☆覚えていた記念日
さて、本日は8月1日でございます。
マツカ君の山の別荘から戻ったばかりのシャン学メンバー、集合ですが。
ぶるぅ 「かみお~ん♪ いらっしゃい!」
ジョミー「お邪魔しまーっす!」
ワイワイと生徒会長の家へ上がり込む御一行様。
クーラーが効いたリビングでは、生徒会長がのんびりと…。
ブルー 「やあ、山の別荘は楽しかったねえ。ありがとう、マツカ」
マツカ 「どういたしまして。喜んで頂けたんなら嬉しいです」
キース 「余計なヤツらも来なかったしな。あれは良かった」
ブルー 「ブルーたちかい? 当分来ないと思うけど」
多分、毎晩お取り込み中、と生徒会長は大きく伸びを。
ブルー 「素晴らしい夏になりそうだって言ってただろう、二人とも」
ぶるぅ 「えとえと…。お酒、一杯作っていたし…」
宴会だよね、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
ぶるぅ 「ぼく、チューハイとか好きだけど…。あのお酒はヤだなぁ」
サム 「マムシと人魂入りだもんなあ、理解不能な神経だぜ」
ブルー 「ところがどっこい、あの二人には最高なんだな」
ジョミー「夜がどうとか言ってたっけ?」
ブルー 「毎晩のようにお楽しみだよ、君たちには分からない世界でね」
万年十八歳未満お断りには無縁の世界、と生徒会長。
ブルー 「だけど理解出来れば無問題ってモノでもないし」
一同 「「「は?」」」
ブルー 「今日という良き日を呻きながら過ごしている人もいてさ」
シロエ 「誰のことです?」
ブルー 「羨ましくてたまらない、って、あれから毎晩」
キース 「話がサッパリ見えないんだが…」
ブルー 「もう忘れちゃった? 今日は8月1日なんだよ」
カレンダーをよく見たまえ、と言われましても。
サム 「木曜日だぜ? でもって、八朔」
ブルー 「ハーレイの日だってば、0・8・0・1!」
今年はちゃんと覚えていた、と生徒会長は自慢してますけれど。
ハーレイの名を持つ教頭先生、忘れ去られて放置な方が幸せなのでは…?
2013/08/01 (Thu)
☆お祝いがしたい
8月1日といえばハーレイの日だ、と記憶力を誇る生徒会長。
0801の語呂合わせでハーレイですけど、去年はド忘れいたしまして。
ブルー 「今年はキッチリ覚えてたんだし、やっぱりお祝いしないとね」
キース 「思い出したぞ、去年は振り替えでやりやがったな」
ジョミー「スカイダイビングで気絶したよね、教頭先生…」
シロエ 「お祝いしないのが一番です! それが最高のお祝いですよ」
サム 「でもよ、教頭先生、ブルーにベタ惚れしてるしなぁ…」
どんなお祝いでも嬉しいだろう、とサム君の意見。
サム 「この前のトンネルだって人柱になっていたじゃねえかよ」
マツカ 「教頭先生は人柱の件は御存知ないんですよ?」
キース 「ブルーに口止めされていたしな、ただ先頭で行ったとしか…」
ジョミー「だけど御機嫌だったよねえ? 役に立てたって」
ブルー 「一応、盾にはなってたからね」
人魂除けで、と生徒会長はニコニコと。
ブルー 「その辺も併せてハーレイの日を祝わなくっちゃ!」
キース 「どうせロクでもない祝いだろう?」
ブルー 「そうでもないよ? とびっきりのスペシャルだしさ」
一同 「「「…スペシャル…?」」」
ブルー 「去年は中継したからねえ…。今年もそっちの系統で」
キース 「中継だと?」
何をする気だ、とキース君の目つきが鋭いものに。
キース 「何の通達も出てない筈だな、ソルジャーからは?」
ブルー 「出してないけど?」
キース 「だったら何処に中継するんだ、誰が見るんだ!?」
ジョミー「シャングリラ学園の人とかじゃないの?」
スウェナ「夏休みだから職員さんと部活の先生しかいないわよ?」
おまけに一般生徒が居る筈、とスウェナちゃんは言っておりますが。
ブルー 「そんな所に中継したって楽しくないよ」
キース 「…サプライズで乗っ取り中継じゃないだろうな?」
仲間の家のテレビを乗っ取り、と睨み付けているキース君。
生徒会長なら電波ジャックもやりかねないかも?
