☆引き摺る九月
十月がやって参りました。
長かった残暑もやっと落ち着き、爽やかな季節の到来でございますが…。
ブルー 「あーあ、本当にジョミーときたら…」
シロエ 「とうとう一日もやりませんでしたねえ、記憶力アップの秘法」
キース 「そもそも最初から無理だろう。こいつに虚空蔵求聞持法は」
サム 「だよなあ、いくら二度とお経を忘れねえって言われてもなぁ」
マツカ 「百日缶詰ですもんねえ…」
スウェナ「だけど一日くらいはチャレンジしたって良かったのに」
ジョミー「嫌だよ、ぼくには絶対無理!」
ブルー 「虚空蔵菩薩様の御真言を覚えられない段階で失格だけど…」
お経本を見ながら棒読みでいいから一日くらい、と嘆く生徒会長。
虚空蔵求聞持法と書いて、「こくぞうぐもんじほう」 と申します。
御真言を百日かけて百万回唱えればどんなお経も忘れないとか。
ブルー 「せめて一日やり抜いてみれば、記憶力がアップしたかも…」
ジョミー「読むだけだって無理だってば! 舌を噛みそうだし!」
キース 「そうか? ごくごく簡単な部類だと思うが」
ブルー 「もっと長いのも必須なんだよ、お坊さんになるためにはさ」
キース 「棚経で俺が唱えていただろう? あれは欠かせん」
ジョミー「えっと…。どういうお経だったっけ?」
サム 「お経じゃねえよ、呪文みたいな陀羅尼だよな?」
ブルー 「そう、そう。流石サムだね、嬉しいよ」
ジョミー「…なんにも思い出せないんだけど…」
キース 「こういう馬鹿には虚空蔵求聞持法しか無いわけだが…」
ブルー 「月も変わったからやれとは言わない。でもさ…」
一回くらい唱えてみろ、と生徒会長が突き付けたのはお経本。
ブルー 「とにかく一度やってみたまえ。ダメで元々」
ジョミー「ちょ、こんなの! 意味不明だし!」
ブルー 「いいから、早く」
ノウボウ アキャシャ キャラバヤ オン アリ キャマリボリ ソワカ。
これが御真言らしいのですけど、ジョミー君は唱えられるでしょうか?
2012/10/01 (Mon)
☆お坊さんと荒行
重陽の節句に出掛けたお寺で、記憶力アップの秘法を聞いたジョミー君。
虚空蔵菩薩様の御真言を百万回も唱えろと言われ、当然の如く敵前逃亡。
しかし…。
ブルー 「師僧の命令は絶対なんだよ。さっさと唱える!」
ジョミー「うえ~…」
ブルー 「うえ~、じゃないっ! 御真言はこれ!」
お経本に書かれた意味不明な御真言を一度は読め、と迫られまして。
ジョミー「の、のうぼう……あきゃ、きゃ?」
キース 「アキャキャと来たか…。そこは、アキャシャだ」
ブルー 「やり直し!」
ジョミー「うー…。のうぼう、あきゃきゃ」
サム 「アキャキャで定着したみたいだぜ?」
ブルー 「分かった、もういい。それ以上やると虚空蔵菩薩様に失礼だ」
キース 「どうも根っから無理なようだな。本当に坊主になれるのか?」
ブルー 「さあねえ…。ぼくたちの宗派に記憶力アップの秘法は無いし」
ジョミー「えぇっ、アレって他所のだったの?」
ブルー 「そうだけど…。君がいつまでも覚えなければ強制する」
ジョミー「そ、そんなぁ…」
キース 「俺も詳しいことは知らんが、キツイらしいぞ」
ブルー 「本式にやるとなったら塩断ちもあるし、頑張るんだね」
サム 「塩断ちかよ? それって身体にヤバくねえか?」
ブルー 「さあ…。人によっては鼻血が出たりもすると聞くけど」
ジョミー「む、無茶だってば!」
百日間の缶詰だけでも大概なのに、加えて塩断ち。
虚空蔵求聞持法、かなりの荒行のようでございます。
ブルー 「これでもマシな方なんだよ。世の中、もっとキツイのもある」
シロエ 「そうなんですか?」
ブルー 「恵須出井寺の最難関のヤツだと不眠不休で御真言を十万回」
キース 「アレだな、生き葬式とかいうヤツだな」
ジョミー「生き葬式…?」
ブルー 「なにしろ生きて出られるかどうか分からないしね」
サム 「なんだよ、それ…」
荒行どころか生き葬式。
上には上があるようですけど、ジョミー君にはまず無理でしょうねえ…。
2012/10/02 (Tue)
☆お坊さんと体力
拍手ありがとうございました!
