七福神巡りに来た人たちのために、お坊さんたちが甘酒のお接待中。
人数分の湯呑みがお盆の上で暖かそうな湯気を立てております。
ブルー 「頂戴させて頂きます」
キース 「有難く頂戴いたします」
生徒会長とキース君はプロのお坊さんだけに、申し分の無い礼儀作法です。
お接待係のお坊さんたちも「しっかりしておられますね」と満面の笑顔。
まさか本物のお坊さんとは思わないでしょうから、礼儀正しい高校生だと
感心している…といった所でしょうか。
サム 「うわー、あったまるぜ、これ」
お坊さん「お好みで生姜も入れて下さい。そちらに置いてございます」
ブルー 「それは嬉しいね。じゃあ、遠慮なく」
シロエ 「生姜を入れるとポカポカしますね。…あれっ、ジョミー先輩?」
マツカ 「どうしたんですか、甘酒は好みじゃなかったとか…?」
ジョミー君、甘酒の湯呑みを持ってはいますが、口をつけてはおりません。
早く飲まないと冷めちゃいますよ?
ジョミー「えっと…。これってお酒になるのかな?」
お坊さん「蔵元から仕入れた最高の酒粕を使っております」
ジョミー「…じゃあ、お酒?」
お坊さん「酒気帯び運転にならない程度ですから、大丈夫ですよ」
ブルー 「うん、酔っ払う心配は無いと思うよ。坊主宣言の危険はゼロだ」
お坊さん「坊主宣言?」
ブルー 「不肖の弟子でね、酔うと「坊主の道に精進する」と連呼するわけ」
ジョミー「ちょ、ちょっと…」
お坊さん「な、なんと、お弟子をお持ちとは…。大変失礼いたしました」
ブルー 「まあ、色々と事情があってね。普段は普通の高校生だよ」
気遣い無用、と生徒会長。
しかし、お坊さんたちはテントの奥にあった椅子を持ち出して…。
お坊さん「どうぞお座り下さいませ」
ブルー 「いいって、いいって。それより、ジョミー。お接待は受けないと」
ジョミー「で、でも…」
坊主宣言をバラされてしまったジョミー君。
アルコール度数が低いとはいえ、甘酒はリスクが高いですか?
七福神へのお願い事は人それぞれ。しかし一番切実なのはジョミー君です。
お元日に元老寺でやってしまった坊主宣言を撤回するべく祈願中。
ジョミー「これで三ヶ所…と。みんな、お願いしていないよね?」
ブルー 「七福神巡りはお願い事をするのが基本だけれど?」
ジョミー「そうじゃなくって! 余計なヤツだよ、ぼくをお坊さんに…って」
サム 「ああ、譲るってヤツな。一番福は譲ってるじゃねえか」
キース 「何処でも最初にお参りさせてやってるぞ。坊主宣言も大切だし」
シロエ 「そうですよ? 先輩を宜しくお願いします、とお祈りしてます」
スウェナ「私たちは福が来ればいいだけだもの、ジョミーが優先!」
マツカ 「会長も期待してますからね。ぼくもしっかりお願いしました」
ブルー 「持つべきものは友達だよねえ、立派なお坊さんになれると思うよ」
ジョミー「そ、そんなぁ…。ぼくが撤回している意味が無いじゃない!」
ブルー 「さあね? 一番にお願いするのは君だし、神様次第ということで」
キース 「多数決で聞いて下さるなら坊主宣言の方に軍配だな」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ぼくもジョミーを応援してるよ!」
お坊さんになるんでしょ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」もニコニコ顔。
ジョミー君は激しく打ちのめされつつ、次の塔頭を目指しておりますが…。
お坊さん「お接待です! 甘酒、如何ですか?」
雪が降りしきる中、特設テントからホカホカと暖かな湯気が漂っています。
甘酒と書かれた看板が立ち、修行僧たちが大きなお鍋をかき混ぜていて。
ブルー 「せっかくだから頂いて行こう。お接待だから無料だよ」
キース 「この寒さだけに有難いよな。…頂きます」
お坊さん「どうぞ、どうぞ。他の皆さんも御遠慮なく」
生徒会長とキース君、合掌して一礼しています。それに倣ってサム君も。
お坊さんが甘酒を湯呑みに注いで、人数分をお盆に載せてくれました。
温まりそうな甘酒ですけど、ジョミー君、またお坊さんとの深い御縁が…?
