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シャングリラ学園つれづれ語り

☆肉と蕨と肉まんと


窮地に追い込まれたジョミー君の耳に届いた福音は三種の浄肉。
三つの条件を満たしていれば肉を食べても構わない、という教えですが…。

ジョミー「豚かワラビーか知らないけれど、殺される所は見てないし!」
キース 「まあ、そうだろうな」
ジョミー「ぶるぅが殺したわけじゃないから、残り二つも問題無いよ!」
ブルー 「それは間違ってはいないんだけどね…」
アドス 「残念ながら、これは初期仏教の教えでして」
キース 「仏教がこの国に伝わった時には肉食禁止になっていたんだ」
ブルー 「そういうこと。だから三種の浄肉とか言う以前の問題」
アドス 「では、やはりアウトということで…。あ、いや…。蕨でしたな」
キース 「そうだ、蕨だ。それは何処かの宗派で言うのか?」
アドス 「般若湯は公然と飲める宗派がありますからなぁ。蕨もですか?」
ブルー 「うん、まあね。その肉まんはオッケーなんだよ」
ジョミー「ちょ、ちょっと! だったら、ぼくって叱られ損だし!」
アドス 「黙らっしゃい! ジョミー殿には何の知識も無いでしょうが!」
キース 「本堂の前で肉まんを食うという態度を問われているんだぞ」

一般常識として仏様の前では肉食禁止、とキース君。
お寺の本堂がいくら広くても、すき焼きパーティーには貸してくれません。
お花見の季節に境内に出たすき焼きの露店を訴えたお寺もあるほどで…。

キース 「とにかく現時点ではお前はアウトだ。蕨に期待するんだな」
ジョミー「わ、蕨って……」
アドス 「肉を蕨と呼んで認める宗派があるのでしたら考えましょう、と」
ジョミー「そ、そっか…。ブルー、蕨って肉のことだよね?」
ブルー 「うーん…。肉を蕨と呼んでる宗派は知らないなぁ…」
ジョミー「えぇっ!?」
アドス 「お話が違いますぞ、銀青様! 先ほど、これは蕨だと…」
ブルー 「言ったけど? だからって蕨が肉を指すとは言ってない」

えらい展開になって参りましたが、ジョミー君の髪は果たしてどうなる…?

2012/01/16 (Mon)

 

☆肉まんと仏弟子


ジョミー君が本堂の前で食べた肉まんのお肉は蕨だそうでございます。
肉を蕨と呼んで食べる宗派があるなら許す、とアドス和尚は譲ったのに…。

アドス 「蕨が肉のことではないのでしたら、ジョミー殿はアウトですな」
キース 「ああ、最早同情の余地は無い。さっさと頭を丸めてこい!」
ジョミー「そ、そんな…。パパもママもきっとビックリするし!」
キース 「ちゃんと俺から説明してやる。ブルーの仏弟子になったとな」
アドス 「銀青様の直弟子となれば御両親もお喜びになりますぞ」
サム  「だよな、なんたってソルジャーの直弟子だしな! 名誉だぜ」
スウェナ「ソルジャー候補みたいなものよね」
シロエ 「代替わりの予定は無さそうですけど、次期ソルジャーですね」
ブルー 「ジョミーはタイプ・ブルーだし…。じゃ、そういうことで」
ジョミー「ま、待ってよ、なんで肉まん1個で坊主なんかに!」
アドス 「つくづく懲りないお人ですな。坊主なんかとは失礼千万」
キース 「発端はお前がおふくろを蔑ろにしたことなんだぞ」

口は災いの元と言うだろう、とキース君。
失言を繰り返した上に御本尊様の前で肉まんときては、お坊さんとまでは
いかないでまでも頭を丸めるより他に道は無いかも…。

ジョミー「なんで元日から坊主頭に…! キースだって嫌がる頭なのに!」
キース 「うっ…。だが、修行で必須の時には剃るぞ」
アドス 「そうですぞ。それをカツラで隠すというのが気に入りませんが」
ブルー 「あのカツラはぼくのプレゼントだしね。ジョミーも欲しい?」
ジョミー「カツラはいいから助けてよ! ブルーしか助けられないよ!」
ブルー 「うーん…。せっかくジョミーが坊主になってくれそうなのに」
ぶるぅ 「ブルー、お弟子さんにしたいって言ってたもんね」
ブルー 「そうなんだよね、だから肉まんを届けたのにさ…」

どうしようかな、と首を傾げる生徒会長。
高僧のお言葉とあれば肉も蕨に化けそうですけど、肉まんの罪業一切消滅?

