☆盛り髪でいこう
ゴージャス姫スタイルにメガ盛りなんだ、と宣告された男子一同。
焦って逃げようと致しましたが、扉をサイオンで封じられているようで…。
ぶるぅ 「はい、一人ずつ順番だからね。届かないから座ってよ」
キース 「ジョミー、お前が一番だ。着付けも一番だったしな」
サム 「そうそう、喜んで譲ってやるぜ」
ジョミー「ちょ、なんで…!」
シロエ 「栄えある一番じゃないですか。グレイブ先生もお好きですよ」
ジョミー「あれは一位だって!」
キース 「そう喚くな。ぶるぅが目指すのは可愛さなんだぞ」
ガシッとジョミー君の肩を掴んで椅子に座らせるキース君。
早速「そるじゃぁ・ぶるぅ」が小さな椅子に乗って金髪のウイッグを…。
シロエ 「うわー、本気で結ってますよ、アレ」
スウェナ「メガ盛りだって言ってたでしょ? 盛り上げなくっちゃ」
キース 「し、しかしだな…。あんなに高く結い上げなくても…」
ぶるぅ 「キースは高いの好きじゃないんだね? じゃあ、クルクルかな」
キース 「クルクル?」
ぶるぅ 「低めに盛って巻髪がいいね、うんとゴージャスにしなくっちゃ!」
キラキラの簪を挿してリボンもつけて、と言われたキース君は顔面蒼白。
黒髪の男子は色とりどりのデコパーツ入りのスプレーも外せないそうで。
男子一同「「「人生、終わった…」」」
スウェナ「そんなことないわよ、素敵よ、ジョミー」
ジョミー「この頭の何処が素敵だなんて言えるのさ!」
鏡に映ったジョミー君の髪は高く盛られてデコられています。
しかもそれだけで終わりではなく、ベールを付けられ、襟元にレース。
姫スタイルというヤツでございます。他の男子も似たような運命を辿り…。
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ブルー、みんなの用意が出来たよ!」
ブルー 「うん、いいね。それじゃ女子会を始めようか」
女同士で、と笑顔の生徒会長。
皆の視線は生徒会長の衣装に釘付けです。
御自慢の緋色の法衣に立派な袈裟。この格好で女子会だなんて、反則では?
2012/03/16 (Fri)
☆法衣で女装
振袖も髪も思い切り派手にデコられてしまった男子たち。
女子会だけに姫スタイルでも仕方ない、と諦めてリビングに戻ってみれば、
待ち受けていた生徒会長は緋色の法衣でございます。
これでは全く普段通りなわけでして…。
ジョミー「ずるいよ、それ! 女子会だって言ったくせに!」
ブルー 「だから着替えておいたじゃないか。ほら、ぶるぅだって」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ お供のお稚児さんだもん!」
いつの間にやら緋色の袴に金襴の衣を着ている「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
確かにお稚児さんの格好ですし、女児向けの衣装のようですが。
キース 「ぶるぅは分かった。だが、あんたのは反則だろうが!」
ブルー 「どの辺りが? これでも尼僧のつもりなんだけど」
キース 「緋色の衣の尼僧だと? 緋色は大僧正しか着られないんだぞ!」
ゴージャスな巻髪を揺らして激怒されても迫力は皆無。
生徒会長に突き付けた指はレースの手袋に包まれてますし…。
ブルー 「デコられたショックでボケたらしいね。大本願を忘れるとは」
全員 「「「大本願?」」」
ブルー 「ぼくたちの宗派の大本山の一つ。トップは代々、尼僧なんだよ」
キース 「…畜生、俺としたことが…。大本願は大僧正だな」
女性もアリか、と項垂れているキース君。
マツカ君の山の別荘の近くに、二つの宗派の大本山を兼ねる大きなお寺が
あるそうで。
璃慕恩院の系列が大本願、恵須出井寺の系列が大勧進と呼ばれるのだとか。
ブルー 「だから立派な女装だってば。君たちの衣装より格式が高い」
ジョミー「それってズルイ…」
ブルー 「嫌なら法衣を許すけど? お坊さんスタイルなら君も無問題」
ジョミー「えっ、ホント!?」
ブルー 「ただし頭は丸坊主でね。それが嫌なら姫スタイルで」
ジョミー「このままでいいよ、諦めたよ!」
Aブルー「へえ…。みんな、なんだかゴージャスだねえ?」
こんにちは、と現れたのはソルジャーです。
雛祭り女子会は無事に開催出来るんでしょうか…?
2012/03/17 (Sat)
☆秘密の花園
生徒会長の法衣も尼僧スタイルということで、この場は無事に女子ばかり。
雛祭り女子会、いざ開幕かと思われた所へソルジャーが…。
ブルー 「何しに来たのさ、せっかくみんなで…」
Aブルー「宴会なんだろ、雛祭りの? ちゃんと来るって予告はしたよ」
ブルー 「雛人形も立派に飾ってくれちゃったよねえ、シールドをかけて」
Aブルー「埃も防げてお役立ち、ってね。で、宴会の御馳走は何?」
ブルー 「その前に出てってくれないかな。宴会は男子禁制なんだよ」
Aブルー「えっ?」
ブルー 「ぼくの雛人形ってことだし、主役はぼく。でもって女子会!」
Aブルー「なんだい、それは?」
キース 「俺たちの世界で流行りなんだ。女子だけで集まる会のことだ」
ジョミー「言っておくけど、好きでやってるわけじゃないしね!」
シロエ 「会長の鶴の一声なんです。ぼくだって大いに不本意ですよ」
Aブルー「ああ、なるほど…。つまり女装ってわけだね、全員」
ブルー 「そういうこと! 君には参加資格は無い」
ソルジャーは紫のマントのソルジャーの正装でございます。
生徒会長の法衣と違って、女装と言い抜けるのは流石に無理というもので。
Aブルー「ぼくを追い出すための女子会なのかい? 息抜きは不可と?」
昨日もミュウの救出作戦があったばかりなのに、と嘆くソルジャー。
何かと言えば日頃の苦労を持ち出してくるのがソルジャー流です。
ブルー 「…居座る気だね? あわよくば君も、と思ったんだけど」
Aブルー「他にも誰か追い出す予定? だったら余計に居座りたいね」
楽しそうだし、とソルジャーは男子たちを見回しております。
Aブルー「女装すれば参加出来るんだろう?」
ブルー 「やりたいんなら止めないけどさ。でも上品に纏めてほしいな」
ぼくとおんなじ顔なんだから、と生徒会長は深い溜息。
参加権を勝ち取ったソルジャー、大喜びで着替えに出掛けましたが。
「そるじゃぁ・ぶるぅ」が手伝うのですが、どんな女装になるのやら…。
2012/03/18 (Sun)
☆花園増殖中
雛祭り女子会に男子が出るには女装が必須。
宴会だの御馳走だのに目が無いソルジャー、女装して参加するつもりです。
ブルー 「なんだか嫌な予感がする…」
キース 「法衣を貸せばよかったんだ。墨染めだったら特に問題ないぞ」
ブルー 「あっ、そうか! ぼくのヤツしか頭になくて…」
キース 「銀青様の盲点だな。坊主でもないヤツに緋色は貸せん、と」
ブルー 「うん。なるほど、ジョミーの法衣を貸せばいいんだ」
ジョミー「だったらソルジャー、坊主頭にしないとズルイよ!」
その条件のせいで法衣を着るのを諦めたんだ、と言うジョミー君。
しかしソルジャーがそんな条件を飲むとも思えず、揉めている内に…。
Aブルー「やあ、お待たせ。…似合ってるかな?」
キース 「そんな地味な赤が何処にあった!?」
ジョミー「ひどいや、別のを用意するなんて! …あれ? あの模様…」
Aブルー「見覚えのあるヤツだろう? 着たら印象が変わるんだよ」
ブルー 「よかった…。ぶるぅ、いいのを選んでくれたね」
ぶるぅ 「あのね、ピンクがいいっていうからダメって言ったの!」
レースもファーも断ったよ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
姫スタイルを希望なソルジャーを必死に止めていたのだそうで…。
Aブルー「もっとゴージャスにしたかったのに…」
ブルー 「本来、着物はそういうものだよ! 姫スタイルが外道なんだよ」
キース 「気に入らないなら俺のと替えてやってもいいが」
Aブルー「ホントかい?」
シロエ 「あっ、ぼくのなんかどうですか? ほら、ピンクですよ」
ジョミー「ぼくのも似合うと思うんだけど…」
ブルー 「全員却下! ぼくと同じ顔で姫スタイルは不可!」
振袖だけで充分だよ、と生徒会長が叫んだ所でチャイムの音が。
ぶるぅ 「かみお~ん♪ いらっしゃい!」
ハーレイ「おっ、可愛いな、ぶるぅ。お雛様か?」
今日は雛祭りの宴会だしな、と教頭先生の声が玄関の方で。
そういえば招待客でしたけど、これからどういう展開に?
2012/03/19 (Mon)
☆女子会の事情
ソルジャーの乱入で混乱気味だった雛祭り女子会。
そこへ教頭先生がやって来てしまいました。招待客なのは確かですけど…。
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 最後のお客様だよ!」
ハーレイ「すまん、すまん、遅くなって。……えらく華やかな雰囲気だな」
ブルー 「そりゃあ、女子会の会場だもの」
ハーレイ「女子会?」
なんだそれは、と首を傾げる教頭先生はスーツをお召しでございます。
ネクタイもきちんと締めておられますし、何処から見ても男性で。
ブルー 「雛祭りの宴会だって招待状に書いたよね?」
ハーレイ「うむ。とっておきのスーツを着て来たんだぞ、ハレの席だしな」
ブルー 「分かってるじゃないか。でもさ、君は古典の教師だろう?」
もう少し文化を理解しないと、と溜息をつく生徒会長。
ブルー 「本来、雛祭りは女性のイベントなんだよ」
ハーレイ「し、しかし…。雛祭りだから宴会をすると…」
ブルー 「その後、事情が変わったのさ。雛人形を買ったものだから」
ハーレイ「雛人形? …そこのヤツをか?」
ブルー 「せっかくだから盛り上げたいと思ってね。それで女子会」
ぼくの雛人形だもの、と生徒会長は自慢しております。
シャン学メンバーが買いに行き、マツカ君が支払った件はスルーらしく…。
ブルー 「これだけの雛人形はそうそう無いよ? 宴会もそれに相応しく」
ハーレイ「なるほど、見事な雛人形と道具だな。凄いじゃないか」
Aブルー「そりゃあ、嫁入り道具だしね」
ハーレイ「は?」
ブルー 「余計なことは言わなくていいっ!」
Aブルー「ブルーの嫁入り道具らしいよ、そこの連中が買ったんだ」
ヤバイ、と青ざめるシャン学メンバー。しかし…。
ブルー 「いわゆる若気の至りってヤツ? だから女子会」
ハーレイ「よく分からんが…」
ブルー 「仕返しも兼ねているんだよ」
ハーレイ「それで女装か」
納得している教頭先生、ソルジャーを見ておられます。
顔がほんのり赤いんですけど、まだ白酒は出ていませんよ?
2012/03/20 (Tue)
☆女子会に男性
女子会と化した雛祭り宴会の会場に男性が一人。
スーツ姿で浮き上がっている教頭先生、頬を赤らめていらっしゃるようで。
ハーレイ「嫁入り道具か…」
ブルー 「それが何か? 言っておくけど、嫁に行く気は無いからね」
ぶるぅ 「えっとね、ハーレイがぼくのパパになるのはダメなんだって」
残念だよぅ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」は未練たらたら。
御伽犬を買う時にも「ハーレイは子供が好きだよ」と言ってましたし…。
ハーレイ「すまないな、ぶるぅ。結婚はブルーが許してくれんとな…」
ブルー 「で? さっきから顔が赤いよね。おまけに視線がアヤシイけど」
ハーレイ「い、いや…! こういう姿も色っぽいな…と」
ブルー 「色っぽい…?」
ハーレイ「ち、ちが…! 今のは口が勝手に…!」
ブルー 「嫌な予感はコレだったか…。そっちのブルーが気になるんだろ!」
ハーレイ「違う、あの振袖をお前が着たら見合いの席に映えそうだと…」
ブルー 「お見合いと来たよ…。ぼくにアレを着て出て来いと!?」
生徒会長、ブチ切れそうでございます。
妄想は教頭先生の常ですけれど、女装のソルジャーを見ても妄想されては
腹が立つのも数百倍というヤツで。
ブルー 「そもそも女子会に男が出てきて四の五の言うのが間違いだし!」
ハーレイ「しょ、招待状には女子会だとは書かれていなかったぞ?」
ブルー 「事情が変わったと言っただろ! 出たいんだったら出直して!」
ハーレイ「出直す…?」
ブルー 「そう、女子会に相応しく! 此処は秘密の花園なんだよ!」
とにかく男子禁制だから、と生徒会長は叫んでおりますが。
Aブルー「そうかなぁ? ハーレムっていうのも悪くないかと」
男子全員「「「ハーレム!?」」」
ハーレイ「は、ハーレム…」
Aブルー「いいねえ、ハーレム! ハーレイと一文字違いじゃないか」
この際、花園に男が一人、とソルジャーは楽しそうな顔。
女装男子多数の秘密の花園。入ってしまった教頭先生の運命や如何に…?
2012/03/21 (Wed)
☆女子会の理由
秘密の花園に踏み込んでしまった教頭先生。
女子会に相応しい姿で出直してこい、と生徒会長が叫ぶ一方、このままで
いいとソルジャーが主張しております。
Aブルー「せっかく男が一人なんだよ? ハーレム気分でいいじゃないか」
ブルー 「誰が得をするっていうのさ、ハーレムなんか!」
キース 「…やはり教頭先生じゃないか? 言いたくはないが」
Aブルー「うんうん、キースは分かっているね。男性は今や貴重な存在」
大事にしなくちゃ、とウインクするソルジャー。
教頭先生はオロオロしておられますが…。
Aブルー「これだけ女性が溢れているんだ、選び放題で遊んだら?」
ハーレイ「え、選び放題…」
Aブルー「そう、誰を選ぶも君次第! べったり侍らせて飲み放題で」
ブルー 「却下! 誰が主催の宴会だと思っているんだい?」
Aブルー「君だろう? 嫁入り道具を見せびらかして婿探し中」
ブルー 「なんでそういうことになるのさ! 募集してないし、婿なんか!」
Aブルー「それは残念。じゃあ、ブルー以外で楽しくやろうよ」
ぶるぅ 「えと、えと…。ハーレイ、このままでいいの?」
Aブルー「うん。御馳走を作ってあるんだろう? みんなでパァーッと」
ブルー 「女子会と言ったら女子会だってば! 男子禁制!」
そもそも女子会というものは…、と滔々と説く生徒会長。
女子だけで集まって賑やかに騒ぐ今の流行りを知らないのか、と罵倒して。
ブルー 「とにかく、さっさと出て行くんだね。男に用は無いんだよ」
Aブルー「なるほどねえ…。やっと分かった、それで女子会だったのか」
ハーレイ「は?」
Aブルー「ぼくも追い出されかけたクチなんだよ。その時にさ…」
追い出したい人が他にもいると言われたんだ、というソルジャーの言葉に
教頭先生は大ショック。
ハーレイ「じょ、女装してまで追い出したいと…」
ブルー 「事情が変わったと言ってるし! それとも参加を熱烈希望?」
秘密の花園に男が一人。教頭先生の明日はどっちだ?
2012/03/22 (Thu)
☆女子会に出たい
男子禁制の秘密の花園。
自分を追い出すための女子会だと知った教頭先生、呆然自失でございます。
とっておきのスーツでキメてきたのに、男はお呼びでないそうで…。
ブルー 「女子会に男は困るんだよ。女同士で気楽にやるのが目的だしね」
ハーレイ「私が参加したいと言ったら…? 招待状は貰っているんだ」
このとおり、と招待状を取り出す教頭先生。
生徒会長は封筒を開け、招待状をチェックして…。
ブルー 「この時点ではただの宴会。今は女子会、参加は女子のみ」
ハーレイ「さっき、参加を希望するか、と訊いたじゃないか」
ブルー 「なんだ、しっかり聞こえてたんだ? 大ショックでも」
Aブルー「藁にも縋る思いなんだよ、嬉しい言葉は聞こえるものさ」
ブルー 「いいけどね…。じゃあ、もう一度確認するけど、参加を希望?」
ハーレイ「もちろんだ。此処まで来たんだ、帰るのは辛い」
ブルー 「その視線! なんでブルーの方を見るかな?」
ハーレイ「す、すまん…。そのぅ、やはり着物は色っぽい方が…」
ブルー 「また言うし! 大ダメージで頭のネジも飛んじゃってるか…」
Aブルー「自分の欲望に正直なのはポイント高いと思うけどねえ?」
そういう男はヘタレない、とソルジャーは嬉しそうですが。
ヘタレない相手がお好みなのはソルジャーであって、生徒会長には無関係。
ブルー 「だったら君が引き取れば? 色ボケ男は女子会に不要」
Aブルー「参加条件は身元引受人? それなら、ぼくが喜んで」
ブルー 「ううん、君と一緒に此処から退場。二人でデートすればいい」
振袖は貸してあげるから、という展開に教頭先生は大慌て。
ハーレイ「ま、待ってくれ! 私はお前と一緒に宴会の方が…」
ブルー 「女子会に参加を希望なんだね? 後で後悔しないかい?」
ハーレイ「私も男だ、二言は無い」
誓って後悔することは無い、と仰る姿勢は素晴らしいですが。
女子会に参加希望の男の言葉に二言は無いって、言葉遣いは正しいですか?
2012/03/23 (Fri)
☆女子会へのステップ
女子会への参加を決意なさった教頭先生。
お目当ては生徒会長なのか、艶姿のソルジャーなのかは分かりませんが…。
ブルー 「君の意見は尊重しなくちゃいけないだろうね、招待した以上」
ハーレイ「では、此処にいていいのだな?」
ブルー 「その前に、着替え」
ハーレイ「は?」
ブルー 「ジョミーたちの格好を見れば分かると思うけど? 女子会だよ」
ハーレイ「ま、まさか私に女装しろと?」
ブルー 「それ以外に何があるっていうのさ、格調高く着物でね」
ハーレイ「男物しか持っていないぞ、正月用の」
ブルー 「君のクローゼットには最初から期待していない。…ぶるぅ!」
ぶるぅ 「かみお~ん♪」
パァァッと青いサイオンの光が溢れ、リビングに広がる色とりどりの着物。
何本もの帯や真っ赤な長襦袢なども揃ってますけど、いったい何処から…?
Aブルー「あっ、そこの黒いの、華やかでいいね。着替えてもいい?」
ブルー 「無理無理、サイズが合わないよ。それに振袖とは違うしさ」
Aブルー「そうなのかい? …ホントだ、袖の形が違うね。なんか短い」
ブルー 「大人の女性はこういうスタイル! そうだろ、ハーレイ?」
ハーレイ「そ、それは確かにそうなのだが…。私には無理かと」
こんな大女はいないだろう、と教頭先生は申しておられますが。
ブルー 「女性用だと誰が言った? 女性用でも男性仕様!」
全員 「「「え?」」」
ブルー 「おかまバーのママの着物をお借りしたのさ、今は昼間だし」
お店は只今閉店中、と澄ました顔の生徒会長。
無断借用らしいですけど、分からないように戻すくらいは朝飯前で。
ブルー 「この宴会に安物は相応しくない。ママの着物は高いんだよ」
ぶるぅ 「えとえと、ハーレイに似合いそうなの、どれかなぁ?」
Aブルー「茶色のヤツはどうだろう? キャプテンの制服に色が似てるし」
ブルー 「なるほど…。ちょっといいかもねえ」
それなら帯は緑だよね、と、お見立て会の始まり始まり~。
2012/03/24 (Sat)
☆雛祭りの宴へ
教頭先生の参加条件は女装でした。それも着物の…。
体格が良くていらっしゃるだけに、女性向けの仕立てだと着られません。
そこでおかまバーのママの着物を無断借用することに。
ブルー 「うん、なかなか似合っていると思うよ」
ハーレイ「そ、そうだろうか…」
Aブルー「キャプテンの制服と同じ色だよ、そこに緑の帯だもの!」
ジョミー「模様も金が入ってるから、似た感じだよね」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ お客様も揃ったし、お食事にする?」
ブルー 「遅くなったけど、始めようか。雛祭り女子会、賑やかにいこう!」
キース 「本気で女子会を貫くのか…。仕方ないがな」
やっちまったのは俺たちだし、と溜息をつくキース君。
飾り付けられた雛人形の前に緋毛氈が敷かれ、座敷机が据えられて。
ぶるぅ 「雛祭りはちらし寿司だよね! それに貝尽くし!」
Aブルー「へえ…。海の幸とは嬉しいね。来た甲斐があった」
キース 「手袋を外していいだろうか? 手袋で箸はキツイんだが…」
ブルー 「ああ、そのくらいは構わないよ? 外国の宮廷じゃないからね」
全員 「「「???」」」
ブルー 「女性は食事中も手袋着用、ってマナーの国があったのさ」
シロエ 「キツイですね、それ…」
ブルー 「キレた皇妃が撤廃したけど、自分の国は殆ど留守にしてたって」
キース 「ああ、放浪癖があった皇妃だな。ミュージカルのヒロインだ」
マツカ 「あの有名な皇妃ですか? 凄い美人の」
Aブルー「…食事中も手袋着用の凄い美人なら、ここにもいるけど?」
ブルー 「厚かましい! それにソルジャーの手袋は邪魔にならないし!」
ハーレイ「いや、美人だと思うぞ、お前そっくりなだけに惚れそうだ」
ブルー 「ハーレイ、開き直ったね? 惚れたんだったら差しつ差されつ!」
ぼくたちも大いに飲もうじゃないか、と生徒会長はブチ上げております。
「そるじゃぁ・ぶるぅ」が手早く用意し、全員の前に杯が。
雛祭りには白酒ですけど、酒癖の方は大丈夫かな…?
