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シャングリラ学園つれづれ語り

☆謹賀新年


元老寺で除夜の鐘を撞き、宿坊に泊まったシャン学メンバー。
徹夜で遊ぶつもりでしたが、生徒会長に寺で騒ぐなと言われて寝ることに。
不満タラタラでもいつの間にやら寝てしまいまして…。

ぶるぅ 「かみお~ん♪ あけましておめでとう! 起床、起床ーっ!」
キース 「いつまで寝ている! 夜が明けるぞ!」

さっさと顔を洗ってこい、とキース君。既に墨染めの衣を着ております。
その後ろには「そるじゃぁ・ぶるぅ」と生徒会長、こちらは私服。

ブルー 「きちんと口を漱ぐんだよ? でないと歳神様に失礼になる」
全員  「「「はーい…」」」

寝グセも直して、と生徒会長は厳しく指導。
身支度が整う頃には東の空が赤くなっており、みんな早足で山門へ。

アドス 「よしよし、皆さん揃いましたな」
イライザ「二礼、二拍手、一礼ですよ。間違えたらお雑煮無しですからね」
ジョミー「えぇっ! ちょ、ぼく、自信ない…」
キース 「お前が毎年間違えるからだ! 二礼、二拍手、一礼だぞ」
ジョミー「さ、最初がお辞儀で…それから、えっと…?」
キース 「もういい。一人で茶だけ啜ってろ!」
ジョミー「ま、待ってよ、もう一度説明を…」
アドス 「黙らっしゃい!」

一喝するなりアドス和尚は深々と一礼。さあ、初日の出でございます。
生徒会長以下、揃ってお辞儀をしておりますが…。
二度目のお辞儀から全員が頭を上げない内に柏手の音がパンパンと。
フライング柏手は皆に無視され、残りの人々は一斉に柏手、そして一礼。

キース 「やっちまったな…」
ジョミー「ぼ、ぼく、ちゃんと二回目お辞儀してたし! 早すぎただけで!」
サム  「一回だろ? 見苦しいぜ、ジョミー」
スウェナ「私も見たわよ。一回しかお辞儀していなかったわ」
ブルー 「初日の出もマトモに拝めないなんて…。お雑煮は無しだ」
キース 「決定だな」
ジョミー「…嘘…」

お雑煮は無しと言われたジョミー君。
とんだ事態になっちゃいましたが、まずは新年おめでとう!

2012/01/01 (Sun)

 

☆新年を祝え


今年の元老寺の元旦は、初日の出へのお参りを失敗した人にはお雑煮無し。
ジョミー君、最初に二回お辞儀する所を一度で済ませて柏手を打ち…。
どうなるのかと戦々恐々、とりあえず庫裏の座敷へ移動です。

アドス 「では、皆さん。改めまして、あけましておめでとうございます」
全員  「「「おめでとうございます!」」」
アドス 「まずはお屠蘇からですな。銀青様、どうぞ」
ブルー 「ブルーでいいって言ってるのに…」

アドス和尚、生徒会長の杯にお屠蘇を注いでおります。
その後は皆に順番に。お雑煮無しと言われたジョミー君にも…。

アドス 「お屠蘇は縁起物ですからな」
ジョミー「え?」
イライザ「お雑煮は無しと言いましたでしょ?」
ジョミー「や、やっぱり本気でお雑煮無し!?」
アドス 「そうだと言いたい所ですがのう…。お雑煮も縁起物ですし」
ジョミー「よ、良かったぁ…」

お雑煮無しは脅しだったようでございます。
イライザさんが大きな鍋から漆塗りのお椀に取り分け、配られましたが。

ジョミー「…あのぅ…。これって何?」
イライザ「御覧のとおりサトイモですわ。カシライモと言いますでしょ?」
ブルー 「人の上に立つ頭になれるよう、頭芋だよね」
ジョミー「なんか芋しか入ってないけど…。お椀一杯にデカイのが1個!」
ぶるぅ 「頭芋は切ったらいけないの! 丸ごとなの!」
ブルー 「切ったら頭になれないと言うよ。丸ごとが常識」
イライザ「お餅は頭芋を食べ終えたら入れて差し上げますわ」
ジョミー「ぼくの芋だけ大きいんだけど! みんなお餅も入ってるのに!」
アドス 「お雑煮無しとはいきませんからな、特大のをどうぞ」
イライザ「きっと将来、立派な人になれましてよ。銀青様みたいに」
ブルー 「ビッグサイズの頭芋かぁ…。うん、高僧になれそうだよね」
ジョミー「やだよ、そんなの!」

お坊さんにはなりたくない、と除夜の鐘にお願いしたのにこの始末。
ビッグサイズの頭芋を食べれば高僧フラグが立つのかな?

