シャングリラ学園つれづれ語り
☆楽しみな夏休み
さて、7月。シャン学メンバーの世界は、じきに夏休み。
生徒会長宅に集った面々、只今、夏休みの計画中でして。
ジョミー「山の別荘は外せないよね、絶対に!」
シロエ 「エアコン無しでも涼しいですしねえ…」
マツカ 「いつでも用意は出来ていますよ」
今年も皆さんでお越し下さい、とマツカ君の笑み。
マツカ 「ボート遊びも、乗馬もどうぞ」
一同 「「「やったーっ!」」」
楽しみだよね、と誰もが大歓声。
サム 「山の別荘には、厄介なヤツも来ねえしよ…」
シロエ 「ですよね、海の別荘行きがありますから」
スウェナ「此処で来ちゃうと、特別休暇がパアなのよね」
だから来ないってトコが最高よ、とスウェナちゃんも。
スウェナ「もう存分に羽を伸ばして、楽しみましょ!」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 乗馬にボートにハイキング!」
ブルー 「三食、一流シェフの料理だしねえ…」
ジョミー「おやつも、お弁当もだよ!」
まさに天国、とジョミー君もワクワク。
ジョミー「早く夏休みにならないかなあ…」
シロエ 「じきですってば、アッという間です」
サム 「うんうん、期末も終わったしよ…」
マツカ 「ええ、後は終業式だけですよ」
それが済んだら夏休みです、とマツカ君。
マツカ 「ぼくたち柔道部員は、まずは合宿ですけれど」
シロエ 「終わったら、山の別荘ですよ!」
戻った次の日に出発で…、とシロエ君、行く気満々。
シロエ 「一晩眠れば、合宿疲れも吹っ飛びますしね」
マツカ 「じゃあ、そういう予定でいいですか?」
一同 「「「オッケー!」」」
次の日からだ、と揃った声ですけれど。
シロエ 「…あれ? キース先輩、どうしたんです?」
キース 「いや、それが…」
次の日は少しヤバい気が…、とキース君。
キース 「戻ってみないと、分からないんだが…」
一同 「「「は?」」」
キース 「予定は未定というヤツで…」
今はなんとも…、と煮え切らない返事。
合宿と何か関係が…?
2022/07/01 (Fri)
☆未定らしい予定
もうすぐ夏休みなシャン学メンバー、残るは終業式だけ。
生徒会長宅で夏休みの計画中、マツカ君の山の別荘行き。
シロエ 「予定は未定って、何なんです?」
サム 「お前、そういうのは得意じゃねえかよ」
つか、無計画では動かねえだろ、とサム君の指摘。
サム 「何をやるにも、先の先まで読む筈だぜ?」
ジョミー「だよねえ、宿題とかにしたって…」
スウェナ「順番を決めて、着々とやるタイプでしょ?」
シロエ 「その通りですよ、もう昔から、ソレですね」
長い付き合いですから、よく知ってます、とシロエ君。
シロエ 「ぶっつけ本番とかは、有り得ないんですよ」
キース 「いや、そんなことはないが…」
ジョミー「咄嗟に対応出来るってだけで、本音はさあ…」
想定外は避けたいってヤツ、とジョミー君も。
ジョミー「アドリブは出来ても、やりたくない、って」
サム 「うん、まさにソレな!」
キース 「まあ、そうだが…」
シロエ 「ほらね、細かく計画を立てる人ですってば」
なのに予定が未定だなんて…、とシロエ君のツッコミ。
シロエ 「冗談だとしか思えませんけど?」
キース 「本当なんだ!」
サム 「んじゃ、予定表は、どうなってんだよ?」
未定って書いてあるのかよ、とサム君の問い。
サム 「月参りとかを書いてる手帳に、未定ってか?」
キース 「そうは書かんが、今の時点では…」
白紙なんだ、とキース君。
キース 「俺だって、出来れば、其処はだな…」
シロエ 「山の別荘、と書きたいんですか?」
キース 「それが理想というヤツなんだが…」
生憎と今は、合宿までしか…、とブツブツブツ。
キース 「合宿から戻った時に、どうなっているか…」
シロエ 「分からない何かがあるわけですか?」
キース 「この目で見ないと、本当にどうにも…」
ジョミー「もしかして、生き物?」
キース 「生きているのは間違いないな」
それだけに、とても厄介で…、と言ってますけど。
生き物ですか…?
2022/07/02 (Sat)
☆うるさい生き物
じきに夏休みなシャン学メンバー、終業式が済めば自由。
生徒会長宅で夏休みの計画中で、山の別荘という話な今。
ジョミー「厄介って、どんな生き物なわけ?」
シロエ 「とても我儘なんですか?」
キース 「我儘な上に、頑固なんだが…」
ついでにうるさい、とキース君が顰める顔。
キース 「朝早くから、もう、ギャーギャーと…」
サム 「俺、何か分かった気がするぜ」
シロエ 「ぼくもです。確かに厄介かもですね…」
キース先輩の場合、住環境はいいですけど、とシロエ君。
シロエ 「住宅街だと、近所から文句が出るんですよね」
サム 「うるせえからなあ…」
スウェナ「何なのよ、ソレ?」
ジョミー「アレかな、ウシガエルってヤツかな…」
凄くうるさいらしいよね、とジョミー君が傾げる首。
ジョミー「ぼくは、聞いたことないんだけどさ」
マツカ 「今は規制が厳しいらしいですからね…」
ジョミー「規制って?」
マツカ 「アレです、特定外来種ですよ」
移動が禁止されてるんです、とマツカ君の解説。
マツカ 「ですから、発見してもですね…」
スウェナ「持って帰ったりは出来ないのよね」
ジョミー「あー…。それで、その辺にいないんだ?」
だけどキースは飼ってるわけ、とジョミー君の問い。
ジョミー「元老寺の池にもいたっけ、アレ?」
マツカ 「いえ、鳴き声を聞いた覚えは無いですね」
スウェナ「まさか、何処かから持って帰って…」
飼っているんじゃないでしょうね、とスウェナちゃん。
スウェナ「御禁制のヤツよ、御法度なのよ?」
キース 「何故、ウシガエルを飼わねばならん!」
シロエ 「そうですよ。仮定からして間違ってます」
勝手に決め付けないで下さい、とシロエ君、苦い顔付き。
シロエ 「思い込みで話を進めるのはですね…」
サム 「良くねえんだぜ?」
ジョミー「ウシガエルだと思ったんだけど…」
キース 「誤解だ!」
御禁制のブツなど飼わん、と反論ですけど。
じゃあ、何だと…?