百日間の缶詰どころの騒ぎではなく生き葬式。
生徒会長も修行した恵須出井寺には、とんでもないモノがあるようで…。
ジョミー「い、生きて出られるかどうかって……それも缶詰?」
ブルー 「お堂の中に九日だけど、深夜の2時には外へ出る決まり」
シロエ 「それが休憩タイムですか?」
ブルー 「違うね、お堂の不動明王様に供える水を汲みに行くんだ」
サム 「不眠不休の間にかよ?」
ブルー 「そうだよ、おまけに断食、断水。当然、最後の方はフラフラ」
ジョミー「だ、断食…」
キース 「断水の方がキツイだろうな。九日間だぞ」
ブルー 「終わりの方ではウガイが出来るとは聞いたけどねえ…」
スウェナ「ホントに死んじゃう人もいそうね」
ブルー 「だから生き葬式って言うんだよ。身体から死臭が漂うらしい」
サム 「半端ねえなあ…」
シロエ 「お坊さんの世界って、けっこう体力要りそうですね」
キース 「俺たちの宗派は甘い方だが、修行中のノリは体育会系だしな」
古参のお坊さんが指導と称して殴る、蹴るもアリだそうでございます。
ブルー 「同じ体育会系でも柔道部の方がまだマシだろうね」
キース 「柔道部も礼儀作法は厳しく言われるが、修行よりはな…」
サム 「俺も鍛えといた方がいいのかな? 修行するなら」
ブルー 「荒行は無いから必要ないよ。普通に運動してれば充分」
シロエ 「体育の授業もありますもんね」
ジョミー「そ、そっか…。体育の授業に出てればいいんだ?」
キース 「お前の場合は心配は其処じゃないだろうが!」
ブルー 「体力バカではダメなんだよ。お経が大切なんだからさ」
ジョミー「だけど体力も必要だよね? ぼくが鍛えるならそっちから!」
思い切り逃げを打ったジョミー君。
お坊さんの世界を逆手に取って、まずは体力らしいです。
ジョミー「あ、そういえば…。今年は運動会は無いわけ?」
去年は休日にやったよね、と言われてみればそのとおり。
あれも十月でしたけれども、今年はどうなる?
2012/10/03 (Wed)
☆今年も運動会
お坊さんの世界は体力も必須。
まず鍛えるなら体力から、と逃げを打つジョミー君が思い出したものは。
キース 「運動会か。去年、確かにやっていたな」
サム 「先生チームに負けちまったけどな。ぶっつけ本番だったし」
スウェナ「全校ダンスでジョミーが燃えていたのよね?」
ジョミー「違うよ、ぼくが全校ダンスをマスターするのが条件で!」
あっ、と声を上げるジョミー君。
ジョミー「も、もしかして、ぼくがダンスを練習しないから無しとか?」
シロエ 「そうかもしれません。自発的にやれということで」
キース 「有り得るな。お前のせいで無いんじゃないか?」
ジョミー「や、やっぱり…?」
マズイ、と周囲を見回すジョミー君ですが。
ブルー 「残念ながらハズレだね。今年は内輪でやる予定なんだ」
全員 「「「内輪?」」」
ブルー 「ハーレイの日のスカイダイビングが馬鹿ウケしてさ…」
ぶるぅ 「お祭りはみんなでやりたいんだって!」
マツカ 「それで運動会ですか?」
ブルー 「ついでにハロウィンもセットなんだよ」
キース 「な、何なんだ、それは?」
シロエ 「仮装つきの運動会になるんでしょうか?」
サム 「悪戯つきってことじゃねえのか?」
ジョミー「両方かも…。でもって、ダンスをやらされるのかも…」
ブルー 「そんなにダンスをやりたいんなら止めないよ?」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ダンス、大好き!」
また『かみほー♪』で踊らせてよ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
瞳がキラキラしております。
ぶるぅ 「去年のダンスも楽しかったし、また踊りたいな♪」
サム 「御指名だぜ、ジョミー。今度は中継つきじゃねえのか?」
キース 「仲間内でやるんだったらそうだろうな。まあ、頑張れ」
ブルー 「それじゃ提案しておこう。ダンスで開幕ということで」
ジョミー「ま、待ってよ、踊るとは言っていないし!」
降りかかってきたダンスの危機。
運動会はあるようですけど、内輪だけなら地味なんですかねえ?