2012/01/02 (Mon)

 

☆お雑煮とおせち


人の上に立つ頭になれるようにと、お雑煮に入れる頭芋。
皮を剥いたサトイモを蒸し、切らずに丸ごと供するというのが決まりです。
食べる時には祝い箸で割ってもいいのですけど、とにかく丸ごと。
この頭芋がジョミー君のお雑煮のお椀を埋めております。

ジョミー「うえ~…。頭になれなくってもいいから、小さいのにしてよ」
イライザ「お雑煮無しよりマシでしょう? 冷めない内に召し上がれ」
サム  「さっさと食った方がいいんでないの? 餅が貰えないぜ」
アドス 「冷めると不味くなりますぞ。他の皆さんはおせちをどうぞ」
ジョミー「え? ひょっとして、ぼく、おせちもダメとか?」
キース 「元老寺では雑煮の餅を食べ終えるまでは、おせち禁止だ」
ジョミー「なんなのさ、それ!」
アドス 「歳神様は鏡餅に宿られますのでな、お雑煮の餅も縁起物でして」
イライザ「ですから丸餅になってますでしょ? お餅も食べて下さいね」
ブルー 「ジョミーのお椀にお餅が入る余地は無いからねえ…」
キース 「頑張って頭芋を食うんだな。それから餅を入れて貰え」
ジョミー「酷いよ、こんな大きいの! 正月早々、苛めだよ~!」

頭芋は蒸しただけの里芋、味付けはしてありません。
いくら食べ盛りのジョミー君といえども、お椀を埋めるサイズはヘビーで。

ジョミー「や、やっと食べ終わった~!」
イライザ「良かったですわね、立派なお坊さんになって下さいね」
アドス 「次は餅ですぞ。おせちはその後ですからな」
ジョミー「よーし、急いで食べて次はおせちだ!」
サム  「あ、悪い。…ジョミーの分を忘れていたぜ」
シロエ 「大丈夫ですよ、まだまだ沢山ありますから!」
ジョミー「嘘つき! お約束のヤツしか残ってないし!」
ブルー 「人気のヤツから減っていくのは当然だろう」

黒豆や数の子などの定番品は豊富に残っております。
が、美味しそうだった中華や洋風おせちは食べ尽くされた後でした。
人の頭になる人間ならグッと堪えて我慢するべき…?

2012/01/03 (Tue)

 

☆おせちの落とし穴


正月早々、おせちを食べ損なってしまったジョミー君。
正確に言えば、いわゆる「おせち」は食べられましたが、中華風と洋風の
おせちは出遅れた間に完食されておりました。

ジョミー「なんでお代わりの分が無いのさ!」
キース 「中華と洋風はお前たちのために注文したヤツだ。他のは違う」
イライザ「お手伝いの皆さんと手分けして作りましたの。遠慮なくどうぞ」
アドス 「おせちは手作りが一番ですぞ。元老寺の伝統の味でしてな」
ジョミー「うう…。お煮しめなんかよりフォアグラコロッケ!」
キース 「貴様、おふくろを馬鹿にするのか!」
ジョミー「そ、そんなつもりじゃ…」
ブルー 「いけないねえ、人様の好意を無にするなんて。それも元日から」
アドス 「あまり感心しませんなぁ…。おっと、私はそろそろ失礼を」

檀家さんが初詣にいらっしゃるので、とアドス和尚が腰を上げました。
本堂に座ってお客様をお迎えするのが住職の大切な仕事だそうで…。

ブルー 「ジョミー。君もお手伝いしてきたまえ」
ジョミー「えっ、何の?」
ブルー 「初詣! イライザさんに失礼なことを言っただろう」
キース 「そうだな、謝罪は態度で示してもらおうか」
ジョミー「た、態度って…。ぼく、お寺の初詣なんか分からないし!」
アドス 「一年の計は元旦にありと申しますぞ。ぜひ御本尊様にご挨拶を」
ジョミー「は、初詣って…もしかしなくても、お参りから?」
ブルー 「当然だろう。朝のお勤めをしてから檀家さんをお迎えするんだ」
キース 「俺の法衣を貸してやるから着替えるんだな。まず形からだ」
ブルー 「そうそう、高僧への道は一日にしてならずってね」
ジョミー「ちょ、ちょっと! なんでお坊さんの格好まで…!」