2022/07/03 (Sun)
☆決め付けはダメ
もうすぐ夏休みなシャン学メンバー、残るは終業式だけ。
生徒会長宅で夏休みの計画、山の別荘へ行く日が問題で。
ジョミー「よく考えたら、キースは真面目だったっけ…」
サム 「そうだぜ、御禁制のブツを飼うわけねえだろ」
シロエ 「まったくです。物事は、きちんと考えないと」
ドツボにはまりますからね、とシロエ君の注意が。
シロエ 「何か仮説を立てるにしても、筋道をですね…」
スウェナ「考えるのが鉄則だったわねえ…」
ジャーナリスト失格だったわ、とスウェナちゃん、猛省。
スウェナ「シロエもサムも分かってるのに、って…」
シロエ 「焦り過ぎちゃったわけですか…」
スウェナ「そうなの、ホントに大失敗よ」
ジョミーの口車に乗っちゃうなんて…、と嘆き節。
スウェナ「自分で考えるべきだったわね」
ジョミー「ぼくの口車って、酷すぎない!?」
サム 「でもよ、ウシガエルって言ったじゃねえかよ」
シロエ 「そうです、ほぼほぼ、決め付けでしたね」
アレはダメです、とシロエ君、キッパリ。
シロエ 「テストだったら、点は無いですよ?」
サム 「うんうん、まるで間違いだしよ…」
そりゃあ確かにうるせえけどよ、とサム君も。
サム 「けどよ、キースは朝早くから、って…」
シロエ 「言ってましたよ、其処も大事なポイントです」
ウシガエルの朝は早いんですか、とシロエ君。
シロエ 「ぼくも詳しくは知りませんけど…」
マツカ 「暗い時の方が、よく鳴くカエルらしいですよ」
噂に聞いただけですけどね、とマツカ君の説明。
マツカ 「昼間も、鳴くそうですけれど…」
サム 「朝ってイメージ、ねえヤツだしな?」
よく考えて発言しろよ、とサム君も。
サム 「朝早くからうるせえトコが、問題なんだよ」
シロエ 「近所迷惑ってヤツなんですよね…」
ジョミー「あー、元老寺だと、広いから…」
シロエ 「外まで届かないんです」
でも住人にはうるさいわけで、と納得な話。
まあねえ…。
2022/07/04 (Mon)
☆最初からいました
じきに夏休みなシャン学メンバー、終業式を残すだけで。
生徒会長宅で夏休みの計画、マツカ君の山の別荘を希望。
ジョミー「朝早くから騒がしいのは、キツイよね…」
シロエ 「嫌でも起こされちゃいますから…」
サム 「近所から苦情が出ちまうんだよ、住宅街だと」
御近所の人は、たまらねえしな、とサム君が顰める顔。
サム 「日が出た途端に、やかましいんだぜ?」
シロエ 「しかも、朝で終わりじゃないですからねえ…」
サム 「何かってえと、騒ぐらしいよなあ…」
俺は飼ったことねえんだけどよ、とサム君の言。
サム 「シロエは、経験あるのかよ?」
シロエ 「無いですね。飼うような理由も無いですし…」
そもそも何処で売ってるんです、とシロエ君の問い。
シロエ 「キース先輩、誰かに貰ったんですか?」
キース 「最初から、家にいやがったんだが?」
物心つく前からな、とキース君の仏頂面。
キース 「あっちの方が、俺より偉くて当然だろうが!」
シロエ 「…いましたっけ?」
サム 「知らねえ、マジで気付かなかったぜ」
元老寺って広いしなあ、とサム君、お手上げのポーズ。
サム 「よく考えたら、裏山も全部、そうだしよ…」
シロエ 「あー…。あそこで放し飼いですか…」
それだと確かに気付かないかも、とシロエ君。
シロエ 「そうなると、卵が美味しそうですね」
ジョミー「卵って…。そうか、ニワトリだったんだ?」
サム 「今頃、気付いたのかよ、お前…」
まあ、ウシガエルなヤツだしな、とサム君、苦笑。
サム 「朝からうるせえわけだろ、マジで」
ジョミー「うん…。でもって、キースが…」
スウェナ「世話をしているわけね」
合宿から戻ったら忙しいのね、とスウェナちゃん。
スウェナ「留守の間に、どうなってるかが問題で…」
シロエ 「恐らく、放置でしょうからね…」
ジョミー「野良ニワトリになってるかもね…」
一日で世話が終わらないかも、という声が。
そうかも…。
2022/07/05 (Tue)
☆古株だそうです
もうすぐ夏休みなシャン学メンバー、残るは終業式だけ。
生徒会長宅で夏休みの計画、マツカ君の別荘行きの話で。
サム 「生き物だけに、見るまで分からねえもんな…」
ジョミー「卵を拾い集めるトコからなのかな?」
シロエ 「いえ、宿坊があるんですから、卵はですね…」
毎朝、拾われていそうですよ、とシロエ君の指摘。
シロエ 「縛りの緩い宿坊ですしね、朝御飯用に」
スウェナ「そうねえ、卵焼きとか、卵かけ御飯とか…」
マツカ 「集める係が、決まっていそうな感じですね」
朝一番に拾いに行く当番が…、とマツカ君も。
マツカ 「放置じゃ、もったいないですから」
ジョミー「あー…。するとキースの仕事って、何?」
サム 「放し飼いなら、餌は要らねえかな?」
シロエ 「そうですね。すると鳥小屋の掃除でしょうか」
それは放ってありそうですよ、とシロエ君。
シロエ 「でも、鳥小屋は要りますからねえ…」
サム 「あの山、イノシシが出るらしいしなあ…」
ジョミー「イノシシって、ニワトリ、食べるのかな?」
スウェナ「どうかしら? だけど、イタチは食べるわよ」
イノシシがいるならイタチだって、という声が。
スウェナ「鳥小屋が無いと、危険だものねえ…」
シロエ 「その鳥小屋の掃除ってヤツが、問題ですか…」
汚れの程度は、見てみないと…、とシロエ君の溜息。
シロエ 「一時間あれば片が付くのか、無理なのか…」
サム 「それ次第ってことな、キースの予定は」
まあ、頑張れよ、とサム君、キース君の肩をポン、と。
サム 「酷く汚れてねえことを祈るぜ」
キース 「俺はニワトリとは言っていないが?」
シロエ 「じゃあ、何なんです?」
いったい何を飼ってるんです、とシロエ君の問い。
シロエ 「キース先輩より、古いんですよね?」
キース 「もう、とんでもない古株だが!」
ジョミー「でもって、朝からうるさいんだよね?」
サッパリ謎だ、と誰もが首を捻ってますけど。
何だと…?
2022/07/06 (Wed)
☆増えまくる仕事
じきに夏休みなシャン学メンバー、終業式が済めば自由。
生徒会長宅で夏休みの計画中で、山の別荘の日程が問題。
シロエ 「キース先輩よりも古株って、何でしょう?」
サム 「朝からうるせえけど、ニワトリじゃねえし…」
ジョミー「ウシガエルも違うって言われたしね…」
キース 「お前たち、本当に分からないのか?」
正解は一つしか無いだろうが、とキース君の仏頂面。
キース 「親父の他に、何がいると言うんだ!」
一同 「「「えっ!?」
ソレか、と一同、瞬時に納得。
シロエ 「確かに、思いっ切りの古株ですね…」
サム 「うるせえっていう点も、間違いねえよな」
スウェナ「お寺の朝は、早いものねえ…」
朝からうるさくて当然だわよ、とスウェナちゃんも。
スウェナ「しかも一日、うるさそうだし…」
ジョミー「ニワトリとウシガエルを足した感じだよね」
キース 「不吉なことを言わないでくれ!」
パワーアップしたらどうしてくれる、とキース君。
キース 「そんなパワフルな生き物は要らん!」
シロエ 「もう充分に間に合ってますか?」
キース 「とうの昔に、パワーMAXだ!」
お蔭で俺の仕事が増えて…、と副住職の深い溜息。
キース 「親父が遊びに出掛ける度に、ノルマがだな…」
一同 「「「ノルマ?」」」
キース 「親父は夜まで遊びまくって、次の日の朝に…」
俺の部屋の前にメモがあるんだ、とブツブツブツ。
キース 「卒塔婆の追加を書き殴ったヤツが!」
一同 「「「あー…」」」
お盆に向けて書くヤツだった、と誰もが理解した風物詩。
シロエ 「遊んで、書けなかった分なんですね?」
キース 「そういうことだ」
俺が家にいてもソレなんだぞ、とキース君が顰める顔。
キース 「合宿に出掛けて、いないとなったら…」
ジョミー「遊びまくりだよね…」
シロエ 「メモが増えていくわけですか…」
キース 「そうなるな」
親父が遊んだ分だけ増える、と嘆き節が。
嫌すぎるかも…。
