☆失われた記憶
七福神巡りも無事に終わって、生徒会長の家でのんびりと。
この後に控えるのは節分のメインイベント、恵方巻と豆まきでございます。
キース 「ジョミーは当分、起きそうにないな」
ブルー 「いいんじゃないかな、恵方巻は日が暮れてからだしね」
シロエ 「特注品って聞いてますけど、届くんですか?」
ブルー 「うん、料亭から直接ね」
そうこうする内に日が暮れ、チャイムの音が。
マンションの管理人さんが恵方巻を受け取り、家へ届けに来てくれました。
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 恵方巻だよ!」
ジョミー「えっ、なに、なに? 恵方巻?」
ガバッと飛び起きたジョミー君ですが、横に落ちていた福笹を見て思案顔。
どうやら記憶が無いようです。
ジョミー「あれ? いつの間に帰って来たんだっけ?」
ブルー 「湯豆腐を食べて、それからすぐに…ね。君も賛成してただろう」
ジョミー「湯豆腐って? そんなの何処で食べたっけ?」
キース 「絶望的だな…」
シロエ 「お寺に来たら精進料理ってジョミー先輩が言ったんですよ」
サム 「うんうん、最後の塔頭でな。でもって、そこで湯豆腐を食ったぜ」
スウェナ「もしかして覚えていないとか? 甘酒を飲んでそこから後は」
ジョミー「甘酒…。えっと、お坊さんたちがお接待してて…。あれれ?」
シロエ 「先輩、笑顔で手を振りましたよ。服は緋色が最高ですよね、って」
ブルー 「そうそう、緋色の衣を目指すと七福神にお願いもしたし」
ジョミー「ちょ、ちょっと…。それ、本当?」
ブルー 「嘘だと思うなら見てみるといい。これがぼくの記憶。こっちが…」
ジョミー「え? えぇっ?」
次々と思念波で見せられた皆の記憶に、ジョミー君、顔面蒼白です。
そりゃそうでしょう、七福神巡り七ヶ所の内の四ヶ所で坊主祈願では…。
ジョミー「やばいよ、これ…」
ブルー 「さあね?」
七福神へのお願い事は多数決で坊主祈願に軍配が。
ピンチに陥ったジョミー君ですけど、起死回生のチャンスはあるのかな?
2012/02/15 (Wed)
☆恵方巻に願いを
七福神巡りで坊主祈願をしてしまったと知り、真っ青になったジョミー君。
仏様への誓いを撤回するには神様なんだ、と燃えていたのに…。
ジョミー「ど、どうしよう…。これって撤回出来ないの?」
ブルー 「七福神巡りは夕方で閉門、今から行っても入れないよ」
キース 「諦めて高僧を目指すんだな。もう後が無いぞ」
ブルー 「でなきゃダメ元で恵方巻だね。開運祈願の御祈祷済み」
ジョミー「お願い事をしながら食べるんだよね。それで効く?」
ブルー 「どうなんだか…。最高の場所を用意するから頑張りたまえ」
サム 「恵方を向いて食べるだけだろ? 場所も関係するのかよ?」
ブルー 「実は隠れた名所があってね。その名もズバリ恵方社なんだ」
全員 「「「恵方社?」」」
ブルー 「その年の恵方に向けて祠の向きが変わるんだよ」
キース 「そういえば…。しかし、あそこも寺だったような…」
ブルー 「ソレイド八十八ヶ所を創ったお大師様の宗派の、ね」
ジョミー「ま、また、お寺…?」
ブルー 「お寺の境内にあるだけだよ。七福神と同じで神社だってば」
キース 「恵方社は他に無いと聞いたな」
ブルー 「うん、この国でたった一つだけ! 凄く御利益ありそうだろ?」
恵方社はアルテメシアの中心部にひっそりとあるのだそうでございます。
境内の池は涸れたことが無く、パワースポットとしても有名。
ジョミー「行く、行く! そこでお願いする!」
ブルー 「これが最後のチャンスだからね。全身全霊で祈願したまえ」
恵方巻を食べるなら恵方社の前で、という人が最近多いのだそうで。
お願い事の数が多いのですから、叶えて頂くには祈願する方も根性が…。
ブルー 「いいかい。目を閉じて一言も喋らず、頭の中はお願い事だけ!」
ジョミー「それを恵方に向いてだよね?」
ブルー 「恵方社に向き合えば恵方に向く。祠に向かって黙々と、だよ」
努力あるのみ、と生徒会長。
恵方巻に託されたジョミー君の切なる願いは神様の元へ届くのか?
