☆8月1日!
教頭先生が散々な目に遭わされたサマースクール。
謹慎処分なレッドカードはなんとか出ずに済み、数日を経て今日は8月。
シャン学メンバー、生徒会長のマンションに遊びに来ております。
ジョミー「あ~、暑かった~! なんでこんなに暑いのさ!」
サム 「そうかぁ? 朝はそこそこ涼しかったぜ」
ジョミー「始発のバスで来るようなサムと一緒にしないでよ!」
キース 「いや、それに関してはお前が悪い。朝のお勤めなんだからな」
スウェナ「そうよ、夏休みくらい真面目にやってみたらどう?」
ブルー 「君たちもそう思うよねえ? なのに全然来ないんだから」
ジョミー「夏休みは夜ふかしと寝坊が王道じゃない!」
シロエ 「そうでしょうか…。ぼくなんか早起きになりますけれど?」
マツカ 「柔道部の朝練がある日は特に…ですよね」
キース 「坊主の夏も朝は早いんだぞ。暁天講座なんかもあるしな」
全員 「「「暁天講座?」」」
それは何だ、と首を傾げるシャン学メンバーに微笑んだのは生徒会長。
ブルー 「お寺の特別講座だよ。偉いお坊さんの法話を聞くんだ」
キース 「いろんな寺でやってるぞ。宗派によっては朝粥も食える」
ジョミー「朝粥って、ぶるぅが作ってくれるアレ? 美味しいヤツ?」
キース 「あれは料亭の味だろうが! 暁天講座のは普通に粥だ」
ジョミー「なんだぁ…。まあ、どっちにしても行かないけどね」
坊主の世界はお断り、とジョミー君はキッパリと。
ブルー 「ふうん? だけど暑いのが嫌なら早めに家を出なくっちゃ」
スウェナ「でも…。暑くっても頑張ってる人がいるわよ、今日は」
キース 「今日に限らず毎日だろう? 社会人には夏休みは無い」
スウェナ「そうじゃなくって、ほら、八朔! パルテノンの」
キース 「ああ、アレか。あれは確かに暑そうだな」
ブルー 「しまった! 今日は8月1日だっけ…」
生徒会長、ガックリと肩を落としておりますが。
八朔だとか8月1日だとか、それがいったいどうしたと…?
2012/08/01 (Wed)
☆忘れられた日
8月1日を忘れていた、と嘆きまくっている生徒会長。
出掛ける予定があったというなら、カレンダーに書いておくべきですが。
キース 「どうした、暁天講座の出張予定でもあったのか?」
ブルー 「ううん、その手の話は断ってるよ。ぼくは安売りしない主義」
キース 「なるほどな…。それでこそ伝説の高僧ってヤツか」
ブルー 「そういうこと。顔が売れまくったら何かと困るし」
キース 「そっちの方か…。確かに迂闊な場所には出入り出来んし」
ブルー 「普通の坊主でも人目を避けなきゃヤバイ場所もあるしね」
パルテノンとか色々と…、と生徒会長は申しております。
シロエ 「花街は流石にマズイですよねえ、お坊さんには」
ジョミー「さっき言ってた八朔って何さ? パルテノンだよね?」
スウェナ「あら、知らない? 舞妓さんと芸妓さんの挨拶回りよ」
マツカ 「お茶屋さんとかを回るんです。黒紋付の正装で」
サム 「正装って…。それ、思いっ切り暑いんじゃねえか?」
キース 「暑いなんてレベルじゃないだろうな。この暑さだしな…」
スウェナ「朝の9時半からだもの。30℃を軽く超えてるわよ」
ジョミー「そ、その暑いのに正装なわけ?」
キース 「ああ。化粧もバッチリ白塗りだぞ」
ジョミー「うわぁ…。汗で流れてしまうんじゃないの?」
ブルー 「流れないね。着付けのコツがあるんだよ」
全員 「「「コツ?」」」
ブルー 「うん。胸のすぐ下でギュウギュウに締めると大丈夫らしい」
その代わり着物の下は汗だくだそうで。
黒紋付は挨拶回りが終わったらすぐに洗いに出すのがお約束。
キース 「そうだったのか…。何処の世界もプロは大変だな」
ブルー 「君だって暑い盛りにお盆の棚経と墓回向だしね」
キース 「全力で親父に押し付ける! で、あんたは何を忘れたんだ?」
ブルー 「だから8月1日だよ!」
全員 「「「はぁ?」」」
8月1日をド忘れすると困ることでもあるのでしょうか?