2012/03/25 (Sun)
☆女子会の酒宴
雛祭りのお酒といえば白酒。大きな瓶から白いお酒がトクトクトクと…。
なみなみと注がれた杯を生徒会長が差し上げて。
ブルー 「雛祭り女子会に乾杯!」
全員 「「「かんぱーい!」」」
一斉に飲み干す女子会の面々。飲み口は甘くて美味しいようです。
ブルー 「遠慮なくやってよ、無礼講だし。料理の方も楽しんでよね」
ぶるぅ 「蛤のお吸い物は外せないけど、赤貝のぬたよりホタテだよね!」
バター仕立ての陶板焼き、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
アサリのワイン蒸しにアワビステーキなど、貝尽くしでも若者向け。
Aブルー「一口サイズに切ったアワビが有難いよ。お箸だから」
ブルー 「君もお箸が上手くなったよね、最初は握り箸だったのにさ」
ハーレイ「そうなのか? いや、着物だと箸を持つ手も色っぽいな」
ブルー 「完全に開き直ってる…。おかまが言ってもキモイだけなのに」
膨れっ面の生徒会長、ふとジョミー君に目を止めて。
ブルー 「どうしたんだい、何か悩みでも?」
ジョミー「んーと…。瓶の底の方だと危ないのかな、って思ってさ」
ブルー 「ああ、白酒か。それは甘酒とは違うんだけど」
ジョミー「底の方が危ないってことはないわけ?」
ブルー 「アルコールだろ? 底の部分がお酒になるのは甘酒だよ」
ジョミー「なんだ、そっかぁ。心配しちゃって損しちゃったよ」
美味しいもんね、と手酌で白酒を注ぐジョミー君。
生徒会長は熱燗を楽しみ、教頭先生とソルジャーは…。
ハーレイ「ほほう、ひれ酒とは通でらっしゃいますなぁ」
Aブルー「こっちの世界で覚えたんだよ。君もどう?」
ハーレイ「喜んで御相伴させて頂きます」
専用の土瓶からソルジャーにひれ酒を注いで貰って、教頭先生は大感激。
着物美人なソルジャーと差しつ差されつ、気持ち良く飲んでおられます。
ジョミー「なんか不公平…」
ぼくだって赤い振袖なのに、とジョミー君は不満そう。
まさかソルジャーと張り合う気ですか、教頭先生にモテてどうする?
2012/03/26 (Mon)
☆モテたい年頃
ソルジャーと同じく赤い振袖のジョミー君。
どういうわけだか、ソルジャーがモテているのが気に入らないようで…。
ジョミー「教頭先生、ぼくも赤です! 振袖だったら負けてません!」
ハーレイ「な、なんだ、どうした?」
ジョミー「なんでソルジャーばっかり可愛がるんですか、ぼくだって!」
ハーレイ「は? あ、ああ、そうか、お前も飲みたかったのか?」
ジョミー「もちろんですっ!」
二人きりで飲むなんてズルイ、とジョミー君は拗ねておりますが。
ひれ酒は立派なお酒ですよ?
キース 「お、おい、ジョミーはどうなったんだ? あれは酒だぞ」
サム 「だよな、なんで自分から飲みに行くんだよ」
シロエ 「思い切り警戒してましたよねえ、ジョミー先輩」
マツカ 「そうですよ。酔っ払いは前科二犯ですから」
スウェナ「ソルジャーに嫉妬してるんじゃないの? ほら、美人だし」
キース 「なるほど、自分も目立ちたい…と。俺は御免だが」
こんな姿で目立ってどうする、とキース君は深い溜息。
他の男子も同じですけど、ジョミー君は教頭先生の隣に座って。
ジョミー「んーと…。ちょっぴり辛いですね、コレ」
ハーレイ「ははは、ひれ酒は辛口でないとな。これが美味いんだぞ」
Aブルー「そうそう、焼きひれの香ばしさが引き立つんだよ」
ハーレイ「ジョミーには少し早すぎたか? 大人の男の酒だからな」
Aブルー「ふふ、お子様は放っておいて楽しくやろうよ」
ジョミー「だから、どうして二人でくっつくんですか!」
ぼくだって綺麗に仕上がってます、とジョミー君は膨れっ面。
しかし盛り髪でゴージャス姫スタイルでは色気どころかお笑いで。
ハーレイ「あ、ああ…。まあ、可愛く出来ているとは思うが」
ジョミー「可愛いんじゃなくて美人なんですっ!」
ハーレイ「ふむ…。その、なんだ。落ち着いて飲むか? もう一杯」
大人の味が分かるのも色気の内だ、と教頭先生。
おかまスタイルで語られてもキモイだけなんですけど、まあいいか…。
2012/03/27 (Tue)
☆ほろ酔いの宴
おかまスタイルの教頭先生に振袖のソルジャー、ジョミー君との三つ巴。
ひれ酒の土瓶は既に三つ目となり、大いに盛り上がっておりますが。
キース 「本当に大丈夫なのか、ジョミーは? 飲み過ぎだぞ」
シロエ 「モテ期のつもりですからねえ…。止めに入ったら怖いですよ」
サム 「逆ギレしそうな感じだもんなぁ…。放っておこうぜ」
マツカ 「でも、なんで教頭先生なんです? 前から憧れでしたっけ?」
スウェナ「さ、さあ…。私は一度も聞いてないわよ?」
キース 「俺も全く記憶にない。柔道部の見学にも来ないヤツだが…」
どうなったんだ、と悩むシャン学メンバー。
そこへクスクスと笑い声が…。
ブルー 「とっくの昔に酔ってたんだよ、ジョミーはね」
全員 「「「えぇっ!?」」」
ブルー 「キッチリ出来上がっていたのさ、ひれ酒の前に」
キース 「なんでそうなる? 普通に飲み食いしてただけだぞ」
サム 「俺たち、酔ってないもんな? 多分…」
ブルー 「さあ…。君たちも少しは酔っているかもね、ほろ酔い加減で」
シロエ 「お酒が入ってたんですか、この食事!?」
キース 「アサリのワイン蒸しだ、アルコールが飛んでいなかったんだ!」
ブルー 「残念でした。食事は全く無関係だよ」
これこれ、と生徒会長が示しているのは白酒の瓶。
そういえばジョミー君、ガンガン飲んでましたっけ…。
ブルー 「底の方が危ないのか、と訊かれたから違うと答えたけどさ」
キース 「白酒だろう、それで酔うのか?」
ブルー 「君も勘違いしているクチか…。白酒と甘酒は違うんだよ」
見た目は同じでも白酒の方は本物のお酒、と生徒会長。
アルコール度数は10度と、なんとビールより高いのだそうで。
ブルー 「面白いから放っておいたら絡み酒とはね。どうなるかな?」
キース 「あっちのブルーと、また揉めているみたいだな…」
教頭先生に御酌する役目を巡って争いになっているようです。
おかまを奪い合う女装の二人とは、世も末かも…。
2012/03/28 (Wed)
☆奪い合いの果て
どちらが教頭先生に御酌するかで揉めまくっている女装の二人。
ソルジャーもジョミー君も一歩も譲らず、教頭先生はお困りですけど…。
Aブルー「ハーレイ、ちょっと訊くけどさ。色気は断然ぼくだよねえ?」
ジョミー「色気なんかより可愛げです! 可愛い方が好みですよね?」
ハーレイ「う、うむ…。女は愛嬌とよく言うのだが、私はだな…」
ジョミー「ほら、可愛い方がいいんだってば、愛嬌なんだし!」
Aブルー「話は最後まで聞きたまえ。ハーレイ、君の好みは?」
ハーレイ「そのぅ…。男も愛嬌なのかと言われると自信が無くて…」
Aブルー「だよね、男は断然、色気! ぼくの勝ちだよ」
勝ち誇ったソルジャー、ジョミー君をドンと押し退けてトクトクと御酌。
生徒会長そっくりなだけに教頭先生も極楽気分でいらっしゃいます。
ジョミー「なんでぼくだと駄目なのさ! 可愛くしたのに!」
ブルー 「もっと強引に行くんだね。男は度胸!」
ジョミー「読経?」
ブルー 「そう、度胸。女は愛嬌、男は度胸がお約束だ」
頑張ってこい、と背中を押されたジョミー君。
教頭先生に深々とお辞儀し、やおら合掌。
ハーレイ「ど、どうした?」
Aブルー「変な輩は放っておこうよ、ささ、もう一杯」
ジョミー「称名念仏~」
全員 「「「は?」」」
ジョミー「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏…」
ハーレイ「ジョ、ジョミー?」
Aブルー「な、なんなのさ? 要らないってば、お経なんか!」
ジョミー「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏…」
ビシッと正座し、お念仏を朗々と唱え続ける間に生徒会長が木魚を設置。
ジョミー君はそれをポクポクと…。
ブルー 「お念仏を唱えるとはねえ、嬉しい誤算だ」
キース 「度胸と読経を間違えたのか…」
Aブルー「なんか飲む気にならないんだけど…」
ハーレイ「BGMが念仏ではなぁ…」
いっそ何処かで飲み直すか、と語り合う教頭先生とソルジャーですが。
おかまと振袖男子な二人が飲み直せる場所はありますか…?
2012/03/29 (Thu)
☆飲み直しな人たち
白酒とひれ酒で出来上がってしまったジョミー君。
酔っ払った挙句に度胸と読経を聞き間違えて、お念仏を唱えております。
抹香臭くなった宴席に閉口気味のソルジャーは…。
Aブルー「よし、決めた。ハーレイ、ぼくの世界で飲み直そう!」
ハーレイ「し、しかし…。いきなりお邪魔するというのは…」
Aブルー「いいんだってば、ソルジャーはぼく! ぼくのシャングリラ」
遠慮は無用、とソルジャーは乗り気ですけど、振袖は?
教頭先生が無断借用中のおかまバーのママの高価な着物は?
ブルー 「ブルー、ハーレイを連れて退場してくれるのかい?」
Aブルー「お念仏は趣味じゃないんだよ。ハーレイもいい感じだしさ」
既に敬語じゃなくなってるし、と言われてみればその通り。
ソルジャー相手には常に敬語の教頭先生、タメ口になっておられます。
Aブルー「この機を逃してなんとする…ってね。飲まなきゃ損、損」
ハーレイ「うむ。せっかく美人と飲めるんだしな、行っていいか?」
ブルー 「どうぞお好きに。ついでに遊ばれてくるといい」
ハーレイ「は?」
ブルー 「ううん、ヘタレが直るといいね、って」
着物と振袖は明日にでも返してくれればいいよ、と生徒会長は上機嫌。
振袖は元々レンタルですし、おかまバーのママの意識は誤魔化すとか。
Aブルー「それじゃ遠慮なくお借りするよ。行こう、ハーレイ」
ハーレイ「うむ。別の世界の酒というのもいいが、手土産に何か…」
ブルー 「これはどう? ぼくの秘蔵の大吟醸! それとブルーにも」
Aブルー「えっ、ぼくにも何かくれるのかい?」
ブルー 「雛人形を譲ってあげるよ。君のシャングリラで飾りたまえ」
「えぇっ!?」と叫ぶシャン学メンバーを生徒会長、サックリと無視。
ソルジャーは雛人形を土産に教頭先生と手に手を取って、自分の世界へ。
ブルー 「さてと、雛人形と厄介な二人は片付いたし…」
問題はこのお念仏だ、と生徒会長。
ジョミー君はポクポクやってますけど、お坊さん志願?
2012/03/30 (Fri)
☆お約束な結末
雛人形をお土産に教頭先生を連れ、飲み直しと称して逃げたソルジャー。
残されたジョミー君はお念仏を唱え続けていますが、涙目で。
やがて木魚を叩く手が止まり、ワッと泣き崩れてしまいました。
ジョミー「酷いや、ぼくも頑張ったのに…。教頭先生、逃げるなんて…」
キース 「おい、落ち着け! お前、正気じゃないだろう」
ジョミー「正気だってば、男は読経で頑張ったのに~!」
ブルー 「よしよし、ジョミーは頑張ったよね。でもさ…」
もう一歩押しが足りなかったんだよ、と諭しにかかる生徒会長。
ブルー 「読経はお念仏だけじゃないんだ。それと緋色なら勝てたかも」
ジョミー「緋色?」
ブルー 「そう、緋色。ぼくの衣だよ、これはブルーは着られない」
ジョミー「そっか…。赤い振袖じゃダメなんだ…」
ブルー 「同じ土俵で勝負したって勝てやしないよ、顔が違うし」
ハーレイが惚れているのはこの顔だから、と生徒会長は自分を指差すと。
ブルー 「顔の違いをカバーするなら着る物が大事! 格式で勝負」
キース 「なるほど、確かに一理あるな」
ブルー 「それから読経もレパートリーを増やさなくっちゃ」
シロエ 「そうですね。お念仏くらい、ぼくでも出来ますし」
ジョミー「増やすって色々覚えろってこと? キースみたいに?」
ブルー 「今日の敗北が悔しかったら頑張るんだね。嫌ならいいけど」
ジョミー「ううん、頑張る! 男の意地だよ、負けられないよ!」
自分を磨いてもっと美人に、とジョミー君は決意表明。
坊主宣言を遙かに超えた酔いっぷりですが、止めに入る人は勿論、皆無。
キース 「いいぞ、頑張れ。俺も色々教えてやるから」
ジョミー「ありがとう! キースってホント、いいヤツだよね」
ブルー 「先輩から沢山学びたまえ。ぼくも助力を惜しまないよ」
ジョミー「よーし、やるぞー! 坊主万歳!」
やんやと拍手喝采の中、大いに盛り上がる雛祭り女子会。
女装男子がズラリ揃って美を競う宴、これにて中継終了です~。
2012/03/31 (Sat)
☆雛人形を買おう
雛祭りの宴会のために借りる予定だった雛人形。
借りるよりも買うのはどうだろう、というキース君の案がウケております。
買った雛人形は生徒会長の嫁入り道具にするのだそうで…。
ブルー 「ぼくは絶対反対だからね! ハーレイの妻になる気は無いし!」
キース 「嫁げとは言っていないだろうが。余興だ、余興」
サム 「うんうん、ブルーがお嫁に行ってしまったら俺も困るし」
ジョミー「サムもブルーに惚れてるもんねえ、奥手だけどさ」
シロエ 「それを言ったら終わりでしょう? ぼくたち全員該当しますよ」
キース 「万年十八歳未満お断りってのはブルーが言い出したんだよな」
スウェナ「えっと…。多分、そうだと思うわ」
キース 「よし。俺たちには難しい理屈は分からないんだ、突っ走ろうぜ」
ジョミー「ブルーが主役の宴会だったら、ぼくも飲まずに済みそうだよね」
シロエ 「その辺は保証できませんけど…。いい宴会になると思いますよ」
キース 「決まりだな。まずは雛人形を買わないと…。どうだ、マツカ?」
マツカ 「ちょっと待ってて下さいね」
訊いてみます、と電話をしているマツカ君。
相手はお馴染みの執事さんです。
マツカ 「OKです。展示販売中の店に連絡しておくそうです」
キース 「どの店だ? …ああ、あそこか。老舗だな」
ぶるぅ 「わーい、お雛様を買いに行くの? 面白そう!」
ブルー 「え、えっと…。そんなのを買ってしまったら、後が…」
キース 「嫁に行くまで教頭先生に預けておけ。お喜びになるぞ」
シロエ 「教頭先生には似合いませんけど、喜んで飾って下さいますよ」
サム 「俺も欲しいと思うけどさ…。ブルーを養う甲斐性が無いし…」
ブルー 「勝手に話を進めるんじゃないっ!」
キース 「そう言うなって。娯楽の提供もソルジャーの務めの内だろうが」
行くぞ、と立ち上がるキース君。
生徒会長は「そるじゃぁ・ぶるぅ」に腕を掴まれ、逃亡不可能。
タクシーに乗せられ、人形店へと出発です~。
2012/03/01 (Thu)
☆雛人形を買いに
生徒会長の嫁入り道具に、と雛人形を買いにやって来たシャン学メンバー。
マツカ君が手配した老舗人形店の暖簾をくぐろうとしております。
ブルー 「ちょ、本気で買うって!?」
キース 「当然だろうが。ぶるぅ、しっかり捕まえておけよ」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ぼくが掴まってれば大丈夫だよ!」
「そるじゃぁ・ぶるぅ」もタイプ・ブルーだけに生徒会長をガッツリ確保。
傍目には小さな子供がしっかりと生徒会長の手を握っているだけですが。
マツカ 「お邪魔します。先ほどお電話させて頂いた者ですが…」
店員さん「いらっしゃいませ。店長が御案内させて頂きます」
ブルー 「や、やばい…」
店長 「ようこそお越し下さいました。雛人形をお求めだとか」
マツカ 「そうなんです。えっと…お嫁入り道具だと、どの辺ですか?」
店長 「お嫁入りでらっしゃいますか。それはおめでとうございます」
嫁入り道具に雛人形とは本格的でいらっしゃる、と店長さんは大感激。
マツカ君の紹介だけに高級そうな雛人形を次々に披露してくれて。
店長 「スペースが充分あるようでしたら、お道具も是非、一通り」
キース 「道具か…。それは意味があるのか?」
店長 「夫婦が添い遂げる縁起物ですと貝桶が一番重要ですね」
御伽犬という犬の形の器が安産のお守りだとか、色々とあるみたいです。
キース 「なるほどな。せっかくだから買っておくか」
シロエ 「安産のお守りなんかが要りますか?」
ジョミー「お約束だし、要るんじゃない?」
ブルー 「要らないってば!」
ぶるぅ 「だけどハーレイ、子供が好きだよ?」
子供が多いと喜ぶよ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」は無邪気な笑顔。
「誰が産むんだ」と生徒会長が混乱している内に…。
店長 「お買い上げありがとうございました!」
ブルー 「え?」
キース 「良かったな。後は俺たちに任せておけ」
3月3日は雛祭り。
生徒会長がフィシスさんの家に行っている間に飾る計画らしいですよ~!
