馬小屋へ。
寒風吹きすさぶ中庭だけに、衣装の下には貼るカイロですよ~!
2011/12/21 (Wed)
☆馬小屋、オープン!
シャングリラ学園、まだ4時間目の授業中でございます。
静まり返った中庭付近は人影も無く、スタンバイするには絶好のチャンス。
ブルー 「ほらほら、さっさと配置につく!」
ジョミー「さ、寒いんだけど…。なんだか雪も降りそうだし!」
ブルー 「雪が降るのは大いに歓迎。寒さは気合で吹き飛ばす!」
飼い葉桶にはイエスならぬキューピー人形が入っております。
それっぽく布で包んでますが…。
ブルー 「宗教色は排除しないとね? だからキューピー」
キース 「感謝する。他の宗教を否定はしないが、イエスだと気分が複雑だ」
ブルー 「どういたしまして。じゃあ、ヨセフっぽく包容力たっぷりに!」
他のメンバーにも注文をつけまくっている生徒会長。
募金活動中は原則として動くのは禁止。修行と思って耐えろだなんて…。
ブルー 「BGMに讃美歌を流すから、動くなら曲の切れ目にね」
シロエ 「でも飼い葉桶にひれ伏して戻るだけだなんて…。キツイですよ」
ブルー 「降誕劇と馬小屋セットのコラボなんだよ? 演出は大事だ」
ジョミー「博士役は歩けるだけマシなんだよ!」
キース 「俺とジョミーは飼い葉桶を覗き込むポーズが変わるだけだしな」
ブルー 「頑張りたまえ。ぼくなんかサイオンで宙乗りだよ?」
サム 「絶対ウケるぜ、天使が空を飛ぶんだもんな」
生徒会長、ぶるぅの不思議パワーと称して馬小屋の上を舞う予定。
純白の衣装も真っ白な翼も目立ちたがりにはピッタリです。
ブルー 「スウェナ、募金箱をよろしくね。4時間目が終わる」
キンコンカーン…とチャイムの音が。
馬小屋の奥から『きよしこの夜』が流れ、シャン学メンバー、ピタリと静止。
学食に向かう生徒たちが校舎から出てきて…。
生徒A 「え? ええっ?」
生徒B 「な、中庭でクリスマス!?」
スウェナ「クリスマス・チャリティーにご協力よろしくお願いしまーす!」
恵まれない子供たちに愛の手を、と活動開始。
果たして募金は集まるのかな…?
2011/12/22 (Thu)
☆募金活動、開始!
中庭に出現したクリスマス実行委員会による馬小屋セット。
讃美歌をBGMに厳かに座り、あるいは立っている面々は一気に注目の的。
生徒A 「へえ…。誰かと思ったらジョミーがマリアだ」
生徒B 「一応メイクもしてるのな。ちゃんと女に見えるのが凄い」
生徒C 「ジョミー君は可愛いの! だから似合うの!」
生徒D 「それより生徒会長よ! すっごく綺麗…」
メイクもしていないくせに輝いて見える生徒会長。超絶美形はお得です。
おまけに大天使ガブリエルときては目立たないわけがありません。
あまつさえ、『きよしこの夜』の曲が終わると…。
生徒全員「「「と、飛んだ!?」」」
スウェナ「そるじゃぁ・ぶるぅの不思議パワーです! 募金にご協力を!」
天使が空を舞う姿まで披露されては、財布の紐も緩むというもの。
募金箱にはチャリンチャリンと小銭が入れられ、お札を入れる女子生徒も。
言わずと知れた生徒会長ファンでございます。
ゼル 「ほほぉ…。中庭で何をやる気かと思うたら…」
グレイブ「なんとも派手にやっていますな。これは募金をしませんと」
ハーレイ「うむ。生徒たちが頑張っているのに知らんふりは出来ん」
ブラウ 「ちゃっかり目標額まで言ってたけどねえ、ブルーときたら」
エラ 「期待されてるのよ、大人の財力。募金してきましょ」
長老の先生方やグレイブ先生、ミシェル先生、シド先生に職員さんたち。
とりあえず今日の分はこれだけ、と言いつつ気前よく…。
ええ、クリスマス会の前日まで募金活動は続くのですから!
シャン学メンバー、昼休みに続いて放課後も中庭で頑張りました。
ブルー 「初日の目標額は達成だ。明日以降も今日のポーズを忘れずに!」
ジョミー「うえ~…。動けないのもメイクも、雪が降るのも勘弁だよ~…」
放課後は雪に降られてしまった馬小屋ですが、見物客も募金も増加。
やはりクリスマスには雪ですよね!