2022/07/07 (Thu)
☆アナログが問題
もうすぐ夏休みなシャン学メンバー、終業式を残すだけ。
生徒会長宅で夏休みの計画、山の別荘行きが問題でして。
シロエ 「帰ってみないと、メモは分かりませんしね…」
ジョミー「LINEにしてくれればいいのにね…」
それなら合宿中でもオッケーなのに、とジョミー君。
ジョミー「柔道部の合宿、スマホは禁止じゃないんだし」
キース 「一応、禁止になってはいるが?」
サム 「マジかよ、修行道場並みかよ!?」
シロエ 「いえ、そこまでは…。練習の間だけですよ」
練習が終われば使えますし、とシロエ君の説明が。
シロエ 「ただし、食事中はダメですけどね」
ジョミー「厳しいね、ソレ…」
マツカ 「柔道は心身の鍛錬が大切ですから…」
キース 「ついでに礼儀も重視するしな」
教頭先生も一緒の食事ではダメだ、とキース君、補足。
キース 「目上の人の前でスマホは、社会的にだ…」
シロエ 「あまり良くないらしいですしね」
マツカ 「そうですね。必要な時は許されますけど…」
それ以外では控えますね、と御曹司も。
マツカ 「とはいえ、ぼくたちは高校生ですし…」
シロエ 「お坊さんでもありませんから、そこそこの…」
自由はあるのが合宿中のスマホライフです、とシロエ君。
シロエ 「LINEも出来ると思いますけど…」
キース 「あの親父の首に、鈴をつけられるのか?」
お前だったら出来るのか、とキース君の問い。
キース 「親父とLINEは、そういうことだぞ」
ジョミー「えーっと…。読んでは貰えないのかな?」
キース 「当然だろうが、既読スルー以前の問題だ!」
ヤバそうなブツは未読で放置だ、とキース君。
キース 「今の時期なら、もう永遠に未読だな」
シロエ 「文句に決まっているからですね…」
シーズン的に、とシロエ君、相槌。
シロエ 「自分で書け、と言われそうですし…」
キース 「面と向かっては言えないが…」
怖くて無理だがLINEなら、という話。
それは確かに…。
2022/07/08 (Fri)
☆アナログが一番
じきに夏休みなシャン学メンバー、終業式が済めば自由。
生徒会長宅で夏休みの計画、山の別荘へ行く相談でして。
ジョミー「だけど、LINEって言い出せないんだ?」
キース 「あの親父だぞ? 親父に鈴はつけられるが…」
逆に、俺にも鈴がつきそうでな、とキース君の眉間に皺。
キース 「今の時期だと卒塔婆の件で、俺が有利だが…」
シロエ 「季節が変わると、不利なんですか?」
キース 「なにしろ、書き逃げ出来るからな…」
任せた、と送って来やがりそうだ、と肩を竦める人。
キース 「月参りに雑用、ついでに買い出しとかまでな」
一同 「「「あー…」」」
繋がっていると、そうなるな、と誰もが納得。
ジョミー「ヤバイね、ソレ…」
サム 「キースの場合は、未読で放置出来ねえし…」
シロエ 「既読スルーとかは論外ですよね…」
キース 「当然だろうが、今以上にこき使われるのが…」
見えているぞ、とキース君、フウと溜息。
キース 「そういう事情で、親父とはアナログが一番だ」
スウェナ「そうねえ、メモの置き逃げは困るけど…」
シロエ 「今だけのことなら、我慢するのが吉ですよね」
下手にLINEで繋がるよりも…、とシロエ君も。
シロエ 「じゃあ、マツカ先輩の山の別荘行きは…」
キース 「悪いが、合宿が終わった翌日というのは…」
避けたいんだ、とキース君、申し訳なさそうな顔。
キース 「数によっては、別荘でも書くことになるが…」
サム 「少しは片付けて行きてえのな?」
キース 「俺も心に余裕が欲しいし…」
ジョミー「そうだね、卒塔婆書きは誰も手伝えないし…」
無資格だしさ、とジョミー君。
ジョミー「ブルーだったら、手伝えるけど…」
ブルー 「お断りだね、バイト料が出るならともかく」
シロエ 「そうですよねえ…」
サム 「資格のあるヤツ、他には誰もいねえしよ…」
キース 「いや、その前提はだな…」
正確には間違っているんだが、と言ってますけど。
何処が…?
2022/07/09 (Sat)
☆裕福なお寺だと
もうすぐ夏休みなシャン学メンバー、残りは終業式だけ。
生徒会長宅で夏休みの計画、マツカ君の山の別荘行きで。
シロエ 「間違ってるって、何処がです?」
キース 「資格がどうこうという部分だが?」
サム 「でもよ、卒塔婆って、坊主の資格がねえと…」
書けねえんだろ、とサム君の問い。
サム 「だからお盆の前になるとよ、あちこちでよ…」
スウェナ「地獄になるって聞いてるわよねえ…」
シロエ 「そうですよ、坊さんあるあるとかで」
今年もこんなに書くんです、って嘆き節が、とシロエ君。
シロエ 「卒塔婆の山とか、ツイッターの名物ですけど」
キース 「確かに、何処も地獄なんだが…」
裕福な寺は事情が違うぞ、と副住職が繰る数珠レット。
キース 「何と言っても、世の中、金だ」
サム 「あー…。卒塔婆プリンターっていうヤツな…」
ジョミー「でもさ、元老寺ではダメなんだよね?」
プリンターを買うお金があっても…、とジョミー君。
ジョミー「アドス和尚は、手書きにこだわるらしいし…」
シロエ 「ですよね、卒塔婆プリンターが高くても…」
夜遊びを控えれば買えそうですよ、とシロエ君も。
シロエ 「それにローンも組めるでしょうし…」
キース 「違う、問題は其処じゃない」
今は資格の話だろうが、と副住職の軌道修正。
キース 「いいか、裕福な寺の場合は、事前にだな…」
ジョミー「何か打つ手があるってわけ?」
キース 「御用聞きがやって来るんだが?」
一同 「「「御用聞き?」」」
何だソレは、と誰もがキョトン。
シロエ 「えっと…? それはお店になるんでしょうか」
キース 「御用聞きだけに、そうなるな」
卒塔婆専門の店なんだが…、と副住職。
キース 「今年は何本ほどでしょうか、と来るわけだ」
サム 「納める卒塔婆の数だよな、ソレ?」
キース 「もちろんそうだが、その他に…」
シロエ 「まだ何か?」
あるんですか、とシロエ君が傾げる首。
御用聞きですよね?
2022/07/10 (Sun)
☆外注だそうです
じき夏休みなシャン学メンバー、終業式が終われば自由。
生徒会長宅で夏休みの計画、山の別荘行きの日程でして。
シロエ 「御用聞きですから、仕事の話ですよね?」
キース 「当然、そうだが?」
サム 「納める卒塔婆の素材とかかよ?」
国産か、そうじゃねえヤツか…、とサム君の問い。
サム 「今は輸入品だって、前に聞いたけどよ…」
シロエ 「こだわる人だと、国産品の特注とかも…」
ジョミー「あるかもだよねえ、材木はあるしさ」
スウェナ「そうねえ、豪華に国産のヒノキでいくとか」
高そうだけど、とスウェナちゃんも。
スウェナ「そういう細かい相談かしら?」
キース 「いや、それもあるかもしれないが…」
もっと基本のオプションが…、と副住職。
キース 「専門店ならではのヤツでだな…」
シロエ 「サービスじゃなくて、オプションですね?」
キース 「ああ。つまり、有料になるんだが…」
だから裕福な寺が顧客で…、と副住職の説明が。
キース 「貧乏寺では、手も足も出ないヤツだしな」
シロエ 「そんなに高いヤツなんですか?」
キース 「らしいぞ、プロに外注だけに」
一同 「「「プロ!?」」」
プロか、と生徒会長に視線が集中。
シロエ 「会長みたいな人ですか?」
サム 「資格を持ってて、高僧ってヤツな?」
マツカ 「確かに、高僧だったら暇ですよね」
自分のお寺を持っていても…、とマツカ君。
マツカ 「大勢の人がいるわけですから、お盆前でも…」
サム 「下っ端の坊主が書くよな、卒塔婆…」
ジョミー「そういう人に外注かあ…」
スウェナ「高くなっても仕方ないわね」
プロ中のプロというヤツか、と誰もが納得。
シロエ 「裕福なお寺だと、それを注文するわけですね」
サム 「代わりに書いて貰うのな…」
キース 「それはそうだが、今は資格の話だぞ?」
シロエ 「えっと…?」
キース 「だから、資格だ」
卒塔婆書きの…、と言ってますけど。
プロ中のプロですよね?