2012/01/17 (Tue)

 

☆極楽浄土への道


刻一刻とジョミー君に迫る坊主頭の大ピンチ。
窮地を救うことが出来そうなのは、肉まんを届けた生徒会長でございます。

ジョミー「お願いだから助けてよ! 坊主頭になりたくないよ!」
ブルー 「でも肉まんは食べただろう? 君のお願いを叶えたんだけど」
ジョミー「お、お願いって…。あれってカウントされるわけ?」
ブルー 「マッチ売りの少女な心境だったし、切実なんだと思ったけどな」
ジョミー「そ、そりゃあ……凄く寒くて惨めだったし…」
ブルー 「肉まんが欲しいという願いは叶えた。天国へ行くのが筋だろう」
アドス 「銀青様のお導きで極楽往生の道が開けるとは、なんとめでたい」
キース 「坊主冥利に尽きるよな。まさに二十五菩薩の御来迎だ」
ジョミー「御来迎? 御来光じゃなくて?」
アドス 「…仏弟子と呼ぶには知識不足のようですなあ…」
キース 「ブルーにしっかり仕込んでもらえ。その方がいいぞ」
ジョミー「い、要らないし! 坊主頭も御来光も!」
キース 「御来迎だ!」

間違えるな、とキース君。アドス和尚も頷いています。

キース 「御来迎というのはだな、極楽からお迎えに来て下さることで…」
アドス 「阿弥陀様と一緒においでになるのが二十五菩薩様ですな」
ブルー 「そうそう、紫の雲に乗ってね。いい感じだろ?」
ジョミー「まだ行きたいって言っていないし!」
アドス 「そう言えば畜生道を御希望でしたな、話が最初に戻りますが」
ブルー 「本人の希望なら仕方ないけど、本当にそれでいいのかい?」
ジョミー「え、えっと…。「うん」って言ったら決定だとか…?」
ブルー 「さあねえ…。心象は悪くなりそうだよねえ、阿弥陀様の」
アドス 「極楽に往生するには日頃の行いが大切ですぞ」
キース 「仏門に入って念仏三昧の日々を送るのもいいと思うが」

坊主頭の危機に向かって更に狭まる包囲網。
ジョミー君には畜生道か仏門入りか、二つの選択肢しか無いんでしょうか?
それはあまりに気の毒なような…。

2012/01/18 (Wed)

 

☆避けたい畜生道


肉まん1個で坊主頭の危機に陥ったジョミー君。
「畜生道に落ちたいのか」とまで言われてしまって…。

ジョミー「畜生道ってどうなるわけ? 共食い必須…?」
ブルー 「運が良ければ家畜に生まれてこき使われるという道もあるね」
キース 「もっと幸運だと金持ちの家で可愛がられる猫とかな」
シロエ 「じゃあ、運次第ってことですか。それでいいんじゃないですか?」
サム  「坊主になる気はないみたいだし、自分の運を信じろよ、ジョミー」
ジョミー「ちょ、ちょっと…。それってあんまり自信ない…」
アドス 「ならば仏門がお勧めですぞ。肉まんの件もお許し頂けましょう」
ブルー 「まあ、許すも許さないも無いんだけどね。…あれに関しては」
アドス 「左様でございます。御仏の慈悲とは誠に深く尊いものでして…」

肉まんを食べた過ちくらいは許されますぞ、とアドス和尚。
畜生道に落ちるのが嫌なら、頭を丸めるより他に道は無し…?

ぶるぅ 「なんか悪いことしちゃったね、ぼく…」
サム  「いやいや、ぶるぅは悪くねえだろ。ジョミーが悪いだけで」
スウェナ「本堂の前で肉まんはねえ…。まさか食べるとは思わなかったわ」
マツカ 「あの状況なら食べても仕方ないんじゃないかと…」
シロエ 「そうでしょうか? ぼくなら空気を読みますよ」
ブルー 「そこなんだよね。ジョミーは今一つ思慮が足りない」
ジョミー「だ、だって! だって本当に寒かったし!」
ブルー 「どうしてそんな目に遭っているのか、反省してれば思慮深くなる」
シロエ 「肉まんを食べてもいい場所かどうか考えますよね」
サム  「ああいう肉まんもアリだってこと、知ってりゃ話は別だけどな」
キース 「さっき言ってた蕨のことか?」
ブルー 「うん。あの肉まんは正真正銘、蕨なんだよ。山菜の…ね」
アドス 「銀青様、あれは見た目も味も豚肉でしたぞ!」

お戯れを、とアドス和尚は即、反論。
見ても食べても豚肉だった肉まんの中身が蕨だなんて、無理過ぎませんか?