とはいえ、貼るカイロだけでは寒いですから、雪が降るのもほどほどに…。
2011/12/23 (Fri)
☆クリスマスな募金
サンタブーツの資金ゲットを目指して活動中のシャン学メンバー。
表向きはチャリティーですから、喜んで募金して貰えるよう努力あるのみ!
中庭の馬小屋は既に名物となっております。
ブルー 「いい感じに盛り上がってきてるよね。見物人も増える一方」
ジョミー「良くないよ! 写真も沢山撮られちゃったし」
キース 「そうか? 売り上げの一部を募金箱に入れてくれてるぞ」
シロエ 「写真部の人たち、あれで儲けてますもんねえ…」
スウェナ「便乗商法が出てくるなんてビックリよね」
本格的な衣装と馬小屋、イケメン揃いのクリスマス実行委員たち。
気付けば写真部が商売を始めておりました。
馬小屋セットを背景にしてプロ仕様のカメラで記念の一枚!
女子だけでなく男子生徒も大行列。
ブルー 「クリスマスカードに使いたいとも言ってきたよ」
ジョミー「えぇっ!? なんて返事したの?」
ブルー 「利益の半分を募金するっていう条件で許可したけど?」
ジョミー「じゃ、じゃあ……ぼくの写真が…クリスマスカードに…」
愕然としているジョミー君ですが、生徒会長はニコニコと。
ブルー 「ジョミー単独のカードも出回ると思うよ、マリア役だからね」
キース 「キューピー人形は上手いことカットされてるかもな」
ジョミー「それを言うならキースだって!」
ブルー 「残念でした。ヨセフは一人じゃ絵にならないし!」
マツカ 「マリアとセットで聖家族ですしね」
サム 「俺たちなんか博士役だし、全員集合でしか出番ないよな」
シロエ 「会長は単独の写真が飛ぶように売れるんじゃないですか?」
ブルー 「決まってるだろう。天使ガブリエルは花形なんだ」
おまけに美形、と生徒会長は自信満々です。
写真部製作のクリスマスカードは発売と同時に完売御礼、直ちに増刷。
もちろん売り上げからの募金もドカドカと…。
馬小屋セットで募金活動、正解だったようでございます。
写真部特製クリスマスカード、買いたい方は早めに並んで下さいね~!
2011/12/24 (Sat)
☆募金活動の成果
便乗商法まで登場してきた馬小屋セット。
校内にはクリスマスツリーやリースが飾り付けられ、華やいだ空気が漂う
中で明日は待望のクリスマス会!
もっとも生徒たちはクリスマス会の存在自体、全く知らないわけですが…。
ブルー 「今日でラストなんだし、張り切っていこう!」
キース 「募金も目標額を軽く超えたな。これで真っ当な寄付が出来る」
ブルー 「うん。サンタブーツは明日の朝には届くってさ」
シロエ 「サンタブーツの代金を超えた分は歳末助け合いに寄付ですよね」
ブルー 「そう。マザー農場で清算して匿名で、って頼んでたけど…」
サム 「何か問題があるのかよ?」
ブルー 「額が多いから学校の名前にしてくれるって。新聞にも載るよ」
スウェナ「いいわね、それ! サンタブーツだけじゃないのね」
マツカ 「募金してくれた人も喜びますよ、目標以上に集まったなんて」
ブルー 「だろう? だから最後まで気を抜かないで頑張ること!」
ジョミー「分かってるよ。ちゃんとマリアに徹するってば」
鏡に向かってメイクを始めるジョミー君。
最初の頃は生徒会長に無理やり塗りたくられていたのに、今では自前。
他の面々も写真部を意識し、お肌の手入れを念入りに…。
寒風で荒れた肌では写りがイマイチ、記念撮影組がガッカリですし!
生徒A 「今日で見納めかぁ…。なんか残念」
生徒B 「クリスマスって感じだものね。中庭だけ空気が違うのよ」
生徒C 「どんなに寒くても身動きしないし、凄いよな」
生徒D 「動く時だって綺麗すぎ! 天使なんか本物みたいでしょ」
寒さには貼るカイロ、身体は湿布だらけだという舞台裏。
それでも頑張るシャン学メンバー!
ようやく放課後、生徒たちが名残惜しげに募金を入れて下校してゆき…。
ジョミー「やった、終わった!」
ブルー 「ご苦労様。後はサンタブーツを待つだけ…ってね」
馬小屋から引き揚げ、冷えた身体を温めながら話題は明日のクリスマス会。
誰がサンタクロースをやるのかな?
