☆安全圏な七月一日
今日から七月。キリよく月曜日、週明けというヤツでございます。
出席義務の無いシャン学メンバー、放課後目当てに本日も揃って登校で。
ぶるぅ 「かみお~ん♪ いらっしゃい!」
ブルー 「授業、お疲れ様。そろそろ殺気立ってくる季節だねえ」
ジョミー「ぼくたちのクラス以外はね」
キース 「違いない。俺たちのクラスは平和なもんだ」
期末試験が近付いてきて、シャングリラ学園の空気はピリピリ。
全員満点を約束された1年A組だけが、お気楽極楽。
サム 「ブルーが試験に来てくれるだけで全員満点なんだもんなぁ」
シロエ 「会長によろしく、と言われましたよ。それに、ぶるぅも」
スウェナ「ぶるぅの力だと思われてるものね、満点の御利益」
マツカ 「サイオンは表に出せませんしね…。ぶるぅはともかく」
ブルー 「ふふ、そこが平和の秘訣ってね。表に出すのはまだ早い」
あっちのブルーの世界のようなのは勘弁だ、と生徒会長。
キース 「SD体制な…。しかし噂をしてると来るぞ」
ブルー 「今日は安全圏だと思う。明日はどうだか知らないけどさ」
サム 「何か根拠があるのかよ?」
ブルー 「……ホタルイカの漁期」
一同 「「「は?」」」
ブルー 「ホタルイカは漁期が決まってるんだ。昨日でおしまい」
毎年3月から6月なのだ、と生徒会長は申しております。
ブルー 「だから昨夜は絶対、行ったと思うんだよ」
キース 「オスのホタルイカとやらを探しにか?」
ブルー 「うん。その先は想像つくだろう?」
シロエ 「そういうことなら、まず来ませんね」
サム 「特別休暇を取ってやがるのは間違いねえよな」
ブルー 「ホタルイカのオスが見付からなくても、それなりに…ね」
一同 「「「あー…」」」
ブルー 「だから来ないよ、平和を満喫しておこう」
キース 「もう夏休みも目前だしな…」
夏休みが来たらバカップルが湧くのは確実。
いつまで平和か分かりませんけど、とりあえず七月初日は大丈夫かな…?
2013/07/01 (Mon)
☆その後のバカップル
ホタルイカとホタルを勘違いしていたソルジャー夫妻。
間違いに気付いた後は二度と現れず、無事に七月を迎えられたわけで…。
ジョミー「もしかして毎日行ってたのかな、ホタルイカを捕りに」
ブルー 「どうだろうねえ…。自力で捕ったとは思えないけど」
相手は海の中なんだし、と生徒会長。
ブルー 「漁船に紛れ込んで網の中身をゴッソリ失敬していそうだよ」
キース 「その線だろうな、恐らくな…」
シロエ 「で、漁が昨日でおしまいですか…」
サム 「マジで明日以降が怖くねえか?」
ブルー 「考えたら負けだよ、気分がどんよりしてくるよ?」
今日の空みたいに、と言われて、一同、納得。
ホタル狩りの日とは打って変わって梅雨模様で雨となっております。
ジョミー「あれから雨の日が多かったけどさ、雨でも漁はしてたわけ?」
ブルー 「漁師は元々濡れる仕事だし、海が荒れなきゃ出漁だよね」
スウェナ「なのに横から掠め盗られるのね、ホタルイカを」
シロエ 「あの樽、特大でしたもんねえ」
ブルー 「そりゃねえ、四斗樽だしね? あれだけ捕っても1匹か2匹」
サム 「なんでそんなにレアなんだよ?」
偏りすぎだ、とサム君の疑問。
誰もが回避していた話題なだけに、レアものは謎のままでして。
ブルー 「ホタルイカ漁の頃には大部分が死んじゃってるって話だよ」
キース 「そうだったのか?」
ブルー 「漁期の頃が産卵期なんだ。メスが卵を産みにくるわけ」
ジョミー「じゃあ、オスはそれまでに用済みってこと?」
ブルー 「うん。根性で生き残っているオスしかいない勘定かな」
キース 「妙な効き目が噂されるわけだな」
あの連中が狙いに来るような、とキース君。
キース 「だとしたら、効いても不思議はないか…」
ブルー 「効いたと思うよ、殴り込みに来ない所を見ると」
効かなかったら殴り込みだ、と生徒会長が呻き、誰もがブルブル。
特別休暇を取っているっぽいソルジャー夫妻、効果抜群で満足ですよね?
