☆近付く本番
キャロリング当日にトチる可能性があまりにも高いジョミー君。
練習中のドジが合計百回を超えた場合は、坊主コースと決まりまして…。
キース 「おい、今日はなんとかなるんだろうな? かなりヤバイぞ」
ジョミー「うう…。分かってるってば、昨日は急過ぎてパニックでさ…」
ブルー 「百回でアウトと言った途端にアレではねえ…」
スウェナ「ホントに危機感、あるのかしらね?」
皆が揃って見詰める先にはホワイトボード。
「本番まであと3日」の文字と並んで「坊主まで残り65回」と燦然と。
シロエ 「昨日、あれから35回もミスったというのが信じられませんよ」
ジョミー「仕方ないじゃないか、パニックだったし!」
サム 「落ち着かねえとマジでヤバイぜ、罰礼どころじゃねえんだぞ」
ジョミー「う、うん…。筋肉痛より坊主コースが怖いよね…」
キース 「いきなり罰礼350回というのも凄かったが」
シロエ 「スクワットみたいですもんねえ…。五体投地って」
ブルー 「本物の道場で失敗したら1回につき十回どころか百回だよ?」
かなり大目に見てやっている、と生徒会長。
ブルー 「まあ、あと65回で坊主コースだ。本物の道場が待っているさ」
キース 「昨日のペースでトチッていたら確実に坊主コースだな」
ジョミー「それは嫌だから頑張るよ!」
ブルー 「大いに頑張ってくれたまえ。でもって、今日から…」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 聖歌隊の服でリハーサルだよ!」
全員 「「「リハーサル!?」」」
ブルー 「慣れない衣装でいきなり本番は緊張するしね」
まずは衣装を着けてみて、と生徒会長はニコニコ顔でございます。
奥の部屋から「そるじゃぁ・ぶるぅ」が縫い上げた服を運んで来て。
サム 「なんかコスプレって感じじゃねえか?」
スウェナ「そうね、去年の天使みたいね」
男子全員「「「て、天使…」」」
馬小屋セットで生徒会長が扮していたのは純白の衣装の大天使。
それに似ていると言われましても、男子一同、複雑かも…。
2012/12/16 (Sun)
☆天使な男子たち
「そるじゃぁ・ぶるぅ」御手製の衣装を纏ったシャン学メンバー。
純白の衣装は足首近くまでが隠れる長さで、飾り帯も純白でございます。
キース 「確かに去年の天使だな。ぶるぅ、これはブルーの注文か?」
ぶるぅ 「えっと、えっとね、写真を見せて貰ったんだけど…」
シロエ 「聖歌隊の写真ですか?」
ぶるぅ 「うん! 天使じゃなくって聖歌隊だよ、おじさんもいたし」
サム 「お、おじさんって…。オッサンがコレかよ?」
びらびらだぜ、とサム君は衣装をつまんでおりますが。
ぶるぅ 「オルガン弾いてた人もコレだったよ? ハゲのおじいさん」
男子一同「「「お、おじいさん?」」」
スウェナ「ほら、コスプレとは違うじゃないの。これが正しいのよ」
ブルー 「そういうこと! ぶるぅの力作に文句を言わない!」
キース 「し、しかしだな…。俺には似合っていないと思うが」
サム 「俺も、俺も! 無理があるぜ、これは」
ブルー 「だけどブルーの注文なんだよ、聖歌隊の服は」
シロエ 「もっと色々あるでしょう! 短いヤツとか!」
ブルー 「そりゃ、あるけどね…。一応、それも作ってはみた」
キース 「だったらそっちを出してくれ!」
ブルー 「おや、いいのかい? モデルは誰が?」
男子一同「「「………」」」
嫌な予感を覚えたらしい男子一同。
暫く顔を見合わせた末に…。
ジョミー「えぇっ、ぼく!?」
キース 「一番弱い立場だろうが! トチッてばかりで坊主寸前だ」
ジョミー「うう…。ぼくって、とっても不幸かも…」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ じゃあ、これを着てね!」
青いサイオンがキラッと光って着替え完了。
ジョミー君、制服の上に腰まで届く純白のケープを着ておりまして。
キース 「こ、これは……」
マツカ 「可愛いですよね、襟元に黒いリボンもついていますし」
ジョミー「やだよ、こんなの!」
鏡を見せられたジョミー君の顔は半泣きで。
キャロリングの衣装、天使みたいな純白のローブに決定ですね…。
2012/12/17 (Mon)