そんなの嫌だ、と泣き喚いても無駄というものでございます。
キース君の部屋へ連行されたジョミー君、墨染めの衣と輪袈裟で変身完了。
これって高僧フラグというヤツですよね?
ビッグサイズの頭芋の御利益、凄い速さで現れましたよ~!

2012/01/04 (Wed)

 

☆お手伝いの少年


元老寺の伝統おせちに文句をつけたジョミー君。
おせちを作ったイライザさんに失礼な、と謝罪を要求されたから大変です。
詫びの気持ちは態度で示せ、と初詣のお手伝いをする羽目に…。
しかも墨染めの衣と輪袈裟で。

ブルー 「いいねえ、なかなか似合っているよ」
サム  「うん、けっこうサマになってるぜ。ホントに寺の息子みたいだ」
スウェナ「馬子にも衣装って言うものね。で、何をするの?」
ジョミー「知らないよ! でも最初は本堂でお勤めだって…」
キース 「ぐずぐずするな! 親父が痺れを切らすと怖いぞ」
ジョミー「わ、分かってるよ! でも…」

嫌なものは嫌なんだ、とジョミー君が言った所へドスドスと重い足音が。
座敷の襖がガラリと開き、アドス和尚が現れて…。

アドス 「遅い! 檀家さんがお見えになる前にお勤めと言った筈ですぞ」
ジョミー「お勤めも初詣も嫌だってば!」
アドス 「ほほう…。では、別の方法で謝罪をなさいますかな?」
ジョミー「えっ?」
アドス 「イライザ、剃刀とバリカンじゃ! 頭を剃って差し上げい!」
ジョミー「な、なんでいきなり…!」
アドス 「頭を丸めるのは詫びの王道というヤツでしてな」
キース 「馬鹿、早く親父に謝るんだ! でないと俺でも止められんぞ」
ジョミー「ご、ごめんなさい! ごめんなさい~っ!」

坊主頭よりはお勤めの方がマシというもの。
本堂に出掛けて行ったジョミー君、お勤めの後は初詣のお手伝いです。
とはいえ、ただの下っ端だけに…。

ジョミー「さ、寒い…。なんか雪まで降って来てるし…」
檀家さん「あけましておめでとうございます」
ジョミー「あ、あけましておめでとうございます! 中へどうぞ」

ジョミー君、寒さでガチガチ歯を鳴らしながら本堂の外で下足番。
本堂の中ではアドス和尚とキース君が檀家さんとコタツで談笑する声が。
貼るカイロも無いジョミー君の心境はマッチ売りの少女でございます。
あと何足の履物を揃えたら暖かい所に行けるのかな…?

2012/01/05 (Thu)

 

☆雪の中の少年


雪が降る中、本堂の前で凍えながら下足番をしているジョミー君。
檀家さんが脱いだ履物を揃え、お帰りになる時にサッと差し出す役目です。
ついでに靴が汚れていたら綺麗にするのもお仕事で…。

ジョミー「うう…。パパの靴だって磨いたことなんか無いのにさ…」

冷たい両手に息を吹きかけ、檀家さんの靴をキュキュッと磨くジョミー君。
雪模様のため履物の汚れは増える一方でございます。
しかし仕事をサボろうものなら、アドス和尚が怒るのは必至。
今度こそ坊主頭にしろと怒鳴られるのは確実で。

ジョミー「あーあ、温かいものが食べたいなぁ…。お昼、まだかな?」
檀家さん「あけましておめでとうございます。お寒い中をご苦労様です」
ジョミー「あ、ど、どうも…。あけましておめでとうございます」

本堂に入ってゆく檀家さんの手には菓子折が。
あれが肉まんだったなら…、なんてジョミー君は思っております。
下っ端のジョミー君に分けてくれる筈も無いんですけど。

ジョミー「肉まん食べたい…。あんまんでもいいな、ピザまんとかさ…」

靴を磨いた後、震えながら呪文のように唱えていると、いい匂い。
ふと見てみれば本堂の前の廊下にホカホカの肉まんが置いてあります。
それも蒸したてのヤツが5つも!