何かの記念日なんですかねえ…?
2012/08/02 (Thu)
☆謎のナンバー
生徒会長が忘れていたのは8月1日だそうでございます。
何の日なんだかサッパリですけど、ガックリっぷりは半端ではなくて…。
ブルー 「年に一度のチャンスだったのに、忘れるなんて…」
キース 「チャンスだと? 何かの限定販売か?」
スウェナ「八朔限定のお菓子とかならありそうよねえ」
サム 「うんうん、この日に食べなきゃっていうヤツな」
ジョミー「土用のウナギみたいなもの?」
キース 「どうだかな…。だが、限定菓子はありがちだろう?」
シロエ 「雛祭りとか端午の節句とか、確かにバッチリ限定ですね」
マツカ 「七夕限定もありますよ。要予約で配達無しっていうのが」
ジョミー「配達無し?」
マツカ 「そうなんです。七夕当日に取りに行ける人しか買えません」
サム 「うっわー、それはハードル高いよなぁ…」
キース 「ブルーが忘れたのもそういうのかもな。八朔限定」
スウェナ「パルテノンの辺りでしか売ってない上に要予約とか?」
ブルー 「違うよ、お菓子なんかじゃなくて…。単に8月1日だってば」
本当に思い切り忘れてたんだ、と溜息をつく生徒会長。
ブルー 「8月1日で何か連想しないかい?」
キース 「八朔だろう?」
ブルー 「ううん、8月1日だよ? 文字で書いたら分かるかなぁ」
メモ用紙を出した生徒会長、ボールペンでサラサラと。
ブルー 「いい? 8月1日はこうも書けるんだ。0801」
ジョミー「それって何処かの電話番号?」
ブルー 「最初のゼロは無視していい。残りの801が大切」
キース 「お、おい、それは…」
スウェナ「まりぃ先生が大好きなヤツじゃなかったかしら?」
シロエ 「ですよね、確か『やおい』とかいう…」
キース 「ひょっとしてボーイズラブの日か!?」
ブルー 「そっか、そうとも読めるんだっけ。…違うんだけどな」
サム 「煩悩の数は108だよなぁ、801って知らねえぜ」
それは何だ、と首を捻っているシャン学メンバー。
8月1日で801って、何の暗号?
2012/08/03 (Fri)
☆801を読み解け
8月1日、書き方によっては0801。
先頭のゼロを除いた801が大切なのだ、と生徒会長は申しております。
ブルー 「やおいじゃなくて、他に何かを思い付かない?」
キース 「801でか? やおい以外に何があると言うんだ」
シロエ 「ほら、北の方にある商店街のマスコットキャラもそれですよ」
サム 「あー、ある、ある、801商店街のヤツな」
スウェナ「確かバカ受けしたのよね。ネーミングの凄さで」
ジョミー「うん、知ってる。凄いセンスだよねえ、商店街の名前自体が」
キース 「やおいという言葉を知らずに名付けたんだろう」
ブルー 「そうだよ、商店街の長さか何かに関連する数字さ」
キース 「ほら見ろ、やっぱり801と言えばやおいだ」
シロエ 「なんで会長がソレにこだわるのかが謎ですけどね」
ジョミー「教頭先生とエロドクターで懲りてるのにね…」
ブルー 「だから違うと言ってるだろう!」
やおいとは全く関係無い、と数字を指差す生徒会長。
ブルー 「8はハチなんだよ、ゼロはレイでさ…」
全員 「「「ハチレイイチ?」」」
ブルー 「それじゃ電話番号だってば、これはハーレイ!」
全員 「「「ハーレイ!?」」」
ブルー 「そう、ハーレイと読めるわけ。8月1日はハーレイの日!」
キース 「な、何なんだ、それは?」
ジョミー「教頭先生の誕生日とか?」
ブルー 「関係ないねえ、単なるこじつけ」
だけど素敵な日付だろう、と生徒会長は得意そうです。
ブルー 「ハーレイの日だよね、と言ってあげるだけで舞い上がるって」
キース 「それで忘れたと呻いていたのか…」
ジョミー「だったら今から行ってくれば? まだ間に合うよ」
マツカ 「お昼前ですしね、お祝いごとで訪問するなら急いだ方が」
キース 「それともアレか、一人じゃ行けないっていうわけか?」
シロエ 「そんな決まりもありましたっけね…」
教頭先生の家に一人で行くのを禁止されている生徒会長。
果たしてお出掛けするのでしょうか?