2013/07/02 (Tue)
☆七夕な日曜日
超がつくレアもの、ホタルイカのオス。
生きたまま飲めばビンビンのガンガンらしいですけど、どうなったやら。
サム 「あいつ来ねえな、平和だけどよ」
ブルー 「お蔭でのんびり出来るじゃないか。平和な土曜と日曜日!」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ みんなで飾り付け、出来たしね!」
晴れるといいなぁ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
今日は七夕、7月7日の日曜日。生徒会長の家に立派な笹が。
ブルー 「悪いね、マツカ。わざわざ届けて貰っちゃって」
マツカ 「いえ、そんな…。ちょうどいい笹が見付かって良かったです」
キース 「で、今日は短冊を書いて吊るすわけだな」
ジョミー「なんで昨日じゃダメだったわけ? 昨日、飾ったのに…」
笹を飾ったら短冊も、というのはもっともな意見。
何処のお宅の七夕飾りも、短冊とセットのようですけども。
ブルー 「こだわりなんだよ、ぼくなりの…ね。ぶるぅ、用意は?」
ぶるぅ 「準備オッケー! 墨を磨ったらすぐに書けるよ♪」
出て参りました、生徒会長ご自慢の硯や筆など。
これまた高価そうな水差しから「そるじゃぁ・ぶるぅ」が硯に水を。
ぶるぅ 「えとえと…。このくらいでいい?」
ブルー 「ありがとう。実は、この水が大切なんだな」
シロエ 「名水ですか?」
ブルー 「違うよ、ぶるぅと朝一番で集めて来た。マザー農場で」
一同 「「「は?」」」
ブルー 「あそこのサトイモ畑は広いからねえ、もうたっぷりと」
ジョミー「サトイモ…?」
なんじゃそりゃ、とキョトンとしているシャン学メンバー。
生徒会長は墨を磨りながら。
ブルー 「サトイモの葉に溜まった朝露を集めて書くのが正式でね」
ぶるぅ 「お願い事が叶うんだって!」
ブルー 「本来は字の上達祈願なんだけど…。他の事にも効きそうだし」
キース 「それで短冊は今日だったのか…」
ブルー 「同じ書くなら効き目だよ、うん」
叶いますように、と生徒会長、墨を磨り磨り。
七夕の短冊、効果が期待できそうです~!
2013/07/03 (Wed)
☆短冊いろいろ
生徒会長こだわりの七夕の短冊。
サトイモの葉に溜まった朝露を集めて墨を磨り、お願い事を書くそうで。
ブルー 「さてと…。墨は磨れたし、後は自由にお願い事をね」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ぼく、いっちば~ん!」
アヒルちゃん色の短冊だもん、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」は黄色の短冊。
筆を持ち、平仮名で可愛らしく。
ジョミー「りょうりがじょうずになりますように…?」
サム 「もう充分だと思わねえか?」
ぶるぅ 「ううん、まだまだ足りないの! もっと頑張る!」
キース 「実に素晴らしい志だな。そう書かれるとウッカリ書けんか…」
ジョミー「何を書くつもりだったのさ?」
キース 「いや、なんでもない」
気にしないでくれ、とキース君は笑っておりますが。
ブルー 「スクーターの許可が下りますように、だよね?」
一同 「「「スクーター?」」」
キース 「うわ、こら、バラすな!」
シロエ 「本当にスクーターだったんですか…」
先輩、語るに落ちてますよ、とシロエ君。
お願い事がスクーターとはこれ如何に、と誰もが注目。
キース 「悪かったな! アレに乗れたら月参りがうんと楽になるんだ」
ブルー 「今は基本が自転車だしねえ…。遠くだと公共の交通機関で」
サム 「そういうことかよ、切実かもなぁ」
キース 「しかし、ぶるぅの短冊の後にスクーターはな…」
真面目にやる、と筆を持ったキース君、サラサラと。
マツカ 「…教頭先生から一本取れますように……ですか?」
キース 「やはり志は高くないとな」
スウェナ「お経じゃないのね」
キース 「そこは突っ込まないでくれ…」
ブルー 「男心は複雑らしいよ。さあ、君たちもどんどん書いて」
一同 「「「はーい!」」」
サッカー上達とか、キース先輩から一本とか。
どれが誰のか、名前を見ずとも丸分かりなのが次々と。
ブルー 「いいねえ、これぞ七夕ってね」
きっと叶うよ、と生徒会長は笑顔ですけど。
この人は何と書く気でしょうか…?
