☆節分に向けて
節分の日には七福神巡り。そう決めた後も打ち合わせることは山盛りです。
豆まきだってやりたいですし、恵方巻だって…。
ブルー 「学校で豆まきはやらないからねえ…。サボリでいいだろ?」
キース 「おい、放課後に行くんじゃないのか、七福神は?」
ブルー 「そりゃ、一日中やってるけどさ。信心深い人は朝一番だ」
シロエ 「朝一番って…。そこまで頑張らなくっても…」
ジョミー「うん、とりあえずお参り出来れば充分だけど」
ブルー 「流石に朝一番とは言わないよ。でも放課後じゃイマイチだよね」
せっかく遊びに行くんだから、と生徒会長。
特別生には出席義務がありません。一年間に一度も登校しない大物だって
いるわけですし…。欠席大王と異名の高い1年B組のジルベールとか。
サム 「そうだよなぁ…。遊びに行くならサボリもいいよな」
マツカ 「ぼくたちの場合はサボリ扱いじゃないですしね」
スウェナ「出席簿に×はつかないものね」
ブルー 「出欠を取る時に返事が無いのと、机が空席っていうだけさ」
ジョミー「じゃあ、そっち! 休んで来ました、って方が御利益ありそう」
キース 「お前、七福神にも坊主は嫌だって祈願する気か?」
ジョミー「もちろんだよ。幸せになれますように…ってお願いするんだ」
坊主にならずに済むのが一番の幸せ、とジョミー君。
何か間違っている気もしますけど、本人がそれでいいのなら…。
ブルー 「それじゃ七福神巡りから始めよう。豆まきはどうする?」
サム 「ぶるぅの部屋…って、ここ、ドアが無いのか…」
ぶるぅ 「鬼さん、入って来られないよ。ブルーもいるしね」
ブルー 「鬼がいるかどうかはともかく、ドアが無いから豆まきはねえ…」
鬼は外、と景気良く豆をブチまけてこそ、と生徒会長は申しております。
ブルー 「様式美とでも言うのかな? ぼくの家なら、そこは合格」
マンションの最上階とはいえ、玄関のドアはございます。
今年の豆まきは生徒会長の家でやるようですねえ…。
2012/02/01 (Wed)
☆節分に期待
豆まきはぼくに任せておいて、と生徒会長の鶴の一声。
マンションの最上階より、元老寺の本堂の方が雰囲気ありそうですけども。
ブルー 「元老寺はジョミーが嫌だと言っているしね。そこは諦めてよ」
サム 「ちえっ、本堂で豆まきってスッキリしそうでいいんだけどな」
キース 「同感だ。俺は毎年やってるわけだが、マンションではなあ…」
シロエ 「おまけに会長の家ですもんね。追い出す鬼もいないでしょう?」
ぶるぅ 「いないと思うよ。でも、豆まきは毎年やってるもん!」
楽しいんだ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
子供は豆まき、好きですものね。
ブルー 「後は恵方巻をどうするかだね。質より量を重視かい?」
全員 「「「は?」」」
ブルー 「美味しいのがいいか、大きいのがいいかって話だよ」
キース 「そもそも縁起物だろう? 味がどうこうと言い出す以前に」
ブルー 「そりゃそうだけど、同じ食べるなら選びたいよね」
サム 「恵方巻、ぶるぅが作るのかよ?」
ブルー 「店に注文するつもり。質も量もって欲張りもOK」
スポンサーはバッチリだ、とニッコリ微笑む生徒会長。それってまさか…。
ブルー 「そのまさかさ。ぼくとお揃いの恵方巻だよ、って言ったら一発」
キース 「教頭先生にたかったのか!?」
ブルー 「人聞きの悪い…。恵方巻を注文するけど、一緒に頼む? とね」
教頭先生、一本釣りだったそうでございます。
伝票を回せば全員分の恵方巻代を支払って下さる約束だそうで…。
ジョミー「だったら両方! 美味しくて太さもあるヤツがいいな」
キース 「おい、あんまり太いと食べにくくなるぞ」
ブルー 「ああ、その辺は心配ないよ。店の方でも心得てるさ」
豪華版で注文しとく、と生徒会長は笑顔です。
ブルー 「ついでに開運祈願の御祈祷もつけてくれるんだ」
そちらはお店のサービスだとかで、流石は高級料亭です。
豆まきの場所も恵方巻の手配も決まりましたし、いざ、節分。
これは当日が楽しみですよね!