2012/08/04 (Sat)
☆生徒会長のこだわり
8月1日はハーレイの日だ、と主張し始めた生徒会長。
教頭先生にそう言ってあげるだけで舞い上がる、と考えていたようで…。
キース 「一人で行けないと言うんだったら、不本意ながら付き合うぞ」
シロエ 「…ですよね、サマースクールの恩がありますし…」
ジョミー「ぼくたちだけじゃあ無理だったしね、アレは」
サム 「暑そうだけど、ブルーが行きたいんだったら俺は行くぜ」
マツカ 「ぼくも行きます。暑いのが嫌ならタクシーを呼びますか?」
サム 「おおっ、流石はマツカ! 気が利くよなぁ」
スウェナ「えっと…タクシー代は…」
マツカ 「勿論、ぼくが出しますよ。すぐに出掛けますか?」
スマートフォンを取り出したマツカ君ですが。
ブルー 「ちょっと待った! みんなの気持ちは嬉しいけどさ…」
キース 「何か問題でもあるっていうのか?」
ジョミー「プレゼントを用意するつもりだったとか?」
ブルー 「…そうなんだよね…。プレゼントでなくても、こう、何か…」
シロエ 「サプライズですか?」
ブルー 「女王陛下でもスカイダイビングって時代だからねえ」
サム 「あー、アレって本人なんだってな。飛ぶの以外は」
ブルー 「うん。映像作品には初出演で、リテイク無しの一発撮り!」
それに負けてはいられない、と言われましても。
全世界規模のオリンピックの開会式と張り合う方が無茶なのでは…。
キース 「まさかジェームズ・ボンドを連れて来る気じゃないだろうな」
ブルー 「ギャラをハーレイに払わせるってのも楽しいけれど…」
シロエ 「それ、いろんな意味でサプライズですよ…。お財布にまで」
ブルー 「あーあ、去年までだったらプレゼントくらいでいけたのに…」
ジョミー「どうしても捻りが欲しいわけ?」
ブルー 「捻りと言うか、芸と言うか…。仕方ない、日を改めよう」
全員 「「「は?」」」
ハーレイの日はあくまで8月1日。
日を改めるって、そんなことしちゃったらハーレイの日の存在意義は…?
2012/08/05 (Sun)
☆振り替えでいこう
ハーレイの日には捻りが欲しい、という生徒会長。
8月1日では間に合わないとかで、日を改めると言い出したから大変で。
キース 「お、おい…。8月1日は今日だぞ、今日!」
シロエ 「日を改めてどうするんですか、来年ですか?」
ジョミー「だよねえ、来年まで無いよ、8月1日」
サム 「もう挨拶だけでいいじゃねえかよ、今から行こうぜ」
マツカ 「どうしても何かって言うんでしたら、花束とか…」
スウェナ「そうね、花束なら間に合いそうよ」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ケーキも今日のおやつの分があるよ!」
ジョミー「あっ、それはダメ! ケーキを持ってくならお店で買おうよ」
サム 「俺も賛成。どうせ教頭先生、甘い食べ物はダメだもんな」
よし行こう、と腰を上げかけたシャン学メンバー。
マツカ君は既に馴染みの花屋さんの電話番号を検索中ですが。
ブルー 「いいんだってば、もう今日は!」
キース 「なんでそうなる? 日を改めたら意味が無いぞ」
ブルー 「ハーレイの日くらい、振り替えにすればいいんだよ」
全員 「「「振り替え?」」」
ブルー 「そう、振り替え。どうせ本人はハーレイの日を知らないし」
キース 「言われてみればそうか…。あんたが勝手にこじつけたんだな」
ブルー 「ハーレイで遊ぶためだけに…ね。毎年忘れまくってたけど」
だけど今年はやってやる、と生徒会長は拳を握っております。
ブルー 「当日に思い出した上に、君たちがいたのも何かの縁だ」
キース 「正直、そんな御縁は思い切り遠慮したいんだが…」
ブルー 「ダメダメ、思い立ったが吉日ってね」
ジョミー「分かってるよ…。で、振り替えだと明日になるわけ?」
ブルー 「ううん、8月10日にしようかと。810だろ?」
シロエ 「似て非なるモノって気もしますけどねえ…」
ブルー 「気は心だよ、要はハーレイの日をやればいいんだ」
8月1日はハーレイの日。
それを振り替えて8月10日って、そこまでして何をやらかしたいと…?
