下手なビールよりアルコール度数が高くなるらしい、酒粕多めの濃い甘酒。
大鍋の底から掬われる上に熱々ですから、とても身体が温まるようで。
ジョミー「なんか美味しい…。それにポカポカしてくるね」
ブルー 「最初に頂いた分は冷めちゃってたし、注ぎたてには敵わないよ」
お坊さん「よろしかったらお代わりをどうぞ」
ジョミー「うん、お願い。まだ四ヶ所も回るんだから」
雪が舞う中、熱い甘酒は嬉しいものでございます。
お代わりしまくったジョミー君、最後は笑顔でお坊さんたちに手を振って。
ジョミー「御馳走様でしたー! 頑張ってお参りして帰りますね」
お坊さん「どういたしまして。福を沢山頂いて下さい」
ジョミー「ありがとうございまーす! 服は緋色が最高ですよね!」
バイバイ、と御機嫌で先頭に立ち、次の塔頭へ向かうジョミー君。
その後ろでは…。
サム 「今の緋色ってフク違いだよな?」
キース 「だろうな。ジョミーが言うのは着る方の服だ」
シロエ 「緋色が最高っていうことは…。もしかしなくても…」
ブルー 「そう、明らかに坊主宣言。緋色の衣を目指すそうだよ」
楽しみだねえ、と生徒会長は笑っております。
「酒は飲んでも飲まれるな」とキース君が言っていたのに…。
そういうわけで、残り四ヶ所でのジョミー君のお願い事は。
ジョミー「ここで最後、っと。しっかりお願いしてきたよ」
ブルー 「緋色の衣が着られますように…って?」
ジョミー「もちろんさ! あ、お札よろしくお願いしまーす!」
塔頭のお坊さんに福笹にお札を結んで貰って、ジョミー君は大満足。
雪はいつの間にやら本降りに…。
ブルー 「お昼は此処で食べて行こうか。湯豆腐をやっているんだよ」
マツカ 「そうなんですか?」
ぶるぅ 「ここの湯豆腐、美味しいよ! お寺だから精進料理だけど」
ジョミー「賛成、賛成! お寺に来たら精進料理!」
それが最高、とジョミー君。
気分も最高みたいですけど、酔いが醒めたらどうなるのやら…。
※2月13日、『旅には道連れ』第3話、UPしました!
頑張った御褒美の慰安旅行。
なのに、乱入してきたソルジャーとキャプテンの目的は別の所に。
ジョミー君たちは、ちょっと変わった温泉とやらを楽しめるでしょうか。
そしてソルジャーとキャプテンは…?
※アーカイブ追加収録のお知らせ
シャン学アーカイブに『俗人たちの宴』全3話を追加収録いたしました。
住職の資格を取ったキース君を迎え、ソルジャーも交えての賑やかな宴。
しかし気の毒な人もいるようで…?