2012/02/16 (Thu)
☆恵方社を目指せ
開運祈願の御祈祷済みという高級料亭の恵方巻。
同じ食べるなら最高の場所で恵方を向いて、と生徒会長は申しております。
今年の恵方は北北西ですが、磁石なんかを使わなくてもドンピシャという
凄いスポットがあるそうで…。
キース 「恵方社のある寺には何度か行ったが、恵方社は見た覚えが無いな」
ブルー 「とても小さな祠だからね。祠を乗っけた石の台座が回るんだよ」
シロエ 「中華料理のテーブルみたいですね」
ブルー 「理屈としては似てるかな。土台の上に円形の台座で、その上に祠」
毎年、大晦日の晩にお坊さんが祠に祈祷し、その後で数人がかりで台座を
回して祠の正面を恵方に向けて、再び御祈祷。
それが『恵方の改め式』で、お参りした人には年越し蕎麦のお接待が。
ジョミー「ちょ、ちょっと待ってよ。お坊さんが祈祷するわけ?」
ブルー 「お寺の境内なんだから、当然だろう。それが嫌なら残るんだね」
ぼくたちだけで出掛けるから、と言われてジョミー君は大慌て。
最強の恵方巻スポットを逃すわけにはいきません。
ジョミー「行くってば! もう後が無いし!」
ブルー 「その勢いで頑張りたまえ。さて、どうやって行こうかな?」
ぶるぅ 「近所の公園、誰もいないよ」
ブルー 「あ、本当だ。だったらパパッと飛んじゃおう」
寒いですからコートを着込んで、瞬間移動でいざ出発!
恵方巻が入った料亭の袋は「そるじゃぁ・ぶるぅ」が提げています。
降り立った小さな公園を出て、少し歩くと石の玉垣と石の鳥居が。
シロエ 「ここでしたか。ずっと神社だと思ってました」
ブルー 「山門が無くて鳥居だからね。だけどホントにお寺なんだよ」
本堂はあっち、と示された先にお堂と庫裏がございます。
しかし境内の殆どを占めるのはパワースポットで知られた池。
ブルー 「うーん、やっぱり先客多数か」
キース 「おい、ライバルは多いぞ、ジョミー」
境内にはズラリ行列が。
恵方社の前で恵方巻、と並ぶ人たちの最後尾は何処に…?
2012/02/17 (Fri)
☆恵方社で恵方巻
大晦日の夜に新しい年の恵方へ向きを変える恵方社。
来てみれば小さな祠でしたが、その前で恵方巻を食べようと並ぶ人の列が。
シロエ 「えっと…。池の向こう側まで回り込んでるみたいですよ」
サム 「こりゃ百人じゃ済まねえかな? 待ち時間も長くなりそうだぜ」
マツカ 「恵方巻ですし、冷えても不味くはならないでしょうけど…」
キース 「問題はこの寒さだな。また雪が降りそうな空模様だぞ」
スウェナ「でも並ぶしかないのよね。早く行きましょ」
ブルー 「大丈夫。そこはしっかり奥の手がある」
全員 「「「え?」」」
ブルー 「ついておいでよ、順番待ちはバッチリだから!」
生徒会長、行列を「ちょっと失礼」と横切り、恵方社だという祠の方へ。
叱られるのでは、とシャン学メンバーはドキドキですけど、願い事に来た
人たちは流石にお行儀が良く、快く道を空けてくれます。
ブルー 「よしよし、ちゃんと場所取りしてるね。お待たせ、ハーレイ!」
全員 「「「教頭先生!?」」」
祠の横に立っていたのはコートを着込んだ教頭先生。
笑顔で手招きしています。
ハーレイ「仕事を済ませてすぐに並びに来たんだぞ。一番だったが」
ブルー 「ごめん、ごめん。こっちにも色々都合があってさ」
ハーレイ「連れが後から来ますんで、と先に参って頂いている」
ブルー 「でないと列が進まないしね。もう並んでもいいのかな?」
次の人 「どうぞ、どうぞ。長い間お待ちだったようですよ」
ブルー 「それじゃ遠慮なく。はい、ハーレイの分の恵方巻」
ハーレイ「すまんな。代金の方は振込み済みだ」
ブルー 「ここのは本当に美味しいよ。でも、味よりも願い事だよね」
並んで、並んで…と割り込みの列を整理する生徒会長。
教頭先生は当然のように最後です。
ブルー 「ここもジョミーが一番福で」
キース 「妥当な線だな」
失敗するなよ、とキース君。
二礼二拍手一礼の作法も指導しています。
ジョミー君はラストチャンスを活かせるのか?