2012/08/06 (Mon)
☆ナイスな振り替え
ハーレイの日は8月10日に振り替える、と独断で決めた生徒会長。
何をやるのかも分からないまま解散となり、翌日はプールへ行くことに。
しかし…。
ぶるぅ 「かみお~ん♪ プールはお昼からだって!」
ジョミー「えぇっ!? それって一番混みそうじゃない!」
シロエ 「そうですよ、だから朝イチで集まったのに…」
ブルー 「大丈夫。ドリームワールドのプールじゃないしね」
全員 「「「えっ?」」」
ブルー 「ほら、仲間がやってるフィットネスクラブのヤツさ」
キース 「まさかソルジャー権限で貸し切ったのか!?」
ブルー 「うん。今日のぼくは最高に気分がいいものだから」
キース 「……思いっ切り裏がありそうだな……」
ブルー 「無い、無い。心配しなくてもそれは無いって」
だから時間まで家でゆっくり、と生徒会長のマンションでクーラー三昧。
ブルー 「屋外プールもいいんだけどねえ、ここまで暑いと屋内の方が」
スウェナ「それでフィットネスクラブなわけね」
ジョミー「な~んだ、心配しちゃって損したかも…」
シロエ 「ですね、安心しましたよ」
キース 「いや、待て。…最高に気分がいいとか言っていたぞ」
サム 「そういえば…。ブルー、あれって何の事だよ?」
ブルー 「ん? 待てば海路の日和あり…とでも」
マツカ 「何の譬えですか?」
ブルー 「ハーレイの日だよ、慌てずに振り替えて良かったなぁ…って」
ぶるぅ 「あのね、いいアイデアが出来たんだって!」
キース 「アイデアだと?」
ブルー 「そう。昨日、あれからニュースを見てたら素晴らしいネタが」
全員 「「「ネタ?」」」
ブルー 「いやもう、これ以上の案は無いだろうってくらいに凄くって」
キース 「凄いだと? あんた、いったい何をする気だ?」
ブルー 「そこは当日のお楽しみ! とりあえず、プール」
サプライズでなんぼ、と生徒会長は喋るつもりは無いようです。
プールを貸し切りしたくなるほど気分が良くなるネタって、どんなの…?
2012/08/07 (Tue)
☆ハーレイの日、迫る
8月10日に振り替えられた8月1日、0801な『ハーレイの日』。
生徒会長は企画について何も語らないまま、いよいよ明日でございます。
シャン学メンバー、本日も生徒会長の家でダラダラしておりますが。
ブルー 「いいかい、明日は忘れないでよ?」
キース 「分かっている。朝一番に集合だったな、何処へ行くんだ?」
ブルー 「そりゃあ勿論、ハーレイの家さ。ハーレイの日だしね」
キース 「教頭先生は御存知なのか?」
ブルー 「ハーレイの日とは言ってないけど、声はかけてあるよ」
シロエ 「えっと…。逆に御馳走になりに行くんじゃないでしょうね?」
ブルー 「ううん、どちらかと言えばお出迎え!」
全員 「「「お出迎え?」」」
ブルー 「そう、素敵な場所へお出掛けするんだ」
ジョミー「お祝いに御飯を食べに行くとか?」
ブルー 「それに近いね。やっぱり盛大に祝ってあげないと」
キース 「………。ネタがどうこうと聞いたような気がするんだが…」
サム 「なんか変わった料理なのかもしれないぜ?」
スウェナ「美味しいけれど素材がゲテモノ系ってあるものね…」
マツカ 「ええ。サソリの素揚げなんかは美味しいですよ」
サム 「…サソリかよ…。マツカ、意外と変な料理も食ってたんだな」
誰もが驚いていますけれども、マツカ君が言うにはサソリは付け合わせ。
北京ダックを本場で食べたら一緒についてきたのだそうで。
マツカ 「味は桜エビに似てますね。パリッとしてて」
キース 「なるほどな…。そういう系の祝い料理というのはありそうだ」
ブルー 「さあ、どうだろうね? とにかく楽しみに待っててよ」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 準備の方もバッチリだしね!」
ブルー 「幸い、天気も良さそうだ。きっと喜んで貰えると思う」
全員 「「「天気?」」」
ブルー 「同じなら気持ち良く晴れた方が…ね」
みんなで楽しくお祝いしよう、と生徒会長は上機嫌。
振り替えハーレイの日な8月10日、果たしてどんなイベントが…?