2012/01/19 (Thu)

 

☆蕨の大変身


生徒会長曰く、ジョミー君が食べた肉まんの中身は蕨だそうでございます。
肉の隠語とか言うのではなく、本物の山菜の蕨だなどと言われても…。

アドス 「肉を蕨と呼ぶならともかく、蕨そのものとは信じられませんな」
キース 「何処から見ても蕨だろう! こうなんだからな」

肉まんを掴み、真っ二つに割るキース君。
まだ湯気の立つ肉まんの具は豚肉と筍が混ざっております。しかし…。

ぶるぅ 「豚肉は蕨で出来てるんだよ」
キース 「はあ?」
アドス 「なんですと? 豚の餌が蕨という意味ですかな?」
ぶるぅ 「違うよ、ホントに蕨だってば! それを油で揚げるんだよ!」
キース 「おい…。蕨を揚げたら天麩羅だろう? こうはならない」
ぶるぅ 「ううん、薄く延ばして揚げるんだってば!」
アドス 「では、色をどう説明なさるので? 蕨は黒っぽいものですぞ」
ぶるぅ 「だから蕨粉! えーっと、どうやって作るんだっけ…?」
ブルー 「蕨の根っこから作るんだよ。いわゆる澱粉」
キース 「葛粉やカタクリ粉みたいなものか?」
ブルー 「そうなるね。蕨粉を捏ねて、薄く延ばして油で揚げると…」
ぶるぅ 「豚肉そっくりになるんだよ。上手く作れば肉まんの具になるし!」
サム  「凄かったよなぁ、出来上がったヤツをそれっぽく刻んでさ」
シロエ 「筍とかも混ぜて味付けをして…。精進料理には見えませんよね」
アドス 「精進料理ですと!? あの肉まんが…?」
ブルー 「うん。そこの料理も全部そうだよ」

テーブルの上にズラリと並んだ中華料理の大きな皿。
前菜の盛り合わせや炒め物、肉料理にしか見えない品も色々と。

ブルー 「普茶料理ってヤツ、知らないかな?」
アドス 「中華料理の本場から来た禅寺の料理…でしたかな?」
ブルー 「そう。そこの得意は『もどき料理』なんだよ」
全員  「「「もどき料理?」」」

もどき料理って何なのでしょう?
肉まんの具が蕨というのが本当だったら、ジョミー君に光が見えるかな…?

2012/01/20 (Fri)

 

☆もどきが気になる


雪が降る中、本堂の前で凍えかけていたジョミー君。
そこへ肉まんが届けられ、大喜びで飛び付いたのが災いの元でございます。
「御本尊様の前で肉を食べた」とアドス和尚が大爆発。
仏門に入って御本尊様に許しを請うか、頭を丸めてアドス和尚に謝るか。
どちらにしても坊主頭は逃れられそうになかったのですが…。

ブルー 「面白いから様子見してたけど、もどき料理の肉まんではねえ…」
アドス 「そうだという証拠はございますかな? 御友人の他に」
イライザ「私、見学しておりましたの。今後のお料理の参考に…って」
アドス 「な、なんと…。では、あれは本当に蕨じゃと?」
イライザ「ええ。でも銀青様が何も仰いませんし、黙っていました」
ブルー 「ぼくの楽しみを奪わないでくれてありがとう。嬉しかったよ」
キース 「お、おふくろ…。俺と親父の立場はどうなる!?」
イライザ「銀青様にお尋ね下さいな。私は単なる証人ですもの」
アドス 「むむう…。ジョミー殿に詫びねばならんのか?」
キース 「そうなるな…。しかし……」
ブルー 「元が坊主じゃ頭を丸める意味が無いよね。キースは別として」
キース 「お、俺!? 俺が坊主に…?」

やばい、と頭を押さえるキース君。
坊主頭にするのが嫌で、サイオニック・ドリームで誤魔化しながらお坊さん
ライフを送ってきたのに、今度はキース君に坊主フラグが?

ジョミー「そうだね、ぼくだって坊主頭にしろって言われたもんね」
サム  「詫びの王道って説から行けば、ホント、自然な成り行きだよな」
ジョミー「でも、その前に気になるんだよ。あの肉まんってホントに蕨?」
ブルー 「おやおや、坊主頭になりたいのかい? せっかく命拾いしたのに」
ジョミー「そうじゃなくって、もどき料理って何なのかなぁ、って」

あの肉まんは本当に美味しかったんだ、とジョミー君は申しております。
材料が蕨とは信じられない味と外見。
もどき料理ってどういうものか、ジョミー君でなくても気になりますよね!