2013/08/02 (Fri)
☆中継はコッソリ
ハーレイの日を祝って今年も中継をする、と生徒会長は申しております。
去年のスカイダイビング中継、確かに仲間に大ウケでしたが…。
キース 「何の通達も出さずに乗っ取り、あんたなら出来ると睨んだが」
ブルー 「まあね。その手の機材も無いことはない」
緊急用の回線が、と生徒会長はニッコリと。
ブルー 「防災無線みたいなものでね、自動でテレビがつく仕組み」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 使うんだったら、ぼくも出してよ!」
もう長いこと歌ってないよ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
ジョミー「歌うって…何さ?」
ぶるぅ 「いつもの『かみほー♪』! あれを歌うの!」
一同 「「「は?」」」
ブルー 「何年かに一度テストするんだ、その時に一曲歌うわけ」
シロエ 「…ぶるぅの歌が試験放送なんですか?」
ブルー 「もちろん、ぼくもソルジャーとして一応出るんだけれど…」
ぶるぅ 「面倒だからってすぐに引っ込んじゃうんだもん!」
余った時間で『かみほー♪』なんだ、と言われて納得。
代打を立ててサボリというのは生徒会長が好きそうなことで。
キース 「分かった、そいつを使うんだな? 緊急用の回線とやらを」
ブルー 「残念でした。まだ始末書は書きたくないし」
ぶるぅ 「えーーーっ、だったら『かみほー♪』は?」
ブルー 「次のテストで歌うんだね。始末書は本気で面倒だから」
キース 「…あんたでも始末書を書かされるのか…」
ブルー 「ソルジャーにしか出来ないことを生徒会長がやったらアウト」
その辺の線引きが厳しくて、と生徒会長、深い溜息。
ブルー 「もうちょっと自由にさせてくれても良さそうなのにね?」
キース 「いや、現状で充分だろう。つまり電波の乗っ取りは無い、と」
ブルー 「うん。もっと秘密裏にコッソリやらなきゃ」
シロエ 「やっぱり乗っ取る気じゃないですか!」
秘密裏にコッソリ、中継する気で計画中の生徒会長。
ハーレイの日の主役な教頭先生、危険なフラグが立ちまくりでは…?
2013/08/03 (Sat)
☆逃げるが勝ち
ソルジャーの肩書きを持つ生徒会長、始末書を書く羽目に陥ることも…。
そうならないようコッソリ秘密に中継を、と言われましても。
キース 「コッソリやっても必然的にバレるだろうが!」
シロエ 「そうですよ、テレビが勝手についちゃうんですよ?」
ジョミー「誰がやったか絶対バレると思うけど…」
顔を見合わせたシャン学メンバー、互いに視線を交差させると。
キース 「邪魔したな。俺たちはこれで失礼する」
シロエ 「どうも御馳走様でした!」
ジョミー「アイスクレープ、美味しかったよね! それじゃさよなら!」
サム 「また今度な!」
ガタガタと立ち上がる面々に「そるじゃぁ・ぶるぅ」はビックリ仰天。
ぶるぅ 「えーっ、お昼御飯は? どうするの!?」
キース 「たまには外食もいいもんだしな」
サム 「冷麺食おうぜ、ピリ辛冷麺!」
スウェナ「ファミレスがいいわ、色々あるもの」
マツカ 「ぼくの家なんかどうですか? ピリ辛冷麺も出来ますよ」
ジョミー「えっ、いいの? 行く、行く!」
迎えに来て貰えたらもっと嬉しい、とジョミー君が欲張りを。
マツカ君、早速スマホを取り出しましたが。
ブルー 「ちょっと待った! ぶるぅが用意したピザの生地は?」
キース 「冷凍しておけばいいだろう」
シロエ 「この次に美味しく頂きますよ」
ぶるぅ 「…作りたてのヤツが美味しいのに…」
ションボリしている「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
しかし長居は無用とばかりにマツカ君を促すキース君。
キース 「早く執事さんに電話しろ。下で待ってれば涼しいしな」
マツカ 「ロビーですね?」
ブルー 「おっと、そこまで!」
手を上げろ、と生徒会長の右の手のひらに青いサイオンの塊が。
ブルー 「逆らった人から順に消えて貰う」
一同 「「「…消える!?」」」
ブルー 「とっても素敵な所へね」
誰から御案内しようかなぁ、とニッコリ笑っておりますけれど。
消えて送られる素敵な所って、まさか極楽浄土とか…?