☆中庭でリハーサル
衣装を着けての練習も進み、キャロリング前日の21日は終業式。
先生方からのお歳暮ゲットを目指して、全校生徒が走り回っている中で。
キース 「この格好で歌うのか…。それも中庭で」
サム 「なんか去年より悲惨じゃねえか?」
ブルー 「ジョミーのカウントがアレでなければいいんだけどね」
人前で歌う度胸をつけておかないと、と純白の衣装の生徒会長。
指差す先のホワイトボードには「坊主まで残り6回」の文字が。
キース 「くっそぉ…。いっそ坊主になればいいんだ」
シロエ 「ジョミー先輩はそれで済みますけど、ぼくたちは?」
マツカ 「雪玉攻撃は連帯責任なんですよ」
ブルー 「食らってからでは遅いんだ。さあ、行こうか」
サム 「ジョミー、有難く思っとけよ? これは貸しだぜ」
キース 「まったくだ。なんでジョミーの度胸試しに俺たちまで…」
ジョミー「ご、ごめん…。今度おごるよ」
ブルー 「君の財布はアテにしてない。ハーレイの方が遙かにマシだ」
今月のお小遣いは使い果たした後だろう、と鋭い指摘。
反論できないジョミー君を引っ張り、シャン学メンバーは中庭へ。
生徒A 「うわわ…。なんか聞こえると思ったら…」
生徒B 「へええ、今年は讃美歌かよ? 無料かな?」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 聴いてくれるだけでいいからね!」
「無料だってよ」「無料だ、無料だ」と見物客がワイワイと。
先生方まで見物に現れ、思いっ切り晒し者でございましたが。
ブルー 「う~ん、ジョミーはトチらなかったね」
キース 「本番に強いタイプだったか…」
スウェナ「あれで度胸がついたみたいね、残念だわ」
ジョミー「残念って何さ、残念って!」
キース 「いや、残り6回だったのに…と思ってな」
ブルー 「とにかく悲惨な記録は止まった。後は本番だよ」
シロエ 「明日の夜ですね、頑張らないと…」
明日はいよいよソルジャー夫妻のためにキャロリング。
雪玉の機銃掃射を食らわないよう、見事に合唱できますように~!
2012/12/18 (Tue)
☆いざ、別荘地へ
やって来ました、12月22日。
生徒会長の家に集まったシャン学メンバー、総仕上げをしておりますが。
ブルー 「ジョミーもドジを踏まなくなったし、雪玉の方は大丈夫かな」
キース 「そう願いたいぜ。後は寒さが問題か…」
ぶるぅ 「えっとね、ぼくとブルーでシールドを張るの!」
シロエ 「ホントですか? だったらカイロは要りませんね」
キース 「待て、裏があるかもしれないぞ。俺たちに恩を売ってだな…」
ブルー 「無い、無い。どちらかと言えばブルー対策」
全員 「「「は?」」」
ブルー 「ご祝儀で別荘に入れてくれないとも限らないしね」
中は暖房でポカポカだ、と生徒会長。
ブルー 「厳重装備で行ってごらんよ、暑くて耐えられないってば」
キース 「ああ、そうか…。下手をすると風邪を引きかねないな」
ブルー 「風邪で済めばいいけど、遠慮なく脱げと言われたら?」
シロエ 「えーっと…。パンツ一丁にされそうな感じですよね」
ブルー 「でもって、渋った時には代わりに脱ぐとか言い出すんだ」
キース 「そいつは遠慮しておきたいぞ」
ブルー 「しかも相手はバカップルだから、ブルーが脱いだら…」
キース 「言わなくていい! シールドは有難く頂戴しておく」
ラブシーンなぞお断りだ、というのが一致した意見。
そうでなくても特別休暇に華を添えるためのキャロリングですし…。
ブルー 「というわけで、夕食が済んだら出発だ。丼だけどさ」
ジョミー「えぇっ? なんだかショボイ…」
サム 「そうでもねえぜ、ガツンと腹に溜まりそうだし」
ブルー 「うんうん、サムは良く分かってるね。長丁場には丼が一番!」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ フォアグラ丼の特盛りだよ!」
シロエ 「凄い、豪華じゃないですか!」
ブルー 「だけどジョミーは牛丼でいいかな」
ジョミー「ちょ、それ、酷いし!」
ギャイギャイと騒ぎながらの夕食は牛ステーキも載ったフォアグラ丼。
豪華丼で腹ごしらえして、瞬間移動で雪の別荘地へ出発です~。