2012/08/08 (Wed)
☆ハーレイの日の朝
0801な『ハーレイの日』、8月1日。
ハーレイの日をやりたかった生徒会長がド忘れしたため、振り替えに…。
振り替えられた8月10日は朝から見事に晴れております。
ブルー 「ちょっと暑いけど、綺麗に晴れて良かったよね」
キース 「まあ、祝い事には雨より晴れだな」
ジョミー「で、何処へ行くわけ?」
ブルー 「もうすぐ迎えが来るんだよ。涼しい所で待っていよう」
生徒会長のマンションに朝イチで集まったシャン学メンバー。
クーラーが効いた玄関脇のスペースでのんびり待っておりますと…。
ジョミー「あれっ、シド先生?」
シド 「ああ、おはよう。出掛けようか」
ブルー 「悪いね、夏休みなのに呼び出しちゃって」
シド 「いやいや、かなり集まりそうだぞ」
キース 「集まる…って、何のことですか?」
シド 「君たちと同じさ、ハーレイの日が目的だ」
ブルー 「そういうこと。仲間には通知が行っているんだ」
シロエ 「教頭先生の所にも?」
ブルー 「まさか。それじゃサプライズにならないじゃないか」
行くよ、と出てゆく生徒会長。
シド先生が運転するマイクロバスで向かった先は…。
ブルー 「さて…と。うん、ハーレイはちゃんと起きてるね」
生徒会長、門扉の脇のチャイムをピンポーン♪ と。
ハーレイ「どなたですか?」
ブルー 「ぼくだけど?」
ハーレイ「ブ、ブルー!?」
飛び出して来た教頭先生、門扉を開けて。
ハーレイ「暑かっただろう、入りなさい。すぐに冷たいものを…」
ブルー 「ううん、それより今日はおめでとう」
ハーレイ「は?」
ブルー 「お祝いを言いに来たんだよ。8月1日の代わりにね」
ハーレイ「8月1日?」
ブルー 「0801でハーレイだろう? だからハーレイの日!」
ハーレイ「ハーレイの…日…?」
ブルー 「そう、君の日だ。今日に振り替えになっちゃったけど」
お祝いの気持ちを受け取って、と生徒会長は申しております。
それ、受け取っても大丈夫ですか…?
2012/08/09 (Thu)
☆ハーレイの日!
