☆六月っぽいイベント
大騒動だった菖蒲池へのハイキングから一週間。
6月1日の土曜日ですけど、シャン学メンバーは朝から生徒会長の家へ。
ぶるぅ 「かみお~ん♪ いらっしゃい!」
ジョミー「お邪魔しまぁーす!」
キース 「で、今日は何処へ出掛ける予定なんだ?」
ぶるぅ 「えっとね、こないだの池の近くだって!」
一同 「「「えっ?」」」
それはヤバイ、と一同、硬直。
有精卵なアヒルの卵を狙うソルジャーがまた出たら…。
シロエ 「池の近くで何するんですか、ハイキングですか?」
サム 「またあいつらが来そうじゃねえかよ」
ブルー 「それは無い! 今日は絶対に大丈夫!」
まあ入って、とリビングに案内されてお茶とお菓子が。
ブルー 「今日のお出掛けは放生会だしね」
ジョミー「…ホウジョウエ……って、何さ?」
キース 「魚とかを放して殺生を戒める宗教行事だが…」
ジョミー「ぱ、パス! ぼくは絶対行かないからね!」
お寺だよね、とジョミー君はパニックでございます。
ジョミー「留守番でいいよ、それじゃ、さよなら~!」
ブルー 「待ちたまえ!」
今日のはただの観光だから、とジョミー君の首根っこを掴む生徒会長。
ブルー 「ホタル見物に行かないかい、と誘ってるんだよ」
ジョミー「……ホタル?」
ブルー 「そう。ホタルを1200匹も放すというから、綺麗かなぁ、と」
キース 「なんだ、ホタルで放生会なのか?」
ブルー 「らしいよ、観光客がお目当て」
シロエ 「ただの観光なら、例の人たちは来ませんね」
ブルー 「そこはキッチリ調べておいたよ、御利益も特に無さそうだ」
それにバロットとは真逆のイベント、と生徒会長はニッコリと。
ブルー 「殺生を戒める行事だからねえ、アヒルを茹でたい人にはね」
キース 「向いていない、というわけだな」
ジョミー「普通にホタル見物かぁ…」
それならいいかも、とお寺が苦手なジョミー君。
話はトントン拍子に決まって、放生会とやらにお出掛けするようですよ!
2013/06/01 (Sat)
☆いわくつきの場所
魚などを放して殺生を戒めるという宗教行事が放生会。
しかし今日のは放すのがホタル、どう考えても観光目当てでございます。
ブルー 「で、バスで行ってもいいんだけどねえ、途中がちょっと」
一同 「「「は?」」」
ブルー 「もしかして気付いていなかった? こないだの菖蒲池の場所」
キース 「ドライブウェイの中だったよな? どうかしたのか」
ブルー 「アレの入口って、何処にあるのか知っている?」
マツカ 「確か二ヶ所ですよね、紅葉の名所を繋ぐってことで」
ブルー 「その片方がさ、節分に行った七福神巡りの近所なんだよ」
一同 「「「……え?」」」
蘇る七福神巡りの悪夢。
行き先のお寺でも大概でしたが、道中のバスでもエライ目に。
ジョミー「ま、まさか…。あの時のバスに乗って行くわけ?」
ブルー 「そういうこと。嫌なら近くまで瞬間移動で」
菖蒲池に行った出発点から逆に歩けば、5分程度で着くらしく。
キース 「逆に行くなら、あいつらと縁も切れるだろう」
シロエ 「それにホタルなら夜ですよね?」
ブルー 「うん。暗くなってから出発だよ」
スウェナ「じゃあ、あの人たちも来ないわよね」
ブルー 「夜に山越えしてまでアヒルの卵は狙わないさ、きっと」
ジョミー「バスに乗る方が来そうだよねえ、面白がって」
ブルー 「ぼくもそう思う。…まあ、放生会だし、来ないだろうけど」
御利益も無いお寺の行事に来るわけがない、と生徒会長。
ブルー 「それじゃ瞬間移動で行こうか、バスは乗らずに」
キース 「縁起の悪いバスは避けたい。よろしく頼む」
ぶるぅ 「うん! ブルーと二人でパパッとね」
軽く晩御飯を食べて行こうよ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
シャン学メンバー、ダラダラ過ごして、日が暮れて。
ブルー 「ぶるぅ、そろそろ行こうか」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ しゅっぱぁ~つ!」
タイプ・ブルーならではの裏技で移動。
夕食を終えた一同、菖蒲池へと続く登山口の近くに出現です~!