2012/12/19 (Wed)
☆バカップルのお宿
足首まで届く純白の衣装を纏った天使のようなシャン学メンバー。
蝋燭が揺らめくキャンドルホルダーを持ち、別荘地に到着でございます。
ぶるぅ 「わーい、真っ白!」
キース 「雪は止んでるみたいだな」
シロエ 「ええ、満天の星空ですね。クリスマスっぽいですけれど…」
ブルー 「生憎と、まだクリスマスではないってね」
とんだフライングもあったものだ、と生徒会長はブツブツと。
シールドで寒さは感じませんが、別荘地は深く積もった雪の中で。
ジョミー「えーっと…。もしかしてアレかな、エロドクターの別荘」
サム 「すげえな、でっかいツリーだぜ」
ブルー 「本物の樅の木だよ、別荘まで無駄に豪華ってね」
マツカ君の山の別荘には及ばないものの、立派な別荘が建っております。
玄関まで続く道の両脇にはイルミネーション、前庭にはツリーが。
キース 「あの下あたりで歌えばいいのか? クリスマスツリーだし」
ブルー 「そのつもりだけど…。ちゃんと気付いているのかな?」
ジョミー「何が?」
ブルー 「ぼくたちが来てるという事実! バカップルだしね…」
シロエ 「サイオンで覗いてみればいいじゃないですか」
ブルー 「お断りだよ、真っ最中だと目も当てられない」
サム 「ここまで来といて無駄足かよ!?」
ぶるぅ 「ねえねえ、真っ最中って、お食事?」
ぼくが代わりに覗こうか、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」がニコニコと。
ブルー 「違う、そうじゃなくて! 子供には…ちょっと…」
キース 「やめておけ、目が腐るらしいぞ」
ぶるぅ 「えぇっ!? やだよ、そんなの怖いよ、困るよぅ~」
ブルー 「覗かなければ大丈夫さ。ダメで元々、歌ってみようか」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ みんなでキャロリングだね!」
ジョミー「よ~し、特訓の成果を披露しようっと!」
キース 「トチるなよ? ここでトチッたら終わりだからな」
雪玉攻撃を食らうか、喜ばれるか。
バカップルが滞在中の別荘の前庭でキャロリングですよ~!
2012/12/20 (Thu)
☆主はきませり
エロドクターの別荘の前庭にはイルミネーションが輝く樅の木。
シャン学メンバー、樅の木の下に並んでキャロリングの準備が完了です。
ブルー 「最初は定番で始めよう。きよしこの夜」
全員 「「「き~よ~し~~♪」」」
生徒会長が小声で取った音を合図に雪の別荘地に響く歌声。
天使の歌声とまでは申しませんけど、なかなか見事でございます。
全員 「「「め~ぐみ~のみ~よ~の~♪」」」
キース 『おい、出てこないぞ? もう3番だぞ?』
ブルー 『出てこないねえ…』
全員 「「「か~がや~けり~~、ほ~がら~かに~♪」」」
終わってしまいました、『きよしこの夜』。
ソルジャーもキャプテンも出てこない内にサックリと…。
ブルー 「うーん、本気でお取り込み中かな?」
キース 「だったらサッサと帰りたいんだが…」
シロエ 「盛り上げ役とか言ってましたし、BGMの代わりなのかも…」
サム 「うへえ、その手の時間のかよ?」
キース 「讃美歌をBGMにするとは罰当たりな…」
ブルー 「無駄無駄、ブルーに言うだけ無駄だよ、そういうのはさ」
こうなったら賑やかにやってやる、と生徒会長。
ブルー 「あっちのハーレイもヘタレらしいから、ハイペースでいこう」
全員 「「「は?」」」
ブルー 「BGMがせわしなかったら息切れするかもしれないし!」
ジョミー「そういうものなの?」
ブルー 「ペースが乱れると立て直すのは大変かもねえ…」
お子様には分からないだろうけれど、と生徒会長は笑っております。
ブルー 「景気よくアレだ、もろびとこぞりて」
全員 「「「も~ろびと~、こぞ~り~て~♪」」」
これが噂の「主はきませり」。
声を張り上げて歌っていれば、別荘の扉が開きまして。
Aブルー「やあ、こんばんは」
A船長 「こんばんは、遠い所をどうも」
全員 「「「主は、主は~、きま~せ~り~♪」」」
主ならぬソルジャー夫妻が来たようで。
シャン学メンバーの運命や如何に?