ジョミー「うわぁ…。もしかしてキースが持ってきてくれた?」

頑張るぼくへの御褒美だよね、と手に取ってみると熱々で。
マッチ売りの少女と違って幻覚などではなさそうです。

ジョミー「いっただっきまーす!」
檀家さん「では、失礼させて頂きます。…ああ、どうぞお構いなく」

お食事中でらっしゃいますし、と檀家さんは靴を履いて去ってゆきました。
ジョミー君は肉まんで口が一杯ですから、ペコリと頭を下げただけ。
そこへ…。

キース 「誰が食事をしていいと言った!」
アドス 「…イライザの差し入れかと思いましたが、違うようですな」

御本尊様の前で肉まんとは…、とアドス和尚は怒りの形相。
ジョミー君、坊主頭の危機ですか?

2012/01/06 (Fri)

 

☆少年と肉まん


お寺といえば精進料理。
しかし、家族でお寺を守っていれば精進料理オンリーは無理でございます。
育ち盛りの子供でなくとも、お肉も魚も食べたいですし…。
もちろん食べていいのですけど、仏様の前で食べるのだけは絶対ダメ。
ジョミー君みたいに本堂前で肉まんなどは言語道断!

アドス 「お元日から御本尊様に失礼な…。南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」
キース 「よりにもよって肉まんとはな。寺を何だと思っている!」
ジョミー「で、でも…。熱々のを置いてくれてたし…」
キース 「言い訳はいい! 檀家さんが鼻風邪でなかったら最悪だぞ!」
アドス 「匂いが分からんと仰っておられたからいいようなものの…」

肉まんを食べていたとバレたら大変なことに、とアドス和尚は怒り心頭。
他所様の子でも遠慮はしないと頭から湯気が立つ勢いです。

アドス 「銀青様からも厳しく叱って頂かないといけませんな」
ジョミー「い、いたたたた!」
キース 「自業自得というヤツだ。親父が噴火した以上、もう止められん」
ジョミー「痛い、痛いよ、痛いってば~!」

耳を引っ張って引き摺られてゆくジョミー君。
檀家さんの初詣の午前の部が終わった所というタイミングも最悪でした。
キース君は証拠物件として肉まんの残りを抱えています。
そしてアドス和尚はジョミー君の耳をグイグイと…。

ジョミー「ひぃぃっ、ごめんなさい、ごめんなさい~!」
アドス 「詫びの言葉は御本尊様に! 銀青様もそう申されるでしょう」
キース 「終わったな…。お前、ブルーの意見次第では坊主頭だ」
ジョミー「そ、そんなぁ…! い、いたたたたた!」
アドス 「高僧を目指される以上、しごきにも耐えて頂きませんと」
ジョミー「誰もなりたいって言っていないし!」
アドス 「黙らっしゃい!」

とにかく銀青様にご報告せねば、とアドス和尚は激怒中。
ジョミー君、思い切り坊主フラグが立っております。
肉まん1個で人生を棒に振りそうですけど、あの肉まんはいったい誰が…?

2012/01/07 (Sat)

 

☆お寺と肉まん


初詣のお手伝い中に肉まんを食べてしまったジョミー君。
御本尊様の前で肉を食べるとは何事か、とアドス和尚の雷が…。
サンタクロースの訪問も断ったという人物だけに、決まり事には厳格です。

アドス 「元老寺ではバターも卵も禁止でしてな」
ジョミー「な、何なの、それ…」
アドス 「御本尊様にはクッキーなどもお供え禁止ということでして」
キース 「材料に卵やバターが入っているからな。マドレーヌもダメだ」
アドス 「檀家さんがお供えして下さった場合は例外ですが…」

お供え物を買う時には原材料の確認が必須、とアドス和尚。
イライザさんも気をつけているのだとか。
動物性の食材はバターもダメな元老寺。そこで肉まんを食べたとなると…。

アドス 「銀青様もお怒りになると思いますぞ。覚悟の方はよろしいな」
ジョミー「か、覚悟って…」
アドス 「先ほどキースが申しましたとおり、場合によっては剃髪かと」
ジョミー「なんで剃らなきゃいけないのさ!」
キース 「ブルー次第だと言っただろうが。お前、あいつに逆らえるのか?」
ジョミー「う…。む、無理…っぽい気が…」
キース 「だったら覚悟を決めておけ!」
ジョミー「い、嫌だってば! い、いたたたた…」