2013/06/02 (Sun)
☆外道な銀青様
やって来ました、先日のハイキングの折の登山口。
郊外の住宅地の外れとあって人影も無く、街灯だけがポツリポツリと…。
キース 「昼間の印象とはだいぶ違うな、ここでもホタルがいそうだぜ」
ブルー 「いるかもね。そこに谷川も流れてるしさ」
どれどれ、と川辺を覗き込んでみるシャン学メンバー。
確かにホタルっぽい光が二つ、三つ。
ジョミー「うわぁ、本物! いい感じだね」
サム 「こんなのが1200匹ならすげえだろうなぁ」
シロエ 「楽しみになってきましたよ。で、どう行くんですか?」
ブルー 「反対側だと言っただろう? こっちだってば」
家が点在する田舎道を歩くこと5分ほど。
如何にもお寺といった感じの鬱蒼と茂った木々と立派な土塀が。
マツカ 「なんだか裏口っぽいですね」
ブルー 「モロに裏口だよ。拝観料をケチるなら、こっち」
一同 「「「は?」」」
ブルー 「正面から行けばバッチリ取られる。しかも割増料金で」
夜間拝観で昼間の倍額、と言われて一同、軽く衝撃。
キース 「倍額か…。それはキツイな」
ブルー 「だから裏口がお勧めなんだよ」
スウェナ「でも…。ちゃんとゲートがあるみたいだけど」
ジョミー「思いっ切り柵がしてあるよね?」
お寺の裏口、広い庭への入口のようでございますが。
「犬などの散歩お断り」の張り紙と共にガッツリ、門扉が。
サム 「お坊さんが番をしてるじゃねえかよ、料金所も」
ブルー 「平気、平気。…銀青じゃなくても楽勝なのさ」
黙って後ろについて来るように、と生徒会長、門に向ってスタスタと。
お坊さん「ようこそいらっしゃいました。チケット販売はそちらです」
ブルー 「えーっと、表のバス停に行くんだけど…」
お坊さん「し、失礼しました、ご町内の皆さんでしたか」
ブルー 「うん。今夜は何かイベントなのかな?」
通らせて貰うね、と大嘘をかませばアッサリ開いた有料ゲート。
地元民は通行自由な場所らしいですが、これが高僧のやることだとは…。
2013/06/03 (Mon)
☆放生会の舞台へ
地元民のふりをして料金を払わず、先頭に立って境内に入った生徒会長。
シャン学メンバーもビクビクしながらゲートを通過で。
キース 「あんた、思い切り無茶するな」
ブルー 「別に? ここの老師とも知り合いなんだよ、だから知ってた」
お寺の裏側に位置する集落、農業用水を一手に管理しているのだとか。
その水を庭池に使っているだけに、お寺の立場は非常に弱く。
ブルー 「下手にもめると水を止めるぞって言われるらしいね」
ジョミー「止められちゃったらどうなるわけ?」
ブルー 「自慢の庭池が見事に干上がる。観光名所が台無しさ」
ほらあそこ、と指差す先には広大な池が。
お月見の季節には舟を浮かべたりもするそうで。
シロエ 「干上がっちゃたら大惨事ですね…」
ブルー 「お月見なら商売上がったりだよ、乗船券で稼ぐんだから」
サム 「知ってて脅すのかよ、地元民って」
ブルー 「らしいね。通行料をタダにするくらいは当然だってさ」
入ってしまえばこっちのものだ、と生徒会長、境内を抜けて表の方へ。
「放生会の会場はこちら」と大きな看板が出ております。
ぶるぅ 「えとえと…。池でやるんじゃないの?」
ブルー 「放生会は一応、法要だしねえ…。中庭なんだよ」
シロエ 「混んでいますよ、前の方とか一杯ですけど」
ブルー 「うーん…。ここまで混むとは思わなかったなぁ」
銀青を名乗れば関係者席に行けるんだけど、と生徒会長は思案中。
コッソリ緋色の衣に着替えるくらいは、恐らく楽勝なんでしょうけど。
ジョミー「それはパス! 関係者席ってお坊さん用だよね?」
ブルー 「もちろんさ。お坊さんと、その知り合いって所かな」
ジョミー「絶対嫌だ! 見えにくくっても後ろで充分!」
キース 「俺は関係者席でも気にしないんだが…」
ジョミー「坊主反対! ぼくはあくまで観光客!」
後ろでいい、と満員の庭の隅っこに陣取るジョミー君。
仕方なく付き合うシャン学メンバー、ホタルを堪能出来るのでしょうか?