2012/10/04 (Thu)
☆今年もダンス?
今年も開催されるらしい運動会。
ただしサイオンを持つ仲間だけでやる運動会で、ハロウィンもセットで。
ジョミー「ダンスで開幕って言われてもさ! 意味が分からないよ!」
ブルー 「そのまんまだろう、ダンスで開幕するだけさ」
ジョミー「そうじゃなくって、ハロウィンつきとかそういうのが!」
ブルー 「ああ、その辺は……追い追い分かって来るんじゃないかな?」
ぶるぅ 「えっとね、今は準備中なの!」
全員 「「「準備中?」」」
ブルー 「そう、色々と下準備が要る。カボチャとかさ」
キース 「………。またカボチャの馬車をやらかすつもりか?」
シロエ 「あの馬車は強烈でしたよねえ…」
カボチャの馬車と言えば去年のハロウィン。
教頭先生とゼル先生がシンデレラの王子様の座を争って…。
サム 「お、思い出しちまった、教頭先生のメイク…」
ブルー 「好評だったね、そういえば。王子様っていうのもいいかも」
キース 「やめてくれ、あんたが何かを考えつくとロクなことが無い」
ブルー 「そうかなぁ?」
シロエ 「否定する理由は無いですね」
マツカ 「ぼくもです」
スウェナ「そうね、そういう傾向なのよね」
ブルー 「みんなメチャクチャ言うんだから…。酷いよね、ぶるぅ?」
ぶるぅ 「んーと、んーと…。あまりブルーを苛めないでね?」
キース 「それは逆だ、ぶるぅ。俺たちが苛められてる方だ」
ジョミー「そうだよ、さっきもダンスをしろって言われたし!」
ぶるぅ 「えぇっ、ダンスはしてくれるんでしょ?」
踊りたいもん、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
生徒会長がニヤニヤしております。
ブルー 「ダンスは決定みたいだねえ? 今年も頑張ってくれたまえ」
ジョミー「で、でも…。学校じゃないから全校ダンスは…」
ブルー 「かみほー♪ でダンスするんだろう? そこが大切」
あれは大事な歌なんだから、と生徒会長はパチンとウインク。
ジョミー君は今年も『かみほー♪』で踊りまくることに決定でしょうか?
2012/10/05 (Fri)
☆ダンスと荒行
運動会はダンスで開幕、と決めてかかっている生徒会長。
去年みたいに全校ダンスなら分かりますけど、仲間内でもダンスとは…。
ブルー 「いいかい、『かみほー♪』はシャングリラ号の歌なんだ」
キース 「らしいな、俺たちは知らなかったが」
ブルー 「ぼくが作った曲なんだよ? 実際はパクリみたいだけれど」
シロエ 「ソルジャーの世界の歌でしたよね」
サム 「すげえ話だよな、シャングリラ号の設計図もそうだし…」
マツカ 「昔から繋がりがあったんですねえ、あっちの世界と」
ジョミー「今じゃ迷惑ばっかりだけどね…」
キース 「シッ! うかつなことを口にすると来るぞ」
全員 「「「………」」」
来るというのはソルジャーのことでございます。
召喚したらもれなく迷惑、エライことになるのは間違いなしで。
ブルー 「直接会うまでは良好な関係だったのにねえ…」
ぶるぅ 「今はブルーのお友達だよ?」
ブルー 「それはそうかもしれないけどさ…。今回は困る」
キース 「あいつの存在は秘密だからな。で、ダンスはどうした」
ジョミー「ちょ、ちょっと! 藪蛇だってば!」
キース 「往生際の悪いヤツだな、ブルーが忘れると思うのか?」
ジョミー「ど、どうだろう…」
サム 「ブルーは忘れねえと思うぜ、いいアイデアは」
ブルー 「流石はサムだね、良く分かってるよ」
ジョミー「や、ヤバイ…」
ブルー 「話を元に戻そうか。『かみほー♪』は仲間内では有名」
知らない人はまずいない、と生徒会長はニッコリと。
ブルー 「だから全校ダンス以上に盛り上がるってば、踊るとなれば」
ジョミー「お、踊るわけ…?」
ブルー 「ぶるぅも思い切り期待してるし、景気良く頼むよ」
ジョミー「振り付けなんか、もう忘れたよ!」
ブルー 「また考えればいいだろう? 荒行よりかは楽勝なんだ」
ジョミー「あ、荒行……」
虚空蔵求聞持法だの、生き葬式だのと恐ろしい例が挙がった荒行。
それとダンスを比較するなら、ダンスに軍配?