2013/08/04 (Sun)
☆逆らうと消すぞ
ハーレイの日だからと何かを画策している生徒会長。
巻き添えは御免だとばかりに逃亡を企てたシャン学メンバー、足止め中。
ブルー 「ぼくの力は知ってるだろう? 誰から消える?」
ジョミー「き、消えるって…。素敵な場所って?」
ブルー 「ジョミー限定なら、お寺なんかもいいかもねえ…」
キース 「…ということは、嫌がらせだな?」
ブルー 「さあね、そうとも限らないよ?」
消えたいのなら好きにしろ、と生徒会長は不敵な笑み。
ブルー 「あえて言うなら露天風呂かな、今日も暑いけど」
一同 「「「露天風呂!?」」」
ブルー 「そうさ、海辺の綺麗な所で」
キース 「バカバカしい。どうせ服ごとドボンだろうが」
この暑さなら濡れてもかまわん、とキース君。
キース 「放っておいても乾きそうだ。マツカに世話をかけなくてもな」
ジョミー「あっ、そうか! 行きっぱなしってことはないよね」
シロエ 「帰りの電車賃も持ってませんから、絶対連れ戻されますね」
ということは…、と頭を集めてヒソヒソヒソ。
この際、露天風呂でもいいか、と意見が纏まったようでございます。
キース 「いいだろう、好きに消してみやがれ!」
ブルー 「へえ…。今回はキースが人柱なんだ?」
キース 「他のヤツらもすぐに揃うさ、みんな逃げる気満々だからな」
サム 「スウェナは見逃してやってくれよな、女だしよ」
ブルー 「サムの頼みでなくてもそれはOK。女の子には何もしないよ」
逃亡するなら玄関からどうぞ、と女性の扱いは素晴らしいもの。
ブルー 「それで、キースが最初に消えるんだって?」
キース 「あんたの悪事に付き合うよりかは露天風呂だな」
露天風呂が怖くて旅が出来るか、とニヤリと笑ったキース君ですが。
ブルー 「了解。お一人様、御案内ってね」
一同 「「「あーーーっ!!!」」」
ホントに消えた、とシャン学メンバー、大パニック。
ただの脅しかと思われたサイオン、キース君を何処かへ飛ばしましたよ!
2013/08/05 (Mon)
☆行き先はお風呂
手を上げろとは言われたものの、なめてかかっていたシャン学メンバー。
まさか本気でやらないだろうと思っていたのに、キース君が消滅で。
ジョミー「…き、消えた……」
サム 「マジかよ、あいつ何処行ったんだよ!?」
ブルー 「だから言ったろ、ぼくに逆らったら消えて貰うって」
シロエ 「…で、でも…。行き先は露天風呂ですよね?」
ブルー 「そっちも嘘は言わないよ。本当に海がよく見えるんだ」
一同 「「「……海……」」」
ならいいか、とホッと安堵の御一同様。
服のままドボンはキツイですけど、お浄土よりかはマシというもの。
シロエ 「じゃあ、ぼくたちも帰りましょうか」
ジョミー「ドボンしちゃえば無関係だもんね、ハーレイの日には」
サム 「おう! マツカ、濡れててもOKな車を頼むぜ」
マツカ 「分かりました。着替えも用意させますよ」
シロエ 「決まりですね。じゃあ、会長、ぼくたち、失礼します」
スウェナ「私は玄関に行けばいいのね」
先にロビーで待っているわ、とスウェナちゃんも足を踏み出しましたが。
ブルー 「君たち、後悔しないのかい?」
シロエ 「ハーレイの日に巻き込まれるよりかはドボンでいいです!」
ブルー 「……誰もドボンとは言ってないけど?」
一同 「「「は?」」」
ブルー 「ドボンさせたとは言っていないと思うんだけどね」
ジョミー「ちょ、ちょっと…。行き先、露天風呂なんだよね?」
ブルー 「露天風呂だけど?」
ドボンじゃないとはこれ如何に。
顔を見合わせたシャン学メンバー、怖い考えに陥ったようで。
シロエ 「…ま、まさかとは思うんですけども…」
ブルー 「ん?」
シロエ 「女湯に飛ばしたとかじゃあないでしょうね!?」
ブルー 「ああ、そこね。女性ならちょうどキースの前に」
シロエ 「そ、それじゃあ…」
サム 「キース、覗きで逮捕じゃねえかよ!」
でなきゃ痴漢だ、とシャン学メンバー、再びパニック。
女湯に飛ばされたキース君の運命や如何に?