2011/12/25 (Sun)
☆サンタの事情
今日は待ちに待ったクリスマス会、シャン学メンバーは朝からワクワク。
この日のために馬小屋セットで募金を集めていたのですから!
ジョミー「サンタは昼休みに来るんだっけ?」
ブルー 「ううん、放課後。後の授業に支障が出たら困るしね」
キース 「いりこスナックは給食の時間に配られていたが」
ブルー 「給食は自分のクラスで食べるものだろ? ここは高校」
サム 「そうか、学食ってヤツも多いしなぁ…」
ブルー 「だろう? 全員が揃う時間が短すぎるんだよ」
だから放課後、と言われて納得したジョミー君たちは教室へ。
生徒会長は例によって「そるじゃぁ・ぶるぅ」のお部屋でサボリです。
クリスマス会の存在を知らない生徒たちは今日も真面目に授業中。
その頃、長老の先生方は…。
ブラウ 「このサンタブーツを配るわけだね。凄い量じゃないか」
エラ 「もっと小さいかと思ってたけど…。ビッグサイズね」
ヒルマン「募金は目標額を超えたそうだし、大きなものが買えたのだろう」
ゼル 「わしの読みは正しかったわい! けっこうな力仕事じゃぞ」
ハーレイ「それはそうなのだが…。サンタを増やせばいいのではないか?」
ブラウ 「ダメダメ、人海戦術のサンタじゃ夢がない! サンタは一人!」
エラ 「そうよ、サンタは一人で充分!」
ハーレイ「……しかしだな……」
ゼル 「ええい、うるさい! ゴチャゴチャ言わずに働かんかいっ!」
どうやらサンタは教頭先生のようでございます。
小柄な方がサンタらしいかもしれませんけど、力仕事とくれば体力で勝負。
大量のサンタブーツを運びまくってもバテない身体が必要で…。
ブラウ 「衣装は届いているからね。ほれ、橇も作ってもらったよ」
エラ 「流石に全部は乗せられないし、2クラス分ずつくらいかしら」
ハーレイ「ふむ。タイヤは上手く隠してあるな」
試し引きをした教頭先生、満足そうでございます。
シャングリラ学園初のクリスマス会、間もなくサンタの登場ですよ~!
2011/12/26 (Mon)
☆サンタ登場!
早く放課後にならないものか、と首を長くして待つシャン学メンバー。
やっと6時間目の授業が終わり、後は終礼となった所で…。
ぶるぅ 「かみお~ん♪ メリー・クリスマース!」
ブルー 「やあ。今日は楽しい行事があるから来てみたよ」
いつの間にやら教室の後ろに机が増えておりました。
生徒会長と「そるじゃぁ・ぶるぅ」が席につくとグレイブ先生の登場です。
グレイブ「メリー・クリスマス、諸君!」
生徒たち「「「???」」」
グレイブ「募金活動、よく頑張ったな。マザー農場から御礼が来たぞ」
これからサンタクロースが各教室に回ってくる、とグレイブ先生。
募金の御礼にプレゼントと聞いてクラスメイトは大歓声!
学校中から喜びの声が上がっています。そしてシャンシャンと鈴の音が…。
ゼル 「メリー・クリスマス! マザー農場からのプレゼントじゃぞ!」
教室に入って来た真っ赤な衣装のサンタクロースはゼル先生。
それじゃ教頭先生は? 力仕事の橇とやらは…?
ゼル 「プレゼントは橇に載せてきたのじゃ。出でよ、トナカイ!」
生徒たち「「「教頭先生!?」」」
ゼル 「違う、赤鼻のトナカイじゃ! 間違えてはいかんぞ」
言葉遣いは正確に、と訂正しつつゼル先生は橇の方へと。
教頭先生の衣装はトナカイの着くるみでございます。大きな角と首には鈴。
鼻の頭は赤い絵の具でピカピカ光っていたりして…。
ジョミー「ゼル先生がサンタなんだ…」
ブルー 「ヒルマンかとも思ったけどねえ? 妥当な線かな」
ゼル 「ほっほーい! 良い子にはサンタブーツじゃぞ。ほれ、ぶるぅ」
ぶるぅ 「わーい♪ プレゼントだ、プレゼントだぁ!」
ゼル 「それと人生初のクリスマス会の子がいるそうじゃのう?」
生徒たち「「「えっ?」」」
ゼル 「誰じゃ、その子は? 元気一杯に手を上げんかいっ!」
ブルー 「ほら、キース。君のために企画したんだからね」
生徒会長、バッチリ根回し。キース君に挙手する勇気はあるのかな?