2012/10/06 (Sat)
☆ダンスか、お経か
自分からネタを振ったばかりに、ダンスが降りかかって来たジョミー君。
荒行よりは楽勝だろう、と生徒会長は申しております。
ブルー 「どうしてもダンスは嫌だと言うなら、お経だね」
ジョミー「お経?」
ブルー 「今度こそ二度と忘れないレベルまで覚えて貰おう、基本のを」
キース 「こいつの頭じゃ無理なんじゃないか?」
サム 「頭は俺よりマシな筈だけど…。とことん向いていねえよな」
シロエ 「そこで荒行の出番になるんじゃないですか?」
スウェナ「今から百日缶詰だったら年を越してしまうわよ?」
ブルー 「ああ、その辺は大丈夫。五十日で済むコースもあるから」
マツカ 「それなら年内に終わりますね」
ブルー 「うん。一日に御真言を唱える回数が倍になるけど」
キース 「そういう仕組みか。百万回は必須なんだな」
ブルー 「それはもう…。そこは絶対譲れないよ」
ジョミー「ちょっと待ってよ、五十日って何さ!?」
ブルー 「百日よりはマシだろう? それでお経が覚えられるんだ」
ジョミー「ご、五十日なんて絶対無理だし! 死ぬし!」
ブルー 「だったら死ぬ気で基本のお経を覚えるかい?」
キース 「俺がビシバシ仕込んでやろうか?」
ブルー 「いいねえ、元老寺に住み込みでスパルタ式だね」
朝に勤行、昼間は学校、夕に勤行で他にも随時。
ジョミー君、思いっ切り坊主フラグが立とうとしているようで…。
ブルー 「アドス和尚にはぼくからもお願いしておこう」
キース 「それは親父が喜びそうだ。あんたの熱烈なファンだからな」
ジョミー「な、なんでそういう話になるわけ?」
ブルー 「荒行に頼らずにお経となれば、地道な努力が必要だよ」
キース 「心配しなくても飯は美味いぞ、塩断ちも要らん」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ イライザさんのお料理、美味しいよね!」
キース 「ぶるぅが正月に作ってくれた精進料理も美味かったがな」
あの時のレシピを再現してもてなそうか、とキース君。
ジョミー君を待つのは元老寺…?