2013/07/04 (Thu)
☆七夕様にお願い
願い事が叶うと伝わるらしい、サトイモの葉に溜まった朝露を使う短冊。
シャン学メンバー、生徒会長が磨った墨でお願い事を書きまして。
シロエ 「会長は何をお願いするんですか?」
サム 「秘密じゃねえのか、内緒のお願いってありそうだぜ」
ジョミー「でもさぁ、七夕の短冊だよ? 吊るしたらバレると思うけど」
モロに飾りだ、と笹を指差すジョミー君。
色とりどりの短冊を吊るすのも七夕飾りの花でございます。
スウェナ「名前を書かずに吊るしておいても分かるわよねえ?」
マツカ 「みんな名前を書きましたしね」
キース 「いや、待て。文字にシールドをかけてくるかもしれないぞ」
一同 「「「あー…」」」
その手があったか、と、一同、ガックリ。
生徒会長のお願い事は非常に気になるところですが。
ブルー 「七夕様にお願いするのにシールドはねえ…。流石にダメだろ」
キース 「そうなのか?」
ブルー 「阿弥陀様に置き換えて考えてごらんよ、マズくないかい?」
真っ白な卒塔婆はアリなのか、と訊かれたキース君、ウッと詰まって。
キース 「そ、それは…。阿弥陀様には読めるんだろうが、真っ白は…」
ブルー 「門前払いを食らいそうだろ、阿弥陀様がご覧になる前に」
キース 「墓に置くのも躊躇われるな…。何も書かれていないのではな」
ブルー 「御住職と喧嘩して書いて貰えませんでした、って感じだしね」
それと同じで七夕の短冊も白紙はNG、と生徒会長。
ブルー 「だからキッチリ書かなくちゃ! ぼくの願いは人のためだよ」
一同 「「「は?」」」
ブルー 「高僧たる者、願いも世のため、人のため…ってね」
見ていたまえ、と綺麗な筆さばきでサラサラと。
キース 「こ、これは…」
ジョミー「確かに世のため、人のためかもね…」
ブルー 「だろ?」
生徒会長の短冊に鮮やかに書かれた願い事。
曰く、「ブルーが大人しくなりますように」。
まさに世のため、人のため。七夕様は叶えてくれるでしょうか?
2013/07/05 (Fri)
☆短冊を吊るそう
生徒会長の七夕様へのお願い事は、シャン学メンバーにも通じるもので。
どうして思い付かなかったのだろう、と反省しきりのジョミー君たち。
ジョミー「だよねえ、これが一番切実だよねえ…」
キース 「スクーターかコレかの二択だったら、俺もコレだな」
ブルー 「まだまだ修行が足りないってね。頑張りたまえ、副住職」
叶いますように、と短冊を手にした生徒会長。
ブルー 「全員の分が揃ったことだし、配色を考えて吊るそうか」
ぶるぅ 「わぁーい! えとえと……黄色はどこかなぁ?」
スウェナ「あの辺がいいんじゃないかしら? 七夕様によく見えそうよ」
ぶるぅ 「うんっ! 上の方だと目立つもんね!」
あそこに決めたぁ! と「そるじゃぁ・ぶるぅ」はウキウキと。
立ててあった笹が傾けられて、小さな子供でも天辺近くに手が届きます。
ぶるぅ 「んしょ、んしょ…。出来たぁー!」
ジョミー「ぼくのは何処に吊るそうかな?」
サム 「その色だったら此処じゃねえか? 俺がこっちで」
シロエ 「じゃあ、この辺がぼくですね。スウェナ先輩は上の方で」
キース 「この辺りがマツカでいいだろう。俺は此処だな」
色とりどりの短冊が取り付けられて、残るは一枚。
世のため、人のためにと書かれた生徒会長の短冊で。
シロエ 「会長のは絶対、上にすべきだと思うんですよ」
ブルー 「そうかな、ぶるぅが最優先だよ。子供のお願いは大切なんだ」
キース 「だったら隣の枝にすべきだ、その短冊も大事だぞ」
ジョミー「それが叶うなら、ぼくのは叶わなくてもいいよ」
キース 「俺もだ。みんな似たようなものだろう?」
大きく頷くシャン学メンバー。
ブルー 「まあ、本当に切実だしねえ…。叶うといいけど」
キース 「あれか、七夕様には柏手か?」
ブルー 「どうだろう? 心をこめて結んでおくよ」
これで良し、とキュキュッと結び付けられた生徒会長のお願い事。
何かとお騒がせなバカップルの片割れ、これで大人しくなりますかねえ?
