☆盛り髪でいこう
ゴージャス姫スタイルにメガ盛りなんだ、と宣告された男子一同。
焦って逃げようと致しましたが、扉をサイオンで封じられているようで…。
ぶるぅ 「はい、一人ずつ順番だからね。届かないから座ってよ」
キース 「ジョミー、お前が一番だ。着付けも一番だったしな」
サム 「そうそう、喜んで譲ってやるぜ」
ジョミー「ちょ、なんで…!」
シロエ 「栄えある一番じゃないですか。グレイブ先生もお好きですよ」
ジョミー「あれは一位だって!」
キース 「そう喚くな。ぶるぅが目指すのは可愛さなんだぞ」
ガシッとジョミー君の肩を掴んで椅子に座らせるキース君。
早速「そるじゃぁ・ぶるぅ」が小さな椅子に乗って金髪のウイッグを…。
シロエ 「うわー、本気で結ってますよ、アレ」
スウェナ「メガ盛りだって言ってたでしょ? 盛り上げなくっちゃ」
キース 「し、しかしだな…。あんなに高く結い上げなくても…」
ぶるぅ 「キースは高いの好きじゃないんだね? じゃあ、クルクルかな」
キース 「クルクル?」
ぶるぅ 「低めに盛って巻髪がいいね、うんとゴージャスにしなくっちゃ!」
キラキラの簪を挿してリボンもつけて、と言われたキース君は顔面蒼白。
黒髪の男子は色とりどりのデコパーツ入りのスプレーも外せないそうで。
男子一同「「「人生、終わった…」」」
スウェナ「そんなことないわよ、素敵よ、ジョミー」
ジョミー「この頭の何処が素敵だなんて言えるのさ!」
鏡に映ったジョミー君の髪は高く盛られてデコられています。
しかもそれだけで終わりではなく、ベールを付けられ、襟元にレース。
姫スタイルというヤツでございます。他の男子も似たような運命を辿り…。
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ブルー、みんなの用意が出来たよ!」
ブルー 「うん、いいね。それじゃ女子会を始めようか」
女同士で、と笑顔の生徒会長。
皆の視線は生徒会長の衣装に釘付けです。
御自慢の緋色の法衣に立派な袈裟。この格好で女子会だなんて、反則では?
2012/03/16 (Fri)
☆法衣で女装
振袖も髪も思い切り派手にデコられてしまった男子たち。
女子会だけに姫スタイルでも仕方ない、と諦めてリビングに戻ってみれば、
待ち受けていた生徒会長は緋色の法衣でございます。
これでは全く普段通りなわけでして…。
ジョミー「ずるいよ、それ! 女子会だって言ったくせに!」
ブルー 「だから着替えておいたじゃないか。ほら、ぶるぅだって」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ お供のお稚児さんだもん!」
いつの間にやら緋色の袴に金襴の衣を着ている「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
確かにお稚児さんの格好ですし、女児向けの衣装のようですが。
キース 「ぶるぅは分かった。だが、あんたのは反則だろうが!」
ブルー 「どの辺りが? これでも尼僧のつもりなんだけど」
キース 「緋色の衣の尼僧だと? 緋色は大僧正しか着られないんだぞ!」
ゴージャスな巻髪を揺らして激怒されても迫力は皆無。
生徒会長に突き付けた指はレースの手袋に包まれてますし…。
ブルー 「デコられたショックでボケたらしいね。大本願を忘れるとは」
全員 「「「大本願?」」」
ブルー 「ぼくたちの宗派の大本山の一つ。トップは代々、尼僧なんだよ」
キース 「…畜生、俺としたことが…。大本願は大僧正だな」
女性もアリか、と項垂れているキース君。
マツカ君の山の別荘の近くに、二つの宗派の大本山を兼ねる大きなお寺が
あるそうで。
璃慕恩院の系列が大本願、恵須出井寺の系列が大勧進と呼ばれるのだとか。
ブルー 「だから立派な女装だってば。君たちの衣装より格式が高い」
ジョミー「それってズルイ…」
ブルー 「嫌なら法衣を許すけど? お坊さんスタイルなら君も無問題」
ジョミー「えっ、ホント!?」
ブルー 「ただし頭は丸坊主でね。それが嫌なら姫スタイルで」
ジョミー「このままでいいよ、諦めたよ!」
Aブルー「へえ…。みんな、なんだかゴージャスだねえ?」
こんにちは、と現れたのはソルジャーです。
雛祭り女子会は無事に開催出来るんでしょうか…?