2013/06/04 (Tue)
☆いよいよ放生会
首尾よく入り込んだ放生会の舞台となる中庭。
しかし思った以上の混雑ぶりで、法要が行われている辺りは見えません。
ブルー 「本当に此処でいいのかい? ホタルはお堂の前なんだけど」
キース 「だろうな、放生会なら読経が最優先だし」
サム 「見えねえじゃねえかよ、前に行かせて貰おうぜ」
ブルーに頼んで関係者席、とサム君も言っておりますけれど。
ジョミー「嫌だってば! それに放したら見えると思うし!」
シロエ 「飛ぶでしょうから、見えるでしょうけど…」
スウェナ「でもホタルって小さいわよ? 大丈夫なの?」
ジョミー「1200匹も放すんだからさ、見えるって!」
キース 「満月と星を比べるようなもんだと思うがな…」
見えればいいが、とキース君。
キース 「オペラグラスを持ってくるべきだったぜ」
マツカ 「そうですよね…」
此処からはかなり見えにくそうです、とマツカ君も同意見。
それでもジョミー君は梃子でも動かず。
ブルー 「あ、そろそろかな。お経が終わるよ」
キース 「そのようだな」
ぶるぅ 「わぁっ、真っ暗~!」
ワッとどよめく観光客。
読経終了と共に、庭のライトもお堂の明かりも消されまして。
観光客 「「「わぁ~~~っ!!!」」」
ぶるぅ 「すっごーい!」
ブルー 「綺麗だねえ…。来た甲斐があったな」
ジョミー「えっ、何処、何処!?」
ブルー 「本堂の前だよ、一斉に上に飛んで行くけど?」
キース 「………。シロエ、見えるか?」
シロエ 「え、えーっと…。なんとなく……ですか……?」
スウェナ「チラチラと何か見えてる……かしら?」
サム 「わわっ、誰だよ、フラッシュ焚いてるヤツはよ!」
あちこちで光るカメラのフラッシュ。
ブルー 「分からないかな、ほら、池の方へ」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ みんな飛んで行くね!」
とっても綺麗、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」は大喜びで跳ねていますが。
サイオンを使いこなせていないシャン学メンバー、絶望的な状況かも…。
2013/06/05 (Wed)
☆見損ねたホタル
照明が消されて空に放たれたホタル、1200匹。
美しい光景らしいのですけど、シャン学メンバーにはサッパリ見えず…。
キース 「こんなオチじゃないかと思ったぜ」
シロエ 「皆さん、引き揚げて行きますよ…。終わりみたいですね」
サム 「一匹も見えなかったじゃねえかよ、ジョミーのせいで」
ジョミー「…ご、ごめん…。でも、この辺、誰も見えていないと思う」
スウェナ「他の人たちはどうでもいいのよ、問題は私たちなのよ!」
コネを使えば関係者席に行けたのに、とスウェナちゃん。
スウェナ「チャンスを逃したって分かってる? せっかく来たのに…」
マツカ 「ちょっと残念でしたよね…」
ジョミー「悪かったってば! あ、そうだ。池に行ったら見られるかも」
キース 「どうだかな…。生き物ってヤツは気まぐれだぞ」
ブルー 「キースが正しい。池の向こうは田んぼなんだよ」
田植えシーズンで水がたっぷり、と生徒会長は申しております。
ブルー 「ホタルは流れている水が好きなんだ。そっちへ行くさ」
ジョミー「それじゃ、今から池に行っても…」
ブルー 「1200匹は絶望的! 全くいないわけでもないけど」
ダメ元で行くだけ行ってみよう、と池の方へと戻ってみれば。
サム 「ホントだ、殆ど飛んでいねえぜ。しかも遠いし」
キース 「来る時に見た川の方がまだマシだったような気がするな」
シロエ 「凄く近くにいましたしねえ…」
ぶるぅ 「えとえと、あそこでホタルを見てから帰る?」
スウェナ「そうねえ、バスには乗らないのよね?」
ブルー 「節分のルートを逆に辿りたくないならね」
ホタル見物のリベンジがてら瞬間移動で帰ろうか、と生徒会長。
ブルー 「ホントに迫力だったんだけどねえ、1200匹」
ジョミー「関係者席は嫌だったんだよ!」
キース 「帰りの道に期待するか…」
シロエ 「数が増えてるといいんですけど…」
二、三匹では迫力不足、と誰もが思っているようです。