2022/07/11 (Mon)
☆資格が無くても
もうすぐ夏休みなシャン学メンバー、終業式を残すだけ。
生徒会長宅で夏休みの計画、マツカ君の山の別荘が目的。
シロエ 「高僧だったら、当然、資格はありますよね」
サム 「住職の資格がねえと、高僧は無理だぜ」
ジョミー「卒塔婆も書けるわけだよねえ…」
キース 「俺が言うのは、其処の所だ」
外注先は高僧じゃない、と副住職。
キース 「プロはプロでも、書家なんだが?」
一同 「「「は?」」」
キース 「書家と言ったら、書道家だろうが!」
書道のプロというヤツだ、とキース君の説明が。
キース 「そのプロに、卒塔婆を外注するんだ」
シロエ 「…書道家ですか?」
サム 「もちろん、資格持ちだよなあ?」
キース 「書道の方では、そうなるだろうな」
プロなんだから、とキース君。
キース 「だが、住職の資格は、無いと思うぞ」
一同 「「「ええっ!?」」」
無資格なのか、と一同、仰天。
ジョミー「ちょ、そんな人が書いていいわけ!?」
サム 「素人同然じゃねえかよ、ソレ!」
キース 「本当の意味で、素人が書く場合もだな…」
存在すると知っていたか、とキース君、ニヤリ。
キース 「いわゆる、学生バイトなんだが」
一同 「「「学生?」」」
キース 「仏教系の大学に行くと、普通にあるぞ」
季節になると募集される、と卒業生の見て来た世界。
キース 「坊主向けの学科に限らなくても…」
サム 「そのバイト、やっていいのかよ?」
キース 「字さえ上手ければ、即、採用だ」
そして卒塔婆を書くわけでな、とニヤニヤニヤ。
キース 「つまり資格は、一切、要らない」
ジョミー「お金次第かあ…」
バイトを雇うのもアリなんだ、とジョミー君。
ジョミー「じゃあさ、手書きにこだわるアドス和尚も…」
キース 「許すだろうな、金は出さんが」
シロエ 「タダじゃ、バイトは来ませんよ?」
キース 「そうなんだが…」
資格は無くていいわけで…、と言ってますけど。
えっと…?
2022/07/12 (Tue)
☆書道が出来れば
夏休みが近いシャン学メンバー、終業式が終われば自由。
生徒会長宅で夏休みの計画、マツカ君の山の別荘行きで。
キース 「いいか、坊主の資格が無くても書けるんだ」
シロエ 「そうでしょうけど、学生バイトは…」
ジョミー「タダじゃ、絶対、来てくれないよ?」
ボランティアじゃないんだからさ、とジョミー君も。
ジョミー「アドス和尚が、お金を出さない以上はさ…」
サム 「夢で終わりだぜ、その話はよ」
キース 「終わらせる前に、一つ聞きたいんだが…」
お前たちにな、とキース君がグルリと見回す部屋。
キース 「質問してもいいだろうか?」
シロエ 「かまいませんけど、改まって何なんです?」
キース 「書道を習ったヤツは、名乗って欲しいんだが」
一同 「「「げっ!」」」
ソレはヤバいヤツ、と誰もが引き攣った顔。
シロエ 「…書道ですか?」
キース 「習字でもいいぞ、小学生の時でもいい」
習ったヤツは…、とキース君、目がマジ。
キース 「最低でも、一人はいる筈なんだが…」
サム 「あー、マツカな…」
御曹司には必須のスキルだよな、と頷くサム君。
サム 「マツカ、どうなんだよ?」
マツカ 「否定はしません…」
キース 「よし、一人ゲット!」
一同 「「「うっ…」」」
やっぱりソレか、と一同、ガクブル。
シロエ 「ま、まさか、マツカ先輩にですね…」
サム 「書かせようっていうのかよ!?」
キース 「マツカは断らないと思うぞ」
マツカ 「そうですね…。ぼくでお役に立てるなら…」
手伝いますけど、と素直すぎる人。
マツカ 「他の皆さんは、如何ですか?」
サム 「無理、無理、無理!」
俺の字、めっちゃ下手クソだしよ、とサム君の逃げ。
サム 「マジでセンスがねえってヤツで!」
ジョミー「ぼくも、全然ダメだから!」
シロエ 「ぼくにも無理です!」
キース 「素直に申告した方がいいぞ?」
嘘は許さん、と冷ややかな眼差しですけど。
本当なのでは…?
2022/07/13 (Wed)
☆才能だそうです
もうすぐ夏休みなシャン学メンバー、終業式を残すだけ。
生徒会長宅で夏休みの計画、山の別荘行きの相談でして。
キース 「…本当か? 本当に字が汚い、と?」
シロエ 「そ、そうです、自慢じゃないですけど!」
ジョミー「手本通りになんか、書けっこないし!」
キース 「今、お手本と言わなかったか?」
「お」の字はついていなかったが、と副住職の鋭い視線。
キース 「お前、習っていただろう!」
ジョミー「違うよ、それは学校のヤツで!」
サム 「あるじゃねえかよ、書道の授業が」
スウェナ「そうよ、お習字セットを買わされるでしょ?」
私もやったわ、とスウェナちゃんの助け舟。
スウェナ「でもダメなのよ、ジョミーと同じ結末よね」
シロエ 「なんて言うか、こう、筆がですね…」
上手く動かせないんですよ、とシロエ君も。
シロエ 「機械弄りとは違うようです、アレは」
サム 「やっぱ、センスっていうヤツだよなあ…」
マツカ 「最初から上手い人はいますね、確かに」
能力の問題らしいですけど、とマツカ君が傾げる首。
マツカ 「何と呼ぶのか忘れましたが、生まれつきで…」
ジョミー「赤ん坊でも上手いわけ?」
マツカ 「いえ、そこまではいきませんけど…」
目で見た通りに書けるそうです、とマツカ君。
マツカ 「そのように、腕を動かせるらしいですよ?」
シロエ 「器用さとは別の次元で、ですか?」
マツカ 「ええ。ですから、絵を描くのも上手いとか」
アニメのキャラとかを、そっくりに…、という話。
マツカ 「一種の才能というヤツでしょうね」
??? 「なるほどねえ!」
興味深いよ、とソルジャー(会話表記はAブルー)登場。
Aブルー「なになに、字を書く才能がどうしたって?」
キース 「あんた、何処から湧いたんだ!」
Aブルー「青の間からだよ、暇だったから覗いてさ…」
キース 「来てみた、と?」
Aブルー「そう!」
字が上手だと何かあるわけ、と聞いてますけど。
えっと…?
2022/07/14 (Thu)
☆字が上手いなら
じきに夏休みなシャン学メンバー、終業式が済めば自由。
生徒会長宅で夏休みの計画、マツカ君の山の別荘行きで。
Aブルー「是非、知りたいねえ、詳しい話を!」
キース 「あんたには関係無いと思うが?」
何の役にも立たんだろうが、とキース君、バッサリ。
キース 「字が上手いとも思えんからな」
Aブルー「失礼だねえ!」
キース 「では、上手いのか?」
筆でサラサラと書けるのか、とキース君の問い。
キース 「筆ペンで書くのは、節分の絵馬で見ているが」
Aブルー「えっと…。筆は経験無いよね、うん」
やってみないと分からないけど、とソルジャーの返事。
Aブルー「だけど、下手とは限らないよ?」
シロエ 「キース先輩、チャンスです!」
例の才能があるかもですよ、とシロエ君が指差す乱入者。
シロエ 「もしもあったら、使えますってば!」
キース 「そうだな…。あんた、絵は上手なのか?」
真似は上手いか、とキース君、ソルジャーに質問。
キース 「見た通りの絵が描けるだろうか?」
Aブルー「うーん、どうかな…」
シロエ 「キース先輩、ここは試しに筆でですね…」
何か字を書いて貰いませんか、とシロエ君。
シロエ 「上手く書けたら、御招待ですよ!」
Aブルー「御招待?」
何処に、とソルジャーが乗り出す膝。
Aブルー「食事の予定でもあるのかい?」
マツカ 「いえ、お食事の方も、もちろんですけど…」
シロエ 「マツカ先輩の、山の別荘ですよ!」
キャプテン抜きなら来られますよね、とシロエ君の言。
シロエ 「お一人だけで如何ですか?」
マツカ 「喜んで、お招きさせて頂きますよ」
Aブルー「本当かい?」
上手く書けたら行っていいわけ、と赤い瞳がキラキラと。
Aブルー「美味しい食事に、ボート遊びに…」
シロエ 「乗馬なんかも楽しめますよ、ハイキングも」
ジョミー「涼しいしさ…」
Aブルー「いいねえ、ソレ!」
お邪魔したいよね、と来る気満々ですけど。
字の腕前は…?