2012/03/02 (Fri)
☆お留守な雛祭り
3月3日、雛祭りの日でございます。
嫁入り道具にと雛人形を買われてしまった生徒会長、既に逃亡したようで。
キース 「くそっ、留守か…。マツカ、雛人形は確かに届いたんだな?」
マツカ 「お届けしました、と店長から電話がありましたよ」
ジョミー「フィシスさんの家で雛祭りだとは聞いていたけど…ぶるぅは?」
シロエ 「一緒に連れて行ったんでしょう。ぼくたちが入れないように」
キース 「管理人さんに頼んでみるか? 此処までは入れてくれたんだし」
スウェナ「玄関まで開けてくれるかしら? 不法侵入に近いじゃない」
キース 「畜生、出直すことにするか…。流石に夜には戻るだろうさ」
シロエ 「どうでしょう? 泊まってくる可能性もありますよ」
サム 「フィシスさんちで雛祭りだもんなぁ…」
これは帰って来ないかも、とシャン学メンバー、ガックリです。
雛人形が届いていても入れなくては飾れません。
キース 「ウッカリしてたぜ。宴会当日まで留守か居留守で逃げる気だ」
ジョミー「ブルーだもんねえ…。大人しく雛人形を飾られるキャラじゃ…」
シロエ 「ないですよね、冷静に考えてみれば」
サム 「うーん、見たかったんだけどなあ、嫁入り道具…」
スウェナ「マツカに悪いことしちゃったわねえ、高かったのに」
すごすごと引き揚げようとした所へ「ちょっと待った!」と呼び止める声。
生徒会長が出たかと思いきや、なんと生徒会長のそっくりさんで。
(※ソルジャーことアルト様ブルー、場外編に初登場でございます。
台詞表記は四文字以内に収めるために「Aブルー」とさせて頂きます)
キース 「な、なんであんたが…」
Aブルー「君たち、困っているんだろう? ドアの鍵くらい簡単だよ」
あっさり鍵を開けたソルジャー、雛人形の箱を指差すと。
Aブルー「嫁入り道具なんだってね。どんなのかとても興味があるな」
キース 「いや、それは俺たちのこじつけで…。本当は今日が雛祭りで」
Aブルー「ぼくの世界に雛祭りというのは無いんだよ」
SD体制下では雛祭りは無いらしいです。
生徒会長宅には入れたものの、ソルジャーまでやって来なくても…。
2012/03/03 (Sat)
☆雛人形を飾ろう
留守の間に雛人形を飾られてしまわないよう、鍵をかけて逃げた生徒会長。
入れなくなったシャン学メンバーの窮地を救ったのはソルジャーですが。
Aブルー「雛人形は間近で見たことないんだ。ぼくの世界には無い物だし」
キース 「それで見物しに来たのか。それとも嫁入り道具の野次馬か?」
Aブルー「両方だよ。でも嫁入り道具というのはいい話だね」
店長さんも感激してたじゃないか、と言うソルジャー。
雛人形を買いに出掛けた辺りから覗き見していたみたいです。
キース 「まあな…。しかし最近はそんな話も聞かないが」
シロエ 「女の子が生まれた時にお嫁さんの実家が贈るんですよね」
Aブルー「そうなのかい? ブルーは…ちょっと産めそうにないね」
サム 「それ以前に嫁に行かねえよ!」
Aブルー「ごめん、ごめん。ぼくも産むのは無理だけれども嫁入りなら…」
ハーレイが相手なら考えてもいい、とソルジャーは悪戯っぽい笑顔。
もちろん教頭先生ではなく、キャプテンのことで…。
Aブルー「だけどブルーは逃亡中か。嫁入り道具は要らないようだね」
キース 「ああ。俺たちの読みが甘すぎた」
Aブルー「大丈夫! 入れたんだし、遠慮なく飾ってあげたまえ」
ジョミー「帰ってきたら撤去されちゃって終わりだよ!」
シロエ 「それだけじゃなくて売り飛ばすとか、何処かに寄付とか…」
Aブルー「ぼくを誰だと思ってるんだい? 力でブルーに負けるとでも?」
全員 「「「えっ?」」」
Aブルー「宴会当日までシールドを張って雛人形を死守ってね」
動かせないし埃もつかない、とソルジャーは自信満々です。
Aブルー「ブルーはぼくが来ていることにも気付いていない。今の内だよ」
キース 「そ、そうか…。だったら飾ってしまうか」
ジョミー「飾るならやっぱりリビングだよね!」
この辺かな、と決めたシャン学メンバー。
雛段の組み立てをソルジャーも楽しくお手伝い中。
宴会にも来る気らしいですけど、どんな宴になるのやら…。
2012/03/04 (Sun)
☆お内裏様と畳
生徒会長の留守に部屋に入り込み、雛人形を飾り始めたシャン学メンバー。
鍵を開けてくれたソルジャーと一緒に雛段を組み立て、緋毛氈をかけて…。
キース 「おーい、そっちの具合はどうだ?」
ジョミー「バッチリだよ! ピンと張ったし、次は人形だね」
スウェナ「違うわよ、先に屏風を飾るのよ。それに畳も置かなくちゃ」
シロエ 「あ、そうか…。じゃあ、こっちの箱が一番ですね」
木箱を開けて屏風を取り出すシロエ君。
マツカ君が買った高級品だけに、本物の金箔が貼ってあります。
シロエ 「よいしょ、っと…。次が畳、と」
Aブルー「畳って床材なんだと思ってたけど、これは違うんだね」
キース 「俺だって似たようなヤツに座ることがあるぞ」
全員 「「「えぇっ!?」」」
お雛様の畳と言えばお内裏様が座るモノでございます。
昔の偉い人しか座れない物のミニチュアだとばかり思っていれば、なんと
キース君が同じようなヤツに座るんですって?
マツカ 「え、えっと…。キースって実は凄かったんですか?」
サム 「マツカも裸足で逃げ出す家柄とか? 知らなかったぜ」
シロエ 「そういえば名家の出身の人が住職ってお寺、多いですよね…」
Aブルー「へえ…。なるほど、これに座れる人は偉いのか…」
知らなかったよ、とソルジャーも感心しております。
しかしキース君が実は超絶お坊っちゃまとは、世の中分からないもので…。
シロエ 「キース先輩、長年失礼いたしました!」
ジョミー「ど、どうしよう…。ぼくも色々やっちゃった…」
キース 「お前たち、何を勘違いしてるんだ? 寺の備品だぞ」
何度も家に来たくせに、とキース君は呆れた顔で。
キース 「本堂に置いてあるだろう。上に座布団が敷かれているが」
ジョミー「え? そ、そうだっけ…」
キース 「読経の時に座るヤツだ! …主に親父だがな」
あれのことか、とシャン学メンバーは脱力中。
キース君の坊っちゃま騒動の意外な結末、ソルジャーも爆笑してますよ~!
2012/03/05 (Mon)
☆畳の座り心地
お内裏様の座る畳と似ている畳に座ることがあるというキース君。
実は超絶お坊っちゃまかと驚いていれば、真相はお寺の本堂の畳だそうで。
シロエ 「あ~あ、ホントにビックリしましたよ。先輩も人が悪いですね」
キース 「お前たちが勘違いしたんだろうが!」
ジョミー「でもさあ、咄嗟に思い出せないよ、あれは」
サム 「うんうん、俺も全く分からなかったぜ。上に座布団だし」
シロエ 「おまけに周りに置いてあるのが木魚とか鐘とかですもんねえ…」
スウェナ「お内裏様だと雪洞とか桃の花なのにねえ…」
月とスッポンとはこのことだ、と笑い転げるシャン学メンバー。
ソルジャーも普段から覗き見しているだけに元老寺の本堂は把握済みで。
Aブルー「あれって座り心地はどうなんだい? 畳だよね」
キース 「親父が留守の時しか座れないからな…。気分はいいが」
サム 「一人前の住職になったって気がするわけか?」
キース 「そんな所だ。だが、座り心地を訊かれると…。どうだろう?」
マツカ 「キースは座布団の上に座るんですよね?」
キース 「ああ、そうだ。座布団無しで座ろうと思ったことがない」
Aブルー「ふうん…。じゃあ、畳と同じで座布団無しだとキツイのか…」
キース 「多分な。雛人形の方は座布団という文化が無いんだ」
ジョミー「えっ、そうだったの?」
キース 「千年ほど前の時代がモチーフだぞ? 座布団はまだ無い」
Aブルー「なるほどねえ…。で、座布団つきだと本堂のアレになるんだね」
イマイチかなぁ、と首を捻っているソルジャー。
Aブルー「偉い人が座ると言うから、ちょっといいかと思ったんだけど」
キース 「何処がだ?」
Aブルー「ぼくが座るのさ、ハーレイがヘマをやらかして土下座な時に」
でも座り心地が悪いんだったら要らないや、と呟くソルジャー。
座布団つきではお坊さんに思えてくるので却下だとか。
土下座するキャプテンを見おろすために専用畳を欲しがるだなんて、どう
考えても鬼ですよね…?
2012/03/06 (Tue)
☆土下座には畳
キャプテンの土下座を見おろすために専用畳、と思ったらしいソルジャー。
流石にそれは酷すぎないか、とシャン学メンバーが突っ込み中です。
Aブルー「そんなに酷い発想かなぁ、専用の畳。…良さそうなのに」
キース 「あんた、普段から偉そうだろうが! 更に偉さを演出する気か?」
シロエ 「そうですよ。キャプテン、何かと言えば土下座ばかりで」
サム 「俺たちの世界に来てる時だけでも、あの回数だし…」
マツカ 「普段は推して知るべしですよね」
ジョミー「土下座した回数、教頭先生より多いかもね」
Aブルー「でも鼻血なんか出さないし! ハーレイは可愛げに欠けるんだ」
キース 「だからと言って畳に座って見おろすのか?」
Aブルー「鈍い相手にはキツめに出ないとダメなんだよ」
ジョミー「…キャプテンって鈍い人だっけ?」
スウェナ「教頭先生よりは図太いんじゃないかと思うけど…」
Aブルー「そうだろう? 神経が図太くて繊細さに欠ける」
だから土下座の回数が増える、とソルジャーは主張しております。
Aブルー「何度も土下座させられるのは懲りていないって証拠だからね」
キース 「それはそうかもしれないが…」
Aブルー「ぼくがもっと怖いキャラなら、一発で懲りると思うんだよ」
ジョミー「…充分怖いと思うけどなぁ…」
Aブルー「何か言ったかい?」
ジョミー「う…。ううん、なんにも!」
Aブルー「それでね、怖さを演出するのは無理だし、せめて偉さを…」
キース 「今より偉くなってどうする気だ!」
Aブルー「ん? 神様」
全員 「「「神様!?」」」
Aブルー「ぼくのハーレイ限定の…ね。もう全能で万能くらいの」
神様になれば世界は全て思うがまま、と言われましても…。
Aブルー「この際、座り心地は我慢しようかな…」
キース 「畳のことか?」
Aブルー「神になるには形からだよ」
やっぱり土下座専用畳、とソルジャーは俄然、乗り気です。
飾り付け中の雛人形を放って、畳を買いにお出掛けでしょうか…?
2012/03/07 (Wed)
☆特注品な畳
ソルジャーの目標は神様だそうでございます。ただしキャプテン限定の…。
神になるには形からだ、と土下座専用の畳を御所望。
Aブルー「ここで見たのも何かの縁だよ。今から買いに行きたいんだけど」
キース 「…行ってすぐには手に入らんぞ?」
Aブルー「特注品になるのかい?」
キース 「普通の畳じゃないからな。普通の畳もすぐには買えんが」
ジョミー「え? 畳ってお店に売ってるじゃない」
キース 「売ってるんじゃなくて作ってるんだ。畳はオーダーメイドだぞ」
スウェナ「そうだったの? 部屋のサイズで買うんじゃないの?」
サム 「和室のサイズって決まってるじゃねえかよ、基本のヤツが」
シロエ 「六畳とか八畳とか、定番ですよね」
キース 「その定番が問題なんだ。部屋によって微妙にサイズが違う」
ジョミー「それって畳の大きさだよね? 三種類くらいあるんだっけ?」
キース 「畳本体の大きさじゃない。畳を部屋に合わせるんだ」
全員 「「「???」」」」
キース 「部屋はキッチリ四角じゃないぞ。何処かに僅かな誤差がある」
そこをきちんと計測してから部屋に合わせて畳を作るらしいです。
でないと部屋に敷き詰めた時に隙間が出来たりするそうで…。
キース 「そういう仕事が出来る店しか、特殊な畳は作れないんだ」
Aブルー「だったらすぐには無理ってわけだね。まあ、いいか…」
座り心地の問題もあるし、と土下座専用畳を諦めたソルジャー。
Aブルー「パートナーがヘタレてるとさ、苦労するよね、色々と」
キース 「あんたが選んだ相手だろうが!」
Aブルー「そうなんだけど、もうちょっと、こう…」
ヘタレていない相手だといいな、とソルジャーは雛人形を眺めております。
畳騒動などがあった割には順調に飾り付けられ、すっかり完成。
Aブルー「お内裏様って言ったっけ? こういう形が理想かな」
並んで絵になるパートナーを希望、と言うソルジャー。
キャプテンとソルジャー、傍目にはお似合いなんですけどねえ…?
2012/03/08 (Thu)
☆嫁入りと雛人形
お内裏様みたいに並んで絵になるパートナーがいいな、と語るソルジャー。
ヘタレなキャプテンではイマイチなのだそうですが…。
キース 「あんたが偉そうに振舞ってるのが悪いんじゃないか?」
Aブルー「なんでそういうことになるのさ?」
キース 「あなたの色に染まります、というのが嫁の王道なんだぞ」
雛人形を指差すキース君。
キース 「雛人形が嫁入り道具だった時代は、妻は夫に絶対服従」
Aブルー「それなら逆だと思うけど? ハーレイが嫁の立場だよ」
全員 「「「はぁ?」」」
Aブルー「だって、絶対服従なんだろ? 従わなければ土下座ってね」
サム 「こりゃダメだぜ…。キャプテンに勝ち目は一つもねえよ」
キース 「究極のカカア天下だな。旦那を尻に敷くってヤツだ」
Aブルー「失礼な! 上に乗るのも嫌いじゃないけど、突っ込まないよ」
キース 「なんの話だ?」
Aブルー「ハーレイのお尻に突っ込む気だけは無いんだよね」
ぼくが突っ込まれる方なんだから、とソルジャーは大人の時間な爆弾発言。
Aブルー「そういう意味だと、やっぱりぼくが嫁なのかい?」
キース 「もういい、今日の所は帰ってくれ」
頭痛がする、とキース君が呻きましたが、ソルジャーの方は御機嫌で。
Aブルー「そうか、ブルーもこれを持ってお嫁に行くわけだしねえ…」
??? 「誰がお嫁に行くんだって?」
地を這うような低い声と共に現れたのは生徒会長。
ブルー 「忘れ物を取りに戻ってきたらゾロゾロと…。通報しようか?」
ジョミー「ま、待ってよ、何もしてないし!」
ブルー 「不法侵入な上に雛人形まで…。さっさと片付けて帰りたまえ」
Aブルー「甘いね。誰も片付けられないよ、それ」
また宴会の日にお邪魔するから、とソルジャーは消えてしまいました。
シャン学メンバーはガッツリお説教されて…。
ブルー 「どうするのさ、これ…」
生徒会長は雛人形に手が出せません。
教頭先生を宴会に招待したそうですけど、大丈夫かな…?
2012/03/09 (Fri)
☆雛祭りへようこそ
やって来ました、3月10日。
生徒会長が予定していた雛祭り宴会の日でございます。
招待状を貰ったシャン学メンバー、生徒会長の家まで来たのはいいですが。
ジョミー「突っ立っていたって仕方ないよ。此処にいるのはバレバレだよ」
キース 「それは分かっているんだが…」
シロエ 「どうなったでしょう、雛人形。片付いてればいいんですけど…」
サム 「少なくとも昨日の朝にはあったぜ」
朝のお勤めに来た時は飾ってあった、という証言に誰もが真っ青。
キース 「やっぱり片付けられなかったか…」
シロエ 「ソルジャーが言ったとおりでしたね、どうします?」
キース 「どうするも何も、あれを飾ったのは俺たちだしな」
ジョミー「もしかして責任取らされるわけ? 雛人形の?」
シロエ 「会長、困ってましたしねえ…。教頭先生を呼んだのに、って」
スウェナ「でも宴会のお客様でしょ、教頭先生。何とかなるわよ」
キース 「客が俺たちだけならな。あいつも来ると言ってたじゃないか」
全員 「「「あー…」」」
おしまいだ、と頭を抱えるシャン学メンバー。
雛人形にシールドを張って逃げたソルジャーも宴会に来るんでしたっけ。
それとも既に到着済みで、生徒会長と喧嘩中?
どう転んでも連帯責任は免れない、と覚悟を決めてチャイムを押せば。
ぶるぅ 「かみお~ん♪ いらっしゃい! ブルーが待ってるよ!」
キース 「待ってくれなくてもいいんだが…。あいつはまだか?」
ぶるぅ 「あっちのブルー? まだ来てないけど?」
今日は楽しい雛祭り、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」は大はしゃぎです。
リビングに行けば雛人形がしっかり飾られておりまして…。
ブルー 「御覧のとおりさ。どう頑張っても撤去不可能」
キース 「す、すまん…。あいつの尻馬に乗ったばかりに…」
ブルー 「どういたしまして。女子会へようこそ」
全員 「「「女子会!?」」」
ニッコリ笑う生徒会長。
女子会だとか聞こえましたが、最近流行りのアレですか…?
2012/03/10 (Sat)
☆雛祭りに女子会
ソルジャーが撤去不可能にした雛人形はリビングに飾られたまま。
謝るしかないと覚悟を決めたシャン学メンバー、生徒会長に迎えられて…。
キース 「今、女子会とか言わなかったか?」
ブルー 「言ったけど? ようこそ、雛祭り女子会へ」
ジョミー「じょ、女子会って…。女の子の会って書くヤツのこと?」
ブルー 「その女子会。女子だけで集まって飲食したり話をしたり…」
雛祭りに相応しいだろう、と生徒会長は自信たっぷりです。
ブルー 「元々、雛祭り宴会の予定だったし、雛祭りは女子のものだしね」
キース 「だからと言って何処に女子が!」
スウェナ「失礼ね。ここにいるけど?」
シロエ 「スウェナ先輩の他にはいないじゃないですか、女子」
ブルー 「でも女子会と言ったら女子会! 雛人形まで買っただろう」
キース 「それはあんたの嫁入り道具で…。いや、あの時は冗談で…」
ブルー 「その場のノリで買っちゃいました、っていうのは分かるよ」
そこまでだったら許せるけどさ、と雛人形を眺める生徒会長。
ブルー 「みんなでワイワイ飾るんだったら良かったんだ。お祭り気分で」
キース 「そ、そうだったのか…?」
ブルー 「うん。ぼくも心が狭くはないしね、お遊びだったら許せたよ」
ジョミー「だったらこれも許してよ! 一応、みんなで飾ったんだし!」
ブルー 「ぼくが留守の間にコソコソやられてしまったのに?」
キース 「そこは謝る。謝るから、ここは水に流して…」
ブルー 「水に流してあげてもいい。ただし条件は女子会だ」
キース 「なんでそうなる!」
ブルー 「最初から雛人形が飾られてる以上、ぼくが主役の宴会にする」
全員 「「「は?」」」
ブルー 「これは嫁入り道具じゃなくってインテリア!」
ぶるぅ 「お雛様を飾ってお友達を呼ぶのが雛祭りでしょ?」
キース 「ま、まさか…」
ブルー 「女同士で楽しくやろうよ、雛祭り」
女子会万歳、と生徒会長は申しておりますが。
どう転んだら女子会に…?
2012/03/11 (Sun)
☆嬉しい雛祭り
雛祭りの宴会はお雛様を囲んで女同士で楽しく女子会、と言われましても。
スウェナを除けば全員が男子な状況をどうしろと?
キース 「雛祭りだから女子会だと? この面子でか?」
ブルー 「そうだけど? ぼくは至って正気で本気だから」
ジョミー「で、でも…。スウェナ以外に女の子は…」
ブルー 「その点において抜かりは無い。雛祭りの歌は知ってるよね?」
シロエ 「明かりをつけましょ、雪洞に…ってヤツですか?」
ブルー 「そう、それ。四番の歌詞は覚えてるかな?」
全員 「「「四番?」」」
ブルー 「着物を着替えて帯しめて 今日は私も晴れ姿♪」
ぶるぅ 「春の弥生のこのよき日 なにより嬉しい雛祭り♪ だもん!」
ブルー 「というわけだから、さっさと着替える!」
全員 「「「着替え?」」」
ブルー 「向こうの部屋に用意しておいた。頑張りたまえ」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ スウェナの着替えは手伝ってあげるね」
こっちだよ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」はトコトコと。
スウェナを連れてゲストルームの扉を開け、隣の部屋を指差して。
ぶるぅ 「他のみんなはそっちでね。色々あるから選び放題!」
じゃあね、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」は扉を閉めてしまいました。
残された男子は示された部屋に入ったのですが…。
ジョミー「これって、まさか…」
キース 「何処から見ても振袖だな…」
雛祭りに相応しく華やかな色と模様の振袖が衣紋掛けにズラリ。
確かに選び放題ですけど、男に似合う代物ではなく。
キース 「畜生、これを着ろってか!」
サム 「なんでピンクに赤なんだよ…。せめて黒とか…」
シロエ 「緑とかでも良かったですよね、青でもマシかも…」
ジョミー「赤とピンクしか揃えてないって、嫌がらせだよね?」
マツカ 「帯は色々ありますけどね…」
模様の方も花だの御所車だのと、女性好みのオンパレードでございます。
雛祭り女子会は女装から。
少しでもマシな振袖を、と奪い合う男子の明日はどっちだ?
2012/03/12 (Mon)
☆振袖とサイズ
雛祭り女子会には女装から、と振袖を用意されてしまったジョミー君たち。
選び放題とは言われたものの、赤とピンク系しか揃っておらず。
キース 「引っ張るな、コレは俺が着るんだ!」
ジョミー「黒髪だから何でも似合うだろ! 譲ってよ!」
サム 「シロエ、この振袖と取り替えないか? いい感じだぜ」
シロエ 「嫌ですよ! ぼくが最初に目を付けたんです!」
マツカ 「どう選んだって赤かピンクしか無いんですけどね…」
最後はジャンケン勝負で決まった振袖と帯。
似合う以前の問題ですけど、着る他に道はございません。
法衣を着慣れたキース君が着付けのプロであろう、と認定されましたが…。
キース 「おかしいな…。ここまでは問題無い筈なんだが」
マツカ 「ですよね、肌襦袢で腰巻、長襦袢…。それで正しいと思います」
お茶席では着物だというマツカ君、着た回数はそれなりです。
キース君には及ばないものの、この二人がいれば…と思われたのに。
マツカ 「何処で間違えたんでしょう?」
キース 「それ以前の問題なのかもしれないぞ。嫌がらせだからな」
ジョミー「合わないサイズで用意したとか?」
サム 「そうかもなぁ…。どれを着たって長すぎるもんな」
振袖を着ようと羽織ってみれば、誰もが床に引き摺る長さで。
サイズ違いか、と他のに替えても引き摺る裾はどうにもならず…。
キース 「なんで半端に引き摺るんだ? もっと長いなら分かるんだが」
マツカ 「舞妓さんほどじゃないですもんね…」
舞妓さんや芸妓さんの着物は引き摺るもの。
ですが、あちらは『裾引き』という特注品で、振袖とは別物でございます。
キース 「いっそこのまま着て行くか? どうせ女装だ」
ジョミー「要は着てればいいんだもんね」
じゃあ帯だ、と次へ進もうとした所へ。
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 上手く着られた? …あれっ?」
間違えてるよ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
着物のプロがいたというのに、何故に失敗したんだか…?