2012/03/17 (Sat)
☆秘密の花園
生徒会長の法衣も尼僧スタイルということで、この場は無事に女子ばかり。
雛祭り女子会、いざ開幕かと思われた所へソルジャーが…。
ブルー 「何しに来たのさ、せっかくみんなで…」
Aブルー「宴会なんだろ、雛祭りの? ちゃんと来るって予告はしたよ」
ブルー 「雛人形も立派に飾ってくれちゃったよねえ、シールドをかけて」
Aブルー「埃も防げてお役立ち、ってね。で、宴会の御馳走は何?」
ブルー 「その前に出てってくれないかな。宴会は男子禁制なんだよ」
Aブルー「えっ?」
ブルー 「ぼくの雛人形ってことだし、主役はぼく。でもって女子会!」
Aブルー「なんだい、それは?」
キース 「俺たちの世界で流行りなんだ。女子だけで集まる会のことだ」
ジョミー「言っておくけど、好きでやってるわけじゃないしね!」
シロエ 「会長の鶴の一声なんです。ぼくだって大いに不本意ですよ」
Aブルー「ああ、なるほど…。つまり女装ってわけだね、全員」
ブルー 「そういうこと! 君には参加資格は無い」
ソルジャーは紫のマントのソルジャーの正装でございます。
生徒会長の法衣と違って、女装と言い抜けるのは流石に無理というもので。
Aブルー「ぼくを追い出すための女子会なのかい? 息抜きは不可と?」
昨日もミュウの救出作戦があったばかりなのに、と嘆くソルジャー。
何かと言えば日頃の苦労を持ち出してくるのがソルジャー流です。
ブルー 「…居座る気だね? あわよくば君も、と思ったんだけど」
Aブルー「他にも誰か追い出す予定? だったら余計に居座りたいね」
楽しそうだし、とソルジャーは男子たちを見回しております。
Aブルー「女装すれば参加出来るんだろう?」
ブルー 「やりたいんなら止めないけどさ。でも上品に纏めてほしいな」
ぼくとおんなじ顔なんだから、と生徒会長は深い溜息。
参加権を勝ち取ったソルジャー、大喜びで着替えに出掛けましたが。
「そるじゃぁ・ぶるぅ」が手伝うのですが、どんな女装になるのやら…。
2012/03/18 (Sun)
☆花園増殖中
雛祭り女子会に男子が出るには女装が必須。
宴会だの御馳走だのに目が無いソルジャー、女装して参加するつもりです。
ブルー 「なんだか嫌な予感がする…」
キース 「法衣を貸せばよかったんだ。墨染めだったら特に問題ないぞ」
ブルー 「あっ、そうか! ぼくのヤツしか頭になくて…」
キース 「銀青様の盲点だな。坊主でもないヤツに緋色は貸せん、と」
ブルー 「うん。なるほど、ジョミーの法衣を貸せばいいんだ」
ジョミー「だったらソルジャー、坊主頭にしないとズルイよ!」
その条件のせいで法衣を着るのを諦めたんだ、と言うジョミー君。
しかしソルジャーがそんな条件を飲むとも思えず、揉めている内に…。
Aブルー「やあ、お待たせ。…似合ってるかな?」
キース 「そんな地味な赤が何処にあった!?」
ジョミー「ひどいや、別のを用意するなんて! …あれ? あの模様…」
Aブルー「見覚えのあるヤツだろう? 着たら印象が変わるんだよ」
ブルー 「よかった…。ぶるぅ、いいのを選んでくれたね」
ぶるぅ 「あのね、ピンクがいいっていうからダメって言ったの!」
レースもファーも断ったよ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
姫スタイルを希望なソルジャーを必死に止めていたのだそうで…。
Aブルー「もっとゴージャスにしたかったのに…」
ブルー 「本来、着物はそういうものだよ! 姫スタイルが外道なんだよ」
キース 「気に入らないなら俺のと替えてやってもいいが」
Aブルー「ホントかい?」
シロエ 「あっ、ぼくのなんかどうですか? ほら、ピンクですよ」
ジョミー「ぼくのも似合うと思うんだけど…」
ブルー 「全員却下! ぼくと同じ顔で姫スタイルは不可!」
振袖だけで充分だよ、と生徒会長が叫んだ所でチャイムの音が。
ぶるぅ 「かみお~ん♪ いらっしゃい!」
ハーレイ「おっ、可愛いな、ぶるぅ。お雛様か?」
今日は雛祭りの宴会だしな、と教頭先生の声が玄関の方で。
そういえば招待客でしたけど、これからどういう展開に?