福笹を授けていたのは巫女さんでしたが、お札を結ぶのはお坊さんでした。
そうと知ったジョミー君、思い切り腰が引けております。
シロエ 「ジョミー先輩、行かないんですか?」
ジョミー「あ、あれって必須? お札が無いと御利益も無し…?」
ブルー 「お参りしたっていう印だからねえ…。きっと神様の目印だよ」
ジョミー「目印って?」
ブルー 「お札を持っている人のお願いを聞いて下さるんだと思うけど」
キース 「多分、この絵馬とセットだろうな。辰年にお参りした証明だ」
サム 「今年お参りして、お札を貰った人が優先なんじゃねえか?」
ブルー 「神様もお忙しいから、お願い事を聞く順番はあると思うよ」
スウェナ「全部叶えるにしても誰のお願いを一番にするか、ってことね」
ジョミー「じゃ、じゃあ……お坊さんになりたくなければ…」
ブルー 「お坊さんからお札を頂戴するしかないだろうね」
ジョミー「そ、そっか…。そうだよね、貰うだけなら大丈夫だよね…」
一大決心をしてお札を結んで貰いに本堂へと向かうジョミー君。
シャン学メンバー、その背中を見て笑っております。
キース 「貰うだけなら大丈夫ときたか。坊主は伝染病なのか?」
ブルー 「そうかもね。ほら、お元日に酔っ払った時にも叫んでいたし」
サム 「ハゲは坊主の職業病だ、って御機嫌で喚き散らしてたよな」
シロエ 「いっそ移ったら笑えますよね」
ブルー 「シーッ、戻って来た。本人は至って真剣だよ」
ジョミー「なに、なに? 何かいいことあった?」
ブルー 「君のお願いが叶うといいね、と皆でお祈りしてたのさ」
ジョミー「えっ、ホント? お願い事まで譲ってくれるの?」
ブルー 「もちろんだよ。お元日から張り切っていたし」
サム 「そう、そう。坊主バンザイってな」
ジョミー「そ、そのお願いが最優先? そんなの有り…?」
愕然とするジョミー君ですが、生徒会長は知らん顔。
七福神巡りは残り六ヶ所、ジョミー君の願い事は果たしてどうなる…?
拍手ありがとうございました!
七福神巡りのスタートは大黒天を祭るお堂から。小さなお寺の中ですが…。
仲間内での一番福を譲られたジョミー君、緊張した面持ちで柏手を。
ブルー 「やり直し…とは言えないだろうね、今更だし」
キース 「言っておいてやるべきだったか…。柏手の前に二礼だと」
サム 「別にいいだろ、御利益が少し減るだけじゃねえの?」
シロエ 「これだけ大勢のお参りがあると、優先順位がありそうですよね」
スウェナ「神様への御挨拶を間違えるような人は論外よ、きっと」
そんなやり取りが交わされているとも知らず、ジョミー君は真剣です。
お賽銭を入れて、ガランガランと鈴を鳴らして…。
この順番も間違ってる気がしますけど。柏手よりも先にお賽銭ですよねえ。
ジョミー「これで良しっ、と。しっかりお願いしてきたよ」
ブルー 「坊主にならずに済みますように、って? 健闘を祈るよ」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ぼくたちもお参りしようよ!」
マツカ 「そうですね。早く回らないと雪が本降りになりそうです」
順番に並んでお参りしているシャン学メンバー。
もちろん二礼二拍手一礼ですが、ジョミー君は自分のミスに気付きません。
訂正せずに放置ってことは、一番福は逃したかも…。
ブルー 「さてと、お参りも済ませたことだし、お札を頂こう」
ジョミー「お札?」
ブルー 「福笹に結んでくれるんだよ。受付はこっち」
ジョミー「え? ええぇっ?」
大黒様は独立したお堂ですから明らかに神社でしたけど。
お札の受付は本堂の前でございました。お坊さんが笑顔で座っています。
お坊さん「ようこそお参り下さいました」
ブルー 「お世話になります。お願いします」
生徒会長が差し出す福笹に手際よく結ばれる大黒天のお札。
お坊さんが手ずから授けて下さるわけで…。
ジョミー「ど、どうしよう…」
キース 「お札を頂かないと御利益も無いぞ」
七福神巡りに来たのに、お寺。
お坊さんまで登場とあっては、ジョミー君に再び坊主フラグが…?