2013/08/06 (Tue)
☆身内から犯罪者
生徒会長に逆らえば露天風呂にドボン。
その程度なら逃げるが勝ちだと思っていれば、行き先はなんと女湯で…。
ジョミー「お、女湯って…。キースの目の前に女の人って…」
シロエ 「マズイですよ、通報されますよ!」
サム 「もう手遅れじゃねえのかよ…」
マツカ 「お風呂にスマホとかは持って入らないと思いますけど…」
スウェナ「普通はキャーッて叫ぶわよ? 男の人が入って来たら」
ジョミー「……だよね……」
エライことになった、とシャン学メンバー、顔面蒼白。
生徒会長に付き合わされて悪事の片棒を担がされたことは多くても。
サム 「とうとう身内から犯罪者かよ…」
シロエ 「キース先輩、現地の警察行きですよね?」
マツカ 「事情聴取は絶対にあると思いますよ」
ジョミー「ど、どうしよう…。学校に電話とかかかってくるわけ?」
スウェナ「…かかるわよねえ、それと家にも」
一同 「「「うわー…」」」
脳裏に浮かんだアドス和尚の怒った顔。
ただでも怖いアドス和尚がブチ切れた場合、何が起こるか分かりません。
シロエ 「キース先輩、ついに丸坊主かもしれませんね…」
サム 「それで確定だろ。お詫びと反省の印じゃねえかよ、坊主頭は」
ジョミー「バリカン持って丸刈りにされたら逃げられないかも…」
サム 「あの親父さんなら自分で刈るぜ。キース任せにはしねえよな」
スウェナ「副住職が逮捕だなんて、とても許して貰えないわよね…」
シロエ 「事故だと言っても無駄でしょうしねえ」
世の中、結果が全てです、と合掌しているシロエ君。
シロエ 「で、どうなるんでしょう、キース先輩」
サム 「俺たちじゃ迎えに行けないしなぁ…」
マツカ 「待って下さい、逃げようはあるんじゃないですか?」
ジョミー「そうだ、瞬間移動だったら留置所からでも逃げられるかも!」
シロエ 「それですね!」
きっと逃がしてくれるのだろう、と生徒会長に集まる視線。
ガッツリ身元がバレてなければ間に合いますか?
2013/08/07 (Wed)
☆只今、潜伏中
瞬間移動で女湯に飛ばされてしまったキース君。
このまま行けば警察ですけど、生徒会長なら連行される前に逃がせそう。
ジョミー「え、えっと…。ブルー、キースはどうなるわけ?」
ブルー 「さあねえ? 消せと言ったのはキースだし」
シロエ 「それとこれとは別件ですよ!」
マツカ 「そうです、大変なことになってしまいそうです」
サム 「あいつの分も謝るからよ、なんとか逃がしてやってくれよ」
逃げないと逮捕一直線、とサム君が土下座。
腐っても生徒会長と公認カップルなだけに効果大かと思われましたが。
ブルー 「ダメだね、まだ五分しか経ってないから」
シロエ 「どういう意味です!?」
ブルー 「十分は行ってて貰わないとね」
ジョミー「もしかして警察待ちなわけ!?」
サム 「通報されてからパトカーが着くまでの時間なのかよ?」
もうダメだ、と天井を仰ぐシャン学メンバー。
しかし…。
ブルー 「まだ警察は呼ばれてないよ」
一同 「「「え?」」」
ブルー 「一時間ほど放置しとけば消防が来るかもしれないけれど」
シロエ 「…消防ですか?」
サム 「なんなんだよ、それ…」
ブルー 「お風呂で消防の出番といえば救急車だよね」
いわゆる湯あたり、とニッコリ笑う生徒会長。
ブルー 「十分くらいがメドなんだ。それ以上の時間、入るとキツイ」
シロエ 「じゃ、じゃあ…。キース先輩、隠れてるとか?」
サム 「きっとそうだぜ、あいつ即断即決だしな」
ジョミー「…見付からないように潜ってるとか、あるかもね…」
スウェナ「ドボンじゃないって聞いたわよね」
シロエ 「潜ってるならブクブクですしね」
それにしたって危険すぎる、と誰もが口を揃えております。
シロエ 「見付かったら本当に終わりなんですよ、キース先輩」
サム 「僧籍剥奪ってのも有り得るぜ…」
シャングリラ学園も退学かもよ、と浮かぶのは最悪のシナリオばかり。
キース君、警察のお世話になってしまう前に逃げられますか?