2012/03/19 (Mon)
☆女子会の事情
ソルジャーの乱入で混乱気味だった雛祭り女子会。
そこへ教頭先生がやって来てしまいました。招待客なのは確かですけど…。
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 最後のお客様だよ!」
ハーレイ「すまん、すまん、遅くなって。……えらく華やかな雰囲気だな」
ブルー 「そりゃあ、女子会の会場だもの」
ハーレイ「女子会?」
なんだそれは、と首を傾げる教頭先生はスーツをお召しでございます。
ネクタイもきちんと締めておられますし、何処から見ても男性で。
ブルー 「雛祭りの宴会だって招待状に書いたよね?」
ハーレイ「うむ。とっておきのスーツを着て来たんだぞ、ハレの席だしな」
ブルー 「分かってるじゃないか。でもさ、君は古典の教師だろう?」
もう少し文化を理解しないと、と溜息をつく生徒会長。
ブルー 「本来、雛祭りは女性のイベントなんだよ」
ハーレイ「し、しかし…。雛祭りだから宴会をすると…」
ブルー 「その後、事情が変わったのさ。雛人形を買ったものだから」
ハーレイ「雛人形? …そこのヤツをか?」
ブルー 「せっかくだから盛り上げたいと思ってね。それで女子会」
ぼくの雛人形だもの、と生徒会長は自慢しております。
シャン学メンバーが買いに行き、マツカ君が支払った件はスルーらしく…。
ブルー 「これだけの雛人形はそうそう無いよ? 宴会もそれに相応しく」
ハーレイ「なるほど、見事な雛人形と道具だな。凄いじゃないか」
Aブルー「そりゃあ、嫁入り道具だしね」
ハーレイ「は?」
ブルー 「余計なことは言わなくていいっ!」
Aブルー「ブルーの嫁入り道具らしいよ、そこの連中が買ったんだ」
ヤバイ、と青ざめるシャン学メンバー。しかし…。
ブルー 「いわゆる若気の至りってヤツ? だから女子会」
ハーレイ「よく分からんが…」
ブルー 「仕返しも兼ねているんだよ」
ハーレイ「それで女装か」
納得している教頭先生、ソルジャーを見ておられます。
顔がほんのり赤いんですけど、まだ白酒は出ていませんよ?
2012/03/20 (Tue)
☆女子会に男性
女子会と化した雛祭り宴会の会場に男性が一人。
スーツ姿で浮き上がっている教頭先生、頬を赤らめていらっしゃるようで。
ハーレイ「嫁入り道具か…」
ブルー 「それが何か? 言っておくけど、嫁に行く気は無いからね」
ぶるぅ 「えっとね、ハーレイがぼくのパパになるのはダメなんだって」
残念だよぅ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」は未練たらたら。
御伽犬を買う時にも「ハーレイは子供が好きだよ」と言ってましたし…。
ハーレイ「すまないな、ぶるぅ。結婚はブルーが許してくれんとな…」
ブルー 「で? さっきから顔が赤いよね。おまけに視線がアヤシイけど」
ハーレイ「い、いや…! こういう姿も色っぽいな…と」
ブルー 「色っぽい…?」
ハーレイ「ち、ちが…! 今のは口が勝手に…!」
ブルー 「嫌な予感はコレだったか…。そっちのブルーが気になるんだろ!」
ハーレイ「違う、あの振袖をお前が着たら見合いの席に映えそうだと…」
ブルー 「お見合いと来たよ…。ぼくにアレを着て出て来いと!?」
生徒会長、ブチ切れそうでございます。
妄想は教頭先生の常ですけれど、女装のソルジャーを見ても妄想されては
腹が立つのも数百倍というヤツで。
ブルー 「そもそも女子会に男が出てきて四の五の言うのが間違いだし!」
ハーレイ「しょ、招待状には女子会だとは書かれていなかったぞ?」
ブルー 「事情が変わったと言っただろ! 出たいんだったら出直して!」
ハーレイ「出直す…?」
ブルー 「そう、女子会に相応しく! 此処は秘密の花園なんだよ!」
とにかく男子禁制だから、と生徒会長は叫んでおりますが。
Aブルー「そうかなぁ? ハーレムっていうのも悪くないかと」
男子全員「「「ハーレム!?」」」
ハーレイ「は、ハーレム…」
Aブルー「いいねえ、ハーレム! ハーレイと一文字違いじゃないか」
この際、花園に男が一人、とソルジャーは楽しそうな顔。
女装男子多数の秘密の花園。入ってしまった教頭先生の運命や如何に…?