2013/07/06 (Sat)
☆短冊に願いを
揃いました、全員分の短冊。
生徒会長の短冊に願いをこめたシャン学メンバー、笹に向かって柏手を。
ジョミー「これで効くわけ?」
キース 「七夕祭りは神社でやるのが多いからな」
ブルー 「ぼくたちの宗派の本山の一つも七夕祭りをするんだけどね…」
総本山の璃慕恩院はやらないそうでございます。
だから神事にしておこう、と生徒会長が深くお辞儀をいたしまして。
ブルー 「それじゃベランダに飾ろうか。七夕様から良く見えるように」
キース 「部屋の中では見えにくいしな。運ぶぞ、シロエ」
シロエ 「はいっ! よいしょっと…」
??? 「ちょっと待ったあ!」
一同 「「「!!!」」」
フワリと揺れる紫のマント。
例によってソルジャー(会話表記はAブルー)登場です。
Aブルー「待ってよ、ぼくのお願いがまだ…」
ブルー 「残念だったね、もう短冊は無いんだよ」
残っているのは墨だけなんだ、と生徒会長、ニヤニヤですが。
Aブルー「分かってるってば、ちゃんとノルディに貰って来たし!」
一同 「「「へ?」」」
なんだソレは、と、一同、目が点。
ソルジャーの手には短冊ならぬ桑の葉に似た大きな葉っぱが。
Aブルー「なんてったかなぁ、カジだったかな? それの葉っぱで」
ブルー 「か、梶の葉…」
Aブルー「七夕祭りのお願い事はコレに書くのが正式だってねえ?」
キース 「おい、そうなのか!?」
ブルー 「それで合ってる…。ノルディの家にあっただなんて」
Aブルー「違うよ、ご近所の家で貰って来てくれたけど?」
ソルジャーに短冊をくれと頼まれたエロドクター。
どうせなら正式のがいいでしょう、と分けて貰いに出掛けたそうで。
Aブルー「紙の短冊よりも効く筈だって言ってたよ?」
ブルー 「なんでそんなのを持ち込むかな、君は!」
Aブルー「だって、願いは叶えたいじゃないか」
それじゃ早速、と筆を手にして梶の葉っぱにデカデカと。
あまつさえ墨の残りと水差しの水を、瞬間移動で処分ですか~!