2012/10/07 (Sun)
☆坊主の教師
仲間内での運動会とやらをダンスで開幕したくなった生徒会長。
踊らされるのはジョミー君ですが、嫌と言ったばかりに坊主フラグが…。
キース 「この際、キッチリ仕込むとするか。俺も一応、教師なんだ」
ジョミー「えぇっ!?」
シロエ 「キース先輩、教職を取ってましたっけ?」
スウェナ「教育実習に行ったって話は聞かなかったけど…」
キース 「学校の教師と言う訳ではない。これはあくまで坊主の話だ」
ブルー 「ほら、住職の資格を持ってるだろう? あれが教師さ」
マツカ 「そうなんですか? お坊さんの位じゃなくて?」
ブルー 「位とは別に教師の肩書きもつくんだよ」
サム 「あー、弟子を取れるって聞いてるもんな」
ブルー 「だからキースはジョミーを指導する資格があるわけ」
ジョミーの師僧はぼくだけど、と生徒会長はニコニコと。
ブルー 「元老寺なら任せて安心! 不肖の弟子をよろしく頼むよ」
キース 「任せてくれ。ジョミー、早速明日からだ」
ジョミー「あ、明日からって…」
キース 「荷物は最低限でいい。制服と下着の替えがあればな」
ブルー 「うんうん、なかなか本格的だね」
キース 「余計な私物は気が散る元だ。私服なんぞも必要無い」
ジョミー「なんでそういうことになるのさ!」
ブルー 「携帯も禁止でいいんじゃないかな、もちろんテレビも」
キース 「道場並みか? だが、そのくらいはしないと駄目か」
ブルー 「うん。ジョミーにお経を仕込むんだよ?」
ジョミー「ま、待ってよ、ぼくはやるとは言ってないってば!」
ブルー 「じゃあ、ダンスだ」
ジョミー「だ、ダンス…」
ブルー 「全力でダンスか、全力でお経を覚えるか。二つに一つってね」
キース 「俺はどっちでもかまわないぞ?」
ダンスの練習に本堂を貸すのもやぶさかではない、とキース君。
ブルー 「そういえば去年も借りてたね。どうする、ジョミー?」
『かみほー♪』で踊るか、お経の暗記か。
ジョミー君はどちらを選ぶのでしょうか…?
2012/10/08 (Mon)
☆選べない二択
『かみほー♪』に合わせてダンスを踊るか、基本のお経を覚えるか。
ジョミー君に突き付けられた二択、どちらかを選ばねばならないようで。
ブルー 「ぼくはどっちでもいいんだよ。ダンスは元々予定に無いし」
キース 「そのダンスとやらはジョミーが踊るというだけだろうな?」
ブルー 「えっ? ぶるぅも踊りたがってるじゃないか」
キース 「踊るのは希望者だけだろうな、と訊いているんだ」
シロエ 「ああ、そこは確認しておかないとマズイですよね」
サム 「俺たちまでが巻き添えになるのは御免だぜ」
ジョミー「ちょ、一緒に踊ってくれないわけ?」
キース 「俺たちにそんな義理は無い。で、どうなんだ、ブルー?」
ブルー 「ジョミーだけ踊ればいいと思うよ、ステージでさ」
ジョミー「…す、ステージ?」
ブルー 「特設ステージなんかはどうだい? ハロウィン仕様の」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ぼくもステージで踊りたいな♪」
ブルー 「なるほど、ぶるぅがバックダンサーというのもいいかもねえ」
ジョミー「そ、そんなぁ…。悪目立ちだよ!」
ブルー 「じゃあ、お経をマスターするんだね」
キース 「まあ、頑張れ。俺は指導に手抜きはせんぞ」
ジョミー「お、お経……」
特設ステージでダンスの披露か、地道にお経をマスターするか。
ジョミー君は悩みまくっておりますが…。
キース 「選べないなら両方でもいいぞ?」
ジョミー「両方って?」
キース 「決まってるだろう、お経とダンスだ。本堂は充分広いしな」
ブルー 「それは素敵なアイデアだね。どっちかはモノになりそうだ」
ジョミー「な、なんで両方!?」
ブルー 「選べなくて困っているんだろう? 渡りに舟ということで」
サム 「この際だから頑張ってこいよ。応援してるぜ」
キース 「よし、明日からウチに泊まり込みだな」
ジョミー「え? ええぇっ?」
迷ったばかりに、二択どころかダンスも、お経も。
二兎を追う者は一兎をも得ずと申しますけど、どうなりますやら…。
