☆人柱は誰に
ジョミー君が言い出した心霊スポット、青信号で入ると危険なトンネル。
車専用の信号だから赤で入れば大丈夫だ、と主張されましても。
キース 「赤でも青でもヤバイものはヤバイ。そうだな、サム?」
サム 「決まってるじゃねえかよ、人柱は要るぜ」
シロエ 「でも、まっとうなお坊さんを人柱にしちゃダメなんですね?」
ブルー 「そういうこと! 名前だけ坊主なジョミーは使える」
ジョミー「ちょ、ちょっと…。ぼくなわけ!?」
スウェナ「行きたいと言ったのはジョミーでしょ!」
先頭で御対面しなさいよ、とピシャリと言い放つスウェナちゃん。
スウェナ「ついでに人魂も捕まえてみたら?」
ジョミー「そんなの無理だし! 人魂なんか捕れるわけないし!」
ブルー 「おや、そうかい? 聞いた話じゃ触れるようだよ」
一同 「「「えっ?」」」
ブルー 「冷ややっこみたいな感触らしいね、プルプルしててさ」
キース 「面白い。それは捕まえる価値がありそうだ」
ジョミー「嫌だよ、そんなことしたら祟られちゃうよ!」
人柱なんて絶対嫌だ、とジョミー君は腰が引けております。
ブルー 「やれやれ…。仕方ないねえ、奥の手を出すか」
一同 「「「は?」」」
ブルー 「ハーレイに引率して貰おう。見捨てて逃げても問題はない」
キース 「お、おい…。教頭先生もあのトンネルは御存知だろう?」
ブルー 「だからこそ馬鹿が釣れるんだってば」
まあ見ていろ、と生徒会長、教頭先生の家に電話を。
ブルー 「もしもし、ハーレイ? お願いがあって」
教頭先生の声は聞こえてきませんけれども、生徒会長はサクサクと。
ブルー 「うん、そう。君が来てくれると心強くて…。だって怖いし」
シロエ 「思い切り嘘八百ってヤツですね…」
キース 「心霊スポットで最強なのは自分のくせにな、銀青様だぞ」
よくやるぜ、と呆れ返っているキース君をはじめ、誰もが溜息。
電話の向こうの教頭先生、どうやらコロリと騙されそうな雰囲気ですね!
2013/07/16 (Tue)
☆承諾した人柱
心霊スポットに突入するため、先頭に立てる人柱。
真面目なお坊さん組は大却下ですし、ジョミー君もやりたがらなくて…。
ブルー 「じゃあ、そういうことでお願いするよ。ありがとう」
感謝するね、と電話を切った生徒会長。
教頭先生、ものの見事に騙されたようでございます。
ブルー 「はい、決まり。ハーレイが来てくれるんだってさ」
キース 「ちゃんとフォローはするんだろうな?」
ブルー 「フォローって?」
キース 「結界とか色々あるだろう! …俺には出来んが」
ブルー 「なんで人柱にフォローが要るわけ?」
見捨てて逃げればいいだろう、と、やる気ナッシングな銀青様。
ブルー 「お前のためならとか寝言を言ったし、自己責任でいいんだよ」
シロエ 「何かあったらどうするんです!」
ブルー 「何日も被害が続くようなら考えるさ」
キース 「そこは流石にフォローするのか…」
ブルー 「ハーレイの家に押しかけてね。出張手当も貰えるし」
一同 「「「は?」」」
ブルー 「除霊するならお布施は必須! お車代も基本だってば」
キース 「金を取る気か!?」
ブルー 「そりゃあ、もちろん」
銀青に相応しい額を頂戴する、と生徒会長はニコニコと。
ブルー 「でなきゃアレだね、一文字書いて売り付けるとか」
シロエ 「それは霊感商法なんじゃあ…」
ブルー 「違うね、ぼくのはちゃんと効くから!」
その辺の壺や仏像と一緒にするな、と有難い仰せではありますが。
キース 「つまりアレだな、本気で人柱にするんだな?」
ブルー 「本人にバレなきゃいいんだよ。分かっているね、柔道部?」
明日からの合宿では貝になれ、との絶対命令。
ブルー 「でもって、ヨイショしておけばいいよ」
マツカ 「ヨイショ…ですか?」
ブルー 「心強いです、と褒めておくのさ。それで充分!」
合宿明けが楽しみだなぁ、と生徒会長はウキウキしております。
柔道部三人組は明日から貝で、サム君とジョミー君は瑠慕恩院ですよ~!