2012/02/18 (Sat)
☆美味しい恵方巻
恵方巻を食べる時は恵方に向いて目を閉じ、一言も喋らず頭の中で願い事。
これがお約束でございます。
坊主宣言撤回の最後のチャンスを恵方巻に託すジョミー君、究極の恵方巻
スポットとされる恵方社の前で深く一礼、続いて二礼目。
柏手の方もパンパンと二回、そして提げていた小袋の中から恵方巻を。
キース 「よし、ここまでは問題なし…と」
ブルー 「後はジョミーの根性だよね。ちゃんと神様に届けばいいけど」
サム 「ここの神様って誰なんだ?」
ブルー 「恵方と言えば歳徳様だよ」
シロエ 「トシトク様? なんですか、それ」
ブルー 「陰陽道で、その年の福徳を司るという女神様。恵方においでだ」
キース 「それも知らずに恵方巻を食っていたのか?」
シロエ 「え、だって。恵方ですから、いい方向なのは確かですしね」
ブルー 「そうだよ、いい方向だと分かればいいのさ。さて、ジョミーは…」
マツカ 「真剣なんじゃないですか? うるさくしたら悪いかも…」
ブルー 「他人の会話が気になるようでは言語道断。雑念はアウト」
ハーレイ「…ジョミーに何かあったのか?」
ブルー 「朝から行った七福神巡りで坊主祈願をしちゃったんだよ」
ハーレイ「坊主祈願?」
ブルー 「うん。甘酒で酔っ払っちゃって、お坊さんになれますようにって」
それを撤回するらしいよ、と生徒会長。
教頭先生も「それは真面目に祈願しないとな」と納得です。
一番に並んだ甲斐があった、と喜んでおられますけど、当のジョミー君は。
ジョミー(えっと、お願い事、お願い事…。坊主宣言撤回で!)
黙々と頬張る恵方巻。
お喋りが禁止でなくても、丸かぶりですし、まず喋れません。
ジョミー(お坊さんにならずに済みますように。お願いします、切実です)
ぼくには後が無いんです、と懸命なジョミー君ですが。
高級料亭の恵方巻はダテではなくて、いつの間にやら味わっていたり…。
お願い事より、舌先でとろける絶妙な具材。
そんな態度でいいんでしょうか…?
2012/02/19 (Sun)
☆気になる恵方巻
坊主宣言撤回のラストチャンスを恵方社に託したジョミー君。
初日の出でも七福神巡りでも失敗していた作法の方も、今度は全く無問題。
恵方巻を食べ終えると祠に深々と一礼をして終わりです。
ブルー 「ふうん…。流石に必死だと間違えないか」
キース 「歳徳様に祈願した以上、今年中は坊主にならずに済みそうだな」
ブルー 「お願いが届いていれば、だけどね」
後ろはズラリ行列ですから、シャン学メンバーも順にお参り。
締めの教頭先生のお参りが済むと、割り込みを詫びながら恵方社を後に。
ハーレイ「お前たちはこれからどうするんだ?」
ブルー 「ぼくの家で晩御飯を食べて豆まきだよ。ハーレイも来るよね?」
ハーレイ「行っていいのか?」
ブルー 「もちろんさ。順番取りの御礼をしなくっちゃ」
ハーレイ「そんなつもりは無かったんだが…。役に立てるのは嬉しいしな」
ブルー 「遠慮しないで食べに来てよ。ずっと立ってて寒かっただろう?」
節分寒波とはよく言ったもので、またしても雪が舞っております。
帰りも無人の公園へ行って、そこから一気に瞬間移動。
ジョミー「さ、寒かった~! でも恵方巻、美味しかったね」
ブルー 「コートを脱いだらウガイ手洗い! 風邪を引くよ」
全員 「「「はーい!」」」
教頭先生もしっかりウガイ。
夕食は「そるじゃぁ・ぶるぅ」の手作りです。
ぶるぅ 「節分はイワシなんだけど…。今日の主役はアンチョビーだよ」
ブルー 「イワシの頭を柊に刺して、魔除けに玄関につけるんだよね」
ハーレイ「最近、やる家も少なくなったな。私もすっかり忘れていた」
ぶるぅ 「イワシの代わりにアンチョビー! 使い方も色々あるし」
ジョミー「色々って言えば、恵方巻にも色々入ってたね」
ブルー 「七福神にちなんで七種類の具だと聞いたけど?」
ジョミー「そっかぁ…。何が入っていたのかな?」
美味しかったよ、とジョミー君は満足そうですが。
恵方巻の具が気になるだなんて、願い事の方は大丈夫…?
