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茱萸袋の販売……いえいえ、授与が終わると菊酒だそうでございます。
中央のスペースに据えられたのは振舞いのための酒器一式で、準備完了。
お坊さん「菊酒の用意が整いました。皆様、順にこちらへお願いします」
押し合わないように、と注意がされて、今度はきちんと行列が。
菊酒の方は充分な量があるようです。
ブルー 「さあ、君たちも並んで、並んで」
シロエ 「いいんですか? ぼくたち、未成年ですよ?」
ブルー 「小学生とか幼稚園児はともかく、その年だったら無問題だよ」
お屠蘇だって飲むだろう、と言われてみればその通りで。
ブルー 「不老長寿の縁起物だし、頂きたまえ」
スウェナ「菊で作ったお酒なの?」
ブルー 「菊の花びらを浸してあるのさ。菊の香りが素敵なんだ」
ぶるぅ 「あのね、フワッと匂いがするの! でも…」
甘くないからちょっと残念、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」はジュース感覚。
「そるじゃぁ・ぶるぅ」でも飲めるなら、と皆で行列に並びまして…。
お坊さん「ようこそお参り下さいました。さあ、どうぞ」
ブルー 「ありがとうございます。頂きます」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ありがとう!」
クイッと飲み干した二人に続いて今度はジョミー君ですが。
お坊さん「ささ、どうぞどうぞ」
ジョミー「あ、あのう…」
お坊さん「なんでしょう?」
ジョミー「こ、これって一杯だけですか? お代わりは無し?」
お坊さん「はあ…。お持ち帰りを御希望ですか? 御家族の方に?」
ジョミー「う、ううん、そういうわけじゃなくって…」
お坊さん「どうしてもというお話でしたら、後ほど奥で伺いますが」
ジョミー「奥?」
お坊さん「関係者用のがございます。お入り用でしたら特別に」
ジョミー「え? ええっ?」
お坊さん「そちらも御祈祷済みの菊酒です。お代の方は結構ですよ」
どうぞ御遠慮なくお持ち帰りを、と商売っ気抜きのお坊さんたち。
ジョミー君、御利益の持ち帰り希望な信者さんフラグが立ちましたか?
被せ綿とやらを被った菊が飾られた本堂を舞台に、限定お守り販売開始。
茱萸袋、ゴージャスなお値段の割にサクッと完売でございます。
ジョミー「凄いや、アッと言う間に売れちゃったよ…」
キース 「買えなかった人も多いようだな」
ブルー 「この段階で既に争奪戦ってね。頂きそびれた人は怖いよ」
全員 「「「は?」」」
ブルー 「茱萸袋が手に入らなかったら後は菊しか無いだろう?」
シロエ 「それで争奪戦ですか…。でも一人一本、献花したんじゃあ?」
サム 「最後の方に入って来た人はしていないかもしれねえぜ」
キース 「あっちの方も数に限りがあっただろうしな」
ブルー 「全員の分は当然、無いさ。おまけに一人一本限りじゃないし」
マツカ 「どういう意味ですか?」
ブルー 「何本貰っても構わないんだ。家族の分とか、親戚の分とか」
スウェナ「だったら全然足りないわよ?」
ブルー 「足りないねえ…。だけど欲しいんだから仕方がない」
サム 「仁義なき戦いって言ってたのはそれかよ…」
献花は一人一本限り。献花しそびれた人も本堂の中に。
そして御祈祷済みの菊を一人で何本もゲットしたい人もいるわけで…。
ブルー 「不老長寿は間に合っている、と言うんだったら働きたまえ」
キース 「争奪戦で菊を奪って、貰いそびれた人に配るわけだな」
ブルー 「そういう目的で来たんだからね。ボランティアだよ」
サム 「よーし、頑張るぞ! なあ、ジョミー?」
ジョミー「う、うん…。人にあげるんなら御仏縁とは関係無いよね」
ブルー 「功徳を積んだことにはなるけど…。まあ、頑張って」
ジョミー「功徳って…。な、なんか不吉な感じだけど…」
キース 「細かいことは気にするな。お前も仏弟子の端くれだろうが」
ブルー 「ほら、菊酒が振舞われるよ? 行ってグイッと」
ジョミー「き、菊酒…?」
ヤバイ、と青ざめるジョミー君。
お酒を飲んで坊主宣言はお正月以来の恒例行事となっております。
今回は無事に済むのでしょうか…?