2013/07/17 (Wed)
☆修行とヒッキー
合宿に出掛けた柔道部三人組と、修行体験ツアーなサム君とジョミー君。
猛暑の中を無事に乗り越え、久しぶりに全員集合です。
ぶるぅ 「かみお~ん♪ みんな、元気そうだね!」
ジョミー「……なんとかね……」
ブルー 「まあ、フリーの日もあったしねえ? 毎日ゴロ寝で」
キース 「あれから毎日寝てやがったのか?」
ブルー 「立派な自宅警備員だったよ、ねえ、ジョミー?」
ジョミー「ヒッキーの何処がいけないのさ!」
それでなんとか持ち直したんだ、とジョミー君はブツブツと。
ジョミー「璃慕恩院ってクーラー無しだし、毎日毎日お念仏だし!」
サム 「そうかあ? 小学生でも元気にやっていたじゃねえかよ」
ジョミー「向き不向きってあるんだよ!」
ぼくにはトコトン向いていない、とヒッキーだった人が喚いております。
ジョミー「夏はクーラーとアイスだってば、絶対に!」
キース 「それだけあれば充分だろうが!」
スウェナ「そうねえ、心霊スポットに出掛けなくてもいいんじゃない?」
ジョミー「それは別物! だから復活してきたし!」
サム 「マジで行くのかよ、知らねえぞ?」
ジョミー「出たらブルーがなんとかするって!」
でなきゃ教頭先生に任せてトンズラ、とジョミー君は行く気満々で。
キース 「修行体験でバテるようなヤツが心霊スポットに突入か…」
シロエ 「キース先輩は自信があるんですか?」
キース 「全く無いな。卒塔婆を書くのに忙しかったし」
ブルー 「余分に一本、書いて持ってくれば良かったんだよ」
キース 「卒塔婆をか?」
ブルー 「その発想も出ないようでは、君もまだまだ…」
三界萬霊と書けば多少は、と生徒会長。
ブルー 「施餓鬼会の基本の基本だろう? それで供養になるからね」
キース 「そ、そうだった…」
失敗した、とキース君の背中に漂う哀愁。
卒塔婆を一本余分に書けば、心霊スポット対策になったようですが…。
そんなのを持って歩いていたら、傍目にはおバカな光景かも?
2013/07/18 (Thu)
☆見返りが欲しい
心霊スポット行きを控えて生徒会長宅に集った面々。
真昼間だけに元気一杯ですけど、キース君は反省しきりでブツブツと…。
キース 「くっそぉ、卒塔婆か…。俺としたことが…」
ブルー 「今から書くかい? 瞬間移動で運んであげるよ、硯箱とか」
キース 「いや、今後の教訓に今回は無しで行くことにする」
酷い目に遭ったら修行不足ということで、と合掌しまして、お念仏。
ブルー 「頑張りたまえ、副住職。人柱もいることだしさ」
シロエ 「それなんですけど…。ぼくたち、良心が痛みましたよ」
マツカ 「合宿中に何度も「任せておけ」と仰いましたし…」
ブルー 「きちんと貝になっていたんだろう? それとヨイショと」
シロエ 「本当にあれで良かったんですか?」
ブルー 「いいって、いいって、ハーレイだしね」
夜になったらウキウキ来る筈、と生徒会長は鼻歌交じり。
ブルー 「祟られた時は銀青にお任せ、出張サービスでガッツリ除霊!」
キース 「あんた、小遣い稼ぎが目当てか?」
ブルー 「そういう部分は大きいね。やっぱり見返りは必要だよ」
??? 「うん、その点はぼくも同意見!」
一同 「「「!!?」」」
バッと振り返ったシャン学メンバー。
そこには例の七夕騒ぎの元凶になった人物が。
Aブルー「こんにちは。今夜は心霊スポットだって?」
ブルー 「どうして君が出てくるのさ!」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ おやつと御飯だよね?」
Aブルー「それはもちろん。今日のも期待出来そうだしさ」
ぶるぅ 「お昼は夏野菜カレーだよ! スパイスたっぷり!」
Aブルー「ほらね、早速見返りが来たよ」
なにしろ地球は野菜も美味しい、とソルジャーは嬉しそうでございます。
Aブルー「本物の太陽と地球の土とさ、恵みの水で最高の味!」
ブルー 「君は食い気で出て来たわけ!?」
まさか来る気じゃないだろうね、と生徒会長は睨んでおりますが。
心霊スポットへのお出掛けなんかに、ソルジャーが参加したがりますか?