2012/03/13 (Tue)
☆おはしょりと振袖
長襦袢までは順調に進み、いざ振袖…という段階で躓いたらしい男子たち。
振袖の裾が半端に引き摺ってしまい、どうにもこうにもなりません。
半ばヤケクソ、そのまま帯を…と思った所へ。
ぶるぅ 「あのね、おはしょりが無いとダメなんだよ」
全員 「「「おはしょり?」」」
ぶるぅ 「えっと、見た方が早いかな? スウェナ~!」
スウェナ「なぁに? あ、あらら…。みんな凄いの着てるわねえ…」
ジョミー「こんな色しか無かったんだよ!」
サム 「これでもマシなの選んだんだぜ? 他はアレだし」
スウェナ「そうねえ、ちょっとはマシって感じ?」
あまり差は無いみたいだけれど、と笑うスウェナの振袖は紫でございます。
模様も華やかながらも上品、まさに理想の振袖で。
キース 「あっちの方が断然マシだな…」
シロエ 「モノは考えようですよ。あれだけが此処に混ざっていたら…」
サム 「流血沙汰になってたかもなぁ、俺、キースには勝てないけどさ」
ジョミー「確実に喧嘩になってたよねえ、勝てなくっても」
シロエ 「二人とも本気でそう言ってますか? 反則しないと?」
サム 「あー…。絶対とは言い切れねえなあ…」
ジョミー「手ごろな何かが転がっていたら一発くらい殴るかも…」
マツカ 「反則技は素人さんの方が強いと聞きますよね」
キース 「下手に武道の心得があると素人には手が出せないからな…」
あの振袖が無くて良かった、と誰もが納得。
柔道部三人組でも反則アリだと、素人二人に負けたかも。
つまり勝者が誰かは分からず、負けた四人はフルボッコで。
ジョミー「ボコボコの顔で振袖よりかは、この色でいいよ…」
キース 「同感だ。で、ぶるぅ。俺たちは何処で間違えたんだ?」
ぶるぅ 「ここ、ここ! 帯の下にエプロンみたいになっているでしょ?」
これが『おはしょり』、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
男性の着物に『おはしょり』は存在いたしません。
まして法衣にある筈も無く、間違えるのも無理ないですよね…。
2012/03/14 (Wed)
☆盛り上げていこう
おはしょりという存在を知らず、振袖の裾を引き摺って着ていた男子たち。
教えて貰っても、どうすればいいのか分かる筈もなく…。
ぶるぅ 「えっとね、腰にこう紐を巻いて…。分かる?」
キース 「この辺りか? で、どうするんだ」
ぶるぅ 「こう手を入れて、よいしょって上に引っ張るの! あ~…」
引っ張り過ぎだよ、と言う「そるじゃぁ・ぶるぅ」はジョミー君に着付け
しております。
他の面子は見よう見まねでやってみたものの、最終的には。
ぶるぅ 「最初からぼくがやってあげればよかったね」
キース 「まったくだ。…こんな着物の着方は分からん」
マツカ 「帯だって別モノですもんね…。ぼく、絶対に結べませんよ」
サム 「つか、なんで全員、違う形に結んであるんだ?」
ぶるぅ 「え? 可愛い形にしたいでしょ?」
男子全員「「「…可愛い…」」」
ズーン…と落ち込む男子一同。
その間に「そるじゃぁ・ぶるぅ」が箱を引っ張り出しております。
ぶるぅ 「じゃあ、ここからは任せといてね」
キース 「何をだ?」
ぶるぅ 「盛るんだけど」
全員 「「「もる?」」」
ぶるぅ 「うん! ブルーが盛ってあげなさい、って」
アゲアゲで盛り髪でメガ盛りなんだ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
箱の中から出て来たものは黒髪や金髪のウイッグなどなど。
髪飾りもまさに「パネエ」という代物で。
キース 「ま、待ってくれ! 盛るというのは俺たちの髪か?」
ぶるぅ 「そうだけど? あ、爪とかもデコっちゃう?」
せっかくだもんね、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」は楽しそうです。
目指すはゴージャス姫スタイルとかで、ファーやコサージュも次から次へ。
ぶるぅ 「ベールをつけたい人は手を挙げてー! あれ?」
キース 「なんでそういうことになる!」
ぶるぅ 「ブルーが目立ってなんぼだって♪」
可愛く盛ろうね、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」の瞳がキラキラ。
振袖に加えて姫スタイルにメガ盛りだなんて、どんな結果になるのやら…。
2012/03/15 (Thu)
☆失われた記憶
七福神巡りも無事に終わって、生徒会長の家でのんびりと。
この後に控えるのは節分のメインイベント、恵方巻と豆まきでございます。
キース 「ジョミーは当分、起きそうにないな」
ブルー 「いいんじゃないかな、恵方巻は日が暮れてからだしね」
シロエ 「特注品って聞いてますけど、届くんですか?」
ブルー 「うん、料亭から直接ね」
そうこうする内に日が暮れ、チャイムの音が。
マンションの管理人さんが恵方巻を受け取り、家へ届けに来てくれました。
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 恵方巻だよ!」
ジョミー「えっ、なに、なに? 恵方巻?」
ガバッと飛び起きたジョミー君ですが、横に落ちていた福笹を見て思案顔。
どうやら記憶が無いようです。
ジョミー「あれ? いつの間に帰って来たんだっけ?」
ブルー 「湯豆腐を食べて、それからすぐに…ね。君も賛成してただろう」
ジョミー「湯豆腐って? そんなの何処で食べたっけ?」
キース 「絶望的だな…」
シロエ 「お寺に来たら精進料理ってジョミー先輩が言ったんですよ」
サム 「うんうん、最後の塔頭でな。でもって、そこで湯豆腐を食ったぜ」
スウェナ「もしかして覚えていないとか? 甘酒を飲んでそこから後は」
ジョミー「甘酒…。えっと、お坊さんたちがお接待してて…。あれれ?」
シロエ 「先輩、笑顔で手を振りましたよ。服は緋色が最高ですよね、って」
ブルー 「そうそう、緋色の衣を目指すと七福神にお願いもしたし」
ジョミー「ちょ、ちょっと…。それ、本当?」
ブルー 「嘘だと思うなら見てみるといい。これがぼくの記憶。こっちが…」
ジョミー「え? えぇっ?」
次々と思念波で見せられた皆の記憶に、ジョミー君、顔面蒼白です。
そりゃそうでしょう、七福神巡り七ヶ所の内の四ヶ所で坊主祈願では…。
ジョミー「やばいよ、これ…」
ブルー 「さあね?」
七福神へのお願い事は多数決で坊主祈願に軍配が。
ピンチに陥ったジョミー君ですけど、起死回生のチャンスはあるのかな?
2012/02/15 (Wed)
☆恵方巻に願いを
七福神巡りで坊主祈願をしてしまったと知り、真っ青になったジョミー君。
仏様への誓いを撤回するには神様なんだ、と燃えていたのに…。
ジョミー「ど、どうしよう…。これって撤回出来ないの?」
ブルー 「七福神巡りは夕方で閉門、今から行っても入れないよ」
キース 「諦めて高僧を目指すんだな。もう後が無いぞ」
ブルー 「でなきゃダメ元で恵方巻だね。開運祈願の御祈祷済み」
ジョミー「お願い事をしながら食べるんだよね。それで効く?」
ブルー 「どうなんだか…。最高の場所を用意するから頑張りたまえ」
サム 「恵方を向いて食べるだけだろ? 場所も関係するのかよ?」
ブルー 「実は隠れた名所があってね。その名もズバリ恵方社なんだ」
全員 「「「恵方社?」」」
ブルー 「その年の恵方に向けて祠の向きが変わるんだよ」
キース 「そういえば…。しかし、あそこも寺だったような…」
ブルー 「ソレイド八十八ヶ所を創ったお大師様の宗派の、ね」
ジョミー「ま、また、お寺…?」
ブルー 「お寺の境内にあるだけだよ。七福神と同じで神社だってば」
キース 「恵方社は他に無いと聞いたな」
ブルー 「うん、この国でたった一つだけ! 凄く御利益ありそうだろ?」
恵方社はアルテメシアの中心部にひっそりとあるのだそうでございます。
境内の池は涸れたことが無く、パワースポットとしても有名。
ジョミー「行く、行く! そこでお願いする!」
ブルー 「これが最後のチャンスだからね。全身全霊で祈願したまえ」
恵方巻を食べるなら恵方社の前で、という人が最近多いのだそうで。
お願い事の数が多いのですから、叶えて頂くには祈願する方も根性が…。
ブルー 「いいかい。目を閉じて一言も喋らず、頭の中はお願い事だけ!」
ジョミー「それを恵方に向いてだよね?」
ブルー 「恵方社に向き合えば恵方に向く。祠に向かって黙々と、だよ」
努力あるのみ、と生徒会長。
恵方巻に託されたジョミー君の切なる願いは神様の元へ届くのか?
2012/02/16 (Thu)
☆恵方社を目指せ
開運祈願の御祈祷済みという高級料亭の恵方巻。
同じ食べるなら最高の場所で恵方を向いて、と生徒会長は申しております。
今年の恵方は北北西ですが、磁石なんかを使わなくてもドンピシャという
凄いスポットがあるそうで…。
キース 「恵方社のある寺には何度か行ったが、恵方社は見た覚えが無いな」
ブルー 「とても小さな祠だからね。祠を乗っけた石の台座が回るんだよ」
シロエ 「中華料理のテーブルみたいですね」
ブルー 「理屈としては似てるかな。土台の上に円形の台座で、その上に祠」
毎年、大晦日の晩にお坊さんが祠に祈祷し、その後で数人がかりで台座を
回して祠の正面を恵方に向けて、再び御祈祷。
それが『恵方の改め式』で、お参りした人には年越し蕎麦のお接待が。
ジョミー「ちょ、ちょっと待ってよ。お坊さんが祈祷するわけ?」
ブルー 「お寺の境内なんだから、当然だろう。それが嫌なら残るんだね」
ぼくたちだけで出掛けるから、と言われてジョミー君は大慌て。
最強の恵方巻スポットを逃すわけにはいきません。
ジョミー「行くってば! もう後が無いし!」
ブルー 「その勢いで頑張りたまえ。さて、どうやって行こうかな?」
ぶるぅ 「近所の公園、誰もいないよ」
ブルー 「あ、本当だ。だったらパパッと飛んじゃおう」
寒いですからコートを着込んで、瞬間移動でいざ出発!
恵方巻が入った料亭の袋は「そるじゃぁ・ぶるぅ」が提げています。
降り立った小さな公園を出て、少し歩くと石の玉垣と石の鳥居が。
シロエ 「ここでしたか。ずっと神社だと思ってました」
ブルー 「山門が無くて鳥居だからね。だけどホントにお寺なんだよ」
本堂はあっち、と示された先にお堂と庫裏がございます。
しかし境内の殆どを占めるのはパワースポットで知られた池。
ブルー 「うーん、やっぱり先客多数か」
キース 「おい、ライバルは多いぞ、ジョミー」
境内にはズラリ行列が。
恵方社の前で恵方巻、と並ぶ人たちの最後尾は何処に…?
2012/02/17 (Fri)
☆恵方社で恵方巻
大晦日の夜に新しい年の恵方へ向きを変える恵方社。
来てみれば小さな祠でしたが、その前で恵方巻を食べようと並ぶ人の列が。
シロエ 「えっと…。池の向こう側まで回り込んでるみたいですよ」
サム 「こりゃ百人じゃ済まねえかな? 待ち時間も長くなりそうだぜ」
マツカ 「恵方巻ですし、冷えても不味くはならないでしょうけど…」
キース 「問題はこの寒さだな。また雪が降りそうな空模様だぞ」
スウェナ「でも並ぶしかないのよね。早く行きましょ」
ブルー 「大丈夫。そこはしっかり奥の手がある」
全員 「「「え?」」」
ブルー 「ついておいでよ、順番待ちはバッチリだから!」
生徒会長、行列を「ちょっと失礼」と横切り、恵方社だという祠の方へ。
叱られるのでは、とシャン学メンバーはドキドキですけど、願い事に来た
人たちは流石にお行儀が良く、快く道を空けてくれます。
ブルー 「よしよし、ちゃんと場所取りしてるね。お待たせ、ハーレイ!」
全員 「「「教頭先生!?」」」
祠の横に立っていたのはコートを着込んだ教頭先生。
笑顔で手招きしています。
ハーレイ「仕事を済ませてすぐに並びに来たんだぞ。一番だったが」
ブルー 「ごめん、ごめん。こっちにも色々都合があってさ」
ハーレイ「連れが後から来ますんで、と先に参って頂いている」
ブルー 「でないと列が進まないしね。もう並んでもいいのかな?」
次の人 「どうぞ、どうぞ。長い間お待ちだったようですよ」
ブルー 「それじゃ遠慮なく。はい、ハーレイの分の恵方巻」
ハーレイ「すまんな。代金の方は振込み済みだ」
ブルー 「ここのは本当に美味しいよ。でも、味よりも願い事だよね」
並んで、並んで…と割り込みの列を整理する生徒会長。
教頭先生は当然のように最後です。
ブルー 「ここもジョミーが一番福で」
キース 「妥当な線だな」
失敗するなよ、とキース君。
二礼二拍手一礼の作法も指導しています。
ジョミー君はラストチャンスを活かせるのか?
2012/02/18 (Sat)
☆美味しい恵方巻
恵方巻を食べる時は恵方に向いて目を閉じ、一言も喋らず頭の中で願い事。
これがお約束でございます。
坊主宣言撤回の最後のチャンスを恵方巻に託すジョミー君、究極の恵方巻
スポットとされる恵方社の前で深く一礼、続いて二礼目。
柏手の方もパンパンと二回、そして提げていた小袋の中から恵方巻を。
キース 「よし、ここまでは問題なし…と」
ブルー 「後はジョミーの根性だよね。ちゃんと神様に届けばいいけど」
サム 「ここの神様って誰なんだ?」
ブルー 「恵方と言えば歳徳様だよ」
シロエ 「トシトク様? なんですか、それ」
ブルー 「陰陽道で、その年の福徳を司るという女神様。恵方においでだ」
キース 「それも知らずに恵方巻を食っていたのか?」
シロエ 「え、だって。恵方ですから、いい方向なのは確かですしね」
ブルー 「そうだよ、いい方向だと分かればいいのさ。さて、ジョミーは…」
マツカ 「真剣なんじゃないですか? うるさくしたら悪いかも…」
ブルー 「他人の会話が気になるようでは言語道断。雑念はアウト」
ハーレイ「…ジョミーに何かあったのか?」
ブルー 「朝から行った七福神巡りで坊主祈願をしちゃったんだよ」
ハーレイ「坊主祈願?」
ブルー 「うん。甘酒で酔っ払っちゃって、お坊さんになれますようにって」
それを撤回するらしいよ、と生徒会長。
教頭先生も「それは真面目に祈願しないとな」と納得です。
一番に並んだ甲斐があった、と喜んでおられますけど、当のジョミー君は。
ジョミー(えっと、お願い事、お願い事…。坊主宣言撤回で!)
黙々と頬張る恵方巻。
お喋りが禁止でなくても、丸かぶりですし、まず喋れません。
ジョミー(お坊さんにならずに済みますように。お願いします、切実です)
ぼくには後が無いんです、と懸命なジョミー君ですが。
高級料亭の恵方巻はダテではなくて、いつの間にやら味わっていたり…。
お願い事より、舌先でとろける絶妙な具材。
そんな態度でいいんでしょうか…?
2012/02/19 (Sun)
☆気になる恵方巻
坊主宣言撤回のラストチャンスを恵方社に託したジョミー君。
初日の出でも七福神巡りでも失敗していた作法の方も、今度は全く無問題。
恵方巻を食べ終えると祠に深々と一礼をして終わりです。
ブルー 「ふうん…。流石に必死だと間違えないか」
キース 「歳徳様に祈願した以上、今年中は坊主にならずに済みそうだな」
ブルー 「お願いが届いていれば、だけどね」
後ろはズラリ行列ですから、シャン学メンバーも順にお参り。
締めの教頭先生のお参りが済むと、割り込みを詫びながら恵方社を後に。
ハーレイ「お前たちはこれからどうするんだ?」
ブルー 「ぼくの家で晩御飯を食べて豆まきだよ。ハーレイも来るよね?」
ハーレイ「行っていいのか?」
ブルー 「もちろんさ。順番取りの御礼をしなくっちゃ」
ハーレイ「そんなつもりは無かったんだが…。役に立てるのは嬉しいしな」
ブルー 「遠慮しないで食べに来てよ。ずっと立ってて寒かっただろう?」
節分寒波とはよく言ったもので、またしても雪が舞っております。
帰りも無人の公園へ行って、そこから一気に瞬間移動。
ジョミー「さ、寒かった~! でも恵方巻、美味しかったね」
ブルー 「コートを脱いだらウガイ手洗い! 風邪を引くよ」
全員 「「「はーい!」」」
教頭先生もしっかりウガイ。
夕食は「そるじゃぁ・ぶるぅ」の手作りです。
ぶるぅ 「節分はイワシなんだけど…。今日の主役はアンチョビーだよ」
ブルー 「イワシの頭を柊に刺して、魔除けに玄関につけるんだよね」
ハーレイ「最近、やる家も少なくなったな。私もすっかり忘れていた」
ぶるぅ 「イワシの代わりにアンチョビー! 使い方も色々あるし」
ジョミー「色々って言えば、恵方巻にも色々入ってたね」
ブルー 「七福神にちなんで七種類の具だと聞いたけど?」
ジョミー「そっかぁ…。何が入っていたのかな?」
美味しかったよ、とジョミー君は満足そうですが。
恵方巻の具が気になるだなんて、願い事の方は大丈夫…?
2012/02/20 (Mon)
☆アウトな恵方巻
節分にはイワシの頭を柊に刺し、玄関や勝手口などの出入口に。
翌年の節分までそこに取り付けておけば、魔除けになるそうでございます。
頭を取った残りのイワシが食卓に上るのが本来の形らしいのですが…。
ブルー 「ぼくの家もイワシの頭は付けていないし、気持ちだけ…ね」
ぶるぅ 「アンチョビーだってイワシだもんね! で、恵方巻だっけ?」
ジョミー「うん! 凄く美味しかったけど、目を瞑ってたから見えないし…」
ブルー 「アナゴに干瓢、厚焼き玉子に椎茸に…」
ぶるぅ 「おぼろとキュウリと高野豆腐! 全部で七種類」
ジョミー「ふうん…。中身は普通の太巻き寿司と変わらないんだね」
ぶるぅ 「だから味付けが大事なんだよ。何処で買っても同じじゃないし」
ブルー 「そういうこと。…ところで、ジョミー。お願い事は?」
ジョミー「えっ、ちゃんとお願いしてきたよ?」
ブルー 「頭の中はお願い事だけって教えたよね。なのに君ときたら…」
雑念だらけの煩悩だらけ、とビシッと指差す生徒会長。
ブルー 「心頭滅却して祈願していたら味なんか分からないんだよ」
キース 「分かる筈もないな。黙々と口を動かすだけで」
ブルー 「修行中の念仏三昧が正にそれだね。勝手に口が動くのさ」
キース 「お念仏を唱えているという自覚も無いぞ。それが真のお念仏だ」
ブルー 「恵方巻でも理屈は同じ! お願い事しか意識しちゃダメだ」
サム 「なるほどなあ…。それじゃ、ジョミーは…」
ブルー 「失格だね」
ジョミー「そ、そんなぁ! あんなに頑張ってお願いしたのに…」
キース 「恵方巻を美味しく食った時点でアウトだな」
ジョミー「うわぁ…」
ついに坊主だ、と頭を抱えるジョミー君。
七福神にまで誓ってしまって、ラストチャンスもフイにして…。
ブルー 「まあ、神様ってヤツは気紛れだしね」
どのお願いを聞き届けるかは神様次第らしいです。
七福神の内の誰かか、歳徳様か。
お願い事を叶えるのは誰か、どの願い事が叶うのか…?