ジョミー君にヒタヒタと忍び寄って来る坊主宣言の危機と、濃い目の甘酒。
最初に貰った湯呑みの中身は普通の甘酒なんですが…。
ブルー 「とにかく、それを空にしたまえ。湯呑みは再利用しないとね」
キース 「そうだな、飲む人間は同じなんだ。湯呑みを洗って頂く訳には…」
お坊さん「いえ、私どもはお役目ですので」
ブルー 「そんなわけにはいかないよ。お客さんが大勢おいでだし」
飲む、飲まないで揉めている間にも一般の人たちがお接待を受けています。
お坊さんたちは話をしつつも手は休めずにお仕事中。
サム 「さっさと飲めよ。でないとますます失礼になるぞ」
ジョミー「で、でも…。これを飲んだら濃いヤツが…」
ブルー 「君がしっかり理性を保てば大丈夫だと思うけどねえ?」
キース 「ああ。酒は飲んでも飲まれるな、と大学でも散々教えられた」
シロエ 「飲んでなくても坊主宣言しそうになったじゃないですか」
スウェナ「そうよ、素面でも酔っても結果は大して変わりゃしないわ」
サム 「七福神に願掛け中だろ? 効き目があったら無問題だぜ」
ジョミー「わ、分かったよ! 飲めばいいんだろ、飲めば!」
クイッと一気に甘酒を飲み干すジョミー君。
空になった湯呑みを生徒会長が指差して。
ブルー 「空いたようだし、濃いのを一杯。一杯と言わず何杯でも」
お坊さん「かしこまりました。お味の方は保証しますよ」
ブルー 「ぼくにも一杯、頂けるかな? 最高の酒粕なら美味しそうだ」
お坊さん「どうぞ、どうぞ」
大鍋の底から掬われた甘酒、とても良い匂いがしております。
早速飲んだ生徒会長は御満悦。
ブルー 「うん、いいね。ジョミー、遠慮しないで頂きたまえ」
ジョミー「う、うう…。要は酔わなきゃいいんだよね」
恐る恐る飲んだジョミー君ですが、思いのほか口当たりが良かったらしく。
見る間に空になった湯呑みに、お坊さんがすかさず追加の一杯。
「酒は飲んでも飲まれるな」。
この教訓は生かされるのか…?
酔っ払うと坊主宣言をする、とバラされてしまったジョミー君。
たかが甘酒、警戒せずに飲んでしまえば良かったのに…。
ブルー 「お接待を無にしちゃいけないよ。それはマナーとしても最低」
お坊さん「いえ、そんなことは…。お嫌いな方もおいでですから」
ブルー 「嫌いとか苦手というんじゃないしね。単に酒癖が悪いだけでさ」
キース 「いっそ濃いのを飲ませたらどうだ? 酒粕多めだと酔うと聞くぞ」
お坊さん「鍋の底の方はアルコール度数も確かに高めになりますが…」
ブルー 「下手なビールより高いらしいね。じゃあ、その辺を少し」
お坊さん「えっと…。皆さん、未成年でらっしゃるのでは?」
ブルー 「未成年が師僧になれるのかい? ここの宗派は」
お坊さん「そ、そうでした。確かにお弟子と…。で、では、もしかして…」
伝説の高僧様でいらっしゃいますか、と生徒会長を取り巻くお坊さんたち。
宗派は違えど銀青の噂は世に広まっているようで…。
ブルー 「オフレコで頼むよ、ここの老師も顔馴染みなんだ」
お坊さん「では、やはり…。お目にかかれて光栄でございます」
ブルー 「それより、そこの弟子をよろしく。坊主宣言でも礼儀作法でも」
キース 「そうだな、ここの修行は厳しい。坊主宣言よりも修行がいいか?」
ジョミー「しゅ、修行って…」
お坊さん「一般の方にも門戸を開くべく、座禅の会などをしておりますが」
ブルー 「座禅はなかなか良さそうだね。姿勢も自然と良くなるし」
キース 「せっかくだから仕込んで貰え。他の宗派で学ぶのもいいぞ」
ジョミー「なんで座禅になっちゃうのさ! 普通に坊主の方がマシだよ!」
シロエ 「ジョミー先輩、今のは坊主宣言ですか?」
ジョミー「え? ええっ?」
ブルー 「自覚症状は無かったか…。面白いから飲ませてしまおう」
そこの甘酒をうんと濃い目に、と注文している生徒会長。
たかが甘酒、されど甘酒。ジョミー君、ピンチでございます。
酒粕多めの甘酒パワーで坊主宣言再びとか…?