2012/01/21 (Sat)

 

☆もどきと普茶料理


ジョミー君に坊主頭の危機をもたらした肉まんは、もどき料理の精進料理。
精進料理はポピュラーですけど、もどき料理って何なのでしょう?
蕨が豚肉そっくりに化けるんですから、ホントに凄い料理ですよね。

ジョミー「ぼく、本物の肉まんだと思ってたもの。もどき料理って何さ?」
ブルー 「アドス和尚は知ってたようだけど、普茶料理」
ジョミー「ふちゃ…料理?」
サム  「俺も名前は知らなかったぜ。すげえなぁ、って見ていただけで」
キース 「普茶料理という名は聞いてはいるが…。食ったことはないな」
ブルー 「それほどメジャーな料理じゃないしね。食べる機会は少ないかな」
アドス 「アルテメシアには普茶料理のお寺はありませんしなあ…」
ブルー 「隣の市まで行かないとね。しかも郊外のド田舎だ」
シロエ 「観光地じゃないってことですか?」
ブルー 「うん。本場のお寺そっくりのお堂とかもあるけど、マイナーだよ」

どうやらローカルなお寺みたいです。
本場のお寺にそっくりってことは、中華風な建築なんでしょうけど。

ブルー 「普茶料理のお寺は他の地方にも幾つかあるんだ。何処も中華風」
マツカ 「それで中華な精進料理になるわけですね」
ブルー 「そういうこと。そして普茶料理の神髄がもどき料理さ」
ぶるぅ 「本物そっくりに作るんだよ。お肉がダメでもお肉そっくりに!」
ブルー 「お坊さんは肉や魚がダメだろう? でも食べたいと思うよねえ」
アドス 「ううむ…。そういうものですかな?」
ブルー 「君だって普段は食べるじゃないか。修行中は当然、禁止だけども」
キース 「修行中に肉など言語道断! 御本尊様の前でも同じだ」
ブルー 「でも中華料理の本場の国では、そういう発想じゃないんだなぁ…」

食べたいものは食べたいんだよ、と生徒会長。
中華料理の本場と言えばグルメの国でございます。
四足の物はテーブル以外、二本足の物も親以外は食べると言われるお国柄。
お坊さんでも修行中に肉を食べるとか…?

2012/01/22 (Sun)

 

☆本場の精進料理


蕨粉で作られたという問題の肉まん。普茶料理と呼ぶ精進料理らしいです。
生徒会長曰く、普茶料理のルーツの中華な国では更に凄いそうで…。

ブルー 「なんたって五千年の歴史だからね。そう簡単に諦めないさ」
ジョミー「諦めるって、何を?」
ブルー 「食べたいという食への欲求! お坊さんでも肉は食べたい」
アドス 「普茶料理はその発想から出来た料理だと聞きますなあ…」
ブルー 「でも、普茶料理はこの国の国民性に合わせてアレンジ済みだよ」
ジョミー「アレンジ済み?」
ブルー 「うん。せいぜい肉まん程度かな。ウナギとかもあるけど」
キース 「それだけあれば充分なような…。が、この料理は違うようだな」

テーブルに並んだ中華料理はお肉満載でございます。
災いを呼んだ肉まんの他にも色々と…。

ブルー 「この国じゃ、坊主が肉なんて…って発想だよね。厳格なんだ」
アドス 「もっての他でございますからな、先ほどの肉まんもそうですが」
ジョミー「あれは蕨だったじゃない! …肉まんそっくりの味だったけど」
アドス 「間違えられるほどの味と見かけがいかんのです!」

坊主は黙って精進料理、とアドス和尚は主張しておりますが。

ブルー 「その考えが普茶料理にも入っているんだよ。もどきの限界」
シロエ 「限界……ですか?」
ブルー 「そう、限界。知らない人が見て、肉だと思うようならアウトさ」
キース 「ここにある料理は肉だらけだぞ。これが本場の底力か?」
ブルー 「本場のお坊さんたちの執念と努力の賜物かな。味もそっくり」
アドス 「本当に精進料理だと仰るので? イライザが証人のようですが」
イライザ「お肉は使ってらっしゃいませんわ。でも本物にそっくりですの」

焼き豚に焼き鴨、中華ハム。
鶏肉と野菜の炒め物を飾り切りしたオレンジの器に詰めたもの。
深めのお皿にたっぷり盛られ、スプーンが添えられたカニ味噌なんかも…。
見た目は普通に中華料理のオンパレードです。
これが本場の精進料理…?