果たしてリベンジといきますかどうか…。
2013/06/06 (Thu)
☆リベンジもアウト
ジョミー君がゴネたばかりに、ホタルを見損ねたシャン学メンバー。
放生会の後に池に行ってもロクにいなくて、帰りに期待でございますが。
キース 「あまり増えてる予感がしないな…」
ブルー 「ちょっと天気が良すぎるからねえ、ホタルにはちょっと」
スウェナ「そういうものなの?」
ブルー 「多いのはやっぱり雨の前後だよ、どうやら湿気が好きらしい」
今夜のような星空では…、と言われたとおりに、やはり結果は。
サム 「来た時と変わらねえじゃねえかよ、増えていねえぜ」
ジョミー「で、でもさ、近くで見られるしさ!」
シロエ 「そこだけですよね、マシなポイント」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ホタルさん、飛んできたよ!」
ふわふわ飛んで来たホタルが一匹。
すぐ目の前の木の枝に止まって静かに明滅しております。
マツカ 「いいですねえ…」
キース 「青楓だしな、なかなか風情が」
ブルー 「どうせなら一句捻ってみるかい?」
キース 「いや、謹んで遠慮しておく。…あんたには敵わないからな」
銀青様にお見せ出来るような名句は無理だ、とキース君。
生徒会長はクスクスと…。
ブルー 「ホタル狩り つわものどもが 夢の跡…ってね」
キース 「まさにそういう心境だぜ。誰かのせいでな」
ジョミー「ホタル狩りじゃなかったし! その逆だし!」
サム 「見苦しいぜ、ジョミー。結果が全てってよく言うよな」
ジョミー「一匹も見られなかったわけじゃないから!」
ここに一匹、あっちに二匹、と言われましても。
シロエ 「行きたかったですねえ、関係者席…」
スウェナ「1200匹を放す瞬間って大迫力よね、残念だわ…」
ジョミー「…で、でも…。関係者席は嫌だったし…」
ブルー 「まだブツブツと言ってるし! さあ、諦めて帰ろうか」
ぶるぅ 「うんっ! ホタルさん、バイバ~イ♪」
せめて記念に、とホタル一匹を写真に収めて谷川にサヨナラ。
リベンジの夢もあえなく消えて、ホタル見物は空振りのようですねえ…。
2013/06/07 (Fri)
☆ホタルを見るなら
菖蒲池への登山口の脇の谷川にも、一応、ホタルが。
増えていればと願って戻れど、不発に終わって瞬間移動で帰るしかなく。
ぶるぅ 「かみお~ん♪ みんな、お疲れ様~!」
キース 「ああ、思い切り疲れたぜ。…無駄足とはな」
ブルー 「悪いね、混むと分かっていたら早めに家を出たんだけれど」
シロエ 「会長のせいじゃないですよ!」
サム 「うんうん、関係者席に行こうかって言ってくれたしな」
行けなかったのは誰かのせいだ、とジョミー君に集中する視線。
リビングの空気、体感温度は氷点下っぽく。
ジョミー「さ、最初から嫌だって言ったのに…。お寺だったし…」
スウェナ「我慢しなさいよ、お坊さんでしょ!」
ジョミー「名前だけだし! ブルーが勝手につけただけだし!」
ブルー 「見苦しいねえ…。まあ、最悪のコースは免れたけどさ」
一同 「「「は?」」」
ブルー 「バカップルだよ。ブルーたちが来てたらホントに最悪」
キース 「それはそうかもしれないな…」
ホタル見物どころか逆に見物される側、とキース君。
キース 「あれだけの人が集まる所でバカップルは困る」
ブルー 「イチャイチャだけで済めばいいけど、喋るからねえ」
絶対に何か余計なことを、と言われて深く頷く一同。
キース 「こないだの菖蒲採りの思い出話とか、そういうのだな」
ブルー 「でなきゃアヒルの卵だよ。来なかっただけで有難い」
ジョミー「じゃ、じゃあ、ホタルを見られなくっても無罪だよね?」
キース 「うるさい、お前は有罪だ!」
ホタル見物は別件だ、とキース君が噛み付き、他の面子も。
サム 「1200匹のホタルなんて何処で見られるんだよ、観光以外で!」
シロエ 「そういうツアーに参加したって難しいですよ!」
ブルー 「うーん…。そういえば観光という手があったか」
一同 「「「観光?」」」
なにも放生会にこだわらなくても、と生徒会長は考え中。
もしやホタル見物のツアーか何かに、楽しくお出掛け出来るとか?