2013/07/19 (Fri)
☆テイクアウト希望
出て参りました、歩く迷惑と呼ぶのが相応しいようなトラブルメーカー。
見返りがどうとか言っていまして、夏野菜カレーに大喜びで。
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ブルーも来たし、お昼にしようよ!」
Aブルー「流石、ぶるぅは気が利くね! ラッシーもある?」
ぶるぅ 「うんっ! マンゴーラッシーにバナナラッシー!」
プレーンとフローズンも作ったもん、とのことで他の面子も大歓声。
ジョミー「やったあ、ぼく、マンゴーでフローズン!」
キース 「俺は基本でプレーンだな」
シロエ 「ぼくはバナナでお願いします! フローズンで!」
サム 「俺、マンゴー! フローズンじゃなくて普通のヤツな!」
賑やかに飛び交う飲み物の注文。
お料理大好き「そるじゃぁ・ぶるぅ」は足取りも軽くキッチンへ。
Aブルー「いいねえ、ホントに来た甲斐があるよ」
ブルー 「それでこのまま居座る気かい!?」
Aブルー「三時のおやつは外せないだろ、しっかり食べて夏バテ防止!」
ブルー 「シャングリラの中は24時間空調だったと思うけど?」
Aブルー「だけど、夏には夏らしく…。あっ、そうだ!」
夏野菜カレーのテイクアウト、とソルジャーは妙な台詞を口に。
ブルー 「テイクアウト? だったらサッサと持って帰れば?」
Aブルー「そうじゃなくって、ぼくのハーレイに届けたいんだけど」
一同 「「「は?」」」
Aブルー「夜は一緒に出掛けなくっちゃいけないからねえ、忙しくって」
昼間はこっちに来られないのだ、とソルジャーは説明しております。
Aブルー「だから頼むよ、夏バテ防止に美味しい料理!」
ブルー 「ちょっと待った! 誰がこっちに来るんだって?」
Aブルー「ぼくのハーレイ!」
こっちのハーレイも来るんだろう、と微笑むソルジャー。
Aブルー「ぼくたちも一緒に連れて行ってよ」
ブルー 「な、なんで…」
なんでそういうことになるのだ、と生徒会長、唖然呆然。
心霊スポット行き、バカップルまで乱入ですか?
2013/07/20 (Sat)
☆バカップルも参加
心霊スポットに一緒に行く、とトンデモなことを言い出したソルジャー。
しかもお一人様の参加ではないようでございます。
Aブルー「ハーレイと二人で話していたんだ、これは行かなきゃって」
ブルー 「だから、どうしてそうなるわけ?」
Aブルー「えっ、この前の川に行くんだろう?」
ブルー 「それはあくまで通り道! 行き先は別!」
Aブルー「うん、知ってる。そのためのこっちのハーレイだしね」
人柱だってね、とソルジャーはニッコリ。
Aブルー「そういうのがいれば安心だしさ、ここは一発、夏らしく!」
一同 「「「は?」」」
Aブルー「君たちの世界の定番なんだろ、夏の心霊スポット巡り」
たまには体験してみたい、と思い切り好奇心旺盛で。
Aブルー「おまけに素敵なオマケもあるかも…」
一同 「「「オマケ?」」」
Aブルー「行ってみないと分からないけど、ノルディのお勧め」
ブルー 「なんだい、それは?」
Aブルー「あの川ならきっといるでしょうって言ってたけれど?」
ブルー 「はいはい、分かった」
どうせサンショウウオだろう、と生徒会長、深い溜息。
ブルー 「捕るのはいいけど自己責任でお願いするよ?」
Aブルー「ホタルと同じでヤバイのかい?」
ブルー 「一応、天然記念物だってば!」
Aブルー「そうなんだ?」
そういう話は聞いてないけど、とソルジャーは首を捻っております。
ブルー 「どうせ適当に聞いてたんだろ、効き目のことだけ」
Aブルー「あっ、分かる? なんか凄いんだってね」
ブルー 「その先、禁止! 本気で一緒に行きたいならね」
Aブルー「行く!!」
昼食のテイクアウトをよろしく、と抜け目ないソルジャー。
Aブルー「ぶるぅ、御飯は大盛りで! カレーもたっぷり!」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ラッシーは?」
Aブルー「そっちはいいよ、ハーレイは甘い物が苦手だからさ」