振り替えで『ハーレイの日』となった8月10日。
教頭先生の家を電撃訪問した生徒会長、お祝いの言葉を述べております。
ブルー 「ハーレイの日、本当におめでとう。振り替えでもいいよね?」
ハーレイ「そ、それは…別にかまわないが、何なんだ、それは」
ブルー 「だからハーレイの日だってば! 本物は8月1日だけどさ」
ハーレイ「語呂合わせとかいうヤツか?」
ブルー 「うん、まさにソレ。でも当日にド忘れしちゃって…」
キース 「忘れる程度の日だそうです。お気になさらず」
ハーレイ「いや、こうして祝いを言って貰うと悪い気はせんぞ」
ブルー 「ホントかい? じゃあ、改めてみんなで言おうか。せーの!」
全員 「「「ハーレイの日、おめでとうございます!」」」
ぶるぅ 「おめでとうございまぁーす!」
パァーン! とクラッカーを鳴らす「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
一気にお祭りムードですけど、シド先生が車の窓から顔を出して。
シド 「ブルー、まだ出掛けなくても大丈夫なのか?」
ブルー 「あっ、いけない! ハーレイの準備も要るんだっけ…」
ハーレイ「準備?」
ブルー 「そうだよ、お祝いに行くんだからさ。着替えてきて」
ハーレイ「この格好ではダメなのか?」
ブルー 「それ、思いっ切り普段着じゃないか。タキシードとかは?」
全員 「「「タキシード!?」」」
ブルー 「うん、そのくらいの気合が入った格好がイチオシ」
ハーレイ「ま、まさか…」
ブルー 「ん?」
ハーレイ「タキシードを着て、お前と……とかか?」
ブルー 「ふふ、婚礼の定番だもんね、タキシード。そこはどうかな?」
シド 「教頭先生、テーマはサプライズだそうですよ!」
ハーレイ「そ、そうか…。サプライズなのか…」
ブルー 「でもって、お祝い! せめて背広を着て欲しいんだけど」
ハーレイ「分かった、急いで着替えてこよう」
待っていてくれ、と家に飛び込んでゆく教頭先生。
ドレスコードはタキシードって、まさかホントに婚礼を…?
2012/08/10 (Fri)
☆いざ、出発!
ハーレイの日にはタキシードがイチオシ、せめて背広を…と生徒会長。
何やら期待したらしい教頭先生、大急ぎで家に駆け込んでサクサクと…。
ハーレイ「待たせてしまって申し訳ない。滅多に着ないものだから…」
ブルー 「そりゃそうだろうね。持ってるだけでも素晴らしいよ」
教頭先生、この暑いのにタキシードをカッチリお召しです。
ハーレイ「しかしアレだな、早めに言ってくれていたなら…」
ブルー 「なんだい?」
ハーレイ「もっとこう…。お前と釣り合うものを誂えたのに…」
ブルー 「気にしない、気にしない。気は心って言うものね」
ハーレイ「そうだろうか?」
ブルー 「ぼくがOKって言ってるんだよ? さあ、出掛けよう」
先に立ってマイクロバスに乗り込む生徒会長でございますが。
ブルー 「あ、ハーレイ。君の席は一番後ろだから」
ハーレイ「お前の隣になるんじゃないのか?」
ブルー 「あのさ…。新郎と花嫁って一緒の車で式場入りかい?」
ハーレイ「す、すまん…。ウッカリしていた」
ブルー 「それに狭いんだよ、君と並んで座るとね」
ついでに痴漢の危険もあるし…、と生徒会長は小声で言っております。
キース 「おい。あんた、本気で婚礼なのか?」
ジョミー「結婚するなら少しくらい痴漢されてもいいんじゃないの?」
ブルー 「ジョミー…。君は命が惜しくないわけ?」
ジョミー「お、惜しいです! 前言撤回!」
ブルー 「よし。それじゃ出発!」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ しゅっぱぁ~つ!」
走り始めたマイクロバスはマザー農場の方角へ。
広大な農場の脇を通り過ぎ、アルテメシアの郊外へと…。
ジョミー「あれっ、この道って…」
キース 「シャングリラ学園の専用空港に行く道だな」
シロエ 「もしかしてシャングリラ号の出番でしょうか?」
スウェナ「宇宙で結婚式っていう企画だったりするのかしら?」
なんだ、なんだ…と騒ぎ始めるシャン学メンバー。
ハーレイの日はシャングリラ号も巻き込む一大イベント…?