2013/08/08 (Thu)
☆女湯カウントダウン
瞬間移動で女湯に飛ばされたキース君ですが、通報されてはいない模様。
潜って隠れているようですけど、それにしたって限界が…。
シロエ 「会長、十分なんて言っていないで連れ戻して下さい!」
サム 「見付かる前に逃がしてやってくれよ、頼むからよ!」
ジョミー「息つぎに顔を出して見付かっちゃったら終わりだもんね…」
スウェナ「女顔ってわけじゃないものね…」
だから早く、とシャン学メンバー、必死に説得。
シロエ 「お願いします、キース先輩の人生がかかっているんです!」
マツカ 「お坊さんの資格の取り直しっていうのは無いんでしょう?」
ブルー 「どうだろう? 流石に痴漢じゃダメかもね」
サム 「分かってるんなら逃がしてくれよ!」
ブルー 「うーん…。人生まではかかっていないと思うんだけど」
こんな感じで、と生徒会長が指を鳴らせばキース君の声が何処からか。
キース 『…く、くっそぉ…。なんでこうなる…』
一同 「「「!!!」」」
思念とも声とも判別不能な呻き声。
苦しげで、かつ恨めしげ。
シロエ 「や、やっぱり露天風呂で潜水中ですよ!」
ジョミー「だよねえ、思い切り苦しそうだし」
キース 『……あ、熱い…。死ぬ………』
マツカ 「キース、限界じゃないですか? 危ないですよ!」
スウェナ「意識が無くても女湯に浮いたらおしまいよね?」
サム 「どう考えても痴漢だぜ、それ…」
逮捕だ、逮捕だ、と上を下への大騒ぎ。
しかし生徒会長の方は悠然と。
ブルー 「十分経ったら映像を出すよ、お楽しみにね」
シロエ 「逮捕現場の生中継なんて要りませんよ!」
キース 『……も、もうダメだ……』
これまでなのか、と流れてくるキース君の声だか思念だか。
ブルー 「あと2分!」
サム 「カウントダウンより助けてくれよ! 頼むからよ!」
女湯に浮いてしまって通報されれば、悲惨な末路はお約束。
キース君の人生、生徒会長に逆らったばかりに女湯の露と消えるのか…?