2012/03/21 (Wed)
☆女子会の理由
秘密の花園に踏み込んでしまった教頭先生。
女子会に相応しい姿で出直してこい、と生徒会長が叫ぶ一方、このままで
いいとソルジャーが主張しております。
Aブルー「せっかく男が一人なんだよ? ハーレム気分でいいじゃないか」
ブルー 「誰が得をするっていうのさ、ハーレムなんか!」
キース 「…やはり教頭先生じゃないか? 言いたくはないが」
Aブルー「うんうん、キースは分かっているね。男性は今や貴重な存在」
大事にしなくちゃ、とウインクするソルジャー。
教頭先生はオロオロしておられますが…。
Aブルー「これだけ女性が溢れているんだ、選び放題で遊んだら?」
ハーレイ「え、選び放題…」
Aブルー「そう、誰を選ぶも君次第! べったり侍らせて飲み放題で」
ブルー 「却下! 誰が主催の宴会だと思っているんだい?」
Aブルー「君だろう? 嫁入り道具を見せびらかして婿探し中」
ブルー 「なんでそういうことになるのさ! 募集してないし、婿なんか!」
Aブルー「それは残念。じゃあ、ブルー以外で楽しくやろうよ」
ぶるぅ 「えと、えと…。ハーレイ、このままでいいの?」
Aブルー「うん。御馳走を作ってあるんだろう? みんなでパァーッと」
ブルー 「女子会と言ったら女子会だってば! 男子禁制!」
そもそも女子会というものは…、と滔々と説く生徒会長。
女子だけで集まって賑やかに騒ぐ今の流行りを知らないのか、と罵倒して。
ブルー 「とにかく、さっさと出て行くんだね。男に用は無いんだよ」
Aブルー「なるほどねえ…。やっと分かった、それで女子会だったのか」
ハーレイ「は?」
Aブルー「ぼくも追い出されかけたクチなんだよ。その時にさ…」
追い出したい人が他にもいると言われたんだ、というソルジャーの言葉に
教頭先生は大ショック。
ハーレイ「じょ、女装してまで追い出したいと…」
ブルー 「事情が変わったと言ってるし! それとも参加を熱烈希望?」
秘密の花園に男が一人。教頭先生の明日はどっちだ?
2012/03/22 (Thu)
☆女子会に出たい
男子禁制の秘密の花園。
自分を追い出すための女子会だと知った教頭先生、呆然自失でございます。
とっておきのスーツでキメてきたのに、男はお呼びでないそうで…。
ブルー 「女子会に男は困るんだよ。女同士で気楽にやるのが目的だしね」
ハーレイ「私が参加したいと言ったら…? 招待状は貰っているんだ」
このとおり、と招待状を取り出す教頭先生。
生徒会長は封筒を開け、招待状をチェックして…。
ブルー 「この時点ではただの宴会。今は女子会、参加は女子のみ」
ハーレイ「さっき、参加を希望するか、と訊いたじゃないか」
ブルー 「なんだ、しっかり聞こえてたんだ? 大ショックでも」
Aブルー「藁にも縋る思いなんだよ、嬉しい言葉は聞こえるものさ」
ブルー 「いいけどね…。じゃあ、もう一度確認するけど、参加を希望?」
ハーレイ「もちろんだ。此処まで来たんだ、帰るのは辛い」
ブルー 「その視線! なんでブルーの方を見るかな?」
ハーレイ「す、すまん…。そのぅ、やはり着物は色っぽい方が…」
ブルー 「また言うし! 大ダメージで頭のネジも飛んじゃってるか…」
Aブルー「自分の欲望に正直なのはポイント高いと思うけどねえ?」
そういう男はヘタレない、とソルジャーは嬉しそうですが。
ヘタレない相手がお好みなのはソルジャーであって、生徒会長には無関係。
ブルー 「だったら君が引き取れば? 色ボケ男は女子会に不要」
Aブルー「参加条件は身元引受人? それなら、ぼくが喜んで」
ブルー 「ううん、君と一緒に此処から退場。二人でデートすればいい」
振袖は貸してあげるから、という展開に教頭先生は大慌て。
ハーレイ「ま、待ってくれ! 私はお前と一緒に宴会の方が…」
ブルー 「女子会に参加を希望なんだね? 後で後悔しないかい?」
ハーレイ「私も男だ、二言は無い」
誓って後悔することは無い、と仰る姿勢は素晴らしいですが。
女子会に参加希望の男の言葉に二言は無いって、言葉遣いは正しいですか?