2022/07/15 (Fri)
さて、7月。シャン学メンバーの世界は、じきに夏休み。
生徒会長宅に集った面々、只今、夏休みの計画中でして。
ジョミー「山の別荘は外せないよね、絶対に!」
シロエ 「エアコン無しでも涼しいですしねえ…」
マツカ 「いつでも用意は出来ていますよ」
今年も皆さんでお越し下さい、とマツカ君の笑み。
マツカ 「ボート遊びも、乗馬もどうぞ」
一同 「「「やったーっ!」」」
楽しみだよね、と誰もが大歓声。
サム 「山の別荘には、厄介なヤツも来ねえしよ…」
シロエ 「ですよね、海の別荘行きがありますから」
スウェナ「此処で来ちゃうと、特別休暇がパアなのよね」
だから来ないってトコが最高よ、とスウェナちゃんも。
スウェナ「もう存分に羽を伸ばして、楽しみましょ!」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 乗馬にボートにハイキング!」
ブルー 「三食、一流シェフの料理だしねえ…」
ジョミー「おやつも、お弁当もだよ!」
まさに天国、とジョミー君もワクワク。
ジョミー「早く夏休みにならないかなあ…」
シロエ 「じきですってば、アッという間です」
サム 「うんうん、期末も終わったしよ…」
マツカ 「ええ、後は終業式だけですよ」
それが済んだら夏休みです、とマツカ君。
マツカ 「ぼくたち柔道部員は、まずは合宿ですけれど」
シロエ 「終わったら、山の別荘ですよ!」
戻った次の日に出発で…、とシロエ君、行く気満々。
シロエ 「一晩眠れば、合宿疲れも吹っ飛びますしね」
マツカ 「じゃあ、そういう予定でいいですか?」
一同 「「「オッケー!」」」
次の日からだ、と揃った声ですけれど。
シロエ 「…あれ? キース先輩、どうしたんです?」
キース 「いや、それが…」
次の日は少しヤバい気が…、とキース君。
キース 「戻ってみないと、分からないんだが…」
一同 「「「は?」」」
キース 「予定は未定というヤツで…」
今はなんとも…、と煮え切らない返事。
合宿と何か関係が…?
2022/07/01 (Fri)
☆未定らしい予定
もうすぐ夏休みなシャン学メンバー、残るは終業式だけ。
生徒会長宅で夏休みの計画中、マツカ君の山の別荘行き。
シロエ 「予定は未定って、何なんです?」
サム 「お前、そういうのは得意じゃねえかよ」
つか、無計画では動かねえだろ、とサム君の指摘。
サム 「何をやるにも、先の先まで読む筈だぜ?」
ジョミー「だよねえ、宿題とかにしたって…」
スウェナ「順番を決めて、着々とやるタイプでしょ?」
シロエ 「その通りですよ、もう昔から、ソレですね」
長い付き合いですから、よく知ってます、とシロエ君。
シロエ 「ぶっつけ本番とかは、有り得ないんですよ」
キース 「いや、そんなことはないが…」
ジョミー「咄嗟に対応出来るってだけで、本音はさあ…」
想定外は避けたいってヤツ、とジョミー君も。
ジョミー「アドリブは出来ても、やりたくない、って」
サム 「うん、まさにソレな!」
キース 「まあ、そうだが…」
シロエ 「ほらね、細かく計画を立てる人ですってば」
なのに予定が未定だなんて…、とシロエ君のツッコミ。
シロエ 「冗談だとしか思えませんけど?」
キース 「本当なんだ!」
サム 「んじゃ、予定表は、どうなってんだよ?」
未定って書いてあるのかよ、とサム君の問い。
サム 「月参りとかを書いてる手帳に、未定ってか?」
キース 「そうは書かんが、今の時点では…」
白紙なんだ、とキース君。
キース 「俺だって、出来れば、其処はだな…」
シロエ 「山の別荘、と書きたいんですか?」
キース 「それが理想というヤツなんだが…」
生憎と今は、合宿までしか…、とブツブツブツ。
キース 「合宿から戻った時に、どうなっているか…」
シロエ 「分からない何かがあるわけですか?」
キース 「この目で見ないと、本当にどうにも…」
ジョミー「もしかして、生き物?」
キース 「生きているのは間違いないな」
それだけに、とても厄介で…、と言ってますけど。
生き物ですか…?
2022/07/02 (Sat)
☆うるさい生き物
じきに夏休みなシャン学メンバー、終業式が済めば自由。
生徒会長宅で夏休みの計画中で、山の別荘という話な今。
ジョミー「厄介って、どんな生き物なわけ?」
シロエ 「とても我儘なんですか?」
キース 「我儘な上に、頑固なんだが…」
ついでにうるさい、とキース君が顰める顔。
キース 「朝早くから、もう、ギャーギャーと…」
サム 「俺、何か分かった気がするぜ」
シロエ 「ぼくもです。確かに厄介かもですね…」
キース先輩の場合、住環境はいいですけど、とシロエ君。
シロエ 「住宅街だと、近所から文句が出るんですよね」
サム 「うるせえからなあ…」
スウェナ「何なのよ、ソレ?」
ジョミー「アレかな、ウシガエルってヤツかな…」
凄くうるさいらしいよね、とジョミー君が傾げる首。
ジョミー「ぼくは、聞いたことないんだけどさ」
マツカ 「今は規制が厳しいらしいですからね…」
ジョミー「規制って?」
マツカ 「アレです、特定外来種ですよ」
移動が禁止されてるんです、とマツカ君の解説。
マツカ 「ですから、発見してもですね…」
スウェナ「持って帰ったりは出来ないのよね」
ジョミー「あー…。それで、その辺にいないんだ?」
だけどキースは飼ってるわけ、とジョミー君の問い。
ジョミー「元老寺の池にもいたっけ、アレ?」
マツカ 「いえ、鳴き声を聞いた覚えは無いですね」
スウェナ「まさか、何処かから持って帰って…」
飼っているんじゃないでしょうね、とスウェナちゃん。
スウェナ「御禁制のヤツよ、御法度なのよ?」
キース 「何故、ウシガエルを飼わねばならん!」
シロエ 「そうですよ。仮定からして間違ってます」
勝手に決め付けないで下さい、とシロエ君、苦い顔付き。
シロエ 「思い込みで話を進めるのはですね…」
サム 「良くねえんだぜ?」
ジョミー「ウシガエルだと思ったんだけど…」
キース 「誤解だ!」
御禁制のブツなど飼わん、と反論ですけど。
じゃあ、何だと…?