空間移動でデリバリー、と向こうの世界へカレーのお届け。
バカップルの参加、確定ですね…。
2013/07/21 (Sun)
☆人柱もお出まし
どっかり居座ってしまったソルジャー、三時のおやつもガッツリと。
夕食のカルビ丼が出来る頃合いを狙ったように、空間を越えてお客様が。
言わずと知れたキャプテン(会話表記はA船長)登場でございます。
A船長 「こんばんは、遅くなりまして…」
Aブルー「夕食に間に合って良かったよ。残業無しだね」
A船長 「それはもう! 大車輪で片付けてまいりました」
なにしろこれからお出掛けですし、とキャプテンも燃えているようです。
ブルー 「やれやれ…。行き先、ホントに分かってる?」
A船長 「心霊スポットだと聞いておりますが、途中の方が大切だと」
ブルー 「…サンショウウオね…。噛まれないよう、気を付けて」
Aブルー「うん、そこはノルディにも注意されたよ」
A船長 「噛まれたら悲惨だそうですねえ…」
ブルー 「分かっているならいいんだよ、うん」
天然記念物のオオサンショウオ、物凄い歯を持っております。
人の指くらいは噛みちぎるそうで、自己責任でよろしくとしか…。
ブルー 「とにかく、ぼくたちの目的はそっちじゃないから」
ジョミー「そうだよ、トンネルに行くんだからね!」
キース 「何が起こっても俺は知らんぞ」
Aブルー「でも、人柱がいるんだろう? あ、来たかな」
ブルー 「人柱の件は喋るんじゃないよ、二人とも!」
ハーレイは何も知らないんだから、と生徒会長。
間もなく玄関のチャイムがピンポーン♪ と。
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ハーレイだぁ!」
ハーレイ「こんばんは。…おや、あなた方もおいでになったので?」
A船長 「こんばんは、御無沙汰しております」
Aブルー「なんか面白そうだったしね、心霊スポット!」
ハーレイ「はあ…。あそこはシャレにならないのですが」
Aブルー「らしいね、君はブルーの用心棒に来たんだって?」
ハーレイ「そうなりますね」
ブルーの盾になれるのでしたら本望です、と照れておられますが。
盾じゃなくって人柱だとは、知らない方が幸せですね…。
2013/07/22 (Mon)
☆まずは川沿いに
自分の立場が人柱とも知らず、生徒会長を守れれば本望らしい教頭先生。
しっかり盾にならなければ、とカルビ丼をガッツリかき込みまして。
ハーレイ「そろそろ行くのか? すっかり暗くなったが」
ブルー 「そうだね、歩く間にいい感じに夜も更けるだろうし」
時計は夜の8時を回っております。
出発点までは瞬間移動、その先は1時間ちょっとの川沿いの道で。
ジョミー「着く頃には10時頃だよね!」
サム 「目撃証言、その辺りから増えてくるんだぜ」
ジョミー「うん、知ってる。でも赤信号だから大丈夫!」
ハーレイ「赤信号?」
キース 「青信号で入るとマズイ場所ですし、赤信号なら平気なのだと」
このド阿呆が言うのです、とジョミー君を指差すキース君。
ジョミー「阿呆って何さ、阿呆って!」
キース 「でなきゃ馬鹿だな、どう考えても」
シロエ 「赤信号で入る車は普通ゼロだと思うんですよ」
スウェナ「トンネルに入ったら、もれなくアウトだと思うわよ?」
ハーレイ「なるほどな…。私もそれに賛成だが」
何か出た時は任せておけ、と教頭先生、胸を叩いておられます。
ハーレイ「私も男だ。ブルーを守ると決めたからには頑張るのみだ」
ブルー 「ありがとう、ハーレイ。頼りにしてるよ」
Aブルー「へえ…。これを機会に君たちの仲が深まるといいね」
A船長 「吊り橋効果と言いましたか…。恐ろしい場所は効果的だとか」
いいですねえ、とキャプテンに言われて、教頭先生の顔が真っ赤に。
ハーレイ「そ、そのう…。なんだ、ブルー、行こうか」
ブルー 「吊り橋ならぬトンネルへ…ってね」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ みんな、忘れ物しないでね~!」
タイプ・ブルーのサイオン、三人前。
やって来ました、先日のホタル狩りの出発地点。
ジョミー「よーし、行くぞー!」