2012/03/23 (Fri)
☆女子会へのステップ
女子会への参加を決意なさった教頭先生。
お目当ては生徒会長なのか、艶姿のソルジャーなのかは分かりませんが…。
ブルー 「君の意見は尊重しなくちゃいけないだろうね、招待した以上」
ハーレイ「では、此処にいていいのだな?」
ブルー 「その前に、着替え」
ハーレイ「は?」
ブルー 「ジョミーたちの格好を見れば分かると思うけど? 女子会だよ」
ハーレイ「ま、まさか私に女装しろと?」
ブルー 「それ以外に何があるっていうのさ、格調高く着物でね」
ハーレイ「男物しか持っていないぞ、正月用の」
ブルー 「君のクローゼットには最初から期待していない。…ぶるぅ!」
ぶるぅ 「かみお~ん♪」
パァァッと青いサイオンの光が溢れ、リビングに広がる色とりどりの着物。
何本もの帯や真っ赤な長襦袢なども揃ってますけど、いったい何処から…?
Aブルー「あっ、そこの黒いの、華やかでいいね。着替えてもいい?」
ブルー 「無理無理、サイズが合わないよ。それに振袖とは違うしさ」
Aブルー「そうなのかい? …ホントだ、袖の形が違うね。なんか短い」
ブルー 「大人の女性はこういうスタイル! そうだろ、ハーレイ?」
ハーレイ「そ、それは確かにそうなのだが…。私には無理かと」
こんな大女はいないだろう、と教頭先生は申しておられますが。
ブルー 「女性用だと誰が言った? 女性用でも男性仕様!」
全員 「「「え?」」」
ブルー 「おかまバーのママの着物をお借りしたのさ、今は昼間だし」
お店は只今閉店中、と澄ました顔の生徒会長。
無断借用らしいですけど、分からないように戻すくらいは朝飯前で。
ブルー 「この宴会に安物は相応しくない。ママの着物は高いんだよ」
ぶるぅ 「えとえと、ハーレイに似合いそうなの、どれかなぁ?」
Aブルー「茶色のヤツはどうだろう? キャプテンの制服に色が似てるし」
ブルー 「なるほど…。ちょっといいかもねえ」
それなら帯は緑だよね、と、お見立て会の始まり始まり~。
2012/03/24 (Sat)
☆雛祭りの宴へ
教頭先生の参加条件は女装でした。それも着物の…。
体格が良くていらっしゃるだけに、女性向けの仕立てだと着られません。
そこでおかまバーのママの着物を無断借用することに。
ブルー 「うん、なかなか似合っていると思うよ」
ハーレイ「そ、そうだろうか…」
Aブルー「キャプテンの制服と同じ色だよ、そこに緑の帯だもの!」
ジョミー「模様も金が入ってるから、似た感じだよね」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ お客様も揃ったし、お食事にする?」
ブルー 「遅くなったけど、始めようか。雛祭り女子会、賑やかにいこう!」
キース 「本気で女子会を貫くのか…。仕方ないがな」
やっちまったのは俺たちだし、と溜息をつくキース君。
飾り付けられた雛人形の前に緋毛氈が敷かれ、座敷机が据えられて。
ぶるぅ 「雛祭りはちらし寿司だよね! それに貝尽くし!」
Aブルー「へえ…。海の幸とは嬉しいね。来た甲斐があった」
キース 「手袋を外していいだろうか? 手袋で箸はキツイんだが…」
ブルー 「ああ、そのくらいは構わないよ? 外国の宮廷じゃないからね」
全員 「「「???」」」
ブルー 「女性は食事中も手袋着用、ってマナーの国があったのさ」
シロエ 「キツイですね、それ…」
ブルー 「キレた皇妃が撤廃したけど、自分の国は殆ど留守にしてたって」
キース 「ああ、放浪癖があった皇妃だな。ミュージカルのヒロインだ」
マツカ 「あの有名な皇妃ですか? 凄い美人の」
Aブルー「…食事中も手袋着用の凄い美人なら、ここにもいるけど?」
ブルー 「厚かましい! それにソルジャーの手袋は邪魔にならないし!」
ハーレイ「いや、美人だと思うぞ、お前そっくりなだけに惚れそうだ」
ブルー 「ハーレイ、開き直ったね? 惚れたんだったら差しつ差されつ!」
ぼくたちも大いに飲もうじゃないか、と生徒会長はブチ上げております。
「そるじゃぁ・ぶるぅ」が手早く用意し、全員の前に杯が。
雛祭りには白酒ですけど、酒癖の方は大丈夫かな…?