2012/01/23 (Mon)

 

☆もどきの真骨頂


中華料理の本場のお坊さんが考えたという精進料理。
元老寺の座敷の大きな机に、それがズラリと並んでおります。

ブルー 「ほら、これなんかキノコなんだよ。見た目はイカだけどね」
ぶるぅ 「セロリと一緒に炒めてみたよ! 熱い内に食べてね」
アドス 「そ、そうでした。昼御飯用でございましたな…」
ブルー 「暖房が効いてる部屋で良かったよね。とにかく食べよう」

話の続きは食べながら…、と生徒会長。
肉まんで濡れ衣を着せられてしまったジョミー君の件も、とりあえず保留。

ブルー 「修行中じゃないし、食前の作法は省略で。いただきます」
全員  「「「いただきます」」」

料理を作った「そるじゃぁ・ぶるぅ」も両手を合わせて「いただきます」。
はてさて、気になる素材とお味の方は…?

サム  「すげえや、ホントにカニ味噌だ! 味は違うと思ったのに」
キース 「カニ味噌だな…。これの材料は何なんだ?」
ぶるぅ 「えっとね、お豆腐と塩漬け卵の黄身とニンジンだよ」
スウェナ「調味料に秘密があるのかしら?」
ぶるぅ 「ううん、中華の調味料。合わせ方が大事なの!」
シロエ 「この焼き鴨が絶品ですよね。本物の鴨に見えますよ」
マツカ 「皮つきの鴨を焼きました、って感じです。これが湯葉だなんて…」
キース 「湯葉なのか?」
アドス 「精進料理に湯葉は定番ですが…。こんな使い方はしませんな」
ブルー 「だよね。普茶料理には豆腐と山芋のウナギの蒲焼があるけどさ」
ジョミー「ウナギの蒲焼? それも凄いね」
アドス 「いやいや、この料理には敵いませんぞ。焼き豚も実に美味い」
ブルー 「焼き豚と中華ハムは豆腐が材料。干し豆腐だけどね」
ジョミー「それじゃ、こっちの鶏肉は? オレンジの中に詰めてあるヤツ」
ぶるぅ 「筍だよ? 柔らかく煮て、それから潰して炒めるの!」
キース 「これが筍…。信じられんな」

見た目も味も大満足の精進料理。
肉まん騒動はひとまず忘れて、楽しく食べるのが一番ですよね!

2012/01/24 (Tue)

 

☆御馳走の後で


本物の肉料理もかくやという外見と味わいが凄い、中華の本場の精進料理。
肉まん事件で激怒していたアドス和尚も大満足です。

アドス 「いやあ、実に素晴らしいものを頂きました。御馳走様です」
ブルー 「凄かっただろう? 普茶料理なんて目じゃないよね」
アドス 「銀青様も御修行中には、あれを召し上がっておられたので?」
ブルー 「まさか。あんなの、この国のお寺じゃ御法度だってば」

肉が食べたくなったら高飛び、と生徒会長は澄ましております。
お坊さんの世界で高飛びと言えば、修行中にお寺を抜け出すことで…。

アドス 「銀青様ほどの御方が高飛びを? 信じられませんなあ…」
ブルー 「ぼくだって最初から高僧じゃないさ。下積み時代もあるんだよ」
キース 「あんた、当時の璃慕恩院のトップの直弟子じゃなかったか?」
ブルー 「そりゃそうだけどさ。仲間との付き合いも大事でね」
アドス 「朋輩は確かに大切ですな。後々、世話になることもございますし」
ブルー 「法類が友達だったりすると心強いよね、色々と」
シロエ 「なんですか、それ?」
キース 「法類か? 平たく言えば親戚付き合いしている寺だな」
ジョミー「親戚…じゃないわけ?」
アドス 「もちろん親戚もおりますぞ。それとは別に同じ宗派の寺ですな」

法類には二つの系統があるのだそうでございます。
住職の師弟、血縁のお寺が身附法類。
同じ宗派で御近所同士、何かと言えば助け合うのが寺附法類。

ジョミー「ミツキホウルイにテラツキホウルイ…? よく分からないや」
アドス 「なあに、追い追い分かって参りますとも。日々精進ですな」
ジョミー「え?」
アドス 「肉まんの件はお詫び致しますが、その前を思い出しまして」
ジョミー「何だっけ…?」
アドス 「そもそもはジョミー殿が伝統おせちに…」
ジョミー「ちょ、ちょっと待って! それって今更言いっこ無しだし!」

時効だよ、と絶叫しているジョミー君。
蒸し返された話の行方はいったいどうなる…?