2012/08/11 (Sat)
☆盛り上がる道中
振り替えハーレイの日な8月10日、一同を乗せたマイクロバスは郊外へ。
シャングリラ学園専用空港に向かうルートでございます。
警備員 「おはようございます。許可証の提示をお願いします」
シド 「御苦労様。これでいいかな?」
警備員 「すみません、一応、決まりですので…。それで、これから?」
シド 「ああ、主役をお連れしないとね」
警備員 「中継もあると聞いていますし、楽しみですよ」
シド 「なにしろ一大イベントだから…。じゃあ、行ってくる」
ゲートを通過したマイクロバスの中は大騒ぎ。
ジョミー「中継だってさ、なんか凄そう…」
キース 「こりゃ間違いなく婚礼だな。それもド派手な」
シロエ 「婚礼は別にかまいませんけど、怖いのはオチですよ」
スウェナ「オチって何?」
シロエ 「会長が本気で結婚するわけないでしょう? 何かあります」
サム 「だよな、いつものパターンを考えるとなあ…」
ブルー 「そうでもないよ? ハーレイの日だしね」
キース 「オチは無いのか!?」
ブルー 「多分、無い……と思う」
サム 「無いのかよ!?」
ブルー 「祝賀ムードは盛り上げてなんぼ! 白けるのはNG!」
ハーレイ「で、では…。今日という今日は本当に…」
ブルー 「期待しててよ、ぼくからの心をこめたお祝いだ」
ついでに身体も張る予定、と生徒会長はニッコリと。
ハーレイ「か、身体……」
ジョミー「わわっ、誰か、ティッシュ、ティッシュ!」
キース 「大丈夫ですか、教頭先生!?」
ブルー 「あーあ、到着前から鼻血ってね…。なんか心配」
キース 「あんたの言い方が悪いんだろうが!」
ブルー 「本当のことを言ったまでだよ。実際、身体を張るんだからさ」
キース 「………。何をする気だ?」
ブルー 「ハーレイの日のお祝いだってば、一世一代の」
全員 「「「一世一代…」」」
生徒会長、身体を張ると言い出しましたが。
まさか本気で婚礼の上に、シャングリラ号で新婚旅行に御出発とか…?
2012/08/12 (Sun)
☆荒れ模様の道中
ハーレイの日を祝うためなら身体を張る、と生徒会長は申しております。
教頭先生はタキシードですし、これはいよいよ婚礼っぽく…。
サム 「おい、マジかよ? ブルー、本気で?」
ブルー 「うーん、サムには悪いんだけど、今日の主役はハーレイだし」
キース 「あんた、サムの気持ちを踏み躙るのか? 交替させろ!」
ブルー 「主役交代は有り得ないんだよ。それにサムには無理だと思う」
ジョミー「そっか、ぼくたち、永遠の高校1年生だっけ…」
ブルー 「実際の歳はともかく、中身の方がね」
キース 「くっそぉ、それを言われると反論できんか…」
シャン学メンバー、全員が万年十八歳未満お断り。
結婚式を挙げたとしても、その後がどうにもなりません。
その点、教頭先生の方は童貞なだけで立派な大人でございます。
ブルー 「だからさ、君たちは今日は見ているだけってことさ」
サム 「そうなのか…。まぁ、ブルーが幸せならそれでいいけど」
ジョミー「ちょ、それでいいわけ!?」
サム 「俺は心が狭くはねえぜ? あ、いけねえ、教頭先生は?」
シロエ 「そ、そういえばサムの話は内緒でしたね」
マツカ 「もしかして聞こえちゃったでしょうか?」
スウェナ「大丈夫みたいよ、心ここに在らずって感じ」
ブルー 「平気、平気。ハーレイはとっくに妄想の彼方」
何も聞こえちゃいやしない、とクスクス笑う生徒会長。
確かに鼻にティッシュを詰めた教頭先生、ボーッと座っておられます。
ブルー 「頭の中ではウェディングベルが高らかに鳴っていると思うよ」
キース 「サムが納得している以上は止めん。…もう好きにしろ」
ブルー 「もちろんだってば、仲間も楽しみにしてるんだから」
キース 「何処まで中継する気か知らんが、悪趣味なのは断るぞ」
ブルー 「アダルトチャンネルはぼくも却下だ、心配無用さ」
そこまで趣味は悪くない、と生徒会長は断言しておりますが。
教頭先生と身体を張っての挙式で、本当にそれを排除出来ますかねえ…?