2012/03/25 (Sun)
☆女子会の酒宴
雛祭りのお酒といえば白酒。大きな瓶から白いお酒がトクトクトクと…。
なみなみと注がれた杯を生徒会長が差し上げて。
ブルー 「雛祭り女子会に乾杯!」
全員 「「「かんぱーい!」」」
一斉に飲み干す女子会の面々。飲み口は甘くて美味しいようです。
ブルー 「遠慮なくやってよ、無礼講だし。料理の方も楽しんでよね」
ぶるぅ 「蛤のお吸い物は外せないけど、赤貝のぬたよりホタテだよね!」
バター仕立ての陶板焼き、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
アサリのワイン蒸しにアワビステーキなど、貝尽くしでも若者向け。
Aブルー「一口サイズに切ったアワビが有難いよ。お箸だから」
ブルー 「君もお箸が上手くなったよね、最初は握り箸だったのにさ」
ハーレイ「そうなのか? いや、着物だと箸を持つ手も色っぽいな」
ブルー 「完全に開き直ってる…。おかまが言ってもキモイだけなのに」
膨れっ面の生徒会長、ふとジョミー君に目を止めて。
ブルー 「どうしたんだい、何か悩みでも?」
ジョミー「んーと…。瓶の底の方だと危ないのかな、って思ってさ」
ブルー 「ああ、白酒か。それは甘酒とは違うんだけど」
ジョミー「底の方が危ないってことはないわけ?」
ブルー 「アルコールだろ? 底の部分がお酒になるのは甘酒だよ」
ジョミー「なんだ、そっかぁ。心配しちゃって損しちゃったよ」
美味しいもんね、と手酌で白酒を注ぐジョミー君。
生徒会長は熱燗を楽しみ、教頭先生とソルジャーは…。
ハーレイ「ほほう、ひれ酒とは通でらっしゃいますなぁ」
Aブルー「こっちの世界で覚えたんだよ。君もどう?」
ハーレイ「喜んで御相伴させて頂きます」
専用の土瓶からソルジャーにひれ酒を注いで貰って、教頭先生は大感激。
着物美人なソルジャーと差しつ差されつ、気持ち良く飲んでおられます。
ジョミー「なんか不公平…」
ぼくだって赤い振袖なのに、とジョミー君は不満そう。
まさかソルジャーと張り合う気ですか、教頭先生にモテてどうする?
2012/03/26 (Mon)
☆モテたい年頃
ソルジャーと同じく赤い振袖のジョミー君。
どういうわけだか、ソルジャーがモテているのが気に入らないようで…。
ジョミー「教頭先生、ぼくも赤です! 振袖だったら負けてません!」
ハーレイ「な、なんだ、どうした?」
ジョミー「なんでソルジャーばっかり可愛がるんですか、ぼくだって!」
ハーレイ「は? あ、ああ、そうか、お前も飲みたかったのか?」
ジョミー「もちろんですっ!」
二人きりで飲むなんてズルイ、とジョミー君は拗ねておりますが。
ひれ酒は立派なお酒ですよ?
キース 「お、おい、ジョミーはどうなったんだ? あれは酒だぞ」
サム 「だよな、なんで自分から飲みに行くんだよ」
シロエ 「思い切り警戒してましたよねえ、ジョミー先輩」
マツカ 「そうですよ。酔っ払いは前科二犯ですから」
スウェナ「ソルジャーに嫉妬してるんじゃないの? ほら、美人だし」
キース 「なるほど、自分も目立ちたい…と。俺は御免だが」
こんな姿で目立ってどうする、とキース君は深い溜息。
他の男子も同じですけど、ジョミー君は教頭先生の隣に座って。
ジョミー「んーと…。ちょっぴり辛いですね、コレ」
ハーレイ「ははは、ひれ酒は辛口でないとな。これが美味いんだぞ」
Aブルー「そうそう、焼きひれの香ばしさが引き立つんだよ」
ハーレイ「ジョミーには少し早すぎたか? 大人の男の酒だからな」
Aブルー「ふふ、お子様は放っておいて楽しくやろうよ」
ジョミー「だから、どうして二人でくっつくんですか!」
ぼくだって綺麗に仕上がってます、とジョミー君は膨れっ面。
しかし盛り髪でゴージャス姫スタイルでは色気どころかお笑いで。
ハーレイ「あ、ああ…。まあ、可愛く出来ているとは思うが」
ジョミー「可愛いんじゃなくて美人なんですっ!」
ハーレイ「ふむ…。その、なんだ。落ち着いて飲むか? もう一杯」
大人の味が分かるのも色気の内だ、と教頭先生。
おかまスタイルで語られてもキモイだけなんですけど、まあいいか…。
2012/03/27 (Tue)