2012/01/25 (Wed)

 

☆振り出しに戻る


美味しかった食事の後は話がいきなり逆戻り。
元老寺の伝統おせちに文句をつけたジョミー君、ロックオンでございます。

ジョミー「お、おせちのことなら謝るよ! だから時効に…」
アドス 「いやいや、初詣は午後も続きますからなあ」
キース 「檀家さんも食事の御都合があるから、今が昼休みというだけで」
ジョミー「も、もしかして……まだこれから…」
ブルー 「そう、本堂の前で下足番! 坊主頭は免れたんだし問題ないよ」
ジョミー「だけど、ぼくだけ叱られ損だし! 濡れ衣だったし!」

肉まんは蕨だったんだから、と必死に叫ぶジョミー君。
座敷から見える外の雪は午前中よりも激しくなっております。
そんな天気に下足番では霜焼け、あかぎれ間違いなし。

アドス 「ふうむ…。確かに耳まで引っ張ったのはやりすぎでしたな」
ジョミー「そう思うんなら許してよ! 寒いのも坊主頭も嫌だってば!」
アドス 「しかしですな、因果応報、世の習い…とも申しまして」
キース 「そうだぞ、おふくろの心遣いを無にしやがって!」
ぶるぅ 「伝統おせちって大変なんだよ、下ごしらえも時間がかかるし」
ブルー 「食べたら一瞬の黒豆だって、煮るのはとても難しいんだ」
サム  「それをけなして時効はねえよな、今日一日は頑張っとけよ」
ジョミー「で、でも…。あそこ、本当に寒いんだよ!」
アドス 「裏山から吹き下ろしが来ますからなあ…。しかし…」

どうしたものか、と考え込んでいるアドス和尚。
ジョミー君を無罪放免とするか、午後も引き続き下足番を務めさせるのか。
そこへ…。

イライザ「差し出がましいようですけれど、未来に貯金は如何でしょう?」
全員  「「「未来に貯金?」」」
イライザ「お昼に作って下さいました、あのお料理。使えますわよ」
アドス 「使う…とな? 何に使うんじゃ?」
イライザ「元老寺の看板料理ですわ。レシピも教えて頂きましたし」

きっと役立つと思いますの、とイライザさん。
未来に貯金と言っていますが、それってどういう意味なのかな?

2012/01/26 (Thu)

 

☆未来に貯金を


元老寺の伝統おせちに文句をつけて叱られてしまったジョミー君。
その罰として本堂の前で、初詣にいらした檀家さんの下足番をする羽目に。
更に肉まんを食べたとあって坊主頭の大ピンチ!
肉まんの方は精進料理だと明らかになり、一安心かと思いきや…。

アドス 「精進料理を看板に、とな? それに未来に貯金とは何じゃ?」
イライザ「事の起こりは伝統おせちでございましょ? お気に召さなくて」
ブルー 「それはジョミーが我儘なだけ! 美味しかったよ」
ぶるぅ 「うん! 丁寧に作ってあったもん」
イライザ「お褒めに与って光栄ですわ。でも、お若い方には向きませんわね」
キース 「俺には馴染んだ味なんだがな…。若者向きではないってことか」
シロエ 「そういうわけでもないんですけど、珍しい方が優先と言うか…」
スウェナ「自分の家では出ないお料理に目が行くわよね」
サム  「だよな。家に帰ったらバッチリ普通のおせちだろうし」
ブルー 「みんな思いは同じだろうけど、ジョミーは口に出したしねえ」
アドス 「そこが問題になるわけで…。坊主は忍耐も大切ですぞ」
ジョミー「だから坊主じゃないってば! 素人だし!」
キース 「ブルー……いや、銀青様に気にかけて頂いておいて素人も何も」
アドス 「ございませんなあ、いずれ高僧になって頂きませんと」

話は更に過去へと遡りつつあるようです。
特大の頭芋で高僧フラグが立った所まで時計の針が逆戻り。

イライザ「そうでしょう? それで未来に貯金を、と」
サム  「ジョミーが貯金? 無理、無理、計画的に使えないヤツだし」
キース 「確かに万年金欠だったな。俺も絶対無理だと思うが」
イライザ「そんな貯金ではございませんの。裏方は任せて下さいな」
キース 「う、裏方? 強制的に徴収するのか、家に押し掛けて」
サム  「それなら確実に押さえられるよな、使い切る前に」

なんと、イライザさんがジョミー君の家まで集金に?
ジョミー君、パパとママに何と言い訳すれば…?