2022/07/03 (Sun)
☆決め付けはダメ
もうすぐ夏休みなシャン学メンバー、残るは終業式だけ。
生徒会長宅で夏休みの計画、山の別荘へ行く日が問題で。
ジョミー「よく考えたら、キースは真面目だったっけ…」
サム 「そうだぜ、御禁制のブツを飼うわけねえだろ」
シロエ 「まったくです。物事は、きちんと考えないと」
ドツボにはまりますからね、とシロエ君の注意が。
シロエ 「何か仮説を立てるにしても、筋道をですね…」
スウェナ「考えるのが鉄則だったわねえ…」
ジャーナリスト失格だったわ、とスウェナちゃん、猛省。
スウェナ「シロエもサムも分かってるのに、って…」
シロエ 「焦り過ぎちゃったわけですか…」
スウェナ「そうなの、ホントに大失敗よ」
ジョミーの口車に乗っちゃうなんて…、と嘆き節。
スウェナ「自分で考えるべきだったわね」
ジョミー「ぼくの口車って、酷すぎない!?」
サム 「でもよ、ウシガエルって言ったじゃねえかよ」
シロエ 「そうです、ほぼほぼ、決め付けでしたね」
アレはダメです、とシロエ君、キッパリ。
シロエ 「テストだったら、点は無いですよ?」
サム 「うんうん、まるで間違いだしよ…」
そりゃあ確かにうるせえけどよ、とサム君も。
サム 「けどよ、キースは朝早くから、って…」
シロエ 「言ってましたよ、其処も大事なポイントです」
ウシガエルの朝は早いんですか、とシロエ君。
シロエ 「ぼくも詳しくは知りませんけど…」
マツカ 「暗い時の方が、よく鳴くカエルらしいですよ」
噂に聞いただけですけどね、とマツカ君の説明。
マツカ 「昼間も、鳴くそうですけれど…」
サム 「朝ってイメージ、ねえヤツだしな?」
よく考えて発言しろよ、とサム君も。
サム 「朝早くからうるせえトコが、問題なんだよ」
シロエ 「近所迷惑ってヤツなんですよね…」
ジョミー「あー、元老寺だと、広いから…」
シロエ 「外まで届かないんです」
でも住人にはうるさいわけで、と納得な話。
まあねえ…。
2022/07/04 (Mon)
☆最初からいました
じきに夏休みなシャン学メンバー、終業式を残すだけで。
生徒会長宅で夏休みの計画、マツカ君の山の別荘を希望。
ジョミー「朝早くから騒がしいのは、キツイよね…」
シロエ 「嫌でも起こされちゃいますから…」
サム 「近所から苦情が出ちまうんだよ、住宅街だと」
御近所の人は、たまらねえしな、とサム君が顰める顔。
サム 「日が出た途端に、やかましいんだぜ?」
シロエ 「しかも、朝で終わりじゃないですからねえ…」
サム 「何かってえと、騒ぐらしいよなあ…」
俺は飼ったことねえんだけどよ、とサム君の言。
サム 「シロエは、経験あるのかよ?」
シロエ 「無いですね。飼うような理由も無いですし…」
そもそも何処で売ってるんです、とシロエ君の問い。
シロエ 「キース先輩、誰かに貰ったんですか?」
キース 「最初から、家にいやがったんだが?」
物心つく前からな、とキース君の仏頂面。
キース 「あっちの方が、俺より偉くて当然だろうが!」
シロエ 「…いましたっけ?」
サム 「知らねえ、マジで気付かなかったぜ」
元老寺って広いしなあ、とサム君、お手上げのポーズ。
サム 「よく考えたら、裏山も全部、そうだしよ…」
シロエ 「あー…。あそこで放し飼いですか…」
それだと確かに気付かないかも、とシロエ君。
シロエ 「そうなると、卵が美味しそうですね」
ジョミー「卵って…。そうか、ニワトリだったんだ?」
サム 「今頃、気付いたのかよ、お前…」
まあ、ウシガエルなヤツだしな、とサム君、苦笑。
サム 「朝からうるせえわけだろ、マジで」
ジョミー「うん…。でもって、キースが…」
スウェナ「世話をしているわけね」
合宿から戻ったら忙しいのね、とスウェナちゃん。
スウェナ「留守の間に、どうなってるかが問題で…」
シロエ 「恐らく、放置でしょうからね…」
ジョミー「野良ニワトリになってるかもね…」
一日で世話が終わらないかも、という声が。
そうかも…。
2022/07/05 (Tue)
☆古株だそうです
もうすぐ夏休みなシャン学メンバー、残るは終業式だけ。
生徒会長宅で夏休みの計画、マツカ君の別荘行きの話で。
サム 「生き物だけに、見るまで分からねえもんな…」
ジョミー「卵を拾い集めるトコからなのかな?」
シロエ 「いえ、宿坊があるんですから、卵はですね…」
毎朝、拾われていそうですよ、とシロエ君の指摘。
シロエ 「縛りの緩い宿坊ですしね、朝御飯用に」
スウェナ「そうねえ、卵焼きとか、卵かけ御飯とか…」
マツカ 「集める係が、決まっていそうな感じですね」
朝一番に拾いに行く当番が…、とマツカ君も。
マツカ 「放置じゃ、もったいないですから」
ジョミー「あー…。するとキースの仕事って、何?」
サム 「放し飼いなら、餌は要らねえかな?」
シロエ 「そうですね。すると鳥小屋の掃除でしょうか」
それは放ってありそうですよ、とシロエ君。
シロエ 「でも、鳥小屋は要りますからねえ…」
サム 「あの山、イノシシが出るらしいしなあ…」
ジョミー「イノシシって、ニワトリ、食べるのかな?」
スウェナ「どうかしら? だけど、イタチは食べるわよ」
イノシシがいるならイタチだって、という声が。
スウェナ「鳥小屋が無いと、危険だものねえ…」
シロエ 「その鳥小屋の掃除ってヤツが、問題ですか…」
汚れの程度は、見てみないと…、とシロエ君の溜息。
シロエ 「一時間あれば片が付くのか、無理なのか…」
サム 「それ次第ってことな、キースの予定は」
まあ、頑張れよ、とサム君、キース君の肩をポン、と。
サム 「酷く汚れてねえことを祈るぜ」
キース 「俺はニワトリとは言っていないが?」
シロエ 「じゃあ、何なんです?」
いったい何を飼ってるんです、とシロエ君の問い。
シロエ 「キース先輩より、古いんですよね?」
キース 「もう、とんでもない古株だが!」
ジョミー「でもって、朝からうるさいんだよね?」
サッパリ謎だ、と誰もが首を捻ってますけど。
何だと…?
2022/07/06 (Wed)
☆増えまくる仕事
じきに夏休みなシャン学メンバー、終業式が済めば自由。
生徒会長宅で夏休みの計画中で、山の別荘の日程が問題。
シロエ 「キース先輩よりも古株って、何でしょう?」
サム 「朝からうるせえけど、ニワトリじゃねえし…」
ジョミー「ウシガエルも違うって言われたしね…」
キース 「お前たち、本当に分からないのか?」
正解は一つしか無いだろうが、とキース君の仏頂面。
キース 「親父の他に、何がいると言うんだ!」
一同 「「「えっ!?」
ソレか、と一同、瞬時に納得。
シロエ 「確かに、思いっ切りの古株ですね…」
サム 「うるせえっていう点も、間違いねえよな」
スウェナ「お寺の朝は、早いものねえ…」
朝からうるさくて当然だわよ、とスウェナちゃんも。
スウェナ「しかも一日、うるさそうだし…」
ジョミー「ニワトリとウシガエルを足した感じだよね」
キース 「不吉なことを言わないでくれ!」
パワーアップしたらどうしてくれる、とキース君。
キース 「そんなパワフルな生き物は要らん!」
シロエ 「もう充分に間に合ってますか?」
キース 「とうの昔に、パワーMAXだ!」
お蔭で俺の仕事が増えて…、と副住職の深い溜息。
キース 「親父が遊びに出掛ける度に、ノルマがだな…」
一同 「「「ノルマ?」」」
キース 「親父は夜まで遊びまくって、次の日の朝に…」
俺の部屋の前にメモがあるんだ、とブツブツブツ。
キース 「卒塔婆の追加を書き殴ったヤツが!」
一同 「「「あー…」」」
お盆に向けて書くヤツだった、と誰もが理解した風物詩。
シロエ 「遊んで、書けなかった分なんですね?」
キース 「そういうことだ」
俺が家にいてもソレなんだぞ、とキース君が顰める顔。
キース 「合宿に出掛けて、いないとなったら…」
ジョミー「遊びまくりだよね…」
シロエ 「メモが増えていくわけですか…」
キース 「そうなるな」
親父が遊んだ分だけ増える、と嘆き節が。
嫌すぎるかも…。