2013/07/07 (Sun)
☆最強の短冊
呼んでいないのに出て来たソルジャー。
短冊よりも正式だという梶の葉っぱに願い事を書き、大満足な様子です。
Aブルー「これで良し、っと…。このお願いが大切だよね」
梶の葉に黒々と記された四文字、『夫婦和合』。
節分の日にソルジャーとキャプテンが絵馬に書いていた悪夢の記憶が。
ブルー 「それを書くために来たのかい!?」
Aブルー「決まってるじゃないか。一番上に結んでいいだろ?」
葉っぱの短冊に五色の糸を付けるソルジャー。
それもエロドクターがくれたのだそうで、七夕の正式なアイテムだとか。
Aブルー「はい、どいて、どいて。…うん、この辺かな」
ブルー 「やめたまえ!」
Aブルー「ふふ、最強の短冊ってね。これでバッチリ!」
キュキュッと糸で笹に結び付けられた葉っぱの短冊。
ぬかりなくサイオンでガードしたらしく、生徒会長にも手出し不可能。
Aブルー「じゃあ、ベランダの方へよろしく。叶いますように」
パンパンと柏手を打たれましても。
シャン学メンバー、あまりの展開に呆然自失でございます。
シロエ 「か、会長…。会長が書いたお願い事は…?」
ブルー 「あの短冊には勝てないよ! 梶の葉があっても肝心の墨が…」
キース 「くっそぉ、この野郎、サクッと処分しやがって!」
Aブルー「ぼくは高僧じゃないからねえ…。真っ向勝負じゃ勝てないし」
正式な短冊同士でのガチンコ勝負だとソルジャーの負け。
それを避けるべく、強力な墨と水とを処分したとは極悪な話ですけれど。
Aブルー「戦士の心得の基本だろう? リスクを回避するのはさ」
ブルー 「リスクも何も、この願い事の何処に戦士が関係すると!?」
Aブルー「分かってないねえ、プライベートが充実してこそ最強ってね」
ブルー 「プライベート?」
Aブルー「大人の時間でパワー充填! サイオンもグンと高まるんだよ」
この間のホタルイカのオスは最高だった、とソルジャーは笑顔。
殴り込みに来なかったのは、やはり効いてたからですか~!
2013/07/08 (Mon)
☆七夕様は何処に
梶の葉で出来たソルジャーの短冊に書かれた文字は『夫婦和合』。
ソルジャー曰く、大人の時間が充実すればサイオンが高まり最強だとか。
Aブルー「ホタルイカのオスの効き目は凄かったよ。もう毎晩が天国で」
ブルー 「その先、禁止!」
Aブルー「だけど漁期が終わっちゃったし、ガッカリしてたら七夕が」
この機会にしっかりお願いするのだ、とソルジャーは空を指差して。
Aブルー「年に一度のお祭りだってね、節分と同じで効きそうだよ」
ブルー 「…ぼくは短冊にこう書いたけど?」
笹に結ばれた「ブルーが大人しくなりますように」と記した短冊。
ソルジャー、フフンと鼻で笑うと。
Aブルー「ぼくの短冊の方が強力! それに、ぼくだけ大人しくても…」
一同 「「「???」」」
Aブルー「ヌカロクも四十八手も、ハーレイ無しではどうにもこうにも」
ブルー 「退場!!!」
Aブルー「嫌だね、七夕様にお願いするまで帰る気はないよ」
ドッカリ居座ってしまったソルジャー。
キース君たちがベランダに飾った笹を眺めつつ、せっせと猥談。
ホタルイカのオス、素晴らしく効いたらしいのはいいんですけど…。
キース 「その手の話は理解出来んと言ってるだろうが!」
Aブルー「君たちには期待してないさ。ぼくはブルーに聞かせたくって」
ブルー 「ぼくだってもう沢山だよ!」
Aブルー「そう言わずに…。君もこっちのハーレイと寝てみるべきだね」
ブルー 「お断りだってば!」
ギャンギャンと言い争いをしている間に日は暮れて。
ぶるぅ 「かみお~ん♪ お星様、出たよ! 晴れて良かったぁ~!」
Aブルー「あ、ホントだ! えーっと、七夕様の星は…、と…」
ブルー 「ぼくが教えると思うかい? バカバカしい」
キース 「まったくだ。俺もこの際、黙っていよう」
Aブルー「そう来たか…」
生徒会長とシャン学メンバー、しらばっくれておりますが。
黙るも何も、相手はソルジャーでございます。
心を読まれたら終わりなのでは…?