2012/02/02 (Thu)
☆節分に七福神
やって来ました、節分当日。
七福神巡りに出掛けようというシャン学メンバー、既に集合しております。
学校の方は当然サボリで、生徒会長が住むマンションの入口が合流地点。
ぶるぅ 「かみお~ん♪ みんな、お待たせー!」
ブルー 「時間ピッタリとは頼もしいね。まあ、学校に行くのと同じか…」
キース 「瞬間移動のあんたと違って、毎日バスだの電車だのだしな」
シロエ 「決まった時間に着くというのが基本ですしね」
ブルー 「時間厳守は大いに結構。それじゃ七福神巡りに出掛けようか」
生徒会長を先頭にしてバス停へ。学校とは違う方向に行くバスに乗り込み、
ワクワクと…。乗客は御老人が多めのようですね。
ジョミー「みんな七福神巡りに行くのかな?」
ブルー 「もちろんさ。信心深い人は朝一番、って言っただろう」
マツカ 「で、行き先は何処なんですか? バスの終点は郊外ですよね」
ブルー 「その少し手前。観光客も来てると思うよ」
ああ、と納得するシャン学メンバー。有名な神社やお寺が多い場所です。
景色も良いので冬の最中でも観光バスが来ることもあり…。
キース 「あそこに七福神があるとは一度も聞いた覚えが無いが」
ブルー 「普段は非公開だと言った筈だよ。その分、御利益も多いってね」
ジョミー「よーし、しっかりお祈りするぞ! 神様だもんね」
坊主にならずに済みますように…、と真剣な顔のジョミー君。
それが一番の幸せだと言うのですから、周囲は苦笑するばかり。そして…。
ブルー 「ほら、あちこちに幟が立ってる。賑やかだろう?」
キース 「なるほど…。これは知らなかったな」
スウェナ「福笹はあそこのテントで買えるみたいね」
ブルー 「買うんじゃなくて頂くんだよ。神様にお参りするんだからさ」
ジョミー「ちょ、ちょっと…。七福神巡りとは書いてあるけど…」
お寺じゃないか、とジョミー君は大ショック。
山門前の立看板には『節分祭』の文字も…。
神社じゃないのに七福神って、有りなんですか?
2012/02/03 (Fri)
☆お寺な七福神
節分の日は七福神巡りでスタートと決めたシャン学メンバー。
学校をサボッて目的地に到着した所まではいいんですけど、そこはお寺で。
ジョミー「なんでお寺に来ちゃうのさ! 神様じゃないし!」
ブルー 「シッ、大きな声を出さないように。他の皆さんの御迷惑になる」
七福神巡りに来た善男善女の鋭い視線がジョミー君に向いております。
喚き立てるのもさることながら、七福神はお寺においでのようですし…。
ブルー 「君がどう思ってるかは知らないけどね、七福神は神様だよ」
ジョミー「で、でも…。ここって、お寺…」
ブルー 「お寺だけどさ。七福神もちゃんとお祭りされている」
キース 「寺の境内に神社というのは珍しくないぞ」
シロエ 「神仏習合って、歴史で習うじゃないですか。きっとそれですよ」
スウェナ「エラ先生に教わったわよ? 覚えてないとか…?」
ジョミー「忘れたし! って言うか、テストはブルーがフォローしてたし!」
生徒会長の得意技は「クラス全員に満点を取らせること」でございます。
普通の1年生だった頃から恩恵に与っていたジョミー君、勉強なるものを
しなかったのか、はたまた忘れてしまったか。
特別生は出欠だけでなく、成績も問われませんからねえ…。
ブルー 「やれやれ…。ぼくのせいにされても困るんだけど」
サム 「大事なことだぜ、ちゃんと頭に入れとけよ。坊主になるなら」
ジョミー「だから嫌だってば! 七福神にお願いしようと思ってたのに…」
キース 「安心しろ。寺の中でも神社は神社だ」
マツカ 「そうみたいですね、福笹を売っているのは巫女さんですよ」
ブルー 「売るんじゃなくて授ける、だからね。言葉遣いは正確に!」
マツカ 「す、すみません…。これじゃ御利益無くなりますよね」
ブルー 「大丈夫。神様の心は狭くないから」
坊主は嫌だとお願いしても問題ないよ、と生徒会長。
しかし七福神巡りはお寺の催し。そんな勝手が通るんでしょうか?