キース 「懲りればいいんだ、馬鹿野郎めが」
現地で後悔するがいい、とキース君が毒づいておりますが。
トンネルはまだ先、懐中電灯片手にまずは川沿い~。
2013/07/23 (Tue)
☆獲物を照らすな
川沿いに一時間ほど歩いていけば、心霊スポットのトンネルの傍。
今回はホタル狩りではないため、懐中電灯で照らしながらの道中ですが。
ジョミー「ホント、真っ暗で誰もいないね」
シロエ 「こんな所から歩いて行く人はいませんよ」
キース 「まったくだ。しかし車で行くのもな…」
サム 「運転できるの、教頭先生だけだもんなあ」
全員が乗るならマイクロバスでございます。
それで心霊スポットというのもイマイチ雰囲気出ませんし…。
ブルー 「それにハーレイは最初から参加じゃなかったからね」
ハーレイ「うむ。頼りにしてくれて感謝している」
頑張らねばな、と拳を握る教頭先生。
ブルー 「男らしい姿に期待してるよ、なにしろ怖くて」
ハーレイ「ははは、たかだか幽霊だろうが」
投げられずともこう蹴散らして、と教頭先生が懐中電灯を振り回せば。
Aブルー「ちょっと、やめてよ! 逃げちゃうじゃないか」
一同 「「「は?」」」
Aブルー「そうでなくても好き勝手にあちこち照らしてるしさ…」
ぼくの獲物を蹴散らすな、とソルジャーは至極不機嫌で。
Aブルー「何度も言ったろ、ノルディのお勧めを捕るんだ、って!」
ハーレイ「…お勧め……ですか?」
Aブルー「そう! 捕まえてお酒に浸けておけばね、凄いらしいよ」
A船長 「さっきから探しているのですが…。これがなかなか」
ブルー 「あれはデリケートな生物なんだよ、そう簡単にはいかないさ」
キース 「その辺の岩陰にいるんじゃないか?」
Aブルー「照らさないでって言ってるのに!」
捕れなかったらどうしてくれる、と怒鳴られましても。
ブルー 「喚く声でも逃げると思うよ」
ハーレイ「何を捕まえるおつもりですか?」
Aブルー「んーと、サンショウウオだったかな?」
A船長 「猛毒を持っているらしいですが、夜の生活にお勧めだそうで」
特に身体の赤いヤツが、とキャプテンは頬を染めておりますが。
オオサンショウウオって、猛毒を持っていましたか…?
2013/07/24 (Wed)
☆猛毒の獲物
身体の赤いのが最高だという、バカップルが探している獲物。
夜の生活にお勧めの品らしいですが、オオサンショウウオは無毒の筈で。
ブルー 「何か間違えていないかい? 毒は無かったと思うんだけど」
キース 「襲われたら皮膚から粘液を出すらしいな」
ブルー 「それが一応、毒とは聞くけど…。猛毒とまでは…」
せいぜい皮膚がかぶれる程度、と生徒会長。
ブルー 「多分ノルディの嘘だと思うよ、有難味を演出するための」
Aブルー「違うね、君たちもヤバイと言ってたし!」
ブルー 「いつさ?」
Aブルー「ホタル狩りの時だよ。あっ、いた!」
A船長 「アレですか?」
Aブルー「赤くないけど間違いない。そっちから追って!」
ぼくがこっちで捕まえる、とソルジャーが向かった先は草むら。
キャプテンはガサガサと川辺の葦を掻き分け、シッシッと。
A船長 「行きましたよ、ブルー!」
Aブルー「うん、来た、来た…。ゲットおぉぉ!」
一同 「「「!!!」」」
ゲゲッと息を飲む御一行様。
ソルジャーが高々と掲げた右手でバタバタと暴れる長いモノ。
Aブルー「ハーレイ、瓶を」
A船長 「承知しました」
ソルジャー、暴れるブツを酒瓶に頭から押し込もうとしておりますが。
ブルー 「ち、ちょっと待った!」
Aブルー「止めないでよ!」
ブルー 「生きたまま入れるなら一ヶ月ほど飼ってからだよ!」
Aブルー「え、なんで?」
ブルー 「理由は知らない。でも、飲まず食わずで一ヶ月ほど」
Aブルー「嫌だね、ぼくは待つのが苦手だからさ」
だったら殺して入れるまで、とボキリと響く鈍い音。
首を折られてダラリと垂れ下がったブツをソルジャーが瓶に。
A船長 「やりましたね!」
Aブルー「次は赤いのが見付かるといいね」
ブルー 「……あ、赤マムシ……」
Aブルー「えっ、サンショウウオじゃなかったんだ?」
何でもいいけど、と酒瓶を揺すっているソルジャー。