2013/07/09 (Tue)
☆七夕様に願いを
七夕様に夫婦和合を願ったものの、七夕の星を知らないソルジャー。
しらばっくれられて脹れっ面でございましたが、開き直ったようでして。
Aブルー「まあいいや。天の川だとは聞いてきたんだ、見えにくいよね」
ブルー 「天の川は流石に見えないよ。山奥の方に行かないと」
Aブルー「こないだのホタル狩りの時には見えてたねえ…」
ホタルといえば、と話は再び猥談へループ。
その間に夕食の用意も整い、話題はともかく、賑やかな時間が。
ぶるぅ 「えとえと…。七夕様も今頃、お食事してるかなぁ?」
Aブルー「食事なんかより、まずは一発! 年に一度のデートなんだろ」
ぶるぅ 「一発って?」
Aブルー「夫婦に欠かせない時間! ぼくは六発は欲しいけどね」
ブルー 「やめたまえ!」
Aブルー「うるさいなぁ…。分かったよ、お願いに行ってくるから」
一同 「「「は?」」」
キャプテンにお願いに行くのだろうか、と怪訝な顔のシャン学メンバー。
しかしソルジャー、ベランダに続くガラス戸をガラリと開けると。
Aブルー「『夫婦和合でお願いしまーーーっす!!!』」
一同 「「「うわーーっ!!」」」
声を張り上げ、思念波も併せて叫ばれてしまい、その勢いは物凄く。
見える範囲の市街地のあちこちでパパッと幾つもの明かりが点灯。
Aブルー「ふふ、これで七夕様にもバッチリ届いたよね?」
ブルー 「き、君は……!」
なんということをしてくれるのだ、と生徒会長が呻くそばから。
シロエ 「や、やばいですよ、ツイッターに…」
キース 「アルテメシア中に聞こえたらしいな…」
次々に投稿される「アルテメシアだけど、今、凄い声が」の嵐。
リツイートも続々、只今、絶賛拡散なう。
Aブルー「その内に発信地が特定されたりしてね? じゃあ、これで」
お願いも出来たし、御馳走様ぁ~! とソルジャーは自分の世界へと。
ツイッターはソルジャーの叫びで騒然、路上で騒いでいる人も。
七夕様にもきっと届いたでしょうねえ…。
2013/07/10 (Wed)
☆彦星様の濡れ衣
ソルジャーの絶叫騒ぎで終わった悲惨な七夕。
あれから期末試験や終業式などを経て、今日から夏休みでございますが。
ジョミー「うえ~…。明日から璃慕恩院だあ…」
キース 「ブルーの心遣いを無にするなよ? 修行体験も慣れただろう」
サム 「ジョミーに期待するだけ無駄だぜ、全然向上しねえしな」
ブルー 「ブラックリスト入りも近いらしいよ、老師の話じゃ」
ジョミー「それホント!? ブラックリストだとどうなるわけ?」
ブルー 「一対一で指導員がつくねえ、素敵だろ?」
ジョミー「お断りだし!!」
夏休みの始まりは柔道部の合宿と、ジョミー君とサム君の修行体験。
それが済んだら夏休み本番ということで。
シロエ 「今年も海は決定ですよね、マツカ先輩の別荘の」
ブルー 「あれはブルーが予約済みだしね、結婚記念日を祝うからって」
キース 「どの面下げてノコノコと…。あんな騒ぎを起こしたくせに」
マツカ 「いえ、ぼくの家には全く影響無かったですから」
声を聞いた人は多数ですけど、と控えめに微笑むマツカ君。
例の絶叫、今やネット上に纏めサイトが出来ております。
ブルー 「発信地の特定を避けるのが精一杯だったしねえ…」
キース 「とりあえず、この辺りの上空からってことになったよな」
スウェナ「彦星様にも御迷惑をお掛けしちゃったわよね…」
ジョミー「うん…。ぼくたちのお願い、叶いそうにないね」
ブルー 「ブルーが大人しくなるどころか、真逆に走ってアレだしね」
ソルジャーの叫びの纏めサイトは『彦星の絶叫』という副題。
年に一度の逢瀬な彦星の切実な叫びが「夫婦和合でお願いします」。
ブルー 「彦星様には本当に申し訳なくて…。溜まってただなんて」
シロエ 「あっ、それ! その感想が多かったですけど、何がです?」
キース 「俺も分からん。いったい何が溜まるんだ?」
纏めサイトの花は「彦星も溜まっていたんだな」の声。
万年十八歳未満お断りの団体様には、ちょっと理解が難しいかも?