ジョミー君、またまたドツボかも…。
2012/02/04 (Sat)
☆福笹を頂こう
節分限定だという七福神巡りに来たシャン学メンバー。
神仏習合のお寺に着いてしまいましたが、ジョミー君以外は気にしません。
サム 「嫌だってヤツは放っておこうぜ」
ブルー 「もちろんさ。さあ、福笹を頂きに行こう」
キース 「ここは禅寺だとしか知らなかったな、今の今まで」
シロエ 「へえ? ここって禅寺だったんですか?」
キース 「一般向けに座禅の会もやってるんだぞ。雲水の修行道場なんだ」
スウェナ「雲水って?」
キース 「ああ、あまり馴染みが無い言葉かもな。雲水は禅宗の修行僧だ」
ブルー 「ここの修行は厳しいよ? でも、今日は特別。お祭りだしね」
節分祭とあって、修行僧もお手伝いに出ているらしいです。
しかしテントで福笹を授けているのは巫女さんで。
ブルー 「そりゃあ、七福神巡りだから…。こういう所は巫女さんだよ」
キース 「坊主じゃ絵にもならないしな」
サム 「だよな、神社には巫女さんだよなあ」
行列に並んだシャン学メンバー、福笹ゲットでございます。
いつの間にやらジョミー君までコソコソ後ろにいたりして…。
サム 「なんだ、結局、買うのかよ」
キース 「頂く、だ。またブルーに注意されてしまうぞ」
ジョミー「やっぱり買った方がいいのかなぁ、って…。御利益は欲しいし」
ブルー 「頂くものだ、とキースも言ったよ。でも心がけは立派だよね」
お参りするにも形が大事、と生徒会長。
初日の出の時にやらかしたような間違った作法は論外です。
七福神巡りをするなら福笹を授かって行くのがお約束だそうで…。
マツカ 「最初から絵馬がついてるんですね」
ブルー 「お願い事を書くためのヤツじゃないけどね。今年の干支だよ」
キース 「お参りした年が分かるように…か。気が引き締まるな」
ブルー 「辰年なんだし、御利益も昇龍の勢いで急上昇…と行きたいよね」
福笹を手にしたシャン学メンバー、山門をくぐって境内へ。
七福神巡りの幟が両脇にズラリ、これは御利益ありそうですよ~!