2013/06/08 (Sat)
☆ホタルな吉日
1200匹のホタルのリベンジ。
観光という手があったか、と考え込んでいる生徒会長に誰もが期待で…。
キース 「この時期、ツアーは沢山出ているな」
シロエ 「でも1200匹は運が良くないと…」
サム 「だよなぁ、ツアーで行けるような場所だと少なそうだぜ」
マツカ 「お花見に行った別荘の近くにもいるんですけど…」
数が多くはないんですよね、とマツカ君。
水源に近い山奥だけに川は綺麗でも水量が少なく、ホタルも少なめ。
ジョミー「そ、そうなんだ? ホタルって難しかったんだ…」
スウェナ「さっきの川でも少なかったでしょ! あんなものなのよ」
サム 「お前がグダグダ言わなかったら見られたんだぜ、関係者席で」
キース 「まったくだ。何処でも見られるわけじゃないのに…」
この馬鹿が、とキース君に睨まれ、他の面子もブツブツ文句。
生徒会長は沈思黙考しておりましたが…。
ブルー 「1200匹は無理かもだけど、ホタルの乱舞で良かったら」
シロエ 「バスツアーですか?」
ブルー 「それだと運に左右されるよ、ホタルの数は日によって違う」
サム 「今日みたいな感じで出掛けるのかよ?」
ブルー 「そうなるね。まずは吉日を選ぶトコから!」
一同 「「「吉日?」」」
ブルー 「出来れば雨の翌日あたりで、その日は晴れな週末かな」
雨も大雨ではダメなのだ、と生徒会長。
ブルー 「川が濁るとホタルが減るしね。シトシト降るのが理想だよ」
キース 「吉日も何も、ぶっつけ本番しか無さそうだが?」
シロエ 「それとテルテル坊主でしょうか…」
ブルー 「甘いね、ぼくを誰だと思っているのさ」
見事に吉日を選んでみせる、と生徒会長は得意げで。
キース 「あんた、晴れ乞いの祈祷も出来たのか?」
シロエ 「会長だったら出来そうな気も…」
ブルー 「ふふ、それどころじゃないってね。もっと確実、絶対安心!」
生徒会長、自信満々ですけれど。
晴れ乞いよりも確実だなんて、凄い秘法でもあるのでしょうか?