2012/10/09 (Tue)
☆お経とダンスと
お経を覚えるか、ダンスを踊るか。
選べずにグズグズしている間に、両方をやることに決まったジョミー君。
泣きの涙で嫌だと言っても今更どうにもなりません。
ブルー 「家に帰ったら早速荷物を纏めるんだね」
キース 「余計な物は一切要らんぞ、持ち物は後でメールをしてやろう」
ジョミー「…それで決まり? 本当に?」
ブルー 「往生際が悪いったら…。アドス和尚もOKしたのに」
キース 「親父があんなに喜ぶとはな。あんたの声だけで大感激だ」
生徒会長から電話を貰ったアドス和尚は大喜び。
二つ返事でジョミー君の修行とダンスを引き受けたようでございます。
キース 「親父の指導は俺よりキツイが、その分、覚えも早いだろう」
ブルー 「アドス和尚がお経を教えて、君がダンスを担当かい?」
キース 「おいおい、ダンスはジョミーが一人でやるんだろうが」
ブルー 「だけど監視は必要だよ? でないと確実に逃亡するから」
キース 「そうか…。じゃあ、あんたがメニューを決めてくれ」
ジョミー「め、メニューって?」
キース 「いつまでに振り付けを決定するとか、そういうのだな」
ブルー 「なるほどね。それじゃ明日までに考えておくよ」
ジョミー「ほ、本当に元老寺に行かされるわけ?」
ブルー 「決まったことをグダグダ言わない! とにかく明日から!」
これがいわゆる鶴の一声。
ジョミー君には拒否権は無しで、そして翌日。
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 今日からジョミーは元老寺だね!」
ブルー 「朝から黄昏れていたようだけど、ぼくは一切斟酌しないよ」
キース 「俺も容赦する気は全く無い。もちろん親父もだ」
ジョミー「…なんか人生終わった気がする…」
ブルー 「大袈裟だねえ…。いや、ホントに袈裟が必須だけれど」
サム 「本物の寺で修行だもんなあ。袈裟は要るよな」
ジョミー「ダンスの時間の方がマシかも…」
そっちは袈裟は要らないもんね、とジョミー君。
法衣を纏って読経よりかはダンスが好みのようですねえ…。
2012/10/10 (Wed)
☆修行と手荷物
お経とダンスの二足の草鞋を履く羽目になったジョミー君。
今日から毎日キース君と一緒に下校で、元老寺での生活になりますが…。
キース 「袈裟はともかく、読経の方も頑張らないと親父が怖いぞ」
ジョミー「や、やっぱり…?」
サム 「お前、正月にも怒られていたじゃねえかよ、肉まん食ってさ」
シロエ 「御本尊様の前で肉を食べるとは、って凄かったですよね」
キース 「いいか、親父を怒らせるなよ? 俺でも止められないからな」
スウェナ「下手に止めたら坊主頭にされそうだものね」
キース 「不吉なことを言わないでくれ。坊主頭はジョミーに任せる」
ジョミー「い、嫌だよ、なんでそこまでされるのさ!」
ブルー 「形から入るというのもお勧めだけどね? 気が引き締まるし」
キース 「同感だ。坊主頭の方はともかく、私服は一切禁止だぞ」
ジョミー「分かってるよ…。制服と体操服しか持って来てないよ」
だから荷物が少ないんだ、とジョミー君が眺める先にはボストンバッグ。
それだけを提げてキース君の家に泊まり込みです。
ブルー 「もう少し荷物を減らすべきだね。まだ多すぎる」
キース 「そうだな、俺が修行に出掛ける時にはもっと少なかった」
ジョミー「でも、これ以上減らせないよ! 必要最低限なんだよ!」
サム 「そうかぁ? お前ならスナック菓子とか入れてそうだぜ」
ジョミー「入れないよ! 手荷物検査があるって聞いたし!」
マツカ 「手荷物検査…ですか?」
キース 「ああ、脅しをかけておいたんだ。親父がやるぞ、と」
ジョミー「携帯とかは毎日没収されるって…。ゲーム機だって」
余計なものは入っていない、とジョミー君は主張しております。
ブルー 「体操服が余計なんだよ。学校に置いておきたまえ」
ジョミー「えぇっ、それじゃダンスの練習は?」
ブルー 「キースに借りればいいだろう。行き先はお寺なんだから」
体操服など必要無い、と生徒会長。
確かにお寺へ修行に行くのに体操服は要らないかも…?