2012/02/21 (Tue)
☆最高位は赤
ジョミー君が恵方巻に託した願いは、切実さが足りず門前払いの様相です。
とはいえ、生徒会長が言うには「神様は気紛れ」。
もしかしたら坊主祈願をされた神様が「坊主になれない」ようにするかも。
ジョミー「そっちに望みをかけるしかないよ。四ヶ所でお願いしたんだし」
キース 「坊主の道も悪くはないと思うんだがな…」
ブルー 「酔っ払う度に坊主宣言するかもね。今後に期待しておくさ」
サム 「俺と一緒に修行しようぜ。どっちが先に緋色の衣か競争で!」
シロエ 「キース先輩も負けていられませんね。頑張って下さいよ」
キース 「もちろんだ。…しかしブルーには一生勝てん」
ブルー 「年功序列の世界だしねえ…。おまけに緋色の上は存在しないし」
ハーレイ「ジョミーも緋色を目指すのか?」
ブルー 「そこが神様次第なんだよ。まずは坊主にならないと」
ハーレイ「坊主宣言を撤回し損ねた以上、坊主の道を極めたらどうだ?」
それも一つの生き方だ、と教頭先生。
一番福をゲットするべく恵方社の前で順番取りをなさったのですし、福を
ガッツリ掴んで欲しいと思ってらっしゃるみたいです。
ハーレイ「しかしアレだな、坊主と柔道は似ているな」
ブルー 「どの辺がさ?」
ハーレイ「私が柔道十段なのは知ってるだろう? 十段の帯は赤帯だ」
ブルー 「ああ、赤系が最高って所が似てるんだね。ちょうど良かった」
ハーレイ「は?」
ブルー 「赤か青かで迷ったんだよ。結局、赤にしたんだけれど」
ハーレイ「何の話だ?」
ブルー 「ぶるぅ、アレを持ってきてくれるかな」
ぶるぅ 「かみお~ん♪」
トコトコと走って行った「そるじゃぁ・ぶるぅ」が持ってきたものは。
ブルー 「赤帯と一文字違うだけだし、問題無いだろ?」
ハーレイ「こ、これを私にどうしろと…」
ブルー 「節分と言えば豆まきなんだよ。鬼がいなくちゃ話にならない」
鬼のお面に虎の皮のパンツ、真っ赤な色の肉襦袢。
赤帯ならぬ赤鬼を振られた教頭先生の運命や如何に?
2012/02/22 (Wed)
☆鬼がお似合い
節分の豆まきは鬼がいないと話にならない、と生徒会長は申しております。
高僧である生徒会長の家には、本来、鬼など入れませんが…。
ブルー 「様式美とでも言うのかな? 節分には鬼を追い出さないと」
ハーレイ「そこでどうして私になるのだ!」
ブルー 「君が一番似合うんだよ。鬼は身体が大きいものだし」
ぶるぅ 「ハーレイのサイズに合わせて作ったんだよ、鬼さんの服!」
虎の皮のパンツも「そるじゃぁ・ぶるぅ」のお手製だとか。
お面は買ったらしいですけど。
ブルー 「食事が済んだら豆まきするから着替えてよね」
ハーレイ「もしかして最初からそのつもりか? 恵方巻の順番取りから」
ブルー 「決まってるだろう。でなきゃサイズが合う筈が無い」
ハーレイ「おい、誰か…。誰かブルーを止めてくれ!」
全員 「「「………」」」
ブルー 「残念でした。ジョミーの坊主以上に決定済みだよ、君の運命」
ハーレイ「うう…。で、豆をまくのは誰なんだ?」
ブルー 「ぼくが大トリを務めることは確かだね。玄関の外へ追い出す役」
ハーレイ「大トリだと? では、その前は…」
ブルー 「もちろん全員で豆まきだよ。ぼくもやるから安心して」
ぶるぅ 「えっと、コースはブルーが書いてるからね」
ハーレイ「コース?」
ブルー 「そう、コース。全部の部屋を五芒星の形に走り回るんだよ」
五芒星は一筆描きが出来るお星様マーク。
陰陽道では魔除けだそうで。
ブルー 「君の目にだけ見えるようにサイオンで細工をしておいたから」
キース 「豆まきは本来、邪気払いだしな。五芒星もある意味、正しいか…」
ブルー 「同じやるなら凝りたいよね。さてと、食事も済んだようだし」
着替えてきて、と教頭先生を促す生徒会長。
教頭先生、惚れた弱みで断り切れないようでして…。
ハーレイ「分かった、鬼は引き受けよう」
赤鬼に変身するべく、教頭先生は衣装を抱えて別室へ。
生徒会長が全員に豆と枡を配っていますが、どんな豆まきになるのやら…。
2012/02/23 (Thu)
☆豆まきのルール
豆まきの鬼役にされた教頭先生が着替える間に、豆と枡を配った生徒会長。
これからルールの説明だそうで…。
ブルー 「いいかい、豆が切れたら此処で補給を」
ぶるぅ 「沢山あるから持ってってね! 下手な鉄砲も……なんだっけ?」
ブルー 「数撃ちゃ当たる、だよ。最終目標はストリーキングだ」
全員 「「「はぁ?」」」
ブルー 「鬼の服にサイオンで細工がしてある。豆が当たると透けるのさ」
キース 「透けるだと? どういう意味だ!?」
ブルー 「そのまんまだけど? 透明になってしまうんだよ」
豆が当たれば鬼の衣装が透けてゆくという仕掛けだとか。
教頭先生の身体に比べて豆のサイズは小さいですから、ストリーキングが
目標な以上、凄い数の豆が要るわけで。
ブルー 「だから大量に用意した。鬼は外で福は内なんだ」
キース 「念のために聞くが、そのフクは衣装を指しているのか?」
ブルー 「ダジャレだよ。福は置いてって貰わないとね」
ぶるぅ 「鬼さんを追い出して福を貰うのが豆まきでしょ?」
キース 「そ、それはそうだが、何も本当に奪わなくても…」
ブルー 「見えなくなるっていうだけだから! 遊びだよ、遊び」
ぶるぅ 「パンツは強度が三倍だもんね」
シロエ 「なんですか、それは?」
ブルー 「虎の皮のパンツの部分は三度当てないと透けない仕組みさ」
頑張って三度ぶつけたまえ、と生徒会長。
そんなこととは夢にも思わぬ教頭先生、着替えを終えて戻って来て。
ハーレイ「後はこの面を被ればいいのか?」
ブルー 「そうなんだけど、紅白縞は脱いだだろうね?」
ハーレイ「う、うむ…。履いたままだとキツイようだし、不本意ながら…」
なにやら頼りない気がするが、と教頭先生は虎のパンツを見ておられます。
肉襦袢の上にパンツを着用ですから、肉襦袢の下はスッポンポン。
これで衣装が透けてしまえばストリップならぬストリーキング!
何も知らない教頭先生、開運招福の脱衣豆まきで服を大盤振舞いですか…?
2012/02/24 (Fri)
☆豆まきで福招き
豆まきで鬼を追い出し、服は置いて行かせて開運招福という恐ろしい企画。
サイオンで細工された鬼の衣装は豆が当たると透けるのだそうで…。
ブルー 「それじゃ一番奥の部屋から始めるよ。よろしく、ハーレイ」
ハーレイ「床に書かれた青い線に沿って逃げ回るのだな?」
ブルー 「うん。ぼくと君にしか見えない線だ」
ハーレイ「そうか、お前と私にだけか…」
教頭先生、鬼の面を被っていても嬉しそうにしておられるのが分かります。
惚れ込んでいる生徒会長と自分だけにしか見えない絆に感動中。
ブルー 「さてと、泣いた赤鬼って話があったっけ。どうなるかな?」
ハーレイ「豆をまかれたくらいで私は泣かんぞ」
ブルー 「泣かないんだってさ。じゃあ、遠慮なく豆まきしよう」
一番奥は生徒会長の寝室です。
そこに堂々と入れるとあって、教頭先生、ドキドキですが。
ブルー 「鬼は~外~!」
全員 「「「鬼は~外!」」」
バラバラと豆が飛ぶ中、五芒星を描いて駆け回っている教頭先生。
身体中に豆が次々とヒットしております。
コースを走り終えて廊下に出れば、更なるルートが見えているらしく。
キース 「次はあっちか」
ジョミー「部屋から部屋へと走るんだね」
ブルー 「ほらほら、頑張って豆をまく! 手がお留守だよ」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 豆の補給も忘れないでね!」
各部屋の入口に豆が詰まった大きな袋が。
シャン学メンバー、枡を抱えて教頭先生を追い掛け回し…。
ブルー 「よし、いい感じに透けてきたよね」
シロエ 「殆ど全身、見えていますよ? まだやるんですか?」
ブルー 「目標はストリーキングだと言っただろう」
キース 「し、しかし…。教頭先生は全く気付いてらっしゃらないぞ」
ブルー 「そりゃ、コースしか見えていないし!」
ぼくとの絆の五芒星、と生徒会長は笑っています。
三倍の強度を誇る虎のパンツも透け始めていて、教頭先生に迫る危機。
本人に自覚が無いまま、ストリーキングで景気良く外へ…?
2012/02/25 (Sat)
☆鬼は外、福は内
鬼の服が透けてしまうというアブナイ豆まき、玄関が近付いて参りました。
教頭先生は全く気付いておられませんが、残るは腰回りの肉襦袢のみ。
キース 「おい、本当にやる気なのか?」
ブルー 「スウェナが困らないようにモザイクをかけるし、別にいいだろ」
大トリはぼくだ、と生徒会長は玄関に向かう直線コースへ。
シャン学メンバーにも総攻撃の命令が下り、一斉に。
全員 「「「鬼は~外~!」」」
ブルー 「福は~内、福は~内、鬼は~外~!」
バラバラと飛んで行った豆が教頭先生に当たっております。
生徒会長が「福は内」と投げ付けた分は教頭先生の前方へ回り込み…。
サイオンを使った外道なカーブの次は「鬼は外」で背後からトドメの一撃。
教頭先生は表へ飛び出してゆき、生徒会長が扉に施錠。
ブルー 「豆まき完了。服もバッチリ頂けたよ」
実に見事なストリーキング、と生徒会長は御満悦。
やがて扉が激しく叩かれ、チャイムが何度も鳴らされて…。
ハーレイ「い、入れてくれ、ブルー!」
ブルー 「お断りだね。追い出した鬼を呼び込む馬鹿はいないよ」
ハーレイ「し、しかし…! だったらせめて私の服を…!」
ブルー 「了解。瞬間移動で管理人さんの部屋に届けておくね」
ハーレイ「ま、待ってくれ! この格好で下へ行くのは…」
ブルー 「鬼は~外!」
それっきりシールドが張られたらしく、物音はしなくなりました。
ジョミー「ど、どうなっちゃうの、教頭先生…」
ブルー 「さあね? 半時間も経てば服は元に戻る仕掛けだけれど…」
キース 「それを伝えて差し上げろ!」
ブルー 「鬼の面の裏にメモを貼ったよ、サイオンの効果は半時間って」
ぶるぅ 「落ち着いてお面を外せば分かるもんね♪」
ブルー 「いい豆まきが出来て良かった。開運招福間違いなしさ」
そして始まる打ち上げパーティー。
教頭先生も呆然となさっている間に服が戻って、めでたし、めでたし。
節分が済めば立春です。春はもうすぐそこですよ~!
2012/02/26 (Sun)
☆豆まきのお詫び
大騒ぎだった節分の後には学校を挙げてのバレンタインデー。
生徒会長、ストリーキングのお詫びと称して教頭先生に手作りチョコを…。
キース 「で、あのチョコレートはどうなったんだ?」
ブルー 「さあねえ? 未だにアンケートを送って寄越さないから…」
ぶるぅ 「気に入ったチョコがあったら作ってあげる、って言ったのにね」
キース 「お前ら…。教頭先生は甘いものが苦手でらっしゃるんだぞ」
ブルー 「柔道部に丸投げするかと思ったんだけどなぁ、アンケート」
シロエ 「それは無いんじゃないでしょうか。だって会長の手作りですよ」
サム 「うんうん、俺だってブルーの手料理だったら苦手でも食うぞ」
ジョミー「教頭先生、きっと頑張っていると思うよ」
スウェナ「一日一個はキツイとしても、食べないことはないわよね」
キース 「だが、アンケートに答えて追加のチョコをとまでは…」
マツカ 「いかないでしょうね、苦手なだけに」
ブルー 「せっかく心をこめたのに…。一晩かかって手作りだよ?」
キース 「あんたのは明らかに嫌がらせだろうが!」
お詫びに一席設けるというならまだ分かるが、とキース君。
ブルー 「うーん、お詫びに一席ねえ…。ぼくたちで?」
キース 「い、いや…。その方が悲惨になるかもしれん、と、今、気付いた」
シロエ 「そうですね…。教頭先生、宴会と言えば財布役ですもんね」
マツカ 「余計、御迷惑がかかりますよ。チョコで終わりにした方が…」
サム 「だよな、俺たちで会費を集めたくらいじゃ宴会は無理だぜ」
ブルー 「ハーレイをもてなす気は無いけれど、宴会は魅力的かもね」
全員 「「「は?」」」
ブルー 「お詫びに一席で閃いたんだ。雛祭りなんかどうだろう?」
キース 「おい、正気か? 雛祭りは男はお呼びじゃないぞ」
シロエ 「女子のイベントじゃないですか、あれ」
雛祭りといえば桃の節句で女の子のもの。
スウェナが混ざってはいますけれども、このメンバーで雛祭りですか…?
2012/02/27 (Mon)
☆雛祭りを目指せ
豆まきで酷い目に遭った教頭先生へのお詫びに一席。
キース君の提案でしたが、ロクでもない結果になりそうなことは明明白白。
やめておこう、という展開になった所で生徒会長が俄然、乗り気に。
ブルー 「雛祭りが女の子のイベントってことは承知だよ」
キース 「だったらなんで雛祭りなんだ!」
ブルー 「一月は正月で酒が飲めて、二月は豆まきで酒が飲めるんだよ」
全員 「「「???」」」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ 三月は雛祭りで四月はお花見なんだよね!」
ブルー 「そうそう、そんな感じで一年を通じて飲みまくるわけ」
知らないかな? と言われてもサッパリ分からないシャン学メンバー。
生徒会長と「そるじゃぁ・ぶるぅ」によれば、そういう歌があるそうで…。
ブルー 「お正月は飲んだし、節分も豆まきじゃないけど飲んだし」
ジョミー「ちょ、ちょっと待ってよ、その話って…」
ブルー 「もちろん君のことだよ、ジョミー。雛祭りも飲んでくれるよね?」
ジョミー「ええっ?」
キース 「面白い。飲んだら坊主宣言だったな」
ブルー 「車だったら「飲むなら乗るな、乗るなら飲むな」と言うけどね」
シロエ 「坊主宣言の場合はどうなんでしょうね?」
サム 「いいよな、それ! 百発百中かどうか試そうぜ」
ぶるぅ 「じゃあ、雛祭りで宴会だね!」
楽しそう、と飛び跳ねている「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
ジョミー君を除いたシャン学メンバーも大喜びです。
キース 「だったら今度の土曜日か?」
ブルー 「カレンダーどおりだとそうだけど…その次はどう?」
スウェナ「お雛様は雛祭りが済んだら片付けないとダメなんでしょ?」
ブルー 「雛人形を借りる都合さ。旧暦もあるから大丈夫だよ」
旧暦3月3日は今年は3月24日になるのだとか。
更に毎年4月3日が雛祭りだという地域も存在するらしく。
ブルー 「3月10日にしとこうよ」
みんなで楽しく雛祭り、と生徒会長。
楽しくやるのはいいんですけど、ジョミー君にまたまた危機が…?
2012/02/28 (Tue)
☆雛人形は何処から?
酔っ払うと坊主宣言をしてしまうらしいジョミー君。
それが百発百中かどうか試してみよう、と雛祭りの宴会が企画されました。
雛人形を借りる都合で3月3日ではなく3月10日。
キース 「雛人形っていうのはフィシスさんのか?」
ブルー 「まさか。フィシスのは大事な雛人形だし、借りないよ」
見ていい男はぼくだけだ、と言う生徒会長、大真面目でございます。
雛人形が嫁入り道具だった時代もあるのだそうで…。
ブルー 「そんなわけだから、ぼくの女神の雛人形は見せてあげない」
キース 「分かった、分かった。…だったら、あんたが買ったらどうだ」
ブルー 「フィシスにかい? そんなに幾つも要らないよ」
キース 「いや、この際だから自分用のを買ったらどうかと」
ブルー 「なんで男が自分用の雛人形を!」
キース 「嫁入り道具なんだろう? 教頭先生がお喜びになるぞ」
ブルー 「ぼくに嫁に行けと!? ハーレイの家に?」
キース 「手作りチョコより良さそうだがな。豆まきのお詫びに雛人形だ」
シロエ 「いいですね、それ。会長の雛人形を飾って教頭先生を御招待!」
ジョミー「それなら乾杯くらいはするよ? 飲まないけどさ」
ぶるぅ 「わーい、ブルーがお嫁に行くの? ハーレイがパパだぁ!」
ブルー 「お断りだよ!」
絶対嫌だ、と生徒会長は真っ青ですが。
キース 「おい、雛人形は今から買えるものなのか?」
スウェナ「雛祭りまでは普通にお店に飾ってあるわよ。大丈夫じゃない?」
シロエ 「季節モノでも季節外れに買えそうな人がいるじゃないですか」
ジョミー「そうだ、マツカだ!」
キース 「ふむ…。マツカなら予算の方も問題ないな」
ブルー 「ちょ、ちょっと…」
キース 「同じ宴会なら盛り上げないと。サムも異存は無いだろう?」
サム 「んーと…。ブルーの嫁入り道具は見たいかなぁ…」
嫁に貰う甲斐性は無いんだけれど、と照れるサム君。
ジョミー君を陥れたつもりの生徒会長、今度は自分が嫁入りの危機か?
2012/02/29 (Wed)
☆節分に向けて
節分の日には七福神巡り。そう決めた後も打ち合わせることは山盛りです。
豆まきだってやりたいですし、恵方巻だって…。
ブルー 「学校で豆まきはやらないからねえ…。サボリでいいだろ?」
キース 「おい、放課後に行くんじゃないのか、七福神は?」
ブルー 「そりゃ、一日中やってるけどさ。信心深い人は朝一番だ」
シロエ 「朝一番って…。そこまで頑張らなくっても…」
ジョミー「うん、とりあえずお参り出来れば充分だけど」
ブルー 「流石に朝一番とは言わないよ。でも放課後じゃイマイチだよね」
せっかく遊びに行くんだから、と生徒会長。
特別生には出席義務がありません。一年間に一度も登校しない大物だって
いるわけですし…。欠席大王と異名の高い1年B組のジルベールとか。
サム 「そうだよなぁ…。遊びに行くならサボリもいいよな」
マツカ 「ぼくたちの場合はサボリ扱いじゃないですしね」
スウェナ「出席簿に×はつかないものね」
ブルー 「出欠を取る時に返事が無いのと、机が空席っていうだけさ」
ジョミー「じゃあ、そっち! 休んで来ました、って方が御利益ありそう」
キース 「お前、七福神にも坊主は嫌だって祈願する気か?」
ジョミー「もちろんだよ。幸せになれますように…ってお願いするんだ」
坊主にならずに済むのが一番の幸せ、とジョミー君。
何か間違っている気もしますけど、本人がそれでいいのなら…。
ブルー 「それじゃ七福神巡りから始めよう。豆まきはどうする?」
サム 「ぶるぅの部屋…って、ここ、ドアが無いのか…」
ぶるぅ 「鬼さん、入って来られないよ。ブルーもいるしね」
ブルー 「鬼がいるかどうかはともかく、ドアが無いから豆まきはねえ…」
鬼は外、と景気良く豆をブチまけてこそ、と生徒会長は申しております。
ブルー 「様式美とでも言うのかな? ぼくの家なら、そこは合格」
マンションの最上階とはいえ、玄関のドアはございます。
今年の豆まきは生徒会長の家でやるようですねえ…。
2012/02/01 (Wed)
☆節分に期待
豆まきはぼくに任せておいて、と生徒会長の鶴の一声。
マンションの最上階より、元老寺の本堂の方が雰囲気ありそうですけども。
ブルー 「元老寺はジョミーが嫌だと言っているしね。そこは諦めてよ」
サム 「ちえっ、本堂で豆まきってスッキリしそうでいいんだけどな」
キース 「同感だ。俺は毎年やってるわけだが、マンションではなあ…」
シロエ 「おまけに会長の家ですもんね。追い出す鬼もいないでしょう?」
ぶるぅ 「いないと思うよ。でも、豆まきは毎年やってるもん!」
楽しいんだ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
子供は豆まき、好きですものね。
ブルー 「後は恵方巻をどうするかだね。質より量を重視かい?」
全員 「「「は?」」」
ブルー 「美味しいのがいいか、大きいのがいいかって話だよ」
キース 「そもそも縁起物だろう? 味がどうこうと言い出す以前に」
ブルー 「そりゃそうだけど、同じ食べるなら選びたいよね」
サム 「恵方巻、ぶるぅが作るのかよ?」
ブルー 「店に注文するつもり。質も量もって欲張りもOK」
スポンサーはバッチリだ、とニッコリ微笑む生徒会長。それってまさか…。
ブルー 「そのまさかさ。ぼくとお揃いの恵方巻だよ、って言ったら一発」
キース 「教頭先生にたかったのか!?」
ブルー 「人聞きの悪い…。恵方巻を注文するけど、一緒に頼む? とね」
教頭先生、一本釣りだったそうでございます。
伝票を回せば全員分の恵方巻代を支払って下さる約束だそうで…。
ジョミー「だったら両方! 美味しくて太さもあるヤツがいいな」
キース 「おい、あんまり太いと食べにくくなるぞ」
ブルー 「ああ、その辺は心配ないよ。店の方でも心得てるさ」
豪華版で注文しとく、と生徒会長は笑顔です。
ブルー 「ついでに開運祈願の御祈祷もつけてくれるんだ」
そちらはお店のサービスだとかで、流石は高級料亭です。
豆まきの場所も恵方巻の手配も決まりましたし、いざ、節分。
これは当日が楽しみですよね!