2012/02/20 (Mon)
☆アウトな恵方巻
節分にはイワシの頭を柊に刺し、玄関や勝手口などの出入口に。
翌年の節分までそこに取り付けておけば、魔除けになるそうでございます。
頭を取った残りのイワシが食卓に上るのが本来の形らしいのですが…。
ブルー 「ぼくの家もイワシの頭は付けていないし、気持ちだけ…ね」
ぶるぅ 「アンチョビーだってイワシだもんね! で、恵方巻だっけ?」
ジョミー「うん! 凄く美味しかったけど、目を瞑ってたから見えないし…」
ブルー 「アナゴに干瓢、厚焼き玉子に椎茸に…」
ぶるぅ 「おぼろとキュウリと高野豆腐! 全部で七種類」
ジョミー「ふうん…。中身は普通の太巻き寿司と変わらないんだね」
ぶるぅ 「だから味付けが大事なんだよ。何処で買っても同じじゃないし」
ブルー 「そういうこと。…ところで、ジョミー。お願い事は?」
ジョミー「えっ、ちゃんとお願いしてきたよ?」
ブルー 「頭の中はお願い事だけって教えたよね。なのに君ときたら…」
雑念だらけの煩悩だらけ、とビシッと指差す生徒会長。
ブルー 「心頭滅却して祈願していたら味なんか分からないんだよ」
キース 「分かる筈もないな。黙々と口を動かすだけで」
ブルー 「修行中の念仏三昧が正にそれだね。勝手に口が動くのさ」
キース 「お念仏を唱えているという自覚も無いぞ。それが真のお念仏だ」
ブルー 「恵方巻でも理屈は同じ! お願い事しか意識しちゃダメだ」
サム 「なるほどなあ…。それじゃ、ジョミーは…」
ブルー 「失格だね」
ジョミー「そ、そんなぁ! あんなに頑張ってお願いしたのに…」
キース 「恵方巻を美味しく食った時点でアウトだな」
ジョミー「うわぁ…」
ついに坊主だ、と頭を抱えるジョミー君。
七福神にまで誓ってしまって、ラストチャンスもフイにして…。
ブルー 「まあ、神様ってヤツは気紛れだしね」
どのお願いを聞き届けるかは神様次第らしいです。
七福神の内の誰かか、歳徳様か。
お願い事を叶えるのは誰か、どの願い事が叶うのか…?