2012/02/05 (Sun)
☆御利益を求めて
境内に並ぶ『七福神巡り』と書かれた幟。
遙か彼方の本堂へ続く石畳の道の両脇に、七福神がおいでになるようです。
ブルー 「ん? ちょっと曇ってきたかな」
キース 「こいつは雪になるかもな。天気予報は雪マークだったし」
シロエ 「お寺で雪って、元日を思い出しますねえ」
サム 「うんうん、雪が降る中でジョミーが凍えていたヤツな」
ジョミー「同じ雪なら御利益あるかも! 条件が同じって大切だよね」
スウェナ「そうかしら? 本人の努力次第じゃないの」
ブルー 「水垢離でも取って祈願するなら強いだろうけど…」
キース 「ただの節分寒波ではな…。おっ、降って来たか」
チラホラと雪が舞い始めました。
本格的に降りだす前に回り終えた方が、と『大黒天』の幟が立つ門へと…。
ジョミー「…じ……神社じゃな…い…?」
ブルー 「まあ、世間一般ではお寺だろうねえ、正確に言うと塔頭だけど」
ジョミー「…タッチュウ?」
ブルー 「大きなお寺の境内にある小さなお寺をそう呼ぶんだよ」
ジョミー「だ、だけど…。ちゃんと表に大黒天って…」
キース 「お前の目玉は節穴か? あそこにお堂があるだろうが」
マツカ 「本当ですね、幟が沢山並んでいますよ」
ブルー 「ここのお寺がお守りしている大黒様さ。普段は非公開」
シロエ 「節分だけって話ですもんね、きっと御利益ありますって!」
さあどうぞ、とジョミー君に道を譲るシロエ君。
他のメンバーも揃ってジョミー君の後ろへと移動完了です。
ブルー 「せっかくだから一番福ってね。君に譲るよ」
ジョミー「え? ええっ?」
キース 「安心しろ、大黒様だから参拝の手順は神社と同じだ」
ブルー 「初日の出では失敗したけど、今度はきちんと拝むんだね」
サム 「失敗したら御利益が違う方向に向くんだぜ」
シロエ 「坊主の道に精進しろって言われるんですよね、大黒様に」
ジョミー君には切実な件も他の面子には他人事。
譲ってもらった一番福をジョミー君はモノに出来るのか…?
2012/02/06 (Mon)
☆お参りとお札
七福神巡りのスタートは大黒天を祭るお堂から。小さなお寺の中ですが…。
仲間内での一番福を譲られたジョミー君、緊張した面持ちで柏手を。
ブルー 「やり直し…とは言えないだろうね、今更だし」
キース 「言っておいてやるべきだったか…。柏手の前に二礼だと」
サム 「別にいいだろ、御利益が少し減るだけじゃねえの?」
シロエ 「これだけ大勢のお参りがあると、優先順位がありそうですよね」
スウェナ「神様への御挨拶を間違えるような人は論外よ、きっと」
そんなやり取りが交わされているとも知らず、ジョミー君は真剣です。
お賽銭を入れて、ガランガランと鈴を鳴らして…。
この順番も間違ってる気がしますけど。柏手よりも先にお賽銭ですよねえ。
ジョミー「これで良しっ、と。しっかりお願いしてきたよ」
ブルー 「坊主にならずに済みますように、って? 健闘を祈るよ」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ぼくたちもお参りしようよ!」
マツカ 「そうですね。早く回らないと雪が本降りになりそうです」
順番に並んでお参りしているシャン学メンバー。
もちろん二礼二拍手一礼ですが、ジョミー君は自分のミスに気付きません。
訂正せずに放置ってことは、一番福は逃したかも…。
ブルー 「さてと、お参りも済ませたことだし、お札を頂こう」
ジョミー「お札?」
ブルー 「福笹に結んでくれるんだよ。受付はこっち」
ジョミー「え? ええぇっ?」
大黒様は独立したお堂ですから明らかに神社でしたけど。
お札の受付は本堂の前でございました。お坊さんが笑顔で座っています。
お坊さん「ようこそお参り下さいました」
ブルー 「お世話になります。お願いします」
生徒会長が差し出す福笹に手際よく結ばれる大黒天のお札。
お坊さんが手ずから授けて下さるわけで…。
ジョミー「ど、どうしよう…」
キース 「お札を頂かないと御利益も無いぞ」
七福神巡りに来たのに、お寺。
お坊さんまで登場とあっては、ジョミー君に再び坊主フラグが…?