拍手ありがとうございました!
境内に並ぶ『七福神巡り』と書かれた幟。
遙か彼方の本堂へ続く石畳の道の両脇に、七福神がおいでになるようです。
ブルー 「ん? ちょっと曇ってきたかな」
キース 「こいつは雪になるかもな。天気予報は雪マークだったし」
シロエ 「お寺で雪って、元日を思い出しますねえ」
サム 「うんうん、雪が降る中でジョミーが凍えていたヤツな」
ジョミー「同じ雪なら御利益あるかも! 条件が同じって大切だよね」
スウェナ「そうかしら? 本人の努力次第じゃないの」
ブルー 「水垢離でも取って祈願するなら強いだろうけど…」
キース 「ただの節分寒波ではな…。おっ、降って来たか」
チラホラと雪が舞い始めました。
本格的に降りだす前に回り終えた方が、と『大黒天』の幟が立つ門へと…。
ジョミー「…じ……神社じゃな…い…?」
ブルー 「まあ、世間一般ではお寺だろうねえ、正確に言うと塔頭だけど」
ジョミー「…タッチュウ?」
ブルー 「大きなお寺の境内にある小さなお寺をそう呼ぶんだよ」
ジョミー「だ、だけど…。ちゃんと表に大黒天って…」
キース 「お前の目玉は節穴か? あそこにお堂があるだろうが」
マツカ 「本当ですね、幟が沢山並んでいますよ」
ブルー 「ここのお寺がお守りしている大黒様さ。普段は非公開」
シロエ 「節分だけって話ですもんね、きっと御利益ありますって!」
さあどうぞ、とジョミー君に道を譲るシロエ君。
他のメンバーも揃ってジョミー君の後ろへと移動完了です。
ブルー 「せっかくだから一番福ってね。君に譲るよ」
ジョミー「え? ええっ?」
キース 「安心しろ、大黒様だから参拝の手順は神社と同じだ」
ブルー 「初日の出では失敗したけど、今度はきちんと拝むんだね」
サム 「失敗したら御利益が違う方向に向くんだぜ」
シロエ 「坊主の道に精進しろって言われるんですよね、大黒様に」
ジョミー君には切実な件も他の面子には他人事。
譲ってもらった一番福をジョミー君はモノに出来るのか…?
※アーカイブ追加収録のお知らせ
シャン学アーカイブに番外編のバックナンバーを大量追加。
番外編を連載中の掲示板で「タイトルが表示されなくなったお話」を
全て、一気に収録いたしました。
今後も連載が進むにつれて、随時収録してゆきますv
※2月6日、『旅には道連れ』第2話、UPしました!
ワクワク楽しい春休み。
お仕事が済んだら慰安旅行といきたいですよねv
ちょっと変わった温泉とやらに行こうと計画したのですけど。
いつの間にか趣旨がズレているような…?
(リンクにバナーを使おうとして大失敗。でもって自力で直せない…)