2012/02/21 (Tue)
☆最高位は赤
ジョミー君が恵方巻に託した願いは、切実さが足りず門前払いの様相です。
とはいえ、生徒会長が言うには「神様は気紛れ」。
もしかしたら坊主祈願をされた神様が「坊主になれない」ようにするかも。
ジョミー「そっちに望みをかけるしかないよ。四ヶ所でお願いしたんだし」
キース 「坊主の道も悪くはないと思うんだがな…」
ブルー 「酔っ払う度に坊主宣言するかもね。今後に期待しておくさ」
サム 「俺と一緒に修行しようぜ。どっちが先に緋色の衣か競争で!」
シロエ 「キース先輩も負けていられませんね。頑張って下さいよ」
キース 「もちろんだ。…しかしブルーには一生勝てん」
ブルー 「年功序列の世界だしねえ…。おまけに緋色の上は存在しないし」
ハーレイ「ジョミーも緋色を目指すのか?」
ブルー 「そこが神様次第なんだよ。まずは坊主にならないと」
ハーレイ「坊主宣言を撤回し損ねた以上、坊主の道を極めたらどうだ?」
それも一つの生き方だ、と教頭先生。
一番福をゲットするべく恵方社の前で順番取りをなさったのですし、福を
ガッツリ掴んで欲しいと思ってらっしゃるみたいです。
ハーレイ「しかしアレだな、坊主と柔道は似ているな」
ブルー 「どの辺がさ?」
ハーレイ「私が柔道十段なのは知ってるだろう? 十段の帯は赤帯だ」
ブルー 「ああ、赤系が最高って所が似てるんだね。ちょうど良かった」
ハーレイ「は?」
ブルー 「赤か青かで迷ったんだよ。結局、赤にしたんだけれど」
ハーレイ「何の話だ?」
ブルー 「ぶるぅ、アレを持ってきてくれるかな」
ぶるぅ 「かみお~ん♪」
トコトコと走って行った「そるじゃぁ・ぶるぅ」が持ってきたものは。
ブルー 「赤帯と一文字違うだけだし、問題無いだろ?」
ハーレイ「こ、これを私にどうしろと…」
ブルー 「節分と言えば豆まきなんだよ。鬼がいなくちゃ話にならない」
鬼のお面に虎の皮のパンツ、真っ赤な色の肉襦袢。
赤帯ならぬ赤鬼を振られた教頭先生の運命や如何に?
2012/02/22 (Wed)
☆鬼がお似合い
節分の豆まきは鬼がいないと話にならない、と生徒会長は申しております。
高僧である生徒会長の家には、本来、鬼など入れませんが…。
ブルー 「様式美とでも言うのかな? 節分には鬼を追い出さないと」
ハーレイ「そこでどうして私になるのだ!」
ブルー 「君が一番似合うんだよ。鬼は身体が大きいものだし」
ぶるぅ 「ハーレイのサイズに合わせて作ったんだよ、鬼さんの服!」
虎の皮のパンツも「そるじゃぁ・ぶるぅ」のお手製だとか。
お面は買ったらしいですけど。
ブルー 「食事が済んだら豆まきするから着替えてよね」
ハーレイ「もしかして最初からそのつもりか? 恵方巻の順番取りから」
ブルー 「決まってるだろう。でなきゃサイズが合う筈が無い」
ハーレイ「おい、誰か…。誰かブルーを止めてくれ!」
全員 「「「………」」」
ブルー 「残念でした。ジョミーの坊主以上に決定済みだよ、君の運命」
ハーレイ「うう…。で、豆をまくのは誰なんだ?」
ブルー 「ぼくが大トリを務めることは確かだね。玄関の外へ追い出す役」
ハーレイ「大トリだと? では、その前は…」
ブルー 「もちろん全員で豆まきだよ。ぼくもやるから安心して」
ぶるぅ 「えっと、コースはブルーが書いてるからね」
ハーレイ「コース?」
ブルー 「そう、コース。全部の部屋を五芒星の形に走り回るんだよ」
五芒星は一筆描きが出来るお星様マーク。
陰陽道では魔除けだそうで。
ブルー 「君の目にだけ見えるようにサイオンで細工をしておいたから」
キース 「豆まきは本来、邪気払いだしな。五芒星もある意味、正しいか…」
ブルー 「同じやるなら凝りたいよね。さてと、食事も済んだようだし」
着替えてきて、と教頭先生を促す生徒会長。
教頭先生、惚れた弱みで断り切れないようでして…。
ハーレイ「分かった、鬼は引き受けよう」
赤鬼に変身するべく、教頭先生は衣装を抱えて別室へ。
生徒会長が全員に豆と枡を配っていますが、どんな豆まきになるのやら…。
2012/02/23 (Thu)