耳を引っ張られているジョミー君には逃亡の術はございません。
とうとう坊主頭の危機と銀青様こと生徒会長が待ち受ける庫裏へ。

イライザ「お帰りなさい、お疲れ様でした。…あら、どうなさったの?」
アドス 「どうしたも何も…。銀青様はどちらにおいでだ?」
イライザ「お座敷ですわ」
アドス 「そうか。では、参りますぞ」
ジョミー「だ、誰か助けて~! い、いたたたたた…」

ジョミー君の悲鳴に耳も貸さずにアドス和尚は廊下をドスドス。
座敷の襖をカラリと開けて…。

アドス 「銀青様、失礼いたします」
ブルー 「おや。騒がしいなと思ったら…」

ジョミーじゃないか、と生徒会長。
伝説の高僧、銀青様の前に引っ立てられた気の毒な少年の運命や如何に…?

2012/01/08 (Sun)

 

☆肉まんの出どころ


本堂の前で肉まんを食べ、アドス和尚の怒りを買ってしまったジョミー君。
耳を引っ張られて生徒会長の所へ連行されて来たわけですが…。

ブルー 「ジョミーが何かやらかしたのかい?」
アドス 「御本尊様の前で肉まんを食べておったのです!」
キース 「しかも檀家さんがお帰りになろうかという時に、だ」
ブルー 「なるほどねえ…。お手伝いをサボッて肉まんを食べた、と」
キース 「ああ。これが証拠の肉まんだ」

肉まんが4個乗ったお皿をキース君が机に置いた所で元気な声が。

ぶるぅ 「かみお~ん♪ お昼、出来たよ!」
サム  「持ってきたぜい、ぶるぅ特製のスペシャル昼飯!」
イライザ「凄いのを作って下さいましたの。お昼御飯に頂きましょう」

ぞろぞろ連なって座敷に入ってくるシャン学メンバー。
大きなお盆に山盛りの中華料理を乗せております。ん? 中華料理?

ジョミー「あっ…。に、肉まんだぁ!」
キース 「やかましい! お前は叱られている最中だろうが!」
アドス 「ほう、こちらでも肉まんですか。奇遇ですなあ」
ブルー 「偶然じゃないよ? そこの肉まんと同じだからね」

証拠物件の肉まんを指差す生徒会長。
こちらは既に冷めていますが、確かに見た目はそっくりです。

ジョミー「じゃ、じゃあ……あの肉まんを置いたのは…」
ブルー 「誰にも見られず、出来たての味を素早くお届け! 特別にね」
ジョミー「な、なんでそんなことを…」
ブルー 「マッチ売りの少女な気分だったようだし、ご期待に応えて」
ぶるぅ 「肉まん食べたいって言っていたでしょ?」
ブルー 「マッチを擦る代わりに靴を磨いては肉まん、あんまん…」
ジョミー「だからって届けてくれなくっても!」
ブルー 「おや、そうかい? お約束だと思ったけどなあ」

最後は天国に行くんだよね、と生徒会長。
そりゃあ、マッチ売りの少女のラストは天国に昇ってゆくわけですが。
マッチ売りの少女もどきなジョミー君を待っているのも天国だとか…?

2012/01/09 (Mon)

 

☆肉まん食べて天国へ


雪が降る中、マッチ売りの少女の心境だったジョミー君に届いた肉まん。
熱々の差し入れは嬉しいですけど、問題は食材でございます。
御本尊様へのお供え物には動物性の食材厳禁、卵入りクッキーもアウトな
元老寺。そんな所の本堂の前で肉まんなんぞは論外で…。

アドス 「銀青様の御厚意であっても肉まんだけは許せませんな」
ブルー 「あ、やっぱり? そうじゃないかと思ったけれど」
ジョミー「分かってたんなら届けないでよ!」
ブルー 「最後は天国へ行けるんだからいいじゃないか。…お浄土だけど」
ジョミー「お浄土って何さ!?」
ブルー 「そのまんまだよ、極楽浄土」
アドス 「ほほう…。もしや、私が怒るのも計算済みでらっしゃいますか?」
ブルー 「もちろんさ。ここは徹底的に詫びを入れろと言うんだろう?」
アドス 「当然です! 御本尊様に土下座程度では生ぬるいかと」
ブルー 「頭を丸めてお詫びするのが一番だろうね、こういう時には」
ジョミー「ちょ、ちょっと…! まさかそのための肉まんだったの?」
ブルー 「うん。坊主になってお念仏をすれば極楽往生間違いなしだよ」