2012/12/21 (Fri)
☆バカップルのお招き
大人の時間の真っ最中かと思われていたソルジャー夫妻。
そういうわけでもなかったらしく、キャロリングに見とれておりまして。
全員 「「「主はきませり~、主はきませり~♪」」」
Aブルー「うん、いいねえ。クリスマスって感じだよ」
A船長 「シャングリラの子供たちの歌とはまた違いますね」
全員 「「「主は~、主は~、きま~せ~り~♪」」」
けっこう長い『もろびとこぞりて』。
5番までキッチリ歌い終えると、ソルジャー夫妻からパチパチ拍手が。
Aブルー「ありがとう。まあ、入ってゆっくりしてってよ」
ブルー 「さっきは思い切り無視されたけど?」
Aブルー「無視しちゃいないよ、聴いてたってば」
A船長 「きよしこの夜でしたよね? どうもありがとうございました」
ブルー 「聞こえてたんなら出てきてくれても…って、いや、忘れて!」
Aブルー「何かブツブツ言ってたっけね、そういえば」
ぼくには筒抜け、と笑うソルジャー。
Aブルー「BGMにして励んでいたってわけではないよね、ハーレイ」
A船長 「は?」
Aブルー「いや、だから。ブルーたちが勘違いをしていたわけで」
A船長 「わ、私のペースが乱れるですって!?」
思念で詳細を伝えられたらしいキャプテン、耳まで真っ赤でございます。
A船長 「や、やっていません、そういうことは!」
Aブルー「だよねえ、おもてなしの支度に手間取っただけで」
全員 「「「おもてなし?」」」
Aブルー「寒い所まで来てくれた上に、雪の前庭でキャロリングだしね」
A船長 「中で暖まって頂こうと…」
暖かい飲み物を御用意しました、と言うキャプテン。
A船長 「どうぞ遠慮なくお入り下さい」
Aブルー「そうだよ、二人で準備したんだからさ」
ブルー 「…君たちが?」
Aブルー「使用人さんに教えてもらって頑張った!」
中へどうぞ、とソルジャー夫妻は扉を開いて満面の笑み。
飲み物を振舞ってくれるそうですが、御招待を受けても大丈夫ですか…?
2012/12/22 (Sat)
☆バカップルの手作り
ソルジャー夫妻、シャン学メンバーのために飲み物を作っていたそうで。
中へどうぞと言われましても、悩む所でございます。
サム 「どうするんだよ?」
キース 「断るわけには……いかんだろうな」
ブルー 「断ったら雪玉機銃掃射じゃないかと」
Aブルー「そっちも楽しそうだけど…。ぜひ招待を受けて欲しいな」
サム 「やっぱり断れねえじゃねえかよ…」
シロエ 「仕方ないですよ、ぼくたちの立場が弱すぎです」
A船長 「すみません、いつもブルーが御迷惑を…」
Aブルー「まあまあ、ここで立ち話もアレだしね。入って、入って」
全員 「「「………」」」
なんとか無事に済みますように、と別荘に入ったシャン学メンバー。
広い居間には暖炉が赤々、クリスマスツリーなども飾ってあって。
Aブルー「凄いだろ? この別荘を貸し切りなんだよ」
A船長 「どうぞ、そちらのテーブルへ。今、飲み物をお持ちします」
運ばれて来たのは湯気の立つマグ。
ホットココアかミルクっぽいですが、何やら不思議なスパイスの香り。
ぶるぅ 「わぁーい、グリューワインだぁ!」
シロエ 「なんですか、それ?」
ブルー 「知らないかな? ホットワインの一種だよ」
Aブルー「うん、クリスマスの名物だってね?」
ノルディに教えてもらったんだ、と得意げなソルジャー。
使用人さんに習ってキャプテンと二人で作ったそうで。
A船長 「オレンジにレモン、スパイスなどを赤ワインに入れるんです」
Aブルー「沸騰しないようにコトコト煮てたら時間がかかって」
ブルー 「それで出迎えが遅れた、と…」
Aブルー「そういうこと。遠慮なくどうぞ」
ジョミー「え、えっと…。ぼくはちょっと…」
Aブルー「ああ、坊主宣言なら大丈夫! アルコール度数は低いから」
A船長 「妙な酒癖をお持ちだそうですが、安全ですよ」
この程度では酔いません、と太鼓判を押すキャプテン。
坊主宣言が目当てじゃないなら、この御招待に裏は無いのでしょうか…?