マムシなら納得の猛毒ですけど、素手で捕るとは恐るべし…。
2013/07/25 (Thu)
☆マムシにも魂
ソルジャーのお目当て、オオサンショウウオどころかマムシというオチ。
しかも赤マムシが欲しいらしくて、まだ探しながら歩いております。
Aブルー「うーん、なかなかいないものだねえ…」
ブルー 「マムシだらけだったら危なすぎるし!」
ウッカリ歩いて行けやしない、と生徒会長はブツブツと。
ブルー 「それと、その瓶! 気持ち悪いから片付けてよ!」
キース 「まったくだ。女子もいるのにマムシ酒はな」
Aブルー「えーーーっ、せっかく捕ったのに…」
A船長 「いえ、片付けた方がいいかもしれません」
死体を持って歩いていると次の獲物が来ないかも、とキャプテンは真顔。
ソルジャー、大きく頷きまして。
Aブルー「ああ、なるほど! 危険な匂いがするかもね」
ブルー 「マムシの霊かもしれないよ? その瓶の中から警告中とか」
シロエ 「こっちに来たら殺されるぞ、と教えているかもしれませんね」
Aブルー「その展開は非常に困る。どうせ新しい瓶に入れるんだしさ」
これは向こうへ、とマムシ入りの酒瓶、ソルジャーの世界へ空間移動。
そして間もなく…。
Aブルー「いた、いた! ホントに瓶のせいだったんだ」
A船長 「あそこですね。では、早速…」
キャプテン、丈の高い草をガサガサと。
ソルジャーもパッと駆け出して。
Aブルー「二匹目、ゲットおぉぉ!!」
暴れるマムシの首をボッキリ。
何処からか取り出した新しい酒瓶に押し込み、向こうの世界へ。
Aブルー「君たちの御忠告に感謝するよ。マムシの霊も侮れないね」
ブルー 「草木国土悉皆成仏。マムシといえども魂はあるさ」
ジョミー「えーっと、マムシの霊がアリなら、人間の霊も凄そうだよね」
サム 「お前、今頃気付いたのかよ? あのトンネルはマジもんだぜ」
Aブルー「あーっ、あそこに赤いヤツが!」
A船長 「すぐ追い出します!」
念願の赤マムシをゲットしたソルジャー夫妻は大喜び。
マムシの霊でも侮れないなら、心霊スポットのトンネルは…?
2013/07/26 (Fri)
☆噂のトンネル
マムシ捕りに燃えるソルジャー夫妻と珍道中。
普通のやら赤やらと捕りまくりまして、マムシ酒が十本に届いた頃に…。
ブルー 「はい、もう少しで終点ってね。マムシはおしまい」
Aブルー「ホントだ、草が刈ってある…」
A船長 「あそこに橋が見えますね」
ハーレイ「ごく僅かですが、住んでいる人がいるんですよ」
シロエ 「そうなんですか?」
ハーレイ「ああ。だから大声で騒がんようにな」
民家のある辺りは声を落とすように、と教頭先生。
橋の横から石段を登れば、街灯と小さな集落が。
ジョミー「今でも人が住んでたんだ…」
ブルー 「ずっと昔は旅館なんかもあったんだよ」
キース 「そこの山の上の神社が有名だからな、賑やかだったらしいぞ」
ハーレイ「トンネルもそういう時代の名残だ」
サム 「へえ…。なのに心霊スポットなのかよ」
スウェナ「心霊スポットの王道でしょ? 寂れた所って」
マツカ 「廃墟とかはよく聞きますしね」
ジョミー「住んでる人がいるんだったら、トンネルだって通るよね!」
これは当たりだ、とジョミー君。
ジョミー「雰囲気たっぷり、だけど出ないって場所だよ、きっと」
シロエ 「青信号で入っても…ですか?」
ジョミー「地元の人が通ってるなら大丈夫!」
キース 「トンネルの上には一応、迂回路があるんだが?」
ジョミー「わざわざ回り道しないって!」
青信号でも問題ないんだ、とジョミー君は強気でございます。
ブルー 「ぼくはお勧めしないけど…。迂回路に出たって話もあるし」
ジョミー「心霊スポットってそんなものだよ、噂だけ!」
キース 「民家で度胸がつきやがったな。先頭で行くか?」
ジョミー「そ、それはちょっと…」
遠慮したい、と言っている間にトンネル前に到着で。
ブルー 「赤信号だねえ…」
Aブルー「ここが心霊スポットなんだね?」
ワクワクしているソルジャーを他所に、生徒会長、教頭先生の後ろへと。
心得たとばかりに教頭先生、先頭に立つおつもりですよ~!