天国行きの直行便だ、と生徒会長は申しております。
極楽浄土は天国みたいなものでしょうけど、切符の代わりに坊主頭って…。

ジョミー「そ、そんな天国要らないし! 地獄でいいし!」
アドス 「なんと、地獄がいいとは罰当たりな…。仏罰が下りますぞ!」
ブルー 「そうか、地獄が好みなのか…。じゃあ、剃るしかないかな」
ジョミー「地獄行きなら坊主頭は要らないじゃない!」
ブルー 「気分的に地獄ということで…。せっかく天国行きだったのに」
ジョミー「な、なんでそういうことになるのさ~!」
キース 「肉まんを食ったお前が悪い。自業自得というヤツだ」

地獄行きでも天国行きでも剃髪らしいジョミー君。
お雑煮の頭芋で立った坊主フラグはへし折れそうもありません。
肉まん1個で坊主頭の大ピンチ。潔く諦めてお浄土行きを選ぶべきかな…?

2012/01/10 (Tue)

 

☆肉まんと畜生道


天国行きでも地獄行きでも坊主頭らしいジョミー君。
お元日からピンチですけど、助けは来そうにありません。
頭を丸めて極楽浄土に往生するか、謝罪で頭を丸めさせられて地獄気分か。
泣きの涙のジョミー君ですが…。

イライザ「許せないのは肉まんですの?」
アドス 「決まっておろうが! 本堂の前で肉まんじゃぞ!」

本堂といえば御本尊様がおいでの所。その前ならば御本尊様の前も同じで
ございます。バターも卵もお供え禁止の御本尊様の前で肉まんなんて…。
バターや卵を直接ではなく、原材料でもダメなんですよ?

アドス 「百歩譲ってバタークッキーなら許しもするがな…」
キース 「肉まんは絶対アウトでしかない。モロに肉だからな」
イライザ「銀青様の差し入れでも?」
アドス 「当然じゃ! 現に銀青様も極楽へ行けと説いておられる」
ブルー 「高僧としては一人でも多くお浄土に行って欲しいからねえ…」
ジョミー「要らないし! 天国も地獄もどっちも嫌だし!」
キース 「最悪だな。六道輪廻から抜け出すどころか、そっちを希望か」
ジョミー「えっ? 何それ…」
アドス 「お浄土も地獄も嫌だとなると、そうなりますなあ…」
ブルー 「畜生道とか餓鬼道だとか、ロクでもない所に行くってさ」
ジョミー「なんか、ますますワケ分かんないし!」

どうでもいいよ、とジョミー君はヤケになっておりますけれど。

イライザ「この肉まんで畜生道は無いんじゃないかと思いますわ」
アドス 「畜生が共食いになるからか? そういう場所じゃぞ、畜生道は」
ブルー 「いや、別にそういうわけじゃなくって」
ぶるぅ 「えっと…。共食いって……出来るのかな?」
キース 「共食いをする動物は沢山いるぞ。虫も魚も共食いするな」
ぶるぅ 「そっかぁ…。じゃあ、ワラビでも共食いする?」
キース 「わ、ワラビーだと!?」

どうなんだ、と意見を求めて周囲を見回すキース君。
ワラビーは可愛い小型のカンガルー。あれって共食いするんでしょうか…?

2012/01/11 (Wed)

 

☆肉まんとワラビー


極楽も地獄も、どっちも嫌だ、と叫んだジョミー君に示されたのは畜生道。
他に餓鬼道などもあるそうですけど、今の話題は畜生道です。
そこへ落ちれば獣とあって共食いなどは当たり前ですが、問題はワラビー。
肉まんを作った「そるじゃぁ・ぶるぅ」がワラビーはどうかと訊いてます。

キース 「ワラビーか…。あれは肉食ではなかったような…」
ぶるぅ 「でしょ? お肉は食べないと思うんだけど」
キース 「しかしだな、追い詰められると共食いするのが動物で…」
ぶるぅ 「ワラビでも?」
キース 「ワラビーでも、だ。それにワラビじゃなくてワラビーだ、ぶるぅ」