2013/07/11 (Thu)
☆罪な纏めサイト
よりにもよって、彦星様が叫んだことにされてしまったソルジャーの声。
纏めサイトも出来たのですけど、シャン学メンバーには意味不明で。
ジョミー「彦星様に溜まるって……日頃の鬱憤とかなのかなぁ?」
キース 「俺もそうかと思ったんだが、それではな…」
サム 「面白おかしく書かれてるしよ、違うっぽいよな」
シロエ 「それに会長、申し訳ないって言いましたよ?」
鬱憤が溜まって叫んだのなら普通でしょう、とシロエ君。
シロエ 「年に一度しか会えないんですし、不満が溜まって当然です」
マツカ 「そうですよね…。だったら他の何かですよね」
何だろう、と悩みまくりのシャン学メンバー。
視線はおのずと生徒会長に集中しまして。
キース 「訊くは一時の恥だしな。この際、教えて欲しいんだが」
シロエ 「会長、よろしくお願いします!」
ブルー 「うーん…。どこまで分かるか謎だけれども、欲求不満?」
一同 「「「欲求不満?」」」
ブルー 「あっちのブルーで考えてごらん。大人の時間が奪われたら?」
キース 「思い切り八つ当たりされそうだな…」
ブルー 「それが一年続いた場合を想定すればOKかと」
シロエ 「考えたくもないですよ、それ!」
理解した、と誰もが頭を抱えております。
彦星様を欲求不満にしてしまったのか、と呻く人やら土下座やら。
ジョミー「ご、ごめんなさい、彦星様…」
スウェナ「七夕様のブラックリストに入ったかしら?」
ブルー 「どうだかねえ…。ぶるぅは子供だから平気だろうけど」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ お願い、叶うといいな!」
お料理が上手になりますように、と実に可愛いお願い事。
これくらいは叶えてあげたいですが…。
ブルー 「まあ、モノは考えようってね」
一同 「「「は?」」」
ブルー 「来年以降のアルテメシアは七夕の街で売れるかも!」
そうなってくれれば仕掛けた方は殊勲賞だ、と生徒会長。
絶叫したのはソルジャーですけど、売れればなんでもいいんですか?
2013/07/12 (Fri)
☆注目のアルテメシア
彦星様の絶叫と認定されたソルジャーの叫び。
生徒会長曰く、来年以降のアルテメシアは七夕の街で売り出せそうとか。
ブルー 「纏めサイトをよく読んだかい?」
キース 「いや…。途中でいたたまれなくなって」
シロエ 「ぼくもです。溜まってたんだな、の嵐でしたし」
サム 「最後まで読むのはキツすぎだぜ…」
途中で投げた、と揃う告白。
ジャーナリスト志望だったスウェナちゃんさえ投げたのだそうで。
ブルー 「なるほどね。今やアルテメシアは注目されているんだよ」
一同 「「「えっ?」」」
ブルー 「彦星様の叫びが聞こえた唯一の場所! これは大きい」
キース 「まあ、そうだが…。あんたも火消しに必死だったし」
ブルー 「あの時は苦労したけどさ…。パワースポット認定らしいね」
一同 「「「パワースポット!?」」」
ブルー 「そう! 七夕様に一番近い街だという結論!」
彦星様の本音が空から届く凄いスポット、と言われてみれば納得で。
シロエ 「じゃあ、来年以降は七夕祭りが賑わうんですか?」
ブルー 「やってる神社は参拝の人が増えると思うよ」
キース 「そうなってくれれば俺たちの罪も帳消しだろうか?」
ブルー 「多分ね。そっちに期待しておこう」
彦星様の叫びで千客万来、と生徒会長は合掌しております。
ブルー 「旧暦でやる神社もあるから、そういう所はこれからだしさ」
ジョミー「お参りする人、いそうなわけ?」
ブルー 「纏めサイトの最後の方で情報よろしくって飛び交ってたよ」
キース 「そ、そうか…。ならばひとまず安心だな」
マツカ 「もうすぐ帳消しにして貰えるかもしれませんね」
旧暦の七夕があって良かった、と誰もが感謝。
シロエ 「どうなることかと思いましたよ、助かりました」
サム 「マジで旧暦に感謝だよな! 纏めサイトは忘れようぜ」
で、夏休みはどうしようか、と話題は当初の目的へと。
それを決めるための集まりでしたし、どんな計画が飛び出しますやら…。