2012/02/07 (Tue)
☆お札と願い事
福笹を授けていたのは巫女さんでしたが、お札を結ぶのはお坊さんでした。
そうと知ったジョミー君、思い切り腰が引けております。
シロエ 「ジョミー先輩、行かないんですか?」
ジョミー「あ、あれって必須? お札が無いと御利益も無し…?」
ブルー 「お参りしたっていう印だからねえ…。きっと神様の目印だよ」
ジョミー「目印って?」
ブルー 「お札を持っている人のお願いを聞いて下さるんだと思うけど」
キース 「多分、この絵馬とセットだろうな。辰年にお参りした証明だ」
サム 「今年お参りして、お札を貰った人が優先なんじゃねえか?」
ブルー 「神様もお忙しいから、お願い事を聞く順番はあると思うよ」
スウェナ「全部叶えるにしても誰のお願いを一番にするか、ってことね」
ジョミー「じゃ、じゃあ……お坊さんになりたくなければ…」
ブルー 「お坊さんからお札を頂戴するしかないだろうね」
ジョミー「そ、そっか…。そうだよね、貰うだけなら大丈夫だよね…」
一大決心をしてお札を結んで貰いに本堂へと向かうジョミー君。
シャン学メンバー、その背中を見て笑っております。
キース 「貰うだけなら大丈夫ときたか。坊主は伝染病なのか?」
ブルー 「そうかもね。ほら、お元日に酔っ払った時にも叫んでいたし」
サム 「ハゲは坊主の職業病だ、って御機嫌で喚き散らしてたよな」
シロエ 「いっそ移ったら笑えますよね」
ブルー 「シーッ、戻って来た。本人は至って真剣だよ」
ジョミー「なに、なに? 何かいいことあった?」
ブルー 「君のお願いが叶うといいね、と皆でお祈りしてたのさ」
ジョミー「えっ、ホント? お願い事まで譲ってくれるの?」
ブルー 「もちろんだよ。お元日から張り切っていたし」
サム 「そう、そう。坊主バンザイってな」
ジョミー「そ、そのお願いが最優先? そんなの有り…?」
愕然とするジョミー君ですが、生徒会長は知らん顔。
七福神巡りは残り六ヶ所、ジョミー君の願い事は果たしてどうなる…?
2012/02/08 (Wed)
☆避けたいお坊さん
七福神へのお願い事は人それぞれ。しかし一番切実なのはジョミー君です。
お元日に元老寺でやってしまった坊主宣言を撤回するべく祈願中。
ジョミー「これで三ヶ所…と。みんな、お願いしていないよね?」
ブルー 「七福神巡りはお願い事をするのが基本だけれど?」
ジョミー「そうじゃなくって! 余計なヤツだよ、ぼくをお坊さんに…って」
サム 「ああ、譲るってヤツな。一番福は譲ってるじゃねえか」
キース 「何処でも最初にお参りさせてやってるぞ。坊主宣言も大切だし」
シロエ 「そうですよ? 先輩を宜しくお願いします、とお祈りしてます」
スウェナ「私たちは福が来ればいいだけだもの、ジョミーが優先!」
マツカ 「会長も期待してますからね。ぼくもしっかりお願いしました」
ブルー 「持つべきものは友達だよねえ、立派なお坊さんになれると思うよ」
ジョミー「そ、そんなぁ…。ぼくが撤回している意味が無いじゃない!」
ブルー 「さあね? 一番にお願いするのは君だし、神様次第ということで」
キース 「多数決で聞いて下さるなら坊主宣言の方に軍配だな」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ぼくもジョミーを応援してるよ!」
お坊さんになるんでしょ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」もニコニコ顔。
ジョミー君は激しく打ちのめされつつ、次の塔頭を目指しておりますが…。
お坊さん「お接待です! 甘酒、如何ですか?」
雪が降りしきる中、特設テントからホカホカと暖かな湯気が漂っています。
甘酒と書かれた看板が立ち、修行僧たちが大きなお鍋をかき混ぜていて。
ブルー 「せっかくだから頂いて行こう。お接待だから無料だよ」
キース 「この寒さだけに有難いよな。…頂きます」
お坊さん「どうぞ、どうぞ。他の皆さんも御遠慮なく」
生徒会長とキース君、合掌して一礼しています。それに倣ってサム君も。
お坊さんが甘酒を湯呑みに注いで、人数分をお盆に載せてくれました。
温まりそうな甘酒ですけど、ジョミー君、またお坊さんとの深い御縁が…?