学園祭でサイオニック・ドリームを売り物にしたい生徒会長。
大真面目なのか遊びなのかが、なんとも微妙な所です。
そして気になる 『かみほー♪』 のルーツ。
この曲を使いたいらしいですけど、とんでもない歴史があるそうで…。
カラフルと言うか、悪趣味と言うか。
凄まじい配色の綿を何枚も被せられた菊、所狭しと並べられております。
キース 「で、あのセンスの悪い菊は何なんだ?」
ブルー 「菊の被せ綿」
全員 「「「は?」」」
ブルー 「きせわた、ってね。その名の通り綿を被せるのさ」
知らないかな、とキース君とシロエ君を見詰める生徒会長。
ブルー 「君たちなら知っていそうな気もしたけどねえ…」
キース 「生憎と俺は寺と直接関係の無い行事には疎くてな」
シロエ 「…ぼくも花とかについてはちょっと…」
ブルー 「ハーレイの古典でも教えてないかな、そういえば」
サム 「あの綿に意味があるのかよ?」
ブルー 「茱萸袋と同じで重陽限定、不老長寿のお守りなんだよ」
重陽の前の夜から菊の花に綿を被せておくのが被せ綿。
綿が含んだ露で身体を拭うと不老長寿とか、若返るとかだそうですが。
ジョミー「じゃあ、あの菊を奪い合うわけ?」
ブルー 「違うよ、あれは本堂の飾り。奪い合うのは献花した菊」
キース 「なるほど…。法要で祈祷して御利益という仕組みだな」
ブルー 「そういうこと。おっと、そろそろ始まるかな?」
キース 「法要の時間か?」
ブルー 「お守りの販売と菊酒だよ。法要はその後」
本堂には人が詰まってきておりますが、中央部分が空けてあります。
お坊さんが数人、そこに机を据えまして…。
お坊さん「お待たせいたしました。只今より茱萸袋を授与いたします」
途端にドドッと善男善女が中央に向けて大移動。
机の上に積み上げられた白い箱が飛ぶように売れていくわけで。
キース 「凄い勢いだな。限定品というだけのことはある」
ブルー 「おまけに御祈祷済みだしね。君たちも一個、頂いてきたら?」
シロエ 「いえ、不老長寿は今の所は間に合ってます」
マツカ 「ぼくもです」
御仏縁など結んでたまるか、と座った場所から動かざること山の如し。
シャン学メンバーの慎重な姿勢、生徒会長の日頃の行いのせいとしか…。
菊慈童の像に献花した後は、本堂の空きスペースに座るお約束のようで。
シャン学メンバー、善男善女に混じって着席です。
ジョミー「ここって座布団、置いてないの?」
ブルー 「本堂一杯になるんだよ? 何枚あっても足りないじゃないか」
キース 「人数が決まった法要だったら用意も出来るが…」
ブルー 「不特定多数に下手に配ると奪い合いになっちゃうからねえ…」
御本尊様の前で座布団の奪い合いなど見苦しい、と生徒会長。
ジョミー「そりゃそうだけど…。でも、争奪戦って言わなかった?」
サム 「うんうん、座布団じゃなくて菊だけどな」
シロエ 「えーっと…。争奪戦をするっていうのはアレですか?」
なんだか変わった菊ですけれど、とシロエ君が指差す先には菊の花。
菊慈童の像の両脇や、御本尊様の前を菊が埋め尽くしておりますが…。
スウェナ「何を被せてあるのかしら?」
ジョミー「…座布団かなぁ?」
ブルー 「座布団なわけがないだろう。確かに形は似ているけれど」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ お座布団を積んだみたいだね!」
菊の花の上にはフカフカの四角い綿が載っております。
それも一枚どころか三枚、四枚。色も白、赤、黄、青と鮮やかで。
キース 「教義としては分からんでもないが…。凄い色彩感覚だな」
シロエ 「黄色の上に青や赤まで重ねて置くのが教義ですか?」
キース 「密教系だと一応、基本の色なんだ。だが、しかし…」
ブルー 「菊の色までまるっと無視して載せるのもねえ…」
教義じゃ仕方ないけれど、と生徒会長は小声でコソコソと。
ブルー 「赤い菊には白、白菊には黄色、黄菊には赤さ、本当は」
シロエ 「そうなんですか?」
ブルー 「全部に白って流儀もあるけど、基本はコレ」
更に綿を載せるのは菊一輪につき、一枚だそうでございます。
キース 「そこを何枚も重ねてきたか…。色もゴタ混ぜで」
ブルー 「本当にセンス最悪だよね」
生徒会長までが失言。
シールドを張って正解でしたねえ…。
※アニテラ最終話・『地球の緑の丘』 放映から今日で5周年。
あれからもう5年も経ってしまったんだなぁ…、と、少ししんみり。
7月28日合わせで捏造した 『奇跡の青から』 がございますので、
拙作の世界では誰一人として死んではいないわけですが…。
ん? こんな日に菊はマズかったかな? 仏花の王道でした…(汗)
以下、全員生存EDを踏まえたシャングリラ学園特別編です!