2013/08/09 (Fri)
☆お風呂と砂浜
十分経ったら映像を出す、とカウントダウンを始めた生徒会長。
キース君が女湯にプカリと浮かぶ辺りから始まりそうで、誰もが真っ青。
サム 「ダメなのかよ? キースの人生、終わっちまうのかよ?」
ブルー 「あと1分!」
ジョミー「も、もう完全に終わりっぽいかも…」
ブルー 「30秒!」
シロエ 「き、キース先輩……」
ブルー 「10、9、8…」
うわぁぁぁぁ、と悲鳴が上がる中、ついに5秒を切りまして。
ブルー 「3、2、1…」
一同 「「「あーーーっ!!!」」」
もうダメだ、と頭を抱えて突っ伏すシャン学メンバー。
ブルー 「見ないわけ? 面白いのに」
シロエ 「先輩の逮捕劇なんて!!」
そんなの嫌です、とウッカリ顔を上げてしまったシロエ君ですが。
シロエ 「え? …なんで…?」
サム 「ど、どうしたんだよ、もしかしてキース、逃げたのかよ?」
シロエ 「そ、そうじゃなくって…。女の人がニコニコしてます…」
一同 「「「は?」」」
ガバッと起き上ったシャン学メンバー、中継画面を眺めて目が点。
キース君の姿は見えませんけど、頭にタオルを巻いた女性が何名か。
スウェナ「なんだか気持ちよさそうねえ…。顔しか映っていないけど」
ブルー 「この後ろにねえ、ちゃんとキースがいるんだな」
視点を変えて、と映し出されました、キース君。
ジョミー「ちょ、ちょっと…。思い切り顔を出しちゃってるし!」
サム 「やっぱ限界だったのかよ! マズイぜ、マジで警察が…」
ブルー 「残念ながら、ここで通報は無いと思うよ」
逮捕劇も楽しそうだけど、と視点が上空に移動しまして。
ジョミー「…す、砂浜……?」
シロエ 「海は見えますけど、露天風呂は…?」
マツカ 「普通にただのビーチですよね?」
ブルー 「これが海辺の露天風呂だよ、まあ見てごらん」
一同 「「「えぇっ!!?」」」
ズームアップ、と出た映像にドドーンと映るビーチパラソル。
果たして海辺の露天風呂とは?
2013/08/10 (Sat)
☆変わり種なお風呂
海辺の露天風呂へ飛ばされてしまったキース君。
中継画面に映し出された場所はビーチで、露天風呂らしからぬ風景で…。
ジョミー「…お、お湯が無い…?」
シロエ 「なんで砂浜に埋まってるんです、キース先輩も他の人も!?」
ビックリ仰天のシャン学メンバー。
朦朧とした顔で首まで埋まったキース君とか、気持ちよさげな女性とか。
ブルー 「だから海辺の露天風呂だよ、いわゆる砂風呂」
一同 「「「砂風呂…?」」」
ブルー 「砂浜の下が温泉なんだな、温まった砂を被るわけ」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 自然のサウナなんだよ!」
サム 「じゃ、じゃあ……女湯も何もねえのかよ?」
ブルー 「そういうこと! あっちの方にはオジサンもいるし」
ジョミー「…本当だ…」
中継画面がススーッと移動し、頭にタオルなオジサンたちの団体様が。
皆さん、ムクリと起き上りまして。
スウェナ「あら、服じゃなくって浴衣なの?」
ブルー 「砂まみれになってしまうからねえ、浴衣が一番!」
シロエ 「…キース先輩、砂まみれですか!?」
ブルー 「それはもう。ついでに熱くてたまらないかと」
十分以上経っちゃったから、と生徒会長はニヤニヤと。
ブルー 「そうでなくてもキースの場合は砂が熱めで」
ジョミー「どういうことさ?」
ブルー 「埋まる深さで湯加減と言うか……砂の熱さを調節ってね」
熱いのが苦手な人は浅めで砂も少なめ、と申しております。
ブルー 「そして出る時は自分で砂から出るわけだけど…」
マツカ 「おじさんたちがそうでしたね」
ブルー 「キースの前にいた女の人たちも、もう出ちゃったよ」
サム 「確かにいねえな…」
キース君に戻された中継画面、周囲の顔ぶれが変わっております。
ブルー 「キースも自力で出られるんなら逃げてるさ」
ジョミー「ちょ、ちょっと、いったい何をしたわけ!?」
首まで埋まって汗ダラダラのキース君。
砂風呂から自力で出られないとは、どういう状態なんでしょう…?