2012/02/02 (Thu)
☆節分に七福神
やって来ました、節分当日。
七福神巡りに出掛けようというシャン学メンバー、既に集合しております。
学校の方は当然サボリで、生徒会長が住むマンションの入口が合流地点。
ぶるぅ 「かみお~ん♪ みんな、お待たせー!」
ブルー 「時間ピッタリとは頼もしいね。まあ、学校に行くのと同じか…」
キース 「瞬間移動のあんたと違って、毎日バスだの電車だのだしな」
シロエ 「決まった時間に着くというのが基本ですしね」
ブルー 「時間厳守は大いに結構。それじゃ七福神巡りに出掛けようか」
生徒会長を先頭にしてバス停へ。学校とは違う方向に行くバスに乗り込み、
ワクワクと…。乗客は御老人が多めのようですね。
ジョミー「みんな七福神巡りに行くのかな?」
ブルー 「もちろんさ。信心深い人は朝一番、って言っただろう」
マツカ 「で、行き先は何処なんですか? バスの終点は郊外ですよね」
ブルー 「その少し手前。観光客も来てると思うよ」
ああ、と納得するシャン学メンバー。有名な神社やお寺が多い場所です。
景色も良いので冬の最中でも観光バスが来ることもあり…。
キース 「あそこに七福神があるとは一度も聞いた覚えが無いが」
ブルー 「普段は非公開だと言った筈だよ。その分、御利益も多いってね」
ジョミー「よーし、しっかりお祈りするぞ! 神様だもんね」
坊主にならずに済みますように…、と真剣な顔のジョミー君。
それが一番の幸せだと言うのですから、周囲は苦笑するばかり。そして…。
ブルー 「ほら、あちこちに幟が立ってる。賑やかだろう?」
キース 「なるほど…。これは知らなかったな」
スウェナ「福笹はあそこのテントで買えるみたいね」
ブルー 「買うんじゃなくて頂くんだよ。神様にお参りするんだからさ」
ジョミー「ちょ、ちょっと…。七福神巡りとは書いてあるけど…」
お寺じゃないか、とジョミー君は大ショック。
山門前の立看板には『節分祭』の文字も…。
神社じゃないのに七福神って、有りなんですか?
2012/02/03 (Fri)
☆お寺な七福神
節分の日は七福神巡りでスタートと決めたシャン学メンバー。
学校をサボッて目的地に到着した所まではいいんですけど、そこはお寺で。
ジョミー「なんでお寺に来ちゃうのさ! 神様じゃないし!」
ブルー 「シッ、大きな声を出さないように。他の皆さんの御迷惑になる」
七福神巡りに来た善男善女の鋭い視線がジョミー君に向いております。
喚き立てるのもさることながら、七福神はお寺においでのようですし…。
ブルー 「君がどう思ってるかは知らないけどね、七福神は神様だよ」
ジョミー「で、でも…。ここって、お寺…」
ブルー 「お寺だけどさ。七福神もちゃんとお祭りされている」
キース 「寺の境内に神社というのは珍しくないぞ」
シロエ 「神仏習合って、歴史で習うじゃないですか。きっとそれですよ」
スウェナ「エラ先生に教わったわよ? 覚えてないとか…?」
ジョミー「忘れたし! って言うか、テストはブルーがフォローしてたし!」
生徒会長の得意技は「クラス全員に満点を取らせること」でございます。
普通の1年生だった頃から恩恵に与っていたジョミー君、勉強なるものを
しなかったのか、はたまた忘れてしまったか。
特別生は出欠だけでなく、成績も問われませんからねえ…。
ブルー 「やれやれ…。ぼくのせいにされても困るんだけど」
サム 「大事なことだぜ、ちゃんと頭に入れとけよ。坊主になるなら」
ジョミー「だから嫌だってば! 七福神にお願いしようと思ってたのに…」
キース 「安心しろ。寺の中でも神社は神社だ」
マツカ 「そうみたいですね、福笹を売っているのは巫女さんですよ」
ブルー 「売るんじゃなくて授ける、だからね。言葉遣いは正確に!」
マツカ 「す、すみません…。これじゃ御利益無くなりますよね」
ブルー 「大丈夫。神様の心は狭くないから」
坊主は嫌だとお願いしても問題ないよ、と生徒会長。
しかし七福神巡りはお寺の催し。そんな勝手が通るんでしょうか?
ジョミー君、またまたドツボかも…。
2012/02/04 (Sat)
☆福笹を頂こう
節分限定だという七福神巡りに来たシャン学メンバー。
神仏習合のお寺に着いてしまいましたが、ジョミー君以外は気にしません。
サム 「嫌だってヤツは放っておこうぜ」
ブルー 「もちろんさ。さあ、福笹を頂きに行こう」
キース 「ここは禅寺だとしか知らなかったな、今の今まで」
シロエ 「へえ? ここって禅寺だったんですか?」
キース 「一般向けに座禅の会もやってるんだぞ。雲水の修行道場なんだ」
スウェナ「雲水って?」
キース 「ああ、あまり馴染みが無い言葉かもな。雲水は禅宗の修行僧だ」
ブルー 「ここの修行は厳しいよ? でも、今日は特別。お祭りだしね」
節分祭とあって、修行僧もお手伝いに出ているらしいです。
しかしテントで福笹を授けているのは巫女さんで。
ブルー 「そりゃあ、七福神巡りだから…。こういう所は巫女さんだよ」
キース 「坊主じゃ絵にもならないしな」
サム 「だよな、神社には巫女さんだよなあ」
行列に並んだシャン学メンバー、福笹ゲットでございます。
いつの間にやらジョミー君までコソコソ後ろにいたりして…。
サム 「なんだ、結局、買うのかよ」
キース 「頂く、だ。またブルーに注意されてしまうぞ」
ジョミー「やっぱり買った方がいいのかなぁ、って…。御利益は欲しいし」
ブルー 「頂くものだ、とキースも言ったよ。でも心がけは立派だよね」
お参りするにも形が大事、と生徒会長。
初日の出の時にやらかしたような間違った作法は論外です。
七福神巡りをするなら福笹を授かって行くのがお約束だそうで…。
マツカ 「最初から絵馬がついてるんですね」
ブルー 「お願い事を書くためのヤツじゃないけどね。今年の干支だよ」
キース 「お参りした年が分かるように…か。気が引き締まるな」
ブルー 「辰年なんだし、御利益も昇龍の勢いで急上昇…と行きたいよね」
福笹を手にしたシャン学メンバー、山門をくぐって境内へ。
七福神巡りの幟が両脇にズラリ、これは御利益ありそうですよ~!
2012/02/05 (Sun)
☆御利益を求めて
境内に並ぶ『七福神巡り』と書かれた幟。
遙か彼方の本堂へ続く石畳の道の両脇に、七福神がおいでになるようです。
ブルー 「ん? ちょっと曇ってきたかな」
キース 「こいつは雪になるかもな。天気予報は雪マークだったし」
シロエ 「お寺で雪って、元日を思い出しますねえ」
サム 「うんうん、雪が降る中でジョミーが凍えていたヤツな」
ジョミー「同じ雪なら御利益あるかも! 条件が同じって大切だよね」
スウェナ「そうかしら? 本人の努力次第じゃないの」
ブルー 「水垢離でも取って祈願するなら強いだろうけど…」
キース 「ただの節分寒波ではな…。おっ、降って来たか」
チラホラと雪が舞い始めました。
本格的に降りだす前に回り終えた方が、と『大黒天』の幟が立つ門へと…。
ジョミー「…じ……神社じゃな…い…?」
ブルー 「まあ、世間一般ではお寺だろうねえ、正確に言うと塔頭だけど」
ジョミー「…タッチュウ?」
ブルー 「大きなお寺の境内にある小さなお寺をそう呼ぶんだよ」
ジョミー「だ、だけど…。ちゃんと表に大黒天って…」
キース 「お前の目玉は節穴か? あそこにお堂があるだろうが」
マツカ 「本当ですね、幟が沢山並んでいますよ」
ブルー 「ここのお寺がお守りしている大黒様さ。普段は非公開」
シロエ 「節分だけって話ですもんね、きっと御利益ありますって!」
さあどうぞ、とジョミー君に道を譲るシロエ君。
他のメンバーも揃ってジョミー君の後ろへと移動完了です。
ブルー 「せっかくだから一番福ってね。君に譲るよ」
ジョミー「え? ええっ?」
キース 「安心しろ、大黒様だから参拝の手順は神社と同じだ」
ブルー 「初日の出では失敗したけど、今度はきちんと拝むんだね」
サム 「失敗したら御利益が違う方向に向くんだぜ」
シロエ 「坊主の道に精進しろって言われるんですよね、大黒様に」
ジョミー君には切実な件も他の面子には他人事。
譲ってもらった一番福をジョミー君はモノに出来るのか…?
2012/02/06 (Mon)
☆お参りとお札
七福神巡りのスタートは大黒天を祭るお堂から。小さなお寺の中ですが…。
仲間内での一番福を譲られたジョミー君、緊張した面持ちで柏手を。
ブルー 「やり直し…とは言えないだろうね、今更だし」
キース 「言っておいてやるべきだったか…。柏手の前に二礼だと」
サム 「別にいいだろ、御利益が少し減るだけじゃねえの?」
シロエ 「これだけ大勢のお参りがあると、優先順位がありそうですよね」
スウェナ「神様への御挨拶を間違えるような人は論外よ、きっと」
そんなやり取りが交わされているとも知らず、ジョミー君は真剣です。
お賽銭を入れて、ガランガランと鈴を鳴らして…。
この順番も間違ってる気がしますけど。柏手よりも先にお賽銭ですよねえ。
ジョミー「これで良しっ、と。しっかりお願いしてきたよ」
ブルー 「坊主にならずに済みますように、って? 健闘を祈るよ」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ぼくたちもお参りしようよ!」
マツカ 「そうですね。早く回らないと雪が本降りになりそうです」
順番に並んでお参りしているシャン学メンバー。
もちろん二礼二拍手一礼ですが、ジョミー君は自分のミスに気付きません。
訂正せずに放置ってことは、一番福は逃したかも…。
ブルー 「さてと、お参りも済ませたことだし、お札を頂こう」
ジョミー「お札?」
ブルー 「福笹に結んでくれるんだよ。受付はこっち」
ジョミー「え? ええぇっ?」
大黒様は独立したお堂ですから明らかに神社でしたけど。
お札の受付は本堂の前でございました。お坊さんが笑顔で座っています。
お坊さん「ようこそお参り下さいました」
ブルー 「お世話になります。お願いします」
生徒会長が差し出す福笹に手際よく結ばれる大黒天のお札。
お坊さんが手ずから授けて下さるわけで…。
ジョミー「ど、どうしよう…」
キース 「お札を頂かないと御利益も無いぞ」
七福神巡りに来たのに、お寺。
お坊さんまで登場とあっては、ジョミー君に再び坊主フラグが…?
2012/02/07 (Tue)
☆お札と願い事
福笹を授けていたのは巫女さんでしたが、お札を結ぶのはお坊さんでした。
そうと知ったジョミー君、思い切り腰が引けております。
シロエ 「ジョミー先輩、行かないんですか?」
ジョミー「あ、あれって必須? お札が無いと御利益も無し…?」
ブルー 「お参りしたっていう印だからねえ…。きっと神様の目印だよ」
ジョミー「目印って?」
ブルー 「お札を持っている人のお願いを聞いて下さるんだと思うけど」
キース 「多分、この絵馬とセットだろうな。辰年にお参りした証明だ」
サム 「今年お参りして、お札を貰った人が優先なんじゃねえか?」
ブルー 「神様もお忙しいから、お願い事を聞く順番はあると思うよ」
スウェナ「全部叶えるにしても誰のお願いを一番にするか、ってことね」
ジョミー「じゃ、じゃあ……お坊さんになりたくなければ…」
ブルー 「お坊さんからお札を頂戴するしかないだろうね」
ジョミー「そ、そっか…。そうだよね、貰うだけなら大丈夫だよね…」
一大決心をしてお札を結んで貰いに本堂へと向かうジョミー君。
シャン学メンバー、その背中を見て笑っております。
キース 「貰うだけなら大丈夫ときたか。坊主は伝染病なのか?」
ブルー 「そうかもね。ほら、お元日に酔っ払った時にも叫んでいたし」
サム 「ハゲは坊主の職業病だ、って御機嫌で喚き散らしてたよな」
シロエ 「いっそ移ったら笑えますよね」
ブルー 「シーッ、戻って来た。本人は至って真剣だよ」
ジョミー「なに、なに? 何かいいことあった?」
ブルー 「君のお願いが叶うといいね、と皆でお祈りしてたのさ」
ジョミー「えっ、ホント? お願い事まで譲ってくれるの?」
ブルー 「もちろんだよ。お元日から張り切っていたし」
サム 「そう、そう。坊主バンザイってな」
ジョミー「そ、そのお願いが最優先? そんなの有り…?」
愕然とするジョミー君ですが、生徒会長は知らん顔。
七福神巡りは残り六ヶ所、ジョミー君の願い事は果たしてどうなる…?
2012/02/08 (Wed)
☆避けたいお坊さん
七福神へのお願い事は人それぞれ。しかし一番切実なのはジョミー君です。
お元日に元老寺でやってしまった坊主宣言を撤回するべく祈願中。
ジョミー「これで三ヶ所…と。みんな、お願いしていないよね?」
ブルー 「七福神巡りはお願い事をするのが基本だけれど?」
ジョミー「そうじゃなくって! 余計なヤツだよ、ぼくをお坊さんに…って」
サム 「ああ、譲るってヤツな。一番福は譲ってるじゃねえか」
キース 「何処でも最初にお参りさせてやってるぞ。坊主宣言も大切だし」
シロエ 「そうですよ? 先輩を宜しくお願いします、とお祈りしてます」
スウェナ「私たちは福が来ればいいだけだもの、ジョミーが優先!」
マツカ 「会長も期待してますからね。ぼくもしっかりお願いしました」
ブルー 「持つべきものは友達だよねえ、立派なお坊さんになれると思うよ」
ジョミー「そ、そんなぁ…。ぼくが撤回している意味が無いじゃない!」
ブルー 「さあね? 一番にお願いするのは君だし、神様次第ということで」
キース 「多数決で聞いて下さるなら坊主宣言の方に軍配だな」
ぶるぅ 「かみお~ん♪ ぼくもジョミーを応援してるよ!」
お坊さんになるんでしょ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」もニコニコ顔。
ジョミー君は激しく打ちのめされつつ、次の塔頭を目指しておりますが…。
お坊さん「お接待です! 甘酒、如何ですか?」
雪が降りしきる中、特設テントからホカホカと暖かな湯気が漂っています。
甘酒と書かれた看板が立ち、修行僧たちが大きなお鍋をかき混ぜていて。
ブルー 「せっかくだから頂いて行こう。お接待だから無料だよ」
キース 「この寒さだけに有難いよな。…頂きます」
お坊さん「どうぞ、どうぞ。他の皆さんも御遠慮なく」
生徒会長とキース君、合掌して一礼しています。それに倣ってサム君も。
お坊さんが甘酒を湯呑みに注いで、人数分をお盆に載せてくれました。
温まりそうな甘酒ですけど、ジョミー君、またお坊さんとの深い御縁が…?
2012/02/09 (Thu)
☆甘酒のお接待
七福神巡りに来た人たちのために、お坊さんたちが甘酒のお接待中。
人数分の湯呑みがお盆の上で暖かそうな湯気を立てております。
ブルー 「頂戴させて頂きます」
キース 「有難く頂戴いたします」
生徒会長とキース君はプロのお坊さんだけに、申し分の無い礼儀作法です。
お接待係のお坊さんたちも「しっかりしておられますね」と満面の笑顔。
まさか本物のお坊さんとは思わないでしょうから、礼儀正しい高校生だと
感心している…といった所でしょうか。
サム 「うわー、あったまるぜ、これ」
お坊さん「お好みで生姜も入れて下さい。そちらに置いてございます」
ブルー 「それは嬉しいね。じゃあ、遠慮なく」
シロエ 「生姜を入れるとポカポカしますね。…あれっ、ジョミー先輩?」
マツカ 「どうしたんですか、甘酒は好みじゃなかったとか…?」
ジョミー君、甘酒の湯呑みを持ってはいますが、口をつけてはおりません。
早く飲まないと冷めちゃいますよ?
ジョミー「えっと…。これってお酒になるのかな?」
お坊さん「蔵元から仕入れた最高の酒粕を使っております」
ジョミー「…じゃあ、お酒?」
お坊さん「酒気帯び運転にならない程度ですから、大丈夫ですよ」
ブルー 「うん、酔っ払う心配は無いと思うよ。坊主宣言の危険はゼロだ」
お坊さん「坊主宣言?」
ブルー 「不肖の弟子でね、酔うと「坊主の道に精進する」と連呼するわけ」
ジョミー「ちょ、ちょっと…」
お坊さん「な、なんと、お弟子をお持ちとは…。大変失礼いたしました」
ブルー 「まあ、色々と事情があってね。普段は普通の高校生だよ」
気遣い無用、と生徒会長。
しかし、お坊さんたちはテントの奥にあった椅子を持ち出して…。
お坊さん「どうぞお座り下さいませ」
ブルー 「いいって、いいって。それより、ジョミー。お接待は受けないと」
ジョミー「で、でも…」
坊主宣言をバラされてしまったジョミー君。
アルコール度数が低いとはいえ、甘酒はリスクが高いですか?
2012/02/10 (Fri)
☆甘酒の落とし穴
酔っ払うと坊主宣言をする、とバラされてしまったジョミー君。
たかが甘酒、警戒せずに飲んでしまえば良かったのに…。
ブルー 「お接待を無にしちゃいけないよ。それはマナーとしても最低」
お坊さん「いえ、そんなことは…。お嫌いな方もおいでですから」
ブルー 「嫌いとか苦手というんじゃないしね。単に酒癖が悪いだけでさ」
キース 「いっそ濃いのを飲ませたらどうだ? 酒粕多めだと酔うと聞くぞ」
お坊さん「鍋の底の方はアルコール度数も確かに高めになりますが…」
ブルー 「下手なビールより高いらしいね。じゃあ、その辺を少し」
お坊さん「えっと…。皆さん、未成年でらっしゃるのでは?」
ブルー 「未成年が師僧になれるのかい? ここの宗派は」
お坊さん「そ、そうでした。確かにお弟子と…。で、では、もしかして…」
伝説の高僧様でいらっしゃいますか、と生徒会長を取り巻くお坊さんたち。
宗派は違えど銀青の噂は世に広まっているようで…。
ブルー 「オフレコで頼むよ、ここの老師も顔馴染みなんだ」
お坊さん「では、やはり…。お目にかかれて光栄でございます」
ブルー 「それより、そこの弟子をよろしく。坊主宣言でも礼儀作法でも」
キース 「そうだな、ここの修行は厳しい。坊主宣言よりも修行がいいか?」
ジョミー「しゅ、修行って…」
お坊さん「一般の方にも門戸を開くべく、座禅の会などをしておりますが」
ブルー 「座禅はなかなか良さそうだね。姿勢も自然と良くなるし」
キース 「せっかくだから仕込んで貰え。他の宗派で学ぶのもいいぞ」
ジョミー「なんで座禅になっちゃうのさ! 普通に坊主の方がマシだよ!」
シロエ 「ジョミー先輩、今のは坊主宣言ですか?」
ジョミー「え? ええっ?」
ブルー 「自覚症状は無かったか…。面白いから飲ませてしまおう」
そこの甘酒をうんと濃い目に、と注文している生徒会長。
たかが甘酒、されど甘酒。ジョミー君、ピンチでございます。
酒粕多めの甘酒パワーで坊主宣言再びとか…?