☆豆まきのルール
豆まきの鬼役にされた教頭先生が着替える間に、豆と枡を配った生徒会長。
これからルールの説明だそうで…。
ブルー 「いいかい、豆が切れたら此処で補給を」
ぶるぅ 「沢山あるから持ってってね! 下手な鉄砲も……なんだっけ?」
ブルー 「数撃ちゃ当たる、だよ。最終目標はストリーキングだ」
全員 「「「はぁ?」」」
ブルー 「鬼の服にサイオンで細工がしてある。豆が当たると透けるのさ」
キース 「透けるだと? どういう意味だ!?」
ブルー 「そのまんまだけど? 透明になってしまうんだよ」
豆が当たれば鬼の衣装が透けてゆくという仕掛けだとか。
教頭先生の身体に比べて豆のサイズは小さいですから、ストリーキングが
目標な以上、凄い数の豆が要るわけで。
ブルー 「だから大量に用意した。鬼は外で福は内なんだ」
キース 「念のために聞くが、そのフクは衣装を指しているのか?」
ブルー 「ダジャレだよ。福は置いてって貰わないとね」
ぶるぅ 「鬼さんを追い出して福を貰うのが豆まきでしょ?」
キース 「そ、それはそうだが、何も本当に奪わなくても…」
ブルー 「見えなくなるっていうだけだから! 遊びだよ、遊び」
ぶるぅ 「パンツは強度が三倍だもんね」
シロエ 「なんですか、それは?」
ブルー 「虎の皮のパンツの部分は三度当てないと透けない仕組みさ」
頑張って三度ぶつけたまえ、と生徒会長。
そんなこととは夢にも思わぬ教頭先生、着替えを終えて戻って来て。
ハーレイ「後はこの面を被ればいいのか?」
ブルー 「そうなんだけど、紅白縞は脱いだだろうね?」
ハーレイ「う、うむ…。履いたままだとキツイようだし、不本意ながら…」
なにやら頼りない気がするが、と教頭先生は虎のパンツを見ておられます。
肉襦袢の上にパンツを着用ですから、肉襦袢の下はスッポンポン。
これで衣装が透けてしまえばストリップならぬストリーキング!
何も知らない教頭先生、開運招福の脱衣豆まきで服を大盤振舞いですか…?
2012/02/24 (Fri)
☆豆まきで福招き
豆まきで鬼を追い出し、服は置いて行かせて開運招福という恐ろしい企画。
サイオンで細工された鬼の衣装は豆が当たると透けるのだそうで…。
ブルー 「それじゃ一番奥の部屋から始めるよ。よろしく、ハーレイ」
ハーレイ「床に書かれた青い線に沿って逃げ回るのだな?」
ブルー 「うん。ぼくと君にしか見えない線だ」
ハーレイ「そうか、お前と私にだけか…」
教頭先生、鬼の面を被っていても嬉しそうにしておられるのが分かります。
惚れ込んでいる生徒会長と自分だけにしか見えない絆に感動中。
ブルー 「さてと、泣いた赤鬼って話があったっけ。どうなるかな?」
ハーレイ「豆をまかれたくらいで私は泣かんぞ」
ブルー 「泣かないんだってさ。じゃあ、遠慮なく豆まきしよう」
一番奥は生徒会長の寝室です。
そこに堂々と入れるとあって、教頭先生、ドキドキですが。
ブルー 「鬼は~外~!」
全員 「「「鬼は~外!」」」
バラバラと豆が飛ぶ中、五芒星を描いて駆け回っている教頭先生。
身体中に豆が次々とヒットしております。
コースを走り終えて廊下に出れば、更なるルートが見えているらしく。
キース 「次はあっちか」
ジョミー「部屋から部屋へと走るんだね」
ブルー 「ほらほら、頑張って豆をまく! 手がお留守だよ」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 豆の補給も忘れないでね!」
各部屋の入口に豆が詰まった大きな袋が。
シャン学メンバー、枡を抱えて教頭先生を追い掛け回し…。
ブルー 「よし、いい感じに透けてきたよね」
シロエ 「殆ど全身、見えていますよ? まだやるんですか?」
ブルー 「目標はストリーキングだと言っただろう」
キース 「し、しかし…。教頭先生は全く気付いてらっしゃらないぞ」
ブルー 「そりゃ、コースしか見えていないし!」
ぼくとの絆の五芒星、と生徒会長は笑っています。
三倍の強度を誇る虎のパンツも透け始めていて、教頭先生に迫る危機。
本人に自覚が無いまま、ストリーキングで景気良く外へ…?