七福神巡りに来た人たちのために、お坊さんたちが甘酒のお接待中。
人数分の湯呑みがお盆の上で暖かそうな湯気を立てております。
ブルー 「頂戴させて頂きます」
キース 「有難く頂戴いたします」
生徒会長とキース君はプロのお坊さんだけに、申し分の無い礼儀作法です。
お接待係のお坊さんたちも「しっかりしておられますね」と満面の笑顔。
まさか本物のお坊さんとは思わないでしょうから、礼儀正しい高校生だと
感心している…といった所でしょうか。
サム 「うわー、あったまるぜ、これ」
お坊さん「お好みで生姜も入れて下さい。そちらに置いてございます」
ブルー 「それは嬉しいね。じゃあ、遠慮なく」
シロエ 「生姜を入れるとポカポカしますね。…あれっ、ジョミー先輩?」
マツカ 「どうしたんですか、甘酒は好みじゃなかったとか…?」
ジョミー君、甘酒の湯呑みを持ってはいますが、口をつけてはおりません。
早く飲まないと冷めちゃいますよ?
ジョミー「えっと…。これってお酒になるのかな?」
お坊さん「蔵元から仕入れた最高の酒粕を使っております」
ジョミー「…じゃあ、お酒?」
お坊さん「酒気帯び運転にならない程度ですから、大丈夫ですよ」
ブルー 「うん、酔っ払う心配は無いと思うよ。坊主宣言の危険はゼロだ」
お坊さん「坊主宣言?」
ブルー 「不肖の弟子でね、酔うと「坊主の道に精進する」と連呼するわけ」
ジョミー「ちょ、ちょっと…」
お坊さん「な、なんと、お弟子をお持ちとは…。大変失礼いたしました」
ブルー 「まあ、色々と事情があってね。普段は普通の高校生だよ」
気遣い無用、と生徒会長。
しかし、お坊さんたちはテントの奥にあった椅子を持ち出して…。
お坊さん「どうぞお座り下さいませ」
ブルー 「いいって、いいって。それより、ジョミー。お接待は受けないと」
ジョミー「で、でも…」
坊主宣言をバラされてしまったジョミー君。
アルコール度数が低いとはいえ、甘酒はリスクが高いですか?
七福神へのお願い事は人それぞれ。しかし一番切実なのはジョミー君です。
お元日に元老寺でやってしまった坊主宣言を撤回するべく祈願中。
ジョミー「これで三ヶ所…と。みんな、お願いしていないよね?」
ブルー 「七福神巡りはお願い事をするのが基本だけれど?」
ジョミー「そうじゃなくって! 余計なヤツだよ、ぼくをお坊さんに…って」
サム 「ああ、譲るってヤツな。一番福は譲ってるじゃねえか」
キース 「何処でも最初にお参りさせてやってるぞ。坊主宣言も大切だし」
シロエ 「そうですよ? 先輩を宜しくお願いします、とお祈りしてます」
スウェナ「私たちは福が来ればいいだけだもの、ジョミーが優先!」
マツカ 「会長も期待してますからね。ぼくもしっかりお願いしました」
ブルー 「持つべきものは友達だよねえ、立派なお坊さんになれると思うよ」
ジョミー「そ、そんなぁ…。ぼくが撤回している意味が無いじゃない!」
ブルー 「さあね? 一番にお願いするのは君だし、神様次第ということで」
キース 「多数決で聞いて下さるなら坊主宣言の方に軍配だな」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ぼくもジョミーを応援してるよ!」
お坊さんになるんでしょ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」もニコニコ顔。
ジョミー君は激しく打ちのめされつつ、次の塔頭を目指しておりますが…。
お坊さん「お接待です! 甘酒、如何ですか?」
雪が降りしきる中、特設テントからホカホカと暖かな湯気が漂っています。
甘酒と書かれた看板が立ち、修行僧たちが大きなお鍋をかき混ぜていて。
ブルー 「せっかくだから頂いて行こう。お接待だから無料だよ」
キース 「この寒さだけに有難いよな。…頂きます」
お坊さん「どうぞ、どうぞ。他の皆さんも御遠慮なく」
生徒会長とキース君、合掌して一礼しています。それに倣ってサム君も。
お坊さんが甘酒を湯呑みに注いで、人数分をお盆に載せてくれました。
温まりそうな甘酒ですけど、ジョミー君、またお坊さんとの深い御縁が…?