2013/08/11 (Sun)
☆湯あたりの末路
キース君が飛ばされた海辺の露天風呂の正体は、なんと砂風呂。
温まった砂を被ってサウナ感覚のようですけれど、出られないらしく…。
シロエ 「会長、何をしたんです! キース先輩、顔が真っ赤ですよ!」
ブルー 「まあ完全に湯あたりだろうねえ、砂あたりかな?」
サム 「自力で出られねえって言ったよな?」
マツカ 「砂が重石になってるんですか、サイオンで?」
ブルー 「なるほど! そういうのも楽しかったかも…」
サム 「違うのかよ!?」
ブルー 「ちょっとね、砂を深めにサービスしたわけ」
他の人は寝ているだけなんだけど、と視点が変わった中継画面。
浅く掘られた穴に横たわる女性に係員が砂をかけております。
ブルー 「普通はああいう感じなんだな。だけどキースは落とし穴で」
一同 「「「落とし穴?」」」
ブルー 「寝てるんじゃなくて立っているわけ、砂の中にね」
ジョミー「そ、それじゃあ…」
ブルー 「気をつけの姿勢で埋めてあげたし、手も動かないよ」
ついでに係員にもキースの存在はバレない仕様、と生徒会長。
ブルー 「ちゃんとシールドしてるのさ。でないと時間制限がね」
ジョミー「時間制限?」
ブルー 「十分がメドって言っただろ? それを超えると…」
ぶるぅ 「係の人が出て下さいねって言いに来ちゃうの!」
砂のお風呂は熱いから、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
おまけに本日、ビーチのあたりは猛暑日だそうでございます。
ブルー 「というわけで、キースは我慢大会なんだよ」
スウェナ「あそこの砂は何℃くらいなの?」
ブルー 「基本は50℃から55℃かな、キースはもっと熱いってね」
サム 「死ぬじゃねえかよ、脱水で!」
ブルー 「だからそろそろ、お迎えタイム」
ジョミー「ちょ、お迎えって! それって、まさか…」
シロエ 「思い切りヤバイじゃないですか!」
お迎えと言えば、いわゆる「あの世」からのお出迎え。
本気で殺しはしないでしょうけど、脱水症状で救急搬送とかですか…?
2013/08/12 (Mon)
☆お迎えと手当て
砂風呂に首まで埋まって我慢大会なキース君。
そろそろお迎えタイムとの話ですけど、生徒会長が言うと縁起でもなく。
サム 「三途の川かよ、キース、今頃、花畑かよ!?」
ブルー 「見えてるかもねえ、お花畑」
シロエ 「会長、始末書、書かされますよ? 学校にバレたら」
ジョミー「そうだよ、キースが病院送りじゃ始末書だよね?」
ブルー 「ぼくはそこまで間抜けじゃないよ。ね、ぶるぅ?」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ お迎えタイムだね!」
ちょっと待ってね、と駆け出していった「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
レジャーシートを持って戻るとリビングの絨毯に広げまして。
ぶるぅ 「はい、準備オッケー!」
ブルー 「ありがとう。それじゃ蜘蛛の糸を垂らそうかな」
地獄から救出するには蜘蛛の糸、とキラリと光った青いサイオン。
次の瞬間、キース君がレジャーシートの上にドサリと。
シロエ 「キ、キース先輩、大丈夫ですか!?」
キース 「…う、うう……」
スウェナ「水よ、水! スポーツドリンクの方がいいのかしら?」
マツカ 「とにかく何か飲ませないと…」
ジョミー「の、飲めるのかな?」
ブルー 「へばってるしねえ…。ぶるぅ、何か持ってきて」
ぶるぅ 「うんっ!」
出て参りました、キンキンに冷えたスポーツドリンクのボトル。
生徒会長、ニンマリと。
ブルー 「こういう時には口移しってね」
一同 「「「えぇっ!?」
ブルー 「それが一番確実なんだよ、おまけにキースのプライド崩壊」
ぼくと素敵にディープキス、とキュキュッとボトルを開けていますが。
サム 「ブ、ブルーとキスって…。口移しって…」
ブルー 「いけないかい? それじゃサムにも後で特別に」
シロエ 「そういう問題じゃないでしょう!」
ブルー 「別にいいだろ、ファーストキスくらい貰ったってさ」
多分、キースはキスした経験は無し、と生徒会長はニヤニヤニヤ。
キース君、意識が朦朧としている間にファーストキスまで奪われるのか?