言葉は正しく、とキース君は諭しております。
語尾をきちんと伸ばしておかないと別物になる、と説明中。

キース 「いいか、ワラビーはカンガルーだが、ワラビは違うぞ」
ぶるぅ 「うん、違うよね。このお肉ってワラビだもん」
ジョミー「えっ、この肉まんってワラビーだったの!?」
キース 「そんな食材、よく売ってたな…」
ぶるぅ 「スーパーに行けば売ってるよ?」
キース 「お前の行きつけの店は品揃えが豊富なんだろう」
ぶるぅ 「そうなの? でもワラビって山に行けばあるでしょ」
キース 「主な生息地は山だったか? すまん、俺はワラビーは専門外だ」
ぶるぅ 「元老寺の裏山は木が茂ってるから無いのかな?」
キース 「なんだと? この国の山にワラビーがいるわけないだろう!」
ぶるぅ 「そうかなぁ…。じゃあ、春になったらワラビ狩りに行く?」
キース 「か、狩るのか? ワラビーを…?」

そんな無茶な、と唖然としているキース君。
いくら小型のカンガルーでも、シャン学メンバーで狩りですか?

ぶるぅ 「お弁当持ってみんなで行こうよ、ワラビ狩り!」
ブルー 「いいねえ、たまにはそういうのも」
キース 「ちょ、ちょっと待て、なんで坊主が!」

坊主が狩りなどもっての外、とキース君は大慌て。
ワラビー狩りに行くとなったら、アドス和尚がまたキレるかな?

2012/01/12 (Thu)

 

☆ワラビーとワラビ


ジョミー君に坊主頭の危機をもたらした肉まん。
それを作った「そるじゃぁ・ぶるぅ」によれば材料はワラビーの肉だとか。
春になったらみんなでワラビー狩りにお出掛けしよう、と言っております。

アドス 「待ちなされ! 狩りはいけませんな、坊主は殺生禁止ですぞ」
キース 「生け捕りにするなら話は別だが、肉まんの素にする気だろう?」
ぶるぅ 「えとえと…。肉まんもいいけど、御飯に混ぜると美味しいよ」
キース 「御飯だと?」
ぶるぅ 「アク抜きしないとダメだけどね。一晩ほど漬けておかないと」
ブルー 「油揚げと一緒に甘辛く煮たのを炊きたて御飯に混ぜると絶品!」
ぶるぅ 「うん、筍も刻んで入れるといいよね」
キース 「ワラビー丼か? 俺はそういうのは初耳だが…」
ブルー 「まだ気付かないって所がねえ…。丼じゃなくてワラビ御飯だよ」
キース 「ワラビー御飯? ますますもって分からんぞ」
ブルー 「だから、ワラビーじゃなくてワラビだってば! 山菜の!」
キース 「蕨!?」
アドス 「わ、蕨ですと? 肉まんの何処が!」
ブルー 「御本尊様の前じゃないから食べてみたら? その証拠品」

生徒会長が指差したのは、キース君が持ち帰ってきた肉まんの残り。

ぶるぅ 「冷めちゃってるから美味しくないと思うけどなぁ…」
サム  「こっちのヤツなら蒸したてだぜ?」
ブルー 「そうだね、同じ食べるなら熱いのがいいか。ほら、早く」
キース 「おい、本当に同じなのか?」
ブルー 「ぶるぅ、その証拠品を蒸し直してきてよ。味比べにさ」
ぶるぅ 「オッケー!」

証拠品のお皿を抱えて台所へ駆けてゆく「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
一方、アドス和尚とキース君は…。

アドス 「この肉まんが蕨ですと?」
キース 「とにかく割ってみようぜ、親父」
アドス 「むむぅ…。肉に筍、どう見ても中身は肉まんですな」

間違いなし、と肉まんを割って検分しているアドス和尚。
豚肉にしか見えないんですけど、本当に蕨…?

