キース君の身支度も整い、お田植え祭の会場に向けて出発でございます。
しかし、いつの間にやら生徒会長の姿が無くて。
ぶるぅ 「ブルー、先に会場に行ってるんだよ」
キース 「なんだか嫌な予感がするが…」
ジョミー「それ以上、悪くなりようがないよ。巫女さんだよ?」
サム 「違いねえな。月刊シャングリラにも載るんだぜ、きっと」
他人事だと笑い合いながら農業専用スペースに行けば…。
雅楽会員「おはようございます。では、舞殿の方へ」
キース 「ま、待ってくれ、まだ心の準備が…」
雅楽会員「じきに祝詞が始まりますので、舞の支度をお願いします」
揃いの直垂の雅楽会員に拉致られてしまったキース君。
ジョミー君たちは田んぼの畦でスタンバイするよう指示されて。
マツカ 「えっと…。キースが舞い始めたら植えるんですよね?」
シロエ 「紐に沿って真っ直ぐ植えればいいそうですし…」
簡単、簡単、と祭壇と舞殿を眺める田植え係の男子たち。
スウェナはクルーたちに混ざって「そるじゃぁ・ぶるぅ」と一緒に見物。
そこへ奥の方から神主姿の一団が行列をなしてゾロゾロと。
ジョミー「えっ、ブルー!?」
サム 「ホントだ、長老の先生たちもいるぜ」
生徒会長もエラ先生たちも白い狩衣に紫の袴。
祭壇の前に並んで二礼、二拍手、一礼して。
ブルー 「かけまくもかしこき…」
朗々と祝詞を奏上している生徒会長。
お坊さんではなかったのか、とシャン学メンバー、仰天ですが。
ブラウ 『お祭りだよ、お祭り。本職なわけないだろう』
ゼル 『わしらも同じじゃ、要は祭りじゃ!』
ノリノリでなんぼ、と何処かで聞いたような思念を寄越す先生方。
祝詞が終わると雅楽が始まり、ジョミー君たちは田んぼへと。
苗を植えながら顔は上げられず、舞殿は全く見えませんが。
ブルー 「ふふ、人選に間違いなしってね」
巫女さんなキース君、檜扇を手に舞っております。
写真に収めるクルー多数で、お田植え祭は大成功です~!
拍手ありがとうございました!
田植え係のジョミー君たちは茜襷に菅の笠。
無事に変身完了ですけど、巫女さんなキース君は現在進行形で変身中で。
キース 「い、いたたた! 抜ける、髪が抜ける!」
着付け係「もう少し我慢して下さい! 巫女さんですから」
キース 「付け毛なんて聞いてなかったぞ!」
ブルー 「そうだっけ? 伝え忘れたかな、雅楽会員」
巫女さんの髪は長いもの、と生徒会長は申しております。
キース君が巫女さん装束で座らされている鏡台の前には立派な付け毛。
それをキース君の髪につけるべく、女性クルーが奮闘中です。
ジョミー「もうちょっと髪が短かったらカツラで済んでいたのかな?」
ブルー 「多分ね。なまじ黒髪で長さがある分、こだわりたくなる」
サム 「なんか大変そうだよなあ…。ホントに全部結べるのかよ?」
ブルー 「そこはプロだし、やると思うよ」
シロエ 「あっ、ベストな位置が見つかったんじゃないですか?」
スウェナ「そうね、あそこなら纏めて束ねられそうね」
キース 「ひ、引っ張るなぁ!」
痛い、と喚くキース君に構わず髪が纏められ、ゴム紐でキュキュッと。
申し訳程度なポニーテールもどきに付け毛をつけて…。
マツカ 「結び目は飾りで隠れるんですね」
ブルー 「そういうこと! なかなか素敵な巫女さんだよ、うん」
着付け係「では、紅を差しますので唇をキュッと」
キース 「べ、紅だと?」
着付け係「巫女は薄化粧が基本ですから、せめて紅くらいは」
御希望とあればお白粉も、と言われたキース君は真っ青です。
紅だけでいい、と叫んだ結果、綺麗に紅が引かれましたが。
着付け係「それでは仕上げに花簪をお付け致しましょうね」
キース 「花簪!?」
着付け係「お田植え祭には必須です。今年は華やかに藤の花です」
キース 「くっそぉ、どこまでこだわるんだ!」
額にサクッと花簪。
藤の花房が揺れている上に、銀細工のビラビラした飾りまで。
巫女さんに変身を遂げたキース君、間もなく晴れの舞台ですよ~!
お祭り好きな船、シャングリラ号。
神様はTPOに合わせて変わるそうですけども、神事とくれば船霊様で。
その正体は機関長のゼル先生の趣味により、招き猫なのでございます。
本日のお田植え祭は船霊様とお稲荷様のダブル祭神。
キース 「くっそぉ、なんで招き猫のために巫女さんなんぞを…」
シロエ 「考えない方がいいですよ。お稲荷さんも祀るそうですし」
ジョミー「どうせ全員女装なんだよ? キースだけじゃなくて」
キース 「お前たちはその他大勢だろうが!」
サム 「四人だけだぜ? お前が抜けるし」
キース 「それだけいれば充分だ! 俺は一人で舞うんだぞ!」
ブルー 「朝も早くからギャーギャーと…。四人舞にしてあげようか?」
キース 「い、要らん! と言うか、あんた、何処から湧いた!?」
ブルー 「まったく、人をゴキブリみたいに…。失礼だよね、ぶるぅ?」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ぼくもゴキブリだもん!」
瞬間移動で湧くんだもん、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」も登場です。
キース 「な、何しに来たんだ、あんたらは!」
ブルー 「着替えの場所まで御案内だよ、急がないと」
ぶるぅ 「係の人たち、とっくに用意して待ってるよ!」
スウェナ「私も見に行っていいのかしら?」
ブルー 「いいんじゃないかな、女性ばかりだし」
男子全員「「「女性!?」」」
げげっ、と仰け反る男子一同。
しかし生徒会長曰く、女装祭りだけに着付けのプロは当然女性で。
ブルー 「巫女さんなんかは男が触れちゃダメだしねえ?」
キース 「その巫女さんが男だろうが!」
ブルー 「お祭りだから無問題ってね。さあ、行こうか」
案内されたのは農業専用スペースに近い会議室。
居並ぶ女性クルーが男の子たちに群がり、サクサクと…。
ジョミー「な~んだ、普通に農民だよね、コレ」
シロエ 「女装って感じはしませんよねえ、良かったです」
絣の着物に茜色の襷、頭に菅笠。
地味な農民に変身できたジョミー君たちですが、キース君は…?