2012/12/23 (Sun)
☆手作りホットワイン
クリスマス名物だというホットワインのグリュ―ワイン。
赤ワインにオレンジやスパイスなどを入れ、沸騰しないよう煮るもので。
ジョミー「酔わないの? 本当に?」
A船長 「ええ、やはり温めるとアルコール分が逃げますからね」
Aブルー「そうなんだよねえ、ぼくは普通にホットドリンク感覚だし」
ソルジャー夫妻、本場ものを味わってきたらしいです。
クリスマス用品が売られるマーケットには必ずあるそうでして。
Aブルー「白ワインで作ったヤツもあったよ。寒い国だから美味しくて」
A船長 「ブルーとあちこち飲み歩きましたが、酔いませんでした」
ジョミー「そっか。じゃあ、一杯くらいなら大丈夫かな?」
Aブルー「大丈夫! クリスマス気分に坊主で水を差されちゃ困るよ」
ブルー 「確かに坊主宣言は似合わないかもねえ…」
キース 「しかしだ、本当に裏は無いのか?」
Aブルー「んーと…。強いて言うならリクエストかな?」
全員 「「「リクエスト?」」」
Aブルー「うん、是非とも歌って欲しい曲があって」
ブルー 「なんだ、そんなことか。だったら有難く頂いておくよ」
ジョミーもトチらなくなったから、とマグに口をつける生徒会長。
「そるじゃぁ・ぶるぅ」も飲んでみて。
ぶるぅ 「うわぁ、美味しい! ポカポカするね」
Aブルー「ぶるぅに褒めて貰えると嬉しいな。ねえ、ハーレイ?」
A船長 「ええ、頑張った甲斐がありました」
ブルー 「みんなも飲んだら? アルコール度数はホントに低いよ」
キース 「なるほど、美味いな。暖まるぞ、ジョミー」
ジョミー「えーっと…。あ、これくらいなら問題なさそう」
サム 「すげえスパイス効いてんのな」
マツカ 「色々と入っているみたいですね」
Aブルー「シナモンにクローブ、カルダモンだっけ?」
A船長 「生姜もですよ」
Aブルー「とにかくスパイスたっぷりなのさ」
その分、手間もかかるけど、とソルジャーは笑顔でございます。
ここは一発、歌声で御礼しなくては!
2012/12/24 (Mon)
☆この曲を所望
手作りグリュ―ワインを御馳走になったシャン学メンバー。
温かい飲み物で身体の芯から暖まった後は、きちんと御礼をするべきで。
ブルー 「ご馳走様。御礼の歌は何がいいんだい?」
キース 「キャロルの修行は積んできた。大抵の曲はいけると思うが」
Aブルー「頼もしいね。…だけどキャロルじゃないんだな」
全員 「「「は?」」」
Aブルー「子供たちのキャロリングをキャンセルするって言ったろう?」
ブルー 「それが何か?」
Aブルー「ノルディの所に言いに行ったら、コレをくれてさ」
ソルジャーが取り出したものは1枚の紙。
楽譜と歌詞が印刷してあるそうです。
Aブルー「君たちがキャロリングに来た時にリクエストしろって」
A船長 「皆さんの分も作りました」
アンチョコです、と表紙つきの楽譜を配るキャプテン。
手作りだというアンチョコの表紙の模様はベルやリボンで。
ブルー 「乙女チックな表紙だねえ…。ノルディの趣味かな?」
A船長 「いえ、こちらの教頭先生の御趣味ですが」
全員 「「「えぇっ!?」」」
Aブルー「あ、ハーレイには相談してないよ? 心を読んだだけ」
A船長 「こういう事のエキスパートでらっしゃいますから」
ブルー 「なんだか嫌な予感がするんだけれど…」
表紙をめくった生徒会長、瞬時にピキンと固まりまして。
ブルー 「…讃美歌312番…?」
キース 「おい、どうしたんだ? 確かに知らない曲ではあるが」
ジョミー「やばいよ、楽譜は読めないんだよ!」
Aブルー「そこの所は心配無用! ちゃんとサイオンで教えてあげるさ」
シロエ 「そうなんですか? ぼくも助かります」
初見で歌うのは流石にちょっと、とシロエ君。
他の面々もホッと安堵しておりますが。
ブルー 「上手下手は関係ないんだよ。この曲、結婚式の定番」
全員 「「「結婚式!?」」」
Aブルー「らしいね、ノルディのイチオシなんだ」
是非よろしく、と笑顔のソルジャー。
えらい事態になりましたよ~!