2012/02/11 (Sat)
☆濃いのを一杯
ジョミー君にヒタヒタと忍び寄って来る坊主宣言の危機と、濃い目の甘酒。
最初に貰った湯呑みの中身は普通の甘酒なんですが…。
ブルー 「とにかく、それを空にしたまえ。湯呑みは再利用しないとね」
キース 「そうだな、飲む人間は同じなんだ。湯呑みを洗って頂く訳には…」
お坊さん「いえ、私どもはお役目ですので」
ブルー 「そんなわけにはいかないよ。お客さんが大勢おいでだし」
飲む、飲まないで揉めている間にも一般の人たちがお接待を受けています。
お坊さんたちは話をしつつも手は休めずにお仕事中。
サム 「さっさと飲めよ。でないとますます失礼になるぞ」
ジョミー「で、でも…。これを飲んだら濃いヤツが…」
ブルー 「君がしっかり理性を保てば大丈夫だと思うけどねえ?」
キース 「ああ。酒は飲んでも飲まれるな、と大学でも散々教えられた」
シロエ 「飲んでなくても坊主宣言しそうになったじゃないですか」
スウェナ「そうよ、素面でも酔っても結果は大して変わりゃしないわ」
サム 「七福神に願掛け中だろ? 効き目があったら無問題だぜ」
ジョミー「わ、分かったよ! 飲めばいいんだろ、飲めば!」
クイッと一気に甘酒を飲み干すジョミー君。
空になった湯呑みを生徒会長が指差して。
ブルー 「空いたようだし、濃いのを一杯。一杯と言わず何杯でも」
お坊さん「かしこまりました。お味の方は保証しますよ」
ブルー 「ぼくにも一杯、頂けるかな? 最高の酒粕なら美味しそうだ」
お坊さん「どうぞ、どうぞ」
大鍋の底から掬われた甘酒、とても良い匂いがしております。
早速飲んだ生徒会長は御満悦。
ブルー 「うん、いいね。ジョミー、遠慮しないで頂きたまえ」
ジョミー「う、うう…。要は酔わなきゃいいんだよね」
恐る恐る飲んだジョミー君ですが、思いのほか口当たりが良かったらしく。
見る間に空になった湯呑みに、お坊さんがすかさず追加の一杯。
「酒は飲んでも飲まれるな」。
この教訓は生かされるのか…?
2012/02/12 (Sun)
☆緋色が最高
下手なビールよりアルコール度数が高くなるらしい、酒粕多めの濃い甘酒。
大鍋の底から掬われる上に熱々ですから、とても身体が温まるようで。
ジョミー「なんか美味しい…。それにポカポカしてくるね」
ブルー 「最初に頂いた分は冷めちゃってたし、注ぎたてには敵わないよ」
お坊さん「よろしかったらお代わりをどうぞ」
ジョミー「うん、お願い。まだ四ヶ所も回るんだから」
雪が舞う中、熱い甘酒は嬉しいものでございます。
お代わりしまくったジョミー君、最後は笑顔でお坊さんたちに手を振って。
ジョミー「御馳走様でしたー! 頑張ってお参りして帰りますね」
お坊さん「どういたしまして。福を沢山頂いて下さい」
ジョミー「ありがとうございまーす! 服は緋色が最高ですよね!」
バイバイ、と御機嫌で先頭に立ち、次の塔頭へ向かうジョミー君。
その後ろでは…。
サム 「今の緋色ってフク違いだよな?」
キース 「だろうな。ジョミーが言うのは着る方の服だ」
シロエ 「緋色が最高っていうことは…。もしかしなくても…」
ブルー 「そう、明らかに坊主宣言。緋色の衣を目指すそうだよ」
楽しみだねえ、と生徒会長は笑っております。
「酒は飲んでも飲まれるな」とキース君が言っていたのに…。
そういうわけで、残り四ヶ所でのジョミー君のお願い事は。
ジョミー「ここで最後、っと。しっかりお願いしてきたよ」
ブルー 「緋色の衣が着られますように…って?」
ジョミー「もちろんさ! あ、お札よろしくお願いしまーす!」
塔頭のお坊さんに福笹にお札を結んで貰って、ジョミー君は大満足。
雪はいつの間にやら本降りに…。
ブルー 「お昼は此処で食べて行こうか。湯豆腐をやっているんだよ」
マツカ 「そうなんですか?」
ぶるぅ 「ここの湯豆腐、美味しいよ! お寺だから精進料理だけど」
ジョミー「賛成、賛成! お寺に来たら精進料理!」
それが最高、とジョミー君。
気分も最高みたいですけど、酔いが醒めたらどうなるのやら…。
2012/02/13 (Mon)
☆お昼は湯豆腐
お寺に来たら精進料理。
七福神巡りで訪れた最後の塔頭は、名物料理が湯豆腐だそうでございます。
ジョミー君も大賛成とあって、お昼は此処で。
ブルー 「寒い日は鍋に限るよね。湯豆腐が鍋かどうかは微妙だけどさ」
キース 「鍋…なんじゃないか? 最初から机に乗ってるんだし」
シロエ 「ですよね、料理よりも先に炭火が来ましたもんね」
ぶるぅ 「湯豆腐で炭火は珍しいんだよ。お豆腐もいいのを使ってるし!」
だから大好き、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
炭火の上に置かれた鍋ではお豆腐がグツグツ煮えております。
お料理の方は精進とはいえ、天麩羅は揚げたて、炊き合わせも熱々。
ジョミー「なんか幸せな気分になるよね、雪を見ながら湯豆腐ってさ」
ブルー 「お願い事も出来たしね。頑張ってお参りしたんだ、きっと叶うよ」
ジョミー「そうこなくっちゃ! あ、この後はどうするの?」
ブルー 「恵方巻も豆まきも夜のものだし、ぼくの家に遊びに来ないかい?」
サム 「行く、行く! 俺は喜んで行くぜ」
キース 「この雪だしな…。そうさせて貰えると有難い。風邪は困るんだ」
お坊さんの毎日は読経がつきもの。
風邪を引いて喉をやられると非常に苦労するのだそうで…。
ブルー 「じゃあ、食べ終えたらぼくの家だね。帰りは直行便といこうか」
ぶるぅ 「人は多いけど、境内の奥には行かないもんね」
そこからパパッと瞬間移動、と帰りのルートも決まりました。
湯豆腐で温まった後は福笹を手に境内を歩き、観光客も来ない奥の方へと。
ブルー 「ここまで来れば大丈夫。飛ぶよ、ぶるぅ!」
ぶるぅ 「かみお~ん♪」
アッと言う間に生徒会長の家に到着です。
暖房の効いたリビングに座り、外の雪など眺めながら。
キース 「いいお参りが出来て良かった。俺も精進しないとな」
ブルー 「ジョミーには負けていられないって? もう寝てるけどね」
酔っ払った上にお腹も一杯、ジョミー君は幸せ気分で爆睡中。
目が覚めるのは夕方かな?
2012/02/14 (Tue)
☆肉と蕨と肉まんと
窮地に追い込まれたジョミー君の耳に届いた福音は三種の浄肉。
三つの条件を満たしていれば肉を食べても構わない、という教えですが…。
ジョミー「豚かワラビーか知らないけれど、殺される所は見てないし!」
キース 「まあ、そうだろうな」
ジョミー「ぶるぅが殺したわけじゃないから、残り二つも問題無いよ!」
ブルー 「それは間違ってはいないんだけどね…」
アドス 「残念ながら、これは初期仏教の教えでして」
キース 「仏教がこの国に伝わった時には肉食禁止になっていたんだ」
ブルー 「そういうこと。だから三種の浄肉とか言う以前の問題」
アドス 「では、やはりアウトということで…。あ、いや…。蕨でしたな」
キース 「そうだ、蕨だ。それは何処かの宗派で言うのか?」
アドス 「般若湯は公然と飲める宗派がありますからなぁ。蕨もですか?」
ブルー 「うん、まあね。その肉まんはオッケーなんだよ」
ジョミー「ちょ、ちょっと! だったら、ぼくって叱られ損だし!」
アドス 「黙らっしゃい! ジョミー殿には何の知識も無いでしょうが!」
キース 「本堂の前で肉まんを食うという態度を問われているんだぞ」
一般常識として仏様の前では肉食禁止、とキース君。
お寺の本堂がいくら広くても、すき焼きパーティーには貸してくれません。
お花見の季節に境内に出たすき焼きの露店を訴えたお寺もあるほどで…。
キース 「とにかく現時点ではお前はアウトだ。蕨に期待するんだな」
ジョミー「わ、蕨って……」
アドス 「肉を蕨と呼んで認める宗派があるのでしたら考えましょう、と」
ジョミー「そ、そっか…。ブルー、蕨って肉のことだよね?」
ブルー 「うーん…。肉を蕨と呼んでる宗派は知らないなぁ…」
ジョミー「えぇっ!?」
アドス 「お話が違いますぞ、銀青様! 先ほど、これは蕨だと…」
ブルー 「言ったけど? だからって蕨が肉を指すとは言ってない」
えらい展開になって参りましたが、ジョミー君の髪は果たしてどうなる…?
2012/01/16 (Mon)
☆肉まんと仏弟子
ジョミー君が本堂の前で食べた肉まんのお肉は蕨だそうでございます。
肉を蕨と呼んで食べる宗派があるなら許す、とアドス和尚は譲ったのに…。
アドス 「蕨が肉のことではないのでしたら、ジョミー殿はアウトですな」
キース 「ああ、最早同情の余地は無い。さっさと頭を丸めてこい!」
ジョミー「そ、そんな…。パパもママもきっとビックリするし!」
キース 「ちゃんと俺から説明してやる。ブルーの仏弟子になったとな」
アドス 「銀青様の直弟子となれば御両親もお喜びになりますぞ」
サム 「だよな、なんたってソルジャーの直弟子だしな! 名誉だぜ」
スウェナ「ソルジャー候補みたいなものよね」
シロエ 「代替わりの予定は無さそうですけど、次期ソルジャーですね」
ブルー 「ジョミーはタイプ・ブルーだし…。じゃ、そういうことで」
ジョミー「ま、待ってよ、なんで肉まん1個で坊主なんかに!」
アドス 「つくづく懲りないお人ですな。坊主なんかとは失礼千万」
キース 「発端はお前がおふくろを蔑ろにしたことなんだぞ」
口は災いの元と言うだろう、とキース君。
失言を繰り返した上に御本尊様の前で肉まんときては、お坊さんとまでは
いかないでまでも頭を丸めるより他に道は無いかも…。
ジョミー「なんで元日から坊主頭に…! キースだって嫌がる頭なのに!」
キース 「うっ…。だが、修行で必須の時には剃るぞ」
アドス 「そうですぞ。それをカツラで隠すというのが気に入りませんが」
ブルー 「あのカツラはぼくのプレゼントだしね。ジョミーも欲しい?」
ジョミー「カツラはいいから助けてよ! ブルーしか助けられないよ!」
ブルー 「うーん…。せっかくジョミーが坊主になってくれそうなのに」
ぶるぅ 「ブルー、お弟子さんにしたいって言ってたもんね」
ブルー 「そうなんだよね、だから肉まんを届けたのにさ…」
どうしようかな、と首を傾げる生徒会長。
高僧のお言葉とあれば肉も蕨に化けそうですけど、肉まんの罪業一切消滅?
2012/01/17 (Tue)
☆極楽浄土への道
刻一刻とジョミー君に迫る坊主頭の大ピンチ。
窮地を救うことが出来そうなのは、肉まんを届けた生徒会長でございます。
ジョミー「お願いだから助けてよ! 坊主頭になりたくないよ!」
ブルー 「でも肉まんは食べただろう? 君のお願いを叶えたんだけど」
ジョミー「お、お願いって…。あれってカウントされるわけ?」
ブルー 「マッチ売りの少女な心境だったし、切実なんだと思ったけどな」
ジョミー「そ、そりゃあ……凄く寒くて惨めだったし…」
ブルー 「肉まんが欲しいという願いは叶えた。天国へ行くのが筋だろう」
アドス 「銀青様のお導きで極楽往生の道が開けるとは、なんとめでたい」
キース 「坊主冥利に尽きるよな。まさに二十五菩薩の御来迎だ」
ジョミー「御来迎? 御来光じゃなくて?」
アドス 「…仏弟子と呼ぶには知識不足のようですなあ…」
キース 「ブルーにしっかり仕込んでもらえ。その方がいいぞ」
ジョミー「い、要らないし! 坊主頭も御来光も!」
キース 「御来迎だ!」
間違えるな、とキース君。アドス和尚も頷いています。
キース 「御来迎というのはだな、極楽からお迎えに来て下さることで…」
アドス 「阿弥陀様と一緒においでになるのが二十五菩薩様ですな」
ブルー 「そうそう、紫の雲に乗ってね。いい感じだろ?」
ジョミー「まだ行きたいって言っていないし!」
アドス 「そう言えば畜生道を御希望でしたな、話が最初に戻りますが」
ブルー 「本人の希望なら仕方ないけど、本当にそれでいいのかい?」
ジョミー「え、えっと…。「うん」って言ったら決定だとか…?」
ブルー 「さあねえ…。心象は悪くなりそうだよねえ、阿弥陀様の」
アドス 「極楽に往生するには日頃の行いが大切ですぞ」
キース 「仏門に入って念仏三昧の日々を送るのもいいと思うが」
坊主頭の危機に向かって更に狭まる包囲網。
ジョミー君には畜生道か仏門入りか、二つの選択肢しか無いんでしょうか?
それはあまりに気の毒なような…。
2012/01/18 (Wed)
☆避けたい畜生道
肉まん1個で坊主頭の危機に陥ったジョミー君。
「畜生道に落ちたいのか」とまで言われてしまって…。
ジョミー「畜生道ってどうなるわけ? 共食い必須…?」
ブルー 「運が良ければ家畜に生まれてこき使われるという道もあるね」
キース 「もっと幸運だと金持ちの家で可愛がられる猫とかな」
シロエ 「じゃあ、運次第ってことですか。それでいいんじゃないですか?」
サム 「坊主になる気はないみたいだし、自分の運を信じろよ、ジョミー」
ジョミー「ちょ、ちょっと…。それってあんまり自信ない…」
アドス 「ならば仏門がお勧めですぞ。肉まんの件もお許し頂けましょう」
ブルー 「まあ、許すも許さないも無いんだけどね。…あれに関しては」
アドス 「左様でございます。御仏の慈悲とは誠に深く尊いものでして…」
肉まんを食べた過ちくらいは許されますぞ、とアドス和尚。
畜生道に落ちるのが嫌なら、頭を丸めるより他に道は無し…?
ぶるぅ 「なんか悪いことしちゃったね、ぼく…」
サム 「いやいや、ぶるぅは悪くねえだろ。ジョミーが悪いだけで」
スウェナ「本堂の前で肉まんはねえ…。まさか食べるとは思わなかったわ」
マツカ 「あの状況なら食べても仕方ないんじゃないかと…」
シロエ 「そうでしょうか? ぼくなら空気を読みますよ」
ブルー 「そこなんだよね。ジョミーは今一つ思慮が足りない」
ジョミー「だ、だって! だって本当に寒かったし!」
ブルー 「どうしてそんな目に遭っているのか、反省してれば思慮深くなる」
シロエ 「肉まんを食べてもいい場所かどうか考えますよね」
サム 「ああいう肉まんもアリだってこと、知ってりゃ話は別だけどな」
キース 「さっき言ってた蕨のことか?」
ブルー 「うん。あの肉まんは正真正銘、蕨なんだよ。山菜の…ね」
アドス 「銀青様、あれは見た目も味も豚肉でしたぞ!」
お戯れを、とアドス和尚は即、反論。
見ても食べても豚肉だった肉まんの中身が蕨だなんて、無理過ぎませんか?
2012/01/19 (Thu)
☆蕨の大変身
生徒会長曰く、ジョミー君が食べた肉まんの中身は蕨だそうでございます。
肉の隠語とか言うのではなく、本物の山菜の蕨だなどと言われても…。
アドス 「肉を蕨と呼ぶならともかく、蕨そのものとは信じられませんな」
キース 「何処から見ても蕨だろう! こうなんだからな」
肉まんを掴み、真っ二つに割るキース君。
まだ湯気の立つ肉まんの具は豚肉と筍が混ざっております。しかし…。
ぶるぅ 「豚肉は蕨で出来てるんだよ」
キース 「はあ?」
アドス 「なんですと? 豚の餌が蕨という意味ですかな?」
ぶるぅ 「違うよ、ホントに蕨だってば! それを油で揚げるんだよ!」
キース 「おい…。蕨を揚げたら天麩羅だろう? こうはならない」
ぶるぅ 「ううん、薄く延ばして揚げるんだってば!」
アドス 「では、色をどう説明なさるので? 蕨は黒っぽいものですぞ」
ぶるぅ 「だから蕨粉! えーっと、どうやって作るんだっけ…?」
ブルー 「蕨の根っこから作るんだよ。いわゆる澱粉」
キース 「葛粉やカタクリ粉みたいなものか?」
ブルー 「そうなるね。蕨粉を捏ねて、薄く延ばして油で揚げると…」
ぶるぅ 「豚肉そっくりになるんだよ。上手く作れば肉まんの具になるし!」
サム 「凄かったよなぁ、出来上がったヤツをそれっぽく刻んでさ」
シロエ 「筍とかも混ぜて味付けをして…。精進料理には見えませんよね」
アドス 「精進料理ですと!? あの肉まんが…?」
ブルー 「うん。そこの料理も全部そうだよ」
テーブルの上にズラリと並んだ中華料理の大きな皿。
前菜の盛り合わせや炒め物、肉料理にしか見えない品も色々と。
ブルー 「普茶料理ってヤツ、知らないかな?」
アドス 「中華料理の本場から来た禅寺の料理…でしたかな?」
ブルー 「そう。そこの得意は『もどき料理』なんだよ」
全員 「「「もどき料理?」」」
もどき料理って何なのでしょう?
肉まんの具が蕨というのが本当だったら、ジョミー君に光が見えるかな…?
2012/01/20 (Fri)
☆もどきが気になる
雪が降る中、本堂の前で凍えかけていたジョミー君。
そこへ肉まんが届けられ、大喜びで飛び付いたのが災いの元でございます。
「御本尊様の前で肉を食べた」とアドス和尚が大爆発。
仏門に入って御本尊様に許しを請うか、頭を丸めてアドス和尚に謝るか。
どちらにしても坊主頭は逃れられそうになかったのですが…。
ブルー 「面白いから様子見してたけど、もどき料理の肉まんではねえ…」
アドス 「そうだという証拠はございますかな? 御友人の他に」
イライザ「私、見学しておりましたの。今後のお料理の参考に…って」
アドス 「な、なんと…。では、あれは本当に蕨じゃと?」
イライザ「ええ。でも銀青様が何も仰いませんし、黙っていました」
ブルー 「ぼくの楽しみを奪わないでくれてありがとう。嬉しかったよ」
キース 「お、おふくろ…。俺と親父の立場はどうなる!?」
イライザ「銀青様にお尋ね下さいな。私は単なる証人ですもの」
アドス 「むむう…。ジョミー殿に詫びねばならんのか?」
キース 「そうなるな…。しかし……」
ブルー 「元が坊主じゃ頭を丸める意味が無いよね。キースは別として」
キース 「お、俺!? 俺が坊主に…?」
やばい、と頭を押さえるキース君。
坊主頭にするのが嫌で、サイオニック・ドリームで誤魔化しながらお坊さん
ライフを送ってきたのに、今度はキース君に坊主フラグが?
ジョミー「そうだね、ぼくだって坊主頭にしろって言われたもんね」
サム 「詫びの王道って説から行けば、ホント、自然な成り行きだよな」
ジョミー「でも、その前に気になるんだよ。あの肉まんってホントに蕨?」
ブルー 「おやおや、坊主頭になりたいのかい? せっかく命拾いしたのに」
ジョミー「そうじゃなくって、もどき料理って何なのかなぁ、って」
あの肉まんは本当に美味しかったんだ、とジョミー君は申しております。
材料が蕨とは信じられない味と外見。
もどき料理ってどういうものか、ジョミー君でなくても気になりますよね!
2012/01/21 (Sat)
☆もどきと普茶料理
ジョミー君に坊主頭の危機をもたらした肉まんは、もどき料理の精進料理。
精進料理はポピュラーですけど、もどき料理って何なのでしょう?