2012/01/13 (Fri)

 

☆肉まんと蕨


ジョミー君が本堂の前で食べて、アドス和尚の怒りを買った問題の肉まん。
どうやら「そるじゃぁ・ぶるぅ」が昼食用に作った肉まんらしいです。
しかも原材料は山菜の蕨だと言うのですが…。

ブルー 「見た目が肉まんでも蕨だってば、本当に」
アドス 「そうですかなあ? まあ、論より証拠と申します。ここは一口」
キース 「ああ、試食するのが一番だよな」

蒸したての肉まんを齧るアドス和尚とキース君。
二人の顔がみるみる険しくなって…。

アドス 「銀青様。お言葉を返すようですが、これは本物の肉まんですぞ」
キース 「食感といい、風味といい…。間違いなく肉だ」
アドス 「ジョミー殿には御本尊様に詫びて頂くしかありませんな」
ジョミー「そ、そんなぁ…! だって肉まんはブルーがぼくに…」
キース 「お前が煮え切らないからだ! ブルーが弟子に欲しがってるのに」
アドス 「切っ掛けはどうあれ、頭を丸めれば仏弟子の覚悟も出来ますぞ」
ブルー 「うん、いい展開になってきたよね。どうだい、ジョミー」
ジョミー「い、嫌だってば! 肉まん1個で人生ドブに捨てたくないし!」
アドス 「なんと、ドブとは失礼な…。ますますもって御本尊様に」
キース 「頭を丸めて五体投地で詫びるしかないな」

作法は俺が教えてやる、とキース君は燃えております。
ジョミー君に逃げ道は無さそうですけど、そこへトコトコと足音が。

ぶるぅ 「かみお~ん♪ 蒸し直してきたよ、さっきの肉まん!」
ブルー 「よし、証拠品の到着だ。食べてみて」
アドス 「何度食べても肉に変わりはございませんぞ」
ブルー 「そう言わずに。ほら、キースも」
キース 「………。やはり肉まんにしか見えないのだが」

温め直した肉まんを食べても二人の意見は変わることなく。

キース 「何処が蕨だ、これの何処が!」
アドス 「銀青様、蕨は豚肉のことですかな?」

初耳ですが、とアドス和尚。
お坊さんの世界ではお酒を般若湯と申します。豚肉は蕨と呼ぶんですか…?

2012/01/14 (Sat)

 

☆お坊さんと肉


お坊さんの世界にお酒は厳禁。
『不許可葷酒入山門』(くんしゅさんもんにいるをゆるさず)が有名です。
お寺の門前に建てられている石碑の言葉で、書かれた品物は持ち込み禁止。
ネギ、ニラ、ニンニクなどの臭い野菜とお酒でございます。
修行の妨げになるからですが、それでも寒さの厳しい冬などは…。

アドス 「酒は般若湯と呼ばれておりますし、許す宗派もありますな」
キース 「ソレイド八十八ヶ所を開かれたお大師様の所だな」
アドス 「あそこのお山の冬は厳しく、飲まねば凍えると聞いております」
ブルー 「うん。氷点下なんかは当たり前だしね、雪も積もるし」
アドス 「ですから般若湯は分かるのですが、蕨は本当に初耳でして」
キース 「俺も初めて聞いた言葉だ。三種の浄肉なら講義で出たが」
アドス 「わしもそれなら分かるんじゃがのう…」
サム  「肉? なんか肉って聞こえたぜ。食っていいのかよ?」
ブルー 「うーん…。まあ、そういう教えが無いこともない」
キース 「初期仏教の教えに三種の浄肉ってヤツがあるんだ」

生徒会長とアドス和尚とキース君、三人のプロのお坊さんによりますと…。
三種の浄肉とは、初期仏教の僧侶が托鉢中に貰った御布施の話。
鶏肉カレーを貰ってしまい、さて、このお布施をどうするか。

ジョミー「アウトだろ! 肉まんだってアウトなんだし!」
ブルー 「食べていい条件が三つあるんだ。だから三種の浄肉なんだよ」
アドス 「まず、殺される所を見ていない」
キース 「自分に供するために殺したと聞いていない」
ブルー 「自分に供するために殺したと知らない」
シロエ 「なんですか、それ?」
ブルー 「最初の条件は分かるだろう? あとの二つは頂く時の条件でさ」
アドス 「お坊さんのために殺しました、と言われなければ無問題でして」
キース 「残り物のカレーだったら更に問題無いわけだ」
ジョミー「じゃあ、これだって!」

肉まんも三種の浄肉だ、とジョミー君。はてさて主張は通るのかな…?

2012/01/15 (Sun)

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