2013/06/09 (Sun)
☆犯罪者に仏罰
ホタルを見るならシトシト雨の翌日がお勧め、と生徒会長。
しかも週末を狙いたいとかで、絶対確実に選ぶ方法があるそうですけど。
ブルー 「ただ、ちょっと時間がかかるんだよね」
キース 「そうだろうな。護摩を焚くなら準備も要るし」
サム 「護摩焚きかぁ…。カッコいいよな、暑そうだけど」
キース 「俺たちの宗派は基本は護摩は焚かないが…」
ブルー 「今どきは璃慕恩院でもやっているしね、そこは平気さ」
シロエ 「でも…。まずはシトシト雨から始める必要があるんじゃあ?」
大雨だと川が濁るんですよね、とシロエ君。
晴れ乞いどころか雨量の調整まで必要となると、どうなることやら。
ブルー 「まあ、任せてよ。本当に絶対確実だから!」
キース 「分かった、期待しておこう。で、今日の所は解散か?」
ブルー 「うん。瞬間移動で家まで送るけど、その前に」
そこの犯罪者を殴るならどうぞ、と出ました、ハリセン。
ジョミー「ちょ、ちょっと待ってよ!」
キース 「やかましい、全部お前のせいだろうが!」
ブルー 「ハリセンが嫌ならコレもあるけど?」
どうぞ、と差し出された木魚を叩く棒。
専門用語で『バイ』と呼ばれるアイテムです。
キース 「こっちの方がいい音がするかもしれないな」
サム 「フルボッコって感じだよな」
ジョミー「そ、そんなぁ…!」
ブルー 「黙って殴られておくんだね。ハリセンでもバイでも」
帰る人から順番に、と生徒会長、止める気も無し。
サム 「おーし、覚悟しろよ、ジョミー!」
ジョミー「わぁぁぁーーーっ!」
ボコッと鈍いバイの音。
キース 「なるほど、バイが良さそうだな」
ジョミー「や、やめてよ、コブが出来るってば!」
キース 「問答無用! 成仏しやがれ!」
シロエ 「あっ、キース先輩、ぼくの分もよろしくお願いします!」
先輩の頭を殴るのはちょっと、とシロエ君、遠慮しておりますが。
殴らないという選択肢が無いという辺り、なんともシビアな話です…。
2013/06/10 (Mon)
☆晴れ間を予測
ホタル見物をフイにし、木魚を叩く棒でフルボッコにされたジョミー君。
翌日の日曜日も、生徒会長宅でまだブツブツと。
ジョミー「なんか痛いんだよ、この辺とかさ」
キース 「何十発も殴っていないだろうが! それともアレか?」
読経に合わせて叩いた方が良かったのか、とキース君はニヤリ。
キース 「阿弥陀経でも無量寿経でも観無量寿経でもOKだが?」
サム 「読経フルコースかよ、それもいいよな」
俺たちの恨みは深いんだぜ、と凄まれたジョミー君は真っ青で。
ジョミー「い、要らない! 昨日の分で充分だし!」
スウェナ「でもねえ…。ホントに残念だったのよねえ…」
シロエ 「1200匹のホタルですもんね。後は会長に期待するしか…」
ブルー 「ちょうどいい日が見付かったけど?」
22日の土曜日でどうだい、とカレンダーを指差す生徒会長。
ブルー 「金曜日までが梅雨空らしい。それもシトシト毎日、毎晩」
キース 「…そんな先まで天気予報が出ていたか?」
ブルー 「絶対確実な吉日を選ぶと言っただろう? だから完璧」
シロエ 「気象庁のスーパーコンピューターの予測とかですか?」
まさかハッキングをしたんじゃあ、とシロエ君、尊敬の眼差しです。
シロエ 「会長にもその手の趣味があったとは知りませんでした」
ブルー 「やろうと思えば出来るけどねえ、あれもどうだか…」
コンピューターの予測も外れる時には外れまくりだそうでして。
ブルー 「そんな機械に丸投げするより、ぼくの女神だ」
一同 「「「は?」」」
ブルー 「フィシスの占いは外れない。22日は晴れるってさ」
サム 「フィシスさんかぁ…。じゃあ、当たりだよな」
キース 「そんな方法だったのか? 晴れ乞いとかの祈祷じゃなくて」
ブルー 「ぼくは面倒は嫌いなんだよ、晴れ乞いだって出来るけどね」
楽が出来るのが一番いい、と生徒会長、大きく伸びをしております。
とんだ裏技もあったものですが、吉日さえ選べれば特に問題ないのかも?