2013/07/13 (Sat)
☆夏といえばコレ
七夕騒動もどうにか落ち着き、夏休みの計画を考えるシャン学メンバー。
柔道部の合宿とジョミー君たちの修行体験が終わればフリーで。
ジョミー「やっぱり山だよ、山の別荘!」
マツカ 「予定は空けてありますよ。月末辺りでどうでしょう?」
キース 「そうだな、合宿が終わってすぐにはキツイ」
お盆の卒塔婆も書かなくては、とキース君。
キース 「早くから計画を立てていたんだが、親父の分が」
ブルー 「今年も押し付けられたのかい?」
キース 「こないだ葬式が入ったんだ。それで予定が狂ったらしい」
一同 「「「あー…」」」
御愁傷様、と誰からともなくお念仏が。
キース 「有難いエール、感謝する。まあ、頑張るさ」
ジョミー「それって、どのくらいで終わりそう?」
キース 「山の別荘が此処だから…」
三日前には終わらせたいな、とキース君はチラリとカレンダーを。
キース 「俺は余裕を持ちたいんだ。ギリギリと徹夜は性に合わない」
ジョミー「だったら、別荘行きの二日前にはフリーなんだね?」
キース 「そういうつもりで毎日のノルマを割り振ってあるが」
ジョミー「じゃあさ、その辺でみんなで遊びに行こうよ」
ブルー 「それはいいねえ、プールかい?」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 今年はアヒルちゃん水着を買ったんだよ!」
ジョミー「ううん、プールじゃなくってさ」
夏の定番はコレだろう、とジョミー君は親指を立てて満面の笑顔。
ジョミー「ズバリ、心霊スポット見物! パワースポットの話も出たし」
キース 「ちょっと待て! お前、いったい何処へ行くつもりだ!」
ジョミー「ホタル狩りの時にすぐ近くまでは行った筈だよ」
サム 「あの有名なトンネルかよ?」
スウェナ「自動車専用じゃなかったかしら?」
ジョミー「一応、歩道もあるんだってさ。行ってみようよ」
ホタル狩りをした場所から川沿いに行こう、とジョミー君はノリノリで。
下調べもバッチリみたいですけど、ホタル狩りの次は人魂狩りとか…?
2013/07/14 (Sun)
☆行くなら人柱
シャン学メンバーの夏休みの定番、マツカ君の別荘行き。
今年は山の別荘にも行くようですけど、その前に心霊スポットだとか…。
ジョミー「確か川沿いに下って行ったら1時間かからないんだよね?」
ブルー 「そりゃまあ…。小学生の遠足コースの定番だけど」
キース 「心霊スポットに遠足なのか?」
ブルー 「まさか。昼間っから出るって話は無いしね」
シロエ 「だったら昼間に行きましょう! 川沿いですし涼しいですよ」
サム 「お前なあ…。昼間に行ってどうするんだよ」
心霊スポットは夜のものだろ、と言うサム君は霊感アリ。
サム 「俺は昼でもかまわねえけど、見えなくってもいいのかよ?」
ブルー 「ぼくとサムしか見えそうにないね、昼間はね」
シロエ 「だから昼間がいいんです!」
スウェナ「あそこ、半端じゃないんでしょ? 昼間でいいわよ」
ジョミー「歩くんだからさ、夜が雰囲気ありそうだけど…」
車で行ったらアウトな場所だよ、とジョミー君。
ジョミー「青信号でトンネルに入ったらヤバイだけだし」
マツカ 「歩行者は信号と関係ないんですか?」
ブルー 「交互通行のトンネルだから、信号は車専用だね」
ジョミー「ほらね! 赤信号で入れば大丈夫だよ」
キース 「本当か? 思い切り嫌な予感がするが」
ブルー 「ぼくもそういう気がするけれど…」
まあいいか、と生徒会長は頷きまして。
ブルー 「人柱を立てればいいだろう。先頭を歩かせておけばOK」
一同 「「「は?」」」
ブルー 「出た時は見捨てて回れ右ってね、一目散に」
サム 「お、おい…。それって俺かよ?」
キース 「いや、俺という線もある」
だが絶対に御免蒙る、とキース君は数珠レットを触って苦い顔。
キース 「供養に行くなら先頭でいいが、見物はダメだ」
ブルー 「ぼくも同感。坊主としてすべきことではないよね」
同じ理由でサム君も論外だそうですが。
残る僧籍はジョミー君のみ、もしかして言い出しっぺだけに人柱ですか?
2013/07/15 (Mon)