2012/12/25 (Tue)
☆バカップルに讃美歌
ソルジャーのリクエストは讃美歌312番。
いわゆるキャロルというヤツではなく、結婚式の定番と言われましても。
キース 「俺たちはキャロリングに来たんだぞ! なんでこうなる!」
Aブルー「せっかくの天使の歌声だしねえ? 大いに活用すべきだよ」
A船長 「私たちの結婚式は讃美歌も何も無かったですから」
ひとつよろしくお願いします、とキャプテンは頬を染めまして。
A船長 「皆さんの歌声に送られて寝室に行きたい、と実はブルーが」
Aブルー「お姫様抱っこでベッドまで…ってね」
全員 「「「………」」」
あまりの展開にシャン学メンバー、目が点ですが。
ここで断ったら雪玉どころか、生きて帰れなくなりそうです。
ブルー 「御招待には裏があったか…」
キース 「まさに飛んで火に入る夏の虫だな…。いや、冬の虫か」
Aブルー「もちろん歌ってくれるよね? ぼくたちはSD体制の下で…」
ブルー 「知ってるよ、君の苦労はさ! 要は歌えばいいんだろう!」
Aブルー「そうこなくっちゃ。それじゃ、早速」
キラリと走る青いサイオン。
シャン学メンバーの頭の中には讃美歌312番なるモノが。
Aブルー「最後まで行ったらリピートだよ? 十回でいいかな」
ブルー 「そ、そんなに…?」
Aブルー「十回もあれば充分ベッドイン出来るからね」
祝福されながら二人でベッドへ、とソルジャーはいけしゃあしゃあと。
早い話が脱いでいる間も歌っていろというわけで…。
キース 「結局、BGMにされる運命だったか…」
ブルー 「仕方ないよ、潔く諦めよう。ぶるぅ、十回数えてて」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 子守唄の代わりなんだね!」
Aブルー「ありがとう、ぶるぅ。いい子だね」
A船長 「これで数えるといいですよ。よろしくお願いいたします」
ぶるぅ 「わぁーい、ジンジャークッキーだぁ!」
クリスマスマーケットのお土産のクッキーが全部で十枚。
ソルジャー夫妻のベッドインまで歌い続けるしかなさそうですねえ…。
2012/12/26 (Wed)
☆締めは讃美歌
ソルジャー夫妻の御招待を受けたばかりに、えらい事態に。
お姫様抱っこでベッドに向かうソルジャーを見送り、結婚式の讃美歌を。
Aブルー「これでBGMはOK! 後はベッドに行くだけってね」
A船長 「では、そろそろ…。皆さん、今日はありがとうございました」
キャプテンがソルジャーを抱き上げまして、扉の方へと。
もう歌うしかございません。
ブルー 「いくよ、十回」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ いっちまーい!」
ジンジャークッキーを1枚、横に取り分ける「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
生徒会長が小声で取った音に合わせて、いざ合唱。
全員 「「「い~つくしみふか~き~♪」」」
Aブルー「じゃあね、おやすみ」
A船長 「お気をつけてお帰り下さい」
普段はヘタレの筈のキャプテン、悠然と出てゆきました。
別荘でキャロリングという非日常が背中を押しているようで。
全員 「「「こ~ころの嘆き~を~つ~つまず述べて~♪」」」
キース 『くっそぉ、真面目に嘆きたいぜ…』
全員 「「「な~どかは下ろさぬ~負える重荷を~♪」」」
ブルー 『ぼくだって思い切り投げ捨てたいよ、こんな重荷は!』
結婚式の定番、讃美歌312番。
今の心境にピッタリという素晴らしい歌詞でございまして。
ぶるぅ 「じゅうーまーい!」
全員 「「「世~の友、我ら~を~捨~て去る時も~♪」」」
シロエ 『捨てられましたよね、バカップルに…』
全員 「「「い~のりに応え~て~労りたまわ~ん♪」」」
ぶるぅ 「はい、おしまい~!」
ジョミー「で、どうなったわけ?」
キース 「知るか!」
ブルー 「こんな所に長居は無用だ。さっさと帰ろう」
その前に、と別荘から出た生徒会長、皆を指揮して超特大の雪玉を。
ブルー 「瞬間移動すると同時にコレを投げ込む。上手くいったら…」
シロエ 「復讐できるというわけですね!」