2013/06/11 (Tue)
☆ホタルの穴場
ホタルを見に行くなら22日の土曜日が吉、とフィシスさんからの御託宣。
なにしろ占いの名手ですから、外れる心配はありません。
ブルー 「というわけでね、22日はホタル見物!」
キース 「何処へ行くんだ? 観光だとか言っていたが」
シロエ 「名所は何処も混みますよ? ツアー客とかで」
ブルー 「ところが穴場があるんだな。名所には違いないけどさ」
マツカ 「何処か田舎の方ですか?」
ブルー 「違うね、同じアルテメシアだ」
スウェナ「そんな所があったかしら?」
ブルー 「この前の菖蒲池からドライブウェイを抜けた先の方に」
紅葉と言えば其処が有名、と生徒会長は人差し指を立てております。
ブルー 「あそこに川があるんだよ。その辺りにはけっこう多くて」
キース 「しかし旅館も無かったか? ついでに寺も有名なのが」
マツカ 「そういえば…。その旅館、この季節にはホタルが売りですよ」
青楓の下に仮設の御座敷をしつらえてホタル見物、とマツカ君。
川魚料理とセットで人気があるのだそうです。
マツカ 「泊まりの人以外にもツアーバスとかが出ていた筈です」
サム 「だったら穴場じゃねえよな、それ」
キース 「混雑するとまではいかないだろうが、観光客は多めかもな」
ブルー 「誰が旅館に行くと言った? あそこには自然歩道があって」
一同 「「「自然歩道?」」」
ブルー 「川沿いにどんどん下って行けば、ホタルの名所がもう一つ」
そっちはマイナーで人も少ない、と生徒会長はニコニコと。
ブルー 「なにしろ心霊スポットだから」
一同 「「「心霊スポット!?」」」
ブルー 「そこへ行く途中のトンネルが…ね。自動車用の」
ジョミー「もしかしてアレかな、信号が赤から変わらないってヤツ」
サム 「青に変わって入ったら最後、出るんだっけか?」
ブルー 「自然歩道とは別のルートだし、全く関係ないんだけれど」
一同 「「「で、でも…」」」
よりにもよって心霊スポット。
そんな所でホタル見物?
2013/06/12 (Wed)
☆名所を貸し切り
生徒会長が言い出したホタルの穴場。
マイナーで人が少ないとはいえ、なんと途中のトンネルが心霊スポット。
シロエ 「な、何も、出ると評判の所に行かなくっても…」
キース 「あのトンネルは有名だぞ? いくらあんたが高僧とはいえ…」
心霊スポットでホタル見物は賛成できない、とキース君も。
しかし…。
ブルー 「自然歩道とは関係ないって言っただろう? 自動車専用!」
マツカ 「ドライブウェイの入口を入らずに北へ進むんでしたっけ?」
サム 「その筈だぜ。肝試しの定番って話だよな」
ブルー 「だからその道は通らないってば、川沿いに下るだけだから」
それにトンネルの出口まで行ったら負けなのだ、と生徒会長。
ブルー 「心霊スポットにも迂回路はある。山越えの道があるんだよ」
キース 「そっちの峠も運が悪いと出ると聞いたが」
ブルー 「トンネルも峠も気にしないって人はいるからねえ…」
霊感ゼロなら問題無し、と生徒会長は申しております。
ブルー 「人が少ないからこそ穴場と言える。そこそこ人は来るんだよ」
サム 「マジかよ、俺は絶対ごめんだけどな」
スウェナ「私も心霊スポットは嫌だわ」
ブルー 「出口まで行ったら負けと言ったろ、目指すのは途中!」
一同 「「「途中?」」」
ブルー 「自然歩道は長いんだ。夜に歩く人はまずいない」
歩きながらホタルを見放題、と生徒会長はニッコリと。
ブルー 「出発点も終点もホタルの名所なんだしね。途中も凄いさ」
キース 「なるほどな…。人もいなくて貸し切りなのか」
ブルー 「そういうこと! ついでに捕まえてもバレないし」
一同 「「「捕まえる?」」」
ブルー 「1200匹とまでは行かなくっても、虫籠に入れたら綺麗だよ」
マツカ 「文字通りホタル狩りですね」
ブルー 「ただ見てるよりも素敵だろう?」
一同 「「「いいかも…」」」
夜の自然歩道を散歩しながらホタル狩り。
1200匹のホタルのリベンジ、これなら充分すぎるかもですよ~!