2011/12/27 (Tue)
☆サンタと交流
ゼル先生扮するサンタクロース、1年A組に登場です。
トナカイ役の教頭先生が引っ張る橇からサンタブーツを配布中ですが。
ゼル 「誰じゃ、クリスマス会を知らんのは? 人生の損失じゃぞ!」
ブルー 「キース、手を上げないとサンタブーツが貰えないよ?」
キース 「し、しかし…。俺は別に…」
ゼル 「クリスマス会も知らず、家にサンタも来なかったとは…」
寂しすぎじゃ、とゼル先生。
ブルー 「みんなに誤解されちゃうよ? サンタも来ない悪ガキかって」
キース 「だから違うと言っただろうが! 親父がサンタを断ったんだ!」
生徒たち「「「えぇっ!?」」」
ブルー 「やっちゃった…。自分で暴露しちゃったよ」
キース 「坊主がクリスマス無しで何が悪い! 寺とは関係ない行事だ!」
ゼル 「ほっほーい、メリー・クリスマース! プレゼントじゃ!」
キース 「あ…。ど、どうもありがとうございます」
サンタブーツを手渡されてしまったキース君。礼儀正しく深く一礼!
ゼル先生は満面の笑顔でキース君と握手し、他の生徒にもサンタブーツを。
ジョミー「良かったね、キース。サンタと握手ってスペシャルなんだよ」
キース 「そうなのか?」
ブルー 「子供に人気のイベントさ。一緒に記念撮影とかね」
キース 「知らなかったな…。だが、募金活動の成果が出たのはいいことだ」
クラスメイトたちはサンタブーツに大喜び。
中身は高校生向けのお菓子というのが嬉しいですよね。
ゼル 「さて、次のクラスに行かねばな。じゃが、良い子にはもう一つ!」
配り終わったゼル先生はキース君をビシッと指差して。
ゼル 「今までのクリスマスの分を取り戻したいとは思わんか?」
キース 「えっ? そ、その…。プレゼントだけで充分ですが…」
ゼル 「くぅぅっ、わしまで泣けてきたわい。なんと健気な…」
良い子に素晴らしい思い出を! とゼル先生はブチ上げました。
もしや自分のポケットマネーで何か余分にプレゼント?
2011/12/28 (Wed)
☆クリスマス万歳!
サンタクロースが家に来てくれず、クリスマス会の思い出も無いキース君。
よくぞグレずに成長した、とゼル先生は感動中。
ゼル 「クリスマス無しで育ったことを全く恨みもしないとはのう…」
キース 「家が寺なら当然です。坊主には普通のことですし」
ゼル 「いや、違う! ブルーに聞いたぞ、クリスマスをやる寺もある」
キース 「それは御住職の方針で…」
ゼル 「お前の家は違うのじゃろう? せめて学校で楽しまんかい!」
キース 「充分楽しかったです。募金活動の成果も出ましたし」
ゼル 「自分のことより募金とは…。まさに良い子の鑑じゃな」
ますますもって放っておけん、とキース君の手を握るゼル先生。
サンタクロースと二度目の握手がプレゼントですか?
すかさずジョミー君たちが携帯で撮影しておりますが…。
ゼル 「わしと一緒に来るがいい。サンタの橇でパレードじゃ!」
キース 「ええっ? そ、そこまでして頂くほどのことでは…」
ゼル 「遠慮はいかんぞ、思い出作りと聞いておる」
ブルー 「ほら、早く! サンタと一緒にクリスマスだよ」
ゼル 「橇には二人乗れる仕様じゃ、さあ行くぞ!」
先生の厚意を無にすることはキース君には出来ません。
言われるままにゼル先生の隣に座れば、ジョミー君たちが記念撮影を。
ゼル 「出発じゃあ! 引けい、トナカイ!」
キース 「きょ、教頭先生に余計な御負担は…」
ゼル 「心配無用じゃ! ぶるぅ、しっかり頼んだぞ!」
ぶるぅ 「かみお~ん♪」
フワリと宙に浮く橇と着ぐるみトナカイ。
シャンシャンシャン…と鈴が鳴り響き、次のクラスからサンタは窓辺に。
ゼル 「ほっほーい、メリー・クリスマース!」
窓から窓へ、校舎から校舎へと飛んでゆく橇は大人気!
教頭先生トナカイも赤い鼻を光らせ、スーパーマンの如く颯爽と…。
キース君の人生初のクリスマス会はサンタの橇で空中散歩。
貰ったサンタブーツと合わせて、最高の思い出が出来ましたよね~!