2012/08/13 (Mon)
☆会場は目の前
専用空港へ向かうマイクロバスの車内は大荒れ。
生徒会長は涼しい顔をしておりますが、教頭先生は鼻の穴にティッシュ。
その状態で走り続けて、空港の建物が見えてくる頃。
ジョミー「わぁ、幟だ!」
キース 「祝・ハーレイの日だと? なんだ、これは」
ブルー 「賑やかしだよ、派手に演出しなくちゃね。あ、ハーレイ」
ハーレイ「…なんだ?」
ブルー 「そろそろ鼻血も止まっただろう? ティッシュは取らなきゃ」
シド 「教頭先生は注目の的ですからね、カメラも待っている筈です」
ハーレイ「そ、そうなのか…。緊張するな」
キース 「大丈夫ですか、鼻血の方は?」
ハーレイ「うむ。慣れている…というのも情けないが、止まったようだ」
血染めのティッシュを備え付けのゴミ袋に捨てる教頭先生。
確かに鼻血は止まっております。
ブルー 「髪の毛とかもちゃんとしといてよ? 蝶ネクタイも」
ハーレイ「ああ、お前に恥はかかせられないしな」
教頭先生、いそいそと服装チェックをしておられますが。
シロエ 「えーっと…。何処で婚礼するんでしょう?」
サム 「何処だろうなぁ、シャングリラ号かな?」
ジョミー「じゃあ、ぼくたちも乗れるよね! 久しぶりだなぁ」
キース 「夏休みに乗ったことは一度も無いしな」
スウェナ「豪華料理が出るといいわね、結婚式だし!」
ワイワイと盛り上がるシャン学メンバー。
前方に現れた空港の建物には大きな垂れ幕と横断幕が。
ジョミー「凄いや、祝・ハーレイの日って、あそこにも!」
キース 「それより人が凄くないか? 集まってるぞ」
シロエ 「みんな小旗を振っていますよ?」
マツカ 「シャングリラ学園のマークみたいですね」
ブルー 「国旗みたいな感じかな? シャングリラ学園の紋章だから」
ハーレイ「…晴れがましすぎる感じなのだが…」
ブルー 「気にしない、気にしない。今日の主役は堂々と!」
暑い中、小旗を振っている仲間たち。
ハーレイの日は華やかになりそうですよ~!
2012/08/14 (Tue)
☆祝賀ムード一色
振り替えハーレイの日な8月10日。
シャングリラ学園専用空港の建物、思いっ切り祝賀ムードでございます。
大勢の仲間が小旗を振る中、教頭先生がマイクロバスから降り立つと…。
一同 「「「ハーレイの日、おめでとうございます!」」」
ハーレイ「…あ、ありがとう…。照れるな、どうも」
女性 「月刊シャングリラです! 今のお気持ちを一言!」
ハーレイ「い、いや、そのぅ…。とにかく驚いているのだが…」
男性 「テーマはサプライズだそうですが、お知りになったのは?」
ハーレイ「さっき迎えが来て知ったばかりだ」
男性 「だそうです。画面を御覧の皆様、これからですよ!」
クルーの制服を着た男性の後ろにはテレビカメラ。
中継スタッフは全員、クルーの格好で来ているみたいです。
キース 「本当に中継が入るのか…」
ブルー 「そりゃもう、一大イベントだもの。上でも見てるよ」
ジョミー「上?」
ブルー 「シャングリラ号さ。家で見ている人たちもいるし」
シロエ 「い、家って、自宅のことですか!?」
ブルー 「うん。役職がつくレベルの人だと専用テレビが」
サム 「そんなものまであったのかよ…」
ブルー 「マザー農場の管理棟でも見られるしね」
だけど大半は現場に来ちゃったかな、と生徒会長。
そこへ建物の中から現れたのは…。
ゼル 「やっと主役の到着か。待ちくたびれたぞ」
ブラウ 「ハーレイの日だってねえ? あんた、自信はあるのかい?」
ハーレイ「じ、自信…?」
ゼル 「決まっておろうが、ブルーを満足させる自信じゃ!」
ハーレイ「…う、うむ…。精一杯、頑張りたいと…」
そう言いつつも教頭先生、鼻を押さえておられます。
エラ先生がティッシュを差し出し、ヒルマン先生は首を振って。
ヒルマン「大丈夫なのかね、そんなことで?」
ハーレイ「きゅ、急なことなので心の準備が…」
長老の先生方も結婚を認めておいでの様子です。
後は主役の頑張り次第。教頭先生、無事に結婚出来るのか?
2012/08/15 (Wed)