蕨が豚肉そっくりに化けるんですから、ホントに凄い料理ですよね。
ジョミー「ぼく、本物の肉まんだと思ってたもの。もどき料理って何さ?」
ブルー 「アドス和尚は知ってたようだけど、普茶料理」
ジョミー「ふちゃ…料理?」
サム 「俺も名前は知らなかったぜ。すげえなぁ、って見ていただけで」
キース 「普茶料理という名は聞いてはいるが…。食ったことはないな」
ブルー 「それほどメジャーな料理じゃないしね。食べる機会は少ないかな」
アドス 「アルテメシアには普茶料理のお寺はありませんしなあ…」
ブルー 「隣の市まで行かないとね。しかも郊外のド田舎だ」
シロエ 「観光地じゃないってことですか?」
ブルー 「うん。本場のお寺そっくりのお堂とかもあるけど、マイナーだよ」
どうやらローカルなお寺みたいです。
本場のお寺にそっくりってことは、中華風な建築なんでしょうけど。
ブルー 「普茶料理のお寺は他の地方にも幾つかあるんだ。何処も中華風」
マツカ 「それで中華な精進料理になるわけですね」
ブルー 「そういうこと。そして普茶料理の神髄がもどき料理さ」
ぶるぅ 「本物そっくりに作るんだよ。お肉がダメでもお肉そっくりに!」
ブルー 「お坊さんは肉や魚がダメだろう? でも食べたいと思うよねえ」
アドス 「ううむ…。そういうものですかな?」
ブルー 「君だって普段は食べるじゃないか。修行中は当然、禁止だけども」
キース 「修行中に肉など言語道断! 御本尊様の前でも同じだ」
ブルー 「でも中華料理の本場の国では、そういう発想じゃないんだなぁ…」
食べたいものは食べたいんだよ、と生徒会長。
中華料理の本場と言えばグルメの国でございます。
四足の物はテーブル以外、二本足の物も親以外は食べると言われるお国柄。
お坊さんでも修行中に肉を食べるとか…?
2012/01/22 (Sun)
☆本場の精進料理
蕨粉で作られたという問題の肉まん。普茶料理と呼ぶ精進料理らしいです。
生徒会長曰く、普茶料理のルーツの中華な国では更に凄いそうで…。
ブルー 「なんたって五千年の歴史だからね。そう簡単に諦めないさ」
ジョミー「諦めるって、何を?」
ブルー 「食べたいという食への欲求! お坊さんでも肉は食べたい」
アドス 「普茶料理はその発想から出来た料理だと聞きますなあ…」
ブルー 「でも、普茶料理はこの国の国民性に合わせてアレンジ済みだよ」
ジョミー「アレンジ済み?」
ブルー 「うん。せいぜい肉まん程度かな。ウナギとかもあるけど」
キース 「それだけあれば充分なような…。が、この料理は違うようだな」
テーブルに並んだ中華料理はお肉満載でございます。
災いを呼んだ肉まんの他にも色々と…。
ブルー 「この国じゃ、坊主が肉なんて…って発想だよね。厳格なんだ」
アドス 「もっての他でございますからな、先ほどの肉まんもそうですが」
ジョミー「あれは蕨だったじゃない! …肉まんそっくりの味だったけど」
アドス 「間違えられるほどの味と見かけがいかんのです!」
坊主は黙って精進料理、とアドス和尚は主張しておりますが。
ブルー 「その考えが普茶料理にも入っているんだよ。もどきの限界」
シロエ 「限界……ですか?」
ブルー 「そう、限界。知らない人が見て、肉だと思うようならアウトさ」
キース 「ここにある料理は肉だらけだぞ。これが本場の底力か?」
ブルー 「本場のお坊さんたちの執念と努力の賜物かな。味もそっくり」
アドス 「本当に精進料理だと仰るので? イライザが証人のようですが」
イライザ「お肉は使ってらっしゃいませんわ。でも本物にそっくりですの」
焼き豚に焼き鴨、中華ハム。
鶏肉と野菜の炒め物を飾り切りしたオレンジの器に詰めたもの。
深めのお皿にたっぷり盛られ、スプーンが添えられたカニ味噌なんかも…。
見た目は普通に中華料理のオンパレードです。
これが本場の精進料理…?
2012/01/23 (Mon)
☆もどきの真骨頂
中華料理の本場のお坊さんが考えたという精進料理。
元老寺の座敷の大きな机に、それがズラリと並んでおります。
ブルー 「ほら、これなんかキノコなんだよ。見た目はイカだけどね」
ぶるぅ 「セロリと一緒に炒めてみたよ! 熱い内に食べてね」
アドス 「そ、そうでした。昼御飯用でございましたな…」
ブルー 「暖房が効いてる部屋で良かったよね。とにかく食べよう」
話の続きは食べながら…、と生徒会長。
肉まんで濡れ衣を着せられてしまったジョミー君の件も、とりあえず保留。
ブルー 「修行中じゃないし、食前の作法は省略で。いただきます」
全員 「「「いただきます」」」
料理を作った「そるじゃぁ・ぶるぅ」も両手を合わせて「いただきます」。
はてさて、気になる素材とお味の方は…?
サム 「すげえや、ホントにカニ味噌だ! 味は違うと思ったのに」
キース 「カニ味噌だな…。これの材料は何なんだ?」
ぶるぅ 「えっとね、お豆腐と塩漬け卵の黄身とニンジンだよ」
スウェナ「調味料に秘密があるのかしら?」
ぶるぅ 「ううん、中華の調味料。合わせ方が大事なの!」
シロエ 「この焼き鴨が絶品ですよね。本物の鴨に見えますよ」
マツカ 「皮つきの鴨を焼きました、って感じです。これが湯葉だなんて…」
キース 「湯葉なのか?」
アドス 「精進料理に湯葉は定番ですが…。こんな使い方はしませんな」
ブルー 「だよね。普茶料理には豆腐と山芋のウナギの蒲焼があるけどさ」
ジョミー「ウナギの蒲焼? それも凄いね」
アドス 「いやいや、この料理には敵いませんぞ。焼き豚も実に美味い」
ブルー 「焼き豚と中華ハムは豆腐が材料。干し豆腐だけどね」
ジョミー「それじゃ、こっちの鶏肉は? オレンジの中に詰めてあるヤツ」
ぶるぅ 「筍だよ? 柔らかく煮て、それから潰して炒めるの!」
キース 「これが筍…。信じられんな」
見た目も味も大満足の精進料理。
肉まん騒動はひとまず忘れて、楽しく食べるのが一番ですよね!
2012/01/24 (Tue)
☆御馳走の後で
本物の肉料理もかくやという外見と味わいが凄い、中華の本場の精進料理。
肉まん事件で激怒していたアドス和尚も大満足です。
アドス 「いやあ、実に素晴らしいものを頂きました。御馳走様です」
ブルー 「凄かっただろう? 普茶料理なんて目じゃないよね」
アドス 「銀青様も御修行中には、あれを召し上がっておられたので?」
ブルー 「まさか。あんなの、この国のお寺じゃ御法度だってば」
肉が食べたくなったら高飛び、と生徒会長は澄ましております。
お坊さんの世界で高飛びと言えば、修行中にお寺を抜け出すことで…。
アドス 「銀青様ほどの御方が高飛びを? 信じられませんなあ…」
ブルー 「ぼくだって最初から高僧じゃないさ。下積み時代もあるんだよ」
キース 「あんた、当時の璃慕恩院のトップの直弟子じゃなかったか?」
ブルー 「そりゃそうだけどさ。仲間との付き合いも大事でね」
アドス 「朋輩は確かに大切ですな。後々、世話になることもございますし」
ブルー 「法類が友達だったりすると心強いよね、色々と」
シロエ 「なんですか、それ?」
キース 「法類か? 平たく言えば親戚付き合いしている寺だな」
ジョミー「親戚…じゃないわけ?」
アドス 「もちろん親戚もおりますぞ。それとは別に同じ宗派の寺ですな」
法類には二つの系統があるのだそうでございます。
住職の師弟、血縁のお寺が身附法類。
同じ宗派で御近所同士、何かと言えば助け合うのが寺附法類。
ジョミー「ミツキホウルイにテラツキホウルイ…? よく分からないや」
アドス 「なあに、追い追い分かって参りますとも。日々精進ですな」
ジョミー「え?」
アドス 「肉まんの件はお詫び致しますが、その前を思い出しまして」
ジョミー「何だっけ…?」
アドス 「そもそもはジョミー殿が伝統おせちに…」
ジョミー「ちょ、ちょっと待って! それって今更言いっこ無しだし!」
時効だよ、と絶叫しているジョミー君。
蒸し返された話の行方はいったいどうなる…?
2012/01/25 (Wed)
☆振り出しに戻る
美味しかった食事の後は話がいきなり逆戻り。
元老寺の伝統おせちに文句をつけたジョミー君、ロックオンでございます。
ジョミー「お、おせちのことなら謝るよ! だから時効に…」
アドス 「いやいや、初詣は午後も続きますからなあ」
キース 「檀家さんも食事の御都合があるから、今が昼休みというだけで」
ジョミー「も、もしかして……まだこれから…」
ブルー 「そう、本堂の前で下足番! 坊主頭は免れたんだし問題ないよ」
ジョミー「だけど、ぼくだけ叱られ損だし! 濡れ衣だったし!」
肉まんは蕨だったんだから、と必死に叫ぶジョミー君。
座敷から見える外の雪は午前中よりも激しくなっております。
そんな天気に下足番では霜焼け、あかぎれ間違いなし。
アドス 「ふうむ…。確かに耳まで引っ張ったのはやりすぎでしたな」
ジョミー「そう思うんなら許してよ! 寒いのも坊主頭も嫌だってば!」
アドス 「しかしですな、因果応報、世の習い…とも申しまして」
キース 「そうだぞ、おふくろの心遣いを無にしやがって!」
ぶるぅ 「伝統おせちって大変なんだよ、下ごしらえも時間がかかるし」
ブルー 「食べたら一瞬の黒豆だって、煮るのはとても難しいんだ」
サム 「それをけなして時効はねえよな、今日一日は頑張っとけよ」
ジョミー「で、でも…。あそこ、本当に寒いんだよ!」
アドス 「裏山から吹き下ろしが来ますからなあ…。しかし…」
どうしたものか、と考え込んでいるアドス和尚。
ジョミー君を無罪放免とするか、午後も引き続き下足番を務めさせるのか。
そこへ…。
イライザ「差し出がましいようですけれど、未来に貯金は如何でしょう?」
全員 「「「未来に貯金?」」」
イライザ「お昼に作って下さいました、あのお料理。使えますわよ」
アドス 「使う…とな? 何に使うんじゃ?」
イライザ「元老寺の看板料理ですわ。レシピも教えて頂きましたし」
きっと役立つと思いますの、とイライザさん。
未来に貯金と言っていますが、それってどういう意味なのかな?
2012/01/26 (Thu)
☆未来に貯金を
元老寺の伝統おせちに文句をつけて叱られてしまったジョミー君。
その罰として本堂の前で、初詣にいらした檀家さんの下足番をする羽目に。
更に肉まんを食べたとあって坊主頭の大ピンチ!
肉まんの方は精進料理だと明らかになり、一安心かと思いきや…。
アドス 「精進料理を看板に、とな? それに未来に貯金とは何じゃ?」
イライザ「事の起こりは伝統おせちでございましょ? お気に召さなくて」
ブルー 「それはジョミーが我儘なだけ! 美味しかったよ」
ぶるぅ 「うん! 丁寧に作ってあったもん」
イライザ「お褒めに与って光栄ですわ。でも、お若い方には向きませんわね」
キース 「俺には馴染んだ味なんだがな…。若者向きではないってことか」
シロエ 「そういうわけでもないんですけど、珍しい方が優先と言うか…」
スウェナ「自分の家では出ないお料理に目が行くわよね」
サム 「だよな。家に帰ったらバッチリ普通のおせちだろうし」
ブルー 「みんな思いは同じだろうけど、ジョミーは口に出したしねえ」
アドス 「そこが問題になるわけで…。坊主は忍耐も大切ですぞ」
ジョミー「だから坊主じゃないってば! 素人だし!」
キース 「ブルー……いや、銀青様に気にかけて頂いておいて素人も何も」
アドス 「ございませんなあ、いずれ高僧になって頂きませんと」
話は更に過去へと遡りつつあるようです。
特大の頭芋で高僧フラグが立った所まで時計の針が逆戻り。
イライザ「そうでしょう? それで未来に貯金を、と」
サム 「ジョミーが貯金? 無理、無理、計画的に使えないヤツだし」
キース 「確かに万年金欠だったな。俺も絶対無理だと思うが」
イライザ「そんな貯金ではございませんの。裏方は任せて下さいな」
キース 「う、裏方? 強制的に徴収するのか、家に押し掛けて」
サム 「それなら確実に押さえられるよな、使い切る前に」
なんと、イライザさんがジョミー君の家まで集金に?
ジョミー君、パパとママに何と言い訳すれば…?
2012/01/27 (Fri)
☆貯金のシステム
未来に貯金だの精進料理を看板にだのと、考えがあるらしいイライザさん。
しかしジョミー君に貯金の才能は無く、強制的に集金するしか…。
ジョミー「え、えっと…。貯金しなくちゃいけないわけ? 絶対に?」
イライザ「今すぐとは申しておりませんわ。出世払いで構いませんのよ」
全員 「「「出世払い?」」」
イライザ「ええ。お坊さんになられた時で結構ですの」
ジョミー「ならないし! それくらいなら貯金するし!」
ブルー 「どうだかねえ…。ぼくも君の未来に期待してるし、その方向で」
アドス 「そうでございますな、出世払いも大いに結構」
キース 「おふくろ、出世払いというのは何だ?」
イライザ「あなたにも関係ありましてよ? 説法会をしたらどうかと」
アドス 「ほうほう…。キースやジョミー殿ならお若いですから」
イライザ「お寺に興味が無いような年頃の方も呼べると思うんですの」
ブルー 「なるほどね。そこでジョミーが説法を…、と」
イライザ「説法会は高僧に限ると決まったものでもございませんでしょ」
ブルー 「親しみやすい若いお坊さんが法話をするというのもいいねえ」
イライザ「そうですの。高僧になられたら会の評判も上がりますし」
アドス 「それで出世払いと言っておったか。名案じゃな」
イライザ「ジョミーさんが慣れない間はキースがメインで宜しいでしょ?」
説法会に来てくれた人に中華な精進料理を振舞うのだ、とイライザさん。
他所のお寺には無い料理だけに、それだけでも人が呼べそうで…。
ジョミー「ちょ、ちょっと! なんで勝手に話が進んで…」
アドス 「黙らっしゃい! イライザが許すと言っておるのですぞ」
ブルー 「御厚意を無にしちゃいけないねえ…。是非そうしたまえ」
サム 「俺も手伝いに来てやるよ、ジョミー。ブルーの弟子だし」
アドス 「おお、サム殿も来て下さいますか。それは有難い」
その会を元老寺の名物に、とアドス和尚は大喜び。
ジョミー君に立った坊主フラグは確定ですか?
2012/01/28 (Sat)
☆坊主バンザイ
初日の出のフライング柏手に始まり、伝統おせちへの文句に肉まん。
肉まんだけは濡れ衣でしたが、次から次へとドツボにはまったジョミー君。
とうとう未来に貯金する羽目になってしまって…。
アドス 「いやあ、正月早々、実にめでたい。説法会が楽しみですなあ」
ブルー 「まだまだ先になるけどねえ…。ジョミーは住職の資格が無いし」
アドス 「なあに、その内に取れますでしょう。ひとつ頑張って頂いて」
ささ、どうぞ、とジョミー君に杯を差し出すアドス和尚。
顔面蒼白のジョミー君ですけど、これを断ったら更なるドツボに…。
ジョミー「わ、分かったよ! 何十年かかるか知らないけれど!」
アドス 「百年後でも結構ですぞ。気長にお待ちしておりますわい」
ジョミー「期待されても困るんだけど…。って、これ、お酒!?」
アドス 「わしの秘蔵の大吟醸でしてな、祝い事にはこれが一番で」
一気に飲み干したジョミー君の杯に再び大吟醸がトクトクトク…と。
どうやら飲み口が最高らしく、ジョミー君、どんどん飲んでおります。
未成年なのにいいんでしょうか…?
シロエ 「大丈夫でしょうか、ジョミー先輩…。出来上がってませんか?」
ブルー 「もう充分に大トラだよ。午後の部の下足番には使えないね」
イライザ「よろしいんですのよ、未来に役立って下されば」
キース 「俺とジョミーで説法会か…。サムも来るなら賑やかになるな」
マツカ 「ぼくもお手伝いさせて頂きますよ、裏方でしたら」
スウェナ「私でも配膳くらいは出来そうね」
ぶるぅ 「じゃあ、ぼく、お料理を手伝いに来る! レシピも増やして」
ブルー 「だったら、ぼくはゲスト出演しようかな」
イライザ「銀青様に来て頂ければ最高ですわ。素敵な会になりますわね」
ジョミー「頑張るぞー! ハゲは坊主の職業病だぁー!」
坊主バンザイ、と出来上がっているジョミー君。
とんだ元日になりましたけど、お目出度いのはいいことです。
謹賀新年、今年もいい年になりますように~!
2012/01/29 (Sun)
☆もうすぐ節分
お元日から酔っぱらってしまい、坊主万歳と連呼してしまったジョミー君。
翌日は二日酔いで寝込み正月となり、今も笑い物になっております。
ブルー 「いやあ、ホントに派手だったよねえ、坊主宣言」
キース 「あれは録画をするべきだったと親父が悔やんでいるからなあ…」
シロエ 「酔った勢いで剃髪しちゃえば良かったんですよ、決心がついて」
スウェナ「本人に記憶が無いっていうのが悲しいわよね」
サム 「うんうん、髪の毛がスッパリ無くなっていたら証拠になったし」
マツカ 「でも…。それって犯罪にならないんですか? 髪の毛を勝手に」
ブルー 「ああ、女性の髪とかを無断で切ったら捕まるようだね、警察に」
キース 「酔っ払いは心神耗弱だしな…。本人の合意があっても難しいか」
ブルー 「ジョミーの御両親にはソルジャー命令で通るだろうけど…」
ジョミー「やめてよ、ぼくは覚えてないんだから! 坊主反対!」
キース 「分かった、分かった。絵馬にも書いてたくらいだしな」
三が日の最終日は、みんなでアルテメシア大神宮に初詣でした。
寝込み正月の間にジョミー君の携帯宛に届いたメールは激励文ばかり。
「坊主元年」だの「初坊主」だのと、誰もが背中を押すものですから…。
ジョミー「仏様に宣言したのを撤回するなら神様だろうと思ったんだよ!」
サム 「坊主にならずに済みますように、ってな。あれは笑えたぜ」
ブルー 「御利益に期待するしかないね。現時点では逃げ切れてるし」
スウェナ「いつ時効なのか知らないけれど、もう1月も末だものね」
キース 「多分、時効は無いと思うが…。親父もおふくろも期待してるぞ」
ジョミー「だから酔っぱらっていたんだってば!」
ブルー 「これに懲りたら飲まないことだね。…ところで節分なんだけど」
キース 「ああ、もうすぐだな。今年はウチで豆まきするか?」
本堂で豆を撒き放題だ、とキース君。
「鬼は外」と叫びまくっても御近所に迷惑はかかりません。
これは案外、穴場かも?
2012/01/30 (Mon)
☆節分の行き先
節分が近付いてきております。元老寺では本堂で豆を撒き放題だそうで…。
シャン学メンバー、是非行きたいと思ったのですが。
ジョミー「ぼくは絶対行かないからね! 行ったら元の木阿弥だし!」
キース 「まあ、そうだろうな。親父が喜ぶのは間違いない」
ブルー 「年男みたいに主役を張れるかもしれないよ?」
ジョミー「そりゃ、豆まきはしたいけど…。でも元老寺は鬼門なんだよ!」
サム 「坊主宣言した場所だもんな、福よりも鬼が来るってか?」
シロエ 「バリカンと剃刀を持ってる鬼なんですよ、金棒の代わりに」
スウェナ「いいわね、それ。ジョミー限定の鬼ってわけね」
ジョミー「嫌だってば! ちゃんと神様にもお願いしたから逃げ切るんだ!」
ブルー 「神様ねえ…。仏様への宣言を撤回するなら神様だっけ?」
キース 「少なくとも、ジョミーの頭の中ではそうらしいな」
ブルー 「うーん…。じゃあ、節分には更なる御利益を祈願するかい?」
シロエ 「恵方巻ですか?」
ブルー 「それもいいけど、七福神とか」
全員 「「「七福神?」」」
ブルー 「節分の日にだけ七福神巡りが出来る所があるんだよ」
普段は非公開だけど、と生徒会長。
節分の日にお出掛けすると、門前で福笹が売られているそうでございます。
正確に言えば「売る」のではなく「授ける」もの。
それを授かり、七ヶ所に祭られた神様にお参りするのです。
ブルー 「福笹を持って参拝すると、色々つけてくれるんだ」
マツカ 「ミニチュアの米俵とか、枡とかですか?」
ブルー 「マツカが言うのは恵比寿様の福笹だね。七福神の一人だけれど」
ジョミー「えっと…。要するに、神様を拝んで回るわけ?」
ブルー 「そう。お参りした印を福笹に結んで貰うんだよ」
シロエ 「なんだか面白そうですね。みんなで出掛けてみませんか?」
キース 「七福神巡りか…。悪くはないな」
ジョミー「御利益賛成! それにしようよ」
節分は七福神巡りに決定の模様。どんな御利益があるのかな?
2012/01/31 (Tue)