2011/12/29 (Thu)
☆いよいよ年末
キース君に素晴らしい思い出を残したクリスマス会。
翌日が終業式で、その後は祝日を挟んでお決まりのコースでございました。
そして迎えた大晦日。
ジョミー「久しぶり~! やっと大掃除から解放されたー!」
シロエ 「何処もこの時期、大変ですよね」
スウェナ「パーティー三昧との落差がね…」
シャン学メンバー、イブは生徒会長の家に泊まってパーティー。
クリスマス当日は「そるじゃぁ・ぶるぅ」のお誕生日でまたパーティー!
しかし、宴が終わればガッツリ現実。
マツカ 「皆さん、やっぱり大掃除ですか…」
ジョミー「マツカは関係ないもんね。家族で旅行だったっけ?」
サム 「羨ましいよな、御曹司! おっと、バスが来たぜ」
向かった先は元老寺。下車して山門へと歩く途中でタクシーが。
生徒会長と「そるじゃぁ・ぶるぅ」が乗っております。
ジョミー「いいなぁ、あっちはお迎えつきだよ」
スウェナ「ジョミーも立派な高僧になればタクシーが迎えに来ると思うわ」
ジョミー「やだよ、それ! バスで充分!」
サム 「だけどブルーは諦めてないぜ? あ、キースだ」
山門前に墨染めの衣のキース君が迎えに出ていました。
生徒会長に丁寧にお辞儀し、シャン学メンバーにはチラリと視線を。
キース 「同時に来たか。…クリスマスには世話になったな」
ジョミー「え? 何さ、今頃」
キース 「クリスマスカードなんか寄越しやがって! しかも連名で!」
ブルー 「ああ、アレ? お父さんたちにウケただろう?」
キース 「あんたの仕業だったのか…」
なら仕方ない、とキース君。
二日連続のパーティーを終えて帰ると写真部特製クリスマスカードが。
馬小屋セットの写真にアドス和尚は怒るどころか大感激。
宗教の壁を越えてよく働いた、と褒められて…。
キース 「大掃除の方も頑張れ、と来た。悲惨だったぞ」
お手伝いの人がやる筈の分までキース君が掃除。
筋肉痛になったらしいですけど、元老寺はスッキリ迎春準備完了ですよ~!
2011/12/30 (Fri)
☆みんなで大晦日
元老寺に勢揃いしたシャン学メンバー、目的は除夜の鐘撞きでございます。
宿坊に泊めて貰って初日の出も拝もうという魂胆。
キース 「大広間は残しておいてやったぞ」
全員 「「「は?」」」
キース 「大掃除だ! 宿坊の大広間と廊下がノルマだからな」
ジョミー「ちょ、なんで…!」
キース 「クリスマスカードの礼のつもりだったが、ブルーだったとは…」
しかし、とバケツに雑巾、箒を指差すキース君。
キース 「泊めてやるんだからキリキリ働け! 親父も賛成していたし」
ブルー 「そうそう、一年間の心の汚れを落とすつもりで綺麗にね」
全員 「「「そ、そんなぁ…」」」
キース 「ブルーとぶるぅは当然、免除。頑張れよ」
後で仕上がりをチェックする、とキース君は生徒会長と共に庫裏の方へと。
お掃除の達人の「そるじゃぁ・ぶるぅ」も行ってしまって…。
マツカ 「皆さん、また大掃除になっちゃいましたね」
サム 「マツカは大掃除は初体験だろ? 俺たちの分もやらないか?」
シロエ 「あ、丸投げはダメですよ! キース先輩にバレたら地獄です」
スウェナ「そうね、みんなで真面目にやりましょ」
というわけで、元老寺まで来ても大掃除。
頑張った後の夕食と年越し蕎麦の味は格別で…。
ブルー 「さてと、着替えてこようかな」
生徒会長、今年も除夜の鐘を一番最初に撞く役目です。
御自慢の緋の衣を纏い、キース君をお供に鐘楼へ。
ジョミー「今年もいい年だったよね」
サム 「おう! あ、ぶるぅもお供してるのか」
シロエ 「小僧さんの格好が可愛いですね」
スウェナ「ジョミーも誘われたのに断っちゃって…」
マツカ 「法衣を着るのが条件でしたし、無理ないですよ」
ジョミー「坊主は絶対嫌だからね! 除夜の鐘にもお願いする!」
そこで生徒会長が厳かにゴーンと最初の鐘を。
除夜の鐘は煩悩を払うものであって、祈願の場ではないのですけど…。
ともあれ、皆で並んで鐘撞き。
来年もいい年になりますように~!
2011/12/31 (Sat)