拍手ありがとうございました!
お田植え祭の会場を下見してきたシャン学メンバー。
祭壇も設けられていたため、ジョミー君が神様は誰かと尋ねております。
ブルー 「うーん…。お祭りと言ってもイベントだしねえ…」
ジョミー「じゃあ、祭壇もお遊びなわけ?」
ブルー 「そういうことだね、とりあえずコレって神様はあるけど」
サム 「あるのかよ?」
ブルー 「クリスマスだとキリストだろう? だから一応、神事にも」
他にも祭りは色々あるらしく、神様はTPOで変わるそうでございます。
その場その場のノリですけども…。
ブルー 「お田植え祭はダブルなんだよ、一番はお稲荷さん」
キース 「そんなモノまで祀っているのか、この船は?」
ブルー 「流石にお社は無いってば。でも田んぼにはお稲荷さんだし」
シロエ 「ダブルっていうのは何ですか?」
ブルー 「シャングリラ号の中の田んぼだからねえ、船霊様が入るわけ」
ジョミー「ちょ、船霊様って…」
スウェナ「もしかして機関部のアレ…」
ブルー 「シッ、それ以上は言わないように!」
正体を知らない人も多いんだから、と生徒会長は大真面目。
シャングリラ号の船霊様は機関部の奥の祠に祀られているのですが。
その正体は機関長のゼル先生の主義主張により、招き猫で。
キース 「じゃあ、何か? 俺はアレのために舞うのか、明日?」
ブルー 「お稲荷さんだと思った方が精神的にマシじゃないかな」
ジョミー「ぼくたちの田植えも女装もアレのためなんだ…」
マツカ 「そういうことになりますね…」
ブルー 「こらこら、お祭りは賑やかに! 船霊様のことは忘れる!」
ぼくだってテラズ様事件が無ければ知らなかったし、と生徒会長。
ジョミー「うえ~。テラズ様のことは忘れようよ~」
ブルー 「テラズ様も船霊様も忘れて寝たまえ、明日はお祭り!」
楽しくやらなきゃ、と宣言されて解散となったシャン学メンバー。
明日は朝から着付けだそうです。
茜襷に菅笠の面々にも注目ですけど、花形はキース君ですよね!
※船霊様が気になる方はこちら→ 『連休は穴場で』
テラズ様が気になる方はこちら→『農場夢草子』
どちらもクリックでアーカイブの該当作品に飛べます。
以下、拍手レスです~。
拍手ありがとうございました!
生徒会長の白拍子舞に太鼓を叩いての阿弥陀経。
果ては雅楽会まで登場したお田植え祭の準備、順調に進行いたしまして。
巫女さん「これでなんとか見られますでしょう。頑張りましたね」
キース 「は、はいっ! ご指導ありがとうございました!」
雅楽会員「いやいや、お疲れ様でした。では明日、会場の方で」
キース 「お世話になりました。ありがとうございました!」
ブルー 「手間を取らせて悪かったねえ。じゃ、明日はよろしく」
引き揚げてゆく雅楽会員たちに手を振る生徒会長、とっくに私服。
それもその筈、キース君の練習に付き合う内に思い切り夜でございます。
宇宙船で夜というのもアレですけども、標準時間はあるわけで。
ブルー 「さてと、練習も終わったし…。食堂に行く?」
ジョミー「えっ、お弁当を届けてもらったよ? 他にも食べていいの?」
ブルー 「夜食も食べられないんじゃストレスたまるよ、宇宙ではね」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 食堂は24時間営業だよ!」
キース 「疲れはしたが…。やはり食っておいた方がいいんだろうな」
ブルー 「そりゃね、バテた巫女さんなんて絵にならないし!」
ついでに会場も下見しておこう、と連れてゆかれたシャン学メンバー。
農業専用スペースに行けば、広大な田んぼの横に小さな田んぼが。
更に祭壇やら舞殿まで出来ているようですが…。
キース 「な、なんだコレは!」
ブルー 「舞殿だけど? 田んぼの畦で舞う気だったのかい?」
キース 「そ、それは…。しかしこれでは…」
ブルー 「お祭りなんだし、目立ってなんぼ!」
派手にやらなきゃ、と生徒会長。
まあ逆らっても無駄というもので、食堂へゾロゾロ移動して…。
夜食の定番はやはりラーメン、熱々を皆で啜りながら。
ジョミー「お田植え祭をするのはいいんだけどさ、神様って誰?」
ブルー 「神様?」
ジョミー「誰のお祭りかって聞いてるんだよ」
祭壇が作ってあったよね、とジョミー君。
シャングリラ号の御祭神って…誰?