2022/07/07 (Thu)
☆アナログが問題
もうすぐ夏休みなシャン学メンバー、終業式を残すだけ。
生徒会長宅で夏休みの計画、山の別荘行きが問題でして。
シロエ 「帰ってみないと、メモは分かりませんしね…」
ジョミー「LINEにしてくれればいいのにね…」
それなら合宿中でもオッケーなのに、とジョミー君。
ジョミー「柔道部の合宿、スマホは禁止じゃないんだし」
キース 「一応、禁止になってはいるが?」
サム 「マジかよ、修行道場並みかよ!?」
シロエ 「いえ、そこまでは…。練習の間だけですよ」
練習が終われば使えますし、とシロエ君の説明が。
シロエ 「ただし、食事中はダメですけどね」
ジョミー「厳しいね、ソレ…」
マツカ 「柔道は心身の鍛錬が大切ですから…」
キース 「ついでに礼儀も重視するしな」
教頭先生も一緒の食事ではダメだ、とキース君、補足。
キース 「目上の人の前でスマホは、社会的にだ…」
シロエ 「あまり良くないらしいですしね」
マツカ 「そうですね。必要な時は許されますけど…」
それ以外では控えますね、と御曹司も。
マツカ 「とはいえ、ぼくたちは高校生ですし…」
シロエ 「お坊さんでもありませんから、そこそこの…」
自由はあるのが合宿中のスマホライフです、とシロエ君。
シロエ 「LINEも出来ると思いますけど…」
キース 「あの親父の首に、鈴をつけられるのか?」
お前だったら出来るのか、とキース君の問い。
キース 「親父とLINEは、そういうことだぞ」
ジョミー「えーっと…。読んでは貰えないのかな?」
キース 「当然だろうが、既読スルー以前の問題だ!」
ヤバそうなブツは未読で放置だ、とキース君。
キース 「今の時期なら、もう永遠に未読だな」
シロエ 「文句に決まっているからですね…」
シーズン的に、とシロエ君、相槌。
シロエ 「自分で書け、と言われそうですし…」
キース 「面と向かっては言えないが…」
怖くて無理だがLINEなら、という話。
それは確かに…。
2022/07/08 (Fri)
☆アナログが一番
じきに夏休みなシャン学メンバー、終業式が済めば自由。
生徒会長宅で夏休みの計画、山の別荘へ行く相談でして。
ジョミー「だけど、LINEって言い出せないんだ?」
キース 「あの親父だぞ? 親父に鈴はつけられるが…」
逆に、俺にも鈴がつきそうでな、とキース君の眉間に皺。
キース 「今の時期だと卒塔婆の件で、俺が有利だが…」
シロエ 「季節が変わると、不利なんですか?」
キース 「なにしろ、書き逃げ出来るからな…」
任せた、と送って来やがりそうだ、と肩を竦める人。
キース 「月参りに雑用、ついでに買い出しとかまでな」
一同 「「「あー…」」」
繋がっていると、そうなるな、と誰もが納得。
ジョミー「ヤバイね、ソレ…」
サム 「キースの場合は、未読で放置出来ねえし…」
シロエ 「既読スルーとかは論外ですよね…」
キース 「当然だろうが、今以上にこき使われるのが…」
見えているぞ、とキース君、フウと溜息。
キース 「そういう事情で、親父とはアナログが一番だ」
スウェナ「そうねえ、メモの置き逃げは困るけど…」
シロエ 「今だけのことなら、我慢するのが吉ですよね」
下手にLINEで繋がるよりも…、とシロエ君も。
シロエ 「じゃあ、マツカ先輩の山の別荘行きは…」
キース 「悪いが、合宿が終わった翌日というのは…」
避けたいんだ、とキース君、申し訳なさそうな顔。
キース 「数によっては、別荘でも書くことになるが…」
サム 「少しは片付けて行きてえのな?」
キース 「俺も心に余裕が欲しいし…」
ジョミー「そうだね、卒塔婆書きは誰も手伝えないし…」
無資格だしさ、とジョミー君。
ジョミー「ブルーだったら、手伝えるけど…」
ブルー 「お断りだね、バイト料が出るならともかく」
シロエ 「そうですよねえ…」
サム 「資格のあるヤツ、他には誰もいねえしよ…」
キース 「いや、その前提はだな…」
正確には間違っているんだが、と言ってますけど。
何処が…?
2022/07/09 (Sat)
☆裕福なお寺だと
もうすぐ夏休みなシャン学メンバー、残りは終業式だけ。
生徒会長宅で夏休みの計画、マツカ君の山の別荘行きで。
シロエ 「間違ってるって、何処がです?」
キース 「資格がどうこうという部分だが?」
サム 「でもよ、卒塔婆って、坊主の資格がねえと…」
書けねえんだろ、とサム君の問い。
サム 「だからお盆の前になるとよ、あちこちでよ…」
スウェナ「地獄になるって聞いてるわよねえ…」
シロエ 「そうですよ、坊さんあるあるとかで」
今年もこんなに書くんです、って嘆き節が、とシロエ君。
シロエ 「卒塔婆の山とか、ツイッターの名物ですけど」
キース 「確かに、何処も地獄なんだが…」
裕福な寺は事情が違うぞ、と副住職が繰る数珠レット。
キース 「何と言っても、世の中、金だ」
サム 「あー…。卒塔婆プリンターっていうヤツな…」
ジョミー「でもさ、元老寺ではダメなんだよね?」
プリンターを買うお金があっても…、とジョミー君。
ジョミー「アドス和尚は、手書きにこだわるらしいし…」
シロエ 「ですよね、卒塔婆プリンターが高くても…」
夜遊びを控えれば買えそうですよ、とシロエ君も。
シロエ 「それにローンも組めるでしょうし…」
キース 「違う、問題は其処じゃない」
今は資格の話だろうが、と副住職の軌道修正。
キース 「いいか、裕福な寺の場合は、事前にだな…」
ジョミー「何か打つ手があるってわけ?」
キース 「御用聞きがやって来るんだが?」
一同 「「「御用聞き?」」」
何だソレは、と誰もがキョトン。
シロエ 「えっと…? それはお店になるんでしょうか」
キース 「御用聞きだけに、そうなるな」
卒塔婆専門の店なんだが…、と副住職。
キース 「今年は何本ほどでしょうか、と来るわけだ」
サム 「納める卒塔婆の数だよな、ソレ?」
キース 「もちろんそうだが、その他に…」
シロエ 「まだ何か?」
あるんですか、とシロエ君が傾げる首。
御用聞きですよね?
2022/07/10 (Sun)
☆外注だそうです
じき夏休みなシャン学メンバー、終業式が終われば自由。
生徒会長宅で夏休みの計画、山の別荘行きの日程でして。
シロエ 「御用聞きですから、仕事の話ですよね?」
キース 「当然、そうだが?」
サム 「納める卒塔婆の素材とかかよ?」
国産か、そうじゃねえヤツか…、とサム君の問い。
サム 「今は輸入品だって、前に聞いたけどよ…」
シロエ 「こだわる人だと、国産品の特注とかも…」
ジョミー「あるかもだよねえ、材木はあるしさ」
スウェナ「そうねえ、豪華に国産のヒノキでいくとか」
高そうだけど、とスウェナちゃんも。
スウェナ「そういう細かい相談かしら?」
キース 「いや、それもあるかもしれないが…」
もっと基本のオプションが…、と副住職。
キース 「専門店ならではのヤツでだな…」
シロエ 「サービスじゃなくて、オプションですね?」
キース 「ああ。つまり、有料になるんだが…」
だから裕福な寺が顧客で…、と副住職の説明が。
キース 「貧乏寺では、手も足も出ないヤツだしな」
シロエ 「そんなに高いヤツなんですか?」
キース 「らしいぞ、プロに外注だけに」
一同 「「「プロ!?」」」
プロか、と生徒会長に視線が集中。
シロエ 「会長みたいな人ですか?」
サム 「資格を持ってて、高僧ってヤツな?」
マツカ 「確かに、高僧だったら暇ですよね」
自分のお寺を持っていても…、とマツカ君。
マツカ 「大勢の人がいるわけですから、お盆前でも…」
サム 「下っ端の坊主が書くよな、卒塔婆…」
ジョミー「そういう人に外注かあ…」
スウェナ「高くなっても仕方ないわね」
プロ中のプロというヤツか、と誰もが納得。
シロエ 「裕福なお寺だと、それを注文するわけですね」
サム 「代わりに書いて貰うのな…」
キース 「それはそうだが、今は資格の話だぞ?」
シロエ 「えっと…?」
キース 「だから、資格だ」
卒塔婆書きの…、と言ってますけど。
プロ中のプロですよね?