2012/02/25 (Sat)
☆鬼は外、福は内
鬼の服が透けてしまうというアブナイ豆まき、玄関が近付いて参りました。
教頭先生は全く気付いておられませんが、残るは腰回りの肉襦袢のみ。
キース 「おい、本当にやる気なのか?」
ブルー 「スウェナが困らないようにモザイクをかけるし、別にいいだろ」
大トリはぼくだ、と生徒会長は玄関に向かう直線コースへ。
シャン学メンバーにも総攻撃の命令が下り、一斉に。
全員 「「「鬼は~外~!」」」
ブルー 「福は~内、福は~内、鬼は~外~!」
バラバラと飛んで行った豆が教頭先生に当たっております。
生徒会長が「福は内」と投げ付けた分は教頭先生の前方へ回り込み…。
サイオンを使った外道なカーブの次は「鬼は外」で背後からトドメの一撃。
教頭先生は表へ飛び出してゆき、生徒会長が扉に施錠。
ブルー 「豆まき完了。服もバッチリ頂けたよ」
実に見事なストリーキング、と生徒会長は御満悦。
やがて扉が激しく叩かれ、チャイムが何度も鳴らされて…。
ハーレイ「い、入れてくれ、ブルー!」
ブルー 「お断りだね。追い出した鬼を呼び込む馬鹿はいないよ」
ハーレイ「し、しかし…! だったらせめて私の服を…!」
ブルー 「了解。瞬間移動で管理人さんの部屋に届けておくね」
ハーレイ「ま、待ってくれ! この格好で下へ行くのは…」
ブルー 「鬼は~外!」
それっきりシールドが張られたらしく、物音はしなくなりました。
ジョミー「ど、どうなっちゃうの、教頭先生…」
ブルー 「さあね? 半時間も経てば服は元に戻る仕掛けだけれど…」
キース 「それを伝えて差し上げろ!」
ブルー 「鬼の面の裏にメモを貼ったよ、サイオンの効果は半時間って」
ぶるぅ 「落ち着いてお面を外せば分かるもんね♪」
ブルー 「いい豆まきが出来て良かった。開運招福間違いなしさ」
そして始まる打ち上げパーティー。
教頭先生も呆然となさっている間に服が戻って、めでたし、めでたし。
節分が済めば立春です。春はもうすぐそこですよ~!
2012/02/26 (Sun)
☆豆まきのお詫び
大騒ぎだった節分の後には学校を挙げてのバレンタインデー。
生徒会長、ストリーキングのお詫びと称して教頭先生に手作りチョコを…。
キース 「で、あのチョコレートはどうなったんだ?」
ブルー 「さあねえ? 未だにアンケートを送って寄越さないから…」
ぶるぅ 「気に入ったチョコがあったら作ってあげる、って言ったのにね」
キース 「お前ら…。教頭先生は甘いものが苦手でらっしゃるんだぞ」
ブルー 「柔道部に丸投げするかと思ったんだけどなぁ、アンケート」
シロエ 「それは無いんじゃないでしょうか。だって会長の手作りですよ」
サム 「うんうん、俺だってブルーの手料理だったら苦手でも食うぞ」
ジョミー「教頭先生、きっと頑張っていると思うよ」
スウェナ「一日一個はキツイとしても、食べないことはないわよね」
キース 「だが、アンケートに答えて追加のチョコをとまでは…」
マツカ 「いかないでしょうね、苦手なだけに」
ブルー 「せっかく心をこめたのに…。一晩かかって手作りだよ?」
キース 「あんたのは明らかに嫌がらせだろうが!」
お詫びに一席設けるというならまだ分かるが、とキース君。
ブルー 「うーん、お詫びに一席ねえ…。ぼくたちで?」
キース 「い、いや…。その方が悲惨になるかもしれん、と、今、気付いた」
シロエ 「そうですね…。教頭先生、宴会と言えば財布役ですもんね」
マツカ 「余計、御迷惑がかかりますよ。チョコで終わりにした方が…」
サム 「だよな、俺たちで会費を集めたくらいじゃ宴会は無理だぜ」
ブルー 「ハーレイをもてなす気は無いけれど、宴会は魅力的かもね」
全員 「「「は?」」」
ブルー 「お詫びに一席で閃いたんだ。雛祭りなんかどうだろう?」
キース 「おい、正気か? 雛祭りは男はお呼びじゃないぞ」
シロエ 「女子のイベントじゃないですか、あれ」
雛祭りといえば桃の節句で女の子のもの。
スウェナが混ざってはいますけれども、このメンバーで雛祭りですか…?