2012/01/27 (Fri)

 

☆貯金のシステム


未来に貯金だの精進料理を看板にだのと、考えがあるらしいイライザさん。
しかしジョミー君に貯金の才能は無く、強制的に集金するしか…。

ジョミー「え、えっと…。貯金しなくちゃいけないわけ? 絶対に?」
イライザ「今すぐとは申しておりませんわ。出世払いで構いませんのよ」
全員  「「「出世払い?」」」
イライザ「ええ。お坊さんになられた時で結構ですの」
ジョミー「ならないし! それくらいなら貯金するし!」
ブルー 「どうだかねえ…。ぼくも君の未来に期待してるし、その方向で」
アドス 「そうでございますな、出世払いも大いに結構」
キース 「おふくろ、出世払いというのは何だ?」
イライザ「あなたにも関係ありましてよ? 説法会をしたらどうかと」
アドス 「ほうほう…。キースやジョミー殿ならお若いですから」
イライザ「お寺に興味が無いような年頃の方も呼べると思うんですの」
ブルー 「なるほどね。そこでジョミーが説法を…、と」
イライザ「説法会は高僧に限ると決まったものでもございませんでしょ」
ブルー 「親しみやすい若いお坊さんが法話をするというのもいいねえ」
イライザ「そうですの。高僧になられたら会の評判も上がりますし」
アドス 「それで出世払いと言っておったか。名案じゃな」
イライザ「ジョミーさんが慣れない間はキースがメインで宜しいでしょ?」

説法会に来てくれた人に中華な精進料理を振舞うのだ、とイライザさん。
他所のお寺には無い料理だけに、それだけでも人が呼べそうで…。

ジョミー「ちょ、ちょっと! なんで勝手に話が進んで…」
アドス 「黙らっしゃい! イライザが許すと言っておるのですぞ」
ブルー 「御厚意を無にしちゃいけないねえ…。是非そうしたまえ」
サム  「俺も手伝いに来てやるよ、ジョミー。ブルーの弟子だし」
アドス 「おお、サム殿も来て下さいますか。それは有難い」

その会を元老寺の名物に、とアドス和尚は大喜び。
ジョミー君に立った坊主フラグは確定ですか?

2012/01/28 (Sat)

 

☆坊主バンザイ


初日の出のフライング柏手に始まり、伝統おせちへの文句に肉まん。
肉まんだけは濡れ衣でしたが、次から次へとドツボにはまったジョミー君。
とうとう未来に貯金する羽目になってしまって…。

アドス 「いやあ、正月早々、実にめでたい。説法会が楽しみですなあ」
ブルー 「まだまだ先になるけどねえ…。ジョミーは住職の資格が無いし」
アドス 「なあに、その内に取れますでしょう。ひとつ頑張って頂いて」

ささ、どうぞ、とジョミー君に杯を差し出すアドス和尚。
顔面蒼白のジョミー君ですけど、これを断ったら更なるドツボに…。

ジョミー「わ、分かったよ! 何十年かかるか知らないけれど!」
アドス 「百年後でも結構ですぞ。気長にお待ちしておりますわい」
ジョミー「期待されても困るんだけど…。って、これ、お酒!?」
アドス 「わしの秘蔵の大吟醸でしてな、祝い事にはこれが一番で」

一気に飲み干したジョミー君の杯に再び大吟醸がトクトクトク…と。
どうやら飲み口が最高らしく、ジョミー君、どんどん飲んでおります。
未成年なのにいいんでしょうか…?

シロエ 「大丈夫でしょうか、ジョミー先輩…。出来上がってませんか?」
ブルー 「もう充分に大トラだよ。午後の部の下足番には使えないね」
イライザ「よろしいんですのよ、未来に役立って下されば」
キース 「俺とジョミーで説法会か…。サムも来るなら賑やかになるな」
マツカ 「ぼくもお手伝いさせて頂きますよ、裏方でしたら」
スウェナ「私でも配膳くらいは出来そうね」
ぶるぅ 「じゃあ、ぼく、お料理を手伝いに来る! レシピも増やして」
ブルー 「だったら、ぼくはゲスト出演しようかな」
イライザ「銀青様に来て頂ければ最高ですわ。素敵な会になりますわね」
ジョミー「頑張るぞー! ハゲは坊主の職業病だぁー!」

坊主バンザイ、と出来上がっているジョミー君。
とんだ元日になりましたけど、お目出度いのはいいことです。
謹賀新年、今年もいい年になりますように~!