++++++シャングリラ学園特別編++++++
教頭先生「では、生き残られた皆様方の御健康と前途を祝して乾杯!」
ブルー 「そこは献杯だと思うんだ。今日が祥月命日だろう?」
教頭先生「いや、しかし…。ちゃんと生き残っておいでなわけだし」
ブルー 「けじめだよ、けじめ。世間的には祥月命日」
教頭先生「だが、皆様ここにおいでになるのに、献杯というのはだな…」
ブルー 「要は飲めればいいんだってば。じゃあ、献杯!」
一同 「「「けんぱーい!!!」」」
『奇跡の青から』 で生き残られた皆様方と、シャン学の面々と。
賑やかな酒宴となっておりますが、ジョミー君の坊主宣言は大丈夫かな?
入口で靴を脱ぎ、善男善女で溢れる本堂の中へ。
生徒会長が言っていたとおり、菊の香りが思い切り漂っておりますが…。
ジョミー「な、なんなの、アレ…」
ブルー 「指さしちゃダメだよ、失礼にあたる」
ジョミー「で、でも…! か、髪の毛が生えた仏像って初めて見るし!」
シロエ 「そうですねえ…。でも本当に仏像ですか?」
人形みたいに見えますよ、とシロエ君。
金屏風を背負って座っているのはボサボサ黒髪の男の子っぽい像でして。
お坊さん「お参りありがとうございます。こちらをどうぞ」
ジョミー「えっ?」
お坊さん「菊慈童様に献花をお願いしております」
ジョミー「きくじどう?」
ブルー 「ほらほら、説明は後でするから花を貰って」
ジョミー「う、うん…」
お坊さんから手渡されたのは菊の花。
どうするのだ、と戸惑うシャン学メンバーを押し退けた生徒会長が像の
前へと。菊を供えて合掌、一礼。
ブルー 「…南無阿弥陀仏」
ジョミー「な、南無阿弥陀仏? やっぱり仏像?」
キース 「落ち着け、俺たちの宗派は基本は南無阿弥陀仏なんだぞ」
ジョミー「どういうことさ?」
キース 「特段の指示がある時以外は何を拝んでも南無阿弥陀仏だ」
ブルー 「代わりに解説ありがとう。さあ、君たちも行って、行って」
後がつかえているからね、と言われてみれば行列が。
ジョミー君たち、慌てて献花でございます。
シロエ 「分からないんで南無阿弥陀仏で行ってきましたけど…」
サム 「あれって何だよ、何の像だよ?」
ブルー 「菊慈童だと言っただろ? 重陽の節句の由来みたいなもの」
全員 「「「は?」」」
ブルー 「七百歳とも八百歳とも言われる長寿を保った子供なのさ」
菊慈童は中華の国の皇帝に仕えていた男の子だそうでございます。
皇帝の枕をまたいでしまって、追放されたそうなのですが。
ブルー 「その先で菊の露を飲んで暮らす間に不老長寿ってね」
以来、重陽には菊の花。
不老長寿の神様でしたか、菊慈童…。