最終兵器を目指した雪玉、ソルジャーに弾き返されて。
生徒会長宅で大惨事になったらしいですけど、中継終了~。
2012/12/27 (Thu)
☆大惨事の後は
超特大の雪玉を食らって大惨事に終わったキャロリング。
そんな事など忘れたように、やってくるのがソルジャーという人でして。
ジョミー「うーん、酷い目に遭ったよね、アレ」
シロエ 「リビング中に飛び散りましたもんねえ、雪の塊が」
サム 「俺たちもビショ濡れだったんだぜ? スウェナ以外はよ」
スウェナ「あら、ぶるぅと会長は無事だったわよ?」
マツカ 「あの二人はシールドのプロですからねえ…」
サム 「だよな、そうでなきゃブルーじゃねえよな」
ブツブツと文句を零すシャン学メンバー、面子が一人足りないようで。
それもその筈、今日は大晦日でございます。
ジョミー「でもさぁ、あっちのブルーって謝ってもくれなかったよね」
シロエ 「自分の方が被害者だとか主張しまくっていましたしね…」
サム 「うんうん、でもって飯もケーキも多めに食うのな」
マツカ 「ぶるぅまで連れて来ましたからねえ…。敵いませんよ」
スウェナ「仕方ないわよ、ぶるぅはクリスマスが誕生日なのよ?」
ジョミー「それは分かっているんだけどさぁ…」
なんか色々報われないよ、と嘆く対象はクリスマス・パーティー。
ソルジャーと「ぶるぅ」が面子に加わり、派手に飲み食いしたのです。
ジョミー「キャロリングまでしてあげたのに、来なくってもさぁ…」
シロエ 「特別休暇とクリスマスは別物だとか言ってましたよ?」
サム 「勝てるわけねえんだよな、俺たちがさ」
マツカ 「会長だって勝てないんです。挑むだけ無駄だと思いますが」
スウェナ「そうよ、もう大晦日なんだから忘れたら?」
ジョミー「そりゃそうだけど、行き先がちょっと」
向かっている先は生徒会長の家でして。
マンションの玄関から入り、エレベーターで最上階へと。
ジョミー「リビングを見たら思い出しそうでさ、雪玉攻撃」
シロエ 「なんで会長の家に集合なんでしょうねえ?」
例年だったら大晦日は元老寺に集合でございます。
今年の大晦日、何か特別なイベントでも…?
2012/12/28 (Fri)
☆お出掛けの前に
大晦日なのに生徒会長の家に集合なシャン学メンバー。
キース君からは例年どおり、除夜の鐘撞きの招待が来ているわけですが。
シロエ 「キース先輩の家に行くのは間違いないと思うんですけど…」
サム 「その前にブルーの家っていうのが謎だよなあ…」
ジョミー「いつも自分だけタクシーのお迎えってヤツを自慢してない?」
マツカ 「シーッ、聞こえたら大変ですよ?」
最上階に着き、玄関のチャイムをピンポーン♪と。
すぐに扉がガチャリと開きまして…。
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ブルーが待ってるよ!」
ジョミー「何処で?」
ぶるぅ 「いつものリビング!」
サム 「なんだ、普段と同じじゃねえかよ」
シロエ 「取り越し苦労だったみたいですね」
ぶるぅ 「早く、早く! でないと遅刻しちゃうかも!」
全員 「「「遅刻?」」」
ぶるぅ 「そうだよ、みんなでキースのお家に行くんでしょ?」
ジョミー「えーっと…。その前に御馳走してくれるんだよね?」
ぶるぅ 「お昼御飯? みんなの頑張り次第かなぁ…」
全員 「「「は?」」」
ぶるぅ 「残り時間が短かったら素ウドンだよね」
サム 「なんだよ、それ?」
ぶるぅ 「見れば分かると思うんだけど…」
はいどうぞ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」がリビングの扉を開けまして。
全員 「「「えぇっ!?」」」
ブルー 「やあ、来たね。今日はこれから大掃除ってね」
ぶるぅ 「雪玉攻撃を再現しようってブルーが言ってたんだけど…」
ブルー 「水浸しの絨毯やソファは素人には荷が重いんだってさ」
ぶるぅ 「お部屋がメチャクチャになったら困るし、やめて貰ったの!」
シロエ 「それで一面の畳ですか…。レンタルですか?」
ブルー 「決まってるだろ? これを綺麗に掃除するだけ」
ぶるぅ 「はい、箒!」
ジョミー「特にゴミって落ちていないし…」
サム 「楽勝だよな?」