2012/01/29 (Sun)

 

☆もうすぐ節分


お元日から酔っぱらってしまい、坊主万歳と連呼してしまったジョミー君。
翌日は二日酔いで寝込み正月となり、今も笑い物になっております。

ブルー 「いやあ、ホントに派手だったよねえ、坊主宣言」
キース 「あれは録画をするべきだったと親父が悔やんでいるからなあ…」
シロエ 「酔った勢いで剃髪しちゃえば良かったんですよ、決心がついて」
スウェナ「本人に記憶が無いっていうのが悲しいわよね」
サム  「うんうん、髪の毛がスッパリ無くなっていたら証拠になったし」
マツカ 「でも…。それって犯罪にならないんですか? 髪の毛を勝手に」
ブルー 「ああ、女性の髪とかを無断で切ったら捕まるようだね、警察に」
キース 「酔っ払いは心神耗弱だしな…。本人の合意があっても難しいか」
ブルー 「ジョミーの御両親にはソルジャー命令で通るだろうけど…」
ジョミー「やめてよ、ぼくは覚えてないんだから! 坊主反対!」
キース 「分かった、分かった。絵馬にも書いてたくらいだしな」

三が日の最終日は、みんなでアルテメシア大神宮に初詣でした。
寝込み正月の間にジョミー君の携帯宛に届いたメールは激励文ばかり。
「坊主元年」だの「初坊主」だのと、誰もが背中を押すものですから…。

ジョミー「仏様に宣言したのを撤回するなら神様だろうと思ったんだよ!」
サム  「坊主にならずに済みますように、ってな。あれは笑えたぜ」
ブルー 「御利益に期待するしかないね。現時点では逃げ切れてるし」
スウェナ「いつ時効なのか知らないけれど、もう1月も末だものね」
キース 「多分、時効は無いと思うが…。親父もおふくろも期待してるぞ」
ジョミー「だから酔っぱらっていたんだってば!」
ブルー 「これに懲りたら飲まないことだね。…ところで節分なんだけど」
キース 「ああ、もうすぐだな。今年はウチで豆まきするか?」

本堂で豆を撒き放題だ、とキース君。
「鬼は外」と叫びまくっても御近所に迷惑はかかりません。
これは案外、穴場かも?

2012/01/30 (Mon)

 

☆節分の行き先


節分が近付いてきております。元老寺では本堂で豆を撒き放題だそうで…。
シャン学メンバー、是非行きたいと思ったのですが。

ジョミー「ぼくは絶対行かないからね! 行ったら元の木阿弥だし!」
キース 「まあ、そうだろうな。親父が喜ぶのは間違いない」
ブルー 「年男みたいに主役を張れるかもしれないよ?」
ジョミー「そりゃ、豆まきはしたいけど…。でも元老寺は鬼門なんだよ!」
サム  「坊主宣言した場所だもんな、福よりも鬼が来るってか?」
シロエ 「バリカンと剃刀を持ってる鬼なんですよ、金棒の代わりに」
スウェナ「いいわね、それ。ジョミー限定の鬼ってわけね」
ジョミー「嫌だってば! ちゃんと神様にもお願いしたから逃げ切るんだ!」
ブルー 「神様ねえ…。仏様への宣言を撤回するなら神様だっけ?」
キース 「少なくとも、ジョミーの頭の中ではそうらしいな」
ブルー 「うーん…。じゃあ、節分には更なる御利益を祈願するかい?」
シロエ 「恵方巻ですか?」
ブルー 「それもいいけど、七福神とか」
全員  「「「七福神?」」」
ブルー 「節分の日にだけ七福神巡りが出来る所があるんだよ」

普段は非公開だけど、と生徒会長。
節分の日にお出掛けすると、門前で福笹が売られているそうでございます。
正確に言えば「売る」のではなく「授ける」もの。
それを授かり、七ヶ所に祭られた神様にお参りするのです。

ブルー 「福笹を持って参拝すると、色々つけてくれるんだ」
マツカ 「ミニチュアの米俵とか、枡とかですか?」
ブルー 「マツカが言うのは恵比寿様の福笹だね。七福神の一人だけれど」
ジョミー「えっと…。要するに、神様を拝んで回るわけ?」
ブルー 「そう。お参りした印を福笹に結んで貰うんだよ」
シロエ 「なんだか面白そうですね。みんなで出掛けてみませんか?」
キース 「七福神巡りか…。悪くはないな」
ジョミー「御利益賛成! それにしようよ」

節分は七福神巡りに決定の模様。どんな御利益があるのかな?

2012/01/31 (Tue)

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