2012/10/11 (Thu)
☆余計な体操服
修行の日々に余計なものは不必要。
荷物をとことん減らすように、と生徒会長は体操服を禁止いたしました。
ジョミー「体操服もダメなわけ? 余計なわけ?」
キース 「確かに寺では必要ないな。動く時には作務衣が基本だ」
ジョミー「さ、作務衣って…。あんなのでダンス出来ないよ!」
キース 「作務衣は動きやすいんだぞ。宗派によっては山仕事もする」
シロエ 「山仕事ですか?」
キース 「薪割りとかは基本だな。木に登って枝打ちすることもあるし」
ブルー 「作業用に作られた服だからねえ、ダンスくらいは朝飯前さ」
ジョミー「うー…。分かったよ、体操服は置いてくよ!」
ボストンバッグから体操服を引っ張り出したジョミー君。
洗い替え用もあったため、取り出した後は荷物もスッキリ。
キース 「よし、そんな所でいいだろう。合格点だ」
ブルー 「不肖の弟子をよろしく頼むよ、これがメニューだ」
キース 「ダンスの指導方針だな? どれどれ…」
生徒会長が渡した紙をチェックしているキース君ですが。
なにやら眉間に皺が刻まれ始めたような…?
キース 「……おい」
ブルー 「なんだい? 分かり易く書いたつもりだけれど」
キース 「最終発表が10月27日というのは運動会の日のことか?」
ブルー 「うん。ハロウィン当日は平日だからさ、土曜がいいかと」
サム 「決まったのかよ? 楽しみだなあ」
シロエ 「27日の土曜日ですね、シャングリラ学園でやるんですか?」
ブルー 「どうだろうね? ハロウィンだしねえ…」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ カボチャが活躍するんだって!」
マツカ 「そうなるとマザー農場でしょうか?」
スウェナ「学校よりもずっと広いし、ありそうね」
キース 「…日程は分かった。それまでに仕上げろというのも分かる」
ブルー 「何か問題でもあったかい?」
キース 「何なんだ、この舞台衣装というヤツは!」
全員 「「「舞台衣装?」」」
ダンスの披露に舞台衣装。
ジョミー君、とことん見世物ですか?
2012/10/12 (Fri)
☆ダンスも法衣で
ジョミー君がダンスを披露するのは10月27日だそうでございます。
それに備えて今日から修行の日々となりますが、舞台衣装があるとかで。
ジョミー「舞台衣装なんか聞いていないよ!」
キース 「俺もだ。いや、舞台衣装ならまだ分かる。しかし、これは…」
ブルー 「なかなかお洒落だと思うんだけどね?」
キース 「何処がだ!」
ブルー 「おや、法衣はお洒落じゃないとでも?」
全員 「「「法衣!?」」」
キース 「そうだ、法衣を着用と書いてあるんだ、このメニューに!」
よく見てくれ、とキース君がテーブルに置いた練習メニュー。
シャン学メンバーが覗き込んでみれば、確かに法衣という文字が。
シロエ 「えーっと…。振り付けを完璧にマスターしたら法衣を着用…」
サム 「舞台衣装に慣れておけって書いてあるよな」
マツカ 「つまり法衣が舞台衣装なわけですね…」
ジョミー「冗談じゃないよ、なんで法衣なんか!」
キース 「それに関しては俺も言いたい。罰当たりにも程があるぞ」
ブルー 「分かってないねえ、歌って踊れるお坊さんは貴重じゃないか」
キース 「俺たちの宗派は踊り念仏はやらんだろうが!」
ブルー 「南無阿弥陀仏で踊るんじゃないよ、『かみほー♪』だよ?」
キース 「なんでそうなる!」
ブルー 「ハロウィンだから」
ケロッと答える生徒会長。
ブルー 「ハロウィンに仮装は基本だろう? 舞台衣装も凝らなくちゃ」
キース 「あんた、ハロウィンと坊主を混ぜる気か?」
ブルー 「混ぜるな危険とは書いていないし、問題ないと思うけど?」
キース 「もういい、あんたには一生勝てん。要は法衣で踊るんだな?」
ブルー 「ジョミーがね。…でも、君も踊りたいなら止めないよ」
キース 「お断りだ!」
ブルー 「おや、残念。とにかく、そういうわけで法衣でよろしく」
ジョミー「えっ? えぇぇっ?」
ダンスの方も法衣着用と決まってしまったジョミー君。