2012/02/09 (Thu)
☆甘酒のお接待
七福神巡りに来た人たちのために、お坊さんたちが甘酒のお接待中。
人数分の湯呑みがお盆の上で暖かそうな湯気を立てております。
ブルー 「頂戴させて頂きます」
キース 「有難く頂戴いたします」
生徒会長とキース君はプロのお坊さんだけに、申し分の無い礼儀作法です。
お接待係のお坊さんたちも「しっかりしておられますね」と満面の笑顔。
まさか本物のお坊さんとは思わないでしょうから、礼儀正しい高校生だと
感心している…といった所でしょうか。
サム 「うわー、あったまるぜ、これ」
お坊さん「お好みで生姜も入れて下さい。そちらに置いてございます」
ブルー 「それは嬉しいね。じゃあ、遠慮なく」
シロエ 「生姜を入れるとポカポカしますね。…あれっ、ジョミー先輩?」
マツカ 「どうしたんですか、甘酒は好みじゃなかったとか…?」
ジョミー君、甘酒の湯呑みを持ってはいますが、口をつけてはおりません。
早く飲まないと冷めちゃいますよ?
ジョミー「えっと…。これってお酒になるのかな?」
お坊さん「蔵元から仕入れた最高の酒粕を使っております」
ジョミー「…じゃあ、お酒?」
お坊さん「酒気帯び運転にならない程度ですから、大丈夫ですよ」
ブルー 「うん、酔っ払う心配は無いと思うよ。坊主宣言の危険はゼロだ」
お坊さん「坊主宣言?」
ブルー 「不肖の弟子でね、酔うと「坊主の道に精進する」と連呼するわけ」
ジョミー「ちょ、ちょっと…」
お坊さん「な、なんと、お弟子をお持ちとは…。大変失礼いたしました」
ブルー 「まあ、色々と事情があってね。普段は普通の高校生だよ」
気遣い無用、と生徒会長。
しかし、お坊さんたちはテントの奥にあった椅子を持ち出して…。
お坊さん「どうぞお座り下さいませ」
ブルー 「いいって、いいって。それより、ジョミー。お接待は受けないと」
ジョミー「で、でも…」
坊主宣言をバラされてしまったジョミー君。
アルコール度数が低いとはいえ、甘酒はリスクが高いですか?
2012/02/10 (Fri)
☆甘酒の落とし穴
酔っ払うと坊主宣言をする、とバラされてしまったジョミー君。
たかが甘酒、警戒せずに飲んでしまえば良かったのに…。
ブルー 「お接待を無にしちゃいけないよ。それはマナーとしても最低」
お坊さん「いえ、そんなことは…。お嫌いな方もおいでですから」
ブルー 「嫌いとか苦手というんじゃないしね。単に酒癖が悪いだけでさ」
キース 「いっそ濃いのを飲ませたらどうだ? 酒粕多めだと酔うと聞くぞ」
お坊さん「鍋の底の方はアルコール度数も確かに高めになりますが…」
ブルー 「下手なビールより高いらしいね。じゃあ、その辺を少し」
お坊さん「えっと…。皆さん、未成年でらっしゃるのでは?」
ブルー 「未成年が師僧になれるのかい? ここの宗派は」
お坊さん「そ、そうでした。確かにお弟子と…。で、では、もしかして…」
伝説の高僧様でいらっしゃいますか、と生徒会長を取り巻くお坊さんたち。
宗派は違えど銀青の噂は世に広まっているようで…。
ブルー 「オフレコで頼むよ、ここの老師も顔馴染みなんだ」
お坊さん「では、やはり…。お目にかかれて光栄でございます」
ブルー 「それより、そこの弟子をよろしく。坊主宣言でも礼儀作法でも」
キース 「そうだな、ここの修行は厳しい。坊主宣言よりも修行がいいか?」
ジョミー「しゅ、修行って…」
お坊さん「一般の方にも門戸を開くべく、座禅の会などをしておりますが」
ブルー 「座禅はなかなか良さそうだね。姿勢も自然と良くなるし」
キース 「せっかくだから仕込んで貰え。他の宗派で学ぶのもいいぞ」
ジョミー「なんで座禅になっちゃうのさ! 普通に坊主の方がマシだよ!」
シロエ 「ジョミー先輩、今のは坊主宣言ですか?」
ジョミー「え? ええっ?」
ブルー 「自覚症状は無かったか…。面白いから飲ませてしまおう」
そこの甘酒をうんと濃い目に、と注文している生徒会長。
たかが甘酒、されど甘酒。ジョミー君、ピンチでございます。
酒粕多めの甘酒パワーで坊主宣言再びとか…?