2013/08/13 (Tue)
☆手当てと口移し
ただでも熱いらしい砂風呂、おまけに時間オーバーな上に猛暑日で。
脱水症状気味で戻ったキース君、生徒会長が手当てと称して更に悪ノリ。
ブルー 「水分補給が一番だしねえ、ここはやっぱり口移し!」
シロエ 「す、ストローとか、他に色々あるでしょう!」
ブルー 「忘れたのかい? ぼくに逆らった結果だよ、これは」
ジョミー「…そ、そうだっけ…」
ブルー 「なのに連れ戻してあげて手当てなんだし、恩に着るべき!」
恨まれる筋合いは微塵も無い、と生徒会長はクスクスと。
ブルー 「というわけでね、キースのファーストキスを貰っておこう」
サム 「…ほ、本気なのかよ?」
ブルー 「サムにも後でサービスするよ。ぶるぅ、カメラを」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 写真を撮ればいいんだね!」
シロエ 「そこまでしますか!?」
ブルー 「それはもう。ハーレイに見せたら悔しがるよ」
ハーレイの日の幕開けに送ってあげよう、と艶やかな笑み。
でもってスポーツドリンクを口に含みまして…。
ブルー 「…ん~……」
一同 「「「…あ、あ、あああ……」」」
ブルー 「……やめた」
ゴクン、と飲み下す生徒会長。
顔を見合わせるシャン学メンバーの前で、キース君が呻き声を。
キース 「…く、くっそぉ…。逃げやがったか…」
シロエ 「先輩、気が付いたんですか!?」
キース 「…ついさっきな……」
ブルー 「凄い殺気を感じたんだよ、やり返す! ってね」
キース 「……散々世話になったからな…」
ゆっくりと起き上ったキース君、生徒会長を睨み付けております。
キース 「晒し者にまでされてたまるか、そいつを寄越せ」
ブルー 「うーん、残念…。のんびりし過ぎた」
キース 「文句があるなら受けて立つぞ? 自慢の唇がパアだがな」
ブルー 「嫌だよ、ぼくはこの顔が売りなんだから!」
歯型は御免蒙りたい、とペットボトルを差し出す生徒会長。
引っ手繰ったキース君は一気にゴクゴク、なんとか復活したようですね!
2013/08/14 (Wed)
☆砂風呂で砂だらけ
脱水症状に加えてファーストキスを奪われる危機。
実に危なかったキース君ですが、ペットボトルを一気飲みして見事復活。
キース 「ふう…。本気で死ぬかと思ったぜ」
ブルー 「ちゃんと予告はしたけどねえ? 逆らうと消すぞって」
キース 「やかましい!」
ブルー 「ちょっと待ったぁ!」
そこから動くな、と生徒会長の鋭い一喝。
ブルー 「絨毯が砂だらけになっちゃうじゃないか」
キース 「なんだと?」
シロエ 「た、確かに先輩、砂だらけですね…」
キース君の身体と服からパラパラと落ちる砂の粒。
レジャーシートの上にも水たまりならぬ砂だまりが…。
ブルー 「バスルームを砂詰まり防止仕様にしたから、そこで洗って」
キース 「どうやって行けと!」
ブルー 「瞬間移動でパパッとね。服も洗濯するんだよ」
キース 「…俺がか?」
ブルー 「そもそも君の服だろう? 砂まみれなのも自業自得で」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 下洗いだけでいいからね!」
後は洗濯機にお任せだから、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
ぶるぅ 「洗濯機くらい使えるでしょ?」
キース 「まあ、それは…。合宿でも使うし、修行道場でも使ったし」
ブルー 「頼もしいね。乾くまでの間の服も届けておくから」
行ってらっしゃい、と青い光が走って消え失せました、キース君。
バスタイムのようでございます。
ジョミー「よ、良かったぁ…。逮捕も救急車もなくってさ」
ブルー 「そこはきちんと考えてるよ。で、君たちは?」
一同 「「「えっ?」」」
ブルー 「今も帰る気満々かい? だったら順番に砂風呂だけど」
シロエ 「え、遠慮させて頂きます!」
サム 「お、俺もサウナは遠慮したいぜ」
マツカ 「ぼくもです…」
ジョミー「サウナとブルーのキスのコンボなんて要らないよ!」
ブルー 「それは結構。じゃあ、後はキースの意見待ちだね」
ハーレイの日の中継はどうなるかな、と生徒会長はニコニコと。
シャン学メンバー、大ピンチですか?
2013/08/15 (Thu)