抹香臭い修行の日々とダンスの練習、どうなりますやら…。
2012/10/13 (Sat)
☆不向きな法衣
ダンスの衣装は、なんと法衣で。
生徒会長に言わせればハロウィンだけに仮装は基本。しかし法衣とは…。
ジョミー「無理だよ、あんなので踊れないよ!」
ブルー 「そうでもないのはキースが既に証明済みだろ?」
サム 「ああ、アレな。お田植え祭で舞っていたよな、巫女さん役で」
キース 「嫌なことを思い出させるな!」
シロエ 「でも、あの舞は凄かったですよ、キース先輩」
スウェナ「舞の基本はお坊さんの動作でマスターしてると聞いたわよね」
ブルー 「だろう? だから法衣でダンスは可能だ」
マツカ 「あのぅ…。舞とダンスは違いますよ?」
ブルー 「どっちも同じだよ、音楽に合わせて踊るんだから」
シロエ 「言われてみればテンポが別モノですね…。無理っぽいですよ」
キース 「一万歩譲って舞なら可能なのかもしれん。だが、ダンスは…」
ジョミー「去年のヤツは飛び跳ねてたんだよ、絶対無理だよ!」
ブルー 「そこが面白くなるんじゃないか。仮装っぽくて」
法衣の裾を蹴散らし、脛も丸出しでホップステップジャンプなのだ、と
生徒会長は申しております。
ブルー 「こう、はじけるお坊さんって所がハロウィンなんだよ」
キース 「あんた、本気で混ぜるつもりか! ハロウィンと坊主を!」
ブルー 「ウケればいいんだ、オープニングのセレモニーだし」
キース 「親父が聞いたら憤死しそうだが…」
ブルー 「問題ない、ない。去年も本堂で踊って見せただろ?」
シロエ 「そういえば喜んでいましたっけね、こういうのもアリだって」
キース 「し、しかし…」
ブルー 「平気だってば、アドス和尚はぼくのファンだから」
キース 「…分かった。俺は監視役に徹するまでだ」
ブルー 「心強いねえ、よろしく頼むよ」
ジョミー「ぼ、ぼくの立場は…?」
キース 「そんなものがあると思うのか? さあ、俺と一緒に帰ろうぜ」
早速シゴキだ、と燃え上がっているキース君。
元老寺に住み込みでダンスにお経。ジョミー君は無事に乗り切れるのか?
2012/10/14 (Sun)
☆只今、修行中
お経の暗記と、『かみほー♪』に合わせて踊るダンスと。
元老寺に泊まり込みで両方をやる羽目になったジョミー君、涙の日々で。
ジョミー「も、もうダメだぁ…。帰りたくない~!」
キース 「やかましい! まだ振り付けも仕上がっていないだろうが!」
ブルー 「そうなのかい? 期限は昨日だったと思ったけどな」
キース 「予定より遅れていやがるんだ。親父のシゴキがキツイせいで」
ジョミー「帰ったらすぐにお経なんだよ、ガッツリ正座で1時間も!」
サム 「それって基本のお勤めじゃねえか?」
キース 「もちろんだ。なのに、足が痺れたの疲れただのと…」
ブルー 「グダグダ言い訳している間に夜の特訓の時間なんだね?」
キース 「そういうことだ。親父が手取り足とり、読経と所作を」
ブルー 「うーん…。食事と睡眠時間を削って頑張らせるか…」
キース 「俺まで巻き添えになれと言うのか?」
ブルー 「違うよ、自主練。ジョミーが一人でやるんだよ」
キース 「それならいい。分かったな、ジョミー」
ジョミー「ちょ、ちょっと! 食事と睡眠時間って…」
ブルー 「荒行だと思ってやりたまえ。遅れはきちんと取り戻す!」
以上、と冷たく言い放った生徒会長、ニッコリ笑って。
ブルー 「ダンスはジョミーに任せるとして…。みんなはどうする?」
全員 「「「は?」」」
ブルー 「運動会だよ。参加するのか、見物かってこと」
シロエ 「全員参加じゃないんですか?」
ブルー 「各自の好みで選べるんだよ。見物だけでも勿論、OK」
キース 「所属チームとかはどうなるんだ?」
ブルー 「無いね。個人競技って形だから」
サム 「へえ…。じゃあ、キースに勝てるかもしれねえんだ?」
シロエ 「キース先輩に勝つチャンスですか! それは貴重です」
キース 「待て。俺は出るとは言っていないぞ、勝手に決めるな!」
そもそもどういう競技なんだ、とキース君。
参加自由な個人競技。何をやらされるのか聞いておかないと危険かも…?
2012/10/15 (Mon)