2012/02/11 (Sat)
☆濃いのを一杯
ジョミー君にヒタヒタと忍び寄って来る坊主宣言の危機と、濃い目の甘酒。
最初に貰った湯呑みの中身は普通の甘酒なんですが…。
ブルー 「とにかく、それを空にしたまえ。湯呑みは再利用しないとね」
キース 「そうだな、飲む人間は同じなんだ。湯呑みを洗って頂く訳には…」
お坊さん「いえ、私どもはお役目ですので」
ブルー 「そんなわけにはいかないよ。お客さんが大勢おいでだし」
飲む、飲まないで揉めている間にも一般の人たちがお接待を受けています。
お坊さんたちは話をしつつも手は休めずにお仕事中。
サム 「さっさと飲めよ。でないとますます失礼になるぞ」
ジョミー「で、でも…。これを飲んだら濃いヤツが…」
ブルー 「君がしっかり理性を保てば大丈夫だと思うけどねえ?」
キース 「ああ。酒は飲んでも飲まれるな、と大学でも散々教えられた」
シロエ 「飲んでなくても坊主宣言しそうになったじゃないですか」
スウェナ「そうよ、素面でも酔っても結果は大して変わりゃしないわ」
サム 「七福神に願掛け中だろ? 効き目があったら無問題だぜ」
ジョミー「わ、分かったよ! 飲めばいいんだろ、飲めば!」
クイッと一気に甘酒を飲み干すジョミー君。
空になった湯呑みを生徒会長が指差して。
ブルー 「空いたようだし、濃いのを一杯。一杯と言わず何杯でも」
お坊さん「かしこまりました。お味の方は保証しますよ」
ブルー 「ぼくにも一杯、頂けるかな? 最高の酒粕なら美味しそうだ」
お坊さん「どうぞ、どうぞ」
大鍋の底から掬われた甘酒、とても良い匂いがしております。
早速飲んだ生徒会長は御満悦。
ブルー 「うん、いいね。ジョミー、遠慮しないで頂きたまえ」
ジョミー「う、うう…。要は酔わなきゃいいんだよね」
恐る恐る飲んだジョミー君ですが、思いのほか口当たりが良かったらしく。
見る間に空になった湯呑みに、お坊さんがすかさず追加の一杯。
「酒は飲んでも飲まれるな」。
この教訓は生かされるのか…?