2013/06/13 (Thu)
☆放生会のリベンジ
ホタルの名所を繋ぐルートを歩くというのが生徒会長のプラン。
自然歩道だけに他に人はおらず、ホタルも捕まえられそうということで。
サム 「最高だぜ、それ! 流石ブルーだよな」
キース 「しかもホタルの多そうな日に、か。期待できそうだ」
シロエ 「でも、ホタルって確か捕まえたらダメなんじゃあ…」
マツカ 「看板があったと思いますよ。捕獲禁止って」
ブルー 「だからバレないって言っただろう? バレなきゃ平気さ」
1200匹は無理でも沢山集めて放せばいい、と生徒会長。
ブルー 「持って帰ろうってわけじゃないしね、放生会のリベンジ」
ジョミー「ホント!? だったら頑張るよ!」
スウェナ「誰かさんのせいで見そびれたものねえ…」
サム 「だけどよ、どうせなら俺も捕まえてえなあ」
シロエ 「ぼくもです! ホタル狩りって言葉はあっても無理ですし」
キース 「そうだな、紅葉狩りと同じで見るだけだしな」
ブルー 「キノコ狩りみたいに捕りまくりたいって?」
サム 「おう! ジョミーだけには楽しませないぜ」
俺も捕るんだ、俺も、ぼくも、とシャン学メンバー、大騒ぎ。
ブルー 「やれやれ…。でもまあ、それも楽しいよね」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ぼくもホタルさん、捕まえる!」
サム 「あっ、サイオンは無しで頼むぜ?」
シロエ 「一網打尽じゃつまらないですしね」
ブルー 「そこはぶるぅも心得てるさ。普通に虫捕りするんだよね?」
ぶるぅ 「うんっ! 虫籠、買ってね♪」
おっきいのがいいな、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」はワクワクで。
ブルー 「オッケー、道具はぼくが用意しておこう」
キース 「で、例によって瞬間移動で行くのか?」
ブルー 「当然さ。あそこはド田舎でバスが少な過ぎ」
ぶるぅ 「晩御飯食べてからお出掛けしようね!」
ブルー 「料理旅館しかない場所だからね」
22日をお楽しみに、と生徒会長はニコニコと。
フィシスさんの予言がバッチリ当たれば、ホタル見物にお出掛けです~!
2013/06/14 (Fri)
☆予言に感謝を
1200匹ものホタルを見損ねた放生会のリベンジ、計画中。
ホタルを捕まえに行こうと目論むシャン学メンバー、ドキドキの日々で。
サム 「今日までの予言は当たりまくりだよな」
シロエ 「ええ、土曜日までの予報も予言どおりです」
キース 「21日までで雨が上がって、22日は午後から晴れ、と…」
ブルー 「ね? フィシスの予言はバッチリだろう?」
今日もシトシト梅雨空だしね、と生徒会長は得意げです。
ブルー 「天気図を見ても大雨になりそうな雰囲気は無いし」
ジョミー「よ、良かったぁ…。22日がコケたら、ぼく、どうなるか…」
サム 「決まってるじゃねえか、タコ殴りだぜ」
キース 「俺の家で使っているバイを持って来てやるぞ、特別に」
バイというのは木魚を叩く棒の専門用語。
元老寺の木魚、お寺用だけにサイズが大きく、バイも当然大きくて。
ジョミー「やめてよ、あんなので殴られたら最悪だよ!」
キース 「そうならないで済みそうなんだ、大いに感謝しておけよ」
ブルー 「日を選んでくれたフィシスにもね」
フィシスの好物は此処のお菓子で…、とパンフを取り出す生徒会長。
ブルー 「コレとコレとが特に好きかな、詰め合わせは自由に選べるし」
ジョミー「へ?」
ブルー 「分かってないねえ、御礼を贈れと言ってるんだよ」
ジョミー「フィシスさんの住所、知らないんだけど…」
ブルー 「当たり前だよ、教える気は無い」
ジョミー「じゃあ、無理だし!」
ブルー 「ぼくと同じマンション住まいだ、マンション宛で届くのさ」
管理人さんが部屋まで届けてくれる、と生徒会長はニッコリと。
ブルー 「というわけでね、金額的にはこのくらいで」
ジョミー「…えっ…。そ、そんなに贈るの、ぼくのお小遣い…」
ブルー 「フルボッコの方が良かったのかい?」
ジョミー「うっ…。お、贈らせて頂きますっ!」
お小遣い全額吹っ飛ぶけれど、と泣きの涙のジョミー君。
ホタル見物はタダなんですから、御礼くらいは贈りましょうね!
2013/06/15 (Sat)