2013/07/27 (Sat)
☆いざトンネルへ
人柱にチョイスされたとは夢にも思わない教頭先生。
生徒会長を広い背中の後ろに庇い、腕組みをして信号を睨んでおります。
ハーレイ「…一向に青に変わらんな。噂通りか」
ブルー 「だよね、なんだか怖いんだけど」
ジョミー「今の間に行っちゃおうよ! 赤なら絶対、平気だし!」
キース 「それは違うと言っただろうが!」
サム 「マジで空気がヤバめだぜ?」
ジョミー「それくらいで丁度いいんだよ。でなきゃ楽しくないってば」
そう言うくせに入ろうとしないジョミー君。
しかし、入らずに帰るつもりもさらさら無くて。
ジョミー「行こうよ、待ってても青にならないよ?」
ハーレイ「まあ、歩行者に信号は関係ないか…」
行くか、と踏み出した教頭先生、先頭に立ってトンネルへ。
オレンジ色のライトに照らされた中は緩やかにカーブしておりまして。
Aブルー「出口の方は見えないんだね」
ブルー 「歩いて5分はかかると思うよ、出口まで」
A船長 「足音がとても響きますねえ…」
ジョミー「そこが雰囲気あるってね! ほら、壁だって」
いい感じに濡れて不気味なシミが、とジョミー君はワクワクと。
ジョミー「天井からも水がポタポタ、ホントに出そうだ」
サム 「お前、分かっているのかよ…。ここは」
ジョミー「あっ、向こうから人が来る!」
こんな時間でも女の人が、と指差す先には若い女性が。
Aブルー「へえ…。夜に女性の一人歩きとは度胸があるね」
キース 「待て。何か怪しい気がするんだが」
ハーレイ「こらこら、地元の人には此処は生活道路だぞ」
シロエ 「で、でも…。服が真っ白なんですけれど…」
ハーレイ「それは夏服の定番だろう?」
マツカ 「ま、待って下さい。真夏にロングコートを着ますか?」
逆方向から歩いてくる女性、靴音を響かせていますけれども。
一同 「「「…も、もしかして…」」」
真夏とも思えぬロングコートに、白い服。
どう見ても怪しさMAXな姿、心霊スポットだけに人じゃないとか?
2013/07/28 (Sun)
☆恐怖の心霊現象
心霊スポットと名高いトンネルに入った御一行様。
向こう側から人が来たものの、真夏にロングコートな若い女性で白い服。
ジョミー「…サ、サム…。あの人、人間?」
サム 「人間なのは間違いねえよ。元だけどな」
一同 「「「…も、元人間…」」」
それはすなわち幽霊というヤツでございまして。
キャーッとトンネルに響き渡った子供の悲鳴。
ぶるぅ 「うわぁ~ん、怖いよお~っ!」
ブルー 「ぼ、ぼくも…。助けて、ハーレイ!」
教頭先生の背後でブルブル震える生徒会長。
生徒会長の後ろには「そるじゃぁ・ぶるぅ」が隠れております。
ハーレイ「よ、よし! こういうのはだな、こう照らせば」
出ました、大型懐中電灯。
ビカアッと女性を照らし出した途端、女性の足が早足に。
ハーレイ「…き、効かない…のか…?」
ジョミー「な、なんか口笛みたいな音が…」
シロエ 「あの人ですよ、あの人の方からヒューッて音が!」
ヒュードロドロは幽霊の定番で知られた音。
効果音だとばかり思っていれば、本当にヒューッと口笛のような音が。
ハーレイ「い、いかん、こっちへ近付いてくる! 下がりなさい!」
ブルー 「で、でも…。足が……」
足が全く動かないよ、と生徒会長。
他の面子も同様でして。
ジョミー「こ、これってまさか…」
サム 「だから言ったろ、マジもんだって!」
キース 「くっそぉ、俺が金縛りとは…」
マツカ 「き、来ますよ、どんどんこっちの方へ…!」
スウェナ「嫌よ、助けてえ~!」
ぐんぐん縮まる女性との距離。
口笛はトンネル中に木霊し、ブワァッと幾つもの人魂が。
Aブルー「なかなか派手だね、これが心霊スポットかぁ…」
A船長 「ホタルよりもかなり大きいですね」
ハーレイ「そんな場合じゃありませんよ! 逃げて下さい!」
のんびり見ていずにトンネルの外へ、と教頭先生、絶叫ですが。
ソルジャー夫妻も金縛りであれば言うだけ無駄というもので。
響く口笛、乱舞する人魂、万事休す…?