☆ほろ酔いの宴
おかまスタイルの教頭先生に振袖のソルジャー、ジョミー君との三つ巴。
ひれ酒の土瓶は既に三つ目となり、大いに盛り上がっておりますが。
キース 「本当に大丈夫なのか、ジョミーは? 飲み過ぎだぞ」
シロエ 「モテ期のつもりですからねえ…。止めに入ったら怖いですよ」
サム 「逆ギレしそうな感じだもんなぁ…。放っておこうぜ」
マツカ 「でも、なんで教頭先生なんです? 前から憧れでしたっけ?」
スウェナ「さ、さあ…。私は一度も聞いてないわよ?」
キース 「俺も全く記憶にない。柔道部の見学にも来ないヤツだが…」
どうなったんだ、と悩むシャン学メンバー。
そこへクスクスと笑い声が…。
ブルー 「とっくの昔に酔ってたんだよ、ジョミーはね」
全員 「「「えぇっ!?」」」
ブルー 「キッチリ出来上がっていたのさ、ひれ酒の前に」
キース 「なんでそうなる? 普通に飲み食いしてただけだぞ」
サム 「俺たち、酔ってないもんな? 多分…」
ブルー 「さあ…。君たちも少しは酔っているかもね、ほろ酔い加減で」
シロエ 「お酒が入ってたんですか、この食事!?」
キース 「アサリのワイン蒸しだ、アルコールが飛んでいなかったんだ!」
ブルー 「残念でした。食事は全く無関係だよ」
これこれ、と生徒会長が示しているのは白酒の瓶。
そういえばジョミー君、ガンガン飲んでましたっけ…。
ブルー 「底の方が危ないのか、と訊かれたから違うと答えたけどさ」
キース 「白酒だろう、それで酔うのか?」
ブルー 「君も勘違いしているクチか…。白酒と甘酒は違うんだよ」
見た目は同じでも白酒の方は本物のお酒、と生徒会長。
アルコール度数は10度と、なんとビールより高いのだそうで。
ブルー 「面白いから放っておいたら絡み酒とはね。どうなるかな?」
キース 「あっちのブルーと、また揉めているみたいだな…」
教頭先生に御酌する役目を巡って争いになっているようです。
おかまを奪い合う女装の二人とは、世も末かも…。
2012/03/28 (Wed)
☆奪い合いの果て
どちらが教頭先生に御酌するかで揉めまくっている女装の二人。
ソルジャーもジョミー君も一歩も譲らず、教頭先生はお困りですけど…。
Aブルー「ハーレイ、ちょっと訊くけどさ。色気は断然ぼくだよねえ?」
ジョミー「色気なんかより可愛げです! 可愛い方が好みですよね?」
ハーレイ「う、うむ…。女は愛嬌とよく言うのだが、私はだな…」
ジョミー「ほら、可愛い方がいいんだってば、愛嬌なんだし!」
Aブルー「話は最後まで聞きたまえ。ハーレイ、君の好みは?」
ハーレイ「そのぅ…。男も愛嬌なのかと言われると自信が無くて…」
Aブルー「だよね、男は断然、色気! ぼくの勝ちだよ」
勝ち誇ったソルジャー、ジョミー君をドンと押し退けてトクトクと御酌。
生徒会長そっくりなだけに教頭先生も極楽気分でいらっしゃいます。
ジョミー「なんでぼくだと駄目なのさ! 可愛くしたのに!」
ブルー 「もっと強引に行くんだね。男は度胸!」
ジョミー「読経?」
ブルー 「そう、度胸。女は愛嬌、男は度胸がお約束だ」
頑張ってこい、と背中を押されたジョミー君。
教頭先生に深々とお辞儀し、やおら合掌。
ハーレイ「ど、どうした?」
Aブルー「変な輩は放っておこうよ、ささ、もう一杯」
ジョミー「称名念仏~」
全員 「「「は?」」」
ジョミー「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏…」
ハーレイ「ジョ、ジョミー?」
Aブルー「な、なんなのさ? 要らないってば、お経なんか!」
ジョミー「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏…」
ビシッと正座し、お念仏を朗々と唱え続ける間に生徒会長が木魚を設置。
ジョミー君はそれをポクポクと…。
ブルー 「お念仏を唱えるとはねえ、嬉しい誤算だ」
キース 「度胸と読経を間違えたのか…」
Aブルー「なんか飲む気にならないんだけど…」
ハーレイ「BGMが念仏ではなぁ…」
いっそ何処かで飲み直すか、と語り合う教頭先生とソルジャーですが。
おかまと振袖男子な二人が飲み直せる場所はありますか…?