2022/07/11 (Mon)
☆資格が無くても
もうすぐ夏休みなシャン学メンバー、終業式を残すだけ。
生徒会長宅で夏休みの計画、マツカ君の山の別荘が目的。
シロエ 「高僧だったら、当然、資格はありますよね」
サム 「住職の資格がねえと、高僧は無理だぜ」
ジョミー「卒塔婆も書けるわけだよねえ…」
キース 「俺が言うのは、其処の所だ」
外注先は高僧じゃない、と副住職。
キース 「プロはプロでも、書家なんだが?」
一同 「「「は?」」」
キース 「書家と言ったら、書道家だろうが!」
書道のプロというヤツだ、とキース君の説明が。
キース 「そのプロに、卒塔婆を外注するんだ」
シロエ 「…書道家ですか?」
サム 「もちろん、資格持ちだよなあ?」
キース 「書道の方では、そうなるだろうな」
プロなんだから、とキース君。
キース 「だが、住職の資格は、無いと思うぞ」
一同 「「「ええっ!?」」」
無資格なのか、と一同、仰天。
ジョミー「ちょ、そんな人が書いていいわけ!?」
サム 「素人同然じゃねえかよ、ソレ!」
キース 「本当の意味で、素人が書く場合もだな…」
存在すると知っていたか、とキース君、ニヤリ。
キース 「いわゆる、学生バイトなんだが」
一同 「「「学生?」」」
キース 「仏教系の大学に行くと、普通にあるぞ」
季節になると募集される、と卒業生の見て来た世界。
キース 「坊主向けの学科に限らなくても…」
サム 「そのバイト、やっていいのかよ?」
キース 「字さえ上手ければ、即、採用だ」
そして卒塔婆を書くわけでな、とニヤニヤニヤ。
キース 「つまり資格は、一切、要らない」
ジョミー「お金次第かあ…」
バイトを雇うのもアリなんだ、とジョミー君。
ジョミー「じゃあさ、手書きにこだわるアドス和尚も…」
キース 「許すだろうな、金は出さんが」
シロエ 「タダじゃ、バイトは来ませんよ?」
キース 「そうなんだが…」
資格は無くていいわけで…、と言ってますけど。
えっと…?
2022/07/12 (Tue)
☆書道が出来れば
夏休みが近いシャン学メンバー、終業式が終われば自由。
生徒会長宅で夏休みの計画、マツカ君の山の別荘行きで。
キース 「いいか、坊主の資格が無くても書けるんだ」
シロエ 「そうでしょうけど、学生バイトは…」
ジョミー「タダじゃ、絶対、来てくれないよ?」
ボランティアじゃないんだからさ、とジョミー君も。
ジョミー「アドス和尚が、お金を出さない以上はさ…」
サム 「夢で終わりだぜ、その話はよ」
キース 「終わらせる前に、一つ聞きたいんだが…」
お前たちにな、とキース君がグルリと見回す部屋。
キース 「質問してもいいだろうか?」
シロエ 「かまいませんけど、改まって何なんです?」
キース 「書道を習ったヤツは、名乗って欲しいんだが」
一同 「「「げっ!」」」
ソレはヤバいヤツ、と誰もが引き攣った顔。
シロエ 「…書道ですか?」
キース 「習字でもいいぞ、小学生の時でもいい」
習ったヤツは…、とキース君、目がマジ。
キース 「最低でも、一人はいる筈なんだが…」
サム 「あー、マツカな…」
御曹司には必須のスキルだよな、と頷くサム君。
サム 「マツカ、どうなんだよ?」
マツカ 「否定はしません…」
キース 「よし、一人ゲット!」
一同 「「「うっ…」」」
やっぱりソレか、と一同、ガクブル。
シロエ 「ま、まさか、マツカ先輩にですね…」
サム 「書かせようっていうのかよ!?」
キース 「マツカは断らないと思うぞ」
マツカ 「そうですね…。ぼくでお役に立てるなら…」
手伝いますけど、と素直すぎる人。
マツカ 「他の皆さんは、如何ですか?」
サム 「無理、無理、無理!」
俺の字、めっちゃ下手クソだしよ、とサム君の逃げ。
サム 「マジでセンスがねえってヤツで!」
ジョミー「ぼくも、全然ダメだから!」
シロエ 「ぼくにも無理です!」
キース 「素直に申告した方がいいぞ?」
嘘は許さん、と冷ややかな眼差しですけど。
本当なのでは…?
2022/07/13 (Wed)
☆才能だそうです
もうすぐ夏休みなシャン学メンバー、終業式を残すだけ。
生徒会長宅で夏休みの計画、山の別荘行きの相談でして。
キース 「…本当か? 本当に字が汚い、と?」
シロエ 「そ、そうです、自慢じゃないですけど!」
ジョミー「手本通りになんか、書けっこないし!」
キース 「今、お手本と言わなかったか?」
「お」の字はついていなかったが、と副住職の鋭い視線。
キース 「お前、習っていただろう!」
ジョミー「違うよ、それは学校のヤツで!」
サム 「あるじゃねえかよ、書道の授業が」
スウェナ「そうよ、お習字セットを買わされるでしょ?」
私もやったわ、とスウェナちゃんの助け舟。
スウェナ「でもダメなのよ、ジョミーと同じ結末よね」
シロエ 「なんて言うか、こう、筆がですね…」
上手く動かせないんですよ、とシロエ君も。
シロエ 「機械弄りとは違うようです、アレは」
サム 「やっぱ、センスっていうヤツだよなあ…」
マツカ 「最初から上手い人はいますね、確かに」
能力の問題らしいですけど、とマツカ君が傾げる首。
マツカ 「何と呼ぶのか忘れましたが、生まれつきで…」
ジョミー「赤ん坊でも上手いわけ?」
マツカ 「いえ、そこまではいきませんけど…」
目で見た通りに書けるそうです、とマツカ君。
マツカ 「そのように、腕を動かせるらしいですよ?」
シロエ 「器用さとは別の次元で、ですか?」
マツカ 「ええ。ですから、絵を描くのも上手いとか」
アニメのキャラとかを、そっくりに…、という話。
マツカ 「一種の才能というヤツでしょうね」
??? 「なるほどねえ!」
興味深いよ、とソルジャー(会話表記はAブルー)登場。
Aブルー「なになに、字を書く才能がどうしたって?」
キース 「あんた、何処から湧いたんだ!」
Aブルー「青の間からだよ、暇だったから覗いてさ…」
キース 「来てみた、と?」
Aブルー「そう!」
字が上手だと何かあるわけ、と聞いてますけど。
えっと…?
2022/07/14 (Thu)
☆字が上手いなら
じきに夏休みなシャン学メンバー、終業式が済めば自由。
生徒会長宅で夏休みの計画、マツカ君の山の別荘行きで。
Aブルー「是非、知りたいねえ、詳しい話を!」
キース 「あんたには関係無いと思うが?」
何の役にも立たんだろうが、とキース君、バッサリ。
キース 「字が上手いとも思えんからな」
Aブルー「失礼だねえ!」
キース 「では、上手いのか?」
筆でサラサラと書けるのか、とキース君の問い。
キース 「筆ペンで書くのは、節分の絵馬で見ているが」
Aブルー「えっと…。筆は経験無いよね、うん」
やってみないと分からないけど、とソルジャーの返事。
Aブルー「だけど、下手とは限らないよ?」
シロエ 「キース先輩、チャンスです!」
例の才能があるかもですよ、とシロエ君が指差す乱入者。
シロエ 「もしもあったら、使えますってば!」
キース 「そうだな…。あんた、絵は上手なのか?」
真似は上手いか、とキース君、ソルジャーに質問。
キース 「見た通りの絵が描けるだろうか?」
Aブルー「うーん、どうかな…」
シロエ 「キース先輩、ここは試しに筆でですね…」
何か字を書いて貰いませんか、とシロエ君。
シロエ 「上手く書けたら、御招待ですよ!」
Aブルー「御招待?」
何処に、とソルジャーが乗り出す膝。
Aブルー「食事の予定でもあるのかい?」
マツカ 「いえ、お食事の方も、もちろんですけど…」
シロエ 「マツカ先輩の、山の別荘ですよ!」
キャプテン抜きなら来られますよね、とシロエ君の言。
シロエ 「お一人だけで如何ですか?」
マツカ 「喜んで、お招きさせて頂きますよ」
Aブルー「本当かい?」
上手く書けたら行っていいわけ、と赤い瞳がキラキラと。
Aブルー「美味しい食事に、ボート遊びに…」
シロエ 「乗馬なんかも楽しめますよ、ハイキングも」
ジョミー「涼しいしさ…」
Aブルー「いいねえ、ソレ!」
お邪魔したいよね、と来る気満々ですけど。
字の腕前は…?
2022/07/15 (Fri)
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