2012/02/12 (Sun)
☆緋色が最高
下手なビールよりアルコール度数が高くなるらしい、酒粕多めの濃い甘酒。
大鍋の底から掬われる上に熱々ですから、とても身体が温まるようで。
ジョミー「なんか美味しい…。それにポカポカしてくるね」
ブルー 「最初に頂いた分は冷めちゃってたし、注ぎたてには敵わないよ」
お坊さん「よろしかったらお代わりをどうぞ」
ジョミー「うん、お願い。まだ四ヶ所も回るんだから」
雪が舞う中、熱い甘酒は嬉しいものでございます。
お代わりしまくったジョミー君、最後は笑顔でお坊さんたちに手を振って。
ジョミー「御馳走様でしたー! 頑張ってお参りして帰りますね」
お坊さん「どういたしまして。福を沢山頂いて下さい」
ジョミー「ありがとうございまーす! 服は緋色が最高ですよね!」
バイバイ、と御機嫌で先頭に立ち、次の塔頭へ向かうジョミー君。
その後ろでは…。
サム 「今の緋色ってフク違いだよな?」
キース 「だろうな。ジョミーが言うのは着る方の服だ」
シロエ 「緋色が最高っていうことは…。もしかしなくても…」
ブルー 「そう、明らかに坊主宣言。緋色の衣を目指すそうだよ」
楽しみだねえ、と生徒会長は笑っております。
「酒は飲んでも飲まれるな」とキース君が言っていたのに…。
そういうわけで、残り四ヶ所でのジョミー君のお願い事は。
ジョミー「ここで最後、っと。しっかりお願いしてきたよ」
ブルー 「緋色の衣が着られますように…って?」
ジョミー「もちろんさ! あ、お札よろしくお願いしまーす!」
塔頭のお坊さんに福笹にお札を結んで貰って、ジョミー君は大満足。
雪はいつの間にやら本降りに…。
ブルー 「お昼は此処で食べて行こうか。湯豆腐をやっているんだよ」
マツカ 「そうなんですか?」
ぶるぅ 「ここの湯豆腐、美味しいよ! お寺だから精進料理だけど」
ジョミー「賛成、賛成! お寺に来たら精進料理!」
それが最高、とジョミー君。
気分も最高みたいですけど、酔いが醒めたらどうなるのやら…。
2012/02/13 (Mon)
☆お昼は湯豆腐
お寺に来たら精進料理。
七福神巡りで訪れた最後の塔頭は、名物料理が湯豆腐だそうでございます。
ジョミー君も大賛成とあって、お昼は此処で。
ブルー 「寒い日は鍋に限るよね。湯豆腐が鍋かどうかは微妙だけどさ」
キース 「鍋…なんじゃないか? 最初から机に乗ってるんだし」
シロエ 「ですよね、料理よりも先に炭火が来ましたもんね」
ぶるぅ 「湯豆腐で炭火は珍しいんだよ。お豆腐もいいのを使ってるし!」
だから大好き、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
炭火の上に置かれた鍋ではお豆腐がグツグツ煮えております。
お料理の方は精進とはいえ、天麩羅は揚げたて、炊き合わせも熱々。
ジョミー「なんか幸せな気分になるよね、雪を見ながら湯豆腐ってさ」
ブルー 「お願い事も出来たしね。頑張ってお参りしたんだ、きっと叶うよ」
ジョミー「そうこなくっちゃ! あ、この後はどうするの?」
ブルー 「恵方巻も豆まきも夜のものだし、ぼくの家に遊びに来ないかい?」
サム 「行く、行く! 俺は喜んで行くぜ」
キース 「この雪だしな…。そうさせて貰えると有難い。風邪は困るんだ」
お坊さんの毎日は読経がつきもの。
風邪を引いて喉をやられると非常に苦労するのだそうで…。
ブルー 「じゃあ、食べ終えたらぼくの家だね。帰りは直行便といこうか」
ぶるぅ 「人は多いけど、境内の奥には行かないもんね」
そこからパパッと瞬間移動、と帰りのルートも決まりました。
湯豆腐で温まった後は福笹を手に境内を歩き、観光客も来ない奥の方へと。
ブルー 「ここまで来れば大丈夫。飛ぶよ、ぶるぅ!」
ぶるぅ 「かみお~ん♪」
アッと言う間に生徒会長の家に到着です。
暖房の効いたリビングに座り、外の雪など眺めながら。
キース 「いいお参りが出来て良かった。俺も精進しないとな」
ブルー 「ジョミーには負けていられないって? もう寝てるけどね」
酔っ払った上にお腹も一杯、ジョミー君は幸せ気分で爆睡中。
目が覚めるのは夕方かな?
2012/02/14 (Tue)