2012/02/27 (Mon)
☆雛祭りを目指せ
豆まきで酷い目に遭った教頭先生へのお詫びに一席。
キース君の提案でしたが、ロクでもない結果になりそうなことは明明白白。
やめておこう、という展開になった所で生徒会長が俄然、乗り気に。
ブルー 「雛祭りが女の子のイベントってことは承知だよ」
キース 「だったらなんで雛祭りなんだ!」
ブルー 「一月は正月で酒が飲めて、二月は豆まきで酒が飲めるんだよ」
全員 「「「???」」」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 三月は雛祭りで四月はお花見なんだよね!」
ブルー 「そうそう、そんな感じで一年を通じて飲みまくるわけ」
知らないかな? と言われてもサッパリ分からないシャン学メンバー。
生徒会長と「そるじゃぁ・ぶるぅ」によれば、そういう歌があるそうで…。
ブルー 「お正月は飲んだし、節分も豆まきじゃないけど飲んだし」
ジョミー「ちょ、ちょっと待ってよ、その話って…」
ブルー 「もちろん君のことだよ、ジョミー。雛祭りも飲んでくれるよね?」
ジョミー「ええっ?」
キース 「面白い。飲んだら坊主宣言だったな」
ブルー 「車だったら「飲むなら乗るな、乗るなら飲むな」と言うけどね」
シロエ 「坊主宣言の場合はどうなんでしょうね?」
サム 「いいよな、それ! 百発百中かどうか試そうぜ」
ぶるぅ 「じゃあ、雛祭りで宴会だね!」
楽しそう、と飛び跳ねている「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
ジョミー君を除いたシャン学メンバーも大喜びです。
キース 「だったら今度の土曜日か?」
ブルー 「カレンダーどおりだとそうだけど…その次はどう?」
スウェナ「お雛様は雛祭りが済んだら片付けないとダメなんでしょ?」
ブルー 「雛人形を借りる都合さ。旧暦もあるから大丈夫だよ」
旧暦3月3日は今年は3月24日になるのだとか。
更に毎年4月3日が雛祭りだという地域も存在するらしく。
ブルー 「3月10日にしとこうよ」
みんなで楽しく雛祭り、と生徒会長。
楽しくやるのはいいんですけど、ジョミー君にまたまた危機が…?
2012/02/28 (Tue)
☆雛人形は何処から?
酔っ払うと坊主宣言をしてしまうらしいジョミー君。
それが百発百中かどうか試してみよう、と雛祭りの宴会が企画されました。
雛人形を借りる都合で3月3日ではなく3月10日。
キース 「雛人形っていうのはフィシスさんのか?」
ブルー 「まさか。フィシスのは大事な雛人形だし、借りないよ」
見ていい男はぼくだけだ、と言う生徒会長、大真面目でございます。
雛人形が嫁入り道具だった時代もあるのだそうで…。
ブルー 「そんなわけだから、ぼくの女神の雛人形は見せてあげない」
キース 「分かった、分かった。…だったら、あんたが買ったらどうだ」
ブルー 「フィシスにかい? そんなに幾つも要らないよ」
キース 「いや、この際だから自分用のを買ったらどうかと」
ブルー 「なんで男が自分用の雛人形を!」
キース 「嫁入り道具なんだろう? 教頭先生がお喜びになるぞ」
ブルー 「ぼくに嫁に行けと!? ハーレイの家に?」
キース 「手作りチョコより良さそうだがな。豆まきのお詫びに雛人形だ」
シロエ 「いいですね、それ。会長の雛人形を飾って教頭先生を御招待!」
ジョミー「それなら乾杯くらいはするよ? 飲まないけどさ」
ぶるぅ 「わーい、ブルーがお嫁に行くの? ハーレイがパパだぁ!」
ブルー 「お断りだよ!」
絶対嫌だ、と生徒会長は真っ青ですが。
キース 「おい、雛人形は今から買えるものなのか?」
スウェナ「雛祭りまでは普通にお店に飾ってあるわよ。大丈夫じゃない?」
シロエ 「季節モノでも季節外れに買えそうな人がいるじゃないですか」
ジョミー「そうだ、マツカだ!」
キース 「ふむ…。マツカなら予算の方も問題ないな」
ブルー 「ちょ、ちょっと…」
キース 「同じ宴会なら盛り上げないと。サムも異存は無いだろう?」
サム 「んーと…。ブルーの嫁入り道具は見たいかなぁ…」
嫁に貰う甲斐性は無いんだけれど、と照れるサム君。
ジョミー君を陥れたつもりの生徒会長、今度は自分が嫁入りの危機か?
2012/02/29 (Wed)