さあやるぞ、と箒を握るシャン学メンバー。
昼食が素ウドンにならないようにサッサと掃除しなくては…。
2012/12/29 (Sat)
☆懺悔の大掃除
生徒会長の家に集合させられたシャン学メンバー。
待っていたのはリビングの掃除、それも一面に畳が敷かれておりまして。
ジョミー「よーし、急いで片付けよう!」
ブルー 「ちょっと待った! 畳の掃除はそうじゃない」
シロエ 「えっ? 畳の目に沿って掃いていったらいいんでしょう?」
ブルー 「それじゃ埃が綺麗に取れないんだよ。ぶるぅ!」
ぶるぅ 「かみお~ん♪」
飛び出してきた「そるじゃぁ・ぶるぅ」の手にはバケツと古新聞。
古新聞をドボンとバケツの水に浸け、絞ったかと思えばビリビリと。
ジョミー「何するのさ!」
シロエ 「な、なんでそんなの散らかすんですか、酷いですよ!」
ぶるぅ 「畳はコレが定番だもん!」
ブルー 「お茶殻か湿った古新聞だよ、それに埃がくっつくわけ」
全員 「「「ひ、ヒドイ…」」」
ブルー 「さっさとしないと素ウドンになるよ、昼御飯」
全員 「「「はーい…」」」
雪玉攻撃の再現を掃除するよりはマシというものの、リビングは広く。
誰もがソルジャーへの愚痴を零しつつ、頑張って。
サム 「や、やっと終わったぜ…」
ブルー 「お疲れ様。年の暮れに懺悔っていいものだろ?」
全員 「「「懺悔?」」」
ブルー 「雪玉の後片付けは本当に大変だったんだ。本当に…ね」
ジョミー「あれを仕掛けたの、ブルーじゃない!」
ブルー 「そうだったかなぁ? ともあれ、ぶるぅが掃除したんだし」
懺悔の気持ちで大掃除、と言われましても…。
ぶるぅ 「お昼、出来たよ! ハヤシオムライス!」
ブルー 「素ウドンじゃなくて良かったねえ?」
ジョミー「待ってよ、懺悔ならキースも呼ばなきゃ!」
ブルー 「キースは元老寺で頑張ってるから除外なんだよ」
ジョミー「それってズルイし!」
ブルー 「じゃあ、君も一足先に行って手伝うかい?」
ジョミー「い、いいです…」
敬語になっているジョミー君。
昼食が済んだら瞬間移動で元老寺だそうでございます。
今年も揃って除夜の鐘ですよ~!
2012/12/30 (Sun)
☆今年も除夜の鐘
瞬間移動でやって来ました、元老寺。
宿坊に泊まって除夜の鐘を撞き、年越しをする魂胆なのでございますが。
キース 「やっと来たか。今年も残しておいてやったぞ」
全員 「「「は?」」」
キース 「大広間と廊下の大掃除だ! キリキリやれよ」
ジョミー「えーっ! 大掃除はさっき、ブルーの家で…」
シロエ 「そうです、懺悔の大掃除とかで」
キース 「大晦日に懺悔、大いに結構。掃除も修行の内だからな」
ブルー 「だよねえ? じゃあ、君たちは頑張って」
アドス 「銀青様、ようこそおいで下さいました。どうぞこちらへ」
イライザ「ぶるぅちゃんにもお菓子がありますよ」
ぶるぅ 「わぁーい!」
生徒会長、サクッと逃亡。
キース君も法要の準備に出掛けてしまい、またしても大掃除する羽目に。
ジョミー「なんでこういうことになるのさ…」
スウェナ「普通に箒で掃けばいい分、まだマシよ」
サム 「だよな、古新聞も茶殻もねえもんな」
マツカ 「広さは半端じゃないですけどね…」
宿坊の大広間と廊下、生徒会長宅のリビングの比ではございません。
無駄に広いのがお寺の空間というもので…。
ジョミー「あーあ、酷い目に遭っちゃった」
キース 「働いた後の飯は格別だろう?」
ブルー 「感謝の気持ちで年越し蕎麦だよ、坊主の基本だ」
シロエ 「あのぅ…。ぼくは坊主じゃないんですけど」
ブルー 「細かい事は気にしない!」
煩悩と共に除夜の鐘で消してしまえ、と生徒会長。
ワイワイと揉めている間に除夜の鐘の時間となりまして。
緋色の衣の生徒会長、お供を従えて鐘楼へ。
スウェナ「結局、捕まっちゃったわねえ…」
マツカ 「坊主宣言が敗因ですよね、お正月の」
シロエ 「サム先輩は自分から志願しましたけどね」
ジョミー君とサム君、法衣でお供をしております。
先導はキース君、小僧さんスタイルの「そるじゃぁ・ぶるぅ」も。
生徒会長が最初の鐘をゴーンと厳かに撞き、いよいよ年越し。
来年も良い年になりますように~!
2012/12/31 (Mon)