2012/03/29 (Thu)
☆飲み直しな人たち
白酒とひれ酒で出来上がってしまったジョミー君。
酔っ払った挙句に度胸と読経を聞き間違えて、お念仏を唱えております。
抹香臭くなった宴席に閉口気味のソルジャーは…。
Aブルー「よし、決めた。ハーレイ、ぼくの世界で飲み直そう!」
ハーレイ「し、しかし…。いきなりお邪魔するというのは…」
Aブルー「いいんだってば、ソルジャーはぼく! ぼくのシャングリラ」
遠慮は無用、とソルジャーは乗り気ですけど、振袖は?
教頭先生が無断借用中のおかまバーのママの高価な着物は?
ブルー 「ブルー、ハーレイを連れて退場してくれるのかい?」
Aブルー「お念仏は趣味じゃないんだよ。ハーレイもいい感じだしさ」
既に敬語じゃなくなってるし、と言われてみればその通り。
ソルジャー相手には常に敬語の教頭先生、タメ口になっておられます。
Aブルー「この機を逃してなんとする…ってね。飲まなきゃ損、損」
ハーレイ「うむ。せっかく美人と飲めるんだしな、行っていいか?」
ブルー 「どうぞお好きに。ついでに遊ばれてくるといい」
ハーレイ「は?」
ブルー 「ううん、ヘタレが直るといいね、って」
着物と振袖は明日にでも返してくれればいいよ、と生徒会長は上機嫌。
振袖は元々レンタルですし、おかまバーのママの意識は誤魔化すとか。
Aブルー「それじゃ遠慮なくお借りするよ。行こう、ハーレイ」
ハーレイ「うむ。別の世界の酒というのもいいが、手土産に何か…」
ブルー 「これはどう? ぼくの秘蔵の大吟醸! それとブルーにも」
Aブルー「えっ、ぼくにも何かくれるのかい?」
ブルー 「雛人形を譲ってあげるよ。君のシャングリラで飾りたまえ」
「えぇっ!?」と叫ぶシャン学メンバーを生徒会長、サックリと無視。
ソルジャーは雛人形を土産に教頭先生と手に手を取って、自分の世界へ。
ブルー 「さてと、雛人形と厄介な二人は片付いたし…」
問題はこのお念仏だ、と生徒会長。
ジョミー君はポクポクやってますけど、お坊さん志願?
2012/03/30 (Fri)
☆お約束な結末
雛人形をお土産に教頭先生を連れ、飲み直しと称して逃げたソルジャー。
残されたジョミー君はお念仏を唱え続けていますが、涙目で。
やがて木魚を叩く手が止まり、ワッと泣き崩れてしまいました。
ジョミー「酷いや、ぼくも頑張ったのに…。教頭先生、逃げるなんて…」
キース 「おい、落ち着け! お前、正気じゃないだろう」
ジョミー「正気だってば、男は読経で頑張ったのに~!」
ブルー 「よしよし、ジョミーは頑張ったよね。でもさ…」
もう一歩押しが足りなかったんだよ、と諭しにかかる生徒会長。
ブルー 「読経はお念仏だけじゃないんだ。それと緋色なら勝てたかも」
ジョミー「緋色?」
ブルー 「そう、緋色。ぼくの衣だよ、これはブルーは着られない」
ジョミー「そっか…。赤い振袖じゃダメなんだ…」
ブルー 「同じ土俵で勝負したって勝てやしないよ、顔が違うし」
ハーレイが惚れているのはこの顔だから、と生徒会長は自分を指差すと。
ブルー 「顔の違いをカバーするなら着る物が大事! 格式で勝負」
キース 「なるほど、確かに一理あるな」
ブルー 「それから読経もレパートリーを増やさなくっちゃ」
シロエ 「そうですね。お念仏くらい、ぼくでも出来ますし」
ジョミー「増やすって色々覚えろってこと? キースみたいに?」
ブルー 「今日の敗北が悔しかったら頑張るんだね。嫌ならいいけど」
ジョミー「ううん、頑張る! 男の意地だよ、負けられないよ!」
自分を磨いてもっと美人に、とジョミー君は決意表明。
坊主宣言を遙かに超えた酔いっぷりですが、止めに入る人は勿論、皆無。
キース 「いいぞ、頑張れ。俺も色々教えてやるから」
ジョミー「ありがとう! キースってホント、いいヤツだよね」
ブルー 「先輩から沢山学びたまえ。ぼくも助力を惜しまないよ」
ジョミー「よーし、やるぞー! 坊主万歳!」
やんやと拍手喝采の中、大いに盛り上がる雛祭り女子会。
女装男子がズラリ揃って美を競う宴、これにて中継終了です~。
2012/03/31 (Sat)