2013/07/29 (Mon)
☆ここは任せて
教頭先生を人柱に立てて突入したのに、シャン学メンバー、金縛り。
逃亡したくても足が動かず、人魂を背負った女性との距離は縮まる一方。
ハーレイ「こ、ここは私が食い止める! 早く後ろへ!」
キース 「俺たち、動けないんです!」
ジョミー「うわぁぁ、来る~っ! 誰か助けて~っ!」
それをお前が言うのかよ、と突っ込める人は皆無な状態。
ジョミー君を責めるどころか、人柱も役に立たなさそうで。
サム 「もうダメだぁ~!」
ブルー 「ハーレイ、任せた!」
ドンッ! と教頭先生を突き飛ばしました、生徒会長。
よろけて前に出た教頭先生、幽霊の女性と御対面。
ハーレイ「えーい、祟るなら私一人にしておけ!」
Aブルー「へええ…。凄いね、ヘタレのくせに」
A船長 「あれでこそ男というものですよ」
私もあなたのためでしたら、と盛り上がっております、バカップル。
口笛の音なぞ聞こえないかのようにイチャイチャイチャ。
キース 「あ、あいつら…。しかし、それより本気でマズイぞ!」
シロエ 「どうするんですか、人魂が全部教頭先生に群がってますよ!」
ブルー 「祟るなら自分にと叫んでたしねえ、本望だよ、きっと」
サム 「…で、でもよ、真面目にアウトっぽいぜ」
あの幽霊は半端じゃねえ、と唱え始めました、お念仏。
キース君も加わったものの、効果は全く現れず。
ハーレイ「…く、くうっ…。ここで私が倒れるわけには…」
ぶるぅ 「うわぁ~ん、怖いよ、ハーレイが死んじゃう~っ!」
キース 「ブルー、あんたの出番だろうが!」
Aブルー「え、ぼく?」
振り向きました、バカップルの片割れ。
お前じゃない、と誰もが叫びかけたのですけど。
Aブルー「出番だってさ、ちょっと行ってくる」
A船長 「どうぞお気を付けて。…あれは噛まないとは思うのですが」
一同 「「「えっ?」」」
金縛りなんぞはものともせずに、スタスタ歩いてゆくソルジャー。
ひょっとしてソルジャー、心霊スポットでも実は最強?
2013/07/30 (Tue)
☆幽霊も真っ青
人柱にされた教頭先生、人魂に襲われて大ピンチ。
シャン学メンバー、これはマズイと生徒会長を呼んだつもりが別の人が。
Aブルー「うーん…。あれ、貰ってもいいのかな?」
一同 「「「えっ?」」」
Aブルー「ハーレイに群がっているヤツだけど」
ブルー 「人魂なんかどうするつもりさ!」
Aブルー「とりあえず駆除すりゃいいんだろう?」
まずは一丁、と、ソルジャー、人魂を鷲掴み。
Aブルー「へえ…。ホントにプルプルの冷ややっこだ」
溶けるかな、と出て参りました、新しい酒瓶。
人魂を押し込めばシュワッと音が。
ジョミー「と、溶けちゃった…」
Aブルー「マムシがハーレイ向きとするなら、これはぼく向け」
思い切り精神エネルギーの塊だしね、とヒョイヒョイ捕獲。
幽霊の女性、じりじり後ずさりしております。
ぶるぅ 「すっごーい! オバケも怖がってるよ!」
ブルー 「ひ、人魂酒って…」
Aブルー「君も捕る? サイオンの充填に効くと思うよ、最高に」
ブルー 「ぼくはゲテモノ趣味は無いから!」
そう言う間もソルジャーは人魂を捕りまくり。
気付けば幽霊、今にも姿が消えそうで。
Aブルー「ラスト一丁!」
一同 「「「あーーーっ!!!」」」
フッとかき消えた女性の幽霊、口笛の音もいたしません。
ハーレイ「…た、助かった…のか…?」
ブルー 「ブルーに御礼を言うんだね。命が助かったんだから」
Aブルー「御礼を言うのはぼくの方だよ、いいものが捕れた」
サイオンが充実すれば大人の時間もより楽しめる、と笑顔のソルジャー。
Aブルー「ハーレイはマムシ酒でパワー充填だし、もう楽しみで」
A船長 「素晴らしい夏になりそうですねえ…」
キース 「…おい、幽霊はどうなったんだ?」
ブルー 「この夏は下手するとお休みかもねえ…。エネルギー切れで」
その内に復活するだろう、と笑い合いつつ皆でトンネルの出口へと。
心霊スポット、この夏は開店休業かもですが。
まずはめでたし、中継終了~。
2013/07/31 (Wed)